特許第6368241号(P6368241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友電工ウインテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6368241-絶縁電線及びそれを用いた電機コイル 図000006
  • 特許6368241-絶縁電線及びそれを用いた電機コイル 図000007
  • 特許6368241-絶縁電線及びそれを用いた電機コイル 図000008
  • 特許6368241-絶縁電線及びそれを用いた電機コイル 図000009
  • 特許6368241-絶縁電線及びそれを用いた電機コイル 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368241
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】絶縁電線及びそれを用いた電機コイル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/02 20060101AFI20180723BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20180723BHJP
   H01F 5/06 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01B7/02 A
   H01B3/30 E
   H01F5/06 Q
   H01F5/06 T
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-529459(P2014-529459)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】JP2013070856
(87)【国際公開番号】WO2014024767
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年3月24日
【審判番号】不服2017-12366(P2017-12366/J1)
【審判請求日】2017年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-177616(P2012-177616)
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309019534
【氏名又は名称】住友電工ウインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】溝口 晃
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健吾
【合議体】
【審判長】 深沢 正志
【審判官】 小田 浩
【審判官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−95649(JP,A)
【文献】 特開2010−102890(JP,A)
【文献】 特開昭48−60282(JP,A)
【文献】 特開昭52−104779(JP,A)
【文献】 特開2002−194439(JP,A)
【文献】 特開2011−207688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を主成分とする導体と、この導体周面を直接被覆し、樹脂を主成分とする絶縁層とを備え、
前記絶縁層が、導体との密着性を向上させるために、導体の主成分と同一の金属又はその金属を含む化合物からなる無機粒子を含有し、
前記絶縁層における導体周面から厚み800nmの内側層での前記無機粒子の含有率が0.78面積%以上0.89面積%以下であり、
前記絶縁層における前記内側層が、ポリエステルイミド系樹脂、フェノキシ樹脂及びチオール系化合物を含む絶縁電線。
【請求項2】
前記内側層におけるポリエステルイミド系樹脂とフェノキシ樹脂との含有比率が75:25〜25:75である請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記無機粒子が導体由来物である請求項1又は請求項2に記載の絶縁電線。
【請求項4】
前記金属が銅である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項5】
前記金属を含む化合物が酸化物である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項6】
前記無機粒子の粒径が50nm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項7】
前記絶縁層が、2層以上の多層構造を有し、多層構造のうち外層での前記無機粒子の含有率が前記内側層での無機粒子の含有率よりも小さい請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項8】
