(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図1のように、実施例1の圧電薄膜共振器100は、例えばシリコン(Si)基板からなる基板10上に、付加膜12が設けられている。なお、基板10は、Si基板以外にも、石英基板、ガラス基板、セラミック基板、又はガリウム砒素(GaAs)基板等を用いてもよい。付加膜12上に、温度補償膜として機能する酸化シリコン膜14が設けられている。付加膜12は、例えば酸化シリコン膜14の下面全面に設けられている。付加膜12は、例えば金属膜であり、例えば酸化シリコン膜14よりも高い音響インピーダンスを有する膜である。付加膜12は、例えばクロム(Cr)膜である。酸化シリコン膜14は、例えばフッ素(F)がドープされた酸化シリコン(SiOF)膜である。
【0022】
酸化シリコン膜14上に、酸素を含まない絶縁膜16が設けられている。酸素を含まない絶縁膜16は、例えば酸化シリコン膜14の上面全面に設けられている。酸素を含まない絶縁膜16は、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。酸素を含まない絶縁膜16の厚さは、酸化シリコン膜14よりも薄くなっている。酸素を含まない絶縁膜16上に、下部電極18が設けられている。下部電極18は、例えばルテニウム(Ru)膜である。酸化シリコン膜14と下部電極18とは、その間に介在する酸素を含まない絶縁膜16によって、互いに接していない。また、付加膜12と下部電極18とは、その間に介在する酸化シリコン膜14及び酸素を含まない絶縁膜16によって、互いに接してなく、短絡していない。したがって、付加膜12は、弾性波の励振に対して電気的に寄与する膜ではない。
【0023】
下部電極18及び基板10上に、(002)方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)膜からなる圧電膜20が設けられている。なお、圧電膜20は、AlN膜以外にも、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、又はチタン酸鉛(PbTiO
3)等を用いてもよい。また、圧電膜20は、AlNを主成分とし、共振特性の向上又は圧電性の向上のために他の元素を含んでいてもよい。例えば、ドープ元素にスカンジウム(Sc)、マグネシウム(Mg)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)を用いることで、圧電膜20の圧電性を向上でき、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。
【0024】
下部電極18と対向する領域(共振領域30)を有するように、圧電膜20上に上部電極22が設けられている。上部電極22は、例えばRu膜である。共振領域30を含むように、基板10を貫通する空隙24が設けられている。共振領域30は、例えば楕円形状を有し、厚み縦振動モードの弾性波が共振する領域である。なお、共振領域30は、多角形状等、楕円形状以外であってもよい。
【0025】
下部電極18の上面に接して第1電極パッド26が設けられ、上部電極22の上面に接して第2電極パッド28が設けられている。第1電極パッド26と第2電極パッド28とは、例えば金(Au)パッドである。
【0026】
ここで、実施例1の圧電薄膜共振器の効果を説明するにあたり、比較例1及び比較例2の圧電薄膜共振器に対して発明者が行った高温信頼性試験(100℃、1000時間)について説明する。
図2(a)及び
図2(b)は、比較例1及び比較例2に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
【0027】
図2(a)のように、比較例1の圧電薄膜共振器は、Si基板310上に、厚さ100nmのCr膜からなる付加膜312が設けられている。付加膜312上に、厚さ200nmで、F濃度が9atm%のSiOF膜からなる酸化シリコン膜314が設けられている。酸化シリコン膜314上に、厚さ160nmのRu膜からなる下部電極318が設けられている。下部電極318及び基板310上に、厚さ1200nmのAlN膜からなる圧電膜320が設けられている。圧電膜320上に、厚さ230nmのRu膜からなる上部電極322が設けられている。共振領域330を含むように、基板310を貫通する空隙324が設けられている。また、下部電極318上及び上部電極322上にはそれぞれ、Auパッドからなる第1電極パッド326及び第2電極パッド328が設けられている。
【0028】
図2(b)のように、比較例2の圧電薄膜共振器は、下部電極318が、厚さ100nmのCr膜からなる第1膜318aと厚さ160nmのRu膜からなる第2膜318bとが積層された金属膜である点で、比較例1の圧電薄膜共振器と異なっている。その他の構成は、比較例1の
図2(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)は、高温信頼性試験の前後における比較例1及び比較例2の圧電薄膜共振器の反射特性のスミスチャートである。
図3(a)及び
