特許第6368383号(P6368383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6368383鉱質コルチコイド受容体修飾因子としてのベンゾオキサジノンアミド
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  • 特許6368383-鉱質コルチコイド受容体修飾因子としてのベンゾオキサジノンアミド 図000055
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368383
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】鉱質コルチコイド受容体修飾因子としてのベンゾオキサジノンアミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 265/36 20060101AFI20180723BHJP
   A61K 31/538 20060101ALI20180723BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20180723BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20180723BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20180723BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   C07D265/36CSP
   A61K31/538
   A61P9/00
   A61P9/04
   A61P9/12
   A61P13/12
【請求項の数】9
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2016-575499(P2016-575499)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公表番号】特表2017-522300(P2017-522300A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】GB2015051860
(87)【国際公開番号】WO2016001631
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年3月6日
(31)【優先権主張番号】62/018,790
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ギャビン・オマホニー
(72)【発明者】
【氏名】ミーケル・コッセンヤンス
(72)【発明者】
【氏名】カール・エドマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・カヤヌス
(72)【発明者】
【氏名】カール・アンデシュ・ホグナー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・コーンウォール
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ターナー
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−508314(JP,A)
【文献】 特開2009−051830(JP,A)
【文献】 特表2008−506689(JP,A)
【文献】 特表2006−512357(JP,A)
【文献】 Bioorg. Med. Chem,2013年,21,5983−5994
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 265/36
A61K 31/538
A61P 9/00〜12
A61P 13/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、
が、CONHもしくはCONHCHから選択され、かつ
が、H、F、Cl、もしくはBrから選択される)
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
式中、
が、CONHCHであり、かつ
が、H、F、Cl、またはBrから選択される、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
式中、
が、CONHCHであり、かつ
が、Fである
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{(3S)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{(3R)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
から選択される請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミドである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩および薬学的に許容され得るキャリア、賦形剤、または希釈剤を含む医薬製剤。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩を有効成分として含む、心臓血管系疾患の処置および/または予防のための医薬。
【請求項8】
前記心臓血管系疾患が心不全である、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩を有効成分として含む、慢性腎疾患の処置および/または予防のための医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、内皮における酸化ストレスを低下させ、これによって血管の機能を改善し得る鉱質コルチコイド(MR)受容体修飾因子として作用するベンゾオキサジノンアミドのある誘導体(その薬学的に許容され得る塩を含む)、高血圧症、心不全、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、糖尿病、目の血管系の障害などの心血管系および代謝性疾患を含む臨床状態を処置するおよび/または予防することにおけるそれらの潜在的な実用性、それらの潜在的な治療上の使用のための方法、それらを含有する医薬組成物、ならびにそのような化合物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
