【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下に規定されるような遊星バリエータを備える可逆可変変速機(RVT)の改良を提供する。本発明に係るRVTは、例えば国際出願PCT/EP2008/057009号に開示されているのと同じ寸法のRVT内で、より高い出力密度を有する。国際出願PCT/EP2008/057009号に記載されている元のRVTには、約10バールまでの押付け圧力を維持するという設計制限があったが、本発明は、通常、20バール〜150バールの範囲内のより高い押付け圧力を維持することが可能なRVTを提供する。
【0013】
通常、可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっている。通常、遊星のそれぞれは、上記サンホイール又はリングホイールの滑り面(running surface)上を滑る遊星ホイールと、遊星を上記中心軸に連結する遊星フォークとを備える。
【0014】
より具体的には、伝達比を連続的に変化させることが可能な、可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータは、
リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとからなり、各部材、すなわち、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとが、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっていることと、
リングホイールは、トラクトリックス曲線に従った形状の転動面を有する、中心軸線の回りの軸対称体であり、この面は、牽引力及び圧縮力に耐えるように硬化又はコーティングされることが好ましいことと、
サンホイールはリングホイールと原則的に同じであるが、トラクトリックス曲線の内径及び外径は、リングホイールの内径及び外径とは異なり得ることと、
遊星は基本的に円錐状の転動面を有する遊星ホイールからなり、この面は、牽引力及び圧縮力を伝達するように硬化又はコーティングされることが好ましく、遊星は、ラジアル軸受及びアキシャル軸受又はブッシュによって、遊星フォークの回りに自由に回転するように取り付けられ、上述の円錐体の仮想頂点が、中心軸の軸線と遊星のヒンジの軸線との交点と一致することと、
1つの遊星バリエータの各遊星フォークは、ヒンジ継手の回りに自由に回転することができ、このヒンジ継手の軸線は、中心軸の軸線に対して垂直かつ遊星ホイールの平面に対して平行であり、各遊星フォーク及び各遊星ホイールは、遊星の軸線と中心軸の軸線との間の適用可能な全ての傾斜角に対して互いに干渉しないように設計されていることと、
リングホイールと、遊星と、サンホイールとは、互いに押し付けられ、それにより、転動面は互いに接触し、接触圧力は、所要トルクを伝達するのに十分に高いことと、
中心軸は、伝達比を変更するために、押付け力及び伝達トルクに関して規定の速度で軸方向(長手方向)に移動することと、
リングホイール及びサンホイールのトラクトリックス曲線は双方とも、遊星ホイールの転がり接触点からヒンジ軸線と中心軸の軸線との交点までの長さと同じ長さパラメータLを有し、その場合、Lは、トラクトリックス方程式:+/-x+c=L*(cosα+ln|tan(α/2)|)において用いられ、ここで、cは任意定数であり、αは接触点の接線と中心軸の軸線との間の傾斜角であることと、
基本的に円錐状である、遊星ホイールの転動面の形状は、接触圧力分布を最適化するために、この理論上の形状から凸状に僅かに逸脱することと、
を特徴とする。
【0015】
通常、可逆可変変速機(RVT)は、第1の遊星バリエータ及び第2の遊星バリエータを備え、これらの遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっている。通常、遊星のそれぞれは、上記サンホイール又はリングホイールの滑り面上を滑る遊星ホイールと、遊星を上記中心軸に連結する遊星フォークとを備える。
【0016】
より具体的には、可逆可変変速機(RVT)は、第1の遊星バリエータ及び第2の遊星バリエータを備え、
第1の遊星バリエータのリングホイールはハウジングに連結され、そのためこのリングホイールは回転することができないが、双方の遊星バリエータの全ての転がり接触部を圧縮する予圧力によって軸方向に移動することができることと、
双方の遊星バリエータの中心軸は、1つの主軸に組み合わされ、変速機入力軸に回転するように連結され、双方向のステアリング力によって軸方向に可動であるが、入力軸は軸方向には移動しないことと、