図3(b)において、高温信頼性試験前を実線で示し、高温信頼性試験後を破線で示している。
【0030】
図3(a)のように、比較例1の圧電薄膜共振器では、高温信頼性試験によって特性が劣化した。例えば、高温信頼性試験前での共振Q値は1090、反共振Q値は933であったのに対し、高温信頼性試験後では、共振Q値が700、反共振Q値が829と劣化した。一方、
図3(b)のように、比較例2の圧電薄膜共振器では、高温信頼性試験後も特性の劣化は見られるものの、比較例1の圧電薄膜共振器と比較して、特性の劣化は抑制された。例えば、高温信頼性試験前の共振Q値は1014、反共振Q値は788であり、高温信頼性試験後の共振Q値は691、反共振Q値は721であった。
【0031】
比較例1の圧電薄膜共振器において、高温信頼性試験によって特性が劣化したのは以下の理由によるものと考えられる。即ち、下部電極318であるRu膜は酸化し易いため、下部電極318(Ru膜)と酸化シリコン膜314とが接して設けられることで、高温信頼性試験において、酸化シリコン膜314の膜中の酸素によって下部電極318が酸化し、その結果、特性が劣化したものと考えられる。また、高温信頼性試験後に電極抵抗が増大していることが確認され、これからも、下部電極318が酸化していることが認められる。一方、比較例2の圧電薄膜共振器では、下部電極318がCr膜からなる第1膜318aとRu膜からなる第2膜318bとの積層膜であるため、酸化シリコン膜314は第1膜318a(Cr膜)に接している。Cr膜は酸化され難いため、下部電極318の酸化が抑制され、その結果、特性の劣化が抑えられたものと考えられる。
【0032】
このことを踏まえると、実施例1の圧電薄膜共振器100では、
図1のように、酸化シリコン膜14と下部電極18との間に酸素を含まない絶縁膜16が設けられている。これにより、酸化シリコン膜14の膜中の酸素による下部電極18の酸化を抑制することができる。また、
図2(b)の比較例2のように、下部電極318の第1膜318aに酸化され難い金属膜を用いたとしても多少の酸化は起こり得るが、実施例1のように、酸化シリコン膜14と下部電極18との間に酸素を含まない絶縁膜16を設けることで、下部電極18の酸化をより抑制できる。また、酸化シリコン膜14は吸湿性を示す材料であり、例えば高温信頼性試験において、水分を吸収して膜質が変化(例えばQ値が劣化)することが起こるが、実施例1では、酸化シリコン膜14下(即ち、酸素を含まない絶縁膜16とは反対側)に、Cr膜からなる付加膜12が設けられている。このため、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制できる。これらのことから、実施例1の圧電薄膜共振器100によれば、特性の劣化を抑制することができる。
【0033】
また、実施例1の圧電薄膜共振器100では、付加膜12に、酸化シリコン膜14よりも音響インピーダンスの高い膜を用いている。これにより、温度補償膜として機能する酸化シリコン膜14は弾性波エネルギーのより大きな部分に設けられることになるため、温度特性を改善するための酸化シリコン膜14の厚さを薄くすることができ、その結果、共振特性の向上が図れる。なお、酸化シリコン膜14がSiOF膜からなる場合、SiOF膜よりも音響インピーダンスが高い金属膜として、Cr膜以外にも、例えばRu膜やCrとRuの積層膜等が挙げられる。
【0034】
このように、付加膜12は、酸化シリコン膜14よりも耐湿性に優れ且つ酸化シリコン膜14よりも音響インピーダンスの高い膜であることが好ましい。
【0035】
また、実施例1の圧電薄膜共振器100では、酸素を含まない絶縁膜16の膜厚は、酸化シリコン膜14よりも薄くなっている。酸素を含まない絶縁膜16が厚いほど、酸化シリコン膜14による温度補償の効果が小さくなるが、酸素を含まない絶縁膜16の膜厚を酸化シリコン膜14よりも薄くすることで、良好な温度補償効果を得ることができる。
【0036】
また、実施例1の圧電薄膜共振器100では、酸化シリコン膜14がSiOF膜であるため、酸化シリコン膜14の弾性定数の温度係数を大きくでき、その結果、酸化シリコン膜14の厚さを薄くできる。これにより、共振特性の向上が図れる。また、SiOF膜は特に吸湿し易い性質を有するが、実施例1では、酸化シリコン膜14下に付加膜12が設けられているため、酸化シリコン膜14がSiOF膜である場合でも水分の吸収を抑制することができる。
【0037】
なお、実施例1では、酸化シリコン膜14がSiOF膜である場合を例に示したが、フッ素(F)以外の他の元素がドープされている場合でもよいし、シリコンと酸素以外の他の元素がドープされていない二酸化シリコン(SiO
2)膜の場合でもよい。例えば、酸化シリコン膜14は、酸化シリコンを主成分とし、フッ素(F)、水素(H)、CH
3、CH
2、塩素(Cl)、炭素(C)、窒素(N)、リン(P)、及び硫黄(S)のうちの少なくとも1つ又は2つ以上の元素がドープされていてもよい。このように、酸化シリコン膜14に他の元素がドープされることで、酸化シリコン膜14の弾性定数の温度係数を大きくできるため、酸化シリコン膜14の厚さを薄くでき、その結果、共振特性の向上が図れる。
