【文献】
Kondo, E., et al.,Using CD40-activated B Cells to Efficiently Identify Epitopes of Tumor Antigens,Journal of Immunotherapy,2009年,32(2),157-160
【文献】
Yang, R., et al.,Characterization of a Second Human Cyclin A That Is Highly Expressed in Testis and in Several Leukemic Cell lines,Cancer Research,1997年,57,913-920
【文献】
Stirewalt, D., et al.,Identification of Genes with Abnormal Expression Changes in Acute Myeloid Leukemia,Genes, Chromosomes & Cancer,2008年,47,8-20
【文献】
Holm, C., et al.,Cyclin A1 expression and associations with disease characteristics in childhood acute lymphoblastic leukemia,Leukemia research,2006年,30,254-261
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができるポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドが、
一般式I:
N−X−C [I]
の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、または9アミノ酸以下のポリペプチドであり、ここで式中、
(a)Xは、
CCNA1(227−235)FLDRFLSCM [配列番号3]、および
CCNA1(341−351)SLIAAAAFCLA [配列番号8]
から選択されるアミノ酸配列であり
(b)Nは、前記ポリペプチドのアミノ末端であり、天然アミノ酸および非天然アミノ酸から独立に選択される、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11アミノ酸からなり、
(c)Cは、前記ポリペプチドのカルボキシ末端であり、天然アミノ酸および非天然アミノ酸から独立に選択される、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11アミノ酸からなる、
ポリペプチドである、単離ポリヌクレオチド。
請求項3に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む、組換え発現ベクターを含む、免疫原性組成物であって、前記1つまたは複数のポリヌクレオチドの各々が、発現制御配列に作動可能に連結されている、免疫原性組成物。
抗原によりパルスされた抗原提示細胞を調製する方法であって、in vitroにおいて、抗原提示細胞による抗原のプロセシングおよび提示が生じるのに十分な条件下で、かつ、これに十分な時間にわたり、(i)被験体と免疫適合性である抗原提示細胞の集団と、(ii)請求項1または請求項2に記載の単離ポリペプチド、請求項3に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項4に記載の組換え発現ベクターを含む免疫原性組成物、または請求項5に記載の免疫原性組成物とを接触させ、それによって、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができる抗原によりパルスされた抗原提示細胞を得るステップを含む、方法。
CCNA1特異的T細胞を生成する方法であって、in vitroにおいて、CCNA1特異的T細胞を生成するのに十分な条件下で、かつ、これに十分な時間にわたり、請求項8に記載の抗原によりパルスされた抗原提示細胞を、1つまたは複数の免疫適合性T細胞と接触させるステップを含む、方法。
in vitroにおいて、CCNA1特異的T細胞を生成するのに十分な条件下で、かつ、これに十分な時間にわたり、前記抗原によりパルスされた抗原提示細胞を、1つまたは複数の免疫適合性T細胞と接触させるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
T細胞受容体の構造的特徴付けおよびT細胞受容体ポリペプチドをコードする核酸配列の決定のための方法であって、請求項9または請求項10に従って産生されたCCNA1特異的T細胞をin vitroで増やして、前記CCNA1特異的T細胞の1つまたは複数のクローンを、T細胞受容体の構造的特徴付けに十分な量で得るステップと前記T細胞受容体ポリペプチドをコードする、前記1つまたは複数のクローンのうちの1つまたは複数の核酸配列を決定するステップとを含む、方法。
被験体の細胞におけるCCNA1過剰発現により特徴付けられる状態の処置に使用するための、請求項7に記載の方法によって得られる抗原によりパルスされた抗原提示細胞、または請求項9から11のいずれか一項に記載の方法により得られるCCNA1特異的T細胞。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書で開示される本発明の実施形態は、細胞内タンパク質であるヒトサイクリンA1(CCNA1、例えば、NCBI参照配列(アイソフォームc)であるNP_001104517.1、GI:161377472;NM_001111047.1、GI:161377471)が、白血病関連抗原(LAA)であり、CCNA1配列に由来する少なくとも9、10、11、または12の連続アミノ酸による、ある特定の短鎖ペプチドが、主要組織適合複合体(MHC)抗原に拘束される(例えば、HLAに拘束される)形でT細胞により認識される免疫原性エピトープを含有することの予測外の発見に関する。驚くべきことに、細胞型の発現パターンおよび組織分布が限定された細胞内タンパク質としてのCCNA1の発生にもかかわらず、本明細書で開示されるCCNA1は、がん関連抗原であり、CCNA1由来ペプチドには、CCNA1特異的T細胞応答を誘発することが可能である。特定の好ましい実施形態では、本明細書で記載されるCCNA1由来ペプチドが、クラスI HLAに拘束されるCD8
+T細胞によるCCNA1特異的細胞傷害性リンパ球(CTL)応答を誘発しうる。
【0031】
以下でより詳細に記載される通り、マウス研究において、白血病発生に寄与し、細胞の増殖および生存を促進することが既に示されている細胞内タンパク質であるCCNA1は、全AML患者のうちのおよそ50%のLSCコンパートメントにおいて検出されているが、精巣を除く他の組織では検出されない。LSC中で見出されるCCNA1アイソフォームcの全体にわたるペプチドライブラリーでパルスされた樹状細胞を用いて、多くの異なるCCNA1由来オリゴペプチドに応答することが可能なT細胞を生成した。T細胞に対して免疫原性である8つのCCNA1由来ペプチドを同定したところ、それらのうちの2つは、CCNA1の免疫原性HLA A
*0201拘束エピトープとしてより完全に特徴付けられた。これらのエピトープに特異的なT細胞クローンは、ペプチドによりパルスされた標的細胞を認識し、また、CCNA1を内因的に発現させるHLA A
*0201陽性AML系列であるTHP−1に対する細胞傷害作用も呈示した。
【0032】
特定の実施形態では、本明細書で記載される組成物および方法が、CCNA1過剰発現(例えば、正常細胞または無病細胞において検出可能なCCNA1の発現レベルより統計学的に有意な形で高いレベルにおける、CCNA1の検出可能な発現)と関連する疾患および状態を処置するための治療的有用性を有するであろう。このような疾患には、多様な形態のがんが含まれ、限定せずに述べると、CCNA1を過剰発現させる白血病幹細胞(LSC)から生じる血液悪性腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病(AML)が含まれる。本明細書では、これらの使用および関連する使用の非限定的な例について記載するが、これらには、T細胞応答を誘導するための、ペプチドベースのワクチンにおける免疫原性CCNA1ペプチドの使用、このような免疫原性CCNA1ペプチドもしくはCCNA1中に存在するさらなる免疫原性ペプチドをコードする、操作されたポリヌクレオチドに基づくワクチンの使用、または大型断片のCCNA1タンパク質もしくは全CCNA1タンパク質の使用によるなど、in vitroおよびin vivoにおけるCCNA1抗原特異的T細胞応答の刺激が含まれる。
【0033】
限定ではなく、例示を目的として述べると、in vitroにおいて免疫原性CCNA1ペプチドもしくはCCNA1タンパク質でパルスされた抗原提示細胞、または免疫原性CCNA1ペプチドを発現させるように改変された抗原提示細胞の、被験体(例えば、AML患者)への養子移入を伴う免疫療法プロトコール、および/あるいはin vitroにおいて免疫原性CCNA1ペプチドでパルスされた抗原提示細胞へのin vitroにおける曝露により誘導されたCCNA−1特異的T細胞の、被験体への養子移入を伴う免疫療法プロトコールもまた想定される。樹状細胞、マクロファージ、リンパ球、および他の細胞型などの抗原提示細胞(APC)による抗原プロセシングの原理、ならびに免疫適合性の(例えば、抗原提示に関与性である主要組織適合複合体(MHC)遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子形態を共有する)APCとT細胞との間のMHCに拘束される提示を含めた、APCによるT細胞への抗原提示の原理は、十分に確立されている(例えば、Murphy、Janeway’s Immunobiology(8版)、2011年、Garland Science、NY;6、9、および16章を参照されたい)。当技術分野では、非選択のT細胞または選択されたT細胞を用いる養子移入プロトコールが公知であり(例えば、US2011/0052530、US2010/0310534;Hoら、2006年、J. Imm. Meth.、310巻:40頁;Hoら、2003年、Canc. Cell、3巻:431頁)、とりわけ、1つまたは複数の免疫原性CCNA1由来T細胞エピトープ含有ペプチドにより誘導されるT細胞を含有する移入細胞集団と共に用いるために、これらを本明細書の教示に従い改変することができる。
【0034】
別の非限定的な例として述べると、本明細書で開示される特定の実施形態では、in vitroにおいて免疫原性CCNA1ペプチドでパルスされた抗原提示細胞へのin vitroにおける曝露により誘導されたCCNA1反応性T細胞のクローニングが想定され、このようなT細胞により、機能的な(例えば、プロダクティブに再配列された)T細胞受容体(TCR)をコードする遺伝子の同定およびクローニングも想定され、次いで、これらを用いて、養子移入のためのT細胞集団を、被験体へとトランスフェクト/形質導入することができる。近年におけるTCR配列決定の進展については記載されており(例えば、Robinsら、2009年、Blood、114巻:4099頁;Robinsら、2010年、Sci. Translat. Med.、2巻:47〜64頁、PMID: 20811043;Robinsら、2011年(9月10日)、J. Imm. Meth.、公刊前のEpub版、PMID: 21945395;Warrenら、2011年、Genome Res.、21巻:790頁)、本開示に従うこれらの実施形態の実施においても使用することができる。同様に、抗原特異的T細胞応答を誘発することが可能な特異的CCNA1由来ペプチドへと方向付けられた方法を含めた、これらの方法の、本明細書で開示される実施形態への適応が、本明細書の教示に基づいて想定されるように、所望の抗原特異性を有するT細胞を用いる養子移入手順(例えば、Schmittら、2009年、Hum. Gen.、20巻:1240頁;Dossettら、2009年、Mol. Ther.、17巻:742頁;Tillら、2008年、Blood、112巻:2261頁;Wangら、2007年、Hum. Gene Ther.、18巻:712頁;Kuballら、2007年、Blood、109巻:2331頁;US2011/0243972;US2011/0189141;Leenら、2007年、Ann. Rev. Immunol.、25巻:243頁)を有すると、T細胞に所望の核酸をトランスフェクト/形質導入するための方法も記載されている(例えば、US2004/0087025)。
【0035】
がん細胞など、不適切なCCNA1過剰発現細胞に対する免疫反応の誘導または誘発における使用のための、本明細書で開示されるT細胞免疫原には、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチドであって、各ペプチドが、全長のCCNA1ポリペプチド、または400、350、300、250、200、150、125、100、80、70、60、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、もしくは7アミノ酸以下のCCNA1由来ポリペプチドであり、配列番号9において示されるCCNA1アミノ酸配列に由来する少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20、または400、350、300、250、200、150、125、100、80、70、60、50、40、30、25の連続アミノ酸による配列を含むポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む単離ペプチドが含まれる。CCNA1過剰発現がん細胞には、リンパ腫および白血病などの血液悪性腫瘍の細胞が含まれ、特に、白血病幹細胞および/または急性骨髄性白血病細胞が含まれる。
【0036】
本明細書で開示される特定の実施形態によれば、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチドは、一般式I:
N−X−C [I]
[式中、
(a)N−X−Cは、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、または9アミノ酸以下のポリペプチドであり、ここで、Xは、
CCNA1(120−131)VDTGTLKSDLHF [配列番号1]、
CCNA1(218−226)AETLYLAVN [配列番号2]、
CCNA1(227−235)FLDRFLSCM [配列番号3]、
CCNA1(253−261)ASKYEEIYP [配列番号4]、
CCNA1(118−127)YEVDTGTLKS [配列番号5]、
CCNA1(167−175)YAEEIYQYL [配列番号6]、
CCNA1(330−339)LEADPFLKYL [配列番号7]、および
CCNA1(341−351)SLIAAAAFCLA [配列番号8]
から選択されるアミノ酸配列を含み、
また、
(b)Nは、ペプチドのアミノ末端であり、天然アミノ酸および非天然アミノ酸から独立に選択される、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11アミノ酸からなり、(c)Cは、ペプチドのカルボキシ末端であり、天然アミノ酸および非天然アミノ酸から独立に選択される0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11アミノ酸からなる]
のポリペプチドを含む。
【0037】
したがって、これらの実施形態および他の実施形態では、本明細書でT細胞免疫原性エピトープを含むものとして開示される特定のCCNA1由来ペプチドのアミノ末端が、1〜11の独立に選択された天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなることが可能であり、かつ/または特定の実施形態では、特定のこのようなペプチドのカルボキシ末端が、1〜11の独立に選択された天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸からなることが可能であり、ここで、単離ペプチドが9〜20アミノ酸以下であり、本明細書で言及されるN−X−Cを含み、とりわけ、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することが可能である限りにおいて、このようなアミノ末端およびカルボキシ末端は、任意の配列を有しうることが察知されるであろう。
【0038】
本明細書では、多数の代表的なCCNA1由来ペプチドであって、本明細書で言及される式[I]に従うN−X−Cを含み、とりわけ、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができるペプチドが開示される。しかし、本明細書で想定される本発明の実施形態は、本開示を視野に入れて、当業者が、T細胞に対して免疫原性である、さらなるCCNA1ペプチド(およびそれらの変異体)を容易に作製し、用いうるように、限定されることを意図するものではない。
【0039】
例えば、1または複数のアミノ酸の、選択された天然アミノ酸または非天然アミノ酸による置換を、そのようにして導出された構造的変異体が、MHCペプチドの結合溝との潜在的なペプチドアフィニティー相互作用のモデル化を含め、本明細書で開示される種の空間充填特性、電荷特性、親水性特性および/または疎水性特性を保持するのかどうかを決定することを目的として、コンピュータによりモデル化しうるように、本明細書で記載されるT細胞エピトープを保有する、代表的な免疫原性CCNA1由来ペプチドの三次元構造の決定を、日常的な方法を介して行うことができる(例えば、Parkerら、J. Immunol.、152巻:163頁、1994年;Tsitesデータベース、Fellerら、1991年、Nature、349巻:720頁;Rothbardら、1988年、EMBO J.、7巻:93〜100頁;Deavinら、1996年、Mol. Immunol.、33巻:145〜155頁により記載されているBIMAS分子モデル化ソフトウェア;および他のHLAペプチドの結合予測解析)。また、例えば、Donateら、1994年、Prot. Sci.、3巻:2378頁;Bradleyら、Science、309巻:1868〜1871頁(2005年);Schueler−Furmanら、Science、310巻:638頁(2005年);Dietzら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、103巻:1244頁(2006年);Dodsonら、Nature、450巻:176頁(2007年);Qianら、Nature、450巻:259頁(2007年);Ramanら、Science、327巻:1014〜1018頁(2010年)も参照されたい。これらの参考文献および他の参考文献は、例えば、エネルギー最小化コンフォメーションについての空間充填モデル(ファンデルワールス半径)から原子の大きさの決定を可能とすることにより、本明細書で提示されるT細胞エピトープを保有するCCNA1由来ペプチドの変異体(例えば、配列番号1〜8)を合理的にデザインするためなど、関連する実施形態のために用いうる、コンピュータアルゴリズムについて記載している。
