(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368306
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】炎症性腸疾患(IBD)患者の筋骨格の健康を促進させるための栄養組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20180723BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/201 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/42 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/26 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/34 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/32 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/16 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/24 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/04 20060101ALI20180723BHJP
A61K 33/18 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20180723BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20180723BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20180723BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20180723BHJP
A23L 33/00 20160101ALI20180723BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20180723BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20180723BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20180723BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P3/02
A61K31/122
A61K31/59
A61K31/19
A61K31/201
A61K31/202
A61K33/00
A61K33/06
A61K33/42
A61K33/26
A61K33/30
A61K33/34
A61K33/32
A61K33/16
A61K33/24
A61K33/04
A61K33/18
A61K31/07
A61K31/355
A61K31/375
A61K31/51
A61K31/525
A61K31/197
A61K31/4415
A61K31/714
A61K31/455
A61K31/4188
A61K31/14
A61P19/00
A61P21/00
A61P1/04
A23L33/00
A23L2/00 F
A61K31/519
A61K31/702
A61K31/715
A61K35/741
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-524758(P2015-524758)
(86)(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公表番号】特表2015-530981(P2015-530981A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】EP2013065948
(87)【国際公開番号】WO2014020004
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】12178573.7
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】シフリン, エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ブランバット, ヴィラル
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, フランソワ−ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤコブ, ジャリル
【審査官】
茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−203996(JP,A)
【文献】
米国特許第05461033(US,A)
【文献】
国際公開第2011/031601(WO,A1)
【文献】
特表2007−504225(JP,A)
【文献】
Osteoporos. Int.,2009年,Vol. 20,pp. 935-942
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−38/58;41/00−45/08
A23L 2/52
A23L 33/00
