(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368220
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】高所作業装置における伸縮脚装置
(51)【国際特許分類】
E06C 1/22 20060101AFI20180723BHJP
E04G 1/30 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
E06C1/22
E04G1/30 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-215844(P2014-215844)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-84573(P2016-84573A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】江口 学
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−331558(JP,A)
【文献】
特開2006−037486(JP,A)
【文献】
特開平08−248943(JP,A)
【文献】
特開2009−121130(JP,A)
【文献】
特開2003−193780(JP,A)
【文献】
特開2012−193561(JP,A)
【文献】
実開昭61−188096(JP,U)
【文献】
実開昭54−032132(JP,U)
【文献】
米国特許第05464071(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/22
E04G 1/30
E06C 7/42
E06C 7/44
F16B 7/10−7/16
F16M 11/24−11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主脚(3)と、該主脚に摺動自在に嵌合された伸縮脚(6)とから成り、前記主脚と伸縮脚の一方に前記摺動方向に列設された多数の歯(7)を有するラック(8)を設けると共に、他方に固定された固定部から前記ラックの歯に係脱自在に係止するロック機構(10)を設け、前記ラックの歯を外部から視認可能に配置して成る高所作業装置の伸縮脚装置において、
前記ラック(8)は、隣り合う歯(7)(7)の間に形成された溝部(18)と、該溝部を介して列設された歯のうち、複数の歯(7)を含む所定間隔(L)をあけて配置された特定の溝部(18a)に標識手段(19)を設け、
前記標識手段(19)は、前記特定の溝部(18a)以外の溝部(18)及び歯(7)から視覚により識別される識別表示を備えて成ることを特徴とする高所作業装置における伸縮脚装置。
【請求項2】
前記ラック(8)は、両端に歯(7a,7a)を配置すると共に、両端の歯の間で溝部(18)を介して複数の歯(7)を列設した帯状の単位ラック部材(8U)と、帯長手方向に配置される複数の単位ラック部材(8U)(8U)の間に介装されるスペーサ部材(27)を備えており、
前記スペーサ部材(27)により、複数の単位ラック部材(8U)(8U)の相互に対向する歯(7a)(7a)の間に位置して前記特定の溝部(18a)を構成する凹部(30)を形成し、
前記スペーサ部材(27)に識別表示を設けることにより前記標識手段(19)を構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の高所作業装置における伸縮脚装置。
【請求項3】
前記伸縮脚(6)の長手方向に収容溝(16)を形成し、該収容溝に前記ラック(8)を嵌入した状態で伸縮脚に固定する構成において、
前記収容溝(16)は、溝開口の両側縁から内向きのフランジ(31)を延設しており、
前記帯状の単位ラック(8U)は、前記収容溝に嵌入された状態で、帯幅方向に関する歯(7)の両端部を前記フランジ(31)の内側に嵌合し、
前記スペーサ部材(27)は、前記凹部(30)の底部を構成する底板部(28)の両端に隆起部(29)を形成し、該隆起部(29)を前記フランジ(31)の内側に嵌合して成ることを特徴とする請求項2に記載の高所作業装置における伸縮脚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚立や、作業台や、梯子等の高所作業装置における伸縮脚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚立等の高所作業装置の脚体は、主脚と、該主脚に摺動自在に嵌合された伸縮脚とから成り、前記伸縮脚に前記摺動方向に列設された多数の歯を有するラックを設けると共に、前記主脚の固定部に前記ラックの歯に係脱自在に係止するロック機構を設けている。