生理的な鉱質コルチコイドであるアルドステロンは、上皮組織、特に遠位ネフロンおよび結腸においてナトリウム輸送を調節する。アルドステロンに対する応答は、核内受容体、鉱質コルチコイド受容体(MR;NR3C2)によって媒介され、非ゲノムおよびゲノム作用を伴う。鉱質コルチコイド応答におけるMRの極めて重要な役割は、MRヌルマウスにおいて実証されており、これらのマウスは、深刻な鉱質コルチコイド非応答性の塩喪失を示し、これは、早期新生児の時期において致命的となることが回避できない。鉱質コルチコイド作用の不全は、塩のバランス障害に関連し、高アルドステロン症は、高血圧症または鬱血性心不全を有する患者における内皮機能不全および血管反応性障害に関連する。MR拮抗作用は、内皮における酸化ストレスの低下、よって、血管の機能の改善に連関する。
【0003】
高レベルの循環アルドステロンは、高血圧患者および鬱血性心不全を有する患者における内皮機能不全に関連し、これは、鉱質コルチコイド受容体によって主に媒介される作用である。長期高アルドステロン症もまた、腎線維症、最終的には腎不全に関連する(Trends Endocrinol Metab.2008,19(3)),88−90)。心不全研究におけるMRの遮断は、投薬がMR媒介性の高カリウム血症によって制限されるにもかかわらず、死亡率および罹患率における実質的な低下に至った(N.Engl.J.Med.1999,341(10),709−17)。わずかであるが、臨床試験により、糖尿病性腎症を含む腎疾患の処置においてもMRアンタゴニストの有益な効果が実証された(Kidney International 2011,79,1051)。しかしながら、高カリウム血症に対する危険性により、現在、MRアンタゴニストの使用は制限されており、特に糖尿病患者が除外される。新規で、効力のある、選択的なMRアンタゴニストは、内皮の改善および上皮で起こる高カリウム血症の間のこの治療濃度域を増加させるはずである。
【0004】
Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,2553において開示される非ステロイド性MRアンタゴニストは、鬱血性心不全を処置するために使用されるMRアンタゴニストとしての3,3−ビスアリールオキシンドールの最適化を記載する。
【0005】
国際公開第2006/015259号パンフレットは、心臓、腎臓、および血管系に影響を与える様々な障害を処置するための、MRを含むステロイドホルモン受容体の効力のある修飾因子としてのベンゾオキサジノンに関する。
【0006】
Opin.Ther.Pat.2007,17,17は、MRアンタゴニストの分野をレビューする。このレビューはまた、2つの重要なステロイド性MRアンタゴニストであるエプレレノンおよびスピロノラクトンを記載する。
【0007】
Expert Opin.Ther.Patents 2014,24(2),177は、2007〜2012年に提出された出願を含む特許レビューにおいてMR修飾因子の分野をレビューする。
【0008】
国際公開第2007/077961号パンフレットは、高血圧症、心不全、およびその他同種のものの処置のためのMRアンタゴニストとしての縮合複素環式化合物に関する。
【0009】
DE10 2007 009 494号明細書は、高血圧症、心不全、腎疾患、および他の状態の処置のためのMRアンタゴニストとしての4−アリール−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミドを開示する。
【0010】
国際公開第2007/089034号パンフレットは、MRへの結合剤としてのN−(2,2−ジメチル−3−オキソ−4−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−7−イル)メタンスルホンアミドなどの二環式化合物を開示する。
【0011】
国際公開第2008/118319号パンフレットは、心血管系疾患および腎疾患を含む一連の状態の処置のための、MR結合親和性を有するジフェニルメチルイミダゾールに関する。
【0012】
国際公開第2008/53300号パンフレットは、心血管系および腎臓の障害を含む一連の状態の処置のためのMRアンタゴニストを開示する。
【0013】
国際公開第2008/126831号パンフレットは、MRアンタゴニストとしてのN−(p−メチルスルホニルフェニル)−5−(2−トリフルオロメチルフェニル)ピロール−3−カルボキサミドのアトロプ異性体に関する。
【0014】
国際公開第2009/085584号パンフレットは、鬱血性心不全、高血圧症、および糖尿病性腎症のような生理学的障害の処置のためのMRアンタゴニストとしての6H−ジベンゾ[b,e]オキセピンアナログに関する。
【0015】
国際公開第2009/017190号パンフレットは、利尿薬として有用な、また、高血圧症、心不全、心筋梗塞、狭心症、心肥大、心筋線維症、血管線維症、圧受容器障害、体液過剰、不整脈、原発性もしくは続発性アルドステロン症、アジソン病、クッシング症候群、またはバーター症候群の予防および/または処置のためのMRアンタゴニストとしてベンゾオキサジン誘導体およびクロメン誘導体を開示する。
【0016】
米国特許出願公開第20100094000号明細書は、高血圧症、心不全、およびその他同種のものに使用するためのMRアンタゴニストとしてのピラゾール誘導体に関する。
【0017】
国際公開第2010/098286号パンフレットは、糖尿病性腎症を処置するための薬剤として、(+)−1,4−ジメチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチルフェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサム(carboxam)を開示する。
【0018】
国際公開第2010/104721号パンフレットは、鬱血性心不全、糖尿病性腎症、および慢性腎疾患を含む疾患の予防のためのMRアンタゴニストとしての5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((7R,8aR)−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オンの特定の使用に関する。