【0040】
したがって、CCNA1ポリペプチドおよびCCNA1由来ペプチドが、免疫原性エピトープ、例えば、MHCに拘束されるT細胞認識を介する場合を含め、とりわけ、T細胞受容体(TCR)を介してT細胞により認識される分子構造を含有するという本開示を視野に入れると、任意の所与のエピトープ保有CCNA1ペプチドの免疫原性の変化(例えば、統計学的有意性を伴って検出可能な増大または減少)は、例えば、免疫原性CCNA1ペプチドに由来する変異体を得るための構造改変により導入しうることが明示的に想定される。当技術分野では、ペプチドにより規定されるエピトープの免疫原性を増強するための手段が公知であり、これらには、それにより構造改変を所与のペプチドに対して施すペプチドリガンド変法(APL)が含まれうる。例えば、AbduL−Alimら(2010年、J. Immunol.、184巻:6514頁);Douat−Casassusら(2007年、J. Med. Chem.、50巻:1598頁);Carrabbaら(2003年、Canc. Res.、63巻:1560頁);およびShangら(2009年、Eur. J. Immunol.、39巻:2248頁)により、他の抗原系において記載されている通り、免疫原性を増強されたペプチド変異体が、APLとして作製されている。したがって、本開示からは、CCNA1断片(例えば、配列番号9において示されるCCNA1アミノ酸配列に由来する少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20、または400、350、300、250、200、150、125、100、80、70、60、50、40、30、25の連続アミノ酸による配列)および/または本明細書で提示される変異体(APLを含めた)が特定の実施形態内に包摂されうるように、CCNA1ペプチドの配列には、T細胞に対する多数の免疫原性エピトープが組み入れられることが察知されるであろう。
【0041】
本明細書で記載されるCCNA1免疫原性ペプチドエピトープの変異体(例えば、配列番号1〜8)を合理的にデザインするためなど、これらの実施形態および関連する実施形態のために用いうるコンピュータアルゴリズムの一部のさらなる非限定的な例には、生体高分子系の高速シミュレーションのためにデザインされた並列分子動力学コードであるNAMD、ならびに3D画像ビルトインスクリプト記述を用いて生体高分子系を表示、動画表示、および解析するための分子画像化プログラムであるVMD(Phillipsら、Journal of Computational Chemistry、26巻:1781〜1802頁、2005年;Humphreyら、「VMD − Visual Molecular Dynamics」、J. Molec. Graphics、1996年、14巻、33〜38頁を参照されたい;また、ks.uiuc.edu/Research/vmd/におけるTheoretical and Computational Biophysics Group、University of Illinois at Urbana−Champagneのウェブサイトも参照されたい)が含まれる。当技術分野では、他の多くのコンピュータプログラムが公知であり、当業者に利用可能であり、エネルギー最小化コンフォメーションの空間充填モデル(ファンデルワールス半径)から原子の大きさを決定することを可能としており、例えば、異なる化学基に対する高アフィニティー領域を決定し、これにより、結合を増強しようとするGRID;数学的配列を計算するモンテカルロ法;ならびに力の場の計算および解析を評価するCHARMM(Brooksら(1983年)、J. Comput. Chem.、4巻:187〜217頁)およびAMBER(Weinerら(1981年)、J. Comput. Chem.、106巻:765頁)(また、Eisenfieldら(1991年)、Am. J. Physiol.、261巻:C376〜386頁;Lybrand(1991年)、J. Pharm. Belg.、46巻:49〜54頁;Froimowitz(1990年)、Biotechniques、8巻:640〜644頁;Burbamら(1990年)、Proteins、7巻:99〜111頁;Pedersen(1985年)、Environ. Health Perspect.、61巻:185〜190頁;およびKiniら(1991年)、J. Biomol. Struct. Dyn.、9巻:475〜488頁も参照されたい)が挙げられる。また、Schroedinger(Munich、Germany)製のプログラムなど、多様で適切な計算用コンピュータプログラムも市販されている。
【0042】
「天然アミノ酸または非天然アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質を生合成するための構成要素として用いられる一般的な自然発生のアミノ酸のうちのいずれか(例えば、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン)を包含し、また、自然発生の場合であれ、合成の場合であれ、修飾されたアミノ酸、誘導体化されたアミノ酸、光学異性体のアミノ酸、希少アミノ酸、および/または異常アミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デスモシン、イソデスモシン、ε−N−メチルリシン、ε−N−トリメチルリシン、メチルヒスチジン、デヒドロブチリン、デヒドロアラニン、α−アミノ酪酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、および天然供給源から単離することが可能であり、かつ/または化学合成されうる他のアミノ酸であって、例えば、Proteins, Peptides and Amino Acids Sourcebook(White, J.S.およびWhite, D.C.、2002年、Humana Press、Totowa、NJ)、またはAmino Acid and Peptide Synthesis(Jones, J.、2002年、Oxford Univ. Press USA、New York)、またはUnnatural Amino Acids、ChemFiles、1巻、5号(2001年、Fluka Chemie GmbH;Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)、またはUnnatural Amino Acids II、ChemFiles、2巻、4号(2002年、Fluka Chemie GmbH;Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)において見出されうる他のアミノ酸も包含する。天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸についてのさらなる記載は、例えば、Kotha、2003年、Acc. Chem. Res.、36巻:342頁;Maruokaら、2004年、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、101巻:5824頁;Lundquistら、2001年、Org. Lett.、3巻:781頁;Tangら、2002年、J. Org. Chem.、67巻:7819頁;Rothmanら、2003年、J. Org. Chem.、68巻:6795頁;Krebsら、2004年、Chemistry、10巻:544頁;Goodmanら、2001年、Biopolymers、60巻:229頁;Sabatら、2000年、Org. Lett.、2巻:1089頁;Fuら、2001年、J. Org. Chem.、66巻:7118頁;およびHrubyら、1994年、Meths. Mol. Biol.、35巻:249頁において見出すことができる。本明細書では、標準的な3文字の略記法および1文字の記号を用いて、天然アミノ酸および非天然アミノ酸を名指す。
【0043】
当技術分野では、他の非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体が公知であり、これらには、非天然のL誘導体またはD誘導体(ペプチド中に存在するD−アミノ酸など)、蛍光標識されたアミノ酸のほか、O−メチル−L−チロシン、 L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、3−ヨード−チロシン(3−idio−tyrosine)、O−プロパルギル−チロシン、ホモグルタミン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、3−ニトロ−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−アセチル−L−フェニルアラニン、m−アセチル−L−フェニルアラニン、セレノメチオニン、テルロメチオニン、セレノシステイン、アルキンフェニルアラニン、O−アリル−L−チロシン、O−(2−プロピニル)−L−チロシン、p−エチルチオカルボニル−L−フェニルアラニン、p−(3−オキソブタノイル)−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、ホモプロパルギルグリシン(homoproparglyglycine)、アジドホモアラニン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモ−L−フェニルアラニン、ジヒドロキシ−フェニルアラニン、ジヒドロキシル−L−フェニルアラニン、p−ニトロ−L−フェニルアラニン、m−メトキシ−L−フェニルアラニン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニンおよびイソプロピル−L−フェニルアラニン、トリフルオロロイシン、ノルロイシン(「Nle」)、D−ノルロイシン(「dNle」または「D−Nle」)、5−フルオロ−トリプトファン、パラ−ハロ−フェニルアラニン、ホモ−フェニルアラニン(「ホモ−Phe」)、セレノ−メチオニン、エチオニン、S−ニトロソ−ホモシステイン、チア−プロリン、3−チエニル−アラニン、ホモ−アリル−グリシン、トリフルオロイソロイシン、trans−2−アミノ−4−ヘキセン酸およびcis−2−アミノ−4−ヘキセン酸、2−ブチニル−グリシン、アリル−グリシン、パラ−アジド−フェニルアラニン、パラ−シアノ−フェニルアラニン、パラ−エチニル−フェニルアラニン、ヘキサフルオロロイシン、1,2,4−トリアゾール−3−アラニン、2−フルオロ−ヒスチジン、L−メチルヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、β−2−チエニル−L−アラニン、β−(2−チアゾリル)−DL−アラニン、ホモプロパルギルグリシン(HPG)ならびにアジドホモアラニン(AHA)などを含めた特殊な例が含まれるがこれらに限定されない。
【0044】
特定の実施形態では、芳香環系が、典型的には、水素および炭素だけからなり、6〜19個の炭素原子を含有する単環式または多環式の芳香族炭化水素環系であって、部分的に飽和している場合もあり、完全に飽和している場合もあり、フルオレニル、フェニル、およびナフチルなどの基が含まれるがこれらに限定される必要はない基として存在する場合もある環系の形態で存在する場合、当業者が容易に認識する構造に基づく他の天然アミノ酸または非天然アミノ酸を含め、例えば、フェニルアラニンもしくはトリプトファンまたはその類似体において見出される芳香族側鎖を含む天然アミノ酸または非天然アミノ酸が存在しうる。
【0045】
特定の実施形態では、疎水性側鎖(例えば、疎水性側鎖は、生理学的環境内にあると、非極性であることが典型的である)が存在する場合、当業者が容易に認識する構造に基づく他の天然アミノ酸または非天然アミノ酸を含め、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、もしくはメチオニン、またはその類似体において見出される疎水性側鎖を含む天然アミノ酸または非天然アミノ酸が存在しうる。特定の実施形態では、塩基性側鎖(例えば、生理学的環境内にあると、極性であり、正の電荷を有することが典型的である)が存在する場合、当業者が容易に認識する構造に基づく他の天然アミノ酸または非天然アミノ酸を含め、例えば、リシン、アルギニン、もしくはヒスチジン、またはその類似体において見出される塩基性側鎖を含む天然アミノ酸または非天然アミノ酸が存在しうる。
【0046】
ポリペプチドの生物学的活性(例えば、T細胞に対するCCNA1特異的免疫原性)が維持される限りにおいて、本明細書で開示されるポリペプチドには、L−アミノ酸および/またはD−アミノ酸が含まれうる。特定の実施形態では、単離CCNA1由来ポリペプチドが、多様な公知の天然および人工の翻訳後または合成後における、グリコシル化(例えば、アスパラギン残基におけるN結合型オリゴ糖の付加、セリン残基またはトレオニン残基におけるO結合型オリゴ糖の付加、糖化など)、脂肪酸アシル化、アセチル化、PEG化、およびリン酸化が含まれうる反応を介する共有結合による化学的改変のうちのいずれかを含みうる。本明細書で開示されるポリペプチドには、アミノ酸の欠失、もしくは付加、または1もしくは複数のアミノ酸残基の、他の自然発生のアミノ酸残基もしくは非天然アミノ酸残基による置換を含有しうる、類似体、対立遺伝子、および対立遺伝子変異体もさらに含まれうる。
【0047】
ペプチド類似体および非ペプチド類似体は、ペプチド模倣体(peptide mimeticsまたはpeptidomimetics)と称することができ、製薬業界では公知である(Fauchere、J. Adv. Drug Res.、15巻:29頁(1986年);Evansら、J. Med. Chem.、30巻:1229頁(1987年))。これらの化合物は、1もしくは複数の非天然アミノ酸残基、1もしくは複数の化学修飾部分(例えば、グリコシル化、PEG化、蛍光、放射能、または他の部分)、および/または1もしくは複数の非天然ペプチド結合(例えば、還元されたペプチド結合:−−CH
2−NH
2−−)を含有しうる。ペプチド模倣体は、コンピュータ化された分子モデル化、ランダム突然変異誘発または部位指向突然変異誘発、PCRベースの戦略、化学的突然変異誘発などを含め、多様な方法により開発することができる。
【0048】
「単離」という用語は、物質が、その元の環境(例えば、自然発生である場合は、天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生存する動物において存在する自然発生の核酸またはポリペプチドは単離されていないが、同じ核酸またはポリペプチドが、天然系において共存する物質の一部または全部から分離された場合は単離されている。このような核酸であれば、ベクターの一部であることも可能であろうし、かつ/またはこのような核酸もしくはポリペプチドであれば、組成物の一部(例えば、細胞溶解物)であることも可能であろうが、このようなベクターまたは組成物が核酸またはポリペプチドの天然環境の一部ではないという点で、やはり単離されている。「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し、コード領域に先行する領域および後続する領域である「リーダーおよびトレーラー」のほか、個別のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)も包含する。
【0049】
特定の実施形態は、本明細書で想定されるポリペプチド、例えば、T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有するCCNA1由来ポリペプチドをコードする核酸に関する。当業者が認識する通り、核酸とは、任意の形態における、一本鎖および/または二本鎖のDNA、cDNA、またはRNAを指すことが可能であり、これらには、アンチセンスのDNA、cDNA、およびRNAを含め、互いを補完する核酸の正の鎖および負の鎖が含まれうる。また、siRNA、マイクロRNA、RNA−DNAハイブリッド体、リボザイム、およびDNAまたはRNAの他の多様な自然発生形態または合成形態も含まれる。
【0050】
特定の実施形態は、ベクター内に含有される核酸を包含する。当業者は、本明細書で開示される特定の実施形態による使用に適するベクターを容易に確認しうる。典型的なベクターは、それが連結された別の核酸を輸送することが可能であるか、または宿主生物における複製が可能な核酸分子を含みうる。ベクターの一部の例には、プラスミド、ウイルスベクター、コスミドなどが含まれる。一部のベクターは、それらが導入される宿主細胞における自律的な複製が可能であるのに対し(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌性ベクターおよび哺乳動物エピソーム性ベクター)、他のベクターは、宿主細胞へと導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれる可能性があり、これにより、宿主ゲノムと共に複製される可能性がある。加えて、一部のベクターは、それらが作動的に連結された遺伝子の発現を方向付けることが可能である(これらのベクターを「発現ベクター」と称することができる)。関連する実施形態に従い、1つまたは複数の薬剤(例えば、本明細書で記載される、CCNA1由来免疫原性ペプチドエピトープまたはその変異体をコードするポリヌクレオチド)を被験体へと共投与する場合、この各薬剤は、別個のベクター内に存在する場合もあり、同じベクター内に存在する場合もあり、複数のベクター(各々が異なる薬剤または同じ薬剤を含有する)を、細胞または細胞集団へと導入する場合もあり、被験体へと投与する場合もあることがさらに理解される。
【0051】
特定の実施形態では、本明細書で記載されるCCNA1由来ポリペプチドであって、T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有するポリペプチドをコードする核酸を、ベクターの特定のエレメントへと作動的に連結することができる。例えば、それらがライゲーションされたコード配列の発現およびプロセシングがなされるために必要とされるポリヌクレオチド配列を、作動的に連結することができる。発現制御配列には、適切な転写開始配列、転写終結配列、プロモーター配列、およびエンハンサー配列;スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルなど、有効なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳の効率を増強する配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列が含まれる可能性があり、おそらくは、タンパク質の分泌を増強する配列が含まれうる。発現制御配列は、それらが目的の遺伝子、および、トランスで、または距離を置いて作用して、目的の遺伝子を制御する発現制御配列と隣接する場合に、作動的に連結することができる。