前記絶縁層中における無機粒子の含有率が、外側ほど小さくなるよう傾斜している請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項9】
前記絶縁層における無機粒子の実質的な含有個所が、前記絶縁層における前記内側層である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の絶縁電線を捲線してなる電機コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電線及びそれを用いた電機コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭用電気機器、自動車等の構成要素、例えばモータ、オルタネータ、イグニッション等に、絶縁電線を巻回してなるコイルが用いられている。このようなコイルを形成する絶縁電線は、導電性を有する金属製の導体と、これを被覆する樹脂製の絶縁層とから構成されるものが一般的である。
【0003】
絶縁電線には、導体と絶縁層との間の密着性が要求される。この密着性が十分ではない場合、コイルを形成する際の捲線工程において絶縁層の剥がれ等の損傷が生じ、絶縁特性が低下する。特に、近年のコイルあたりの捲き線量の増大及び捲線条件の過酷化に伴い、より高い密着性が要求されている。
【0004】
密着性を高める手段としては、金属との密着性を高める成分を含む絶縁塗料を用いる方法や(特開平2−4880号公報参照)、特定の樹脂を用いたプライマー層を形成する方法(国際公開第2009/48102号参照)が提案されている。しかし、近年では金属と絶縁層との密着性がより高いものが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−4880号公報
【特許文献2】国際公開第2009/48102号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、導体と絶縁層との間の密着性が高く、優れた耐傷性を有する絶縁電線、及びこれを用いた電機コイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、金属を主成分とする導体と、この導体周面を直接被覆し、樹脂を主成分とする絶縁層とを備え、前記絶縁層が、導体の主成分と同一の金属又はその金属を含む化合物からなる無機粒子を含有し、前記絶縁層における導体周面から厚み800nmの内側層での前記無機粒子の含有率が0.005体積%以上1体積%以下である。
【0008】
当該絶縁電線によれば、絶縁層が導体の主成分と同一の金属又はその金属を含む化合物からなる無機粒子を含有しているため、この無機粒子が導体に対する絶縁層の密着性を高めている。特に、絶縁層における内側層(導体周面に接する厚み800nmの領域)での無機粒子の含有率を前記範囲に制御することで、高い密着性が発揮される。従って、当該絶縁電線は、この導体と絶縁層との優れた密着性に起因した優れた耐傷性を有する。
【0009】
前記無機粒子が導体由来物であることが好ましい。このように、導体に由来する無機粒子を絶縁層に存在させることで、より密着性を高めることができる。
【0010】
前記金属としては銅が好ましい。このように銅製の導体を用い、かつ絶縁層に銅又は銅を含む化合物からなる無機粒子を存在させることで、導体と絶縁層との間の密着性をさらに高めることができる。
【0011】
前記金属を含む化合物としては酸化物が好ましい。酸化物の粒子を用いることで、密着性をさらに高めることができる。
【0012】
前記無機粒子の粒径を50nm以下とすることが好ましい。前記範囲の粒径の無機粒子を存在させることで、密着性をさらに高めることができる。
【0013】
前記絶縁層中における無機粒子の含有率が、外側ほど小さくなるよう傾斜していることが好ましい。このように無機粒子の含有率を外側に向かって低下するように存在させることで、密着性を高めつつ、優れた絶縁性や加工適性等を発揮することができる。
【0014】
前記絶縁層における無機粒子の実質的な含有個所が、前記内側層であるとよい。このように絶縁層のうちの内側層に無機粒子を存在させることで、絶縁性等を維持しつつ、密着性を高めることができる。
【0015】
前記内側層が、ポリエステルイミド系樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも1種と、チオール系化合物を含むことが好ましい。内側層がこれらの樹脂等で形成されていることで、密着性がより高まり、さらに優れた耐傷性を発揮させることができる。
【0016】
前記内側層が、ポリエステルイミド系樹脂、フェノキシ樹脂及びチオール系化合物を含むことが好ましい。内側層がこれらの樹脂等で形成されていることで、密着性がより高まり、さらに優れた耐傷性を発揮させることができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該絶縁電線を捲線してなる電機コイルである。当該電機コイルは当該絶縁電線が用いられているため機械的強度等に優れる。
