(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の車両用携帯電話保持装置(特許文献1)は、構造が複雑で且つ大型であるばかりでなく、ホルダーを横に回転し、コンソールパネル等の凹所内に収納した状態では、携帯電話が取り出し難く、携帯電話を取り出す度に、ホルダーを回転する必要があるという問題点があった。
また、上記した従来の回転式収納ホルダー(特許文献2)も同様に、構造が複雑で且つ大型であるばかりでなく、従来の小型の携帯電話機の収納は可能であるが、サイズの許容性が低く、中型或いは大型のスマートフォンやタブレットPC等を収納ができないという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
【0006】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、保持可能な電子機器のサイズの許容性の高く、しかも構造が簡便であり、小型化が可能であり、又、ホルダー本体を回転して収納可能な電子機器の収納式保持装置を提供することができるようにしたものである。
【0007】
これに加え、請求項1に記載の発明は、下ホルダーと横ホルダーとを同軸上に回転可能に軸支することで、下ホルダーと横ホルダーとを重合状に折り畳むことで、収納時の小型化が可能であり、省スペースにレイアウト可能な収納式保持装置を提供することができるようにしたものである。
【0008】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
すなわち、請求項2に記載の発明は、電子機器の重心位置をホルダー本体の回転軸上に近づけることで、無理な荷重負担が掛かり難くし、サイズの異なる電子機器を安定して保持することができるようにしたものである。
【0009】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
すなわち、請求項3に記載の発明は、取付体の凹所内にはまり込むベース枠の収納部内に、下ホルダーと横ホルダーとを重合状に折り畳んで収納することができるようにしたものである。
【0010】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
すなわち、請求項4に記載の発明は、下ホルダーの裏面を蓋部として収納部の開放上面を閉じることで、ホルダー本体をベース枠に体裁良く収納することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
第1に、例えば
図1に示すように、ベース枠(30)と、ベース枠(30)に対し、回転可能に支持され、下ホルダー(50)及び横ホルダー(60)を有する略L字状のホルダー本体(40)とからなり、例えば
図5〜7に示すように、取付体(70)の凹所(図示せず)内に載置される電子機器(20,21)の収納式保持装置(10)である。
第2に、例えば
図5〜7に示すように、ホルダー本体(40)を凹所(図示せず)から回転して引き出し、ホルダー本体(40)の略L字状の内角に沿って電子機器(20,21)を傾斜状に保持可能にした。
【0013】
第3に、下ホルダー(50)と横ホルダー(60)とは、例えば
図2に示すように、同軸上に回転可能に、且つ相互に保持される。
第4に、横ホルダー(60)の長手方向の一端部を、例えば
図2に示すように、ベース枠(30)の一端部に回転可能に軸支する。
第5に、図示しないが、横ホルダー(60)の回動により下ホルダー(50)を押し上げ、横ホルダー(60)との連動で下ホルダー(50)に設けたストッパー(120)がベース枠(30)の当接片(83)に当接することで、例えば
図2に示すように、ホルダー本体(40)が一定角度を維持した傾斜状態で、ホルダー本体(40)の開いた面を、電子機器(20,21)の受け面として保持する。
【0014】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、例えば
図5〜7に示すように、電子機器(20,21)を傾斜状にホルダー本体(40)に保持し、電子機器(20,21)の重心位置をホルダー本体(40)の回転軸上に近づけた。