【0019】
国際公開第2010/116282号パンフレットは、高血圧症の処置のためのMRアンタゴニストとしてのジヒドロピラゾールに関する。
【0020】
国際公開第2011/141848号パンフレットは、MRアンタゴニストとしてのモルホリン誘導体ならびに糖尿病性腎症および内皮機能不全を含む様々な状態の処置のためのそれらの使用に関する。
【0021】
国際公開第2012/064631号パンフレットは、たとえば心不全の処置のためのMRのアンタゴニストとしてピリジル尿素を開示する。
【0022】
国際公開第2012/008435号パンフレットは、腎疾患を含む一連の疾患の処置のための、MRを阻害するジアリールアミド誘導体を開示する。
【0023】
J.Med.Chem.2011,54,8616は、MRアンタゴニストとしてのベンゾオキサジン−3−オン誘導体の構造活性を記載する。
【0024】
J.Cardiovasc.Pharmacol.2012,59(5),458は、血清カリウム濃度に対して最小限の影響しか有していないラットにおいて抗高血圧性の効能を有するMRアンタゴニストとしてSM−368229を記載する。
【0025】
ChemMedChem 2012,7(8),1385は、ジヒドロピリジンのジヒドロナフチリジンアナログへの最適化およびBAY 94−8862の同定を報告する。
【0026】
Mol.Cell.Endocrinol.2012,350,310は、MRアンタゴニストの薬理をレビューし、BR−4628およびPF−3882845の特性を記載する。
【0027】
J.Med.Chem.2012,55,7957は、非ステロイド性MRアンタゴニストの分野におけるレビューである。
【0028】
Bioorg.Med.Chem.Lett.2013,23,4388は、効力のあるMRアンタゴニストとしてのオキサゾリジノン誘導体の調査について報告する。
【0029】
Bioorg.Med.Chem.Lett.2013,23,6239は、効力のある非ステロイド性MRアンタゴニストとしてのアリールスルホンアミドの調査について報告する。
【0030】
Frontiers in pharmacology 2013,4,115は、糖尿病性腎症の動物モデルにおけるPF−03882845の効果を記載し、高カリウム血症の危険性の低下を主張する。
【0031】
J.Med.Chem.2014,57(10),4273は、PF−03882845の核内ホルモン受容体選択性を改善する結果を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
前述の文献にもかかわらず、心不全、高血圧症、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、内皮機能不全、糖尿病、目の血管系の障害を含む心血管系、炎症、代謝性、および腎臓の状態の処置のための、たとえば、それらが、以前に記載された化合物よりも、より効果的であってもよい、それほど毒性ではなくてもよい、より選択的であってもよい、より効力があってもよい、生じる副作用がより少なくてもよい、より容易に吸収されてもよい、および/またはより好適な薬物動態学的プロファイル(たとえばより高い経口の生物学的利用率および/またはより低い排除)を有してもよいといった利点を有する、代替の/さらに改善された薬剤の必要性がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本明細書の目的は、鉱質コルチコイド(MR)受容体修飾因子として作用する化合物、潜在的な医薬としてのそれらの使用、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの産生までの合成ルートを提供することである。
【0034】
第1の態様によれば、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
が、CONHもしくはCONHCHから選択され、かつ
が、H、F、Cl、もしくはBrから選択される)
またはその薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0035】
式(I)の化合物は、鉱質コルチコイド(MR)受容体修飾因子である。したがって、式(I)の化合物は、特に、MRの調整に応答性の障害、疾患、または状態ならびにより詳細には、MRの調整が役割を果たす、心不全、高血圧症、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、内皮機能不全、糖尿病、目の血管系の障害を含む心血管系、炎症、代謝性、および腎臓の状態のための医薬として使用されてもよい。
【0036】
別の態様では、治療有効量の式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩ならびに薬学的に許容され得る希釈剤、賦形剤、および/または不活性キャリアを含む医薬製剤が提供される。
【0037】
さらなる実施形態では、鉱質コルチコイド受容体の調整が有益となるであろう状態の処置において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩を含む医薬製剤が提供される。
【0038】
別の態様によれば、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける慢性腎疾患の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0039】