【0018】
ここで、無機粒子の「粒径」及び「含有率」とは、絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡により観察し、この際の一視野中の粒子数及びその占有面積率から算出される値を言い、具体的には実施例に記載の方法にて測定される値を言う。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の絶縁電線は、導体と絶縁層との間の密着性が高く、優れた耐傷性を有する。また、本発明の電機コイルは、製造時に絶縁層に傷がつきにくいため電気絶縁特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態にかかる絶縁電線の模式的断面図である。
図1B】本発明の一実施形態にかかる絶縁電線の模式的断面図の拡大図である。
図2】実施例11の絶縁電線における断面の絶縁層の内側層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図3】比較例5の絶縁電線における断面の絶縁層の内側層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4】比較例2の絶縁電線における断面の絶縁層の内側層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の絶縁電線及びこの製造方法の実施形態を詳説する。
【0022】
<絶縁電線>
図1Aの当該絶縁電線1は、線状の導体2と、この導体2の周面を直接被覆する絶縁層3とを備えている。
【0023】
導体2は金属を主成分とする。金属としては、特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム、又はアルミニウム合金が好ましく、銅がより好ましい。導体2にこれらの金属を用いることで、良好な加工性や導電性等を兼ね備えた絶縁電線1を得ることができる。
【0024】
なお、導体2は、主成分の金属以外に公知の添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
【0025】
導体2の断面形状は、特に限定されないが、円形、方形、矩形等の種々の形状を採用することができる。また、導体2の断面の大きさも、特に限定されないが、導体2の断面の直径(短辺幅)を0.2mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。
【0026】
導体2には、図1Bに示すように、通常、表面領域に酸化膜6が形成される。この酸化膜6は、導体2の主成分である金属の酸化物からなる。酸化膜6の平均厚みは、特に制限されないが、好ましくは1nm以上100nm以下である。
【0027】
絶縁層3は、導体2を被覆するように導体2の周面に積層される。絶縁層3は、導体2の主成分と同一の金属又はその金属を含む化合物からなる無機粒子5を含有する。この無機粒子5は、導体2に由来する粒子(導体由来物)であることが好ましい。この導体由来物としては、例えば、導体2の主成分である金属の一部又はこの金属がイオン化したものが、絶縁層3に拡散し、析出することで形成されるものや、酸化膜6が分離して形成されるものなどである。
【0028】
当該絶縁電線1によれば、絶縁層3が導体2の主成分である金属又はこの金属を含む化合物からなる無機粒子5を含有しているため、この無機粒子5が導体2に対する絶縁層3の密着性を高めている。従って、当該絶縁電線1は、この導体2と絶縁層3との優れた密着性に起因して、優れた耐傷性を有する。
【0029】
なお、このような無機粒子5を絶縁層3に存在させることで上記効果が生じる理由は定かではないが、この無機粒子5の存在により、(1)無機粒子5を形成する金属が絶縁層3の樹脂間を化学的に架橋し、樹脂の結合を強めること、(2)導体2と絶縁層3との境界領域において導電性、熱膨張係数、ヤング率等の物理的特性の不連続性が低下する結果、物理的強度が高まること、(3)この無機粒子5が析出により形成される場合、絶縁層3中の比較的低密度な領域で優先的に析出が進行し、その結果、絶縁層3における密度の均等化及び高密度化が進むこと、(4)特に導体2の表面近傍では無機粒子5が高密度に凝集し、その結果、導体2の表面の凹凸を大きくさせたことと同様のアンカー効果が生じていることなどが考えられる。
【0030】
無機粒子5を形成する金属の化合物としては、特に限定されないが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属間化合物等を挙げることができる。無機粒子5としては、導体2の主成分と同一の金属又はその金属の酸化物からなる析出物が好ましく、その金属の酸化物からなる析出物がさらに好ましい。特に、導体2の主成分が銅であり、無機粒子5が銅又は銅酸化物からなる析出物であることが好ましい。このようにすることで、導体2と絶縁層3との密着性をさらに高めることができる。
