(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分の前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体が、ビニル芳香族化合物を5〜95質量%、共役ジエン化合物を95〜5質量%含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の混合物の混合方法。
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物の構造が、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体−ビニル芳香族化合物の水素添加物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の混合物の混合方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
〔混合物〕
本実施形態の混合物は、平均粒径1mm未満のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物(A)と、前記(A)成分100質量部に対してオイル(B)30〜300質量部と、前記(A)成分100質量部に対して前記オイルと非相溶性の樹脂(C)1.0質量部以上と、を混合(ドライブレンド)させてなる。
【0012】
(ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物(A))
本発明に用いられる、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体であり、好ましくは、各々のモノマー単位でブロック共重合し、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体の構造となっている。
【0013】
前記ブロック共重合体中においては、ランダム共重合部分のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また、ブロック共重合体中には、ビニル芳香族化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらに、ブロック共重合体には、ビニル芳香族化合物含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0014】
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体とは、一般に下記構造を有するブロック共重合体が例示される。
(A−B)
n、A−(B−A)
n、B−(A−B)
n+1、[(A−B)
k]
m+1−Z、
[(A−B)
k−A]
m+1−Z、[(B−A)
k]
m+1−Z、[(B−A)
k−B]
m+1−Z
なお、上記式において、Zはカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物の開始剤の残基を示す。また、n、k、mは1以上の整数であり、一般的には1〜5である。
【0015】
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物に用いるビニル芳香族化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、ビニル芳香族化合物としては、スチレンが好ましい。
【0016】
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体のビニル芳香族化合物の含有量は、5〜95質量%であり、共役ジエン化合物の含有量は95〜5質量%である。このような含有量にすることにより、耐衝撃性を付与することができる。また、ビニル芳香族化合物の含有量は、10〜60質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。共役ジエン化合物の含有量は、90〜40質量%が好ましく、80〜40質量%がより好ましい。
【0017】
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物の水素添加物のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、通常、10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜85質量%、さらに好ましくは20〜80質量%である。また、共役ジエン化合物の含有量は、90〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは85〜15質量%、さらに好ましくは80〜20質量%である。
【0018】
共役ジエン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
【0019】
また、このビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体における共役ジエン化合物の重合形式であるミクロ構造は任意に選択できる。例えば、ブタジエンにおいては、1,2−ビニル結合が2〜85%であることが好ましく、より好ましくは10〜85%、さらに好ましくは35〜85%である。
【0020】
また、イソプレンにおいては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量が2〜85%であることが好ましく、より好ましくは3〜75%、さらに好ましくは3〜60%である。1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合は、該共役ジエン化合物重合体ブロック中に均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。
【0021】
また、前記共役ジエン化合物重合体は、1,2−ビニル結合含量又は1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量が異なる重合体部分、例えば1,2−ビニル結合含量又は1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量が30%未満の重合体ブロック部分と、30%以上の重合体ブロック部分とが存在してもよく、さらにこれらのビニル結合量が異なる共役ジエン化合物の重合体ブロック部分が複数個共存していてもよい。
【0022】
ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算の分子量)は、50,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは55,000〜400,000、さらに好ましくは60,000〜400,000である。
