特許第6368318号(P6368318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6368318ヌクレオシド誘導体又はその塩、ヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル又はその塩、ヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、並びにポリヌクレオチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368318
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】ヌクレオシド誘導体又はその塩、ヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル又はその塩、ヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、並びにポリヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/073 20060101AFI20180723BHJP
   C07H 19/10 20060101ALI20180723BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20180723BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20180723BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALI20180723BHJP
【FI】
   C07H19/073CSP
   C07H19/10
   C12N15/115 ZZNA
   C40B40/06ZCC
   C12Q1/6811 Z
【請求項の数】16
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2015-544856(P2015-544856)
(86)(22)【出願日】2014年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2014073987
(87)【国際公開番号】WO2015064223
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-227466(P2013-227466)
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 正靖
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−40118(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099762(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/019847(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 1/00− 99/00
C12N 15/115
C12Q 1/6811
C40B 40/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I−1)〜(I−6)の何れかの式で表されるヌクレオシド誘導体又はその塩。
【化1】
(式(I−1)〜(I−6)中、R1は水素原子(−H)、フッ素原子(−F)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH2)、又はメルカプト基(−SH)を、R2はそれぞれ独立に水素原子(−H)又はヒドロキシル基の保護基を、R3及びR4は水素原子(−H)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NR52)、メルカプト基(−SH)、又は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、R5はそれぞれ独立に水素原子(−H)又は炭素数1〜6の炭化水素基を、A1は分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の2価の炭化水素基を、A2及びA3はそれぞれ独立に分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基を、Bは下記式(II−1)〜(II〜4)の何れかの式で表される塩基構造を、Xはそれぞれ独立にイミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、又はチオエーテル基(−S−)を、Yは水素原子(−H)、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、並びにkは1又は2を表す。)
【化2】
(式(II−1)〜(II−4)中、R6はそれぞれ独立に水素原子(−H)、炭素数1〜6の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載のヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル又はその塩。
【請求項3】
請求項1に記載のヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩。
【請求項4】
請求項2に記載の5’−リン酸エステル又はその塩、請求項3に記載の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、又はこれらに標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体を含む、ポリヌクレオチド合成用基質溶液。
【請求項5】
請求項4に記載のポリヌクレオチド合成用基質溶液を含む、ポリヌクレオチド合成用試薬。
【請求項6】
請求項2に記載の5’−リン酸エステル又はその塩、請求項3に記載の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、又はこれらに標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体を合成用基質として用いることを特徴とする、ポリヌクレオチドの製造方法。
【請求項7】
ホスホロチオエート基を導入する工程を含む、請求項6に記載のポリヌクレオチドの製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載のヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル及び/又はそのホスホロチオエート体を構成単位として含むポリヌクレオチド。
【請求項9】
核酸アプタマーである、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドライブラリー。
【請求項11】
請求項10に記載のポリヌクレオチドライブラリーを用いて標的物質結合性ポリヌクレオチドを選択する工程を含む、核酸アプタマーの選択方法。
【請求項12】
下記(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーを含む血管内皮細胞増殖因子結合剤。
【化3】
【請求項13】
核酸アプタマーが一本鎖DNAである、請求項12に記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
【請求項14】
核酸アプタマーの長さが15〜100塩基である、請求項12または13に記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
【請求項15】
核酸アプタマーの配列が、配列番号6〜31、33〜40のいずれかの塩基番号21〜50の配列、または配列番号32の塩基番号21〜49の配列(これらの配列におけるTは上記(II)で表される化合物の残基を示す)を含む、請求項12〜14いずれか一項に記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
【請求項16】
下記(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーのライブラリーを用意する工程、およびライブラリーを血管内皮細胞増殖因子と反応させる工程、および血管内皮細胞増殖因子と結合した核酸アプタマーを選択して増幅する工程を含む、血管内皮細胞増殖因子結合剤のセレクション方法。
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヌクレオシド誘導体及びその塩、ヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル及びその塩、ヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物及びその塩、並びにポリヌクレオチドに関し、さらに詳しくは結合親和性に優れた核酸アプタマー、並びに核酸アプタマーを製造するために有用な新規なヌクレオシド誘導体等に関する。
【背景技術】
【0002】
標的物質に特異的に結合する核酸(DNA、RNA、PNA)アプタマーは、抗体に代わる分子認識が可能な生体物質として、生物工学的応用、薬剤への応用が検討されている。このような核酸アプタマーを得る方法として、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法が知られており、例えばランダムな配列を持った多数の核酸分子の混合物(ライブラリー)を用いてスクリーニングを行うことにより、目的の標的物質に特異的に結合する核酸アプタマーを見出すことができることが知られている。
【0003】
一方、核酸アプタマーを医薬として利用した例も数々報告されている。例えば特許文献1には、特定の塩基配列を持ったRNAアプタマーの発明が開示されており、RNAアプタマーがヒラメラブドウイルス(HIRRV)やウイルスで発現するポリペプチドに特異的に結合し、宿主感染能を抑制する働きをすることが報告されている。
また、特許文献2には、イリノテカンやトポテカン等のカンプトテシン類に対して特異的に結合性する核酸アプタマー(人工核酸分子)の発明が開示されており、チミジン部位(C5位に結合)に炭素鎖を介してプリン構造を連結した修飾ヌクレオシド構造が優れた結合親和性を発揮することも報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−200204号公報
【特許文献2】特開2013−040118号公報
【発明の概要】
【0005】
例えば、SELEX法を用いることによって、目的の標的物質に特異的に結合する核酸アプタマーを見出すことができるが、優れた核酸アプタマーを効率よく開発するためには、特許文献2に記載されている修飾ヌクレオシド構造のように、結合親和性に優れる新たな化学構造を見出すこともまた重要である。