【0038】
なお、実施例1では、下部電極18がRu膜である場合を例に示したが、その他の金属膜の場合でもよい。例えば、下部電極18は、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、又はイリジウム(Ir)等の単層膜又はこれらの積層膜の場合でもよい。また、下部電極18が酸化し易い金属である場合に、実施例1のように、酸化シリコン膜14と下部電極18との間に酸素を含まない絶縁膜16を設けることが好ましい。上述した金属のうち、酸化し易い金属として、Al、Cu、Ruが挙げられる。上部電極22も、Ru膜以外の金属膜の場合でも良く、例えば、Cr、Ru、Al、Ti、Cu、Mo、W、Ta、Pt、Rh、又はIr等の単層膜又はこれらの積層膜を用いてもよい。
【0039】
なお、実施例1では、酸化シリコン膜14と下部電極18との間の酸素を含まない絶縁膜16が、SiN膜の場合を例に示したがこれに限られない。例えば、AlN膜等の窒化系絶縁膜の場合でもよいし、下部電極18の酸化が起こらない程度の酸素、例えば不純物としての酸素、を含んでいる場合でもよい。
【0040】
図4(a)及び
図4(b)は、実施例1の変形例1及び実施例1の変形例2に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図4(a)のように、実施例1の変形例1の圧電薄膜共振器110は、酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われていない側面に絶縁膜32が設けられている。絶縁膜32は、例えば圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている。絶縁膜32は、酸化シリコン膜14とは異なる材料からなり、例えば窒化シリコン(SiN)膜からなる。その他の構成は、実施例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0041】
実施例1の変形例1の圧電薄膜共振器110では、圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面に絶縁膜32が設けられている。これにより、酸化シリコン膜14が水分を吸収することをより抑制することができ、特性の劣化をより抑制することができる。
【0042】
絶縁膜32は、圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている場合が好ましいが、圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面の少なくとも一部に設けられることで、酸化シリコン膜14の水分の吸収を抑制する効果は得られる。また、絶縁膜32は、SiN膜以外の絶縁膜を用いてもよく、酸化シリコン膜14よりも耐湿性に優れた膜を用いることが好ましい。また、絶縁膜32の材料に、酸素を含まない絶縁膜16と同じ材料を選択することで、酸素を含まない絶縁膜16と絶縁膜32とを同時に形成することが可能となる。
【0043】
図4(b)のように、実施例1の変形例2の圧電薄膜共振器120は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。酸素を含まない絶縁膜16は、例えば圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている。その他の構成は、実施例1の変形例1の
図4(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0044】
実施例1の変形例2の圧電薄膜共振器120では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられている。これにより、例えば高温信頼性試験において、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できるため、特性の劣化を抑制できる。
【0045】
酸素を含まない絶縁膜16は、圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている場合が好ましいが、圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面の少なくとも一部に設けられることで、圧電膜20の酸化を抑制する効果は得られる。
【実施例2】
【0046】
実施例1は、付加膜が金属膜である場合の例であったが、実施例2では、絶縁膜である場合の例について説明する。
図5(a)及び
図5(b)は、実施例2及び実施例2の変形例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
【0047】
図5(a)のように、実施例2の圧電薄膜共振器130は、酸化シリコン膜14下に設けられている付加膜12aは、酸化シリコン膜14とは異なる材料からなる絶縁膜であり、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。その他の構成は、実施例1の変形例1の