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 35/741
A61P 1/04
A61P 3/02
A61P 19/00
A61P 21/00
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸カゼインタンパク質と、
ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、
栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;
n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸及びその混合物と
を含む栄養組成物。
【請求項2】
前記n6のω−6脂肪酸が、リノール酸(LA)C18:2、γ−リノレン酸(GLA)C18:3、エイコサジエン酸C20:2、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)C20:3、アラキドン酸(AA)C20:4、ドコサジエン酸C22:2、アドレン酸C22:4、ドコサペンタエン酸C22:5、テトラコサテトラエン酸C24:4、テトラコサペンタエン酸C24:5、及びカレンジン酸C18:3からなる群から選択されるもの、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の栄養組成物。
【請求項3】
前記n3のω−3脂肪酸が、ヘキサデカトリエン酸(HTA)C16:3、α−リノレン酸(ALA)C18:3、ステアリドン酸(SDA)C18:4、エイコサトリエン酸(ETE)C20:3、エイコサテトラエン酸(ETA)C20:4、エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5、ヘンエイコサペンタエン酸(HPA)C21:5、ドコサペンタエン酸(DPA)C22:5、ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6、テトラコサペンタエン酸C24:5、及びテトラコサヘキサエン酸C24:6からなる群から選択されるもの、又はそれらの混合物である、請求項1又は2に記載の栄養組成物。
【請求項4】
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルタート、シトルリン、システイン、グルタマート、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、HICA(α−ヒドロキシイソカプロン酸)、HIVA(α−ヒドロキシイソ吉草酸)、HIMVA(α−ヒドロキシメチル吉草酸)、又はそれらの組合せを含む群から選択される1種又は複数種のアミノ酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項5】
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、塩化物、鉄、亜鉛、銅、マンガン、フッ化物、クロム、モリブデン、セレン、ヨウ素、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される1種又は複数種のミネラルをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項6】
ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びコリン、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される1種又は複数種の追加のビタミンをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項7】
フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、アラビアゴム、ダイズオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、グアーガム、部分加水分解グアーガム、糖アルコール、αグルカン、βグルカン、又はそれらの組合せを含む群から選択される1種又は複数種のプレバイオティクスをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項8】
サッカロミセス属、デバロマイセス属、カンジダ属、ピキア属、トルロプシス属、アスペルギルス属、リゾプス属、ムコール属、ペニシリウム属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フゾバクテリウム属、メリソコッカス属、プロピオニバクテリウム属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、スタフィロコッカス属、ペプトストレポコッカス属、バシラス属、ペディオコッカス属、ミクロコッカス属、ロイコノストック属、ワイセラ属、アエロコッカス属、オエノコッカス属、ラクトバチルス属、又はそれらの組合せを含む群から選択される1種又は複数種のプロバイオティクスをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項9】
薬学的に許容される担体、香味剤、及び着色剤、又はそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の栄養組成物を含む、医薬製剤、栄養製剤、経管栄養製剤、栄養補充食品、機能性食品、飲料製品、又はそれらの組合せ物。
【請求項11】