【0015】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
第1に、例えば
図1〜3に示すように、ベース枠(30)には、取付体(70)の凹所(図示せず)内にはまり込む、上面が開放した収納部(31)を有する。
第2に、例えば
図4に示すように、収納部(31)内に下ホルダー(50)と横ホルダー(60)とを重合状に折り畳んで収納する。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
第1に、収納部(31)内に下ホルダー(50)と横ホルダー(60)とを重合して収納した際に、例えば
図4に示すように、横ホルダー(60)の裏面を蓋部として収納部(31)の開放上面を閉じる。
第2に、このとき、蓋部の上面が、例えば
図4に示すように、取付体(70)の表面と略面一になっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、保持可能な電子機器のサイズの許容性の高く、しかも構造が簡便であり、小型化が可能であり、又、ホルダー本体を回転して収納可能な電子機器の収納式保持装置を提供することができる。
【0018】
これに加え、請求項1に記載の発明によれば、下ホルダーと横ホルダーとを同軸上に回転可能に軸支することで、下ホルダーと横ホルダーとを重合状に折り畳むことで、収納時の小型化が可能であり、省スペースにレイアウト可能な収納式保持装置を提供することができる。
【0019】
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、電子機器の重心位置をホルダー本体の回転軸上に近づけることで、無理な荷重負担が掛かり難くし、サイズの異なる電子機器を安定して保持することができる。
【0020】
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、取付体の凹所内にはまり込むベース枠の収納部内に、下ホルダーと横ホルダーとを重合状に折り畳んで収納することができる。
【0021】
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、下ホルダーの裏面を蓋部として収納部の開放上面を閉じることで、ホルダー本体をベース枠に体裁良く収納することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(収納式保持装置10)
図1中、10は、収納式保持装置である。収納式保持装置10は、
図5〜
図7に示すように、携帯電話機やその一種であるスマートフォン、或いはタブレットPC等の電子機器20,21を保持するものであり、サイズの異なるものを保持可能である。
電子機器20は、携帯電話機やスマートフォン等のうち、比較的小型のでもある。電子機器21は、スマートフォンのうち、比較的中型或いは大型のものや、タブレットPC等である。
【0024】
収納式保持装置10は、
図3及び
図4に示すように、自動車のセンターコンソールやインストルメントパネル等の取付体60の凹所(図示せず)に載置される。収納式保持装置10は、運転手の視界を避け、助手席の利用者に使いやすい位置にレイアウトできるようにしている。
なお、収納式保持装置10の取付位置として、センターコンソールやインストルメントパネルを例示したが、これらに限定されず、後部座席のドアや壁面、或いは肘掛け等に取り付けてもよいし、又、自動車にも限定されず、電車や列車、航空機、船舶等もよい。
【0025】
収納式保持装置10は、未使用時において、
図4に示すように、取付体60の凹所(図示せず)に折り畳んで収納でき、省スペースにレイアウトできるようにしている。
収納式保持装置10は、使用時において、
図5〜
図7に示すように、取付体60の凹所から回転してホルダー本体40を引き出し、このとき下ホルダー50と横ホルダー60とが略L字状に展開することで、サイズの異なる電子機器20,21を略L字状の内角に沿って傾斜状に保持可能なものである。
【0026】
収納式保持装置10は、
図1に示すように、大別すると、次のパーツから構成されている。