図4(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0048】
実施例2の圧電薄膜共振器130のように、酸化シリコン膜14下に設けられる付加膜12aは、Cr膜等の金属膜である場合に限らず、SiN膜等の絶縁膜である場合でもよい。この場合でも、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制でき、特性の劣化を抑制できる。
【0049】
また、絶縁膜からなる付加膜12aは、実施例1のような金属膜からなる付加膜12に比べて、優れた耐湿性を得ることができる。このため、実施例2は、実施例1に比べて、付加膜の厚さが同じ場合における酸化シリコン膜14の水分吸収をより抑制できる。言い換えると、酸化シリコン膜14の水分吸収を抑制するための付加膜の厚さを薄くすることができる。
【0050】
また、実施例2の圧電薄膜共振器130では、圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面に絶縁膜32が設けられているので、酸化シリコン膜14が水分を吸収することをより抑制でき、特性の劣化をより抑制できる。
【0051】
なお、実施例2の圧電薄膜共振器130では、付加膜12aがSiN膜である場合を例に示したが、その他の絶縁膜の場合でもよく、酸化シリコン膜14よりも耐湿性に優れた絶縁膜である場合が好ましい。また、付加膜12aは、酸化シリコン膜14よりも音響インピーダンスの高い絶縁膜である場合が好ましい。例えば酸化シリコン膜14がSiOF膜からなる場合、SiOF膜よりも音響インピーダンスが高い絶縁膜として、窒化アルミニウム(AlN)膜及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)膜等が挙げられる。
【0052】
図5(b)のように、実施例2の変形例1の圧電薄膜共振器140は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。その他の構成は、実施例2の
図5(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0053】
実施例2の変形例1の圧電薄膜共振器140では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられているので、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できる。
【実施例3】
【0054】
実施例3では、付加膜が金属膜と絶縁膜の積層膜である場合の例について説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、実施例3及び実施例3の変形例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
【0055】
図6(a)のように、実施例3の圧電薄膜共振器150では、酸化シリコン膜14下に設けられている付加膜12bは、金属膜からなる第1膜13aと、酸素を含まない絶縁膜からなる第2膜13bと、が積層された積層膜である。第1膜13aは、例えばRu膜であり、第2膜13bは、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。その他の構成は、実施例1の変形例1の
図4(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
実施例3の圧電薄膜共振器150のように、付加膜12bが、酸化シリコン膜14側から酸素を含まない絶縁膜の第2膜13bと金属膜の第1膜13aとが順に積層された積層膜である場合でもよい。この場合でも、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制でき、特性の劣化を抑制できる。
【0057】
また、実施例1では、金属膜からなる付加膜12が酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって酸化されて、特性の劣化が生じる恐れがある。例えば、付加膜12にRu膜のような酸化され易い金属膜を用いる場合に、酸化による特性の劣化が起こり易い。一方、実施例3では、付加膜12bは、酸化シリコン膜14側から酸素を含まない絶縁膜である第2膜13bと金属膜である第1膜13aとが積層された積層膜となっている。酸化シリコン膜14と金属膜である第1膜13aとの間に、酸素を含まない絶縁膜である第2膜13bが介在しているため、第1膜13aの酸化が抑制でき、特性の劣化を抑制することができる。
【0058】
また、実施例3の圧電薄膜共振器150では、圧電膜20で覆われていない酸化シリコン膜14の側面に絶縁膜32が設けられているので、酸化シリコン膜14が水分を吸収することをより抑制でき、特性の劣化をより抑制できる。
【0059】