筋骨格の健康を向上させるのに使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項12】
患者の筋骨格の健康を向上させるのに使用するための栄養組成物であって、
酸カゼインタンパク質と、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸及びその混合物とを含み、
前記患者が、場合により小児又は10代の患者であり得る、栄養組成物。
【請求項13】
前記患者が、発達遅延、成長障害、炎症性腸疾患、クローン病、クローン病に関連する骨減少症、栄養失調、又はそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1種を有する、請求項12に記載の栄養組成物。
【請求項14】
前記筋骨格の健康の向上が、骨密度の向上である、請求項12又は13に記載の栄養組成物。
【請求項15】
前記筋骨格の健康の向上が、筋横断面積の向上である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【請求項16】
前記栄養組成物が、医薬製剤、栄養製剤、経管栄養製剤、栄養補充食品、機能性食品、飲料製品、又はそれらの組合せからなる群から選択される投与可能な形態である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の栄養組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本開示は、栄養組成物、特に炎症性腸疾患の患者のための栄養組成物に関する。本開示はまた、患者、特に炎症性腸疾患の患者の筋骨格の健康を向上させる方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
炎症性腸疾患は、胃腸管の炎症を伴う疾患のグループを指す。
【0003】
クローン病は、炎症性腸疾患の一例である。クローン病は、口から肛門までの全胃腸管に影響を及ぼすことがある。
【0004】
クローン病の正確な原因は知られていない。クローン病は、身体の免疫系と相互作用する遺伝的、非遺伝的、又は環境的要因(例えば感染症)が組み合わさって引き起こされると考えられ、胃腸管に影響を及ぼす。
【0005】
クローン病は、身体の免疫系が胃腸管の健常な組織を誤って攻撃し破壊する慢性炎症障害である。クローン病の徴候及び症状は、再発及び寛解の慢性的な循環期間を含む。
【0006】
クローン病は、胃腸管、腸管外、及び全身性の合併症を起こす可能性がある。胃腸管合併症には、下痢、腹痛、熱、及び直腸出血を挙げることができる。腸管外合併症には、眼、骨、皮膚異常、及び血液異常に関する問題がある。クローン病の腸管外合併症はさらに、骨粗しょう症を引き起こす骨密度の低下又は骨軟化症を引き起こす骨軟化の増加をもたらす。クローン病に関連する全身性合併症には、子供の成長遅延、食物摂取量の減少に起因する体重減少、及び体重減少をさらに悪化させる炭水化物又は脂質の吸収不良がある。
【0007】
クローン病には、単一の治療法はない。クローン病の寛解が可能な場合、薬物、ライフスタイルの変更、栄養組成物による介入、及び場合によっては外科手術を用いて、再発を阻止し、症状を制御することができる。
【0008】
クローン病の治療は、症状が活性状態にある場合に唯一可能である。クローン病の治療は、通常、急性問題を最初に治療し、次いで、寛解を維持するものである。
【0009】
クローン病患者の代謝性変化を矯正し、クローン病患者のクローン病関連変性を阻止し、矯正することができる栄養組成物を提供する必要がある。
【0010】
寛解期間中、クローン病が起こる前にクローン病の影響の再発及び寛解の可能性を予測できるようにクローン病患者をモニタリングできるようにする必要がある。この方法におけるクローン病患者のモニタリングは、いわゆるバイオマーカーで実施される。バイオマーカーは初期の栄養学的介入を可能にして、寛解状態を維持できるようにする。したがって、診断ツールとして使用することができる、クローン病患者のバイオマーカーを特定することは望ましい。
【0011】
栄養組成物は、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の患者に、単独の栄養組成物及び/又は補充の栄養組成物を提供することで知られている。栄養組成物は、炎症性腸疾患(例えばクローン病)のための主要な治療法である。栄養組成物によって、炎症活性を制御することが可能になり得、患者が寛解状態を維持することが可能になり得る。
【0012】
Nestleによって製造された栄養組成物−モジュレン(Modulen)IBDが知られている。例えば、製品情報シートのhttp://www.nestlenutrition.co.uk/healthcare/gb/products/Documents/Modulen%20IBD−nutritionpanel.pdfを参照されたいが、これは2012年6月1日にダウンロードされ、閲覧されたものである。モジュレンIBDは、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者のために使用される。モジュレンIBDは、ビタミンKを27μg/100gの量で含有することが知られている。モジュレンIBDは、ビタミンDを4.9μg/100gの量で含有することが知られている。モジュレンIBDは、α−リノレン酸を0.2g/100gの量で含有することが知られている。モジュレンIBDは、カゼインタンパク質をベースとする組成物である。モジュレンIBDのカゼインは、抗炎症性サイトカイン−トランスフォーミング増殖因子−β
2を提供する。トランスフォーミング増殖因子−β