【0031】
無機粒子5の粒径の下限としては特に限定されないが、1nmが好ましく、5nmがより好ましい。一方、この粒径の上限としても特に限定されないが、50nmが好ましく、30nmがより好ましい。前記範囲の粒径の無機粒子5を存在させることで、密着性をさらに高めることができる。粒径が1nm以上であれば、無機粒子5を存在させる効果を十分に発揮させることができる。粒径が50nm以下であれば、粒径の大きい無機粒子5の存在による絶縁層3の密度の不均一化などが生じにくくなり、密着性の低下を抑制することができる。
【0032】
絶縁層3において、無機粒子5の含有率が外側ほど小さくなるよう傾斜していることが好ましい。このように無機粒子5の含有率を外側に向かって低下するように存在させることで、密着性を高めつつ、優れた絶縁性や加工適性を発揮することができる。
【0033】
絶縁層3における無機粒子5の実質的な含有個所は、導体2周面から厚み800nmの内側層4(導体2周面から厚み800nmの最内の領域)であるとよい。このように絶縁層3のうちの最内の内側層4に無機粒子5を存在させることで、絶縁性等を維持しつつ、密着性を高めることができる。なお、無機粒子5の実質的な含有個所とは、意図的に無機粒子5を存在させる箇所をいう。絶縁層3に存在する全無機粒子5の大多数が内側層4に含有されていることが好ましい。具体的には、絶縁層3に存在する全無機粒子5の90体積%以上が内側層4に含有されていることが好ましく、99体積%以上が内側層4に含有されていることがさらに好ましい。このように、内側層4に集中的に無機粒子5を存在させることで、絶縁性の低下等を抑えつつ、密着性を効果的に高めることができる。
【0034】
内側層4における無機粒子5の含有率の下限は0.005体積%が好ましく、0.01体積%がより好ましい。一方、この含有率の上限は1体積%が好ましく、0.2体積%がより好ましい。無機粒子5を内側層4に前記割合で存在させることで、密着性が高まり、優れた耐傷性を発揮させることができる。含有率が0.005体積%以上であれば、無機粒子5を存在させる効果を十分に発揮させることができる。含有率が1体積%以下であれば、内側層4における密度の不均一化や樹脂分の低下などが生じにくくなり、密着性の低下を抑制することができる。
【0035】
絶縁層3の主成分となる樹脂としては、特に限定されないが、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステルイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等を含むことが好ましい。絶縁層3をこれらの樹脂から形成することで、密着性がより高まり、さらに優れた耐傷性を発揮させることができる。これらの樹脂は、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。さらには、これらの樹脂に加えて、エポキシ樹脂やメラミン樹脂等の樹脂を混合して用いてもよい。
【0036】
ポリイミド系樹脂とは、分子内にイミド結合を有する樹脂である。ポリイミド系樹脂は、例えば、酸成分としてのテトラカルボン酸又はその無水物と、アミン成分としてのジアミン化合物とを重縮合させ、得られたポリイミド前駆体を脱水閉環させて得ることができる。
【0037】
ポリアミドイミド系樹脂とは、分子内にアミド結合及びイミド結合を有する樹脂である。ポリアミドイミド系樹脂は、例えば、有機溶媒中でトリカルボン酸無水物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得ることができる。
【0038】
ポリエステルイミド系樹脂とは、分子内にエステル結合及びイミド結合を有する樹脂である。ポリエステルイミド系樹脂は、例えば、トリカルボン酸無水物とジアミンとの反応生成物であるイミドジカルボン酸と、多価アルコールとを反応させて得ることができる。
【0039】
ポリエステル系樹脂とは、分子内にエステル結合を有する樹脂である。ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得ることができる。なお、ポリエステル系樹脂は、例えばアルキド樹脂等の変性ポリエステルであってもよい。
【0040】
フェノキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂のうち、分子量(重合度)の大きいものをいう。このフェノキシ樹脂の質量平均分子量としては、10,000以上が好ましく、30,000以上100,000以下がさらに好ましい。このフェノキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピハロヒドリンとから得られるビスフェノールA変性フェノキシ樹脂、ビスフェノールSとエピハロヒドリンとから得られるビスフェノールS変性フェノキシ樹脂等を挙げることができる。
【0041】