【0023】
ここで、上述したようなビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を、炭化水素溶媒中で、水素添加触媒及び水素ガスを添加し、水素添加反応を行うことにより、重合体中に存在する共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合が、好ましくは90%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは5%以下まで低減化された水添ブロック共重合体を得ることができる。
かかる水添反応は、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に存在する共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合を低減化できるものであれば、その製法に制限は無く、いかなる製造方法であってもよい。
【0024】
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物の水素添加物の平均粒径は1mm未満であり、好ましくは0.8mm未満、より好ましくは0.6mm未満である。当該平均粒径を1mm未満にすることにより、(B)成分のオイルが、前記水素添加物に十分に浸透しやすくなるからである。
なお、本発明において、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物の水素添加物の平均粒径の測定方法は、レーザー回析式粒度計で測定される値である。
【0025】
(オイル(B))
本発明の混合物に用いることができるオイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、共役ジエン化合物との相溶性の観点からパラフィン系オイル及びナフテン系オイルを用いることが好ましい。
【0026】
パラフィン系オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられる。これらのパラフィン系オイルとしては、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。具体的なパラフィン系オイルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、カネダ株式会社製K−350(流動パラフィン99.9995%)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
【0027】
ナフテン系オイルは、環状の飽和炭化水素物であり、以下に限定されるものではないが、例えば、シクロペンタンC
5H
10、シクロヘキサンC
6H
12、フイヒテライトC
19H
34及びオレアナンC
30H
52等の単独もしくは混合物が挙がられる。これらのナフテン系オイルは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。具体的なナフテン系オイルとしては、出光興産製のダイアナプロセスオイルNS90S、ダイアナプロセスオイルNS100等である。
【0028】
具体的な、パラフィン系オイルとナフテン系オイルの混合物としては、出光興産製のダイアナプロセスオイルNP250、ダイアナプロセスオイルPW380等が挙られる。
【0029】
オイルの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算の分子量)は、通常、400〜3000であり、好ましくは450〜2500、さらに好ましくは500〜2000である。重量平均分子量が400未満の場合、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物にブレンドしたオイルが、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物からブリードアウトしやすくなり、また、重量平均分子量が3000を超えると、粘度が高すぎて、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物に含浸が容易でなくなる傾向がある。
【0030】
オイルの量は、前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物100質量部に対して、30〜300質量部であり、好ましくは35〜250質量部であり、さらに好ましくは40〜200質量部である。300質量部を超えると、前記オイルが前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物に吸い込まれきれない。また、30質量部未満では、前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物の、例えば溶融混練時における加工性が低下する。
【0031】
(オイルと非相溶性の樹脂(C))
本発明の混合物に用いることができる、オイルと非相溶性の樹脂としては、オイルと非相溶性であれば以下に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂が挙げられ、好ましくはポリフェニレンエーテル系樹脂である。
【0032】
本発明の混合物に用いることができるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、又はポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物とすることができる。
【0033】
ポリフェニレンエーテル樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂としては、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
【0034】
ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度(単位g/dl、30℃のクロロホルム中で測定)は、0.10〜0.7であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.65であり、さらに好ましくは0.3〜0.6である。ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度を0.10以上とすることにより、機械的強度が保持でき、ポリフェニレンエーテル樹脂の還元粘度を0.7以下とすることにより、流動性を保持できる。
なお、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、クロロホルム溶媒、30℃、0.5g/dl溶液で測定するものとする。