2は、活性状態の炎症性腸疾患(例えばクローン病)の子供の寛解を誘導することが示されている。トランスフォーミング増殖因子−β
2は、炎症性活性状態を制御するので、胃腸管粘膜の治癒を促進する。トランスフォーミング増殖因子−β
2はさらに、免疫調節特性を有する。
【0013】
国際公開第2011/031601号パンフレットは、栄養組成物、並びにこの栄養組成物の作製及び使用の方法を開示している。この栄養組成物は、外因性ビタミンK2を含む。この栄養組成物は、リン、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、カルシウム、ビタミンD、オステオポンチン、及びそれらの組合せから選択される別の成分をさらに含むことができる。
【0014】
[発明の概要]
炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の筋骨格の健康を促進させる栄養組成物を提供する必要がある。
【0015】
炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の代謝プロフィルを回復させる栄養組成物を提供する必要がある。
【0016】
患者は、小児又は10代の患者であり得る。小児患者は、0〜18歳、0〜17歳、又は0〜17歳の患者である。0歳は、出生が早産かそうでないかとは無関係に出生時を指す。10代の患者は、13〜19、13〜18、又は13〜17歳の患者である。
【0017】
第1の態様では、本開示は、栄養組成物に関する。この栄養組成物は、酸カゼインタンパク質と、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸とを含む。
【0018】
別の一態様では、本開示は、酸カゼインタンパク質と、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸とを含む栄養組成物を含む、医薬製剤、栄養製剤、経管栄養製剤、栄養補充食品、機能性食品、飲料製品、又はそれらの組合せに関する。
【0019】
別の一態様では、本開示は、小児患者の筋骨格の健康を向上させる方法に関する。この方法は、それを必要とする小児患者に、酸カゼインタンパク質と、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸とを含む栄養組成物を投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示による栄養組成物を投与した場合の、クローン病の6.6〜17.7歳の子供の小児クローン病活性度指数(PCDAI)を示す図である。
【
図2】クローン病の6.6〜17.7歳の子供に投与した場合の、骨密度及び筋横断面積への本開示の栄養組成物の効果を示す図である。
【0021】
[詳細な説明]
本開示及びその利点を完全に理解するために、以下の詳細な説明を添付図面と併せて参照されたい。本明細書に開示する本開示の様々な態様が、開示物を作製し、使用するための特定の方法の単なる例示であり、添付の特許請求の範囲、詳細な説明、及び添付図面を考慮に入れた場合、開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0022】
開示の一態様からの特徴が、本明細書に開示する開示の説明又は実施例の考察から当業者には明らかであり、それらの特徴が、本開示の他の態様/実施形態からの特徴と合わせることができることを理解されたい。
【0023】
本開示及び添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、複数の指示物を含む。
【0024】
本発明者らは、炎症性腸疾患(例えばクローン病)のための栄養組成物を開発した。
【0025】
用語「栄養組成物」には、完全栄養組成物、部分的又は不完全栄養組成物、及び疾患又は状態特異的な栄養組成物が含まれるが、それらだけに限らない。完全栄養組成物(即ち、必須な大量及び微量栄養素を全て含有するもの)は、患者のための唯一の栄養源として使用することができる。患者は、このような完全栄養組成物から自分の栄養要求量を100%取ることができる。部分的又は不完全栄養組成物は、必須な大量及び微量栄養素の全てを含有しているわけではなく、患者のための唯一の栄養源として使用することができない。部分的又は不完全栄養組成物は、栄養補充剤として使用することができる。疾患又は状態特異的な栄養組成物は、栄養素又は医薬品を送達する組成物であり、完全又は部分的栄養組成物であり得る。
【0026】
栄養組成物は、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の活性期に使用された場合、寛解を誘導することができ(PCDAIスコア及び内視鏡検査の評価によって示される)、炎症応答を下方制御することができ、腸粘膜の治癒を促進し、体重増加を促進することができ、直線的成長を促進することができ、栄養状態を向上させ、筋骨格変性を改善させることが分かった。
【0027】
PCDAIスコアは当技術分野でよく知られており、PCDAIは小児クローン病活性度指数を指す。PCDAIは、子供及び10代の若者の疾患活性度を分類する、確実で有効な多重パラメータ測度である。本開示の栄養組成物が、
図1に示すように、PCDAIを治療の最初の2週で有意に低減させ、8週以内で最小にすることが分かる。
【0028】
栄養組成物は、酸カゼインタンパク質と、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKと、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在するビタミンDと;n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5であるn6/n3脂肪酸とを含む。