第1の遊星バリエータのサンホイールは、第2の遊星バリエータのリングホイールに連結され、それにより、組み合わされたサンホイール−リングホイールは、変速機の中心軸線の回りに回転することができることと、
第2の遊星バリエータのサンホイールは、変速機の出力軸に連結され、予圧力の反力がアキシャル軸受を介してハウジングに伝達されることと、
を特徴とする。
【0017】
国際出願PCT/EP2008/057009号に記載の変速機構想の出力密度は、より大きい法線力をトラクションホイールに印加すること及びトラクション限界により近づくように変速機を用いることが可能な制御方法を付加することによって、今や向上されている。より大きい法線力を印加するために、元の設計の調整又は改良を行う必要があった。変速機システムに関して以下に挙げる全ての比較及び改良は、比較に用いる基準及び元のデータを含む国際出願PCT/EP2008/057009号に関して考慮する必要がある。
【0018】
これらの改良は、可逆可変変速機の以下の要素に関する:
ステアリングピストン
遊星:特に遊星ホイール、遊星カバー、遊星軸受、遊星フォークの脚部について
押付け圧力の制御方法
出力軸
【0019】
まず、より大きい法線力によって、ステアリングシリンダ内のステアリングピストンに対してより大きい圧力をもたらす。入力速度で回転していたRVTのステアリングシリンダは、ここでは固定ハウジングに統合されており、それにより、ピストンリングは設計から排除される。ピストンリングはステアリングシリンダの圧力を制限していた。さらに、ピストンリングの排除によって部材がより少なくなり、コスト及び複雑性に対する効果が高まるとともに、入力軸の慣性力が低減する。
【0020】
次に、変速機のバリエータが、トラクション限界により近づいて動作する必要がある場合、主軸の同じ点に連結される遊星ホイールは、全く同じ比を示す必要がある。したがって、遊星ホイール滑り面からヒンジ軸線までの正確な軸方向距離を確保し、ひいては動力損失、及び振動を引き起こす可能性のある不均衡を排除するために、遊星は、ここでは遊星フォーク内に統合されているねじ込みシステムを用いて調節することができる。
【0021】
さらに、遊星バリエータ又はRVTに用いられる遊星ホイールは、より大きい法線力に耐える必要があり、そのためこの遊星ホイールは再設計され、ここでは二重マントル構造を有する。この二重マントル構造によって、応力及び変形が低減し、より薄くより軽い構造をもたらし、同時に慣性力が低減する。さらに、三角形の断面を有する二重マントルは、横断方向力に対して十分な剛性をもたらす。
【0022】
同じ理由から、遊星バリエータ又はRVTに用いられる遊星ホイールは、原則的に平坦なディスクの形状の遊星ハブ及び遊星カバーを備えるように更に再設計される。遊星カバーの外径は円錐状であり、同じ円錐角を有する遊星ハブ内に嵌合する。遊星カバーを遊星ハブ内にねじ込むことによって全ての隙間が排除される。このように、遊星ハブ及び遊星ホイールの変形を回避するために、円錐面にバイアス接触応力が印加される。遊星カバーのディスクは、上側遊星マントルが遊星ハブによって支持されている位置の近くの遊星ハブ内に位置する。これは、
図2に非限定的に例示されている。
【0023】
より大きい法線力によって、遊星軸受に印加される力が増加する。遊星ホイールの軸受構成は、円錐ころ軸受又はアキシャル球面ころ軸受を1つのみのラジアル軸受と組み合わせて用いることにより改良されており、軸受力損失を低減し、より小型かつより安価な(less expensive)軸受設計をもたらす。
【0024】
最後に、遊星バリエータ又はRVTに用いられる遊星に関して、遊星フォークは、前進駆動に関する応力に起因して主に負荷を受け、したがって均一には負荷を受けないため、対称な脚部を有する遊星フォークを備えるよりも非対称設計の方が相応しい。遊星フォークのより小型かつより頑丈な再設計では、脚部は不均等であり、最高負荷を有する脚部の方が僅かに厚く、一方、最低負荷を有する脚部の方が僅かに薄い部材として再成形される。
【0025】
トラクション限界により近づくように変速機を動作させるという目標は、押付け圧力が、最小の安全域によって増加した摩擦によるトルク伝達に必要なものよりも高くないことを確実にすることによって達成される。より高い押付け圧力は内部伝達損失を増加させるだけであるため、このように、効率も増加する。
【0026】
通常、変速機制御装置は、実際の速度比、速度比変動、及び入力トルクに基づいて所要押付け圧力を計算する(
図7aを参照)。入力トルク信号は、以下の2つ又は3つのソースから最も高いものを取ることによって得ることができる:
・エンジンモデルからの入力トルク
・出力トルクを測定することにより再計算される最適な入力トルク
