(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368260
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】コーヒードリッパー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/02 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
A47J31/02
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-33781(P2015-33781)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-154650(P2016-154650A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】501135366
【氏名又は名称】株式会社キュビズム
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 世紀
【審査官】
西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−104155(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3078797(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3193260(JP,U)
【文献】
特開昭54−136981(JP,A)
【文献】
米国特許第4417504(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口部を有する円錐台筒状に形成されたコーヒードリッパー本体部と、
前記コーヒードリッパー本体部の内側側面に形成された複数の台形柱と、
前記コーヒードリッパー本体部の内側側面の下部に、垂直方向に形成された凹部と、
前記開口部のうち、抽出液流出側開口部の周部に形成された複数の切欠きと、
を備えるコーヒードリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾紙(ペーパーフィルター)を使用してコーヒーを抽出するコーヒードリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒードリッパーで、コクのある美味しいコーヒーを抽出するには、ペーパーフィルター内でコーヒー粉を入れて適量の湯を注ぎ、コーヒー粉全体を湯で膨張させる蒸らしを十分に行うのが良いとされている。
【0003】
焼きたての豆は、炭酸ガスを含んでいる。蒸らした時に、焼きたての豆だとプクッと「おまんじゅう」のように膨れる。この現象は、炭酸ガスによるものであり、鮮度が高いことを証明するものでもある。
この炭酸ガスは、味覚上は、雑味であるため、粉全体に湯を注ぎ、しばらくその熱でコーヒー粉粒の中にある炭酸ガスを追い出すことが必要となる。これが、「蒸らし」という工程である。
しかし、蒸らす工程で、パーパーフィルターからコーヒードリッパー内部の接地する面積が大きいと、炭酸ガスが抜けないという欠点がある。
【0004】
また、パーパーフィルターからコーヒードリッパー内部の接地する面積が大きいと、直ぐに、コーヒーが流下してしまうという問題点がある。
【0005】
更に、湯の重さでペーパーフィルターに余計なテンションがかかるという問題点もある。
【0006】
この問題を解決するために、特開2014‐104155号が開示されている。この発明では、抽出時間のバラツキをなくすため、複数の四角錐を備えることを特徴とする。
しかし、これだと、蒸らされたペーパーフィルターに水分が多く含まれるため、四角錐の先端が尖っていることから、ペーパーフィルターが破ける可能性がある。
また、抽出したコーヒーを、一旦、溜めておく箇所があると、流下の速度を遅くできるので、好ましい。
この点、実用新案登録第3078797号では、液溜空間を形成することが開示されている。
しかし、この構造だと逆に、拡大部にコーヒーが溜まりすぎて、流下の速度が遅すぎることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014‐104155号公報
【特許文献2】実用新案登録第3078797号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コーヒー粉を湯で蒸らす際に発生する炭酸ガスを無理なく逃すことを可能にするための構造が、四角錐ではなく、台形柱の方がより良い効果があることが分かった。
また、流下したコーヒーを、一旦、コーヒードリッパーの底部で溜め、流下スピードを緩やかにする構造が必要である。すなわち、広すぎない液溜空間は、拡大部を作るのではなく、垂直方向に液溜空間を設けることが好ましいことが分かった。
また、コーヒードリッパー底部の開口部において、ペーパーフィルターに余計なテンションがかかるのを軽減するための手段を設ける必要があった。
この点は、先行技術文献を発見しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のコーヒードリッパーは、両端に開口部を有する円錐台筒状に形成されたコーヒードリッパー本体部と、この本体部の内側側面に形成された複数の台形柱と、この本体部の内側側面の下部に、垂直方向に形成された凹部と、開口部のうち、抽出液流出側開口部の周部に形成された複数の切欠きと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコーヒードリッパーによれば、内部に、水平方向と垂直方向に、台形の形をした構造物を設けることで、ペーパーフィルターとの接地面積を小さくする構造となり、かつ、凹部があることでコーヒーの流下の速度を遅くできる。そして、複数の切欠部を備えることで、ペーパーフィルターが点で固定され、余計なテンションがかかるのを軽減することができ、中心部、側面部それぞれからスムーズにむらなく均一なコーヒーを抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るコーヒードリッパーの斜視図である。
【
図2】
図1のコーヒードリッパーの台形柱の上面がペーパーフィルターと接している様子を示す部分断面図である。
【
図3】
図1のコーヒードリッパーの切欠部の頂部がペーパーフィルターと接する様子を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明のコーヒードリッパーの実施形態について説明する。図面は、実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図に示すX軸およびY軸において、コーヒードリッパーの鉛直方向の中心線をXとし、水平方向をYとする。
【0013】
図1は、本実施形態に係るコーヒードリッパー1の斜視図である。コーヒードリッパー1の内部構造は、ペーパーフィルターとの接地面積を小さくするために、台形柱2の構造物を水平方向と垂直方向に設置するように複数設けてある。また、コーヒードリッパー本体部の内側側面の下部に形成された凹部3で、一旦、抽出されたコーヒーを溜めるスペースを作ることで、抽出液の流下の速度を抑える。さらに、抽出液流出側開口部の周部に形成された複数の切欠部4により、ペーパーフィルターを複数の点で支えることになり、ペーパーフィルターに余計なテンションがかかるのを軽減し、中心部、側面部それぞれからスムーズにむらなくコーヒーを抽出することができる。
【0014】
図2は、コーヒードリッパー1の部分断面図である。台形柱2とペーパーフィルター5の接地面積を小さくしている。また、凹部3は、垂直方向となっているが、ここに傾斜は設けていない。
【0015】
図3は、切欠部4の頂部が、パーパーフィルター5に接している状態であり、ペーパーフィルター5を複数の点でしっかりと保持することにしている。この切欠部4は、ペーパーフィルター5を保持するため少なくとも2か所設けていればよい。しかし、実際にペーパーフィルター5に余計なテンションがかかるのを軽減し、中心部と側面部それぞれからスムーズに抽出液を得るためには、8か所以上の切欠きがあることが望ましい。本実施形態では、切欠き部4の構造は三角形になっているが、ペーパーフィルター5をセットできる構造であれば、円形や四角形などの多角形であっても良い。
【符号の説明】
【0016】
1 コーヒードリッパー
2 台形柱
3 凹部
4 切欠部
5 ペーパーフィルター