【0052】
詳細な実施形態では、組換え発現ベクターを、適切な細胞、例えば、抗原提示細胞、すなわち、ペプチド/MHC複合体をその細胞表面(例えば、樹状細胞)上に提示する細胞へと送達し、これにより、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を含めたCD8T細胞応答など、所望のCCNA1特異的な細胞介在性免疫反応を誘導する。したがって、組換え発現ベクターにはまた、例えば、Bリンパ球特異的転写制御エレメント(TRE)、Tリンパ球特異的TRE、または樹状細胞特異的TREなど、リンパ組織特異的TREも含まれうる。当技術分野では、リンパ組織特異的TREが公知である(例えば、Thompsonら、Mol. Cell. Biol.、12巻、1043〜53頁(1992年);Toddら、J. Exp. Med.、177巻、1663〜74頁(1993年);Penixら、J. Exp. Med.、178巻:1483〜96頁(1993年)を参照されたい)。
【0053】
特定の構成では、組換え発現ベクターが、樹状細胞(DC)成熟/刺激因子をコードするポリヌクレオチド配列を含有しうる。例示的な刺激分子には、GM−CSF、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−15、IL−21、IL−23、TNFα、B7.1、B7.2、4−1BB、CD40リガンド(CD40L)、薬物誘導性CD40(iCD40)などが含まれる。これらのポリヌクレオチドは、樹状細胞内のコード配列の発現を方向付ける、1つまたは複数の制御エレメントの制御下にあることが典型的である。樹状細胞の成熟は、ワクチン接種の成功に寄与する(例えば、Banchereauら、Nat. Rev. Immunol.、5巻:296〜306頁(2005年);Schulerら、Curr. Opin. Immunol.、15巻:138〜147頁(2003年);Figdorら、Nat. Med.、10巻:475〜480頁(2004年)を参照されたい)。成熟は、DCを、抗原捕捉に能動的に関与する細胞から、T細胞プライミングに特化した細胞へと形質転換しうる。例えば、CD4ヘルパーT細胞上におけるCD40のCD40Lによる係合は、DC成熟の重要なシグナルであり、CD8+T細胞の強力な活性化を結果としてもたらす。このような刺激分子をまた、成熟因子または成熟刺激因子とも称する。
【0054】
特定の実施形態は、ベクターに加えて、本明細書で開示される、ベクターを含む宿主細胞にも関する。当技術分野では、多くの適切な宿主細胞が利用可能であることを当業者は容易に理解する。宿主細胞には、ベクターを施されるかまたは核酸および/もしくはタンパク質の組込みを施される、任意の個別の細胞または細胞培養物のほか、任意の子孫細胞も含まれうる。宿主細胞という用語はまた、遺伝子的または表現型的に同じ場合であれ、異なる場合であれ、宿主細胞の子孫細胞も包摂する。適切な宿主細胞は、ベクターに依存する可能性があり、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および細菌細胞が含まれうる。これらの細胞を、ウイルスベクター、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン、電気穿孔、マイクロインジェクション、または他の方法を介する形質転換を用いることにより、ベクターまたは他の物質を組み込むように誘導することができる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、2版(Cold Spring Harbor Laboratory、1989年)を参照されたい。
【0055】
特定の実施形態では、T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有する、本明細書で記載されるCCNA1由来ポリペプチドの免疫原性変異体が提供され、これらの変異体には、本明細書で提示される、式(I)または配列番号1〜8の配列と比べて、アミノ酸配列内に1または複数のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を有するポリペプチド種が含まれる。アミノ酸の保存的置換は周知であり、ポリペプチド内で自然発生する場合もあり、ポリペプチドを組換えにより作製する場合に導入される場合もある。アミノ酸の置換、欠失、および付加は、周知であり、日常的に実施される突然変異誘発法(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY、2001年を参照されたい)を用いて、ポリペプチドへと導入することができる。オリゴヌクレオチドにより方向付けられた部位特異的(またはセグメント特異的)突然変異誘発手順を使用して、特定のコドンを所望の置換、欠失、または挿入に従い変化させた、改変ポリヌクレオチドをもたらすことができる。また、免疫原として用いうる特異的ペプチドの欠失変異体または切断変異体も、所望の欠失に隣接して、好適な制限エンドヌクレアーゼ部位を用いることにより構築することができる。制限の後、突出を充填し、DNA再ライゲーションを施すことができる。代替的に、アラニン走査突然変異誘発などのランダム突然変異誘発法、エラープローンポリメラーゼ連鎖反応による突然変異誘発、およびオリゴヌクレオチドにより方向付けられた突然変異誘発を用いて、免疫原ポリペプチド変異体を調製することもできる(例えば、Sambrookら、前出を参照されたい)。特定のCCNA1由来免疫原(またはそのポリペプチド断片)の種(または変異体)には、本明細書で開示される例示的なアミノ酸配列(例えば、配列番号1〜8、または配列番号1〜8のうちの少なくとも1つが存在しうる20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、もしくは9アミノ酸以下のポリペプチド)のうちのいずれかに対する、少なくとも85%、90%、95%、または99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチド免疫原が含まれうる。
【0056】
これらのCCNA1由来ペプチド免疫原の変異体は、本明細書で記載される、T細胞に対して免疫原性である、それぞれのCCNA1由来ペプチド(例えば、配列番号1〜8)の1つまたは複数の生物学的活性または生物学的機能を保持する。特に、本明細書で記載されるCCNA1由来ペプチドの変異体である、このような免疫原は、統計学的に、臨床的に、または生物学的に有意な形で、T細胞応答(細胞傷害性Tリンパ球応答を含めた)を誘導する能力を保持する。ポリペプチド内に突然変異を導入し、ポリペプチド断片を調製し、断片および変異体を単離し、このような生成物を解析するために、当技術分野で日常的に実施される多くの分子生物学、タンパク質発現、およびタンパク質単離の技法および方法を踏まえると、所望の生物学的活性を有する免疫原性CCNA1ポリペプチドの変異体およびその断片は、本明細書における開示に基づき、容易に、かつ、不要な実験を伴わずに作製することができる。
【0057】
当業者に公知の多様な基準により、ペプチド内またはポリペプチド内の特定の位置において置換されたアミノ酸が、保存的である(または類似する)のかどうかが示される。例えば、類似するアミノ酸置換または保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置きかえられた置換である。類似するアミノ酸は、以下の類型:塩基性側鎖を伴うアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン);酸性側鎖を伴うアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸);非帯電極性側鎖を伴うアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、ヒスチジン);非極性側鎖を伴うアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);ベータ−分枝側鎖を伴うアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を伴うアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)に包含されうる。分類がより困難であると考えられるプロリンは、脂肪族側鎖(例えば、ロイシン、バリン、イソロイシン、およびアラニン)を有するアミノ酸と特性を共有する。特定の状況では、グルタミンのグルタミン酸への置換またはアスパラギンのアスパラギン酸への置換は、グルタミンおよびアスパラギンが、それぞれ、グルタミン酸およびアスパラギン酸のアミド誘導体である点で、類似する置換と考えることができる。当技術分野で理解される通り、2つのポリペプチドの間の「類似性」は、アミノ酸配列およびそのポリペプチドのアミノ酸配列に対する保存的なアミノ酸置換基を、第2のポリペプチドの配列と比較する(例えば、GENEWORKS、Align、BLASTアルゴリズム、または本明細書で記載され、当技術分野で実施される他のアルゴリズムを用いて)ことにより決定される。
【0058】
CCNA1の免疫原性ペプチド断片について本明細書で記載される通り、それぞれの変異体が、非変異体のポリペプチドまたは断片と同等なコンフォメーションへとフォールドするのかどうかを評価するためのアッセイには、例えば、タンパク質が、天然エピトープまたはフォールドしていないエピトープに特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体と反応する能力、リガンド結合機能の保持、および突然変異体タンパク質の、プロテアーゼによる消化に対する感受性または抵抗性についてのアッセイが含まれる(Sambrookら、前出を参照されたい)。このような変異体は、本明細書で記載される方法、または当業者により日常的に実施される当技術分野で公知の他の方法に従い、同定することもでき、特徴付けることもでき、かつ/または作製することもできる。
【0059】
本明細書で記載される免疫原性組成物中に組み入れられる単離/組換え免疫原は、分子生物学および/またはポリペプチド精製の技術分野で日常的に実施される多様な方法および技法に従い作製および調製することができる。目的の免疫原を組換えにより作製するために用いられる発現ベクターの構築は、限定せずに述べると、例えば、Sambrookら(1989年版および2001年版、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NY)およびAusubelら(Current Protocols in Molecular Biology(2003年))において記載される、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミドの精製、およびDNAの配列決定についての標準的な技法が含まれる、当技術分野で公知の多数の適切な分子生物学による操作法のうちのいずれかを用いて達成することができる。効率的な転写および翻訳を得るためには、各組換え発現構築物中のポリヌクレオチド配列に、免疫原をコードするヌクレオチド配列に作動可能に(すなわち、作動的に)連結されたリーダー配列、特に、プロモーターなど、少なくとも1つの適切な発現制御配列(また、調節配列とも呼ばれる)を組み入れる。
【0060】
組換えにより作製される免疫原性ペプチドを単離および精製するために用いうる方法は、例を目的として述べると、組換え免疫原を培養培地へと分泌する適切な宿主細胞/ベクター系からの上清を得るステップと、次いで、市販されているフィルターを用いて培地を濃縮するステップとを包含しうる。濃縮の後、濃縮物は、単一の適切な精製マトリックスへと適用することもでき、アフィニティーマトリックスまたはイオン交換樹脂など、一連の適切なマトリックスへと適用することもできる。1つまたは複数の逆相HPLCステップを使用して、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。これらの精製法はまた、免疫原をその天然環境から単離する場合にも使用することができる。本明細書で記載される単離/組換え免疫原のうちの1つまたは複数を大スケールで作製するための方法には、適切な培養条件を維持するようにモニタリングおよび制御されるバッチ細胞培養が含まれる。免疫原の精製は、国内および外国の規制機関による法規およびガイドラインに適合する、本明細書で記載され、当技術分野でも公知の方法に従い実施することができる。
【0061】
被験体における悪性状態の存在とは、被験体における、例えば、新生物性細胞、腫瘍細胞、非接触阻止細胞、または腫瘍形成的な形質転換細胞など(例えば、リンパ腫および急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病などの白血病を含めた血液がん)を含めた、異形成性細胞、がん性細胞、および/または形質転換細胞の存在であって、当技術分野に公知であり、それについての診断および分類のための基準が確立されている細胞の存在を指す(例えば、HanahanおよびWeinberg、2011年、Cell、144巻:646頁;HanahanおよびWeinberg、2000年、Cell、100巻:57頁;Cavalloら、2011年、Canc. Immunol. Immunother.、60巻:319頁;Kyrigideisら、2010年、J. Carcinog.、9巻:3頁)。本発明により想定される好ましい実施形態では、例えば、このようながん細胞は、これらの種類のがんのうちのいずれかを誘発および累代移植することが可能ながん幹細胞を含めた、急性骨髄性白血病、B細胞リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ芽球性白血病、または骨髄腫の細胞でありうる(例えば、Parkら、2009年、Molec. Therap.、17巻:219頁を参照されたい)。
【0062】
本明細書で記載される、T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有するCCNA1由来ポリペプチド(例えば、配列番号1〜8、およびそれらの変異体)は、T細胞の活性化または誘導の決定が含まれ、また、抗原特異的なT細胞応答の決定も含まれる、T細胞活性をアッセイするための、当技術分野で受容された多数の方法のうちのいずれかに従い機能的に特徴付けることができる。例には、T細胞増殖、T細胞サイトカインの放出、抗原特異的T細胞の刺激、MHCに拘束されるT細胞の刺激、CTL活性(例えば、あらかじめ投入された標的細胞からの
51Cr放出を検出することによる、および/またはカスパーゼ3アッセイ(例えば、Jeromeら、2003年、Apoptosis、8巻:563頁;Heら、2005年、J. Imm. Meth.、304巻:43頁)による)、T細胞の表現型マーカー発現の変化、およびT細胞機能についての他の測定値の決定が含まれる。これらのアッセイおよび類似のアッセイを実施するための手順は、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques、1998年)において見出すことができる。また、Current Protocols in Immunology;Weir、Handbook of Experimental Immunology、Blackwell Scientific、Boston、MA(1986年);MishellおよびShigii(編)、Selected Methods in Cellular Immunology、Freeman Publishing、San Francisco、CA(1979年);GreenおよびReed、Science、281巻:1309頁(1998年)、ならびにこの文献において引用されている参考文献も参照されたい。
【0063】
サイトカインレベルは、例えば、ELISA、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色、およびフローサイトメトリー、ならびにこれらの組合せ(例えば、細胞内サイトカイン染色およびフローサイトメトリー)を含め、本明細書で記載され、当技術分野でも実施される方法に従い決定することができる。免疫反応の抗原特異的誘発または刺激から生じる免疫細胞の増殖およびクローン増加は、末梢血細胞またはリンパ節に由来する細胞による試料中の循環リンパ球などのリンパ球を単離し、これらの細胞を抗原で刺激し、トリチウム化チミジンアッセイまたはMTTアッセイなどの非放射性アッセイの組込みなどを介して、サイトカインの産生、細胞増殖、および/または細胞生存率を測定することにより決定することができる。本明細書で記載される免疫原の、Th1免疫反応とTh2免疫反応との間の平衡に対する影響は、例えば、IFN−γ、IL−12、IL−2、およびTNF−βなどのTh1サイトカイン、ならびにIL−4、IL−5、IL−9、IL−10、およびIL−13などの2型サイトカインのレベルを決定することにより検討することができる。
【0064】
したがって、CTL免疫反応のレベルは、本明細書で記載され、当技術分野でも日常的に実施される多数の免疫学的方法のうちのいずれか1つにより決定することができる。CTL免疫反応のレベルは、本明細書で記載される、T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有するCCNA1由来ポリペプチドのうちのいずれか1つの投与(またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物の投与)の前および後に決定することができる。CTL活性を決定するための細胞傷害作用アッセイは、当技術分野で日常的に実施されるいくつかの技法および方法のうちのいずれか1つを用いて実施することができる(例えば、Henkartら、「Cytotoxic T−Lymphocytes」、Fundamental Immunology、Paul(編)(2003年、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA)、1127〜50頁、およびこの文献において引用されている参考文献を参照されたい)。
【0065】
結合パートナーまたは抗体は、抗体が、検出可能なレベルで、免疫原またはその免疫原性断片と、好ましくは、約10
4M
−1以上、または約10
5M
−1以上、約10
6M
−1以上、約10
7M
−1以上、または10
8M
−1以上のアフィニティー定数K
aで反応する場合に、目的の免疫原「に免疫特異的」であるか、目的の免疫原「に特異的」であるか、または目的の免疫原「に特異的に結合する」という。抗体の、そのコグネイトの抗原に対するアフィニティーはまた、一般に解離定数K