・ミクロスリップ(microslip:微小な滑り)及び押付け圧力から計算される入力トルク
【0027】
ミクロスリップ自体は以下の2つの信号を比較することによって計算される:
・ステアリングピストンの測定された位置から計算される理論上の無負荷速度比
・測定された実際の速度比
【0028】
代替的に(
図7bを参照)、変速機制御装置は、実際の入力速度、速度比、速度比変動、及び入力トルク又は出力トルクに基づいて所要押付け圧力を計算する。入力トルク信号又は出力トルク信号は、以下の1つ又は2つのソースから最も高いものを取ることによって得られる:
・エンジンモデルから又は出力トルクを示すモデルからの入力トルク
・任意選択的に、出力トルクを測定することによる入力トルク
【0029】
押付け圧力は、PID制御装置によって規定値におけるミクロスリップを維持することによって更に調整することができる。
【0030】
ミクロスリップ自体は、以下の2つの信号を比較することによって計算される:
・ステアリングピストンの測定された位置から計算される理論上の無負荷速度比
・測定された実際の速度比
【0031】
この電子的制御方法は、マクロスリップ(macroslip:過剰な滑り)の電子的な防止機能(protection)としても機能する。
【0032】
必要に応じて、RVTの出力軸設計において、この軸を2つの部分(第2のサンホイール及び出力軸)に分割することによって、この電子的な滑り防止機能に加えて機械的な滑り防止機能が統合される。第2のサンホイールは、出力軸によって調心され、接線方向傾斜部(ramps)を介して出力軸によって軸方向に支持される。出力における予期せぬトルクピークは、押付け圧力の圧力ピークを誘発し、すなわち、遊星ホイールに対する第2のサンホイールの軸方向力ピークを生じ、それにより、ミクロスリップを安定させる。
【0033】
最終マクロスリップ防止機能は、トルクピークが変速機のトルク容量を超える場合は常に、エンジンの燃料噴射と押付け圧力との双方を同時にゼロにすることによって付加される。
【0034】
本発明は以下の態様を更に提供する。
【0035】
態様1:限定はしないが通常は20バール〜150バールの範囲の押付け圧力を維持することが可能な可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、該遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっており、各遊星は、前記サンホイール又は前記リングホイールの滑り面上を滑る遊星ホイールと、該遊星を前記中心軸に連結する遊星フォークとを備え、
a)連続的又は不連続的な制御システムが、前記遊星のそれぞれのアセンブリに統合され、或る特定の負荷が前記滑り面に印加される場合、理論上の頂部のない(non crowned)該遊星ホイール滑り面によって形成される円錐体の先端が、前記遊星フォークのヒンジ軸線と正確に一致することが確実になり、及び/又は、
b)前記遊星ホイールは、上側遊星マントル及び下側遊星マントルによって形成され、前記上側遊星マントルの中立素分が前記遊星ホイール滑り面上の法線力のベクトルと原則的に一致するようになっており、前記下側遊星マントルの中立素分は、前記滑り面の2つの接触領域に作用する接線力によって形成される平面に原則的に存在するようになっており、及び/又は、
c)各遊星は、遊星カバー及び遊星ハブを備え、
前記遊星カバー及び前記遊星ハブは、隙間が全くないか又は予圧を伴って互いに組み付けられ、及び/又は、
前記遊星カバーのディスクは、前記上側遊星マントルが前記遊星ハブによって支持される場所の高さの近くに取り付けられ、及び/又は、
前記遊星カバーは、接触面と前記遊星ハブとの間に少なくとも原則的に平坦なディスクを備え、及び/又は、
d)前記遊星のそれぞれに作用する軸方向力と一部の径方向力とは、1つの円錐軸受又は1つのアキシャル球面ころ軸受が受け、アキシャル球面ころ軸受の傾斜角は、ころ部材の中心に規定され、前記径方向力の残りは1つのラジアル軸受によって支持され、必要に応じて、軸方向負荷に対する外輪の転動面上の法線の傾斜角は20度〜50度の範囲であり、及び/又は、
e)前記遊星フォークの2つの脚部が同一でない、
ことを特徴とする、遊星バリエータ。
【0036】
態様2:限定はしないが通常は20バール〜150バールの範囲の押付け圧力を維持することが可能な可逆可変変速機であって、態様1に記載の第1の遊星バリエータ及び第2の遊星バリエータを備える、可逆可変変速機。
【0037】
態様3:前記可逆可変変速機は、全てのトラクションホイールを互いに押し付ける押付けピストンと、速度比を制御するステアリングピストンとを更に備え、