上記各樹脂には、市販の樹脂ワニス(絶縁ワニス)を用いることができる。
【0042】
絶縁層3は、単層でもよいが、2層以上の多層構造を有することが好ましい。この多層構造としては、特性の異なる樹脂を組み合わせることが好ましく、各層で異なる特性を付与できる。
【0043】
絶縁層3が多層構造の場合は、最内層の主成分として、ポリエステルイミド系樹脂を含む樹脂やフェノキシ樹脂を含む樹脂を用いることが好ましく、ポリエステルイミド系樹脂とフェノキシ樹脂とを含む樹脂を用いることがさらに好ましい。このように最内層にポリエステルイミド系樹脂とフェノキシ樹脂とを含む樹脂を用いることで、高温処理後の密着性等を高めることができる。この際、フェノキシ樹脂とポリエステルイミド系樹脂との含有比(フェノキシ樹脂/ポリエステルイミド系樹脂)は、密着性の向上能等の点から40/60以上90/10以下が好ましい。
【0044】
絶縁層3においては、製造時に無機粒子5を導体2から拡散させることが好ましい。このような製造時の拡散を効果的に生じさせるためには、絶縁層3の最内層に極性を有する有機物を添加剤として含有させることが好ましい。極性を有する有機物としては、特に限定されないが、チオール系化合物等を挙げることができる。
【0045】
絶縁層3の内側層4(絶縁層3における導体2周面から厚み800nmの領域)が、ポリエステルイミド系樹脂及びフェノキシ樹脂から選択される少なくとも1種と、チオール系化合物を含むことが好ましい。内側層4がこれらの樹脂等で形成されていることで、密着性がより高まり、さらに優れた耐傷性を発揮させることができる。
【0046】
絶縁層3の内側層4(絶縁層3における導体2周面から厚み800nmの領域)が、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂及びチオール系化合物を含むことが好ましい。内側層4がこれらの樹脂等で形成されていることで、密着性がより高まり、さらに優れた耐傷性を発揮させることができる。
【0047】
チオール系化合物とは、チオール基(−SH)を有する有機化合物をいい、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトペンチレート)、5−アミノ−1,3,4−チアシアゾール−2−オール、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール等を挙げることができる。
【0048】
極性を有する有機物の含有量としては、特に制限されないが、下限として樹脂100質量部に対して0.05質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましい。また、この含有量の上限としては、樹脂100質量部に対して5質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。このような含有量とすることで、他の機械的性質等を維持しつつ、効率的に無機粒子5の拡散を生じさせることができる。
【0049】
また、最外層の主成分としては、潤滑性の高いポリアミドイミドを用いることが好ましい。さらに、最外層に用いるポリアミドイミドを高潤滑タイプとし、この最外層に隣接する中間層として汎用のポリアミドイミドを主成分とする層を設けることが好ましい。このような層構成とすることによって、密着性、コスト性及び潤滑性に優れた絶縁層3を形成することができる。なお、高潤滑タイプのポリアミドイミドとしては、例えばポリアミドイミドにポリエチレンワックスを混合して調製したものを挙げることができる。但し、使用される用途によっては過度の潤滑性が好ましくない場合もあり、この場合には非潤滑タイプのポリアミドイミドが用いられる。
【0050】
絶縁層3の平均厚みは、特に限定されないが、20μm以上100μm以下とすることが一般的である。また、各層の厚みも適宜調製することができ、最内層の平均厚みは、3μm以上20μm以下とすることが好ましい。
【0051】
当該絶縁電線1は、上述のように導体2と絶縁層3との間の密着性が高く、優れた耐傷性を有する。従って、当該絶縁電線1を巻回することで、多様な用途に好適に用いることが可能なコイルを得ることができる。
【0052】
<絶縁電線の製造方法>
当該絶縁電線は、例えば、
(1)樹脂組成物を用い、導体周面に塗工層を形成する工程と、
(2)塗工層が形成された導体を加熱する工程と
を有する製造方法により、効果的に製造することができる。
【0053】
導体は、例えば以下の方法により得ることができる。まず、導体の原料となる金属を鋳造及び圧延して圧延材を得る。次に、この圧延材に伸線加工を行って、任意の断面形状及び線径(短辺幅)を有する伸線材を形成する。伸線加工の方法としては、例えば複数の伸線ダイスを備えた伸線装置によって、この伸線ダイスに潤滑剤を塗布した圧延材を挿通させることで所望の断面形状及び線径(短辺幅)に徐々に近づける方法を用いることができる。この伸線ダイスは、線引きダイス、ローラダイス等を用いることができる。また、潤滑剤としては、油性成分を含油する水溶性及び非水溶性のものを使用可能である。なお、断面形状の加工は、軟化後に別途行うことも可能である。