Dとしても表され、抗体は、それが10
−4M以下、約10
−5M以下、約10
−6M以下、10
−7M以下、または10
−8M以下のK
Dで結合する場合に、目的の免疫原に特異的に結合する。
【0066】
結合パートナーまたは抗体のアフィニティーは、従来の技法、例えば、Scatchardら(Ann. N.Y. Acad. Sci. USA、51巻:660頁(1949年))により記載されている技法を用いて容易に決定することができ、表面プラズモン共鳴(SPR;BIAcore(商標)、Biosensor、Piscataway、NJ)によっても決定することができる。表面プラズモン共鳴では、標的分子を固相上に固定化し、フローセルに沿って移動する移動相中の結合パートナー(またはリガンド)へと曝露する。固定化された標的へのリガンド結合が生じると、局所的な屈折率が変化して、反射光の強度の変化を検出することによりリアルタイムでモニタリングしうる、SPR角の変化がもたらされる。SPRシグナルの変化速度を解析して、結合反応の会合相および解離相についての見かけの速度定数をもたらすことができる。これらの値の比により、見かけの平衡定数(アフィニティー)が与えられる(例えば、Wolffら、Cancer Res.、53巻:2560〜2565頁(1993年)を参照されたい)。
【0067】
抗原特異的T細胞応答は、任意の本明細書で記載されるT細胞の機能的パラメータ(例えば、増殖、サイトカイン放出、CTL活性、細胞表面マーカー表現型の変化など)に従い観察されたT細胞応答の比較であって、適切な文脈において、コグネイトの抗原(例えば、免疫適合性の抗原提示細胞により提示される場合のT細胞をプライミングするかまたは活性化させるのに用いられる抗原)へと曝露されたT細胞と、同じ供給源集団に由来するT細胞であり、代わりに構造的に異なるかまたは非関与性の対照抗原へと曝露されたT細胞との間でなされうる比較により決定することが典型的である。コグネイトの抗原に対する応答であって、対照抗原に対する応答より統計学的に有意に大きな応答が、抗原特異性を意味する。
【0068】
T細胞により認識され、これに対して免疫原性であるエピトープを含有する、本明細書で記載される免疫原性CCNA1由来ポリペプチドに対する免疫反応の存在およびレベルを決定するために、生物学的試料を、被験体から得ることができる。本明細書で用いられる「生物学的試料」は、被験体または生物学的供給源に由来する血液試料(ここから血清または血漿を調製することができる)、生検の検体、体液(例えば、肺洗浄液、腹水、粘膜洗浄液、滑液)、骨髄、リンパ節、組織の外植片、器官の培養物、または他の任意の組織調製物もしくは細胞調製物でありうる。生物学的試料はまた、任意の免疫原性組成物を施される前に被験体から得ることもでき、この生物学的試料は、ベースライン(すなわち、免疫化前)データを確立するための対照として有用である。
【0069】
免疫反応を決定するための、本明細書で記載される全てのイムノアッセイおよび方法に関してもまた、当業者は、これらの方法を実施する場合に適切に組み込まれる実験の制御条件を容易に察知および理解するであろう。反応成分の相互作用を可能とするのに十分な、反応成分の濃度、緩衝液の種類、温度、および時間は、本明細書で記載され、当業者が精通している方法に従い決定および/または調整することができる。
【0070】
当技術分野で一般に言及され、本明細書でも用いられる通り、配列同一性と配列相同性とは、互換的に用いることができ、一般に、候補配列中で、配列決定し、必要な場合は、ギャップを導入して、保存的置換を配列同一性の一部と考えずに最大の配列同一性パーセントを達成した後で、天然のポリヌクレオチド配列中またはポリペプチド配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のそれぞれと同一なヌクレオチドまたはアミノ酸残基の百分率を指す。したがって、本明細書で記載される、ヒトサイクリンA1(CCNA1)に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチドまたはコードポリヌクレオチドは、本明細書で開示される実施形態に従い、アミノ酸残基のうちの(またはこのようなCCNA1由来ポリペプチドのコードポリヌクレオチド中のヌクレオチドのうちの)少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%を、本明細書で、配列番号1〜8として開示される免疫原性ペプチドと共有することが好ましい。このような配列同一性は、FASTA、Gap、Bestfit、BLASTなど、University of Wisconsin Genetics Computer Group(Madison、WI)から入手可能なアルゴリズムを含めた、周知の配列解析アルゴリズムに従い決定することができる。
【0071】
本発明の特定の実施形態によればまた、本明細書で記載される、CCNA1 T細胞エピトープ含有ペプチドのN末端伸長が、それと会合してペプチドが抗原提示細胞(APC)の表面において提示されうるクラスIの主要組織適合複合体(MHC)抗原への、ペプチドの結合のアフィニティー、および/またはCCNA1特異的T細胞のT細胞受容体への、ペプチドの結合を変化させうるのに対し、C末端伸長もまた、CCNA1由来ペプチドの結合および/または活性を増強しうることも決定されている。したがって、特定の実施形態では、本明細書で記載される、配列番号1〜8において示されるアミノ酸配列を有するペプチド、および/またはこのようなペプチドの変異体のうちの1つまたは複数の使用が想定され、特定の実施形態は、加えて、または代替的に、それらの配列中に、これらのペプチドのうちのいずれかを組み入れる、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、または9アミノ酸以下のポリペプチドの使用も包含しうる。よって、特定の想定される実施形態は、CCNA1由来T細胞免疫原性ペプチドであって、配列番号1〜8において示されるアミノ酸配列、または、本明細書で記載される通り、CTL応答など、CCNA1に対する抗原特異的T細胞応答を誘発するそれらの能力について選択されうるそれらの変異体に加えて、アミノ末端および/またはカルボキシ末端のペプチド伸長も有するペプチドに関する。
【0072】
医療技術分野の当業者により理解される通り、「〜を処置する」という用語、および「処置」という用語は、被験体(すなわち、ヒトの場合もあり、非ヒト動物の場合もある患者、宿主)の疾患、障害、または状態に対する医療的管理を指す(例えば、Stedman’s Medical Dictionaryを参照されたい)。一般に、適切な投与処置レジメンは、本明細書で記載されるCCNA1由来ペプチド免疫原(例えば、配列番号1〜8およびそれらの変異体)のうちの1つまたは複数をもたらし、場合によって、治療的利益および/または予防的利益をもたらすのに十分な量で、アジュバントをもたらす。治療的処置および/または予防的方法もしくは防止的方法から得られる治療的利益および/または予防的利益には、例えば、臨床転帰の改善が含まれ、この場合の目的は、望ましくない生理学的変化もしくは障害を防止するか、遅延させるか、もしくは他の形で軽減する(例えば、非処置対照と比べて統計学的に有意な形の減殺)か、またはこのような疾患もしくは障害の拡大もしくは重症度を防止するか、遅延させるか、もしくは他の形で軽減することである。被験体の処置から得られる有益な臨床結果または所望の臨床結果には、処置される疾患もしくは障害から生じるかまたはこれらと関連する症状の鎮静、軽減、または緩和;症状の発症の減殺;生活の質の向上;無病状態の延長(すなわち、それに基づいて疾患の診断が下される症状を被験体が提示する可能性または傾向の減殺);疾患の程度の降下;疾患状態の安定化(すなわち、非増悪);疾患進行の遅延化または緩徐化;疾患状態の改善または抑制;および寛解(部分寛解であれ、完全寛解であれ)(検出可能であれ、検出不能であれ);ならびに/あるいは全生存が含まれるがこれらに限定されない。
【0073】
「処置」はまた、被験体が処置を施されなかった場合に予測される生存と比較した場合の生存の延長も意味しうる。本明細書で記載される方法および組成物を必要とする被験体には、疾患または障害を既に有する被験体のほか、疾患もしくは障害を有する傾向にあるかまたはこれを発症する危険性がある被験体が含まれる。予防的処置を必要とする被験体には、疾患、状態、または障害が防止される(すなわち、疾患または障害の発生または再発の可能性が減殺される)べき被験体が含まれる。本明細書で記載される組成物(および組成物を含む調製物)および方法によりもたらされる臨床利益は、in vitroアッセイ、前臨床研究、および組成物の投与が利益をもたらすことが意図される被験体における臨床研究をデザインおよび実行することにより評価することができる。適切な前臨床研究および臨床研究のデザインおよび実行は、関与性の技術分野(複数可)における当業者には容易に実施可能である。
【0074】
単離CCNA1由来ペプチド免疫原(合成または組換えにより作製されるペプチドを含めた)、またはこのようなペプチド(複数可)をコードする組換え発現ベクターは、薬学的にもしくは生理学的に許容される賦形剤もしくは担体または適切な賦形剤もしくは担体により被験体へと投与することができる。薬学的に許容される賦形剤とは、生体適合性の媒体、例えば、本明細書でより詳細に記載される生理食塩液であって、ヒトまたは非ヒト哺乳動物被験体を含めた他の非ヒト被験体への投与に適する生理食塩液である。
【0075】
組換え発現ベクターの投与に関して、治療有効量は、処置されるヒトまたは非ヒト動物において、臨床的に所望の結果をもたらす(すなわち、CCNA1に特異的なT細胞による免疫反応(例えば、細胞傷害性T細胞応答を含めた細胞介在性応答)を、統計学的に有意な形で誘導または増強するのに十分な量のCCNA1由来ペプチド免疫原を発現させる)ことが可能な量のポリヌクレオチドをもたらす。医療技術分野において周知の通り、任意の1例の患者のための投与量は、患者のサイズ、体重、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与回数および投与経路、全般的健康、および共時的に投与される他の薬物を含めた多くの因子に依存する。用量は変化するが、組換え発現ベクターを含む免疫原性組成物の投与に好ましい用量は、およそ10
6〜10
12コピーのベクターポリヌクレオチド分子をもたらすのに十分な用量である。
【0076】
本明細書で記載される、CCNA1特異的T細胞免疫原性組成物を含めた医薬組成物は、医療技術分野の当業者により決定される、処置される(または防止される)疾患または状態に適切な形で投与することができる。組成物の投与に適切な用量ならびに適する持続期間および頻度は、患者の健康状態、患者のサイズ(すなわち、体重、体格、または体面積)、患者の疾患の種類および重症度、特定の形態の有効成分、ならびに投与法などの因子により決定されるであろう。一般に、適切な投与処置レジメンは、治療的利益および/または予防的利益(より高頻度の完全寛解もしくは部分寛解、または無病生存および/もしくは全生存の延長、または症状の重症度の軽減などの臨床転帰の改善を含めた、本明細書で記載される利益などの利益)をもたらすのに十分な量で組成物(複数可)をもたらす。予防的使用では、用量が、疾患もしくは障害と関連する疾患の発症を防止するか、遅延させるか、または疾患の重症度を軽くするのに十分な用量であるものとする。本明細書で記載される方法に従い投与される免疫原性組成物の予防的利益は、前臨床研究(in vitroおよびin vivoにおける動物研究を含めた)および臨床研究を実施し、それらの全てが当業者により容易に実施されうる、適切な統計学的方法および技法、生物学的方法および技法、ならびに臨床的方法および技法を介してこれらから得られるデータを解析することにより決定することができる。
【0077】
一般に、用量中に存在するか、用量中に存在するコードポリヌクレオチドによりin situにおいて産生される、本明細書で記載される注入ポリペプチドを含めた免疫原の量は、宿主1kg当たり約0.01μg〜約1000μgの範囲にある。有効な治療をもたらすのに十分な最小投与量の使用が、通例は好ましい。患者は一般に、処置されるかまたは防止される状態に適するアッセイであって、当業者が精通しており、本明細書でも記載されるアッセイを用いて治療的有効性または予防的有効性についてモニタリングすることができる。液体形態で投与する場合、適する用量サイズは患者のサイズと共に変化するが、10〜60kgの被験体で約1ml〜約500ml(1kg当たり約0.01μg〜約1000μgを含む)の範囲にあることが典型的である。最適の用量は一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を用いて決定することができる。最適の用量は、被験体の体格、体面積、体重、または血液容量に依存しうる。本明細書で記載される、適切な用量はまた、患者(例えば、ヒト)の状態、すなわち、病期、全般的健康状態のほか、年齢、性別、および体重、ならびに医療技術分野の当業者が精通している他の因子にも依存する。
【0078】
本明細書で記載される組換え発現ベクターなど、核酸分子を含む医薬組成物では、核酸分子を、例えば、本明細書で提示されるベクター粒子および組換え発現構築物などの核酸、ならびに細菌性発現系、ウイルス性発現系、および哺乳動物性発現系を含めた、当業者に公知の多様な送達系のうちのいずれかの中に存在させうる。当業者には、ポリヌクレオチド(例えば、DNA)をこのような発現系へと組み込むための技法が周知である。他の特定の実施形態では、DNAであることが典型的な組換え発現ベクターはまた、例えば、Ulmerら、Science、259巻:1745〜49頁(1993年)において記載されており、Cohen、Science、259巻:1691〜92頁(1993年)により総説されている通り、「ネイキッド」でもありうる。ネイキッドDNAの取込みは、DNAを、細胞へと効率的に輸送される生体分解性ビーズへとコーティングすることにより増大させることができる。
【0079】
核酸分子は、当技術分野において記載されるいくつかの方法(例えば、Akhtarら、Trends Cell Bio.、2巻:139頁(1992年);Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics、Akhtar編、1995年;Maurerら、Mol. Membr. Biol.、16巻:129〜40頁(1999年);HoflandおよびHuang、Handb. Exp. Pharmacol.、137巻:165〜92頁(1999年);Leeら、ACS Symp. Ser.、752巻:184〜92頁(2000年);米国特許第6,395,713号;国際特許出願公開第WO94/02595号);Selboら、Int. J. Cancer、87巻:853〜59頁(2000年);Selboら、Tumour Biol.、23巻:103〜12頁(2002年);米国特許出願公開第2001/0007666号および同第2003/077829号を参照されたい)のうちのいずれか1つに従い細胞へと送達することができる。当業者に公知のこのような送達法には、リポソーム内への封入、イオントフォレーシスによる送達、生体分解性ポリマー;ハイドロゲル;シクロデキストリン(例えば、Gonzalezら、Bioconjug. Chem.、10巻:1068〜74頁(1999年);Wangら、国際出願公開第WO03/47518号および同第WO03/46185号を参照されたい);ポリ(乳酸−co−グリコール)酸(PLGA)およびPLGA(PLCA)マイクロスフェア(また、ペプチドおよびポリペプチドならびに他の物質を送達するのにも有用である)(例えば、米国特許第6,447,796号;米国特許出願公開第2002/130430号を参照されたい);生体分解性ナノカプセル;ならびに生体付着性マイクロスフェアなど、他の媒体への組込み、またはタンパク質性ベクター(国際出願公開第WO00/53722号)による送達が含まれるがこれらに限定されない。別の実施形態ではまた、核酸分子を、ポリエチレンイミンおよび、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)誘導体またはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−トリGAL)誘導体など、その誘導体と調合または複合体化することもできる(また、例えば、米国特許出願公開第2003/0077829号も参照されたい)。
【0080】
本明細書で開示される本発明の実施形態のうちのいくつかは、CCNA1過剰発現と関連する状態を有するかまたはこれに対して感受性であることが疑われる被験体または被験体の細胞、組織、もしくは器官に対する防止的処置を包含する。防止的処置は、CCNA1過剰発現と関連する状態を有することが確認されている被験体または被験体の細胞、組織、もしくは器官を処置するのに使用されるレジメン(投薬およびスケジュールのほか、免疫原性CCNA1由来ペプチド、および/または抗原提示細胞もしくは養子移入されたT細胞など、他の治療剤の選択)と同じ場合もあり、これとは異なる場合もある。防止および/または処置はまた、本明細書で開示される組成物、例えば、限定ではなく、例示を目的として述べると、抗原特異的T細胞に対して免疫原性である1つまたは複数のCCNA1由来ペプチドを含むワクチンの使用も包含する。
【0081】
特定の想定される実施形態は、本明細書で記載される組成物および方法を用いて、白血病幹細胞(LSC)を指向するT細胞免疫反応を誘発する免疫療法レジメンに関する。より詳しく、かつ、本明細書で開示される非限定的な理論に従い述べると、本実施形態のうちのいくつかにより、LSCに対して特異的に標的化された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答が誘発されると考えられる。したがって、これらの実施形態および関連する実施形態は、被験体におけるLSC集団を消失させるか、またはこれらを実質的に低減し、これにより、急性骨髄性白血病(AML)など、CCNA1過剰発現によって特徴付けられる白血病の処置に利益をもたらすための高度に特異的な手法をもたらすと考えられる。これらの手法はまた、拘束されたCCNA1過剰発現パターンにより与えられる特異性、および標的特異性の低い多くの免疫療法に随伴する、望ましくない全体化された毒性作用の回避に関連するかつてない利点ももたらす。
【0082】
CCNA1過剰発現と関連する状態には、CCNA1の細胞イベントまたは分子イベントの過小活性、過剰活性、または不適正な活性が存在し、罹患細胞(例えば、AML細胞または白血病幹細胞などの白血病細胞)における、正常細胞と比べて異常に高い(統計学的有意性を伴う)レベルのCCNA1発現から生じることが典型的である、任意の障害または状態が含まれる。このような障害または状態を有する被験体であれば、本明細書で記載される実施形態の組成物または方法による処置から利益を得るであろう。したがって、一部のCCNA1過剰発現と関連する状態には、被験体に特定の障害に対する素因を与える病理学的状態などの急性障害および急性疾患のほか、慢性障害および慢性疾患が含まれうる。