【0003】
そこで、ロック機構の係止を解除し、伸縮脚を摺動することにより、脚体を所定の長さとした状態で、ロック機構を係止すれば、作業者の搭乗位置を所望の高さとした状態で高所作業装置を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−121130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、特許文献1のように4本の脚柱に伸縮脚装置を設けた脚立の場合、各脚柱を所望の長さとするように伸縮脚を伸縮させることができるので、高低差のある不整地面に対して安定設置することができるという利点がある。
【0006】
しかしながら、複数本の脚柱を所望の長さとするように、それぞれの伸縮脚を伸縮させる際、伸縮長さを簡単に確認するための手段が設けられていないため、試行錯誤を繰り返しながら伸縮長さを設定しなければならないという不便がある。
【0007】
更に、例えば、前記脚立を高低差のない整地面に設置する場合においても、4本の脚柱が同一長さとなるように伸縮脚が伸縮させられていないと、設置状態で脚立が傾く等、不安定になる問題がある。従って、この場合も、試行錯誤を繰り返しながら伸縮長さを設定しなければならないという不便がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決し、作業者が伸縮脚を伸縮させることにより脚柱を所定の長さに設定する際、目視により簡単に伸縮長さを確認することができるようにした装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明が手段として構成したところは、主脚と、該主脚に摺動自在に嵌合された伸縮脚とから成り、前記主脚と伸縮脚の一方に前記摺動方向に列設された多数の歯を有するラックを設けると共に、他方に固定された固定部から前記ラックの歯に係脱自在に係止するロック機構を設け、前記ラックの歯を外部から視認可能に配置して成る高所作業装置の伸縮脚装置において、前記ラックは、隣り合う歯の間に形成された溝部と、該溝部を介して列設された歯のうち、複数の歯を含む所定間隔をあけて配置された特定の溝部に標識手段を設け、前記標識手段は、前記特定の溝部以外の溝部及び歯から視覚により識別される識別表示を備えて成る点にある。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、前記ラックは、両端に歯を配置すると共に、両端の歯の間で溝部を介して複数の歯を列設した帯状の単位ラック部材と、帯長手方向に配置される複数の単位ラック部材の間に介装されるスペーサ部材を備えており、前記スペーサ部材により、複数の単位ラック部材の相互に対向する歯の間に位置して前記特定の溝部を構成する凹部を形成し、前記スペーサ部材に識別表示を設けることにより前記標識手段を構成している。
【0011】
更に、本発明の好ましい実施形態は、前記伸縮脚の長手方向に収容溝を形成し、該収容溝に前記ラックを嵌入した状態で伸縮脚に固定する構成において、前記収容溝は、溝開口の両側縁から内向きのフランジを延設しており、前記帯状の単位ラックは、前記収容溝に嵌入された状態で、帯幅方向に関する歯の両端部を前記フランジの内側に嵌合し、前記スペーサ部材は、前記凹部の底部を構成する底板部の両端に隆起部を形成し、該隆起部を前記フランジの内側に嵌合している。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、ラック8とロック機構10を設けた伸縮脚装置において、ラック8の歯7を外部から視認可能に配置し、ラック8の複数の歯7を含む所定間隔Lをあけて配置された特定の溝部18aに標識手段19を設け、特定の溝部18a以外の溝部18及び歯7から視覚により識別される識別手段を構成しているので、作業者が伸縮脚6を伸縮させることにより脚柱1cを所定の長さに設定する際、前記標識手段19を目視することにより簡単に伸縮長さを確認することができるという効果がある。
【0013】
そして、ロック機構10は、ラック8の歯7に係止する構成とされており、溝部18には係止しないので、特定の溝部18aに標識手段19を設けることにより、該標識手段19がロック機構10の係脱により損傷されて視認し難くなるようなこともない。
【0014】
