【実施例】
【0045】
[44]以下の実施例で、本発明の技術の好ましい実施態様のうちいくつかを説明するが、技術がそれらに限定されることはない。他の実施態様は、上記の説明で説明されたものに限定されず、追加または代替の成分、代替の濃度、ならびに追加または代替の特性および用途なども包含する。以下の実施例において、全ての比率は、そうではないと述べられていない限り、組成物の総重量に基づく活性成分の重量パーセンテージに基づく。
【0046】
【表1】
【0047】
アルファ−ステップ(ALPHA-STEP)(登録商標)PC−48、ステオール(STEOL)(登録商標)CS−270−E、アンモニクス(AMMONYX)(登録商標)LO、アンモニクス(登録商標)LMDO、ニノール(NINOL)(登録商標)COMF−N、ニノール(登録商標)40C0−E、ステパノール(STEPANOL)(登録商標)ALS25、およびステパン−マイルド(登録商標)GCCは、イリノイ州ノースフィールドのステパン社(Stepan Co.)から市販されている。プランタケア(PLANTACARE)(登録商標)818UPは、BASF/コグニス(Cognis)から市販されている。
【0048】
実施例1
[45]アミンオキシドとカプリル酸/カプリン酸グリセリルとが1:3〜2:1の範囲の比率で、アンモニクス(登録商標)LOアミンオキシドと、ステパン−マイルド(登録商標)GCCカプリル酸/カプリン酸グリセリルとを混合することにより、一連の調合物を調製した。各調合物の全界面活性剤は15重量%であった。表Bは、各調合物の各界面活性剤の比率と見た目の結果を示す。
【0049】
【表2】
【0050】
[46]アミンオキシドとカプリル酸/カプリン酸グリセリルとが1:1.5〜1.25:1にわたる範囲の比率で組織化された液体を得たところ、アミンオキシドの量が増加するに従って透明度が増加した。アミンオキシド:カプリル酸/カプリン酸グリセリルが1.25:1(w/w)のときに最高の程度の透明度が達成された。
【0051】
実施例2
[47]グリセロールの添加がブレンドの光学的透明度を改善できるかどうかを決定するために、アミンオキシド:カプリル酸/カプリン酸グリセリルが1.25:1(w/w)のブレンドにグリセロールを添加した。表Cは、グリセロールを添加して調製された調合物を示す。
【0052】
【表3】
【0053】
[48]室温で全ての成分を手動で混合し、55℃で一晩貯蔵し、再度撹拌し、次いで室温に冷却することによって調合物を調製した。全ての調合物は、空気を懸濁した組織化された液体であった。サンプル間の透明度に顕著な差があった。5%グリセロールを有するサンプルが最も透明であり、極めて高度な透明度を有し、それに続いて10%グリセロールを有するサンプル、次いで1%グリセロールを有するサンプルが透明であった。これらの結果は、連続相の屈折率を調節することにより、液晶分散液の透明度を改善できることを示す。
【0054】
実施例3:カプリル酸/カプリン酸グリセリルと他の界面活性剤との併用
[49]カプリル酸/カプリン酸グリセリルと様々な親水性界面活性剤とを混合し、水中に分散させることによって調合物を調製した。必要に応じて、屈折率を調節するためにグリセロールを取り入れた。表Dに、これらの様々な調合物を示す。
【0055】
【表4】
【0056】
[50]室温で成分を一緒に手動で混合し、55℃で一晩貯蔵し、再度撹拌し、次いで室温に冷却することによってそれぞれの調合物を調製した。サンプル2は、約3:1(w/w)の比率のGCC:アルファ−ステップ(登録商標)PC48と約15重量%の全界面活性剤とを含み、これは、濁りがわずかしかない強い組織化された界面活性剤懸濁系になった。サンプル3は、約3:1の比率のGCC:ALSと約15重量%の全界面活性剤とを含み、これも、濁りがわずかな強い組織化された界面活性剤懸濁系になった。サンプル4は、約4:1の比率のGCC:SLESと約12.5重量%の全界面活性剤とを含み、これは効果的に透明になった。
【0057】
実施例4:濃縮ブレンド
[51]実施例2に記載のサンプル1(b)のアミンオキシド/GCC調合物をベースとして以下の濃縮ブレンドを調製した。
【0058】
【表5】
【0059】
[52]その結果得られたブレンドは、濁った「薄い層状の」相であり、50%w/wの固体、38%の全界面活性剤で極めて高い可動性を示した。このブレンド40gを水60gに室温で穏やかに撹拌したところ、透明な組織化された系が容易に形成された。
【0060】
実施例5
[53]組成物中にビーズを懸濁するために組織化された界面活性剤懸濁系を利用して調合物を調製した。表Eに配合を示す。これらの調合物は、3ヶ月室温で貯蔵した後、さらに40℃および3℃で貯蔵した後でも、相が安定しており堆積を起こさないことが見出された。
【0061】
【表6】
【0062】