【0083】
CCNA1過剰発現と関連する状態の一部の非限定的な例には、被験体における、腫瘍、新生物、がん、悪性腫瘍などを含めた、活性化細胞状態および/または増殖細胞状態(また、転写活性過剰状態でもありうる)を指す、過剰増殖性障害が含まれる。活性化細胞および/または増殖細胞に加えて、過剰増殖性障害にはまた、壊死による場合であれ、アポトーシスによる場合であれ、細胞死過程の異常または調節異常も含まれうる。このような細胞死過程の異常は、がん(原発性悪性腫瘍、続発性悪性腫瘍のほか、転移を含めた)、および他の状態を含めた多様な状態と関連しうる。
【0084】
特定の実施形態によれば、本明細書で開示される組成物および方法の使用を介して、血液がん(例えば、急性骨髄性白血病(AML)を含めた白血病、T細胞リンパ腫またはB細胞リンパ腫、骨髄腫など)が含まれるがこれらに限定されない、CCNA1過剰発現によって特徴付けられる、事実上任意の種類のがんを処置することができる。さらに、「がん」とは、充実性腫瘍、腹水腫瘍、血液腫瘍、もしくはリンパ腫、または他の悪性腫瘍;結合組織性悪性腫瘍;転移性疾患;器官移植または幹細胞移植の後における最小限の残存疾患;多剤抵抗性がん、原発性悪性腫瘍、続発性悪性腫瘍、悪性腫瘍と関連する血管新生、あるいは他の形態のがんを含めた、任意の細胞増殖の加速化を指す場合もある。本明細書で開示される実施形態内ではまた、上記の種類の疾患のうちの1つだけが包含される特殊な実施形態、またはそれらがCCNA1過剰発現によって特徴付けられるのか否かにかかわらず、特定の状態が除外される特殊な実施形態も想定される。
【0085】
本明細書で想定される特定の処置法または防止法は、それが、特定の所望の細胞の染色体へと安定的に組み込まれるように、所望の核酸分子を含む組成物を投与するステップを包含する。例えば、所望の、CCNA1へと標的化されたT細胞応答を促進するために、このような組成物を、免疫系細胞(例えば、抗原提示細胞および/またはT細胞)へと組み込むことができる。
【0086】
本明細書で用いられる、組成物の投与または治療とは、送達経路または送達方式にかかわらず、組成物を被験体へと送達することを指す。投与は、持続的に行うこともでき、間欠的に行うこともでき、全身的に行うこともでき、局所的に行うこともできる。投与は、認知された状態、疾患、または疾患状態を有することが既に確認された被験体を処置するための投与の場合もあり、このような状態、疾患、または疾患状態に対して感受性であるかまたはこれらを発症する危険性がある被験体のための投与の場合もある。共投与には、任意の順序および任意の投薬スケジュールにおける、複数の薬剤の同時的送達および/または逐次的送達が含まれうる。
【0087】
有効量の治療用組成物または医薬組成物とは、本明細書で記載される所望の臨床結果または有益な処置を達成するのに、必要とされる投与量で、必要とされる期間にわたり十分な量を指す。有効量は、1回または複数回の投与で送達することができる。投与が、疾患または疾患状態を有することが既に分かっているかまたは確認された被験体への投与である場合、処置に言及して「治療量」という用語を用いうるのに対し、疾患または疾患状態に対して感受性であるかまたはこれらを発症する危険性がある被験体への防止的コースとして有効量を投与することについて記載するのに「予防有効量」という用語を用いることができる。
【0088】
医薬組成物
開示される本発明の特定の実施形態では、本明細書で開示される少なくとも1つの組成物(例えば、ヒトサイクリンA1に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチド、またはこれをコードする組換え発現ベクター)を含む医薬組成物を、被験体へと投与する。本明細書で用いられる医薬組成物とは一般に、活性医薬物または他の治療剤と、不活性の場合であれ、活性の場合であれ、賦形剤または担体との組合せを指し、ここで、医薬組成物は、in vivo、in vitro、またはex vivoにおける、予防的使用を含めた治療的使用に適する、CCNA1に対する抗原特異的T細胞応答を誘発することが可能な少なくとも1つの単離ペプチド(またはこれをコードする組換え発現ベクター)を含む。
【0089】
特定の実施形態では、本発明は、単独で、または1つもしくは複数の他の治療モダリティーと組み合わせて細胞または被験体へと投与するための、本明細書で開示される1つまたは複数の組成物の、薬学的に許容される賦形剤または担体中の処方物に関する。所望の場合、本明細書で開示される組成物は、治療剤を含めた他の薬剤とも組み合わせて投与しうることが理解される。このような組成物は、新規に合成することもでき、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製することもできる。
【0090】
本明細書で記載される医薬組成物のうちのいずれかが、薬学的に許容される賦形剤または他の担体を含有することが可能であり、許容される塩を含有しうることが明らかであろう。このような塩は、例えば、有機塩基(例えば、一級アミン、二級アミン、および三級アミン、ならびに塩基性アミノ酸による塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩)を含めた、薬学的に許容される非毒性の塩基から調製することができる。
【0091】
本明細書で記載される医薬組成物(例えば、本明細書で開示される、CCNA1特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチド、またはこれをコードする組換え発現ベクターを含む医薬組成物)では、当業者に公知の任意の適切な担体を使用しうるが、担体の種類は、投与方式に応じて変化することが典型的である。特定の実施形態では、本発明の組成物を、例えば、局所投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈内投与、腫瘍内投与、直腸内投与、非経口投与、腹腔内投与、皮下投与、および筋内投与を含めた、任意の適切な投与様式のために調合することができる。
【0092】
このような医薬組成物と共に用いるための担体は、生体適合性であり、また、生体分解性でもありうる。特定の実施形態では、処方物が、比較的一定レベルの活性成分の放出をもたらすことが好ましい。しかし、他の実施形態では、投与直後における、より急速な放出速度が所望される場合もある。このような組成物による処方物は十分に、公知の技法を用いる当技術分野のレベル内にある。この点で有用な例示的な担体には、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどのマイクロ粒子が含まれる。他の例示的な遅延放出担体には、非液体の親水性コア(例えば、架橋された多糖またはオリゴ糖)と、場合によって、リン脂質などの両親媒性化合物を含む外層とを含むSMBV(supramolecular biovector)(例えば、米国特許第5,151,254号、ならびにPCT出願第WO94/20078号、同第WO/94/23701号、および同第WO96/06638号を参照されたい)が含まれる。徐放処方物中に含有される活性化合物の量は、投与経路、放出の速度および予測される持続期間、ならびに処置または防止される状態の性格に依存する。
【0093】
本発明の特定の実施形態では、生理学的pH条件下の水性相中で可溶性であることが典型的なアルカリ化剤を使用することができる。このようなアルカリ化剤は、当業者に周知であり、これらには、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ホウ砂のほか、塩基性塩(本明細書で論じられる)が含まれうる。
【0094】
別の例示的な実施形態では、生体分解性マイクロスフェア(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸)を、本明細書で開示される組成物のための担体として使用する。適切な生体分解性マイクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号;同第5,407,609号;および同第5,942,252号において開示されている。別の例示的な担体/送達系では、米国特許第5,928,647号において記載されるものなど、宿主におけるクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導することが可能な微粒子−タンパク質複合体を含む担体を使用する。
【0095】
別の例示的な実施形態では、リン酸カルシウムコア粒子を、本発明の組成物のための担体、アジュバント、または制御放出マトリックスとして使用する。特定の実施形態では、被験体の免疫反応を増大させるために、アジュバントが必要でありうる。当技術分野では、アジュバントが周知であり、これらには、サイトカイン、死滅したウイルスもしくは細菌またはその断片、抗体、あるいは免疫反応を増大させる他の任意の薬剤が含まれうる。
【0096】
本明細書で提示される医薬組成物は、1つまたは複数の緩衝液(例えば、中性緩衝生理食塩液またはリン酸緩衝生理食塩液)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース、またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、またはグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、EDTAまたはグルタチオンなどのキレート化剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、処方物を等張性とする溶質であって、レシピエントの血液に対して低張性であるかもしくはわずかに高張性の溶質、懸濁化剤、増粘剤、および/または保存剤をさらに含むことが多い。代替的に、本明細書で記載される組成物は、凍結乾燥物として調合することもできる。
【0097】
本明細書で記載される医薬組成物は、密封されたアンプルまたはバイアルなどの、単位用量用容器または複数回投与用容器内で提示することもできる。このような容器は、使用まで、処方物の無菌性および安定性を保持するような形で密封されることが典型的である。一般に、処方物は、油性媒体中または水性媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンとして保存することができる。代替的に、医薬組成物は、使用直前に無菌の液体担体の添加だけを要請する凍結乾燥状態で保存することもできる。
【0098】
当技術分野では、本明細書で記載される特定の組成物を、例えば、経口投与および経口処方物、非経口投与および非経口処方物、静脈内投与および静脈内処方物、鼻腔内投与および鼻腔内処方物、ならびに筋内投与および筋内処方物を含めた多様な処置レジメンにおいて用いるのに適する投薬処置レジメンの開発が周知であり、それらのうちの一部については、例示を一般的に目的として、以下で簡略に論じる。
【0099】
特定の適用では、本明細書で開示される医薬組成物を、経口投与を介して動物へと送達することができる。したがって、これらの組成物は、不活性の希釈剤または吸収可能な可食性担体と共に調合することもでき、ハードシェルゼラチンカプセルまたはソフトシェルゼラチンカプセル内に封入することもでき、錠剤へと圧縮することもでき、食餌の食物と共に直接組み込むこともできる。医薬組成物は、錠剤、ドロップ剤、丸剤、ロゼンジ剤、カプセル剤、エリキシル剤、散剤、顆粒剤、懸濁液剤、乳剤、シロップ剤、またはチンキ剤の形態をとりうる。また、徐放形態または遅延放出形態(例えば、コーティング粒子、多層型錠剤、または微粒剤の形態の)も調製することができる。
【0100】
組成物はまた、多様なさらなる成分、例えば、トラガントガム、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなど、薬学的に許容される結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタン ガム、ベントナイト、寒天、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;スクロース、ラクトース、グルコース、アスペルテーム、もしくはサッカリンなどの甘味剤;ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはリン酸二カルシウムなどの希釈剤;ペパーミント、ウィンターグリーン油、オレンジ、ラズベリー、バブルガム、またはチェリー香味剤などの香味剤;アクリル酸および/もしくはメタクリル酸および/もしくはこれらのエステルのポリマーもしくはコポリマー、蝋、脂肪アルコール、ゼイン、セラック、またはグルテンなどのコーティング剤;安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または重硫酸ナトリウムなどの保存剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、または滑石などの滑沢剤;および/あるいはモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延剤のうちのいずれかも含有しうる。
【0101】
特定の実施形態では、錠剤または丸剤が、圧縮コーティング形態の場合もあり、代替的に、スプレーコーティング形態の場合もある。圧縮コーティングには、第2の錠剤の圧縮の一部として使用される小型の錠剤または丸剤が組み入れることができ、この場合、小型の錠剤は、外側を圧縮される残りの粉末の中央部近傍に位置する。スプレーコーティングには、錠剤の、活性物質を含有するコーティング調製物によるオーバーコーティングが含まれうる。
【0102】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物が、「徐放」形態または「即放」形態を包含する。本明細書で用いられる「徐放」とは一般に、USP試験装置1(37℃、100RPM)内の水500ml(0.1NのHCl)中に、1時間で20%〜60%の放出、および6時間で70%を超える放出、または2時間で40%〜80%の放出、および6時間で70%を超える放出を指す。一方、「即放」とは一般に、USP試験装置1(37℃、100RPM)内の水500ml(0.1NのHCl)中に、30分間で70%を超える放出を指す。
【0103】
特定の実施形態では、錠剤または丸剤の重量が、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、およびこれらの間またはこれらを超える任意の値の範囲にある。本発明の特定の実施形態の経口剤形は、当技術分野で公知の方法に従い製造することができ、水分保護パッケージング材料内、および/または酸素保護パッケージング材料内、および/または光保護パッケージング材料内を含め、公知の通りにパッケージングすることができる。
【0104】
加えて、液体形態の医薬組成物には、水、油(オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ラッカセイ油、ヤシ油)、液体パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール、トリグリセリド、またはこれらの混合物などの液体担体も組み入れることができる。
【0105】
対象の組成物を非経口投与する場合はまた、組成物に、無菌で水性または油性の溶液または懸濁液も組み入れることができる。非毒性で非経口の許容される適切な希釈剤または溶媒には、水、リンゲル液、等張性塩溶液、水と混合された1,3−ブタンジオール、エタノール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール(polythethylene glycol)が含まれる。水溶液または水性懸濁液は、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ砂、または酒石酸ナトリウムなど、1つまたは複数の緩衝剤もさらに含みうる。当然ながら、任意の用量単位処方物を調製するのに用いられる任意の物質は、薬学的に純粋であり、使用される量で実質的に非毒性であるものとする。加えて、活性化合物は、徐放調製物および徐放処方物へも組み込むことができる。本明細書で用いられる用量単位形態とは、処置される被験体のための単回投与用投与量として適する物理的に個別の単位を指し、各単位は、要請される医薬担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含有しうる。用量単位形態についての明細は、活性化合物の独自の特徴および達成される特定の治療効果または予防効果のほか、被験体における処置のためにこのような活性化合物を混ぜ合わせる技術分野に固有の限界により大部分が決まり、これらに直接に依存する。例示的で非限定的な投与量は、0.1〜10mg/kg、1.0〜20mg/kg、5.0〜50mg/kg、10〜100mg/kg、またはこれらの間の任意の値の範囲でありうる。
【0106】
これらの処方物は、活性物質の重量で少なくとも約0.01%以上の活性化合物を含有することが典型的であろう。しかし、有効成分(複数可)の百分率は、変化する場合があり、全処方物の重量または容量のうちの約60%または70%以上を含めた約1〜99%の間であると好都合でありうる。当然ながら、治療的に有用な各々の組成物中の活性化合物(複数可)の量は、化合物の所与の任意の単位用量中に、適切な投与量が得られるような形で調整することができる。このような医薬処方物を調製する技術分野の当業者には、可溶性、バイオアベイラビリティー、生体内半減期、投与経路、製品保管寿命などの因子のほか、他の薬理学的検討事項が想定されるであろうし、したがって多様な投与量および処置レジメンも所望でありうる。
【0107】
特定の状況では、本明細書で開示される医薬組成物を、局所送達、経口送達、皮下送達、非経口送達、静脈内送達、筋内送達、なおまたは腹腔内送達することが所望される。当業者にはこのような手法が周知であり、それらのうちの一部は、例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号;および米国特許第5,399,363号においてさらに記載されている。特定の実施形態では、遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中の溶液を調製することができる。また、グリセロール中、液体のポリエチレングリコール中、およびこれらの混合物中、ならびに油中の分散液も調製することができる。通例の保存条件下および使用条件下では、これらの調製物が一般に、微生物の成長を防止する保存剤を含有するであろう。
【0108】