請求項2に記載の本発明によれば、ラック8は、所定歯数の歯7を備えた帯状の単位ラック部材8Uと、帯長手方向に配置される複数の単位ラック部材8U、8Uの間に介装されるスペーサ部材27により形成され、スペーサ部材27により標識手段19を構成している。従って、ラック8は、単位ラック部材8Uとスペーサ部材27を交互に配置することにより延設させれば、複数の標識手段19が所定の等間隔で配置されるので、伸縮脚6の伸縮長さを等間隔で確認できる目盛としての機能を具備することができる。
【0015】
しかも、単位ラック部材8Uの両端に歯7aを設けることにより、ロック機構10に係止されるラック8の歯7は、全て単位ラック部材8Uにより形成されている。従って、例えば、小片により形成されるスペーサ部材27に歯7を設ける場合は、ロック機構10に係止した状態で負荷が作用したとき、容易に破損して収容溝16から脱落するおそれがあるのに対して、スペーサ部材27は、歯を設けておらず、特定の溝部18aだけを構成するものであるから、上記のような破損のおそれはなく、ラック8の耐用性を満足する。
【0016】
請求項3に記載の本発明によれば、フランジ31を備えた収容溝16の内部において、単位ラック部材8Uは、歯7の両端部を前記フランジ31の内側に嵌合させられ、スペーサ部材27は、隆起部29を前記フランジ31の内側に嵌合させられる。従って、単位ラック部材8U及びスペーサ部材27は、それ自体が伸縮脚6に固着具等で固着されていなくても、収容溝16の内部で縦横に移動しないように固定され、全体がラック8として好適に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の伸縮脚装置を備えた高所作業装置の1例としての脚立を示す斜視図である。
【
図2】(A)は
図1に示す脚立の脚柱を示す断面図、(B)はA−A線断面拡大図である。
【
図3】伸縮脚装置におけるラックとロック機構の作用を示しており、ロック機構をラックに係止した状態を示す断面図である。
【
図4】伸縮脚装置におけるラックとロック機構の作用を示しており、ロック機構の係止を解除した状態を示す断面図である。
【
図5】伸縮脚とラックの分解状態を示す斜視図である。
【
図6】ラックの1実施形態に関して、(A)は単位ラック部材とスペーサ部材を分離した状態で示す斜視図、(B)は拡大図である。
【
図7】単位ラック及びスペーサ部材と伸縮脚を示しており、(A)は単位ラック及びスペーサ部材を嵌入した状態の伸縮脚を一部破断状態で示す斜視図、(B)は伸縮脚の収容溝を示す断面図、(C)は収容溝に単位ラックを嵌入した部分の断面図、(D)は収容溝にスペーサ部材を嵌入した部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
図面は、高所作業装置の1例として脚立を示している。しかしながら、本発明は、脚立に限らず、作業台や梯子等のように、作業者が高所で作業を行うための高所作業装置であれば良く、広範囲に実施可能であることを諒解されたい。
【0020】
図1に例示する脚立は、左右に配置される第1脚体1aと第2脚体1bを備えており、両脚体1a、1bの上端部を相互に枢結手段(図示省略)により枢結することにより、開閉可能に構成すると共に、開いた状態で連結する係脱自在な開き止め装置2を設けている。
【0021】
第1脚体1a及び第2脚体1bは、それぞれ一対の脚柱1c、1cの間に天板4と複数の踏桟5a、5bを架設した梯子状に形成され、各脚柱1は、主脚3と、該主脚3に摺動自在に嵌挿された伸縮脚6により、伸縮脚装置を構成している。
【0022】
図2に示すように、伸縮脚6には、前記摺動方向に列設された多数の歯7を有する帯状のラック8が設けられており、主脚3には、該主脚3に固定された固定部9から前記ラック8の歯7に係脱自在に係止するロック機構10が設けられている。図例の場合、下側の踏桟5aを固定部9としてロック機構10を設けている。
【0023】
前記主脚3は、アルミニウムの押出材から成り、脚柱1cの内側に向けて開口する断面溝形部材により形成され、該主脚3の下端部にガイド筒体11を固着しており、該ガイド筒体11から主脚3の内部に沿って摺動路12を形成している。この際、前記踏桟5a、5bは、主脚3の溝開口に進入して摺動路12に干渉することがないように、該主脚3の外側面にブラケット11a、11bを介して固着されている。
【0024】
前記伸縮脚6は、アルミニウムの押出材から成り、中空筒状の部材により形成され、下端部に接地座14を固着しており、前記ガイド筒体11を挿通することにより前記摺動路12に摺動自在に嵌挿されている。
【0025】
前記伸縮脚6は、前記主脚3の溝開口から露出する内側壁15を備えており、該内側壁15の全長にわたり凹設された収容溝16に前記ラック8を嵌入し固着すると共に、該伸縮脚6の上端部にエンドキャップ17を固着している。従って、ラック8は、