a)前記ステアリングピストンは主軸と一緒には回転せず、ハウジングに対して軸方向に移動し、前記主軸をアキシャル軸受を介して軸方向に移動させ、前記ステアリングピストンの油圧又は空気圧は、ピストンリング等の動的シールを一切伴わず、前記ハウジングから直接供給又は排出されること、及び/又は、
b)変速機制御装置が、入力トルク信号又は出力トルク信号、入力速度、速度比、及び速度比変動に基づいて、前記押付けピストンに作用する押付け圧力を計算し、ここでは前記入力トルク信号は、以下の1つ又は2つの入力データのうちの最も高いものであり、該入力データとは、
b1)補助機を含むエンジンモデルから、又は出力トルクを示すモデルからの入力トルク信号、
b2)出力トルク検知装置(
図7b)からの任意選択のトルク信号、
であること、及び/又は、
c)該変速機は、サンホイールと軸方向出力軸軸受との間の出力軸に統合された機械的な押付け圧力制御及び滑り防止バックアップを更に備え、前記滑り防止バックアップは、双方向の潤滑された接線傾斜部と、サンホイール軸を調心して維持する調心装置とを備え、前記傾斜部の角度の接線は、軸方向出力軸力に対する最大接線軸力の比率に対応すること、
を特徴とする、態様2に記載の可逆可変変速機。
【0038】
態様4:選択肢b)において、前記押付け圧力は、PID制御装置によりミクロスリップを規定値に維持することによって更に調整され、前記ミクロスリップ自体は、以下の2つの信号を比較することによって計算され、該2つの信号とは、
b3)前記ステアリングピストンの位置を測定することにより得られる理論上の無負荷速度比、又は、押付けピストン位置を測定すること及び要求される駆動方向を知ることによって計算される無負荷速度比と、
b4)前記測定された実際の速度比と、
である、態様3に記載のRVT。
【0039】
態様5:前記RVTは、特徴b)を含み、トルクが伝達トルク容量を超える場合、過負荷が印加される限り押付け圧力及び前記エンジントルクを即座にゼロにすることによる、最終滑り防止機能を更に備え、それにより、前記必要とされる押付け圧力が設計制限を超える場合、前記過負荷トルクが検出される、態様3又は態様4に記載のRVT。
【0040】
態様6:第1の遊星バリエータ及び第2の遊星バリエータを備える可逆可変変速機であって、これらの遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっており、この可逆可変変速機は、
全てのトラクションホイールを互いに押し付ける押付けピストンを伴う押付けシリンダと、比を制御するステアリングピストンを伴うステアリングシリンダとを更に備え、
入力トルク信号、速度比、及び伝達モデルに基づいて押付け圧力を計算する変速機制御装置を特徴とし、ここでは入力トルク信号が以下の2つ又は3つの入力データのうちの最も高いものであり、その入力データとは、
a)補助機を含むエンジンモデルからの入力トルク信号と、
b)伝達比及び損失を考慮して入力トルクに対して再計算される、出力トルク検知装置からの任意選択の入力トルク信号と、
c)実際の速度比及びその変動、実際の押付け圧力、並びに実際のスリップによる伝達モデルを介して計算される入力トルク信号であって、以下の2つの信号、すなわち、
c1)ステアリングピストンの位置を測定することから得られる理論上の無負荷速度比と、
c2)測定された実際の速度比と、
を比較することによって計算される、入力トルク信号と、
である、可逆可変変速機(
図7a)。
【0041】
態様7:ステップc)において、無負荷速度比が、押付けピストン位置を測定すること、及びステアリングピストンの位置を測定する代わりに要求される駆動方向を知ることから計算される、態様6に記載の変速機。
【0042】
態様8:変速機は、サンホイールと軸方向出力軸軸受との間で出力軸に統合される機械的な押付け圧力制御及び滑り防止バックアップを更に備え、上記滑り防止部は、双方向の潤滑される接線方向傾斜部と、サンホイール軸を調心して維持する調心装置とを備え、傾斜部の角度の接線は、軸方向出力軸力を超える最大接線軸力の比率に対応する、態様6又は態様7に記載の変速機。
【0043】
態様9:トルクが変速機のトルク容量を超える場合、過負荷が印加される限り押付け圧力及びエンジントルクを即座にゼロにすることにより実現される、最終滑り防止機能を更に備え、必要な押付け圧力が設計制限を超えた場合に、過負荷トルクが検出される、態様6〜態様8のうちのいずれか1つに記載の変速機。
【0044】