一実施形態では、水溶液による非経口投与のために、必要な場合、溶液を適切に緩衝し、液体の希釈剤をまず、十分な生理食塩液またはグルコースで等張性とするべきである。これらの特定の水溶液はとりわけ、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適する。この関連で述べると、当業者には、本開示に照らして使用されうる無菌の水性媒体が公知であろう。例えば、1回分の投与量を、1mlの等張性NaCl溶液中に溶解させ、1000mlの皮下注入用流体へと添加するか、または提起される注入部位に注射することができる(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照されたい)。処置される被験体の状態に応じて、ある程度の投与量のばらつきは、必然的に生じるであろう。さらに、ヒト投与のために、調製物は、FDA Office of Biologicsの基準により要請される、無菌性、発熱物質性、ならびに一般的な安全性基準および純度基準を満たすことが好ましい。
【0109】
本発明の別の実施形態では、本明細書で開示される組成物を、中性形態または塩形態で調合することができる。薬学的に許容される例示的な塩には、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸により形成される(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)酸添加塩が含まれる。また、遊離カルボキシル基により形成される塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。調合されると、溶液を、剤形に適合的な形で、かつ、治療的に有効となるような量で投与する。
【0110】
担体は、任意、かつ、全ての溶媒、分散媒、媒体、コーティング、希釈剤、抗菌剤、および抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤、緩衝液、担体溶液、懸濁液、コロイドなどをさらに含みうる。当技術分野では、医薬活性物質のためのこのような媒質および薬剤の使用が周知である。任意の従来の媒質または薬剤が有効成分と不適合性である場合を除き、治療用組成物中のその使用が想定される。また、有効成分補助物質も、組成物へと組み込むことができる。「薬学的に許容される」という語句は、ヒトへと投与されたときにアレルギー性の有害反応または類似の有害反応をもたらさない分子実体および組成物を指す。
【0111】
特定の実施形態では、医薬組成物を、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアゾール送達媒体により送達することができる。遺伝子、核酸、およびペプチド組成物を、経鼻エアゾールスプレーを介して肺へと直接送達するための方法については、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号において記載されている。医薬技術分野ではまた同様に、鼻腔内マイクロ粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release、1998年3月2日、52巻(1〜2号):81〜7頁)およびリゾホスファチジルグリセロール化合物(米国特許第5,725,871号)を用いる薬物の送達も周知である。米国特許第5,780,045号では、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroetheylene)支持マトリックスの形態における経粘膜薬送達の例示的な例が記載されている。
【0112】
特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物を適切な宿主細胞/生物へと導入するために、リポソーム、ナノカプセル、マイクロ粒子、マイクロカプセル化、脂質粒子、小胞などを用いる。特に、このような組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、マイクロスフェア、またはマイクロ粒子、ナノ粒子などに封入された送達用に調合することができる。代替的に、本明細書で開示される組成物は、このような担体媒体の表面へと、共有結合的に結合させることもでき、非共有結合的に結合させることもできる。
【0113】
当業者には、リポソームおよびリポソーム様調製物の、潜在的な薬物担体としての形成および使用が一般に公知である。リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物、およびPC12細胞を含めた他の手順によりトランスフェクトすることが通常では困難な多数の細胞型と共に用いられて成功している(Renneisenら、J Biol Chem.、1990年9月25日、265巻(27号):16337〜42頁;Mullerら、DNA Cell Biol.、1990年4月、9巻(3号):221〜9頁)。加えて、リポソームには、ウイルスベースの送達系に典型的なDNA長の制約もない。リポソームは、遺伝子、多様な薬物、放射性治療剤、酵素、ウイルス、転写因子、アロステリックエフェクターなどを、多様な培養細胞系および動物へと導入するのに有効に用いられている。さらに、リポソームの使用は、全身送達後における自己免疫反応または許容不可能な毒性とも関連しないと考えられる。
【0114】
特定の実施形態では、リポソームを、水性媒質中に分散し、多重膜性の同心二重層による小胞(また、多重膜性小胞(MLV)とも称する)を自発的に形成するリン脂質から形成する。
【0115】
代替的に、他の実施形態では、本発明は、本発明の組成物の、薬学的に許容されるナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは一般に、化合物を、安定的、かつ、再現可能な形で取り込みうる。細胞内へのポリマーの過剰投入に起因する副作用を回避するためには、in vivoにおいて分解可能なポリマーを用いて、このような超微粒子(約0.1μmのサイズ)をデザインすることができる。このような粒子は、例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.、1988年、5巻(1号):1〜20頁;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.、1998年3月、45巻(2号):149〜55頁;Zambauxら、J Controlled Release、1998年1月2日、50巻(1〜3号):31〜40頁;および米国特許第5,145,684号により記載される通りに作製することができる。
【0116】
投薬スケジュール
本明細書で記載される治療用組成物の投与経路および投与頻度のほか、投与量は、個体によって変化し、標準的な技法を用いて容易に確立することができる。一般に、医薬組成物は、注射(例えば、経皮注射、筋内注射、静脈内注射、または皮下注射)により投与することもでき、鼻腔内投与(例えば、吸引により)または経口投与により投与することもできる。当業者による、適切な剤形および薬剤を投与する適切な方法の決定は容易である。特定の場合には、ヒトサイクリンA1に対するCCNA1特異的T細胞応答を誘発することができる単離ペプチド(またはこれをコードする組換え発現ベクター)を、約1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kg、150mg/kg、175mg/kg、200mg/kg、またはこれらの間の任意の値もしくはこれらを超える値で投与することができる。特定の場合には、投薬(および、場合によって、少なくとも1つの他の治療剤の投薬)を、30日の期間にわたって1日〜14日間施すことができる。特定の場合には、投薬(および、場合によって、少なくとも1つの他の治療剤の投薬)を、60日の期間にわたって1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間施すことができる。個別の被験体に対しては、代替的なプロトコールが適切でありうる。適切な用量は、上記の通りに投与されると、症状を変化させるかもしくはこれを改善することが可能な化合物の量であるか、または基礎(すなわち、非処置)レベルを少なくとも10〜50%上回る化合物の量であって、特定の血液成分のレベル、例えば、検出可能な循環白血病細胞のレベルを測定することによりモニタリングしうる化合物の量である。
【0117】
一般に、適切な投与処置レジメンは、活性化合物(複数可)を、治療的利益および/または予防的利益をもたらすのに十分な量でもたらす。このような応答は、処置される被験体における、処置されない被験体と比較した臨床転帰の改善(例えば、より高頻度の完全寛解もしくは部分寛解、または無病生存の延長)を確立することによりモニタリングすることができる。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫反応の増大は一般に、臨床転帰の改善と相関する。このような免疫反応は一般に、当技術分野で日常的であり、処置前および処置後において被験体から得られる試料を用いて実施しうる、標準的な増殖アッセイ、細胞傷害作用アッセイ、またはサイトカインアッセイを用いて評価することができる。
【0118】
組換えDNA、ペプチド合成およびオリゴヌクレオチド合成、イムノアッセイ、ならびに組織培養、ならびに形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のための標準的な技法を用いることができる。酵素反応および精製法は、製造元の仕様書に従い実施することもでき、当技術分野で一般に達成されるか、または本明細書で記載される通りに実施することもできる。これらの技法および手順ならびに関連する技法および手順は一般に、当技術分野において周知であり、微生物学、分子生物学、生化学、分子遺伝学、細胞生物学、ウイルス学、および免疫学による技法の多様な一般的参考文献およびより特殊な参考文献であって、本明細書を通じて引用され、論じられる参考文献において記載されている従来の方法に従い実施することができる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、2008年7月改定);Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley−Interscience;Glover、DNA Cloning: A Practical Approach、IおよびII巻(IRL Press、Oxford Univ. Press USA、1985年);Current Protocols in Immunology(John E. Coligan、Ada M. Kruisbeek、David H. Margulies、Ethan M. Shevach編、Warren Strober、2001年、John Wiley & Sons、NY、NY);Real−Time PCR: Current Technology and Applications、Julie Logan、Kirstin EdwardsおよびNick Saunders編、2009年、Caister Academic Press、Norfolk、UK;Anand、Techniques for the Analysis of Complex Genomes、(Academic Press、New York、1992年);GuthrieおよびFink、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology(Academic Press、New York、1991年);Oligonucleotide Synthesis(N. Gait編、1984年);Nucleic Acid Hybridization(B. HamesおよびS. Higgins編、1985年);Transcription and Translation(B. HamesおよびS. Higgins編、1984年);Animal Cell Culture(R. Freshney編、1986年);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984年);Next−Generation Genome Sequencing(Janitz、2008年、Wiley−VCH);PCR Protocols(Methods in Molecular Biology)(Park編、3版、2010年、Humana Press);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press、1986年);論文、Methods In Enzymology(Academic Press, Inc.、N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J. H. MillerおよびM. P. Calos編、1987年、Cold Spring Harbor Laboratory); HarlowおよびLane、「Antibodies」、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1998年);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker編、Academic Press、London、1987年);Handbook Of Experimental Immunology、I〜IV巻(D. M. WeirおよびCC Blackwell編、1986年);Roitt、Essential Immunology、6版(Blackwell Scientific Publications、Oxford、1988年);Embryonic Stem Cells: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)(Kurstad Turksen編、2002年);Embryonic Stem Cell Protocols: Volume I: Isolation and Characterization(Methods in Molecular Biology)(Kurstad Turksen編、2006年);Embryonic Stem Cell Protocols: Volume II: Differentiation Models(Methods in Molecular Biology)(Kurstad Turksen編、2006年);Human Embryonic Stem Cell Protocols(Methods in Molecular Biology)(Kursad Turksen編、2006年);Mesenchymal Stem Cells: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)(Darwin J. Prockop、Donald G. Phinney、およびBruce A. Bunnell編、2008年);Hematopoietic Stem Cell Protocols(Methods in Molecular Medicine)(Christopher A. KlugおよびCraig T. Jordan編、2001年);Hematopoietic Stem Cell Protocols(Methods in Molecular Biology)(Kevin D. Bunting編、2008年);Neural Stem Cells: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology)(Leslie P. Weiner編、2008年)を参照されたい。
【0119】
特定の定義を提示しない限り、本明細書で記載される分子生物学、分析化学、有機合成化学、ならびに創薬化学および製薬化学との関連で用いられる命名法ならびにこれらの実験室における手順および技法は、周知の手順および技法であり、当技術分野において一般的に用いられている。標準的な技法は、組換え法、分子生物学法、微生物学法、化学合成、化学的分析、医薬の調製、処方、および送達、ならびに患者の処置に用いることができる。
【0120】
別段に明示的に言明されない限り、本明細書で記載される各実施形態は、変更すべき部分を変更して、他の全ての実施形態にも適用されるものとする。
【0121】
文脈により別段に要請されない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体において、「〜を含む(comprisie)」という語、ならびに「〜を含む(comprises)」および「〜を含む(comprising)」などのその変化形は、開かれた、包含的な意味で、すなわち、「〜が含まれるがこれらに限定されない」として解釈されるものとする。「〜からなる」とは含めることを意味し、典型的に、「〜からなる」という語句に後続する任意の全ての語句に限定される。「本質的に〜からなる」とは、この語句に後続して列挙され、列挙される要素の開示において指定される活動または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定される任意の要素を含めることを意味する。したがって、「本質的に〜からなる」という語句は、列挙される要素が要求されるかまたは必須であるが、他の要素は要求されず、それらが列挙される要素の活動または作用に影響を及ぼすかどうかに依存して、存在する場合もあり、存在しない場合もあることを示す。
【0122】
本明細書および付属の特許請求の範囲では、内容により別段であることが明確に規定されない限り、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は、複数の言及を包含する。本明細書で用いられる、具体的な実施形態では、数値に先行する場合の「約」または「およそ」という用語は、その値±5%、6%、7%、8%、または9%の範囲を示す。他の実施形態では、数値に先行する場合の「約」または「およそ」という用語は、その値±10%、11%、12%、13%、または14%の範囲を示す。さらに他の実施形態では、数値に先行する場合の「約」または「およそ」という用語は、その値±15%、16%、17%、18%、19%、または20%の範囲を示す。
【0123】
本明細書全体における「一実施形態」または「ある実施形態」または「ある態様」への言及は、その実施形態との関連で記載される特定の特色、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に包含されることを意味する。したがって、本明細書全体の多様な箇所における「一実施形態では」または「ある実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特色、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態で任意の適切な形に組み合わせることができる。方法のステップが記載されるかまたは特許請求され、かつ、それらのステップが特定の順序で生じるものとして記載される場合、第2のステップ「に先立って」(すなわち、第2のステップの前に)行われる(または実施される)第1のステップについての記載は、第2のステップが第1のステップに「後続して」行われる(または実施される)ことを言明するように書き直した場合と同じ意味を有する。