別の態様によれば、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける心血管系および代謝性疾患の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0040】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける糖尿病性腎症の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0041】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける糖尿病などの代謝性疾患の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0042】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける心不全の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0043】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける高血圧症の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0044】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける内皮機能不全の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0045】
さらなる実施形態では、とりわけ、哺乳動物、特にヒトにおける炎症疾患の予防または処置における療法において使用するための、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩が提供される。
【0046】
別の態様によれば、式(I)の化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩の調製のためのプロセスおよびその調製において使用される中間体が提供される。
【0047】
本明細書において例証される式(I)の化合物は、MR結合アッセイ、たとえば下記に記載される試験Aにおいて試験される場合、50μM未満の濃度で、好ましくは50μM未満のIC50で、アルドステロン結合に競合する。式(I)の化合物は、さらに、インビボにおける所望される効果および望まれない効果を分離することによって、有望な薬理学的プロファイルを示す。
【0048】
これらのおよび他の実施形態は、本明細書において下記によりいっそう詳しく記載され、さらなる態様は、本明細書を読むことによって当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、実施例4a、方法Bによって調製された実施例4a:2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミドについての粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書では、用語「修飾因子」は、さまざまな受容体アゴニズムおよび/もしくは拮抗作用、完全なアゴニズムおよび/もしくは拮抗作用、または部分的なアゴニズムおよび/もしくは拮抗作用のいずれかを示す化合物を記載するために使用される。
【0051】
疑問を回避するために、本明細書で基が「上記に定義される」によって修飾される場合、前記基は、最初に見つけられる最も広範な定義ならびにその基についての他の定義のそれぞれおよびすべてを包含することが理解されたい。
【0052】
一態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩が提供され、式中、RおよびRは、式(I)において定義されるとおりである。
【0053】
一実施形態では、Rが、CONHであり、かつ
が、H、F、Cl、またはBrから選択される。
【0054】
さらなる実施形態では、Rが、CONHであり、かつ
が、Hである。
【0055】
さらなる実施形態では、Rが、CONHであり、かつ
が、Fである。
【0056】
さらなる実施形態では、Rが、CONHCHであり、かつ
が、H、F、Cl、またはBrから選択される。
【0057】
さらなる実施形態では、Rが、CONHCHであり、かつ
が、Hである。
【0058】
さらなる実施形態では、Rが、CONHCHであり、かつ
が、Fである。
【0059】
一実施形態では、式(I)の化合物が、立体配置(S)を有する単一の鏡像異性体である。
【0060】
別の実施形態では、式(I)の化合物が、立体配置(R)を有する単一の鏡像異性体である。
【0061】
別の実施形態では、式(I)の化合物が、ラセミ化合物またはラセミ混合物である。
【0062】
1つまたは複数の上記の実施形態は、さらなる特定の実施形態を提供するために組み合わせられてもよい。
【0063】
一実施形態では、式(I)の化合物が、
2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{(3S)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
N−メチル−2−{(3R)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{(3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド、
2−{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、
2−{(3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド、および
その薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0064】
これらの特定の化合物の任意の1つが、本明細書において言及される実施形態のいずれかから放棄されてもよいことに注意されたい。
【0065】
別の実施形態は、本明細書において開示されるプロセスまたは実施例のいずれかによって入手可能な産物である。
【0066】
薬理学的特性
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、哺乳動物、特にヒトにおける、心不全、高血圧症、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、内皮機能不全、糖尿病、目の血管系の障害を含むがこれらに限定されない心血管系、炎症、代謝性、および腎臓の状態の予防または処置において有用であると考えられる。
【0067】
疑問を回避するために、本明細書において使用されるように、用語「処置」は、治療用のおよび/または予防的な処置を含む。
【0068】