【0054】
伸線加工後、伸線材には加熱による軟化処理が行なわれる。軟化処理を行うことによって伸線材の結晶が再結晶化されるため、導体の靱性を向上させることができる。軟化処理における加熱温度は、250℃以上とすることが好ましい。
【0055】
軟化処理は、大気雰囲気下でも可能であるが、酸素含有量が少ない非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。このように非酸化性雰囲気下で軟化処理を行うことによって、軟化処理中(加熱中)の伸線材周面の酸化を抑制することができる。この非酸化性雰囲気としては、例えば真空雰囲気、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気、水素含有ガスや炭酸ガス含有ガス等の還元ガス雰囲気等を挙げることができる。
【0056】
軟化処理は連続方式又はバッチ方式を用いることができる。連続方式としては、例えばパイプ炉等の加熱用容器内に伸線材を導入して熱伝導により加熱する炉式、伸線材に通電して抵抗熱によって加熱する直接通電方式、伸線材を高周波の電磁波によって加熱する間接通電方式等を挙げることができる。これらの中でも温度調節が容易な炉式が好ましい。バッチ方式としては、例えば箱型炉等の加熱用容器内に伸線材を封入して加熱する方式を挙げることができる。バッチ方式の加熱時間は0.5時間以上6時間以下とすることが好ましい。また、バッチ方式においては、加熱後に50℃/sec以上の冷却速度で急冷することで、組織をより微細化することができる。
【0057】
(1)塗工工程
この塗工工程においては、導体の周面に樹脂組成物(ワニス)の塗布により塗工層を形成する。樹脂組成物は、主成分である樹脂及び溶媒を含有し、その他の添加剤がさらに含有されていてもよい。その他の添加剤としては、極性を有する有機物、硬化剤、顔料、染料、フィラー、潤滑剤等を挙げることができる。
【0058】
樹脂組成物(ワニス)を導体周面に塗布する方法としては、例えばワニスを貯留したワニス槽と塗布ダイスとを備える塗布装置を用いた方法を挙げることができる。この塗布装置によれば、導体がワニス槽内を挿通することでワニスが導体周面に付着し、その後塗布ダイスを通過することでこのワニスがほぼ均一な厚みに塗布される。なお、ワニスにおける樹脂の含有量としては、10質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0059】
(2)加熱工程
この加熱工程においては、上記塗工工程により形成された塗工層を導体と共に加熱し、樹脂被膜とする。この加熱の際に、導体中の金属の一部が塗工層(樹脂被膜)に拡散され、無機粒子を形成する。
【0060】
加熱の方法としては、例えば導体の走行方向に長い筒状の加熱炉を用い、導体を間接的に加熱する方法を用いることができる。加熱方法は特に限定されないが、熱風加熱、赤外線加熱、高周波加熱など、従来公知の方法により行うことができる。加熱温度としては400〜800℃とすることが好ましい。
【0061】
上記塗工工程と加熱工程とは、通常、複数回繰り返される。このようにすることで、樹脂被膜の厚みを増加させていくことができる。このとき、塗布ダイスの孔径は繰り返し回数にあわせて徐々に大きくなるように調整される。所定の厚みの樹脂被膜が得られた時点で、ワニスに含まれる樹脂成分を変更することで、主成分の異なる複数の層からなる絶縁層を形成することができる。なお、各層ごとの塗工及び加熱の繰り返し回数は適宜選択することができるが、2回から20回が適当である。
【0062】
当該製造方法によれば、上述のように塗工層を導体と共に加熱することにより、最内領域に導体の主成分である金属又はこの金属を含む化合物からなる無機粒子を含有する絶縁層を形成することができる。従って、導体と絶縁層との間の密着性が高く、優れた耐傷性を有する絶縁電線を得ることができる。
【0063】
<電機コイル>
本発明の電機コイルは、当該絶縁電線を捲線してなる。例えば、磁性材料からなるコアの外側に当該絶縁電線を捲線して電機コイルを形成することができる。このコアと電機コイルとからなる部材は、モータのロータやステータ等として使用することができる。当該電機コイルは当該絶縁電線が用いられているため電気絶縁特性に優れる。
【0064】
なお、当該絶縁電線及び電機コイルは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、当該絶縁電線としては、導線の表面に無機粒子を含む樹脂組成物を塗布して、絶縁層に無機粒子を存在させたものであってもよい。
【実施例】
【0065】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0066】
[樹脂組成物の調製]
(1)エステルイミド樹脂組成物(EsI)
・EsI(1)