[54]まず水中にラウレス硫酸ナトリウム(2EO)を溶解させ;穏やかに撹拌しながら60℃に加熱し;グリセロール、次いでケーソン(Kathon)、次いでビーズ、最後にGCCを添加することによって配合1を調製した。穏やかな撹拌をずっと維持し;サンプルが増粘したらすぐにかき混ぜるのを止めた。アミンオキシドを水およびケーソンと混合し、60℃に加熱することによって配合2を調製した。残りの成分を室温で一緒に混合し、その後この混合物に熱いアミンオキシド溶液を添加して、サンプルが増粘するまで穏やかにかき混ぜて撹拌した。ボトルに詰める前、配合1と配合2の両方をサーモスタットで60℃に16時間維持した。
【0063】
[55]配合1(ビーズなし)は、ブルックフィールドRVT粘度計で、21サイクル/秒で測定した場合、22℃で約2000cpsの粘度を有することが見出された。次いで、(同じ温度で)粘度を、メトラー(Mettler)RM260レオメーターで0.1〜100サイクル/秒の範囲にわたり測定した。サンプルは、ずり減粘性を有することが見出され、剪断を中断すると開始時の粘度に迅速に回復することが示された。
【0064】
実施例6
[56]組織化された界面活性剤懸濁系を用いて、そこに雲母と光輝剤を懸濁することによりハンドウォッシュ調合物を調製した。表Fに組成を示す。この調合物は、3ヶ月室温で貯蔵した後、さらに40℃および3℃で貯蔵した後でも、相が安定しており堆積を起こさないことが見出された。この調合物は、使用時によく泡立ち、手にソフト感としっとり感を残すことが見出された。
【0065】
【表7】
【0066】
[57]アミンオキシドを水およびケーソンと混合して60℃に加熱することによってサンプルを調製した。残りの成分を室温で一緒に混合し、その後、この混合物に熱いアミンオキシド溶液を穏やかにかき混ぜながら添加し、サンプルが増粘するまで撹拌した。ボトルに詰める前、サンプルをサーモスタットで60℃に16時間維持した。
【0067】
実施例7
[58]懸濁された油滴を含有するボディウォッシュ調合物を調製した。表Gに組成を示す。この調合物は、3ヶ月室温で貯蔵した後、さらに40℃および3℃で貯蔵した後でも、相が安定しており分離を起こさないことが見出された。この調合物は、使用時に驚くほどよく発泡し、皮膚上に油分を送達し、独特な「ツーインワン」のクレンジング/保湿特性を達成した。
【0068】
【表8】
【0069】
[59]GCC、白色鉱油、シアバター、および香料を一緒に混合して、透明な溶液が得られるまで穏やかに温める(30℃)ことによって、配合2を調製した。次いで室温でこの混合物を残りの成分の撹拌溶液に注入した。サンプルが滑らか且つ均一になるまで、サンプルを効率的に(空気を入れないで)撹拌した。
【0070】
[60]カウント時間600秒、室温での小角X線によって、配合2を試験した。X線の結果から、約45オングストロームのハンプを伴う弱い散乱が示された;これは、わずかな同軸シェルしか含有しない微小胞と一致した。
【0071】
[61]フリーズフラクチャー電子顕微鏡法によって配合2を分析した;結果は、直径2500オングストローム未満の液滴サイズと一致した。計算から、5〜7つのシェルを有し、二重層間の間隔が45オングストロームのスフェルライトは、約500オングストロームレベルのサイズを有すると予測されることが示された。この技術を使用して500オングストローム前後の構造単位を完全に解析することは難しい。
【0072】
実施例8
[62]カプリル酸/カプリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸アンモニウムの組織化された界面活性剤系を使用して、2種の水性シュガースクラブ組成物を調製した。典型的にはシュガースクラブやソルトスクラブは圧倒的に油ベースが多いが、水性のスクラブは所定の利点を提供する。表Hにこのようなスクラブを列挙する。このスクラブは、1ヶ月室温で貯蔵した後、さらに45℃およびO℃で貯蔵した後でも、相が安定しており分離を起こさないことが見出された。
【0073】
【表9】
【0074】
[63]全ての成分を水に入れて、次いで滑らかで均一な粘稠度が得られるまで室温で穏やかに撹拌することによりスクラブを調製した。
【0075】
実施例9
[64]1%のジンクオマジンを含有するふけ予防用シャンプーを調合した(表J)。このシャンプーは、3ヶ月室温で貯蔵した後、さらに45℃および0℃で貯蔵した後でも、相が安定しており分離を起こさないことが見出された。
【0076】
【表10】
【0077】
[65]室温で低剪断力のパドル撹拌器を用いて、GCC、カプリル酸/カプリン酸グリセリルにニノール(登録商標)を溶解させ、次いでここにラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸ナトリウム、水、ジンクオマジン、ケーソン、および最後に香料を添加し;過剰な量の空気を入れないようにして穏やかな剪断を維持することによって組成物を調製した。