なお、次のパーツについては、後述する。
(1)ベース枠30
(2)ホルダー本体40
なお、収納式保持装置10のパーツは、上記した(1)及び(2)に限定されない。例えば、ベース枠30とホルダー本体40との間に、図示しないが、後述するプッシュ・プッシュ式のラッチ機構や、これと併用させて、クラッチ機構を備えた回転ダンパーを設けてもよい。なお、プッシュ・プッシュ式のラッチ機構や、クラッチ機構を備えた回転ダンパーについては後述する。
【0027】
(取付体60)
取付体60は、
図4及び
図5に示すように、自動車のセンターコンソールやインストルメントパネル等の一部から構成してもよいし、或いはこれらに装着可能な別体構造であってもよい。取付体60は、収納式保持装置10を取付可能な取付穴71が形成されている。
取付穴71は、表裏面に貫通し、ベース枠30がはまり込む大きさに形成されている。取付穴71は、センターコンソールやインストルメントパネル等の内部空間を凹所(図示せず)として、当該凹所に向かって開口している。
【0028】
(ベース枠30)
ベース枠30には、
図1〜3に示すように、取付体70の凹所(図示せず)内にはまり込む、上面が開放した収納部31を有するものである。
【0029】
具体的には、ベース枠30は、収納部31の上面が開口した略チャンネル形に形成され、ベース底部80と、当該ベース底部80の両側から対向して直立した一対のベース側部90とから構成されている。なお、ベース底部80及びベース側部90については後述する。
ベース枠30は、剛性を有する熱可塑性合成樹脂、例えばABS樹脂で一体成形されている。
【0030】
ベース枠30は、
図8〜10に示すように、上述した収納部31を含め、次の各部を備える。
なお、各部については、後述する。
(1)収納部31
(2)凹部32
(3)固定部33
(4)取付部34
【0031】
(ホルダー本体40)
ホルダー本体40は、ベース枠30に対し、回転可能に支持され、下ホルダー50及び横ホルダー60を有する略L字状のものである。なお、下ホルダー50及び横ホルダー60については後述する。
ホルダー本体40は、
図5〜7に示すように、ホルダー本体40を凹所(図示せず)から回転して引き出し、ホルダー本体40の略L字状の内角に沿って電子機器20,21を傾斜状に保持可能にするものである。
下ホルダー50と横ホルダー60とは、
図2に示すように、同軸上に回転可能に、且つ相互に保持される。
ホルダー本体40は、
図5〜7に示すように、電子機器20,21を傾斜状に保持し、電子機器20,21の重心位置をホルダー本体40の回転軸上に近づけている。
【0032】
(収納部31)
収納部31は、
図8及び
図10に示すように、上面が開口した凹状に形成され、重合状に折り畳んだ下ホルダー50及び横ホルダー60を収納可能なものである。
収納部31の開口した上面は、長方形状に形成されている。収納部31は、凹所(図示せず)に向かって突出し、底が塞がれている。
【0033】
(凹部32)
凹部32は、
図8及び
図10に示すように、収納部31の長手方向の一端部に連接し、指が挿入可能なものである。収納部31の長手方向の一端部は、後述する軸受91が無い側である。すなわち、凹部32に、図示しないが、指を挿入し、横ホルダー60に指を引っ掛けて上方に回動することで、収納状態の横ホルダー60を引き出せるようにしている。
凹部32は、その底が収納部31のベース底部80より一段浅く設定され、又、横幅も収納部31より幅狭に設定されている。また、凹部32は、収納部31の長手方向の一端部側が塞がれ、幅方向に長い略方形に形成され、方形の角部を湾曲させている。
【0034】
(固定部33)
固定部33は、
図8〜
図10に示すように、ホルダー本体40の長手方向の一端部から片状に突出し、ホルダー本体40を取付体70の取付穴71の裏側に固定するためのものである。ホルダー本体40の長手方向の一端部は、後述する軸受91が無い側である。
【0035】
(取付部34)
取付部34は、
図8〜
図10に示すように、ホルダー本体40の長手方向の途中から幅方向に翼片状に延び、左右一対形成されている。取付部34は、図示しないが、ネジ等を使用して、ホルダー本体40を取付体70の取付穴71の裏側に固定するためのものである。