【0035】
ポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒径は、0.01〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.020〜1.3mm、さらに好ましくは、0.03〜1.0mmである。平均粒径を0.01mm以上とすることにより、搬送能力が向上し、平均粒径を1.5mm以下とすることにより、ポリフェニレンーテル樹脂の未溶融物の発生を防止することができる。
なお、本発明において、ポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒径の測定方法は、レーザー回析式粒度計で測定される値である。
【0036】
さらに、前記ポリフェニレンエーテル樹脂の静的な嵩密度は0.40〜0.70kg/m
3であることが好ましく、より好ましくは0.42〜65kg/m
3、さらに好ましくは0.45〜0.6kg/m
3である。嵩密度を0.40kg/m
3以上とすることにより、搬送能力を向上することができ、嵩密度を0.70kg/m
3以下とすることにより、ポリフェニレンエーテル樹脂の未溶融物の発生を防止することができる。
【0037】
ここで、ポリフェニレンエーテル系樹脂に用いることができるポリスチレン系樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ゼネラルパーパスポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン系樹脂、スチレン・アクリルコポリマー系樹脂及びスチレン・アクリル・ブタジエンコポリマー系樹脂等であり、これらを併用してもよい。特に好ましいポリスチレン系樹脂は、ゼネラルパーパスポリスチレン(以下、「GPPS」とも称す)及びハイインパクトポリスチレン(以下、「HIPS」とも称す)である。
なお、ハイインパクトポリスチレンのゴム平均粒径は1.0〜2.0μmであることが好ましく、また、ゴム濃度は8〜15重量%であることが好ましい。ハイインパクトポリスチレンのゴムとしては、限定されるものではないが、例えばハイシスブタジエンゴムが好ましい。
【0038】
ここで、(C)成分としてポリフェニレンエーテル系樹脂を用いる場合において、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物としては、一度溶融混練したペレット及び/又はその粉砕したものでもよく、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とを溶融混練せずに混合した混合物でもよい。ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物とする場合には、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂を混合装置に供給するときに、それぞれ別々に供給し、混合装置で混合してもよい。
【0039】
ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのそれぞれの含有量は、それぞれ10〜90質量%及び90〜10質量%であることが好ましく、より好ましくはそれぞれ15〜85質量%及び85〜15質量%であり、さらに好ましくはそれぞれ20〜80質量%及び80〜20質量%である。ポリフェニレンエーテル樹脂を10質量%未満とすると耐熱性が低くなり、90質量%を超えると加工性が劣る傾向がある。
【0040】
ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物の平均粒径は、0.1mm〜6.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5.0mmであり、特に好ましくは0.3〜4.0mmである。ポリフェニレンエーテル樹脂の平均粒径とポリスチレン系樹脂の平均粒径との算術計算でもよいし、溶融混練したペレットの粒径(ペレットの場合は、ペレットの長さと径の平均値)でも構わない。
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂の量は、前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物100質量部に対して1.0質量部以上であることが好ましく、好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは、30質量部以上である。
【0041】
以上より、本発明の混合物は、平均粒径1mm未満のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物(A)と、前記(A)成分100質量部に対してオイル(B)30〜300質量部と、前記(A)成分100質量部に対して前記オイルと非相溶性の樹脂(C)1.0質量部以上と、が混合されるので、ベトツキがなく優れた長期保存性を有し、また混合物を溶融混練する際には、安定した溶融混練運転を実施することができ、さらに、各種物性の良好な樹脂組成物を製造することができる。
具体的には、前記水素添加物が平均粒径1mm未満であり、オイルが上記の量で混合されるので、当該水素添加物にオイルが容易且つ十分に浸透する。また、当該オイルと非相溶性の樹脂を、混合物に含ませることにより、混合物の長期保存性を向上させることができる。具体的には、オイルを吸い込んだ水素添加物は、長期保存すると、その粒子同士が密着し塊になる虞があるところ、オイルと非相溶性の樹脂を、混合物に含ませることにより、塊になることを防止することができ、それゆえに、長期保存性が向上し、また混合物を溶融混練する際には、安定した溶融混練運転を実施することができる。
また、前記水素添加物はオイルを含有するので、その溶融温度が低下して、それゆえに、溶融混練の際の前記水素添加物の熱劣化を防止することができる。特に高分子量の前記水素添加物は溶融温度が高くなる傾向があるので有効である。
さらに、前記混合物から得られた樹脂組成物は、オイルを含有するので、物性を向上させることができる。
【0042】