本明細書において記載される化合物または塩が障害を処置するための療法として投与される場合、「治療有効量」は、症状または障害の他の有害作用を低下させるもしくは完全に軽減する、障害を治す、障害の進行を逆転させる、完全に停止させる、もしくは遅らせる、または障害がより悪化する危険性を低下させるのに十分な量とする。
【0069】
本明細書において記載される化合物は、したがって、これらの状態の治療用のおよび/または予防的な処置の両方において必要とされる。
【0070】
本明細書において記載される化合物は、それらが、先行技術において知られている化合物よりも、より効果的であってもよい、それほど毒性ではなくてもよい、より選択的であってもよい、より効力があってもよい、生じる副作用がより少なくてもよい、より容易に吸収されてもよい、および/またはより好適な薬物動態学的プロファイル(たとえばより高い経口の生物学的利用率および/またはより低い排除)を有してもよいといった利点を有する。
【0071】
併用療法
式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩はまた、上記の状態の処置に使用される他の化合物と共に投与されてもよい。
【0072】
別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および第2の活性成分が、1つまたはそれ以上の上記に列挙される状態の処置のために、並行して、連続して、または混和して投与される併用療法が提供される。そのような併用は、1つまたはそれ以上のさらなる活性成分と組み合わせて使用されてもよい。
【0073】
本明細書において記載される化合物は、
・心療法、
・抗高血圧剤、
・利尿薬、
・末梢血管拡張薬、
・脂質修飾剤、
・抗糖尿病剤、
・抗炎症薬、
・または抗凝固薬
である薬剤と組み合わせて、心血管系、代謝性、および腎臓の疾患を処置する際に役に立ってもよい。
【0074】
上記の例は、ジギタリス配糖体、抗不整脈薬、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、エンドセリン受容体遮断薬、β−遮断薬、チアシド系利尿薬、ループ利尿薬、スタチン(たとえばロスバスタチン)などのコレステロール合成阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、インスリンおよび類似体、GLP−1類似体、スルホンアミド、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤、チアゾリジンジオン、SGLT−2阻害剤などの抗糖尿病薬、ならびにNSAID’sおよびCCR2アンタゴニストなどの抗炎症薬、ヘパリンなどの抗凝固薬、トロンビン阻害剤および第Xa因子の阻害剤、血小板凝集阻害剤、ならびにP2X7アンタゴニストを含むが、これらに限定されない。
【0075】
併用療法において使用される場合、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩および他の活性成分は、単一の組成物、完全に別々の組成物、またはその組み合わせで投与されてもよいことが企図される。活性成分は、並行して、同時に、連続して、または別々に投与されてもよいこともまた企図される。特定の組成物(複数可)および併用療法の投薬頻度(複数可)は、たとえば、投与ルート、処置されている状態、患者の種、単一の組成物に組み合わせられる場合の活性成分間のあらゆる潜在的な相互作用、それらが動物患者に投与される場合の活性成分間のあらゆる相互作用、ならびに内科医(ヒト患者に関して)、獣医(非ヒト患者に関して)、および他の当業者に知られている様々な他の因子を含む、様々な因子に依存するであろう。
【0076】
医薬組成物
MRの調整が必要とされる状態の処置のための方法であって、そのような状態に罹患しているまたはそれに感受性である人への治療有効量の式(I)の化合物の投与を含む方法が提供される。
【0077】
式(I)の化合物は、経口、局所、非経口、静脈内、筋肉内、皮下を介してまたは他の注射可能な方法、頬、直腸、膣、経皮、および/もしくは経鼻ルートでおよび/または吸入を介して活性成分またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬調製物の形態で、薬学的に許容され得る剤形で通常投与されるであろう。処置される障害および患者ならびに投与ルートに依存して、組成物は、様々な用量で投与されてもよい。適した医薬製剤の選択および調製についての従来の手順は、たとえばPharmaceuticals−The Science of Dosage Form Designs,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,2nd Ed.2002において記載される。
【0078】
ヒトの治療上の処置における式(I)の化合物の適した1日用量は、約0.0001〜100mg/体重1kg、好ましくは0.01〜10mg/体重1kgである。
【0079】
経口製剤が好ましく、特に錠剤またはカプセルが好ましく、これらは0.007mg〜700mgの範囲、たとえば1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、および250mgで活性化合物の用量を提供するために、特に当業者らに知られている方法によって製剤されてもよい。
【0080】
投与の最適の投薬量および頻度は、処置されている特定の状態およびその重症度;患者の種;特定の患者の年齢、性別、大きさおよび体重、食事、ならびに全身健康状態;脳/体重比;患者が受けているかもしれない他の医薬;投与ルート;製剤;ならびに内科医および他の当業者に知られている様々な他の因子に依存するであろう。
【0081】
さらなる態様によれば、したがって、薬学的に許容され得る補助剤、希釈剤、および/またはキャリアと混合された、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る誘導体を含む医薬製剤が提供される。
【0082】
式(I)の化合物は、製剤の総重量の0.5〜95%などのように、0.1〜99.5%の濃度で医薬製剤中に存在してもよい。
【0083】
化合物の調製
式(I)の化合物およびそれらの塩は、下記のスキームおよび実施例の任意の1つ以上の手順または化学的関連化合物の調製に適用可能であることが知られている任意のプロセスに従って調製されてもよい。当業者は、下記の調製用の手順の条件およびプロセスについて知られているバリエーションが、これらの化合物を調製するために使用されてもよいことを容易に理解するであろう。式(I)の化合物は、下記のプロセスによって調製されてもよい。