【0124】
以下の実施例は、例示を目的として提示するものであり、限定を目的として提示するものではない。
【実施例】
【0125】
(実施例1)
ヒトサイクリンA1(CCNA1)の白血病の免疫療法標的としての同定、およびCCNA1 T細胞免疫原性エピトープの特徴付け
本実施例では、差次的遺伝子発現についての解析を実施して、細胞内タンパク質であるサイクリンA1(CCNA1)を、新たなT細胞標的タンパク質の候補として同定した。簡略な背景を目的として述べると、CCNA1は、減数第一分裂を通じて、雄の生殖細胞の発育を調節することが報告され、したがって、精巣において選択的に発現した(Yangら、1997年、Cancer Res、57巻(5号):913〜920頁;Wolgemuthら、2004年、Int J Androl、27巻(4号):192〜199頁、doi:10.1111/ j.1365− 2605.2004. 00480.x IJA480 [pii])。公表された報告は、CCNA1−/−マウスが、生存可能であり、雄不妊症を除き、表現型的に正常であったことを示している(Krugら、2009年、Int J Oncol、34巻(1号):129〜136頁;Nickersonら、2007年、Dev Biol、306巻(2号):725〜735頁、doi:S0012−1606 (07) 00783−X [pii] 10.1016/j.ydbio. 2007.04.009)。CCNA1はまた、AMLのほか、他の悪性腫瘍において異常に発現することも示された(Yangら、1997年、Cancer Res、57巻(5号):913〜920頁;Stirewaltら、2008年、Genes Chromosomes Cancer、47巻(1号):8〜20頁、doi:10.1002/gcc.20500)。AMLにおいて、CCNA1は、増殖促進活性および抗アポトーシス活性を介して悪性の表現型を維持し(Chanら、2009年、Oncogene、28巻(43号):3825〜3836頁、doi: onc 2009236 [pii] 10.1038/onc.2009.236;Jangら、2008年、Cancer Res、68巻(12号):4559〜4570頁、doi: 68/12/4559 [pii] 10.1158/0008−5472.CAN− 08−0021;Jiら、2007年、Int J Cancer、121巻(4号):706〜713頁、doi:10.1002/ijc. 22634)、マウスにおけるCCNA1の過剰発現は、マウスのうちの15%において異形成性骨髄造血および可植性骨髄性白血病を引き起こした(Liaoら、2001年、Proc Natl Acad Sci USA、98巻(12号):6853〜6858頁、doi:10.1073/ pnas.12154 0098 12154 0098 [pii])。
【0126】
本実施例では、CCNA1が、健常ドナーからCD8+T細胞を生成するのに用いられうる、潜在的に免疫原性の、多数のMHCクラスIエピトープを保有する精巣白血病抗原として作用することが示される。このようにして創出したT細胞は、白血病細胞を認識し、溶解させることが可能であった。
【0127】
材料および方法
ヒト試料:定量的リアルタイムPCR(qRT PCR)のために、末梢血および骨髄(BM)に由来するAML患者の単核細胞、慢性骨髄性白血病(CML)患者および骨髄異形成症候群(MDS)を伴う患者に由来するBM単核細胞、ならびにGM−CSF動員CD34+細胞を、白血球分離またはFicoll−Hypaque(Biochrom、Cambrige、UK)により単離した。全てのAML試料は、60%を超える(平均84%の)悪性細胞を含有した。細胞は、Fred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)、Seattle、WA、USA、およびCharite Campus Benjamin Franklin、Berlin、Germanyにおいて回収した。T細胞系を創出するため、白血球分離による生成物を、FHCRC、Seattleにおいて、2例の健常ドナーから得た。書面による説明同意の後、それぞれの施設の倫理審査委員会の承認の上で全ての試料を回収した。
【0128】
細胞系:記載される(Riddellら、1991年、J Immunol、146巻(8号):2795〜2804頁)通りに、エプスタイン−バーウイルス(EBV)形質転換リンパ芽球様細胞系(LCL)を創出した。TM−LCLを、Rapid Expansion Protocol(REP)(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁、doi:S0022−1759 (05) 00429−1 [pii] 10.1016/ j.jim.2005. 11.023)におけるフィーダー細胞として用いた。エピトープを提示するために用いたT細胞/B細胞ハイブリッド細胞系であるT2が発現させたのはHLA A
*0201だけであり、TAPは欠損した。LCL721.221は、放射線により誘導される関与性の対立遺伝子の欠失に起因して、HLAクラスIを発現させず、HLA A
*0201を含有するレトロウイルスベクターであるpLBPC(Akatsukaら、2002年、Tissue Antigens、59巻(6号):502〜511頁、doi: tan 590607 [pii])により安定的に形質導入された。LCL細胞およびT2細胞は、記載される(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁、doi: S0022−1759 (05) 00429−1 [pii] 10.1016/ j.jim.2005. 11.023)通りに維持した。K562(CML)細胞系、THP−1細胞系、HL60細胞系、KG1(AML)細胞系、およびU937細胞系(単球性細胞系)は、100U/mlのペニシリン、100g/mlのストレプトマイシン(Invitrogen、Carlsbad、CA)、および10%のウシ胎仔血清(FBS)を補充したRPMI1640中で維持し、THP−1細胞系にはまた、50Mのβメルカプトエタノール(Sigma、St. Louis、MO)も添加した。CTLおよび樹状細胞(DC)は、記載される(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁)通りに維持した。
【0129】
マイクロアレイによるデータ解析:本研究では、マイクロアレイデータセット(Affymetrix、Santa Clara、CA)の2つのパネル:(1)9例のAML LSC試料(系統:CD34+、CD38−、CD90、(Majetiら、2009年、Proc Natl Acad Sci USA、106巻(9号):3396〜3401頁)、7例の対応する白血病性芽球試料(系統:CD34)、4例のHSC試料(系統:CD34+、CD38−、CD90+(Majetiら、2009年、Proc Natl Acad Sci USA、106巻(9号):3396〜3401頁))、ならびに末梢血単核細胞(PBMC)、CD34+ BM単核細胞、および組織のデータセット(NCBI GEOサーバーのGSM(登録商標):HG U133 plus 2.0フォーマットで、279585〜279588、414970、414972、414975、419165〜419174、457175〜457177、483480〜483496、80576、80582、80602、80615、80619、80653、80689、80712、80734、80738、80739、80759、80792、80824、80826、80867、80869);ならびに(2)30例のAML細胞試料(>75%の悪性細胞;Stirewaltら、2008年、Genes Chromosomes Cancer、47巻(1号):8〜20頁;および未公表の文献)および58例の組織試料(NCBI GEOサーバーのGSM(登録商標):HG U133Aフォーマットで、18873、18874、18881、18882、18899〜18906、18909、18910、18917、18918、18921、18922、18943〜18962、18965、18966、18969〜18974、18977、18978、18981、18982、18995〜18998、19001、19002、19013、19014、44671〜44693、44699〜44706)を用いた。試料は、不変集合法(dChip 2.0ソフトウェア、Liら、2001年、Proc Natl Acad Sci USA、98巻(1号):31〜36頁)を用いて標準化した。単一プローブセットレベルでパネルを解析する前に、教師なし階層的クラスタリングを実施して、データセットの生物学的背景ではなく、試料の由来に従うクラスタリングを除外した。両側マン−ホイットニー検定を用いて、LSC中のプローブセットである205899_atの発現値を、他の細胞型の場合と比較した。両側ウィルコクソンの符号順位検定を用いて、7例の対のあるLSC試料および対応する白血病性芽球(系統:CD34−)試料のCCNA1発現値を比較した。
【0130】
定量的リアルタイムPCR:全RNAは、Trizol試薬(Invitrogen)またはRNeasy Miniキット(Qiagen、Hilden、Germany)を用いて抽出した。逆転写は、Superscript III(Invitrogen)またはOmniscript(Qiagen)を用いて実施した。Clontech(Mountain View、CA)から、プールされた健常組織に由来するcDNAのパネルを購入し、Cambrex(Rutherford、NJ)から、5例の健常BM試料を購入した。ABI7500マシン(Applied Biosystems、Carlsbad、CA)において、TA=60℃で、以下のプライマーおよびプローブ:
グリセルアルデヒド3−リン酸塩デヒドロゲナーゼ(GAPDH)_フォワード:
GAG TCA ACG GAT TTG GTC GT[配列番号11]
5’端における6FAM(6−カルボキシフルオレセイン)および3’端におけるTAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)で標識したGAPDH_プローブ:
GAT ATT GTT GCC ATC AAT GAC CCC T[配列番号12];
GAPDH_リバース:GAC AAG CTT CCC GTT CTC AG[配列番号13];
CCNA1_フォワード:CAT GAA GAA GCA GCC AGA CA[配列番号14];
5’端における6FAM(6−カルボキシフルオレセイン)および3’端におけるTAMRA(カルボキシテトラメチルローダミン)で標識したCCNA1_プローブ:
TTC GAG CAG AGA CCC TGT ATC TGG[配列番号15];
CCNA1_リバース:TTC GAA GCC AAA AGC ATA GC[配列番号16]
を用いて、2ステップの定量的RT PCRを実施した。
【0131】
記載される(Keilholzら、2004年、Clin Cancer Res、10巻(5号):1605〜1612頁)通りに、それぞれのPCR産物を含有するpCR4−TOPOプラスミド(Invitrogen)の検量線に対するクロッシングポイントをプロットした。全ての反応は、二連で実施した。CCNA1発現は、GAPDHのコピー通りに与えられる。
【0132】
サイトカインおよびペプチド:組換えヒトIL−1、IL−4、IL−7、IL−15、およびTNFαは、R&D Systems(Minneapolis、MN)から得、IL−2およびGM−CSFは、Chiron(Emeryville、CA)から得、PGE2は、MP Biomedicals(Irvine、CA)から得、IL−21は、Peprotech(Rocky Hill、NJ)から得た。CCNA1(アイソフォームc、NM_001111046)にわたる、11アミノ酸(AA)が重複する合計103の15マーによるペプチドライブラリーは、Sigma(St. Louis、MO)から購入した。短鎖ペプチドは、SigmaまたはJPT(Berlin、Germany)から購入した。
【0133】
CCNA1の特異的T細胞クローンの創出:記載される(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁)通りに、微細な改変により、T細胞系を創出した。略述すると、GM−CSF(800U/ml)およびIL−4(1000U/ml)を補充したDC培地(CellGenix、Freiburg、Germany)中で2日間(−2〜0日目)にわたり培養することにより、DCを、PBMCのプラスチック付着画分から派生させた。−1日目において、成熟サイトカインであるTNFα(1100U/ml)、IL−1β(2000U/ml)、IL−6(1000U/ml)、およびPGE2(1μg/ml)を添加した。0日目において、DCを採取し、洗浄し、無血清DC培地中、2〜4時間にわたり、ペプチド(10μg/mlの単一ペプチドまたは2μg/mlのペプチドプール)でパルスした。抗CD8マイクロビーズ(Miltenyi、Auburn、CA)を用いて、CD8 T細胞をPBMCから単離し、IL−21(30ng/ml)の存在下において、エフェクター/標的(E:T)比を1:5〜1:10とするDCで刺激した。3日目において、IL−2(12.5U/ml)、IL−7(5ng/ml)、およびIL−15(5ng/ml)を添加した。10〜14日目の間において、2時間IL−21の存在下でペプチドパルスした後、放射線照射された自家PBMCのプラスチック付着画分を抗原提示細胞(APC)として用いて細胞を再刺激した。再刺激後の1日目以降、細胞にIL−2(25U/ml)、IL−7(5ng/ml)、およびIL−15(5ng/ml)を補充した。限界希釈率で細胞を播種することにより、T細胞クローンを創出し、記載される(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁)通りに、OKT3(OrthoBiotech、Bridgewater、NJ)でコーティングされたTM−LCLおよびフィーダーとしての同種異系PBMCと共に増やした(REPプロトコール)。
【0134】
IFNγによる細胞内染色(ICS):APCを、10μg/mlのペプチドで、一晩にわたりパルスし、1回洗浄した。エフェクター細胞を、モネンシンの存在下において、10%のFBSを含有するRPMI中で、APCと共に、6時間共インキュベートした。次いで、細胞を、BD Cytofix/Cytopermキットを用いて透過処理した抗CD8−FITCで染色し、抗IFNγ−アロフィコシアニン(全て、BD Bioscience、Franklin Lakes、NJ製)で染色した。
【0135】
HLA安定化アッセイ:T2細胞を、1μg/mlのβ2−マイクログロブリン(Sigma)を含有する無血清RPMI中に100μg/mlのペプチドで、16時間パルスした。次いで、細胞を洗浄し、5μg/mlのブレフェルジンA(Sigma)の存在下において、4時間インキュベートし、次いで、FITCで標識された抗HLA A、B、C(クローンW6/32;BD Bioscience)で染色した。
【0136】
カスパーゼ3アッセイ:製造元の指示書に従い、標的細胞を、PKH26(Sigma)で膜標識した。Rapid Expansion Protocol(REP;RiddellおよびGreenberg、1990年、J. Imm. Meth.、128巻:189頁;Hoら、2006年、J. Imm. Meth.、310巻:40頁)サイクルの終了時(12日目以降)にT細胞クローンを用いた。標的およびT細胞を、E:T比を3:1として、96ウェル丸底プレート内、37℃で、4時間インキュベートした。陰性対照としては、標的を、エフェクターを伴わずにインキュベートし、陽性対照としては、標的を、4μMのカンプトテシン(Sigma)または1μMのスタウロスポリン(Sigma)の存在下においてインキュベートした。次いで、細胞を固定し、販売元の指示書に従い、BD Cytofix/Cytoperm(商標)キットを用いて透過処理し、FITCまたはAlexa−Fluor−647(C92−625、BD Bioscience)へとコンジュゲートされた抗活性カスパーゼ3抗体で染色した。
【0137】
51クロム放出アッセイ:記載される(Hoら、2006年、J Immunol Methods、310巻(1〜2号):40〜52頁)通り、REPサイクルの終了時(12日目以降)に、ウェル1つ当たり5000個の、E:T比を10〜1.25:1とする標的細胞およびT細胞を用いて、標準的な
51Cr放出アッセイを3連で実施した。エフェクターの不在下で標的をインキュベートすることにより、自発放出を評価した。比溶解の百分率は、式:100×(被験放出−自発放出)/(最大放出−自発放出)を用いて計算した。
【0138】
結果
AML LSC、白血病性芽球、および精巣におけるCCNA1の選択的な発現:他の白血病細胞集団内の発現を伴うかまたは伴わずに、AML LSCコンパートメント内で選択的に発現させたT細胞介在治療の標的遺伝子候補について体系的にスクリーニングするために、9つのLSCマイクロアレイデータセットを、異なる造血細胞サブセット試料および非造血組織試料と共に解析した。モデルベースの発現値に対する数学的フィルタリングおよび手作業による吟味を介して、適切な候補遺伝子を同定した。それぞれの遺伝子の発がん性および細胞内の位置についてのマイクロアレイデータおよび公表データに基づき、WT1を含めた8つの候補を同定したが、CCNA1を表すプローブセットである205899_atだけは、qRT PCRを用いて解析される2つの独立したマイクロアレイデータセット内および第3の試料セット内のLSCおよびAML芽球において、選択的な発現を明示した。
【0139】
第1のマイクロアレイセットでは、解析される9例のLSC試料および精巣試料中6例において、CCNA1が過剰発現した。CCNA1の発現値は、LSCにおいて、HSC/CD34+ BM単核細胞、PBMC、および精巣を含めた組織試料のパネルにおけるより有意に高かった(
図1A)。標的を選択するのに実際に用いられたアレイセットに対して、統計学的検定を実施した。同じ患者に由来するLSCと白血病性芽球との間で、CCNA1発現に著明な差違が観察されなかった(