本発明によって得られた混合物は、熱可塑性樹脂と共に溶融混練して用いることができる。熱可塑性樹脂の種類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、公知の樹脂を用いることもできる。好ましい具体例としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル−co−2,3,6−トリメチルフェニレンエーテル)等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂の溶融混練物、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、シンジオタクチックポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等)、ポリエステル系樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン・イソプレンブロック共重合体、ホモポリオキシメチレン、コポリマーポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルニド、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミドMXD(m−キシリレンジアミン),6、ポリアミド6,T、ポリアミド9,T、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6等)、ポリアミドイミド、ポリアリーレート、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテルとアルケニル系樹脂のブレンド物ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
(その他の材料)
本発明には、任意に添加剤を用いることができ、かかる添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、粉体フィラーの分散剤(エチレンビスアマイド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸)、官能基付与剤(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸)、各種着色剤、着色補剤(酸化チタン等)、紫外線吸収剤、耐電防止剤、安定剤(酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン系安定剤、イオウ系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤)、難燃剤(燐酸エステル系難燃剤、ハロゲン系難燃剤)、難燃助剤(三酸化アンチモン)、過酸化物と不飽和結合をもったモノマー等(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸等)を1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。前記添加剤は、前記混合物に添加してもよいし、前記混合物を溶融混練する際に添加しても構わない。
【0044】
本発明には、任意に無機フィラーを用いることができ、かかる無機フィラーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、軟質炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト、針状フィラー(ウオラストナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セプライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム)、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、カーボンビーズ、ガラスバルーン、カーボン、磁性フィラー、圧電・焦電フィラー、摺動性フィラー、封止材用フィラー、紫外線吸収フィラー、制振用フィラー、導電性フィラー(ケッチェンブラック、アセチレンブラック)、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記無機フィラーは、前記混合物に添加してもよいし、前記混合物を溶融混練する際に添加しても構わない。
【0045】
〔混合方法〕
本発明の混合方法で用いることができる混合装置は、縦型撹拌翼付混合装置、横型撹拌翼付混合装置、縦型槽回転型混合装置及び横型回転型混合装置のいずれか1つを用いることが好ましい。また、混合装置は、撹拌の回転数が20〜4000rpmであることが好ましく、さらに、その内部に撹拌効率を上げるために、撹拌翼に加えて邪魔板が設けられることが好ましい。
【0046】
混合装置の一例としての縦型撹拌翼付混合装置とは、
図1にその概略を示す、株式会社カワタ製のスーパーミキサー(回転数300〜4000rpm)が挙られる。具体的には、当該混合装置は、
図1に示すように、縦型撹拌翼付混合装置本体1(以下、「装置本体部1」とも称す)と、装置本体部1の上蓋2と、装置本体部1に取り付けられた動力モーター3と、装置本体部1に取り付けられた、混合物を排出するための排出口4と、装置本体部1内の、前記動力モーター3により回転する攪拌翼としての上翼5と、攪拌翼としての下翼6と、を備えており、さらに、装置本体部1内に任意で邪魔板7を備えている。前記上翼5と下翼6とで強力な混合を行うことができる。また、邪魔板7を備える場合には、混合する原料の仕込み量は、撹拌効率を上げるために邪魔板7の下端を超えた量であることが好ましい。
【0047】
本発明の混合方法を、
図1を参照しつつ以下に説明する。
本発明の混合方法に係る第1実施形態は、混合装置に、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分とをそれぞれ順に供給して混合する。
具体的には、混合装置として縦型攪拌翼付混合装置を用いた場合、先ず、動力モーター3を停止し、排出口4を閉じた状態で、装置本体部1の上蓋2を開き、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)とをそれぞれ順に供給し、次いで、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に排出口4を開けて、動力モーター3を起動させた状態で混合物を排出させる。
【0048】
本発明の混合方法に係る第2実施形態は、混合装置に、前記(A)成分と、前記(B)成分とをそれぞれ順に供給して混合し、次いで、前記混合装置に、前記(C)成分を供給してさらに混合する。
具体的には、混合装置として縦型攪拌翼付混合装置を用いた場合、先ず、動力モーター3を停止し、排出口4を閉じた状態で、装置本体部1の上蓋2を開き、前記(A)成分と、前記(B)成分とをそれぞれ順に供給して、次いで、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に、一旦、動力モーター3を停止して上蓋2を開き、次いで、前記(C)を供給し、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に排出口4を開けて、動力モーター3を起動させた状態で混合物を排出させる。