【化2】
【0084】
およびRが上記に定義されるとおりである式(I)の化合物は、スキーム1に従ってアミド結合によって調製されてもよい。当業者は、この種の反応に適した多くの方法が存在することを理解する。反応は、たとえばT3PまたはPClによって促進されてもよい。反応は、塩基、たとえばTEAまたはDIPEAの存在下において実行されてもよく、EtOAc、BuOAc、トルエン、またはDMAなどの有機溶媒中で高温で実行される。保護基は、ヒドロキシル基についてはTBDPSまたはスルホンアミドについてはMPMなどのように、影響を受けやすい官能基に使用されてもよい。
【0085】
当業者は、式(I)のRおよびRの変換に適した多くの方法が存在することを理解する。これらの方法のうちのいくつかを下記に示す。
【化3】
【0086】
式(Ib)の化合物は、Rが式(I)と同様に定義され、かつRがアルキル基である式(Ia)のエステルの加水分解によって調製されてもよい。反応は、LiOHまたはNaOHなどの塩基を使用し、THF、MeOH、およびHOのような溶媒またはそのような溶媒の混合物中で外界温度または高温で実行されてもよい。
【0087】
式(Ib)のカルボン酸は、適した結合試薬を使用して適切なアミンまたはアミン塩とそれらを反応させることによってRがHまたはC1−4アルキルである式(Ic)のアミドに変換されてもよい。当業者は、結合剤を使用するこの種の変換のための多くの適した方法が存在することを理解する。反応は、たとえばPyBOP、T3P、TBTU、酸ハロゲン化物形成試薬、または無水物形成試薬によって促進されてもよい。反応は、適した塩基、たとえばTEAまたはNMMの存在下において実行されてもよく、EtOAc、THF、DMF、もしくはDCMまたはそのような溶媒の混合物などの有機溶媒中で外界温度で好都合に実行されてもよい。その代わりに、式(Ic)のアミドは、MeOH、EtOH、またはそのような溶媒の混合物などの溶媒中での適切なアミンとの反応によって、式(Ia)のエステルから調製されてもよい。
【0088】
式(II)の化合物は、下記に記載されるプロセスによって作製することができる。
【化4】
【0089】
式(II)の化合物は、RおよびRが式(I)において定義されるとおりである式(VI)の化合物の還元および環化によって調製されてもよい。当業者は、この種の反応に適した多くの方法が存在することを理解する。ニトロ基の還元は、たとえば、THF、MeOH、もしくはEtOHまたはそのような溶媒の混合物などの溶媒中で、パラジウム炭素などの触媒を使用する1〜10バールでの水素化によって行われてもよい。AcOHなどの酸が、使用されてもよい。
【0090】
式(VII)の化合物の環化は、たとえば、NaBH(OAc)などの還元剤を使用する還元的アミノ化によって促進されてもよい。これは、外界温度で、1,2−ジクロロエタンおよびAcOHなどの溶媒中で行われてもよい。
【0091】
当業者は、式(VI)の化合物の調製に適した多くの方法が存在することを理解する。(VI)の化合物は、たとえば、LGがBrまたはClなどの適した離脱基である式(V)の化合物による式(IV)の化合物のアルキル化によって調製されてもよい。アルキル化は、外界温度または高温でDMFまたはNMPなどの溶媒中で様々な塩基、たとえばKCOを使用して行われてもよい。
【0092】
スキーム4において示されるように、式(II)の化合物は、RおよびRが式(I)のように定義される式(X)の化合物を、Rが式(I)に定義されるとおりである式(XI)の有機金属化合物と反応させることによって形成されてもよく、中間体ヘミアミナールの還元がその後に続く。
【化5】
【0093】
有機金属化合物は、グリニャール試薬であってもよく、反応は、低温〜高温でTHFなどの溶媒中で行われてもよい。中間体ヘミアミナールは、NaBHなどの適した還元剤を使用して還元されてもよい。
【0094】
その代わりに、式(II)の化合物は、PGがBocなどの適した保護基である式(XII)のヘミアミナールおよびRが式(I)において定義されるとおりであり、RがCON(PG)、CON(PG)C1−4アルキル、またはC(O)1−4アルキルから選択され、PGがMPMなどの適した保護基である式(XIII)の化合物を使用して、スキーム4において示されるように、ホーナー−ワズワース−エモンズ(Horner−Wadsworth−Emmons)型の反応によって作製することができる。LiHMDSなどの塩基が、使用されてもよく、反応は、低温〜外界温度でTHFなどの溶媒中で行われてもよい。保護基(複数可)は、適した方法を使用して除去され、式(II)の化合物が得られる。
【0095】
式(XII)の化合物は、式(X)の化合物を保護し、かつ還元することによって作製することができる。Bocなどの適した保護基は、文献において知られている方法を使用して付加されてもよい。下記の還元は、低温で、THFなどの溶媒中でLiEtBHなどの還元剤によって実行されてもよい。
【0096】
式(X)の化合物は、式(IX)の化合物の還元および環化によって形成されてもよい。当業者は、この種の反応に適した多くの方法が存在することを理解する。還元は、たとえば、高温で、AcOHなどの溶媒中で鉄などの還元剤により実行されてもよい。
【0097】
当業者は、式(IX)の化合物の調製に適した多くの方法が存在することを理解する。式(IX)の化合物は、たとえば、LGがBrまたはClなどの適した離脱基である式(VIII)の化合物による式(IV)の化合物のアルキル化によってスキーム4において示されるように調製されてもよい。アルキル化は、外界温度または高温でDMFまたはNMPなどの溶媒中でKCOなどの塩基を使用して行われてもよい。
【0098】
スキーム5において示されるように、式(IIb)の化合物は、RおよびRが、式(I)において定義されるとおりであり、かつRが式(Ia)におけるとおりである式(XV)の化合物の還元および環化によって調製されてもよい。
【化6】
【0099】
当業者は、この種の反応に適した多くの方法が存在することを理解する。還元は、たとえば、高温で、AcOHなどの溶媒中で鉄などの還元剤により実行されてもよい。
【0100】