なお、実施例3の圧電薄膜共振器150では、付加膜12bの第1膜13aがRu膜である場合を例に示したが、Cr膜等のその他の金属膜の場合でもよい。付加膜12bの第2膜13bがSiN膜である場合を例に示したが、窒化アルミニウム(AlN)膜等の窒化系絶縁膜等、酸素を含まない絶縁膜であればその他の絶縁膜の場合でもよい。
【0060】
図6(b)のように、実施例3の変形例1の圧電薄膜共振器160は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。その他の構成は、実施例3の
図6(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
実施例3の変形例1の圧電薄膜共振器160では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられているので、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できる。
【実施例4】
【0062】
図7は、実施例4に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図7のように、実施例4の圧電薄膜共振器170は、下部電極18の上面に接して設けられた第1電極パッド26下における酸化シリコン膜14が除去されていて、第1電極パッド26下には酸化シリコン膜14が設けられていない。酸化シリコン膜14と下部電極18との間に設けられた酸素を含まない絶縁膜16は、酸化シリコン膜14の側面を覆って第1電極パッド26下にまで延在している。このため、下部電極18と付加膜12とは接してなく、短絡していない。その他の構成は、実施例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0063】
実施例4の圧電薄膜共振器では、第1電極パッド26下に、酸化シリコン膜14が設けられていない。これにより、電気的容量を増加させる絶縁膜を除去できるため、直列成分の不要な容量を低減することができ、その結果、特性の劣化を抑制することができる。
【0064】
図8(a)から
図9(b)は、実施例4の変形例1から実施例4の変形例5に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図8(a)のように、実施例4の変形例1に係る圧電薄膜共振器180は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。その他の構成は、実施例4の
図7と同じであるため、説明を省略する。
【0065】
実施例4の変形例1の圧電薄膜共振器180では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられているので、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できる。
【0066】
図8(b)のように、実施例4の変形例2に係る圧電薄膜共振器190では、酸化シリコン膜14下に、金属膜からなる付加膜12に代わって、酸化シリコン膜14とは異なる材料の絶縁膜からなる付加膜12aが設けられている。その他の構成は、実施例4の
図7と同じであるため、説明を省略する。
【0067】
実施例4の変形例2の圧電薄膜共振器190のように、付加膜12aは、窒化シリコン膜等の酸化シリコン膜14とは異なる材料の絶縁膜である場合でもよい。この場合でも、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制でき、特性の劣化を抑制できる。
【0068】
図8(c)のように、実施例4の変形例3に係る圧電薄膜共振器200は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。その他の構成は、実施例4の変形例2の
図8(b)と同じであるため、説明を省略する。
【0069】
実施例4の変形例3の圧電薄膜共振器200では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられているので、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できる。
【0070】
図9(a)のように、実施例4の変形例4に係る圧電薄膜共振器210では、酸化シリコン膜14下に、金属膜からなる付加膜12に代わって、金属膜からなる第1膜13aと酸素を含まない絶縁膜からなる第2膜13bとが積層された積層膜からなる付加膜12bが設けられている。その他の構成は、実施例4の
図7と同じであるため、説明を省略する。
【0071】
実施例4の変形例4の圧電薄膜共振器210のように、付加膜12bが、酸化シリコン膜14側から酸素を含まない絶縁膜の第2膜13bと金属膜の第1膜13aとが順に積層された積層膜である場合でもよい。この場合でも、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制でき、特性の劣化を抑制できる。また、酸化シリコン膜14と第1膜13aとの間に酸素を含まない絶縁膜の第2膜13bが設けられていることで、第1膜13aが酸化することを抑制できる。
【0072】