【0049】
本発明の混合方法に係る第3実施形態は、混合装置に、前記(A)成分100質量部のうち60〜80質量部と、前記(B)成分と、前記(A)成分の残部とをそれぞれ順に供給して混合し、次いで、前記混合装置に、前記(C)成分を供給してさらに混合する。
具体的には、混合装置として縦型攪拌翼付混合装置を用いた場合、先ず、動力モーター3を停止し、排出口4を閉じた状態で、装置本体部1の上蓋2を開き、前記(A)成分100質量部のうち60〜80質量部と、前記(B)成分と、前記(A)成分の残部とをそれぞれ順に供給して、次いで、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に、一旦、動力モーター3を停止して上蓋2を開き、次いで、前記(C)を供給し、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に排出口4を開けて、動力モーター3を起動させた状態で混合物を排出させる。
【0050】
本発明の混合方法に係る第4実施形態は、混合装置に前記(A)成分を供給して、前記(A)成分を撹拌しながら、前記(B)成分を供給して混合し、次いで、前記(C)成分を供給してさらに混合する。
具体的には、混合装置として縦型攪拌翼付混合装置を用いた場合、先ず、動力モーター3を停止し、排出口4を閉じた状態で、装置本体部1の上蓋2を開き、前記(A)成分を供給して、次いで、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で撹拌する。そして、前記(A)成分を撹拌しながら、前記(B)成分を、混合装置1の上蓋2の開口部(図示せず)から供給して混合する。前記(B)成分を供給し終えて前記開口部を閉じ、所定の混合時間が経過した後に、一旦、動力モーター3を停止して上蓋2を開き、次いで、前記(C)を供給し、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に排出口4を開けて、動力モーター3を起動させた状態で混合物を排出させる。
【0051】
本発明の混合方法に係る第5実施形態は、上記の第1〜第4実施形態において、前記(B)成分の前記オイルを、前記混合装置に装着させた分散器で分散しながら供給する。
具体的には、混合装置として縦型攪拌翼付混合装置を用いた場合、先ず、動力モーター3を停止し、排出口4を閉じた状態で、装置本体部1の上蓋2を開き、前記(A)成分を供給して、次いで、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で撹拌する。そして、前記(A)成分を撹拌しながら、前記(B)成分を、混合装置に装着させた分散器(図示せず)で分散しながら供給して混合する。前記(B)成分を供給し終えて前記開口部を閉じ、所定の混合時間が経過した後に、一旦、動力モーター3を停止して上蓋2を開き、次いで、前記(C)を供給し、上蓋2を閉じて、動力モーター3を起動し、所定の回転数で混合する。所定の混合時間が経過した後に排出口4を開けて、動力モーター3を起動させた状態で混合物を排出させる。
【0052】
上記の第5実施形態で用いた分散器を有する混合装置としては、以下に限定されるものではないが、例えば、太平洋機工株式会社のスパイラルピンミキサー、プロシェアミキサーが挙げられる。当該プロシェアミキサーは、横型撹拌翼付混合装置であるが、前記分散器によって連続的に(B)成分を供給することができ、また、(A)成分と(B)成分を、小型の撹拌翼によって高速回転(1500〜4000rpm)で混合し、または、大型の撹拌翼によって低速(10〜100rpm)回転数で混合することが可能な装置である。(B)成分を、前記分散器で分散しながら、例えば連続的に供給する場合、この混合装置を用いることが好ましい。
【0053】
本発明の混合方法において、前記(A)〜(C)成分を混合する撹拌回転数や混合時間は、(A)成分の内部に(B)成分のオイルが十分に浸透して、混合した後の混合物から(B)成分のオイルがブリードアウトしないように調整することができる。なお、上記の混合方法において、回転数一定の場合、ブリードアウトしない混合時間は、第1実施形態の混合方法から第4実施形態の混合方法になるにしたがい短い混合時間にすることができ、さらに、第5実施形態のように(B)成分を分散器で分散しながら供給することで、より混合時間を短縮することができる。
【0054】
なお、第2実施形態〜第5実施形態の混合方法において、(A)成分と前記(B)成分との混合は、オイルブリードアウトテストで、実質的に浸み出さなくなるまで行うことが好ましい。「オイルブリードアウトテストで、実質的に浸み出さない」とは、オイルブリードアウトテストにおいて、白色の吸水紙の上に、15gの(A)成分と(B)成分との混合物を置き、プレス成形機を使って、室温(5〜40℃)、圧力5MPaの条件下で1分間プレスして行い、加圧後にオイルが吸水紙に浸みださないことを意味する。なお、プレス時の温度を70℃程度に上げると、(A)成分のビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物の表面に付いている(B)成分のオイルが前記水素添加物の中に吸収されてしまうので、室温の条件が必要である。
【0055】
〔熱可塑性樹脂の製造方法〕
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法で用いることができる、前記混合物を溶融混練する溶融混練機としては、例えば、バッチミキサー、連続ミキサー及び押出機が挙げられ、特に、単軸押出機及び二軸押出機が好ましい。単軸押出機の場合、前記混合物用の供給装置と他の樹脂・添加剤を供給する供給装置とを使うことが好ましい。
【0056】
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法で用いることができる単軸押出機としては、ブッス社のスクリュが回転しながら前後に駆動するスクリュを持ったコニーダー、混練型スクリュ(ユニメルトスクリュ、DSMスクリュ、ダルメージスクリュ、及びピン型スクリュ等)が設けられた押出機が挙げられる。
【0057】
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法で用いることができる二軸押出機としては、非噛み合い型異方向回転押出機、噛み合い型異方向回転押出機、及び噛み合い型同方向回転二軸押出機が挙げられる。ここで、噛み合い型同方向回転二軸押出機は、コペリオン社のASK メガコンシリーズ、メガプラスシリーズ、MC18シリーズで、東芝機械社のTEM BSシリーズ、SSシリーズ、SXシリーズで、日本製鋼所社のTEX αシリーズ、α2シリーズ、α3シリーズである。特に、トルクが高いZSK MC18シリーズ、東芝機械のTEM SXシリーズ、日本製鋼所のTEX α3シリーズは、スクリュ回転数を低く設定できるので、樹脂温度が低く、生産性も高いので、特に好ましい。