当業者は、式(XV)の化合物の調製に適した多くの方法が存在することを理解する。式(XV)の化合物は、たとえば、Rが式(Ia)におけるように定義され、LGがBrまたはClなどの適した離脱基である式(XIV)の化合物による式(IV)の化合物のアルキル化によって調製される。アルキル化は、外界温度または高温で、THF、DMF、またはNMPなどの溶媒中で、i−PrEtN、TEA、DBU、またはKCOなどの有機または無機塩基を使用して行われてもよい。
【化7】
【0101】
式(IIc)の化合物は、RおよびRが式(I)において定義されるとおりであり、Rが式(Ia)において定義され、Y=NHまたはOである式(XVIII)の化合物の不斉還元によって形成されてもよい。還元は、EtOHなどの溶媒中で、キラル触媒(S,S)[Ph−BPE Rh COD]BFおよびZn(OTf)によって例証されるように、添加剤(ルイス酸もしくはブレンステッド酸、有機塩基、またはヨウ素)の存在下において、これらに限定されないが[(R)−Binap RuCl(p−cym)]Cl、(S,S)[Ph−BPE Rh COD]BF、[Ir(COD)Cl]/(R)−Taniaphos(Ph)、[Ir(COD)Cl]/(R)−PPhos、[Ir(COD)Cl]/(R)−XylPPhos、Rh(COD)BF/(1R,1’R,2S,2’S)Duanphosなどのルテニウム、ロジウム、またはイリジウムキラル触媒を使用して、高温で5〜50バールで水素化によって実現されてもよい。
【0102】
式(XVIII)の化合物は、LGがクロロなどの離脱基である式(XVII)の化合物による式(XVI)の化合物のアルキル化および環化によって調製されてもよい。これは、高温で、NMPなどの溶媒中で、KCOなどの塩基または高温で、THFもしくはEtOHなどの溶媒中で、DIPEA、DBU、もしくはTEAなどの塩基を使用して行われてもよい。
【0103】
式(XVI)の化合物は、式(IV)の化合物の還元によって調製されてもよい。当業者は、たとえば、水中で、NaおよびKCOなどの塩基を使用することによる、この種の反応に適した多くの方法が存在することを理解する。
【0104】
官能基の保護および脱保護は、Protective Groups in Organic Synthesis,4th Ed,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Wiley−Interscience(2006)およびProtecting Groups,3rd Ed,P.J.Kocienski,Georg Thieme Verlag(2005)において記載される。
【0105】
さらなる実施形態は、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩を包含する。
【0106】
式(I)の化合物の塩は、様々な温度および湿度での安定性またはHO、油、もしくは他の溶媒中での望ましい溶解度などの1つまたはそれ以上のその化学的または物理的特性により有利であってもよい。いくつかの場合では、塩は、化合物の単離または精製を助けるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では(特に、塩が、動物、たとえばヒトへの投与について意図されるまたは動物への投与について意図される化合物もしくは塩を作製するのに使用するための試薬である場合)、塩が、薬学的に許容され得るものである。
【0107】
用語「薬学的に許容され得る」は、正しい医学的判断に従って使用に適切であるとして、構成要素(たとえば塩、剤形、または賦形剤)を特徴付けるために使用される。一般に、薬学的に許容され得る部分は、その構成要素が有し得るいかなる有毒性の影響よりも勝る1つまたはそれ以上の有益性を有する。有毒性の影響は、たとえば、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、ならびに他の問題および合併症を含んでいてもよい。
【0108】
化合物が十分に酸性である場合、薬学的に許容され得る塩は、アルカリ金属塩、たとえばNaもしくはK、アルカリ土類金属塩、たとえばCaもしくはMg、または有機アミン塩を含むが、これらに限定されない。化合物が十分に塩基性である場合、薬学的に許容され得る塩は、無機または有機酸付加塩を含むが、これらに限定されない。
【0109】
荷電官能基の数およびカチオンまたはアニオンの結合価に依存して、1つを超えるカチオンまたはアニオンがあってもよい。
【0110】
適した塩についての概説については、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19またはHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,selection and use,P.H.Stahl,P.G.Vermuth,IUPAC,Wiley−VCH,2002を参照されたい。
【0111】
酸または塩基コフォーマー(co−former)が室温で固体である場合、式(I)の化合物およびそのような酸または塩基コフォーマーの間でプロトン移動はなくまたは部分的にしかなく、コフォーマーおよび式(I)の化合物の共結晶が、塩の代わりに生じてもよい。式(I)の化合物のそのような共結晶形態はすべて、本明細書において包含される。
【0112】
式(I)のある化合物は、式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩の溶媒和化合物を含む溶媒和形態、たとえば水和物で存在してもよいこともまた、理解されたい。
【0113】
さらなる実施形態では、式(I)のある化合物が、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として存在してもよい。式(I)のある化合物はまた、結合回転がその特定の連結のまわりで制限される連結(たとえば炭素−炭素結合、アミド結合などの炭素−窒素結合)、たとえば環結合または二重結合の存在から結果として生じる制限を含有してもよい。立体異性体は、従来の技術、たとえばクロマトグラフィーもしくは分別晶出を使用して分離されてもよいまたは立体異性体は、立体選択的な合成によって作製されてもよい。
【0114】