即ち、本発明は結合親和性に優れる修飾ヌクレオシド構造を見出し、優れた核酸アプタマーを提供すること、並びに核酸アプタマーを製造するために有用な新規化合物を提供することを課題とする。
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、プリン構造を連結した修飾ヌクレオシド構造に対して、さらにアミノ基等の窒素原子含有官能基、又はこのような官能基を含んだ炭素鎖を導入することにより、分子内又は分子間相互作用を形成して、結合親和性や標的多様性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 下記式(I−1)〜(I−6)の何れかの式で表されるヌクレオシド誘導体又はその塩。
【化1】
(式(I−1)〜(I−6)中、R1は水素原子(−H)、フッ素原子(−F)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH2)、又はメルカプト基(−SH)を、R2はそれぞれ独立に水素原子(−H)又はヒドロキシル基の保護基を、R3及びR4は水素原子(−H)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NR52)、メルカプト基(−SH)、又は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、R5はそれぞれ独立に水素原子(−H)又は炭素数1〜6の炭化水素基を、A1は分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の2価の炭化水素基を、A2及びA3はそれぞれ独立に分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基を、Bは下記式(II−1)〜(II〜4)の何れかの式で表される塩基構造を、Xはそれぞれ独立にイミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、又はチオエーテル基(−S−)を、Yは水素原子(−H)、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、並びにkは1又は2を表す。)
【化2】

(式(II−1)〜(II−4)中、R6はそれぞれ独立に水素原子(−H)、炭素数1〜6の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を表す。)
<2> <1>に記載のヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル又はその塩。
<3> <1>に記載のヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩。
<4> <2>に記載の5’−リン酸エステル又はその塩、請求項3に記載の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、又はこれらに標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体を含む、ポリヌクレオチド合成用基質溶液。
<5> <4>に記載のポリヌクレオチド合成用基質溶液を含む、ポリヌクレオチド合成用試薬。
<6> <2>に記載の5’−リン酸エステル又はその塩、<3>に記載の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩、又はこれらに標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体を合成用基質として用いることを特徴とする、ポリヌクレオチドの製造方法。
<7> ホスホロチオエート基を導入する工程を含む、<6>に記載のポリヌクレオチドの製造方法。
<8> <2>に記載のヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル及び/又はそのホスホロチオエート体を構成単位として含むポリヌクレオチド。
<9> 核酸アプタマーである、<8>に記載のポリヌクレオチド。
<10> <8>又は<9>に記載のポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチドライブラリー。
<11> <10>に記載のポリヌクレオチドライブラリーを用いて標的物質結合性ポリヌクレオチドを選択する工程を含む、核酸アプタマーの選択方法。
<12>下記(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーを含む血管内皮細胞増殖因子結合剤。
<13>核酸アプタマーが一本鎖DNAである、<12>に記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
<14>核酸アプタマーの長さが15〜100塩基である、<12>または<13>に記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
<15>核酸アプタマーの配列が、配列番号6〜31、33〜40のいずれかの塩基番号21〜50の配列、または配列番号32の塩基番号21〜49の配列(これらの配列におけるTは上記(II)で表される化合物の残基を示す)を含む、<12>〜<14>のいずれかに記載の血管内皮細胞増殖因子結合剤。
<16>下記(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーのライブラリーを用意する工程、およびライブラリーを血管内皮細胞増殖因子と反応させる工程、および血管内皮細胞増殖因子と結合した核酸アプタマーを選択して増幅する工程を含む、血管内皮細胞増殖因子結合剤のセレクション方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、結合親和性や標的多様性に優れた核酸アプタマーを提供すること、並びに核酸アプタマーを製造するために有用な新規化合物を提供することができる。また、本発明の5’−リン酸エステル又は3’−ホスホロアミダイト化物を用いてポリヌクレオチドを合成することにより、SELEX法によって創製される機能性DNAの高性能化や遺伝子標識の高密度化、アンチセンス・アンチジーン分子やsiRNAへの機能付与等が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】dUadTP等を導入したポリヌクレオチドのポリアクリルアミドゲル電気泳動写真である(図面代用写真)。
図2】dUdnTP等を導入したポリヌクレオチドのポリアクリルアミドゲル電気泳動写真である(図面代用写真)。
図3】dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の1Round目のNECEEMの測定結果である。
図4】dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の1Round目のNECEEMの測定結果である。
図5】dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の2Round目のNECEEMの測定結果である。
図6】dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の2Round目のNECEEMの測定結果である。
図7】dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の1Round目のNECEEMの測定結果である。
図8】dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の1Round目のNECEEMの測定結果である。
図9】dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の2Round目のNECEEMの測定結果である。
図10】dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の2Round目のNECEEMの測定結果である。
図11-1】KK10を含むVEGF結合核酸アプタマーの配列を示す図(両端の配列(下線部)はプライマー配列を示し、二重下線部以外のTはKK10残基を示す)。
図11-2】KK10を含むVEGF結合核酸アプタマーの配列を示す図(両端の配列(下線部)はプライマー配列を示し、二重下線部以外のTはKK10残基を示す)。
図12】アプタマーKK10#36についてのKd値測定の結果を示す図。
図13】アプタマーKK10#38についてのKd値測定の結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のヌクレオシド誘導体及びその塩、ヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル及びその塩、ヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物、及びその塩、並びにポリヌクレオチドを説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0011】
<ヌクレオシド誘導体又はその塩>
本発明の一態様であるヌクレオシド誘導体は、下記式(I−1)〜(I−6)の何れかの式で表されることを特徴とする。なお、かかるヌクレオシド誘導体から得られる塩も本発明の範囲に含まれるものとし、以下、ヌクレオシド誘導体とその塩を含めて「本発明のヌクレオシド誘導体等」と略す場合がある。
【化3】
(式(I−1)〜(I−6)中、R1は水素原子(−H)、フッ素原子(−F)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH2)、又はメルカプト基(−SH)を、R2はそれぞれ独立に水素原子(−H)又はヒドロキシル基の保護基を、R3及びR4は水素原子(−H)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NR52)、メルカプト基(−SH)、又は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、R5はそれぞれ独立に水素原子(−H)又は炭素数1〜6の炭化水素基を、A1は分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の2価の炭化水素基を、A2及びA3はそれぞれ独立に分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基を、Bは下記式(II−1)〜(II〜4)の何れかの式で表される塩基構造を、Xはそれぞれ独立にイミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、又はチオエーテル基(−S−)を、Yは水素原子(−H)、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を、並びにkは1又は2を表す。)
【化4】