【0058】
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法で用いることができる二軸押出機を、
図2を参照しつつ説明する。
この二軸押出機は、例えばコペリオン社ZSK−40Mcを用いることができるが、図示のように、第1バレル8aから第12バレル8lまでの12個のバレル(押出機長さL=48×スクリュ径)と、押出機9を駆動する、インバーターモーターや直流モーター等の駆動モーター10と、駆動モーター10の回転数を低減する減速機11とを備えている。二軸押出機9の第1バレル8aに第1供給口12が接続し、第5バレル8eに第2供給口13が接続し、また、第11バレル8kに真空ベント14が接続している。第1供給口12には、第1重量式フィーダー15と、第2重量式フィーダー16とが接続し、また、第2供給口13には、第3重量式フィーダー17が接続している。押出機9には、その下流側に、第12バレル8lに接続するダイヘッド18が設けられ、ダイヘッド18の下流側に接続するダイプレート19が設けられている。図示は省略するが、ダイヘッド18には、溶融樹脂を濾過するブレーカープレートと金属スクリーンとが設置されている。ダイヘッド18の下流側のダイプレート19には、直径D=1〜6mm、長さL=1〜30mmのオリフィスが5〜200個取り付けられている。オリフィス数は押出量で決まり、1オリフィス当たり、5〜50kg/hrに設定することができる。なお、この押出機9のスクリュ回転数は100〜1500rpmの範囲で使うことができる。
【0059】
なお、二軸押出機9を用いて前記混合物を供給する場合、単独の供給機を使って、押出機9の最上流の第1供給口12、もしくは、第2供給口13、または追加で設けることが可能であって第2供給口13よりも下流側の、図示しない第3供給口から、供給してもよく、また、分割して、供給しても構わない。
前記熱可塑性樹脂を供給する場合、単独の供給機を使って、押出機9の最上流の第1供給口12、もしくは、第2供給口13、第3供給口から、供給しても構わない。又、分割して、供給しても構わない。
また、前記強化剤を供給する場合、単独の供給機を使って、押出機9の最上流の第1供給口12、もしくは、第二供給口13、図示しない前記第三供給口から、供給しても構わない。又、分割して、供給しても構わない。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0061】
各実施例及び比較例に用いた評価方法及び原材料を以下に示す。
【0062】
〔評価方法〕
(オイルブリードアウトテスト)
25℃の室内温度、最大圧力10MPaのプレス成形機を用いて、厚み3mmプレス用鉄板に厚み0.5mmアルミシートと直径15cmの白色吸水紙とサンプル(混合物)15gとを順に置き、さらに、その上に厚み0.5mmのアルミシートとその上に厚み3mmの鉄板とを置いた。そして、プレス成形機の圧力を5MPaに設定して、1分間プレスし、プレスが終了した後圧力を開放し、サンプルを取りだし、吸水紙に浸みだしたオイルの面積を測定した。測定の際には、吸水紙の裏に真っ黒な紙を置いて、目視判断と最大径の測定を行った。
ブリードアウトテストの結果は以下のように評価した。
1:ブリードアウトしたオイルが、ほとんど見えない。
2:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が0.5mm以下
3:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が1.0mm以下
4:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が2.0mm以下
5:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が4.0mm以下
6:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が8.0mm以下
7:ブリードアウトしたオイルの点の最大径が16.0mm以下
8:ブリードアウトしたオイルの最大径が16mm以上
なお、混合物がベトツクか否かのベトツキ感は、上記の評価結果が1〜3で良好であり、評価結果が4以上から、ベトツキ感が強くなっている。
また、本明細書において、「実質的に浸みださない」とは、オイルブリードアウトテストの評価結果が3以下、すなわちブリードアウトしたオイルの点の最大径が1.0mm以下であることを意味する。
【0063】
(混合直後及び長期保存性テスト)
25kg紙袋にサンプル(混合物)を13kg仕込み、その上に50kgの荷重を付加して、混合直後(10分以内)と、48時間経過後に、前記紙袋を開けて、サンプル(混合物)の塊の発生状況を評価した。さらに、塊が発生している場合には、前記紙袋の上側を持ち、次いで、前記紙袋の持上げと床への落下とを10回行い、塊の状況を見た。次に、このサンプル(混合物)を重量式フィーダー株式会社クボタ製CE−W4のホッパーに投入し、ホッパー内部にあるアジテーターを200rpmで回しながら、押出量50kg/hの条件で、重量式フィーダー排出口のポリマーの安定性、ホッパーに残る塊の様子を目視で評価した。
混合直後及び長期保存性テストの結果は以下のように評価した。
1:紙袋の中に混合物の塊がない。重量式フィーダー出口での供給安定性が良く、ホッパー内部にも塊がない。
2:紙袋の中に混合物の塊があるが、紙袋を10回床に落とすことで、塊が壊れ、小さくなる。重量式フィーダー出口での供給安定性が良く、ホッパー内部にも塊がない。
3:紙袋の中に混合物の塊があるが、紙袋を10回床に落とすことで、塊が小さくなる。重量式フィーダー出口での供給安定性が良いが、ホッパー内部に小さな塊がある。
4:紙袋の中に混合物の塊があるが、紙袋を10回床に落とすことで、塊が壊れる。重量式フィーダー出口での供給安定性が良いが、ホッパー内部に大きな塊がある。
5.紙袋の中に混合物の塊があり、紙袋を10回床に落としても、塊に割れ目が入る程度である。重量式フィーダー出口から、最初は混合物が出てくるが、その内、出てこなくなる。ホッパー内部に大きな塊がある。
6.紙袋の中に混合物の塊があり、紙袋を10回床に落としても、塊が壊れない。重量式フィーダー出口から、混合物は出てこない。ホッパーに大きな塊がある。
7.その他:ホッパー内部でペレットと粉が分級した。
なお、上記の評価結果が1〜3で保存性が良好であり、これら混合物をフィーダーから押出機に供給する場合の供給安定性が良く、ホッパー内部に大きな塊が残らないので、樹脂組成物の生産が可能である。上記の保存性が評価4〜7となる混合物を用いた場合には供給トラブルを起こす可能性があるので、生産不可能である。