【0029】
酸カゼインは、牛乳をカゼインの等電(isolectric)点(pH4.7)に到達するまで酸性化することによって製造する。続いて、いわゆる酸カゼインタンパク質が沈澱する。この方法は、当技術分野で十分に確立されている(米国特許第4397926号の背景のセクションを参照されたい)。しばしば、酸カゼインは、酸性乳清の影響下で厳密に脱脂された牛乳から継続的にカゼインを凝固させる方法で得られる。しかし、他の製造法でも入手可能である。
【0030】
酸カゼインタンパク質は、天然のトランスフォーミング増殖因子β−2(TGF−β2)において高い。トランスフォーミング増殖因子β−2(TGF−β2)は、腸粘膜の治癒に重要な役割を果たす抗炎症性サイトカインである。
【0031】
ビタミンKは、一般化学物質の環状構造(ナフトキノン(napthoquinone))を有する親油性、疎水性、及び必須ビタミンのグループを示す。ビタミンK1は、フィロキノン又はフィトメナジオンとして知られている単一の化合物であり、ビタミンK2は、メナキノン又はメナテトレノンとして知られている一連のビタマーである。
【0032】
周知のように、炎症性腸疾患(例えばクローン病)は、骨成長、骨質、及び最終的には骨密度に支障を来すことが知られている。炎症性腸疾患(例えばクローン病)を有する患者の低骨量の罹患率は、約30〜50%の範囲にある。炎症性腸疾患(例えばクローン病)を有する患者にはビタミンKが通常不足しており、その結果として制限される生体利用能は、骨量形成中にオステオカルシンのカルボキシル化を低減させ、同時に、骨強度、骨石灰化、及び骨の微視的構造を低減させる可能性がある。したがって、炎症性腸疾患(例えばクローン病)を有する患者は、有効用量より多い量のビタミンKから利益を得る。ビタミンKレベルが低いと、骨形成速度を代償的に増大させることなく、骨吸収(resorption)速度を増大させる可能性がある。
【0033】
ビタミンK1摂取量をより高くすることにより摂取レベルを増加させようとするのではなく、ビタミンK2によって、より高効力型のビタミンKを、抗凝固パラメータに悪影響を与えることなく摂取することが可能になる。ビタミンK2は、ビタミンK1と比較すると吸収が良く、ビタミンK1と比較して、より長い半減期によって安定した血清レベルが得られる。肝外組織に対するビタミンK2の吸収が高められたことにより、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の筋骨格の健康の向上に、より大きな影響を与えることが可能になる。
【0034】
本出願人は、驚くべきことに、栄養組成物の一部として、ビタミンK1:K2の比が3:1〜1:3であり、栄養組成物100gあたり17.5〜100μgの量で存在するビタミンKを投与すると、子供の正常な成長及び発育の間、オステオカルシンのカルボキシル化が向上し、骨の健康指標が向上することを見出した。さらに、ビタミンKを補充すると、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の骨成長及び骨質を向上させることもできる。この栄養組成物を投与すると、骨密度が増加され、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の骨組織の微視的構造が改善され、それにより骨折危険率が低下する。末梢骨用定量的コンピュータ断層法(「pQCT」)又は二重エネルギーX線吸収法(「DEXA」)で測定すると、微視的構造形態、石灰化、密度、弾力性、及び機械的剛性に関与する、骨の有機基質中タンパク質の形成を調節するようなビタミンKの効果が、骨質に関して直接認められる。
【0035】
骨密度は、骨量(骨を通過する光子の減衰度、又は骨塩量(BMC)として表される)とフィルム上の骨の画像(即ち面積)との関係として表される(BMC/cm
2として表される)。さらに、pQCTは、末梢骨を3次元(体積)で評価する手法であり、前腕又は脛骨に一般的に適用される。放射線源(典型的にはX線)及び感知器が検査中に骨の周囲を回転し、次いで、骨がコンピュータ画面上に3次元画像として再構築される。pQCTは、評価する部位によって感度が変動するものの、骨形状を評価するための最適な技術である。他の大多数の技術とは異なり、pQCTは、検査する骨の投影面積ではなく体積に由来する骨塩量を正規化するので、pQCTは真の骨密度(体積骨塩密度(volumetric mineral bone density))を測定する。pQCTは、捻れに対する骨の抵抗指標であるSSIの計算にも使用することができる。この指標は、骨形状及び骨塩特性を考慮に入れる。Geometry and bone density、Radetti,G.ら、Panminerva Med 2006;48:181〜6を参照されたい。
【0036】
DEXAはX線分光測定法に基づいており、DEXAの基本原理は、2つの異なるエネルギー源から放射されるX線の減衰度に基づく。DEXAは、腰椎又は近位大腿骨の骨石灰化を評価するために通常使用される。DEXAは、精度が4〜10%、変動係数が1〜1.5%である。
【0037】