(式(II−1)〜(II−4)中、R6はそれぞれ独立に水素原子を、炭素数1〜6の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を表す。)
【0012】
本発明者らは、結合親和性に優れる修飾ヌクレオシド構造を求めて鋭意検討を重ねた結果、特許文献2に記載されているようなプリン構造を連結した修飾ヌクレオシド構造に対して、さらにアミノ基等の窒素原子含有官能基、又はこのような官能基を含んだ炭素鎖を導入することにより、分子内又は分子間相互作用を形成して、結合親和性を向上させることができることを見出したのである。結合親和性に優れる修飾ヌクレオシド構造は、かかる構造を導入した核酸アプタマーの結合親和性や標的多様性を向上させることに繋がるため、本発明のヌクレオシド誘導体等は優れた核酸アプタマーを製造するために有用な化合物になる。
【0013】
式(I−1)〜(I−6)中、R1は水素原子(−H)、フッ素原子(−F)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NH3)、又はメルカプト基(−SH)を表しているが、水素原子であること、即ち、ヌクレオシド誘導体等の糖部位は、デオキシリボースであることが好ましい。
【0014】
2はそれぞれ独立に水素原子(−H)又はヒドロキシル基の保護基を表しているが、保護基はヒドロキシル基の保護基として利用されるものであれば特に限定されない。例えばメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、tert−ブチル基等のエーテル系保護基;アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のアシル系保護基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等のシリルエーテル系保護基等が挙げられる。
【0015】
3及びR4は水素原子(−H)、ヒドロキシル基(−OH)、アミノ基(−NR52)、メルカプト基(−SH)、又は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表している。なお、「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい」とは、アミノ基(−NH2)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、イソシアネート基(−NCO)、ヒドロキシル基(−OH)、アルデヒド基(−CHO)、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)、スルホン酸基(−SO3H)等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む官能基を含んでいてもよいことを意味するほか、エーテル基(−O−)、イミノ基(−NH−)、チオエーテル基(−S−)、カルボニル基(−C(=O)−)、アミド基(−C(=O)−NH−)、エステル基(−C(=O)−O−)、チオエステル基(−C(=O)−S−)等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含む連結基を炭素骨格の内部又は末端に含んでいてもよいことを意味する。従って、「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基」としては、例えば−CH2−CH2−OHのようなヒドロキシル基を含む炭素数2の炭化水素基、−CH2−O−CH3のようなエーテル基を炭素骨格の内部に含む炭素数2の炭化水素基、及び−O−CH2−CH3のようなエーテル基を炭素骨格の末端に含む炭素数2の炭化水素基等が含まれる。
【0016】
3の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。R3は、水素原子(−H)、アミノ基(−NH2)、又はアミノ基(−NH2)、イミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、アミド基(−C(=O)−NR5−)、エステル基(−C(=O)−O−)、及びチオエステル基(−C(=O)−S−)からなる群より選択される少なくとも1種を含む炭素数2〜15の炭化水素基であることが好ましい。R3の炭化水素基の具体的構造としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化5】
(上記式中、Xはイミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、又はチオエーテル基(−S−)を、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を、aは0〜6の整数を表す。)
【0017】
4の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。R4は、ヒドロキシル基、アミノ基、又は窒素原子及び/若しくは酸素原子を含む炭素数2〜15の炭化水素基であることが好ましい。R4の炭化水素基の具体的構造としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化6】
(上記式中、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を、aは0〜6の整数を表す。)
【0018】
5はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を表しているが、R5の炭素数は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0019】
1は分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表しているが、A1の炭素数は、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。A1としては、エチレン基(−CH2−CH2−)、ビニレン基(−CH=CH−)、イソプロピレン基(−CH2−CH(CH3)−)、イソプロピレニレン基(−CH=C(CH3)−)、n−ブチレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−)、n−ブタンジエニレン基(−CH=CH−CH=CH−)等が挙げられる。
【0020】
2及びA3はそれぞれ独立に分岐構造及び/又は不飽和結合を含んでいてもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基を表しているが、A2の炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。A3の炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。A1としては、エチレン基(−CH2−CH2−)、ビニレン基(−CH=CH−)、プロピレン基(−CH2−CH2−CH2−)、イソプロピレン基(−CH2−CH(CH3)−)、ブチレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−)、メチルブチレン基(−CH2−CH(CH3)−CH2−CH2−)、ジメチルブチレン基(−CH2−CH(CH3)−CH(CH3)−CH2−)、エチルブチレン基(−CH2−CH(C25)−CH2−CH2−)、ペンチレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−)、へキシレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−)、ヘプチレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−)、オクチレン基(−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−)等が挙げられる。
【0021】
Bは下記式(II−1)〜(II〜4)の何れかの式で表される塩基構造を表しているが、特に(II−1)が好ましい。なお、式(II−1)〜(II〜4)中の括弧書きは、A1と糖部位との結合位置をそれぞれ表している。
【化7】
【0022】
6はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はアミノ基の保護基を表しているが、保護基はアミノ基の保護基として利用されるものであれば特に限定されない。例えばtert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル等のカルバメート系保護基;プロピオニル基、イソプロピオニル基、ベンゾイル基、イソブチル基等のアミド系保護基等;p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等のスルホンアミド系保護基等が挙げられる。また、R6が炭化水素
基である場合の炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0023】
Xはそれぞれ独立にイミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、又はチオエーテル基(−S−)を表しているが、イミノ基(−NR5−)が好ましい。
【0024】
Yは水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表しているが、Yの炭素数は、好ましくは2以上であり、好ましくは18以下、より好ましくは15以下である。Yは、メチル基(−CH3)、又はアミノ基(−NH2)、イミノ基(−NR5−)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、アミド基(−C(=O)−NR5−)、エステル基(−C(=O)−O−)、チオエステル基(−C(=O)−S−)、チオアミド基(−C(=S)−NR5−)、チオノエステル基(−C(=S)−O−)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、フェニル基(−C65)、フェニレン基(−C64−)、ナフチレン基(−C128−)、トリフルオロメチル基(−CF3)、フッ素原子(−F)、及びタンパク質構成アミノ酸の側鎖構造を含むアシル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む炭素数2〜18の炭化水素基であることがより好ましい。Yの炭化水素基の具体的構造としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化8】

(上記式中、R’は水素原子、メチル基、又はエチル基を、R’’はヒドロキシル基(−OH)又はニトロ基(−NO2)を、Zは酸素原子又は硫黄原子を、aは1〜6の整数を表す。)
【0025】
kは1又は2を表しているが、R5及びYはそれぞれ水素原子であっても炭化水素基であってもよいため、Yに結合している窒素原子は第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基の何れであってもよいことを意味する。