図9(b)のように、実施例4の変形例5に係る圧電薄膜共振器220は、酸素を含まない絶縁膜16が酸化シリコン膜14の側面のうちの圧電膜20で覆われた側面に延在して設けられている。その他の構成は、実施例4の変形例4の
図9(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0073】
実施例4の変形例5の圧電薄膜共振器220では、酸素を含まない絶縁膜16が圧電膜20で覆われた酸化シリコン膜14の側面に延在して設けられているので、酸化シリコン膜14の膜中の酸素によって圧電膜20が酸化されることを抑制できる。
【実施例5】
【0074】
実施例1から実施例4では、付加膜及び酸化シリコン膜が下部電極の圧電膜に対して反対側に設けられていたが、実施例5は、付加膜及び酸化シリコン膜が上部電極の圧電膜に対して反対側に設けられた場合の例である。
図10(a)及び
図10(b)は、実施例5及び実施例5の変形例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
【0075】
図10(a)のように、実施例5の圧電薄膜共振器230は、例えばSi基板からなる基板10上に、例えばRu膜からなる下部電極18が設けられている。下部電極18及び基板10上に、例えばAlN膜からなる圧電膜20が設けられている。下部電極18と対向する共振領域30を有するように、圧電膜20上に、例えばRu膜からなる上部電極22が設けられている。共振領域30を含むように、基板10を貫通する空隙24が設けられている。
【0076】
上部電極22上に、例えば窒化シリコン(SiN)膜からなる酸素を含まない絶縁膜16が設けられている。酸素を含まない絶縁膜16上に、温度補償膜として機能する酸化シリコン膜14が設けられている。酸化シリコン膜14は、例えばSiOF膜である。酸化シリコン膜14上に、例えばCr膜からなる付加膜12が設けられている。
【0077】
下部電極18の上面に接して第1電極パッド26が設けられ、上部電極22の上面に接して第2電極パッド28が設けられている。第1電極パッド26と第2電極パッド28とは、例えば金(Au)パッドである。
【0078】
実施例5の圧電薄膜共振器230では、上部電極22の圧電膜20とは反対側に設けられた酸化シリコン膜14と上部電極22との間に酸素を含まない絶縁膜16が設けられている。これにより、酸化シリコン膜14の膜中の酸素による上部電極22の酸化を抑制することができる。また、酸化シリコン膜14上(即ち、酸素を含まない絶縁膜16とは反対側)に、付加膜12が設けられている。このため、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制できる。これらのことから、実施例5の圧電薄膜共振器230によれば、特性の劣化を抑制できる。
【0079】
酸化シリコン膜14の水分の吸収を抑制する点から、付加膜12は、酸化シリコン膜14の上面全面に設けられている場合が好ましく、酸化シリコン膜14の側面にも設けられている場合が好ましい。
【0080】
実施例1及び実施例5のように、酸化シリコン膜14は、下部電極18及び上部電極22の少なくとも一方の圧電膜20に対して反対側に設けられていればよく、下部電極18及び上部電極22の両方の圧電膜20に対して反対側に設けられていてもよい。
【0081】
図10(b)のように、実施例5の変形例1の圧電薄膜共振器240は、酸化シリコン膜14の側面のうちの付加膜12で覆われていない側面に絶縁膜34が設けられている。絶縁膜34は、例えば付加膜12で覆われていない酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている。絶縁膜34は、酸化シリコン膜14とは異なる材料からなり、例えば窒化シリコン(SiN)膜からなる。その他の構成は、実施例5の
図10(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0082】
実施例5の変形例1の圧電薄膜共振器240では、付加膜12で覆われていない酸化シリコン膜14の側面に絶縁膜34が設けられている。これにより、酸化シリコン膜14の水分の吸収をより抑制することができ、特性の劣化をより抑制することができる。
【0083】
絶縁膜34は、付加膜12で覆われていない酸化シリコン膜14の側面全面に設けられている場合が好ましいが、付加膜12で覆われていない酸化シリコン膜14の側面の少なくとも一部に設けられることで、酸化シリコン膜14の水分の吸収を抑制する効果は得られる。また、絶縁膜34は、SiN膜以外の絶縁膜を用いてもよく、酸化シリコン膜14よりも耐湿性に優れた膜を用いることが好ましい。
【実施例6】
【0084】
図11(a)及び
図11(b)は、実施例6及び実施例6の変形例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図11(a)のように、実施例6の圧電薄膜共振器250は、酸化シリコン膜14上に設けられている付加膜12aが、酸化シリコン膜14とは異なる材料からなる絶縁膜であり、例えば窒化シリコン(SiN)膜である。その他の構成は、実施例5の