【0036】
(ベース底部80)
ベース底部80は、
図8〜
図10に示すように、ホルダー本体40の底側に位置し、収納部31及び凹部32の底を構成する。
ベース底部80は、
図10において左右に長い平面が長方形に形成されている。
【0037】
ベース底部80には、次の各部を備える。
なお、各部については後述する。
(1)切欠部81
(2)枠部82
(3)当接片83
【0038】
(切欠部81)
切欠部81は、
図8及び
図10に示すように、ベース底部80の長手方向の一端部に位置し、ホルダー本体40の回転を許容するためのものである。ベース底部80の長手方向の一端部は、後述する軸受91の有る側である。
【0039】
(枠部82)
枠部82は、
図8及び
図10に示すように、ベース底部80の長手方向の長さの途中に位置し、切欠部81と隣接し、中空内部を下ホルダー50の後述するストッパー120が移動可能に形成されている。
枠部82は、ベース底部80の底面から凹所(図示せず)に向かって突出し、平面が略C型チャンネル型に形成され、切欠部81側に向かって開口している。
【0040】
(当接片83)
当接片83は、
図8及び
図10に示すように、切欠部81に臨むベース底部80の端部に位置し、下ホルダー50に形成された後述するストッパー120の爪部121と当接するものである。爪部121は、当接片83に当接することで、
図2に示すように、ホルダー本体40が上方に回動し、略L字形に展開した状態に固定する。
【0041】
(ベース側部90)
ベース側部90は、
図8〜
図10に示すように、ベース底部80の幅方向の両側から略チャンネル形に一対直立し、切欠部81に臨むように長尺に延びている。
ベース側部90には、次の各部を備える。
なお、次の各部については後述する。
(1)軸受91
(2)収納時小孔92
(3)展開時小孔93
(4)張出部94
【0042】
(軸受91)
軸受91は、
図8及び
図9に示すように、切欠部81に臨むベース側部90の長手方向の一端部に位置し、
図9において表裏方向に貫通し、円形に形成されている。軸受91には、
図2に示すように、横ホルダー60の後述する回転軸141が回転可能に支持される。
【0043】
(収納時小孔92)
収納時小孔92は、
図9に示すように、軸受91の周囲に位置し、同図において表裏方向に貫通し、軸受91より直径の小さな円形に形成されている。収納時小孔92には、横ホルダー60の後述する弾性突起142がはまり込み、弾性突起142がはまり込む位置を、横ホルダー60の収納位置に設定している(
図4参照)。
【0044】
(展開時小孔93)
展開時小孔93は、
図9に示すように、収納時小孔92の90度位相を異ならせて設けられ、収納時小孔92と同様に形成されている。展開時小孔93に、弾性突起142がはまり込む位置を、横ホルダー60の展開位置に設定している(
図2参照)。
【0045】
(張出部94)
張出部94は、
図8〜9に示すように、ベース側部90の上端部から断面L字形に折れ曲がって外向きに張り出している。張出部94は、取付体60の取付穴71の内形より大きく張り出し、取付体60の上面に当接する。
【0046】
(下ホルダー50)
下ホルダー50は、
図5〜
図7に示すように、横ホルダー60と共に、略L字形に展開した状態において、電子機器20,21の下側を保持するものである。
具体的には、下ホルダー50は、上面が開口した略チャンネル形に形成され、下ホルダー底部100と、当該下ホルダー底部100の幅方向の両側から対向して直立した一対の下ホルダー側部110、下ホルダー底部100から下方に湾曲して延びたストッパー120とから構成されている。なお、下ホルダー底部100、下ホルダー側部110及びストッパー120については後述する。
下ホルダー50は、適度な弾性と剛性とを有する熱可塑性合成樹脂、例えばPOM樹脂で一体成形されている。
【0047】
(横ホルダー60)
横ホルダー60は、
図2に示すように、その長手方向の一端部を、ベース枠30の一端部に回転可能に軸支する。
横ホルダー60は、図示しないが、その回動により下ホルダー50を押し上げ、横ホルダー60との連動で下ホルダー50に設けたストッパー120がベース枠30の当接片83に当接することで、