態様10:第1の遊星バリエータ及び第2の遊星バリエータを備える可逆可変変速機であって、これらの遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材又は態様6〜態様9のいずれか1つに記載のRVTとの相互作用部を形成するようになっており、ステアリングピストンは、主軸と一緒には回転せず、ハウジングに対して軸方向に移動し、主軸をアキシャル軸受を介して軸方向に移動させることと、ステアリングピストンの油圧又は空気圧は、ピストンリング等の動的シールを一切伴わずハウジングから直接供給又は排出されることとを特徴とする、可逆可変変速機。
【0045】
態様11:可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、この遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材との相互作用部を形成するようになっており、連続的又は不連続的な制御システムが、遊星のアセンブリに統合され、理論上の頂部のない遊星ホイール滑り面によって形成される円錐体の先端が、或る特定の負荷が滑り面に印加される場合、遊星フォークのヒンジ軸線と正確に一致することが確実になることを特徴とする、遊星バリエータ。
【0046】
態様12:可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、この遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材又は態様11に記載の遊星バリエータとの相互作用部を形成するようになっており、遊星ホイールは上側遊星マントル及び下側遊星マントルによって形成され、上側遊星マントルの中立素分が、遊星ホイール滑り面上の法線力のベクトルと原則的に一致するようになっており、また、下側遊星マントルの中立素分が、滑り面の2つの接触領域に作用する接線力によって形成される平面に原則的に存在することを特徴とする、遊星バリエータ。
【0047】
態様13:可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、この遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材又は態様11若しくは態様12に記載の遊星バリエータとの相互作用部を形成するようになっており、
遊星カバー及び遊星ハブは、隙間が全くないか又は予圧を伴って互いに組み付けられること、
遊星カバーのディスクは、上側遊星マントルが遊星ハブによって支持される場所の高さの近くに取り付けられること、及び/又は、
遊星カバーは、接触面と遊星ハブとの間に少なくとも原則的に平坦なディスクを備えること、
を特徴とする、遊星バリエータ。
【0048】
態様14:可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、この遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとは、他の変速機部材、又は態様6〜態様8のうちのいずれか1つに記載の遊星バリエータとの相互作用部を形成するようになっており、遊星に作用する軸方向力及び径方向力を、主に1つの円錐軸受(tapered bearing)が受け、それにより、必要に応じて、軸方向負荷に対する外輪の転動面上の法線の傾斜角は20度〜50度の範囲にわたり(
図8を参照)、必要に応じて、この円錐軸受は、遥かに低い軸受能力を有する1つの滑り軸受又はころ軸受によって補助されることを特徴とする、遊星バリエータ。
【0049】
態様15.可変変速機又は可逆変速機のサブシステムとして機能する遊星バリエータであって、この遊星バリエータは、リングホイールと、中心軸の回りに取り付けられる2つ以上の遊星と、サンホイールとを備え、リングホイールと、中心軸と、サンホイールとが、他の変速機部材又は態様11〜態様15のうちのいずれか1つに記載の遊星バリエータとの相互作用部を形成するようになっており、遊星フォークの2つの脚部が同一でないことを特徴とする、遊星バリエータ。
【0050】
態様16.乗用車、トラック、ごみ収集トラック、市街バス、オフハイウェイ車両、草刈機、リフトトラック、伸縮ブーム式ハンドラ、運動エネルギー回生システム(KERS)、風力タービン、又は、動力を可変速度で伝達しなければならない工業用途における、態様1〜態様15のいずれか1つに記載の前記遊星バリエータ又は前記RVTの使用。
【0051】
上述の実施形態のうちの任意のものを、全ての改良を包含する単一の好ましい実施形態として組み合わせることができる。したがって、本発明は、上述の実施形態の全ての改良を有する遊星バリエータ、及びRVT及び遊星バリエータ双方の上述の実施形態の全ての改良を包含するRVTに供する。
【0052】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して単に例として記載する。