大日精化製のエステルイミドワニスである「EH402−45」をクレゾールで希釈して、エステルイミド樹脂含有率30質量%の樹脂組成物を調製した。
【0067】
・EsI(2)
(エステルイミド樹脂の合成)
エステルイミド樹脂構成成分として、無水トリメリット酸(TMA:104.7g)、テレフタル酸(TPA:119.0g)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA:54.0g)、エチレングリコール(EG:60.5g)、トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌレート(THEIC:157.2g)、及び触媒としてテトラプロピルチタネート(TPT:0.45g)を配合し、室温〜250℃まで昇温した後、4時間反応させて、エステルイミド樹脂を合成した。
(ワニスの調製)
上記で合成したポリエステルイミド樹脂に、SCX−1(ネオケミカル社製のフェノールとクレゾールの混合溶剤)440g、及びスワゾール#1000(丸善石油社製のソルベントナフサ)を110g添加して希釈した。これにさらに、ポリエステルイミド樹脂100質量部あたり、チタンプロポキシド(TPT)4質量部、ブロックイソシアネート(バイエル社製デスモジュールCT)10質量部、ノボラック型フェノール変性キシレン樹脂4質量部を添加し、100℃で2時間攪拌してワニス(樹脂組成物)を調製した。
【0068】
・EsI(3)
日立化成製のエステルイミドワニスである「Isomid40SM45」をクレゾールで希釈して、樹脂含有率30質量%の樹脂組成物を調製した。
【0069】
(2)汎用ポリアミドイミド樹脂組成物(汎用AI)
温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器及び窒素吹込み管が取り付けられた容量1Lのフラスコ内に、窒素吹込み管から毎分150mLの窒素ガスを流入させながら、無水トリメリット酸629.8g、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート850.0gを投入した。次に、このフラスコ内に溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン2346.0gを添加し、攪拌器で攪拌しながら80℃で約3時間加熱した後、フラスコ内の温度を約4時間かけて120℃まで昇温し、この温度で約3時間加熱した。その後、加熱を停止し、フラスコ内にキシレン586.5gを添加して内容液を希釈した後、放冷し、汎用ポリアミドイミド樹脂組成物(汎用AI)を得た。
【0070】
(3)高潤滑ポリアミドイミド樹脂組成物(潤滑AI)
上記方法で調製した汎用ポリアミドイミド樹脂組成物に、汎用ポリアミドイミドの固形分100質量部に対してポリエチレンワックスを1.5質量部の割合で混合することにより、高潤滑ポリアミドイミド樹脂組成物(潤滑AI)を得た。
【0071】
(4)フェノキシ樹脂組成物(フェノキシ樹脂)
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとを反応させてなるビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成製「YP−50」)をクレゾールに溶解して、フェノキシ樹脂含有率30質量%のフェノキシ樹脂組成物を得た。
【0072】
なお、実施例及び比較例で用いた添加剤の化合物名を以下に示す。
添加剤A:5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール
添加剤B:2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
添加剤C:2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール
添加剤D:2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール
添加剤E:1,2,4−トリアゾール−3−チオール
添加剤F:3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール
【0073】
[実施例1]
フェノキシ樹脂組成物(75質量部)、EsI(2)(25質量部)、及び添加剤A(1.0質量部)を混合し、室温で1時間撹拌して混合樹脂組成物を得た。この混合樹脂組成物が入ったワニス槽内に断面が円形である銅製の導体を浸漬し、所定内径を有するダイスを通過させて塗膜厚みを調節した後、炉内を通過させることにより塗膜を加熱硬化して、厚さ5.0μmの最内層を形成した。次いで、この最内層の表面に、調製したEsI(1)、汎用AI及び潤滑AIを用い、順にそれぞれ塗布及び焼付を行うことにより、4層構造の絶縁層を備える実施例1の絶縁電線を得た。なお、第一の中間層(EsI(1))の厚さは13.5μm、第二の中間層(汎用AI)の厚さは10.5μm、最外層(潤滑AI)の厚さは3.0μmとした。
【0074】