【0026】
本発明のヌクレオシド誘導体等の製造方法は、特に限定されず、公知の合成法を適宜組み合わせて製造することができるが、例えば下記の手順に従って製造することができる。(1)6−クロロプリン等のハロゲン化プリンと一方のアミノ基に保護基が導入されているエチレンジアミン等のジアミン誘導体を準備し、ジアミン誘導体によるハロゲン化プリンの置換反応を進めることによって、プリン化合物にアミノ基を含んだ炭素鎖を導入することができる。
(2)アンモニウム基等の窒素原子含有官能基を含んだハロゲン化アルキルを準備し、プリン化合物のイミノ基を利用してハロゲン化アルキルの置換反応を進めることにより、窒素含有官能基を含んだもう1つの炭素鎖をプリン化合物に導入することができる。
【化9】
(mは1〜10の整数を、nは1〜12の整数を表す。)
(3)例えば、特開2007−056001号公報に記載されている方法によって、塩基部位にアクリル酸構造を導入したヌクレオシド誘導体を合成することができる。このアクリル酸構造と炭素鎖を導入したプリン化合物のアミノ基とのアミド化反応によって、本発明のヌクレオシド誘導体等を合成することができる。
【化10】
(mは1〜10の整数を、nは1〜12の整数を表す。)
【0027】
<ヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステル又はその塩>
本発明のヌクレオシド誘導体等は、結合親和性や標的多様性に優れる核酸アプタマーを製造するために有用な化合物であるが、本発明のヌクレオシド誘導体をリン酸化して得られるヌクレオチド、即ちヌクレオシド誘導体の5’−リン酸エステルも本発明の一態様である(以下、「本発明の5’−リン酸エステル」と略す場合がある。)。なお、本発明の5’−リン酸エステルから得られる塩も本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の5’−リン酸エステルは、例えば下記式(III−1)〜(III−6)の何れかの式で表すことができる。
【化11】
なお、式(III−1)〜(III−6)中、mは1〜5の整数を、Zはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、A1、A2、A3、B、X、Y、R6及びkについてはそれぞれ前述した本発明のヌクレオシド誘導体等と同義である。
【0028】
本発明の5’−リン酸エステルは、蛍光物質等の標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体の形態であってもよい。標識物質を結合させた5’−リン酸エステルを構成単位として含むポリヌクレオチドは、有用なプローブ等となり得る。標識物質は、核酸の標識として用いられる公知の物質であれば特に限定されないが、例えば、フルオレスセイン,Cy5,テトラメチルカルボキシローダミン,ピレン等の蛍光標識物質が挙げられる。また、標識物質は、例えば5’−リン酸エステルのアミノ基に導入することができる。なお、蛍光標識以外にも、種々の機能性物質を本発明の5’−リン酸エステルに導入することにより、機能性修飾ポリヌクレオチド、例えば触媒、核酸アプタマーを合成することもできる。また、阻害剤を結合させることも可能である。
【0029】
<ヌクレオシド誘導体の3’−ホスホロアミダイト化物又はその塩>
本発明のヌクレオシド誘導体等は、結合親和性や標的多様性に優れる核酸アプタマーを製造するために有用な化合物であるが、ホスホロアミダイト法に利用するために、本発明のヌクレオシド誘導体をアミダイト化して得られる3’−ホスホロアミダイト化物も本発明の一態様である(以下、「本発明のホスホロアミダイト化物」と略す場合がある。)。なお、本発明のホスホロアミダイト化物から得られる塩も本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明のホスホロアミダイト化物は、例えば下記式(IV−1)〜(IV−6)の何れかの式で表すことができる。
【化12】
なお、式(IV−1)〜(IV−6)中、R2は本発明のヌクレオシド誘導体等と同様に水素原子又はヒドロキシル基の保護基を表しているが、ヒドロキシル基の保護基としてジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル基であることが好ましい。また、R1、R3、R4、R5、A1、A2、A3、B、X、Y、R6及びkについてはそれぞれ前述した本発明のヌクレオシド誘導体等と同義である。
【0030】
本発明のホスホロアミダイト化物は、本発明の5’−リン酸エステルと同様に、蛍光物質等の標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体の形態であってもよい。なお、具体的な標識物質は、本発明の5’−リン酸エステルにおいて説明したものと同様である。
【0031】
<ポリヌクレオチド合成用基質溶液・ポリヌクレオチド合成用試薬・ポリヌクレオチドの製造方法>
本発明の5’−リン酸エステル及びその塩、ホスホロアミダイト化物及びその塩、又はそれ並びにこれらに標識物質を導入した標識ヌクレオチド誘導体は、ポリヌクレオチドを合成するために有用な合成用基質であるが、これらの少なくとも1種を含むポリヌクレオチド合成用基質溶液、このポリヌクレオチド合成用基質溶液を含むポリヌクレオチド合成用試薬、さらにこれらを合成用基質として用いるポリヌクレオチドの製造方法も本発明の一態様である。
【0032】
<ポリヌクレオチド>
本発明のヌクレオシド誘導体等は、結合親和性や標的多様性に優れる核酸アプタマーを製造するために有用な化合物であるが、本発明のヌクレオシド誘導体等を用いて製造される核酸、即ち本発明の5’−リン酸エステル及び/又はそのホスホロチオエート体を構成単位として含むポリヌクレオチドも本発明の一態様である(以下、「本発明のポリヌクレオチド」と略す場合がある。)。なお、蛍光物質等の標識物質を導入した5’−リン酸エステルを構成単位として含む標識ポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば下記式(V−1)〜(V−6)の何れかの式で表すことができるヌクレオチド構造を少なくとも含むものが挙げられる。
【化13】
なお、式(V−1)〜(V−6)中、Zはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、A1、A2、A3、B、X、Y、R6及びkについてはそれぞれ前述した本発明のヌクレオシド誘導体等と同義である。また、式(V−1)〜(V〜6)中の括弧書きは、隣接したヌクレオチド構造との結合位置をそれぞれ表している。さらに、「そのホスホロチオエート体」とは、Zが硫黄原子であるものを意味するものとする。
【0033】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の5’−リン酸エステル及び/又はそのホスホロチオエート体を構成単位として含むものであれば特に限定されないが、本発明の5’−リン酸エステル5’末端に含むものであることが好ましい。また、本発明のポリヌクレオチドの塩基数は、通常10以上、好ましくは15以上であり、通常200以下、好ましくは100以下、より好ましくは70以下である。
【0034】
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、特に限定されず、例えば本発明の5’−リン酸エステルやホスホロアミダイト化物等を原料として利用して、公知の合成法により適宜製造することができる。例えば、DNAの製造の場合、DNAシンセサイザーを用い、通常のホスホアミダイト法又は固相ホスホルアミダイト法にてポリヌクレオチドを合成し、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー等を用いて精製することによって、本発明のポリヌクレオチドを製造することができる。
また、本発明のポリヌクレオチドにおけるホスホロチオエート体構造は、公知のホスホロチオエート基の導入方法を適宜採用して形成することができる。
【0035】
本発明のポリヌクレオチドは、蛍光物質等の標識物質が導入されたポリヌクレオチドであってもよいが、一本鎖にしてマイクロアレイのプローブに用いたりすることもできる。
また、本発明のポリヌクレオチドの用途は特に限定されず、触媒、核酸アプタマー等の公知の用途に適宜利用することができるが、核酸アプタマーとして利用することが好ましい。例えば、アンチセンス分子やアンチジーン分子等の遺伝子発現を調節するための核酸医薬として利用することもできる。本発明のポリヌクレオチドは、優れた細胞膜透過性や遺伝子抑制作用、副作用の緩和、ヌクレアーゼ耐性を発揮することができ、有効な核酸医薬として利用できる。
【0036】
<ポリヌクレオチドライブラリー・核酸アプタマーの選択方法>
本発明のポリヌクレオチドは、SELEX法等に使用するポリヌクレオチドライブラリーに利用することができるが、本発明のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリー(以下、「本発明のポリヌクレオチドライブラリー」と略す場合がある。)、並びにこのポリヌクレオチドライブラリーを用いて標的物質結合性ポリヌクレオチドを選択する工程を含む核酸アプタマーの選択方法(以下、「本発明の選択方法」と略す場合がある。)も本発明の一態様である。
【0037】
本発明のポリヌクレオチドライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを含むものであればその他については特に限定されないが、例えば本発明の5’−リン酸エステル等を用いて合成したランダム配列を含む複数種類のポリヌクレオチドを含むことが好ましい。
【0038】
本発明の選択方法は、ポリヌクレオチドライブラリーを用いて標的物質結合性ポリヌクレオチドを選択する工程を含むものであればその他については特に限定されず、例えばSELEX法において行われる工程を含むことができる。なお、SELEX法は、通常、標的物質をビーズ等の担体に固定化し、これにポリヌクレオチドライブラリーを添加し、標的物質に結合する核酸を回収し、回収したポリヌクレオチドを増幅し、増幅したポリヌクレオチドを再び標的物質に添加するという一連の工程を繰り返して、標的物質に対する特異性および結合力が高いポリヌクレオチドを濃縮し、その塩基配列を決定することで、標的物質結合性アプタマーを獲得する方法である。
本発明の選択方法によって、種々の生体関連物質等に対する核酸アプタマーや特定反応を触媒するリボザイム等、実用可能性があるさまざまな機能性核酸をスクリーニングすることができる。すなわち、ランダムなポリヌクレオチドを複数合成し、その中から酵素活性などを指標に特定のポリヌクレオチドを選択することにより、生理活性を有するアプタマーやリボザイムを得ることができる。
【0039】
生体関連物質としては、酵素、抗体、サイトカインなどのタンパク質が例示される。具体的には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が挙げられ、下記(i)の修飾核酸の残基(ヌクレオチド残基)を含む核酸アプタマーはVEGF結合剤として有用である。