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、ビタミンK1:K2の比が2:1〜1:2であるビタミンKの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、ビタミンK1:K2の比が1:1であるビタミンKの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり20〜50μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり20〜40μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり22〜30μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり25〜30μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり26〜28μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンKは、栄養組成物100gあたり27μgの量で存在する。
【0038】
ビタミンDは、骨の無機基質の発達のための重要な栄養素である。ビタミンDは、栄養組成物100gあたり2.5〜75μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンDは、栄養組成物100gあたり7.5〜70μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンDは、栄養組成物100gあたり7.5〜15μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンDは、栄養組成物100gあたり10〜13μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンDは、栄養組成物100gあたり11〜12μgの量で存在する。
好ましい一実施形態では、ビタミンDは、栄養組成物100gあたり11.6μgの量で存在する。
【0039】
図2は、栄養組成物を経腸栄養により12週間投与すると、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の骨密度が有意に向上することを示している。
【0040】
さらに、栄養組成物には、n6/n3脂肪酸及び/又はその混合物が存在するので、粘膜治癒のための抗炎症活性が増強された。n6/n3脂肪酸は、n6:n3脂肪酸の比が5:1〜1:5で存在する。この栄養組成物が粘膜の治癒を促進するので、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者の栄養素吸収が向上する。
【0041】
n3のω−脂肪酸の例は、ヘキサデカトリエン酸(HTA)C16:3、α−リノレン酸(ALA)C18:3、ステアリドン酸(SDA)C18:4、エイコサトリエン酸(ETE)C20:3、エイコサテトラエン酸(ETA)C20:4、エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5、ヘンエイコサペンタエン酸(HPA)C21:5、ドコサペンタエン酸(DPA)C22:5、ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6、テトラコサペンタエン酸C24:5、及びテトラコサヘキサエン酸C24:6である。
【0042】
好ましい一実施形態では、n3のω−3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5及びドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6である。
【0043】
n3のω−3脂肪酸は、魚油、藻油、イカ油、並びにエキウム油及びアマニ油などの植物油、並びに/又はそれらの混合物から得ることができる。
【0044】
n6のω−6脂肪酸の例は、リノ
ール酸(LA)C18:2、γ−リノレン酸(GLA)C18:3、エイコサジエン酸C20:2、ジホモ−γ−リノレン酸(DGLA)C20:3、アラキドン酸(AA)C20:4、ドコサジエン酸C22:2、アドレン酸C22:4、ドコサペンタエン酸C22:5、テトラコサテトラエン酸C24:4、テトラコサペンタエン酸C24:5、及びカレンジン酸C18:3である。
【0045】
n6のω−6脂肪酸は、家禽、卵、アボカド、堅果、穀物、デューラムコムギ、全粒粉、植物油、イヴニングプリムローズ油、ボラージ油、ブラックカラント種子油、アマ/アマニ油、ナタネ油、カノーラ油、大麻油、ダイズ油、綿実油、ヒマワリ種子油、トウモロコシ油、サフラワー油、カボチャ種子、アサイベリー、カシュー、及びスピルリナ、並びに/又はそれらの混合物から得ることができる。
【0046】
好ましい一実施形態では、n3のω−3脂肪酸は、α−リノレン酸(ALA)C18:3であり、n6のω−6脂肪酸は、リノ
ール酸(LA)C18:2である。
【0047】
図2は、栄養組成物を経腸栄養により12週間投与すると、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の筋横断面積が有意に向上することを示している。
【0048】
栄養組成物は、1種又は複数種のアミノ酸をさらに含んでもよい。アミノ酸の非限定的な例には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパルタート、シトルリン、システイン、グルタマート、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、HICA(α−ヒドロキシイソカプロン酸)、HIVA(α−ヒドロキシイソ吉草酸)、HIMVA(α−ヒドロキシメチル吉草酸)、又はそれらの組合せがある。
【0049】