図2に示すように、ホルダー本体40が一定角度を維持した傾斜状態で、ホルダー本体40の開いた面を、電子機器20,21の受け面として保持する。
横ホルダー60は、収納部31内に下ホルダー50とを重合して収納され、その際に、
図4に示すように、その横ホルダー底部130の裏面、すなわち外表面を蓋部として収納部31の開放上面を閉じる。このとき、蓋部の上面、すなわち横ホルダー底部130の外表面が、
図4に示すように、取付体70の表面と略面一となるように形成されている。
【0048】
具体的には、横ホルダー60は、
図5〜
図7に示すように、下ホルダー50と共に、略L字形に展開した状態において、電子機器20,21の側部側を保持するものである。横ホルダー60は、下ホルダー50と同様に、上面が開口した略チャンネル形に形成されているが、下ホルダー50より全長を長く設定している。
横ホルダー60は、横ホルダー底部130と、当該横ホルダー底部130の幅方向の両側から対向して垂下した一対の横ホルダー側部140と、横ホルダー底部130の長手方向の一方の端部から垂下した押上部150とから構成されている。なお、横ホルダー底部130、横ホルダー側部140及び押上部150については後述する。
横ホルダー60は、適度な弾性と剛性とを有する熱可塑性合成樹脂、例えばABS樹脂で一体成形されている。
【0049】
(下ホルダー底部100)
下ホルダー底部100は、
図11に示すように、底側に位置し、
図5〜
図7に示すように、電子機器20,21の下側を保持する載置面となる。
下ホルダー底部100は、
図11及び
図12に示すように、平坦に形成され、下ホルダー50の長手方向の一端部、すなわち後述する突軸111の有る側を上方に登り傾斜するように湾曲させている。
【0050】
(下ホルダー側部110)
下ホルダー側部110は、
図11に示すように、下ホルダー底部100の幅方向の両側から略チャンネル形に一対直立し、下ホルダー底部100と協働して、電子機器20,21の下側を保持する略チャンネル形の溝を形成している。略チャンネル形の溝は、上面が開放するとともに、後述する突軸111の無い、自由端側に向かって開放している。
【0051】
下ホルダー側部110は、
図13に示すように、その長手方向の一端部を全体として円形に形成し、その中央に突軸111を外向きに突出させている。
突軸111は、円柱形に形成され、その先端部の片半部だけを更に突出させ、端面を中央に向かって下り傾斜させている。突軸111は、横ホルダー60の後述する円筒形の回転軸141内に回転可能に挿入され、横ホルダー60と同軸上に、ベース枠30に対し回転可能に支持される。
【0052】
(ストッパー120)
ストッパー120は、
図2に示すように、横ホルダー60と共に、略L字形に展開した状態に下ホルダー50をロックするものである。
ストッパー120は、
図11〜
図13に示すように、下ホルダー底部100の下側から円弧状に湾曲して延び、下ホルダー底部100の長手方向の途中に位置し、突軸111が有る側に向かって延びている。
【0053】
ストッパー120には、
図11〜
図14に示すように、次の各部を備える。
(1)爪部121
爪部121は、ベース底部80の当接片83に当接することで、
図2に示すように、横ホルダー60と共に、略L字形に展開した状態に下ホルダー50をロックするものである。
爪部121は、
図11〜
図14に示すように、ストッパー120の先端部に位置し、斜面を前方に向けた直角三角形形に突出する。
【0054】
(2)突部122
突部122は、
図11〜
図14に示すように、爪部121に隣接して位置し、爪部121との間に、当接片83を挟み込んでロックするものである。
突部122は、ストッパー120の外側面から断面が円弧状に突出し、爪部121から当接片83の板厚に等しく距離離れて位置し、爪部121との間に当接片83がはまり込む溝を形成している。