【化14】
【0040】
(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーとは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の天然の塩基のうちの1種類以上とともに、(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーを意味するが、(i)の修飾核酸はチミジン5’-三リン酸(dTTP)の誘導体であるため、チミン(T)の代わりに(i)の修飾核酸の残基が含まれる核酸アプタマーであることは好ましい。すなわち、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)の3種類の天然の塩基のうちの1種類以上とともに、(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーであることが好ましい。核酸アプタマー全長における(i)の修飾核酸の残基の割合は10〜50%であることが好ましい。
VEGF結合剤として使用し得る核酸アプタマーは、(i)の修飾核酸残基に加えて、他の修飾核酸残基が含まれてもよい。
【0041】
このような核酸アプタマーは、DNA合成機などを使用して得ることができる。例えば、DNA合成機に、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)と、(i)の修飾核酸の3’-ホスホロアミダイトを用いて目的の配列の核酸アプタマーを合成することができる。
【0042】
VEGF結合剤として使用し得る核酸アプタマーの具体的な態様としては、VEGF結合能を有する限り特に限定はされないが、核酸アプタマーの配列が配列番号6〜31、33〜40のいずれかの塩基番号21〜50の配列、配列番号32の塩基番号21〜49の配列を含む核酸アプタマーが挙げられる。これらの配列において、Tは上記(i)の修飾核酸残基を意味する。
なお、VEGFに結合する能力が維持される限り、これらの配列において1〜数個、例えば、1、2または3個の塩基が置換、欠失、挿入等されてよい。また、VEGF結合能が維持される限り、5’側および/または3’側に任意の長さの任意の配列が付加されてよい。
【0043】
VEGF結合能としては、ヒトVEGFとKd(解離定数)が10nM以下の親和性を示すことが好ましい。
【0044】
本発明のVEGF結合剤は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の天然の塩基のうちの1種類以上とともに、(i)の修飾核酸の残基を含む核酸アプタマーのライブラリーを用意し、それとVEGFを接触させ、VEGFと結合する核酸アプタマーを選択し、増幅することを繰り返すことによって核酸アプタマーのライブラリーからセレクションすることもできる。
【0045】
本発明のVEGF結合剤は、VEGF検出のための分子プローブとして使用することができる。例えば、核酸アプタマーを蛍光色素などで標識し、VEGFの体内動態などをトレースすることができる。VEGFは癌や、糖尿病性網膜症などの異常血管新生、関節リウマチなどの炎症性疾患などで高発現することが知られているので、本発明のVEGF結合剤はこれらの疾患の診断試薬として使用することができる。
【0046】
また、腫瘍組織では血管新生が亢進しており、腫瘍組織にはVEGFが集積するため、本発明の核酸アプタマーは、抗癌剤のDDS(薬剤伝達システム)のために使用することができる。アプタマーに抗癌剤の有効成分を結合させ、投与することで、抗癌剤を腫瘍組織に効率よく送達することができる。
例えば、本発明の核酸アプタマーと特開2013−40118に開示されたカンプトテシン類との結合に関与する核酸アプタマーを連結し、これに、カンプトテシン類を結合させることで、カンプトテシン類を腫瘍組織に到達させるための医薬を作製することができる。
【実施例】
【0047】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0048】
[N-Boc-ethylenediamine(化合物)の合成]
【化15】
Ethylenediamine(4mL, 60mmol)をCHCl3(130mL)に加えて攪拌し、そこにCHCl3(20mL)に溶解したDi-tert-butyl dicarbonate(2g,9.16mmol)をAr雰囲気下滴下した。18時間撹拌し、TLCで確認後,減圧留去した。CHCl3でろ物をろ過し、濾液をカラムクロマトグラフィーにより精製した(10%MeOH/3%TEA/CHCl3)。これを減圧乾燥させることで化合物1を得た。なお、収量は1465mg、収率は99.9%であった。
1HNMR(400 MHz, CDCl3) δ3.18 (2H,q) 2.80 (2H,t) 1.45 (9H,s)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 161.4, calculated for [(M+H)+]= 161.1
【0049】
[(4-Bromobutyl)trimethylammonium Bromide(化合物2)の合成]
【化16】
13%Trimethylamine in THF(2mL)へdry-THF(0.6mL)に溶解した1,4-Dibromobutane(0.6mL,5.1mmol)を加えてAr雰囲気下で24時間撹拌した。その後THFで濾過して、濾物を化合物2として得た。なお、収量は1091mg、収率は80.0%であった。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ3.81 (2H,t) 3.53 (2H,t) 3.49 (9H,s) 2.01 (4H,m)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 194.0, calculated for [(M)+]= 194.1
【0050】
[化合物3の合成]
【化17】
6-Chrolopurine (850mg, 5.5mmol)をn-BuOH(6mL)で懸濁させ、TEA(7.7mL)を加えて攪拌した。そこにn-BuOH(4mL)で溶かした化合物1(485mg, 3.03mmol)を加えて還流した。2時間後n-BuOH(3mL)に溶かした化合物1(485mg, 3.03mmpl)を追加して2時間還流した。反応終了後、減圧留去してCHCl3で濾過し、ろ物を化合物3として得た。なお、収量は1342mg、収率は88%であった。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ 8.23 (1H,s) 8.06(1H,s) 3.70 (2H,m) 3.42 (2H,t) 1.39 (9H,s)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 279.5, calculated for [(M+H)+]= 279.2
【0051】
[化合物4の合成]
【化18】
化合物3(1086mg, 3.9mmol)をdry-DMF(10mL)で溶解して氷冷化で30分攪拌した後、Sodium hydride(60% in oil)(214mg, 5.35mmol)を素早く加えて0℃で1.5時間攪拌し、dry-DMF(10mL)で溶解した化合物2(1395mg, 4.67mmol)を加えてAr雰囲気下室温で撹拌した。5時間後水を加えて減圧留去した。残渣をMeOHでとかして濾過し、濾液を減圧留去した。これを逆相カラムクロマトグラフィー(100%H2O→5%MeOH / H2O→10%MeOH / H2O)により精製し、化合物4をえた。なお、収量は1283mg、収率は70%であった。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ 8.27 (1H,s) 8.12(1H,s) 4.32 (2H,t) 3.69 (2H,m) 3.41 (2H,t) 3.12 (11H,s) 1.95 (2H,m)1.84 (2H,m) 1.40 (9H,s)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 392.3, calculated for [(M)+]= 392.3
【0052】
[化合物5の合成]
【化19】
化合物4(467mg, 0.99mmol)にTrifluoroacetate(14mL)を加えて1時間攪拌した。減圧留去し、Etherで濾過して濾物を化合物5として定量的に得た。なお、理論収量は0.99mmolである。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ 8.37 (1H,s) 8.22(1H,s) 4.34 (2H,t) 3.95 (2H,m) 3.42 (2H,t) 3.12 (11H,s) 1.96 (2H,m)1.85 (2H,m)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 292.4, calculated for [(M)+]= 292.2
【0053】
<実施例1>
[化合物6の合成]
【化20】
(E)-5-(2-carboxyvinyl)-2'-deoxyuridine(204mg, 686μmol)にHOBt・H2O(137mg,891μmol)とPyBOP(464mg, 891μmol)を加え、dry-DMF(8mL)で溶解しし、ここにDIPEA(1.2mL, 6.86mmol)を加えて攪拌してすぐにdry-DMF(2mL)で溶解した化合物5(0.99mmol)をAr雰囲気下加えた。2時間攪拌した後に減圧留去して、逆相カラムクロマトグラフィー(100%H2O→3%MeOH / H2O→5%→8%→10%→12%→15%)により精製した化合物6を得た。なお、収量は330mg、収率は76%であった。
1HNMR(400 MHz, D2O)δ 8.01 (1H,s)8.27 (1H,s) 7.93(1H,s) 7.90 (1H,s) 6.78 (1H,d) 6.54 (1H,d) 6.06 (1H,t) 4.28 (1H,q) 4.05 (2H,t) 3.88 (1H,q)3.69 (1H,q) 3.59 (1H,q)3.41 (2H,q) 3.13 (2H,t) 2.88 (11H,s) 2.30-2.14 (2H,m) 1.69 (2H,m)1.60 (2H,m)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 572.5, calculated for [(M)+]= 572.3
【0054】
<実施例2>
[化合物7の合成]
【化21】