別の一実施形態では、栄養組成物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、塩化物、鉄、亜鉛、銅、マンガン、フッ化物、クロム、モリブデン、セレン、ヨウ素、又はそれらの任意の組合せなどのミネラルを含んでもよい。
【0050】
別の一実施形態では、栄養組成物は、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びコリン、又はそれらの任意の組合せなどのビタミンをさらに含む。
【0051】
別の一実施形態では、栄養組成物は、1種又は複数種のプレバイオティクスをさらに含む。本明細書では、プレバイオティクスは、組成物及び/又は胃腸ミクロフローラの活性の両方を特異的に変化させ、宿主の幸福及び健康に利益をもたらす、選択的発酵成分である。プレバイオティクスの非限定的な例には、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、アラビアゴム、ダイズオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、グアーガム、部分加水分解グアーガム、糖アルコール、αグルカン、βグルカン、又はそれらの組合せがある。
【0052】
別の一実施形態では、栄養組成物は、1種又は複数種のプロバイオティクスをさらに含む。プロバイオティクスとして、適切量を投与したときに宿主に健康上の利益をもたらすことができるような、より詳細には、宿主の腸内の微生物バランスを改善することによって宿主に対し有益な影響を与え、宿主の健康又は幸福に効果をもたらす、微生物(半生存可能若しくは弱体化、及び/又は非複製的を含む生菌)、代謝産物、微生物細胞調製物、又は微生物細胞の構成成分であることが好ましい。一般に、これらのプロバイオティクスは、腸管中の病原菌の増殖及び/又は代謝に対する阻害及び/又は影響をもたらすと考えられている。プロバイオティクスはまた、宿主の免疫機能を活性化することができる。プロバイオティクスの非限定的な例には、サッカロミセス属(Saccharomyces)、デバロマイセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、トルロプシス属(Torulopsis)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rhizopus)、ムコール属(Mucor)、ペニシリウム属(Penicillium)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、バクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス属(Melissococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレポコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ワイセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、又はそれらの組合せがある。
【0053】
別の一実施形態では、栄養組成物は、シンバイオティクスをさらに含む。シンバイオティクスは、プレバイオティクス(複数可)もプロバイオティクス(複数可)も含有する補充剤である。プレバイオティクス(複数可)及びプロバイオティクス(複数可)は、腸のミクロフローラを改善するために相互に機能する。シンバイオティクスは、上述のプレバイオティクス(複数可)とプロバイオティクス(複数可)のどんな組合せも含む。
【0054】
別の一実施形態では、栄養組成物は、薬学的に許容される担体及び/又は香味剤及び/又は着色剤を含む。香味剤の使用により、栄養組成物に香味が与えられて、この栄養組成物が炎症性腸疾患(例えばクローン病)の患者にとって、より口あたりの良いものになる。
【0055】
好ましい一実施形態では、栄養組成物は、液体で復元される粉末の形である。
【0056】
栄養組成物は、医薬製剤、栄養製剤、経管栄養製剤、栄養補充食品、機能性食品、飲料製品、又はそれらの組合せなどの投与可能な形態であり得る。
【0057】
本明細書では、「経管栄養」製剤は、経口投与を介してではなく、以下のものだけに限らないが、経鼻胃管、経口胃管、胃管、空腸瘻管(Jチューブ)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)、胃、空腸にアクセスできるようにする胸壁ポート及び他の適切なアクセスポートなどのポートを介して、患者の胃腸管に投与される、完全又は不完全栄養製品であることが好ましい。
【0058】
本開示の栄養組成物は、薬物治療を用いた治療を回避したい、薬物治療に関連する副作用を回避したい炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者において有利である。
【0059】
本開示の栄養組成物は、薬物治療への補充剤として炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者において使用することができる。
【0060】
本開示の栄養組成物は、薬物に反応しない炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者において有利である。
【実施例】
【0061】
本開示による栄養組成物は、表1に従って製造した。
【0062】
縦列「栄養組成物の例−100gあたりの構成物質」は、栄養組成物が粉末形態の場合の、栄養組成物100gあたりの栄養組成物の構成物質に基づいた栄養組成物の例を示す。