【0064】
(Izod試験および引張伸び試験)
各実施例及び比較例で作製した混合物から押出機で製造されたペレットを、射出成形機(東芝機械製IS−80AM射出成形機)で試験片に成形した。その際のシリンダー温度は、240〜290℃とし、金型温度は、60℃〜90℃とした。得られた成形体について、Izod衝撃強度と引張伸びを測定した。Izod衝撃強度は、ASTMのD256に従い、サンプルを1/8インチのノッチ付短柵として評価した。引張伸びは、ASTMのD658に従い1/8インチのダンベルで評価した。
【0065】
〔原料〕
(ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体の水素添加物(A))
A1:粒径が250μm、重量平均分子量が20万、スチレン部含有率が30質量%、共役ジエン化合物の水素添加の含有率が70質量%のSEBS(クレイトンポリマージャパンカンパニー製G1651)を用いた。
A2:平均粒径が270μm、重量平均分子量が28万、スチレン部含有率が30質量%、共役ジエン化合物の水素添加の含有率が70質量%のSEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製H1387)を用いた。
A3:平均粒径が260μm、重量平均分子量が28万、スチレン部含有率が30質量%、共役ジエン化合物の水素添加の含有率が70質量%のSEBS(中華民国TSRCコーポレーション製6150)を用いた。
A4:粒径(直径)が3mm(ペレット)であるSEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製H−1051)を用いた。
A5:オイルを含有し、粒径(直径)が3mm(ペレット)であるSEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製 油展のH1272)を用いた。
【0066】
(オイル(B))
B1:重量平均分子量が600のパラフィン系オイル(カネダ株式会社ハイコールK−350)を用いた。
B2:重量平均分子量が1000のパラフィン系オイルとナフテン系オイルの混合物(出光興産社製PW380)を用いた。
B3:重量平均分子量が450のパラフィン系オイル(出光興産社製PW90)を用いた。
【0067】
(オイルと非相溶性の樹脂(C))
C1:還元粘度0.51、平均粒径600μmのポリフェニレンエーテルを用いた。
C2:ポリフェニレンエーテル80質量部とポリスチレン20質量部との長さ3mm、直径3mmのペレットを用いた。
C3:還元粘度0.51、平均粒径600μmのポリフェニレンエーテル80質量部と、長さ3mm、直径3mmのペレットのポリスチレン(PSジャパン株式会社製ポリスチレン685)20質量部とを混合させた(ドライブレンドした)ものを用いた。
C4:ポリフェニレンエーテル80質量部とポリスチレン(PSジャパン社製ポリスチレン685)20質量部とを溶融混練した長さ3mm、直径3mmのペレット60kg(5000質量部)、及び、長さ3mm、直径3mmのHIPS(マレーシア連邦共和国 ペトロケミカル社製CT60)38kg(5000質量部)を用いた。
C5:還元粘度0.41、平均粒径520μmのポリフェニレンエーテルを用いた。
【0068】
(その他の材料)
D1:石油樹脂(出光石油化学株式会社製アイマーブP−140)を用いた。
【0069】
〔実施例および比較例〕
(実施例1)
図1に示す縦型撹拌翼付混合装置(株式会社カワタ製のスーパーミキサーSMG−100、容積100L、邪魔板付、下翼:BL型標準、上翼:SI型)を用いて、その条件を変えて(A)〜(C)成分を混合して混合物を作製した。縦型撹拌翼付混合装置に、(A1)を12kg(100質量部)供給し、次に、(B1)を6.0kg(50質量部)供給し、スーパーミキサー(混合装置)の回転数を685rpmに合わせて、4分間混合した。そして、ミキサー内からサンプルを15g取り、オイルブリードアウトテストを行った後サンプルを戻し、(C1)を9kg(75質量部)供給し、1分間混合した。この混合物を排出口から抜出して、25kg紙袋に13kg包装した。
上記の混合物についての評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
次いで、上記の混合物を溶融混練した。溶融混練は、
図2に示すような二軸押出機(コペリオン社製ZSK−40Mc、バレル数12、第1バレルに第1供給口、第5バレルに第2供給口、第11バレルに真空ベント)を使い、第1重量式フィーダー(株式会社クボタ製CE−W−2)の原料ホッパーに投入した前記混合物225質量部(アジテーターを回しながら供給)と、第2重量式フィーダー(株式会社クボタ製CE−W4)の原料ホッパーに投入した、還元粘度0.51、平均粒径600μmのポリフェニレンエーテル80質量部およびポリスチレン(PSジャパン製ポリスチレン685)20質量部の溶融混練物4906質量部とを、第1供給口から供給した。そして、ポリスチレン(PSジャパン製ポリスチレン685)19質量部と、HIPS(マレーシア連邦共和国 ペトロケミカル社製CT60)5000質量部とをタンブラーでブレンド後、第3重量式フィーダー(株式会社クボタ製CE−W4)の原料ホッパーに供給し、第2供給口から、押出機に供給した。バレル温度は280℃に設定し、スクリュ回転数400rpm、押出量200kg/hrで運転した。
上記の混合物の溶融混練の結果、押出安定性は良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0070】
(比較例1)
実施例1の(C1)を用いなかった以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後直後保存性:6
・長期保存性:6
また、前記混合物はCE−W2の原料ホッパーでブロッキングし、押出機へ供給不可であった。
【0071】
(比較例2)
実施例1の(A1)を(A4)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:8
・混合直後保存性:6
・長期保存性:6
また、押出安定性は比較例1と同じであった。
【0072】
(比較例3)
実施例1の(A1)を、(A5)に変え、オイルを使用しなかった以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:7
・長期保存性:7
また、押出安定性は良好であったが、時間の経過とともに、シャルピーの値が上昇し、DTUL(荷重たわみ温度)が低下するとともに、MFR(メルトフローレート)が上昇した。
【0073】
(比較例4)
実施例1の(A1)を(A5)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:8