真空乾燥させた化合物6(108mg, 166μmol)をdry-DMF(5mL)で2回、dry-MeCN(2mL)で2回共沸し、dry-TMP(50mL)に溶解して氷冷下でPhosphoryl chloride (310μL, 3.31mmol)を加え、10時間攪拌した。その後冷水30mLを加えて10分攪拌させ、TEA(1.4mL, 9.93mmol)を加えてさらに10分攪拌してクエンチした。減圧留去して、MeCNとEtherで結晶化させてろ物を得た。これを少量の水に溶かして陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物7を得た。なお、収量は53.1μmol、収率は32%であった。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 652.3, calculated for [(M)+]= 652.3
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 649.7, calculated for [(M-2H)-]= 650.3
【0055】
[化合物8の合成]
【化22】
凍結乾燥させた化合物7(53.1μmol)をdry-DMF(2mL)で2回共沸させ、dry-DMF(1.2mL)に懸濁させ、dry-TEA(49μL, 350μmol),Imidazole(14mg, 212μmol),Triphenylphosphine(22mg, 85μmol),2,2'-Dithiodipyridine(19mg, 85μmol)を加え、攪拌した。9時間後、Sodium perchlorate (67mg, 531μmol)を溶解したdry-Acetone16mLに反応液を加えて4℃で30分静置し,沈殿物をdry-Ether(16mL)で6回デカンテーションした。この沈殿物を真空乾燥させることで,クルードとして化合物8を得た。なお、理論収量は53.1μmolである。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 702.1, calculated for [(M)+]= 702.3
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 699.5, calculated for [(M-2H)-]= 700.3
【0056】
<実施例3>
[化合物9(dUtaTP)の合成]
【化23】
真空乾燥させた化合物8(53.1μmol, 38mg)をdry-DMF(2mL)で2回共沸させてdry-DMF(1mL)に懸濁させ、dry-n-Tributylamine(75μL, 314μmol)と0.5M n-Tributylamine pyrophosphate in DMF(0.8mL, 404μmol)を加えて攪拌した。12時間後、1M TEABバッファー(5mL)でクエンチし、減圧留去した。これに水を加えてEtherで分液を3回し、水層を陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、逆相HPLCを用いて精製し、凍結乾燥することで化合物9(dUtaTP)を得た。なお、収量は7.74μmol、収率は14.6%(from 化合物7)であった。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 809.5, calculated for [(M-3H)-]= 809.6
【0057】
[化合物10の合成]
【化24】
真空乾燥させた化合物3(666mg, 2.4mmol)をdry-DMF(5mL)で懸濁させ、氷冷下で30分攪拌したあと、Sodium hydride(60% in oil) (180mg, 4.5mmol)を素早く入れてAr雰囲気、氷冷下で1.5時間攪拌した。そこへ真空乾燥させたN-(4-Bromobutyl)phthalimide (886mg, 3.14mmol)を加えて、4時間後に減圧留去した。これをCHCl3で濾過し、濾液をカラムクロマトグラフィー(0%→0.5%→1%→2%→3%MeOH/CHCl3)により精製し,化合物10を得た。なお、収量は847mg、収率は73.8%であった。
1HNMR(400 MHz, CDCl3)δ 8.34 (1H,s)7.84 (2H,m) 7.76 (1H,s)7.72(2H,m) 4.25 (2H,t) 3.83−3.71(4H,m) 3.43 (2H,q) 1.94 (2H,m) 1.73 (2H,m) 1.41 (9H,s)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 480.2, calculated for [(M+H)+]=480.2
【0058】
[化合物11の合成]
【化25】
化合物10(847mg, 1.77mmol)をEtOH(19mL)に懸濁させ、Hydrazine monohydrate(429μL, 8.83mmol)を加えて攪拌した。4時間後、冷EtOHで濾過したあと濾液を減圧留去し、クルードの化合物11を定量的に得た。なお、理論収量は1.77mmolであった。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 350.3, calculated for [(M+H)+]=350.2
【0059】
[化合物12の合成]
【化26】
化合物11(1.77mmol)をdry-MeOH(9mL)で溶かし、TEA(2.5mL, 9.1mmol)とEthyl Trifluoroacetate (1.1mL, 9.1mmol)を加えてAr雰囲気下で攪拌した。2時間後、減圧留去してカラムクロマトグラフィーにより精製(0%→0.5%→1%→1.5%→2%→2.5%→3%MeOH/CHCl3)し,化合物12を得た。なお、収量は740mg、収率は91.2%(from 化合物10)であった。
1HNMR(400 MHz, CDCl3)δ 8.35 (1H,s)7.75 (1H,s) 4.25 (2H,t) 3.81 (2H,m) 3.52-3.41 (4H,m) 1.98 (2H,m) 1.64 (2H,m) 1.42 (9H,s)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 446.1, calculated for [(M+H)+]=446.2
【0060】
[化合物13の合成]
【化27】
化合物12(740mg, 1.66mmol)にTrifluoroacetate(10mL)を加えて攪拌し、1時間後、減圧留去して真空乾燥させた。その後水とEtherで分液して、水層を減圧留去し、化合物13をクルードとして定量的に得た。なお、理論収量は1.66mmolであった。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ 8.34 (1H,s)8.30 (1H,s) 4.34 (2H,t) 4.03 (2H,m) 3.25-3.18 (4H,m) 1.93 (2H,m) 1.58 (2H,m)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 346.2, calculated for [(M+H)+]= 346.2
【0061】
<実施例4>
[化合物14の合成]
【化28】
(E)-5-(2-carboxyvinyl)-2'-deoxyuridine(267mg, 0.91mmol)にdry-DMF(10mL)を加えて溶解し、HOBt・H2O(182mg, 1.18mmol)とPyBOP(616mg, 1.18mmol)とDIPEA(1.6mL, 9.1mmol)を加えて攪拌して、dry-DMF(10mL)で溶かした化合物13(1.66mmol)をAr雰囲気下で加えた。2時間後、減圧留去してMeOHで濾過することにより、ろ物を化合物14として得た。なお、収量は558mg、収率は98.1%であった。
1HNMR(400 MHz, CD3OD)δ 8.38 (1H,s)8.27 (1H,s) 8.08 (1H,s) 7.20 (1H,d) 7.04 (1H,d) 6.27 (1H,t) 4.42 (1H,q) 4.26 (2H,t) 3.95 (1H,q)3.85 (1H,q) 3.76 (1H,q)3.57 (2H,t) 3.52 (2H,t) 3.38 (2H,t)2.29 (2H,m) 1.86 (2H,m)1.67 (2H,m)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 624.1, calculated for [(M+H)+]= 624.2
【0062】
<実施例5>
[化合物15の合成]
【化29】
真空乾燥した化合物14(250mg, 0.4mmol)をdry-TMP 10mLで懸濁させ、Ar雰囲気、氷冷下で40分攪拌した。その後Phosphoryl chloride (100μL,1.07mmol)を加えて攪拌し、30分後に追加でPhosphoryl chloride (85μL, 9.2mmol)を加え、13.5時間後冷水60mLでクエンチして1時間攪拌した。TEAを加えてさらに1時間攪拌した。減圧留去後EtherとMeCNを加えて沈殿物をろ過した。同様の操作で別な化合物14(145mg, 0.232mmol)を一リン酸化し、合わせて陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにかけた。フラクションを集めて減圧留去し、凍結乾燥することで化合物15を得た。なお、収量は377μmol、収率は60%であった。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 706.0, calculated for [(M+H)+]= 706.1
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 704.0, calculated for [(M-H)-]= 704.1
【0063】
[化合物16の合成]
【化30】
凍結乾燥した化合物15(377μmol)をdry-Pyridine(20mL)とdry-DMF(10mL)で各1回共沸させ、dry-DMF(2mL)で溶解し、dry-TEA(350μL, 2.5μmol)、Imidazole(103mg, 1.51mmol),Triphenylphosphine(6.63μmol, 174mg),2,2'-Dithiodipyridine(160mg, 726μmol)を加え、Ar雰囲気下攪拌した。5時間後、Sodium perchlorate(462mg, 3.77mmol)をdry-Acetone(18mL),dry-Ether(27mL),dry-TEA(2mL)に溶解して、これに反応液を入れて、4℃で30分静置し、沈殿物をdry-Ether(16mL)で6回デカンテーションした。沈殿物を真空乾燥させることで化合物16をクルードで得た。なお、理論収量は377μmolである。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 754.2, calculated for [(M-H)-]= 754.2
【0064】
<実施例6>
[化合物17(dUtfTP)の合成]
【化31】