【0063】
縦列「1回分の明示値:水84mlあたり栄養組成物(粉末)20.4gによる復元物100ml」は、栄養組成物の例20.4gを水84mlで復元して液体形態の栄養組成物100mlを形成した場合の、栄養組成物の構成物質に基づいた栄養組成物を示す。
【0064】
【表1-1】
【0065】
【表1-2】
【0066】
【表1-3】
【0067】
復元した栄養製剤を、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供に12週間にわたって投与した。
【0068】
ベースライン特性を記した後、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供に、臨床的寛解を得るために単独の栄養補給として栄養組成物を4週間投与した。次いで、投与を8週間継続した。
【0069】
炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供を、初診後4週及び12週時に経過観察した。筋横断面積及び骨密度を、初診及び12週時に測定した。
【0070】
炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の血漿代謝プロフィルを、メタボノミクス手法によって初診時及び栄養学的介入の4週後に得た。メタボノミクス手法は、製造業者の使用説明書に従ってBiocrates Life Sciences AbsoluteIDQTMキットを使用することから成った。炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の血漿代謝プロフィルを、多変量統計で処理して、代謝情報(バイオマーカー)を特定した。代謝情報(バイオマーカー)は、栄養組成物による介入に応じた、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の生理学的状態を示す。血漿代謝プロフィルの代謝軌跡を経時的に観察した。これは、アミノ酸及び脂質の循環の明確な差に関係していた。
【0071】
有意な差が観察された。
【0072】
栄養組成物による4週の介入が、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供の代謝プロフィルを部分的に回復させることができることが観察された。初診時の炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供のアミノ酸及び脂質の最初のプロファイリングは、同年齢の対照と比較して、いくつかの代謝産物の顕著な減少を示している。
【0073】
栄養組成物による4週の介入は、炎症性腸疾患の急性発作影響の寛解を誘導することができるだけでなく、驚くべきことに、アミノ酸のスレオニン、ヒスチジン、及びトリプトファンのレベルも回復させる。さらに、アミノ酸のプロリン及びグルタミンが回復する明確な傾向も観察された。したがって、栄養組成物はさらに、炎症性腸疾患の急性発作影響の寛解状態にある患者に見られるアミノ酸レベルの回復を反映させるためにアミノ酸を含んでもよい。
【0074】
タンパク質異化反応とは別に、同年齢の対照と比較して、初診からの様々な脂質種の減少も観察された。アミノ酸反応に類似しているので、栄養学的介入は、4週後に複数の脂質代謝産物における同化反応を回復させることができる。この結果は、栄養組成物が異化反応を同化反応に変えることができることを示している。
【0075】
本開示の栄養組成物が、
図1に示すように、PCDAI(小児クローン病活性度指数)を治療の最初の4週で有意に低減させ、8週以内で最小にすることも分かった。
【0076】
さらに、筋肉破壊が血漿アミノ酸濃度の一因となると思われるので、上述のようなこれらのアミノ酸を回復させる栄養学的介入は、筋肉の異化ストレスを低減させる。この効果を実証するために、初診時及び12週後の筋横断面積のZスコアを確証した。Zスコアは、標準集団と比較して、筋横断面積の変化を測定する。
図2に示すように、栄養組成物による4週の介入は、筋横断面積の喪失を軽減し、12週以内に筋横断面積を向上させることができる。
【0077】
したがって、炎症性腸疾患(例えばクローン病)の6.6〜17.7歳の子供における栄養学的介入が、代謝崩壊を矯正することができ、それによって、筋肉中の異化反応が軽減され、炎症性腸疾患(例えばクローン病)に関連する筋骨格の変化が軽減されることが実証される。
【0078】
さらに、維持療法において栄養組成物を投与すると、再発までの期間が有意に延長されることが認められた。したがって、栄養組成物は、炎症性腸疾患(例えばクローン病)患者において寛解フェーズ中に筋横断面積を向上させ、骨密度を向上させると共に寛解期間をより延長させる。
【0079】
驚くべきことに、この組成物を炎症性腸疾患の患者に使用した場合、上記の範囲内の比で使用した構成成分の量が、重要な役割を果たし、有利であることが分かった。この栄養組成物は、筋横断面積及び骨密度を向上、改善させ、この栄養組成物はまた、炎症性腸疾患の患者における再発までの期間を有意に延長させる。
【0080】
したがって、詳細及びその利点において本開示を説明してきたが、上述の本開示の詳細な説明がこの開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0081】
当業者は、様々な態様及び実施形態を組み合わせることにより本開示を実施することができるであろう。本開示は、詳細な説明及び/又は実施例に限定されるものではない。
【0082】
特許証によって保護されることを望むものを、添付の特許請求の範囲に記載する。