・混合直後保存性:6
・長期保存性:6
また、前記混合物はCE−W2の原料ホッパーでブロッキングし、押出機へ供給不可であった。
【0074】
(比較例5)
実施例1の(C1)を(D1)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。
石油樹脂を使うと、石油樹脂にオイルが入り、SEBSとオイルの混合物が密着し、ブロッキングを起こした。
比較例5の混合物についての評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:6
・長期保存性:6
また、前記混合物はCE−W2の原料ホッパーでブロッキングし、押出機へ供給不可であった。
【0075】
(実施例2)
実施例1の(C1)が(C2)である以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:1
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0076】
(実施例3)
実施例1の(C1)を、(C3)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:1
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0077】
(実施例4)
実施例1の(A1)を1.3kg(100質量部)にし、(B1)を0.7kg(50質量部)にするとともに、実施例1の(C1)を(C4)にし、混合をタンブラー(株式会社プラテック製 SKD−200)を用いて、回転数22rpm、30分の条件で行った以外実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:3
・混合直後保存性:1
・長期保存性:1
また、上記混合物を第2重量式フィーダーに供給した以外同じであった。混合物の溶融混練の結果、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0078】
(実施例5)
実施例1の(C1)を(C5)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0079】
(
参考例1)
実施例1の(B1)の量を20質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:1
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0080】
(実施例7)
実施例1の(B1)の量を200質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:2
・混合直後保存性:1
・長期保存性:3
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0081】
(比較例6)
実施例1の(B1)の量を350質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:8
・混合直後保存性:6
・長期保存性:6
また、混合物の供給安定性が悪く、押出が出来なかった。
【0082】
(実施例8)
実施例1の(C1)の量を20質量部に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:2
・長期保存性:3
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0083】
(実施例9)
実施例1の混合時間を4分から2分に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:2
・混合直後保存性:2
・長期保存性:3
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0084】
(実施例10)
実施例1の混合時間を4分から1分に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:3
・混合直後保存性:3
・長期保存性:4
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0085】
(実施例11)
実施例1の(A1)を、(A2)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0086】
(実施例12)
実施例1の(A1)を、(A3)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0087】
(実施例13)
実施例1の(B1)を、(B2)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0088】
(実施例14)
実施例1の(B1)を、(B3)に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0089】
(実施例15)
実施例1の(A1)及び(B1)の混合装置への供給を、(A1)の内の70質量部を先に供給し、次に(B1)を供給し、さらに(A1)の残りの30質量部を供給する方法に変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0090】
(実施例16)
実施例1の(B1)の供給を、(A1)を撹拌しながら供給する方法に変え、また、混合時間を4分から2分に変えた以外は実施例1と同様に実施した。具体的には、(B1)を入れるタンクを、スーパーミキサーの蓋の上に置き、タンク底に配管をバレルに付けて、配管の先端から、スーパーミキサーに入るようにして、(A1)を撹拌しながら、(B1)の配管を開き、(B1)を供給した。
実施例16の混合物についての評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0091】
(実施例17)
実施例16のオイル配管の先端に1mmの穴が6個開いた分散器を取り付けた以外は実施例16と同様に実施した。評価結果は以下のとおりであった。
・ブリードアウトテスト:1
・混合直後保存性:1
・長期保存性:2
また、押出安定性も良く、得られた組成物の物性は良好であった。
【0092】
上記の各実施例及び比較例の混合物の組成、その混合方法、及びそれらの各評価結果を表1および表2に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
本発明の混合物、その混合方法、及び、その混合物を溶融混練する、熱可塑性樹脂組成物の溶融混練方法を採用すれば、混合物はベトツキがなく長期保存性に優れ、その混合物の溶融混練運転は安定的に実施することができ、得られた樹脂組成物は各種物性が良好であることが判る。