真空乾燥させた化合物16(377μmol)をdry-Pyridine(5mL)で2回共沸させ、dry-DMF(1mL)で懸濁させて攪拌し、dry-n-Tributylamine(361μL, 1.15mmol)と0.5M n-Tributylamine pyrophosphate in DMF (3.74mL, 1.89mmol)を加えてAr雰囲気下攪拌した。5時間後、1M TEABバッファー5mLでクエンチし、30分攪拌後に減圧留去した。水を加えて、Etherで分液を3回し、水層を濃縮してから陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分離した。目的のフラクションを回収した後、逆相HPLCにより精製し,凍結乾燥することで化合物17(dUtfTP)を得た。なお、収量は93μmol、収率は24.7 %(from 化合物15)であった。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 864.1, calculated for [(M-H)-]= 864.1
【0065】
<実施例7>
[化合物18(dUamTP)の合成]
【化32】

凍結乾燥した化合物17(81μmol)に28%Aqueous ammonia (4mL)を加えて攪拌した。2時間後、ダイヤフラムポンプでAmmoniaを抜いて凍結乾燥し、逆相HPLCにより精製し、凍結乾燥することで化合物18(dUamTP)を定量的に得た。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 768.1, calculated for [(M-H)-]= 768.1
【0066】
[化合物19の合成]
【化33】
Thiourea(1g, 13.1mmol)をEtOH(2mL)に懸濁させて攪拌し、1,2-Dibromobutane(4.1mL, 52.6mmol)を加えて55〜65℃で3時間還流させた後、追加で同量の1,2-Dibromobutaneを加えて2時間還流した。減圧留去した後、Etherで結晶化させてデカンテーションし、残渣を化合物19として得た。なお、収量は2291mg、収率は94.2%であった。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 105.2, calculated for [(M+H)+]= 105.0
【0067】
<実施例8>
[化合物20(dUguTP)の合成]
【化34】
凍結乾燥した化合物18(38.9μmol)を28%Aqueous ammonia(400μL)で溶解し、28%Aqueous Ammonia(400μL)に 化合物19(188mg, 1.01mmol)を溶解したものを加えて攪拌した。
2時間後、減圧留去して凍結乾燥させ、逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥することで化合物20(dUguTP)を定量的に得た。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 810.1, calculated for [(M-H)-]= 810.2
【0068】
<実施例9>
[化合物21(dUdnTP)の合成]
【化35】
dUamTP(6.76μmol)と1-Fluoro-2,4-dinitrobenzene(30mg)をEtOH(1.0mL)に溶解したもの92μL(2.76mg, 13.5μmol)とNaHCO3(30mg)をWater(0.5mL)に溶解したもの23.6μL(1.42mg, 16.9μmol)を混合し、室温で5時間攪拌した。遠心分離を行って上澄み液を採取し、Etherで2回デカンテーションした後HPLC分取した。これを減圧留去して凍結乾燥し、滅菌水に溶解させて保存した。なお、収量は2.65μmol、収率は39%であった。
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 934.0, calculated for [(M-H)-]= 934.1
【0069】
[化合物22の合成]
【化36】
Sodium 1-naphthol-5-sulfonate(1g,4.06mmol)とNaHSO3(3.4g,32.7mmol)を量りとってWater(12.3mL)を加えて攪拌した後、Ethylenediamine(814μL,12.2mmol)を加え、conc.HClでpHを8以下にして13.5時間還流した。反応液をろ過してcold WaterとAcetonitrleで洗浄し、ろ物を真空乾燥した。なお、収量は791mg、収率は73%であった。
1HNMR(400 MHz, DMSO-D6) δ8.19(1H,d) 8.13(1H,d) 7.94(1H,d) 7.35(1H,t) 7.28(1H,t) 6.57(1H,d) 3.42 (2H,t) 3.15 (2H,t)
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found= 289.1, calculated for [(M+Na)+]= 289.1
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 265.0, calculated for [(M−H)-]= 265.1
【0070】
[化合物23の合成]
【化37】
化合物22(159mg, 597μmol)を1N NaOHaq(3mL)で溶解し、Chloroform(1.5mL)を加えて氷浴で30分攪拌した。Chloroform(1.5mL)に溶解したTriphosgene(266,mg 895μmol)をゆっくり有機層に流し込み、15分間攪拌した。水相をろ過してろ液を中圧カラムにより精製し、真空乾燥した。なお、収量は106-176mg、収率は56-97%であった。
1HNMR(400 MHz, D2O) δ8.67(1H,d) 8.20(2H,m) 7.76(1H,t) 7.65(2H,q) 4.06(2H,t) 3.76(2H,t)
ESI-MS (negative ion mode) m/z, found= 291.0, calculated for [(M−H)-]= 291.1
【0071】
化合物23と化合物18を下記式のように反応させることにより、式(I−1)〜(I−6)におけるYの位置に化合物23の構造を導入した化合物を得ることができる。
【化38】
【0072】
また、化合物23と同様にイソシアネート基(−NCO)を形成することにより、化合物18等と反応させてYの位置に目的の構造を導入することができる。
【化39】
【0073】
<実施例10>
[4種類の三リン酸体の酵素的導入]
500μLのマイクロチューブに、下記表1に示す組成(酵素は除く)で各基質を含む反応液をそれぞれ調製し、サーマルサイクラーを用いてdenature(95℃,1min)させ、Annealing(95℃→25℃,0.5℃/ min)した。続いてKOD Dashを加えてExtension(74℃,0.5 or 5min)した。伸長反応の確認は20%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(300V,100mM,140min,45℃)の後、レーザー照射(488nm)によってイメージング(FAM)を行った。イメージングを図1に、対応表を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
[dUdnTPの酵素的導入]
500μLのマイクロチューブに、下記表3に示す組成(酵素は除く)で反応液をそれぞれ調製し、1時間Annealing (95℃→25℃,0.5℃/ min)した。続いてKOD Dashを加えてExtension(74℃,0.5 or 5min)した。反応液の量×1.4倍の色素液でクエンチし、Denature (95℃,5min) した。伸長反応の確認は20%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(300V,100mM,140min,45℃)の後、レーザー照射(488nm)によってイメージング(FAM)を行った。イメージングを図2に、対応表を表4に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
[修飾ヌクレオチドを含むDNAライブラリーの酵素的調製]
1.5mLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを500μLマイクロチューブに100μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットして以下の温度条件でPCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。確認後、反応液を10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TB Buffer、200 or 300V、45 or 4℃、150~250分)により目的の70merのDNAバンドを外部レーザー(488nm)照射で検出し、ゲルから切り出した。切り出したゲルを、透析チューブを用いて透析(TB Buffer、100V、4℃、80分)を行った。抽出したDNA溶出液を遠心フィルターユニットにより脱塩し、凍結乾燥後、適量の滅菌水で溶解させて濃度を測定することでライブラリーを得た。
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
<実施例11>
[NECEEMによるライブラリーのセレクション]
500μLマイクロチューブにイニシャルライブラリーを緩衝液中で1μMになるように調製した。緩衝液にはTris-HCl buffer(20mM Tris-HCl(pH 7.4)、1mM MgCl2、10mM NaCl)を用いた。これを遺伝子増幅装置にセットして、94℃で0.5分熱変性し0.5℃/分の降温速度で25℃まで下げてアニーリングを行った。その後、ポジティブコントロールには標的分子であるタンパク質がファイナル0.2μMになるように加えて37℃で30分インキュベートした。ネガティブコントロールにはバッファーを加えた。この際、ポジティブコントロールとネガティブコントロールともに、DNAの濃度は0.5μMとなるようにした。インキュベート後、NECEEMによって測定した。測定条件には下記の条件を用いた。ネガティブコントロールと比べて蛍光強度の増加がみられる部分を分取した。また、キャピラリー内壁へのDNAの吸着を確認するために、反応液をインジェクトする前にも分取している。
【0083】
<泳動条件>
Capillary length: 80cm
Running buffer: 100mM Boric acid buffer(pH 8.4)
TemperatureCartridge : 25℃
Sample storage : 15℃
Dynamic range: 1000RFU
Excitation wavelength: 488nm
Emission wavelength: 520nm
【0084】
【表7】
【0085】
[修飾ヌクレオチドを含むDNAライブラリーの酵素的調製]