図1に示すように、外部から歯7を視認できるように配置されている。
【0026】
尚、ラック8とロック機構10に関して、図示実施形態は、ラック8を伸縮脚6に設け、ロック機構10を主脚3の固定部9に設けた構成を示しているが、反対に、ラック8を主脚3に設け、ロック機構10を伸縮脚6の固定部に設けても良く、要するに、主脚3と伸縮脚6を相対的に伸縮方向に摺動自在に嵌合し、ラック8が外部から視認できるように配置されていれば良い。
【0027】
図3に示すように、前記ラック8は、隣り合う歯7、7の間に溝部18を形成し、該溝部18を介して歯7を所定ピッチ間隔で列設しており、複数の歯7を含む所定間隔Lをあけて配置された特定の溝部18aに標識手段19を設けている。
【0028】
前記標識手段19は、ラック8の表面のうち、該標識手段19以外の部分、即ち、他の溝部18及び歯7から、視覚により容易に識別自在な識別表示を備えている。このような識別表示は、例えば、ラック8がアルミニウム製の場合、前記特定の溝部18aをアルミニウムの金属色から容易に識別できる着色により構成することができる。この際、色彩による識別表示は、色の明度や色相等から選択し、特定の溝部18aだけをそれ以外の部分と相違させることにより、容易に実施可能である。その他、着色に限らず、図形、文字、数字等を表示することにより識別表示を形成しても良く、識別のための手段が限定されるものではない。
【0029】
図示実施形態の場合、前記ロック機構10は、前記固定部9に固着されたハウジング20に係止部材21を回動自在に軸支し、該係止部材21を正転方向(図示の時計針方向)に回動することによりラック8の歯7に係止し、該係止部材21を逆転方向(反時計針方向)に回動することによりラック8の歯7から離反して係止を解除するように構成しており、該係止部材21を回動させるアクチュエータ22を設けている。
【0030】
図3に示すように、前記アクチュエータ22は、前記係止部材21に向けて進退移動自在となるようにハウジング20に設けられ、常時はスプリング23により前進方向Fに向けて付勢されている。従って、この状態で、前記アクチュエータ22は、係止部材21を正転方向に回動させることにより、該係止部材21の爪21aをラック8の歯7に係止させている。尚、係止部材21は、爪21aをラック8の歯7に係止するが、溝部18に当接するまで回動しないように構成されており、このため、回動を停止するストッパ24が設けられている。図例の場合、ストッパ24は、係止部材21の外周縁の一部に形成され、ハウジング20に当接することにより、該係止部材21を停止させる。これにより、特定の溝部18aに向けて係止部材21の爪21aが進入する場合でも、爪21aが該溝部18aの標識手段19に当接することにより損傷するおそれはない。
【0031】
図4に示すように、指掛け部25に指をかけて前記アクチュエータ22をスプリング23に抗して後退方向Rに向けて移動すると、連動連結部26を介して係止部材21が逆転され、爪21aをラック8の歯7から離反し、係止を解除する。従って、この状態で伸縮脚6を摺動させることができる。尚、主脚3に対して伸縮脚6を所望の位置まで摺動させた後、前記指掛け部25を解放すると、前記アクチュエータ22がスプリング23により前進させられ、係止部材21とラック8の係止が自動的に行われる。
【0032】
図3及び
図4に示す実施形態の場合、主脚3の下端部に固着されたガイド筒体11から下方に向けて伸縮脚6が伸長され、該伸縮脚6と共にラック8の標識手段19が露呈されるので、作業者は、ガイド筒体11を基準位置として、該ガイド筒体の直下に現われる標識手段19の位置を視認することにより、どの程度まで伸縮脚6が伸長され又は収縮されたかを容易に認識することができる。標識手段19の位置と相対的に比較される基準位置は、ガイド筒体11に限らず、例えば、踏桟5aの上面でも良く、別の部材を利用することが可能であり、更に、主脚3の見やすい位置に図形等を施すことにより基準位置を示す指標を設けても良い。
【0033】
図5ないし
図7は、伸縮脚6と、標識手段19を備えたラック8に関する好ましい実施形態を示している。
【0034】
ラック8は、複数の帯状の単位ラック部材8Uと、帯長手方向に配置される複数の単位ラック部材8U、8Uの間に介装されるスペーサ部材27により構成されている。前記単位ラック部材8Uは、両端に歯7a、7aを配置すると共に、両端の歯7a、7aの間で溝部18を介して複数の歯7を列設した帯板状の部材により形成されている。尚、図示実施形態の場合、