【0078】
実施例10
[66]様々な化合物が、ベースのカプリル酸/カプリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸アンモニウムの組織化された界面活性剤系に優れた清澄化作用を有することが見出された。清澄剤がないと、本組成物はわずかに濁っていた。顕微鏡試験(偏光顕微鏡)から、濁度は、極めてわずかな大きいスフェルライトに起因することが示された。以下に列挙される清澄剤は、屈折率整合、またはスフェルライトのサイズを小さくすること、または(ポリグリセロールの場合は確実に)両方のメカニズムの組み合わせのいずれかによって作用すると考えられる。
【0079】
【表11】
【0080】
[67]室温で界面活性剤と添加剤とを一緒にブレンドして流動性のある層状の「ペースト」を得て、次いで水を添加して、組織化された界面活性剤系が形成されるまで穏やかに撹拌することにより、サンプルを調製した。次いでサンプルをサーモスタットで45℃に16時間維持した。全てのサンプルは極めて高度な透明度を有していたが、表Kの調合物BおよびCは著しく優れており、すなわちこれらは、ほぼ結晶のように透明であった。グリセロールとトリグリセロールとの組み合わせにより、最小の添加剤で最良の性能が得られた。細く切断されたポリグリセリド(−3、−4、および−6、例えばスピガ・ノードS.P.A.(Spiga Nord S.P.A.))のサンプルをALS/GCC/グリセロール系で試験した。それらの間で清澄化作用における有意差は見出されなかった。
【0081】
実施例11
[68]カプリル酸/カプリン酸グリセリル(ステパン−マイルド(登録商標)GCC)は、経口用医薬製剤用に承認された添加剤である。これを高いHLBの製薬用添加剤と組み合わせることによって、不溶性の薬物粒子を調合するのに有用な数種の懸濁系を構築できる。多数の添加剤のための懸濁系を構築するのに必要な高いHLBの添加剤とステパン−マイルド(登録商標)GCCとの比率を実験的に決定し、それを表Lに列挙した。
【0082】
【表12】
【0083】
[69]室温で全ての成分を一緒に低剪断混合し;サーモスタットで45℃に16時間維持し、次いで再度混合した後、室温に冷却することにより、サンプルを調製した。上記の実施例はいずれも、21サイクル/秒で約2000cpsの粘度を有するわずかに濁った液体であった。バルクのサンプルを偏光フィルターに通してみると、それらは複屈折を有していることから、固体、液体または気体の粒子を懸濁させていると予想される。
【0084】
実施例12
[70]ラウラミンオキシドと2.5および3.0モルの直鎖状エトキシ化アルコールとを組み合わせて、農薬活性物質を懸濁するのに優れた可能性を有する系を生産した。選ばれたエトキシ化アルコールは、C11と3EO、およびC9〜11と2.5EOであった。表Mに、懸濁系を構成するラウラミンオキシドとアルコールエトキシレートとの比率を列挙した。
【0085】
【表13】
【0086】
[71]室温で全ての成分を一緒に低剪断混合することによりサンプルを調製した。これらは、21サイクル/秒で約2000cpsの粘度を有するわずかに濁った液体であり、固体、液体または気体の粒子を懸濁させていると予想される。
【0087】
実施例13
[72]農業活性物質と共に使用して農業用組成物を調製するための懸濁系を調製した。表Nに示される界面活性剤を一緒にブレンドして、その後それらを水中に分散させ(室温で)、次いで滑らかで均一なサンプルが得られるまでクロロタロニル活性物質中で穏やかに撹拌することにより、クロロタロニル分散液を調製した。表Nに示される配合を有する組成物は不透明であり、流し込み可能であった。この組成物は室温で3ヶ月間安定であり、堆積および/または相分離の徴候は示されなかった。
【0088】
【表14】
【0089】
[73]以上、関連する当業者が本発明の技術を実施できるように、本発明の技術をこのような十分に明確で且つ簡潔な用語で説明した。前述の内容は本発明の技術の好ましい実施態様を説明しており、特許請求の範囲に記載された本発明の技術の本質または範囲から逸脱することなくそれらに改変をなすことが可能であることが理解されるものとする。
本発明は非限定的に以下の態様を含む。
[態様1]
水性の組織化された界面活性剤系であって、該系は:
水と界面活性剤の混合物と
を含み、界面活性剤の混合物は、:
10未満のHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤と;
10またはそれより大きいHLB値を有する少なくとも1種の界面活性剤と
を含み、界面活性剤の混合物は、全体で約11〜約13の範囲のHLB値を有し;
組織化された界面活性剤系は、電解質および高分子増粘剤を含まず;