当接片83は、下ホルダー50の回動時にストッパー120の外側面に接しながら、ストッパー120に沿って相対的に移動する。下ホルダー50が収納部31に収納された状態から、横ホルダー60に押し上げられて上方に回動する際に、当接片83が突部122に当接する。下ホルダー50が更に押し上げられて上方に回動する際に、当接片83により突部122が押圧されることで、ストッパー120が更に湾曲するように撓み、当接片83が突部122を乗り越える。当接片83が突部122を乗り越えると、ストッパー120が樹脂の弾性力により復元することで、爪部121との間にはまり込み、当接片83が爪部121に当接し、下ホルダー50が上方に回動した状態にロックされる。
【0055】
(横ホルダー底部130)
横ホルダー底部130は、
図4に示すように、ホルダー本体40をベース枠30の収納部31内に収納した状態においては、上側に位置し、その外表面が収納部31の開放上面を閉じる蓋部として機能する。下ホルダー底部100の外表面が、取付体70の表面と略面一となるように形成されている。
横ホルダー底部130の内面は、
図5〜
図7に示すように、下ホルダー50と共に、略L字形に展開した状態において、電子機器20,21の側部側を保持する載置面となる。
【0056】
(横ホルダー側部140)
横ホルダー側部140は、
図15及び
図15に示すように、横ホルダー底部130の幅方向の両側から内側に離れた対向して一対垂下し、横ホルダー底部130の長手方向の端部から見ると略π形に形成されている。一方、横ホルダー底部130の幅を、ホルダー本体40の収納部31の溝幅より大きく設定している。そして、横ホルダー側部140から外側に張り出した横ホルダー底部130の鍔部131が、ベース枠30の張出部94に当接するようにしている。
一対の横ホルダー側部140と横ホルダー底部130との間には、電子機器20,21の側面側を保持する略チャンネル形の溝を形成している。略チャンネル形の溝は、
図15において下面側が開放するとともに、後述する回転軸141の無い、自由端側に向かって開放している。
【0057】
横ホルダー側部140は、
図17に示すように、その長手方向の一端部を全体として円形に形成し、その中央に回転軸141を外向きに突出させている。
回転軸141は、円筒形に形成され、その端面の片半部だけを、外周方向に向かって下り傾斜させている。
回転軸141内には、下ホルダー50の突軸111が挿入され、突軸111が挿入された状態で、ベース枠30の軸受91に挿入され、下ホルダー50の突軸111と同軸上に、ベース枠30に対し回転可能に支持される。
【0058】
横ホルダー側部140は、
図17に示すように、回転軸141に隣接させて、弾性突起142を突出させている。弾性突起142は、半球形に突出し、両側には横ホルダー側部140の厚み方向に貫通した一対のスリット143が形成されている。一対のスリット143は、弾性突起142に弾性を付与するためのものである。
弾性突起142は、ベース枠30の収納時小孔92と展開時小孔93といずれか一つに弾性的にはまり込むことで、横ホルダー60の収納位置及び展開状態におけるガタ付きを防止するとともに、操作者にクリック感を与え、操作に節度感を持たせる機能がある。
【0059】
(押上部150)
押上部150は、横ホルダー60を収納位置から指で上方に回動させたときに、当該回動力を下ホルダー50に伝達するためのものである。
押上部150は、横ホルダー底部130の長手方向の一方の端部、すなわち回転軸141が有る側から板状に垂下し、一対の横ホルダー側部140に連接している。
押上部150は、横ホルダー60を収納位置から展開状態に回動した際に、下ホルダー底部100の下面に当接し、当該下面を押し上げることで、下ホルダー50を突軸111を中心に回動させる。
【0060】
(緩衝材160及びその貼付位置a〜c)
下ホルダー底部100には、
図12〜
図14に示すように、緩衝材160を貼付している。緩衝材160は、例えばスポンジ等を使用している。緩衝材160は、下ホルダー底部100と横ホルダー60の押上部150とが当接する際の音を低減するためのものである。
横ホルダー底部130の鍔部131の内面には、
図16〜
図17に示すように、緩衝材160を貼付している。緩衝材160は、鍔部131が、ベース枠30の張出部94に当接する際の音を低減するためのものである。
緩衝材160は、