1.5mLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを500μLマイクロチューブに100μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットして以下の温度条件でPCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。確認後、反応液を10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TB Buffer、200 or 300V、45 or 4℃、150~250分)により目的の70merのDNAバンドを外部レーザー(488nm)照射で検出し、ゲルから切り出した。切り出したゲルを、透析チューブを用いて透析(TB Buffer、100V、4℃、80分)を行った。抽出したDNA溶出液を遠心フィルターユニットにより脱塩し、凍結乾燥後、適量の滅菌水で溶解させて濃度を測定することでライブラリーを得た。
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
[2ndPCR]
1.5mLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを500μLマイクロチューブに100μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットして以下の温度条件で対称PCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。反応液を酢酸ナトリウムでエタノール沈殿し、凍結乾燥した後、残渣を80μLの滅菌水に溶解した。
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
[λエキソヌクレアーゼによる相補鎖の分解]
1.5mLマイクロチューブに酵素を除く反応液を以下のように調製した。500μLマイクロチューブに90μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットしてアニーリング(降温速度1.2℃/min, 95→25℃)を行った。その後、λ-exonucleaseを10μL加えて、37℃で30分反応させた。相補鎖の分解の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、SYBR Goldで染色し、外部レーザー(488nm)照射によって行った。反応液をスピンカラム(10k)により脱塩し、凍結乾燥した残渣を滅菌水400μLで溶解した。
【0092】
【表12】
【0093】
dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の1Round目のNECEEMの測定結果を図3に、dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の1Round目のNECEEMの測定結果を図4に、dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の2Round目のNECEEMの測定結果を図5に、dUguTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の2Round目のNECEEMの測定結果を図6に示す。1Round目における標的分子ありと標的分子なしの面積の差は0.01%、2Round目における標的分子ありと標的分子なしの面積の差は0.56%となり、濃縮割合は56倍となった。また、1Round目と2Round目のcomplex peakの面積差は0.58%となり、濃縮割合は30倍(0.02%→0.60%)となった。
dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の1Round目のNECEEMの測定結果を図7に、dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の1Round目のNECEEMの測定結果を図8に、dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)なし)の2Round目NECEEMのの測定結果を図9に、dUadTP-Library(標的分子(トロンビン)あり)の2Round目のNECEEMの測定結果を図10に示す。1Round目における標的分子ありと標的分子なしの面積の差は0.06%、2Round目における標的分子ありと標的分子なしの面積の差は0.28%となり、濃縮割合は4.7倍となった。また、1Round目と2Round目のcomplex peakの面積差は0.23%となり、濃縮割合は4.3倍(0.07%→0.30%)となった。
【0094】
<実施例12>
上記化合物20を化合物(i)(KK10)として、以下の実験に使用した。
CE-SELEXの実験方法
・用いたDNA
GOL#P1P:5’-TCG CTC GGC AGG ATC GCA AG-3’(5’リン酸化)(配列番号3)
GOL#P1F:5’-TCG CTC GGC AGG ATC GCA AG-3’(5’FITC化(6-FAM)) (配列番号3)
GOL#P2P:5’-TGC TGC CAC TGC TCC GTC CA-3’(5’リン酸化) (配列番号5)
GOL#P2H:5’-TGC TGC CAC TGC TCC GTC CA-3’(配列番号5)
GOL#T2H:5’-TGC TGC CAC TGC TCC GTC CAN NNN NNN NNN NNN NNN NNN NNN NNN NNN NNC TTG CGA TCC TGC CGA GCG A-3’(配列番号4)
【0095】
[修飾DNAライブラリーの酵素的調製]
1.5mLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを500μLマイクロチューブに100μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットして以下の温度条件でPCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。確認後、反応液を10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TB Buffer、300V、4℃、200-240分)により目的の70merのDNAバンドを外部レーザー(488nm)照射で検出し、ゲルから切り出した。切り出したゲルを、透析チューブを用いて透析(TB Buffer、100V、4℃、80分)を行った。抽出したDNA溶出液を遠心フィルターユニットにより脱塩し、凍結乾燥後、適量の蒸留水で溶解させて濃度を測定することでライブラリーを得た。
【0096】
【表13】
【0097】
【表14】
【0098】
[NECEEMによる修飾DNAライブラリーのセレクション]
500μLマイクロチューブに上記で合成したライブラリーを緩衝液中で1μMになるように調製した。緩衝液にはTris-HCl buffer(20mM Tris-HCl(pH 7.4)、1mM MgCl2、10mM NaCl)を用いた。これを遺伝子増幅装置にセットして、94℃で0.5分熱変性し2.5hかけて25℃まで下げてアニーリングを行った。その後、標的分子であるヒトVEGFタンパク質がファイナル0.5μM(1ラウンド目のみ)もしくは0.2μM(2ラウンド目以降)になるように加えて37℃で30分インキュベートした。ネガティブコントロールにはバッファーを加えた。この際、DNAの濃度は0.5μMとなるようにした。インキュベート後、非平衡キャピラリー電気泳動法(NECEEM)によって測定した。測定条件には下記の条件を用いた。ネガティブコントロールと比べて蛍光強度の増加がみられる部分を分取した。また、キャピラリー内壁へのDNAの吸着を確認するために、反応液をインジェクトする前にも分取している。
【0099】
<泳動条件>
Capillary length: 80cm
Running buffer: 100mM Boric acid buffer (pH 8.4)
Temperature
Cartridge : 25℃
Sample storage : 15℃
Dynamic range: 1000RFU
Excitation wavelength: 488nm
Emission wavelength: 520nm
【0100】
【表15】
【0101】
[分取液のPCR (1st PCR)による修飾DNAライブラリー濃縮の確認]
500μLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを遺伝子増幅装置にセットし、上記セレクションで濃縮された画分を鋳型にし、以下の温度条件で1st PCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。反応液を酢酸ナトリウムでエタノール沈殿し、凍結乾燥した後、残渣を200μLの蒸留水に溶解した。この溶液を2nd PCRの鋳型とした。
【0102】
【表16】
【0103】
【表17】
【0104】
[2ndPCRおよび鋳型鎖の調製]
1.5mLマイクロチューブに反応液を以下のように調製した。これを500μLマイクロチューブに100μLずつ8本に小分けし、遺伝子増幅装置にセットして、上記で得られた1stPCR産物を鋳型とし、以下の温度条件で対称PCRを行った。PCR産物の確認は10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TBE Buffer、200V、45℃、35分)の後、外部レーザー(488nm)照射によって行った。反応液を酢酸ナトリウムでエタノール沈殿し、凍結乾燥した後、残渣を80μLの蒸留水に溶解した。定法に従って、GOL#P1P伸長鎖を、λ-exonucleaseを用いて選択的に分解し、次のラウンドの修飾DNAライブラリー調製のための鋳型鎖を得た。
【0105】
【表18】
【0106】
【表19】
【0107】
【表20】
上記の、NECEEMによるセレクションとPCRの操作を繰り返すことにより、VEGF結合アプタマーを選択した。KK10を含むライブラリーから得られたVEGF結合アプタマーの配列を図11に示す。
【0108】
Kd測定の結果
上記で得られたVEGF結合アプタマーのうち、一部のアプタマーの活性評価をCE(キャピラリー電気泳動)により行った。また、キャピラリーの長さは30.2cmのものを使用し、injection時間は12secとった。他の条件は同じである。複合体平均と標準偏差は3回測定により算出してある。結果を図12図13に示した。
いずれのアプタマーもVEGFと高親和性を示すことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明のヌクレオシド誘導体等は、結合親和性に優れた核酸アプタマーを製造するための原料として利用することができ、核酸医薬、バイオマーカー検査薬、研究試薬等として応用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]