図10(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0085】
実施例6の圧電薄膜共振器250のように、酸化シリコン膜14の酸素を含まない絶縁膜16に対して反対側に設けられる付加膜12aは、SiN膜等の絶縁膜である場合でもよい。この場合でも、酸化シリコン膜14が水分を吸収することを抑制でき、特性の劣化を抑制できる。
【0086】
図11(b)のように、実施例6の変形例1の圧電薄膜共振器260は、酸化シリコン膜14の側面のうちの付加膜12aで覆われていない側面に絶縁膜34が設けられている。その他の構成は、実施例6の
図11(a)と同じであるため、説明を省略する。
【0087】
実施例6の変形例1の圧電薄膜共振器260では、付加膜12aで覆われていない酸化シリコン膜14の側面に絶縁膜34が設けられているので、酸化シリコン膜14が水分を吸収することをより抑制でき、特性の劣化をより抑制できる。
【0088】
なお、実施例5及び実施例6のように、酸化シリコン膜が上部電極の圧電膜に対して反対側に設けられている場合でも、実施例3の
図6(a)のように、酸化シリコン膜側から絶縁膜からなる第2膜13bと金属膜からなる第1膜13aとが積層された付加膜12bを用いてもよい。
【実施例7】
【0089】
実施例7及び実施例7の変形例1は、空隙の構成を変えた例である。
図12(a)及び
図12(b)は、実施例7及び実施例7の変形例1に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図12(a)のように、実施例7の圧電薄膜共振器270では、共振領域30における基板10に形成された空隙24aが、基板10を貫通してなく、基板10の上面に窪みの形状として形成されている。その他の構成は、実施例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0090】
図12(b)のように、実施例7の変形例1の圧電薄膜共振器280では、基板10に空隙は形成されてなく、付加膜12が、基板10の上面との間にドーム形状の膨らみを有する空隙24bが形成されるように、基板10上に設けられている。ドーム状の膨らみとは、例えば空隙24bの周辺では空隙24bの高さが低く、空隙24bの中央ほど空隙24bの高さが高くなるような形状の膨らみである。その他の構成は、実施例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0091】
なお、実施例7及び実施例7の変形例1の圧電薄膜共振器では、実施例1の圧電薄膜共振器の空隙24の形状を、空隙24a、24bの形状に変えた場合を例に示したが、実施例1の変形例1から実施例6の変形例1の圧電薄膜共振器の空隙24を、実施例7及び実施例7の変形例1の空隙24a、24bに変えてもよい。
【実施例8】
【0092】
実施例8は、空隙の代わりに音響反射膜を設けた例である。
図13は、実施例8に係る圧電薄膜共振器を示す断面図である。
図13のように、実施例8の圧電薄膜共振器290では、共振領域30の付加膜12の下面に音響反射膜40が設けられている。音響反射膜40は、圧電膜20を伝搬する弾性波を反射する膜であり、音響インピーダンスの低い膜42と音響インピーダンスの高い膜44とが交互に設けられている。音響インピーダンスの低い膜42と高い膜44の膜厚は、λ/4(λは弾性波の波長)程度である。音響インピーダンスの低い膜42と高い膜44の積層数は任意に設定できる。なお、付加膜12と酸化シリコン膜14との膜厚は、λ/4よりも十分薄いため、音響反射膜としては機能してない。その他の構成は、実施例1の
図1と同じであるため、説明を省略する。
【0093】
なお、実施例8の圧電薄膜共振器では、実施例1の圧電薄膜共振器の空隙24の代わりに音響反射膜40を設けた場合を例に示したが、実施例1の変形例1から実施例6の変形例1の圧電薄膜共振器の空隙24の代わりに音響反射膜40を設けてもよい。
【0094】
このように、圧電薄膜共振器は、実施例1から実施例7の変形例1のように、共振領域30における下部電極18下に空隙24〜24bが設けられたFBAR構造の場合でもよい。実施例8のように、共振領域30における下部電極18下に音響反射膜40が設けられたSMR(Solidly Mounted Resonator)構造の場合でもよい。
【実施例9】
【0095】
実施例9は、実施例1から実施例8の圧電薄膜共振器をフィルタに用いた例である。
図14は、実施例9に係るラダー型フィルタを示す回路図である。
図14のように、ラダー型フィルタは、1又は複数の直列共振器S1〜S3、及び、1又は複数の並列共振器P1〜P2を備えている。直列共振器S1〜S3は、入出力端子T1とT2との間に直列に接続されている。並列共振器P1〜P2は、入出力端子T1とT2との間に並列に接続されている。直列共振器S1〜S3及び並列共振器P1〜P2の少なくとも1つを、実施例1から実施例8に例示した圧電薄膜共振器とすることができる。
【0096】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。