図9及び
図18に示す貼付位置a〜cに貼付してもよい。
貼付位置aは、
図9に示すように、ベース枠30の当接片83の位置であり、ストッパー120の爪部121と当接する際の音を低減可能である。
貼付位置bは、
図9に示すように、ベース枠30の枠部82の内側面であり、ストッパー120の先端部と当接する際の音を低減可能である。
貼付位置cは、
図18に示すように、横ホルダー底部130の鍔部131の内面であり、横ホルダー底部130の長手方向の略中間であり、ベース枠30の張出部94に当接する際の音を低減可能である。
【0061】
(保護部材170)
保護部材170は、例えばフェルトであり、
図11に示すように、下ホルダー底部100の内面や、
図16に示すように、横ホルダー底部130の内面に貼付している。保護部材170は、その柔軟性により電子機器20,21のキズの発生を予防したり、又、クッション性により電子機器20,21を載置したり、或いは保持状態にガタ付いたときの音の発生を低減できる。また、保護部材170の摩擦抵抗により、保持状態のガタ付きを低減可能である。
【0062】
(使用方法)
つぎに、上記構成を備えた収納式保持装置10の使用方法について説明する。
まず、
図4に示すように、ホルダー本体40がベース枠30の収納部31に収納された状態から、凹部32に、図示しないが、指を挿入し、横ホルダー60に指を引っ掛けて上方に回動することで、収納状態の横ホルダー60を上方に回動させる。
横ホルダー60を上方に回動すると、横ホルダー60は回転軸141を中心に回動し、このとき、押上部150が下ホルダー底部100の下面に当接し、当該下面を押し上げることで、下ホルダー50が、横ホルダー60は回転軸141と同軸上の突軸111を中心に上方に回動する。
【0063】
下ホルダー50が上方に回動すると、ストッパー120が上昇する。このとき、ベース枠30の当接片83が、ストッパー120の外側面に接しながら、ストッパー120に沿って相対的に移動する。当接片83の相対的な移動に伴い、ストッパー120の突部122に当接する。その後、下ホルダー50が更に上方に回動すると、突部122が当接片83により押圧されることで、ストッパー120が更に湾曲するように撓み、当接片83が突部122を乗り越える。当接片83が突部122を乗り越えると、ストッパー120が樹脂の弾性力により復元することで、爪部121との間にはまり込み、当接片83が爪部121に当接し、下ホルダー50が上方に回動した状態にロックされる。
また、このとき、横ホルダー60の弾性突起142が、ベース枠30の展開時小孔93内に弾性的にはまり込むことで、横ホルダー60のガタ付きが防止される。
【0064】
ロック状態においては、
図2及び
図3に示すように、下ホルダー50と横ホルダー60とが90度開いたL字形ないしはV字形に静止する。このとき、下ホルダー50の略チャンネル形の溝と、横ホルダー60の略チャンネル形の溝とが連続し、全体としてホルダー本体40の内角に沿って上方の面が開放した略L字状の溝が形成される。
【0065】
電子機器20,21は、略L字状の溝に上方から差し込んで載置する。
図5及び
図6は、携帯電話機やスマートフォン等のうち、比較的小型の電子機器20を保持した状態である。また、
図7は、スマートフォンのうち、比較的中型或いは大型のものや、タブレットPC等の電子機器21を保持した状態である。
電子機器20,21は、
図5〜
図7に示すように、略L字状の溝に斜めに傾斜した状態に保持される。このとき、電子機器20,21の重心位置がホルダー本体40の回転軸上に接近していることから、無理な荷重負担が掛かり難くし、サイズの異なる電子機器を安定して保持可能である。
【0066】
収納式保持装置10の使用後は、図示しないが、横ホルダー60を持って、ベース枠30の収納部31に向かって下方に回動すればよい。
横ホルダー60を下方に回動すると、回転軸141を中心に回動し、その横ホルダー側部140が下ホルダー側部110と当接し、横ホルダー60と下ホルダー50とが上下に重なり合う。
横ホルダー60を下方に回動すると、下ホルダー50が横ホルダー60に押されて両者が同軸上に一体的に回転する。
【0067】