[実施例2〜12,14,15及び17〜21、参考例13及び16、並びに、比較例22〜24及び比較例1〜7]
絶縁層の構成、各層の樹脂種及び厚さ、並びに最内層におけるフェノキシ樹脂とEsIとの比、用いた添加剤の種類及び量を表1〜表4のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜12,14,15及び17〜21、参考例13及び16、並びに、比較例22〜24及び比較例1〜7の各絶縁電線を得た。
【0075】
得られた各絶縁電線について、絶縁層の内側層における無機粒子の粒径、占有面積率及び含有率、引掻き削れ荷重、初期密着性並びに加熱後密着性を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。また、各測定は、以下の方法にて行った。
【0076】
[無機粒子の粒径(単位:nm)]
絶縁電線を切断後、樹脂包埋し、所定の形状に切断した。この切断面を機械研磨にて予備仕上げを行い、イオンビーム加工にて断面を加工した。このイオンビーム加工は、Arイオンビーム(クロスセクションポリッシャー)により行った。このように前処理した絶縁電線に対し、低加速高分解能走査型電子顕微鏡(Carl Zeiss社製「Ultra55」加速電圧1kV)を用いて導体と絶縁層との境界部分における倍率50,000倍の画像データを得た。画像データにおける導体表面から厚さ800nm×幅2290nmの領域(内側層)を画像処理ソフト(住友金属テクノロジー社製「粒子解析III」)を用いて画像処理した。白色部分が無機物(無機粒子又は導体)とした。
このように画像処理し、上記領域(高さ800nm×幅2290nm)における最大の粒子の粒径(長径)を計測した。
【0077】
[無機粒子の占有面積率(単位:%)]
上述の領域(厚さ800nm×幅2290nm)において、画像処理により無機粒子(白色部分)の占有面積率を計測した。
【0078】
[無機粒子の含有率(単位:体積%)]
上記方法にて計測した所定領域中の無機粒子の占有面積率から含有率を算出した。一例として、実施例1の場合の算出式を以下に示す。
無機粒子の含有率
=(無機粒子の占有面積率)3/2
=(0.86(%)×1/100)3/2
=0.00080
=0.080(体積%)
【0079】
[引掻き削れ荷重(単位:kgf)]
絶縁電線と直角にピアノ線を重ね、交点部分に荷重をかけた状態で絶縁電線を引き抜いた場合に絶縁層にピンホールが発生する時の荷重を計測した。ピンホールの発生は、JIS−C3216−5の7に規定の「ピンホール試験」に準拠し、適量の30g/Lのフェノールフタレインアルコール溶液を加えた2g/Lの食塩水に引掻き試験後の絶縁電線の一部を浸し、絶縁導線の一端と食塩水との間に12Vの直流電圧を1分間印加することで確認した。この印加試験において、ピンホールの発生個所周辺の食塩水はピンク色へ変色するため、この変色の確認によってピンホールの有無が確認できる。試験は8本の絶縁電線の試験体に対して行い、1本でもピンホールが認められた場合の荷重を引掻き削れ荷重とした。
【0080】
[初期密着性(単位:回)]
JIS C3003の密着性(ねじり法)に準拠して、皮膜の密着性を測定した。すなわち、スクレーパを用いて、電線の上下の皮膜部分を導体に達するまで取り除いた試験片を作成した。この試験片について、所定の荷重で捻じり、残った側面部の皮膜が浮き上がるまでのねじり回数を測定した。
【0081】
[加熱後密着性(単位:回)]
初期密着性の試験で作製した試験片について、160℃で6時間保持した後、室温にもどし、初期密着性の試験と同様の方法で、皮膜が浮き上がるまでのねじり回数を測定した。
【0082】
また、絶縁層の成分分析をEDX元素分析(加速電圧5kV、検出元素Be〜Am)により行った。銅元素の存在を確認し、この量が無機粒子の数や占有面積率と相関があることから、無機粒子が銅元素を含むことを確認した。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
表1〜表4に示されるように、無機粒子の含有量を所定範囲とすることで、密着性及び耐傷性が高まることがわかる。
【0088】
また、図2に実施例11、図3に比較例5、図4に比較例2の各絶縁電線の断面の絶縁層の内側層の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。各SEM写真より、無機粒子の含有量は、比較例2、実施例11及び比較例5の順となっていることがわかる。また、無機粒子の含有量は、外側(上側)に向かって低下していることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明の絶縁電線は、高い耐傷性を有し、例えばモータ、オルタネータ、イグニッション等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁層
4 内側層
5 無機粒子
6 酸化膜
図1A
図1B
図2
図3
図4