図5に示すように、帯長手方向に配置される単位ラック部材8Uから両端方向に延長して配置される端部板28、29を設けている。端部板28、29は、スペーサ部材27を介して単位ラック部材8Uに連設される歯7と溝部18を備えたラック部分8aを設けている。そこで、端部板28、29の間にスペーサ部材27と単位ラック部材8Uを交互に配置することにより、幅Wとされたラック8が構成され、該ラック8を伸縮脚6の収容溝16に挿入し、端部板28、29が該収容溝16の内部で伸縮脚6に対してリベット等の固着具30により固着される。従って、単位ラック部材8U及びスペーサ部材27は、専用の固着具により固着されておらず、固着された両端部板28、29の間に位置して収容溝16の内部に固定されるように構成している。
【0035】
図6に示すように、単位ラック部材8Uは、前記幅Wとされた厚さt1の板状部の上に、高さh1の歯7を幅Wにわたり突設しており、隣り合う歯7、7の間に溝幅s1とされた溝部18を形成している。これに対して、スペーサ部材27は、前記幅Wに等しい長さと前記溝幅s1に等しい板幅s2と前記厚さt1に等しい厚さt2を有する底板部28の両端部の上に、前記高さh1に等しい高さh2の隆起部29、29を形成しており、前記隆起部29、29の間に位置して前記底板部28の上面を底部とする凹部30を形成している。尚、本明細書において「等しい」の語句は、厳格な意味ではなく、単位ラック部材8Uとスペーサ部材27の組み合わせにより構成されるラック8がロック機構10との関係において通常のラックと同様の機能と作用を具備すれば良く、従って、機能的な意味であることを諒解されたい。
【0036】
前記単位ラック部材8Uは、例えば、アルミニウムの押出しにより成形された押出材を前記幅Wとなるように切断することにより形成することができる。前記スペーサ部材27は、例えば、合成樹脂により成形し、樹脂素材を顔料で鮮明な色彩に着色することにより、前記標識手段19を構成することができる。勿論、スペーサ部材27をその他の素材により形成し、表面に着色等を施すことにより標識手段19を構成しても良い。
【0037】
図7(B)に示すように、前記伸縮脚6の収容溝16は、前記幅Wに等しい溝幅Wxと、前記厚さt1と高さh1の合計に等しい深さDを備えており、溝開口の両側縁から内向きにフランジ31、31を延設している。
【0038】
上述のように帯長手方向に向けて端部板28、29とその間に単位ラック部材8Uとスペーサ部材27を交互に配置すると共に、相互に当接状態とすることによりラック8が構成され、該ラック8は、収容溝16に挿入され固定される。
【0039】
この状態で、前記単位ラック部材8Uは、
図7(C)に示すように、歯7の両端部を前記フランジ31の内側に嵌合する。前記スペーサ部材27は、前記隆起部29を前記フランジ31の内側に嵌合する。従って、単位ラック部材8U及びスペーサ部材27は、それ自体が伸縮脚6に固着具等で固着されていなくても、収容溝16の内部で縦横に移動しないように固定され、全体がラック8として好適に機能する。
【0040】
ラック8は、所定の歯数とされた歯7を備えた帯状の単位ラック部材8Uと、帯長手方向に配置される複数の単位ラック部材8U、8Uの間に介装されるスペーサ部材27により形成され、スペーサ部材27により標識手段19を構成している。従って、ラック8は、単位ラック部材8Uとスペーサ部材27を交互に配置することにより延設させれば、複数の標識手段19が所定の等間隔で配置されるので、伸縮脚6の伸縮長さを等間隔で確認できる目盛としての機能を具備することができる。
【0041】
しかも、単位ラック部材8Uの両端に歯7aを設けることにより、ロック機構10に係止されるラック8の歯7は、全て単位ラック部材8Uにより形成されている。従って、例えば、小片により形成されるスペーサ部材27に歯7を設ける場合は、ロック機構10に係止した状態で負荷が作用したとき、容易に破損して収容溝16から脱落するおそれがあるのに対して、スペーサ部材27は、歯を設けておらず、特定の溝部18aだけを構成するものであるから、上記のような破損のおそれはなく、ラック8の耐用性を満足する。
【符号の説明】
【0042】
1a 第1主脚
1b 第2主脚
1c 脚柱
2 開き止め装置
3 主脚
4 天板
5a、5b 踏桟
6 伸縮脚
7 ラックの歯
7a 両端の歯
8 ラック
8U 単位ラック部材
9 固定部
10 ロック機構
11 ガイド筒体
12 摺動路
13a、13b ブラケット
14 接地座
15 伸縮脚の内側壁
16 収容溝
17 エンドキャップ
18 ラックの溝部
18a 特定の溝部
19 標識手段
20 ハウジング
21 係止部材
21a 爪
22 アクチュエータ
23 スプリング
24 ストッパ
25 指掛け部
26 連動連結部
27 スペーサ部材
28 底板部
29 隆起部
30 凹部
31 フランジ