下ホルダー50が下方に回動すると、ストッパー120が下降する。このため、ベース枠30の当接片83が、ストッパー120の外側面に接しながら、ストッパー120に沿って相対的に移動する。当接片83の相対的な移動に伴い、突部122が当接片83により押圧されることで、ストッパー120が更に湾曲するように撓み、当接片83が突部122を乗り越える。当接片83が突部122を乗り越えると、ロック状態が解除される。
【0068】
ロック状態の解除後、横ホルダー60を更に下方に回動すると、その鍔部131が、ベース枠30の張出部94に当接することで、それ以上、回動できなくなる。また、このとき、横ホルダー60の弾性突起142が、ベース枠30の収納時小孔92内に弾性的にはまり込むことで、横ホルダー60のガタ付きが防止される。
収納状態においては、横ホルダー60と下ホルダー50とが上下に重なり合った、折り畳まれた状態で、ベース枠30の収納部31に収納される。また、このとき、下ホルダー底部100の外表面が、取付体70の表面と略面一となる。
【0069】
(プッシュ・プッシュ式のラッチ機構)
プッシュ・プッシュ式のラッチ機構は、図示しないが、ベース枠30とホルダー本体40との間に設けられ、ホルダー本体40を収納状態から展開状態に向かって付勢する付勢手段と、当該付勢手段による付勢力に抗して、ホルダー本体40を収納位置にロックするロック手段とから構成される。
【0070】
ロック手段は、横ホルダー60を収納位置を行き過ぎるように、ベース枠30の収納部31に向かって少し押し込むことで、ロック状態が解除される。ロック状態が解除されると、ホルダー本体40は、付勢手段による付勢力により、収納状態から展開状態に向かって回動する。付勢手段による付勢力は、横ホルダー60がベース枠30の収納部31から少し浮上する程度でも足り、その後は、浮上した横ホルダー60を持って上方に回動することで、展開状態とすることが可能である。
【0071】
プッシュ・プッシュ式のラッチ機構を設けることで、ベース枠30の指を挿入するための凹部32を省略することができ、収納状態において収納式保持装置10の外面形状をフラットな形状とすることができる。
なお、付勢手段による付勢力を強くすることで、ホルダー本体40が収納状態から展開状態に移行するようにしてもよい。
【0072】
(クラッチ機構を備えた回転ダンパー)
ベース枠30とホルダー本体40との間には、図示しないが、プッシュ・プッシュ式のラッチ機構に加えて、クラッチ機構を備えた回転ダンパーを併用して設けるようにしてもよい。
クラッチ機構を備えた回転ダンパーは、ベース枠30とホルダー本体40との間に設けられ、ホルダー本体40の回転に対し、制動力を働かせるダンパー手段と、ホルダー本体40の回転の一方向、すなわち前記付勢手段の付勢により、ホルダー本体40を収納状態から展開状態に向かって回動する回転力をダンパー手段に伝達し、逆方向、すなわちホルダー本体40を展開状態から収納状態に向かって手動で回動する際には、ホルダー本体40の回転力の伝達を断つクラッチ手段とから構成される。
【0073】
すなわち、ホルダー本体40が前記付勢手段により展開方向に付勢され、収納状態から展開状態、すなわち上方に向かって回動する際には、回転力がクラッチ手段によりダンパー手段に伝達される。このため、ダンパー手段による制動力が働き、ホルダー本体40がゆっくりと且つ静粛に上方に回動して展開する。
これに対し、展開状態の横ホルダー60を、ベース枠30の収納部31に向かって下方に手動で回動する際には、クラッチ手段によりホルダー本体40の回転力の伝達が断たれる。このため、比較的小さな或いは軽い力により、手動でホルダー本体40を下方に回動して収納することができる。
この場合も、ホルダー本体40は、先に説明したプッシュ・プッシュ式のラッチ機構のロック手段によりロックされ、横ホルダー60を収納位置を行き過ぎるように、ベース枠30の収納部31に向かって少し押し込むことで、ロック状態を解除できる。このため、プッシュ・プッシュ式のラッチ機構を併用して設けることで、ベース枠30の指を挿入するための凹部32を省略することができ、収納状態において収納式保持装置10の外面形状をフラットな形状とすることができる。