図1B)ので、LSCについて選択されなかったさらなる試料セットでも、CCNA1の発現パターンを確認した。AML細胞において、CCNA1が、BM CD34+単核細胞、PBMC、動員CD34+細胞、およびBMと比較して有意に高いレベルで発現するものとして既に同定されている第2のマイクロアレイデータパネルの一部は、既に公表されている(Stirewaltら、2008年、Genes Chromosomes Cancer、47巻(1号):8〜20頁)。今回、これらのAMLデータセットについて、精巣組織の2つの検体を含めた非造血組織およびリンパ器官のデータセットと共に解析した。ここでもまた、CCNA1の発現は、AMLおよび精巣だけにおいて検出され、AMLにおけるその発現は、精巣に由来する組織試料における場合より有意に高かった(p=0.0017)。
【0140】
in silicoにおける所見およびプローブセット205899_atの妥当性を確認するため、qRT−PCRを用いて、他の造血細胞サブセットおよび非造血組織のパネルにおけるAML試料中のCCNA1を定量化した。解析された33例のAML試料のうち、17例の試料が、CCNA1の発現を、精巣を除く、測定されたあらゆる生理学的試料中の少なくとも2倍のレベルで明示した。BM中のCCNA1発現レベルとG−CSF動員CD34+単核細胞中のCCNA1発現レベルとの間では、差違が観察されず、いずれの場合にも、CCNA1発現レベルは極めて低レベルであった。最低の発現レベルは、OKT3による刺激後の増殖が最大のT細胞において見出された(
図2A)。AMLの異なるFAB(French−American−British)亜型、ならびにCMLおよびMDSを伴う患者に由来するBM試料を解析したところ、AMLでは、異常なCCNA1発現の百分率にばらつきが観察され、急性前骨髄球性白血病(APL)では、最高の発現レベルが観察され、続発性のAML、MDS、またはCMLを伴う患者では、過剰発現が観察されなかった(
図2B)。AML試料中のGAPDH 1個当たりのCCNA1コピー数の中央値は、同じ試料セットにおけるWT1の発現よりおよそ1桁大きかった。生理学的組織におけるCCNA1の発現は、精巣において、検出可能なレベルの発現に過ぎなかった(
図2C)。
【0141】
CCNA1上における複数の免疫原性オリゴペプチドのマッピング:MHCクラスIに拘束されるT細胞エピトープを同定するため、逆免疫学手法を用いた。3つの異なるアイソフォームをコードする4つの異なるCCNA1 mRNA変異体が記載されており、アイソフォームcは、N末端が短いことにより識別可能である。アイソフォームaおよびbの長いN末端では、機能的ドメインが同定されておらず、ネステッドPCRでは、これらのアイソフォームのそれぞれの転写物を、精巣試料またはAML試料のいずれからも増幅できなかったので、細胞が、CCNA1アイソフォームを切り換え、この短鎖のアイソフォームだけを発現させることの帰結として、N末端におけるエピトープの標的化に起因する免疫回避が生じえないように、短鎖のCCNA1アイソフォームcだけを表すペプチドライブラリーを用いた。
【0142】
HLA A
*0201陽性ドナーである2196および2264から生じるCD8 T細胞を、ペプチドライブラリーで4回にわたり刺激した後、いずれのT細胞系でも、細胞のうちの60%超が、特異的であると考えられた。(a)ペプチドプール、単一の15マーでパルスされ、その後、短鎖ペプチドでパルスされたAPCとしての自家LCLによる、T細胞の刺激、および(b)IFNγについての細胞内染色によるT細胞応答の解析の後、8つの免疫原性オリゴペプチドをマッピングした。ドナー2196のCD8 T細胞は、本明細書で、CCNA1アイソフォームc配列におけるアミノ酸残基の位置:
CCNA1120−131 VDTGTLKSDLHF[配列番号1]、
CCNA1218−226 AETLYLAVN[配列番号2]、
CCNA1227−235 FLDRFLSCM[配列番号3]、および
CCNA1253−261 ASKYEEIYP[配列番号4]
により同定される免疫原性CCNA1ペプチドを同定した。
【0143】
ドナー2264のCD8 T細胞は、CCNA1アイソフォームcポリペプチドに由来する以下の免疫原性ペプチド:
CCNA1118−127 YEVDTGTLKS[配列番号5]、
CCNA1167−175 YAEEIYQYL[配列番号6]、
CCNA1330−339 LEADPFLKYL[配列番号7]、
CCNA1341−351 SLIAAAAFCLA[配列番号8]
を同定した。
【0144】
2つの正常ドナーを用いて、CCNA1アイソフォームc配列に対する潜在的なT細胞応答を評価したところ、8つの免疫原性ペプチドが、T細胞を、少なくとも3つの異なるHLAクラスI分子に対するMHC制限によって特徴付けられる形で刺激した。CCNA1は、厳密に細胞内で発現し、CCNA1に由来するエピトープは、クラスI MHC分子の文脈でプロセシングされ、提示された。したがって、CCNA1は、T細胞ベースの治療法に適する標的を表した。
【0145】
CCNA1アイソフォームcペプチド118〜127[配列番号5]、227〜235[配列番号3]、167〜175[配列番号6]、および341〜351[配列番号8]により規定されるエピトープに対するT細胞クローンを創出した。安定的にトランスフェクトしたHLA A
*0201を伴う721.221細胞および安定的にトランスフェクトしたHLA A
*0201を伴わない721.221細胞を、IFNγ細胞内染色(ICS)アッセイにおいて、T細胞系に対するAPCとして用いたところ、エピトープ218〜226[配列番号2]、227〜235[配列番号3]、および341〜351[配列番号8]が、HLA A
*0201に拘束される形で提示されることが見出された。いずれのドナーに由来する細胞を用いても、3つのエピトープ全てを抗原特異的に指向するT細胞系を創出することができた。
【0146】
2つのHLA A
*0201拘束エピトープの特徴付け:9マーのFLDRFLSCM(CCNA1227〜235、[配列番号3])が、ライブラリーペプチド56/57に由来する最小限の免疫原性アミノ酸(AA)配列であって、ドナー2196に由来するT細胞系の解析から明示される応答を刺激するAA配列として同定された(
図3A)。15マーおよび非関与性の15マーと比較したところ、9マーは、T2表面上のHLA A
*0201の安定化を増強した(
図3B)。このエピトープに対するT細胞クローンのIFNγ産生は、HLA A
*0201拘束性であった(
図3C)。11マーのSLIAAAAFCLA(CCNA1341〜351、[配列番号8])が、ライブラリーペプチド85/86に由来する最小限の免疫原性AA配列であって、ドナー2264に由来するT細胞系における応答を刺激するAA配列として同定されたことは驚くべきことであった(
図3D)。10マーのSLIAAAAFCL(10マー1)MHC複合体は、11マーを伴う複合体より安定的であったが、解析されるT細胞クローンを活性化させることが可能であったのは後者だけであった(
図3D、3E)。このエピトープに対するT細胞クローンのIFNγ産生は、ペプチド341〜351[配列番号8]およびHLA A
*0201の発現に依存した(
図3F)。
【0147】
CCNA1 227〜235およびCCNA1 341〜351に特異的なT細胞クローンの、白血病細胞系THP1に対する細胞傷害活性:標的細胞として適する、CCNA1を発現させる白血病細胞系を評価するため、5つの骨髄性白血病細胞系において、CCNA1を定量化した(
図4A)。HLA A
*0201陽性FAB M5b AML系列であるTHP−1が、最高レベルのCCNA1を発現させることが見出された。いずれもCCNA1 227〜235[配列番号3]に特異的なクローンである、2196.D9、2196.D11および2196.E1を、THP−1に対する反応性について調べた。3つのクローン全てが、ペプチドエピトープでパルスされた自家LCLを伴う共インキュベーション後にIFNγを産生した(
図3C、3F;データは示さない)が、THP−1に応答して著明なIFNγ産生を提示したのは、クローンD9およびD11だけであった。これらの応答は、THP−1標的細胞を、エフェクターを伴う共インキュベーション前に、16時間、1000U/mlのIFNγと共にインキュベートすることにより増強された(
図4B)。クローンD11が、標準的な6時間の
51Cr放出アッセイにおいて、THP−1に対する著明な溶解活性を示したのに対し、低アビディティーのクローンE1は著明な溶解活性を示さなかった(
図4C)。カスパーゼ3特異的切断は、クローン2196.D9および2196.D11について観察されただけでなく、また、CCNA1341〜351[配列番号8]を指向するクローン2264.E30についても観察されたことから、記載されるHLA A
*0201エピトープのいずれに対しても、適正なプロセシングおよび提示が示される(
図4C、4D)。
【0148】
初代AML細胞の、CCNA1 227〜235に特異的なCD8+T細胞クローンによる認識および溶解:サイクリン−A1エピトープに特異的なCTLが、初代AML細胞を認識するのかどうかを決定するために、2例のA
*0201陽性患者および2例のA
*0201陰性患者に由来する、サイクリン−A1を発現させる芽球を、エピトープ227〜235を認識するクローン2196.D11
b、(「D11
b」)で調べた。まず、2196.D11
bを、4時間にわたるカスパーゼ3アッセイにおいて、アポトーシスの誘導について調べた。これらの標的に対するアポトーシスを最大化するため、スタウロスポリンを用いた。異なるAML試料は、異なる自発アポトーシス率を示したので、カスパーゼ3特異的切断を、100×(被験−自発)/(スタウロスポリン−自発)として計算することによりデータを標準化した。5:1のE:T比を用いたところ、2196.D11
bは、A
*0201陽性AML検体の著明なアポトーシスを誘導したが、A
*0201陰性検体のアポトーシスは誘導しなかった(
図6A)。観察されたカスパーゼ3切断が、古典的な溶解活性を反映するのかどうかを決定するために、E:T比の範囲にわたり、4時間の標準的な
51Cr放出アッセイを実施した。1.25:1という低E:Tで、A
*0201陽性検体の著明な溶解が観察されたのに対し、A
*0201陰性標的では、比溶解が検出されなかった。したがって、初代AML細胞は、HLA拘束的に殺滅された(
図6B)。H001および1690−59は、HLA A
*0201陽性であり、R10009およびR50400は、HLA A
*0201陰性であった。
【0149】
National Cancer Instituteの、重みづけされた「理想的な」がん抗原基準/特徴のリスト(Cheeverら、2009年、Clin Cancer Res、15巻(17号):5323〜5337頁)による基準に従うと、本開示からは、CCNA1が、患者のうちのおよそ50%の幹細胞コンパートメントを含めたAML細胞において高度に発現し、CCNA1発現の組織分布が高度に拘束されているため、AMLを標的化するのに高度に適切な抗原であると考えられた。WT1およびCCNA1のいずれもが、造血幹細胞(HSC)より白血病幹細胞(LSC)において、著明に高いレベルで発現した(Majetiら、2009年、Proc Natl Acad Sci USA、106巻(9号):3396〜3401頁)。しかし、正常な脾臓、卵巣、および腎臓において、白血病性芽球における場合より高いレベルで発現したWT1と異なり、著明なCCNA1発現が見出されたのは、一般に免疫特権部位と考えられる精巣だけにおいてであった(Fijakら、2006年、Immunol Rev、213巻:66〜81頁、doi: IMR438 [pii] 10.1111/ j.1600−065X .2006.00438.x)。結果として、CCNA1を標的化することによる細胞傷害性の副作用が生じる可能性は低いと考えられる。CCNA1は、マウスにおいて発がん性であり、過剰発現する結果として、AMLの発症もたらすことが報告されており、CCNA1発現は、AMLにおける悪性の表現型を持続した(Chanら、2009年、Oncogene、28巻(43号):3825〜3836頁、doi: onc 2009236 [pii] 10.1038/ onc.2009.236;Jangら、2008年、Cancer Res、68巻(12号):4559〜4570頁、doi: 68/12/ 4559 [pii] 10.1158/ 0008−5472.CAN− 08−0021;Jiら、2007年、Int J Cancer、121巻(4号):706〜713頁、doi:10.1002 /ijc. 22634)。
【0150】
内因的に発現し、提示された、悪性腫瘍関連自己抗原に対して創出されたT細胞クローンのin vitroにおける特異的細胞傷害作用の実証は、かつての報告の主題となっている(Wildeら、2009年、Blood、114巻(10号):2131〜2139頁、doi: blood−2009− 03−209387 [pii] 10.1182/ blood−2009−03− 209387;Doubrovinaら、2004年、Clin Cancer Res、10巻(21号):7207〜7219頁、doi: 10/21/ 7207 [pii] 10.1158/ 1078−0432. CCR−04− 1040;Chaiseら、2008年、Blood、112巻(7号):2956〜2964頁、doi: blood−2008− 02−137695 [pii] 10.1182/ blood−2008−02− 137695)。本明細書で記載される通り、白血病細胞に対する、CCNA1特異的T細胞クローンの効果的な細胞傷害活性が観察された。CCNA1の発現レベルは、それらの発現レベルが細胞周期の関数として振動しうるWT1について他の研究者らにより報告される発現レベルより約1桁高いと考えられた。CCNA1タンパク質は、ユビキチンプロテアソームを介在させる経路により調節されることが公知であり(Ekbergら、2009年、Mol Cell Biochem、320巻(1〜2号):115〜124頁、doi: 10.1007/ s11010−008 −9913−3)、悪性細胞の表面においてそのエピトープの提示が最適となることと符合する。
【0151】
配偶子形成におけるその役割に起因し、かつ、がん精巣抗原について公表された分類と類似するため、本開示に基づき、本明細書では、CCNA1を、X型以外の白血病精巣抗原として分類する(Simpsonら、2005年、Nat Rev Cancer、5巻(8号):615〜625頁、doi: nrc1669 [pii] 10.1038/ nrc1669)。CCNA1は、LSC中で発現し、本明細書で開示される通り、初めて記載されるX型以外の白血病精巣抗原であると考えられる。CCNA1の組織選択的発現パターン、AMLにおけるその高い発現レベル、腫瘍形成におけるその機能、および本明細書で記載される、多数のCCNA1免疫原性T細胞エピトープにより、CCNA1は、本明細書で記載されるT細胞ベースの治療法を含めたT細胞ベースの治療法の最適の標的となっており、また、ワクチン接種および/または養子T細胞移入も含めた治療法の最適の標的となってもいる。
【0152】
さらなる参考文献:Yangら、2010年、Cell Oncol、32巻(1〜2号):131〜143頁、doi: G7V87116 LNJ27 053 [pii] 10.3233/ CLO−2009−0510;Braitら、2008年、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev、17巻(10号):2786〜2794頁、doi:17/ 10/2786 [pii] 10.1158/ 1055−9965. EPI−08−0192;Spisakら、2010年、Dis Markers、28巻(1号):1〜14頁、doi: K32K0082 1215536H [pii] 10.3233/ DMA−2010−0677;Farhadiehら、2009年、ANZ J Surg、79巻(1〜2号):48〜54頁、doi: ANS4799 [pii] 10.1111/ j.1445−2197. 2008. 04799.x;Wegielら、2008年、J Natl Cancer Inst、100巻(14号):1022〜1036頁、doi: djn214 [pii] 10.1093/ jnci/djn214;Colettaら、2008年、Cancer Res、68巻(7号):2204〜2213頁、doi: 68/7/ 2204 [pii] 10.1158/ 0008−5472. CAN−07−3141;Choら、2006年、Cancer Sci、97巻(10号):1082〜1092頁、doi: CAS292 [pii] 10.1111/ j.1349−7006. 2006. 00292.x;Fijakら、2006年、Immunol Rev、213巻:66〜81頁、doi: IMR438 [pii] 10.1111/ j.1600−065X .2006.00438.x;Rammenseeら、1999年、Immunogenetics、50巻(3〜4号):213〜219頁、doi:90500213.251 [pii];Lundegaardら、2008年、Nucleic Acids Res、36巻(ウェブサーバー版): W509−512. doi:gkn202 [pii] 10.1093/nar/gkn202。
【0153】
上記の多様な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態をもたらすことができる。本明細書で言及されており、かつ/または出願データシートで列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物の全ては、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。必要な場合は、多様な特許、出願、および、出願公開の概念を用いて、なおさらなる実施形態をもたらすために、実施形態の態様を改変することができる。
【0154】
上記の発明を実施するための形態に照らして、実施形態にこれらの変化および他の変化を施すことができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、用いられる用語が、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲で開示される特定の実施形態へと限定するものとみなすべきではなく、このような特許請求の範囲が権利を付与される全範囲の同等物を伴う全ての可能な実施形態を包含するとみなすべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示により限定されるものではない。
【0155】
同等物
本明細書では、本発明の特定のステップ、要素、実施形態、および適用について示し、これらについて例を目的として記載してきたが、当然ながら、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、特に、前出の教示に照らして、改変を行うことができるので、本発明がそれらに限定されるものではないことが理解されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲による場合を除き、限定されるものではない。