組織化された界面活性剤系は、懸濁される物質が存在しない状態で実質的に透明であり、懸濁特性を有する、上記系。
[態様2]
前記10未満のHLB値を有する界面活性剤が、グリセリルエステル、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アルコール、脂肪酸、およびそれらの混合物から選択される、態様1に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様3]
前記グリセリルエステルが、カプリル酸/カプリン酸グリセリルエステルである、請求項2に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様4]
前記10またはそれより大きいHLB値を有する界面活性剤が、アミンオキシド、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルファ−スルホメチルエステル、サルコシネート、タウリド、プロピオネート、ベタイン、スルホベタイン、グリシネート、コール酸ナトリウム、アルキルポリグルコシド、脂肪酸石鹸、エトキシ化ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびそれらの混合物から選択される、態様1〜3のいずれか一項に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様5]
前記組織化された界面活性剤系が、2500オングストローム未満の液滴サイズを有し、二重層間の間隔が60オングストローム未満の多層の小胞で構成される、態様1〜4のいずれか一項に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様6]
前記組織化された界面活性剤系が、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル含有化合物をさらに含む、態様1〜5のいずれか一項に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様7]
前記ヒドロキシル含有化合物が、グリセロール、ポリグリセロールまたはそれらの混合物を含む、態様6に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様8]
前記組織化された界面活性剤系が、系中に安定して懸濁された固体、液体または気体の粒子をさらに含む、態様1〜7のいずれか一項に記載の水性の組織化された界面活性剤系。
[態様9]
前記系中に存在する少なくとも1種の10未満のHLB値を有する界面活性剤の、少なくとも1種の10またはそれより大きいHLB値を有する界面活性剤に対する比率が、約4:1〜約1:4である、態様1〜8のいずれか一項に記載の水性の組織化された界面
活性剤系。
[態様10]
態様1〜9のいずれか一項に記載の組織化された界面活性剤系を含む組成物。
[態様11]
前記組成物が、パーソナルケア組成物、医薬配合物、洗濯用組成物、織物用柔軟剤組成物、農業用組成物、または硬質表面洗浄剤である、態様10に記載の組成物。
[態様12]
パーソナルケア組成物であって、該組成物は:
組織化された界面活性剤系(ここで組織化された界面活性剤系は、少なくとも1種の10未満のHLB値を有する界面活性剤と、少なくとも1種の10またはそれより大きいHLB値を有する界面活性剤との混合物を含み、ここで界面活性剤の混合物は、2500オングストローム未満の液滴サイズと、60オングストローム未満の間隔を有する二重層とを有する多層の小胞を形成する);
組織化された界面活性剤系中に懸濁された固体、液体または気体の粒子のうち少なくとも1種;及び
残部の水、を含む、上記組成物。
[態様13]
前記10未満のHLB値を有する界面活性剤が、グリセロールエステルを含む、態様12に記載のパーソナルケア組成物。
[態様14]
前記10またはそれより大きいHLB値を有する界面活性剤が、アミンオキシド、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルポリグルコシド、脂肪酸石鹸、エトキシ化ソルビタンエステル、スクロースエステル、またはそれらの混合物を含む、態様12または13に記載のパーソナルケア組成物。
[態様15]
前記組成物が、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するヒドロキシル含有化合物の少なくとも1種をさらに含む、態様12〜14に記載のパーソナルケア組成物。
[態様16]
前記ヒドロキシル含有化合物が、グリセロール、ポリグリセロールまたはそれらの混合物を含む、態様15に記載のパーソナルケア組成物。
[態様17]
2500オングストローム未満の液滴サイズと、60オングストローム未満の間隔を有する二重層とを有する多層の小胞で構成される、透明な組織化された界面活性剤系。