さらなる実施形態では、式(I)の化合物が、式(I)の化合物の任意の同位体標識(または「放射標識」)誘導体を包含する。そのような誘導体は、1つまたはそれ以上の原子が、通常自然界において見つけられる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子と交換されている式(I)の化合物の誘導体である。組み込まれてもよい放射性核種の例は、Hを含む(重水素については「D」とも記載される)。
【0115】
さらなる実施形態では、式(I)の化合物が、ヒトまたは動物の体内で分解されて式(I)の化合物をもたらすプロドラッグの形態で投与されてもよい。プロドラッグの例は、式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルを含む。
【0116】
カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物のインビボ加水分解性(または切断可能な)エステルは、たとえば、ヒトまたは動物の体内で加水分解され、親の酸またはアルコールを産生する薬学的に許容され得るエステルである。エステルプロドラッグ誘導体の例については、Curr.Drug.Metab.2003,4,461を参照されたい。
【0117】
プロドラッグの様々な他の形態は、当技術分野において知られている。プロドラッグ誘導体の例については、Nature Reviews Drug Discovery 2008,7,255およびそこに引用される参考文献を参照されたい。
【実施例】
【0118】
下記の実施例は、非限定的な実施例である。下記に命名される中間体および実施例は、ACD/Labs 2012を使用して命名した。実施例において、HRMSスペクトルデータは、WatersのXEVO、LCTpシステム、Agilent q−TOF 6530、またはBruker micrOTOF−QのTOF−MSを使用して得た。
【0119】
質量スペクトルは、LC−agilent 1100、acquity hss、またはacquity beh LCシステムを使用するwaters zq、w3100、またはsqdエレクトロスプレーからなるLC−MSシステムで記録した。
【0120】
H NMR測定は、特に指定のない限り、外界温度で、それぞれ270、400、500、および600MHzのH周波数で作動するJeol EX270 Eclipse、Bruker 400、500、および600スペクトロメーターで実行した。化学シフトは、内部標準として溶媒を用いてppmで示す。フラッシュクロマトグラフィー分離は、BiotageシリカゲルKP−Sil Snap CartridgeまたはMerckシリカゲル60(0.063−0.200 mm)を使用して実行した。フラッシュクロマトグラフィーは、標準的なガラスカラムもしくはプラスチックカラムを使用してまたはBiotage SP1もしくはSP4システムで実行した。
【0121】
マイクロ波反応装置において実行した反応は、Biotage Initiatorにおいて実行した。H−Cube(登録商標)において実行した反応は、充填触媒カートリッジ(CatCart(登録商標))を使用して、ThalesNanoのH−Cube(登録商標)連続フロー式水素化反応装置において実行した。実験において使用するフェーズセパレーターは、Biotageから入手可能なISOLUTEフェーズセパレーターカラムとする。
【0122】
HPLC分離は、勾配Trilution LC v.1.4ソフトウェアおよびUV/VIS検出装置155を有するGilson HPLCシステムで、XBridge C18カラム(10μm 250×19 ID mmまたは10μm 250×50 ID mm)およびHO/ACN/NH 95/5/0.2バッファー中ACNの勾配またはKromasil C8カラム(10μm 250×20 ID mmまたは10μm 250×50 ID mm)およびHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中ACNの勾配を使用して実行した。小さい方のカラムについての流速は19mL/分とし、大きい方のカラムは100mL/分とした。その代わりに、Sunfire Prep C18カラム(5μm OBD、19×150mm)および0.1mM FA(pH=3)中ACNの勾配またはXbridge C18カラム(5μm OBD、19×150mm)および0.2% NH(pH=10)中ACNの勾配を使用して、MSトリガー画分収集を用いるWaters Fraction Lynx Purification Systemを使用した。質量スペクトルは、両方とも気流支援エレクトロスプレーインターフェースを備えたWaters ZQシングル四重極またはWaters 3100シングル四重極のいずれかで記録した。その代わりに、40℃、CO、120バールで、イソクラティックまたはMeOH/DEA 100/0.5の勾配を使用し、Phenomenex Luna Hilicカラム(5μm 250×30 ID mm)またはWaters Viridis 2−EPカラム(5μm 250×30 ID mm)を使用して、MSトリガー画分収集を用いるWaters 100 SFC MS Directed Purification Systemを使用した。質量スペクトルは、両方とも気流支援エレクトロスプレーインターフェースを備えたWaters ZQシングル四重極またはWaters 3100シングル四重極のいずれかで記録した。
【0123】
X線回析分析は、たとえばA.I.Kitaigorodsky(1973),Molecular Crystals and Molecules,Academic Press,New York;C.W.Bunn(1948),Chemical Crystallography,Clarendon Press,London;またはH.P.Klug and L.E.Alexander(1974),X−ray Diffraction Procedures,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkにおいて見つけられてもよい標準的な方法に従って実行した。粉末X線回折データは、内部基準としてコランダムを用いて測定した。粉末X線回折(本明細書においてXRPDと呼ばれる)パターンは、サンプルをシリコン単結晶のゼロバックグラウンドホルダー上にマウントし、サンプルを薄い層に延ばすことによって決定した。粉末X線回折は、Theta−Theta PANalytical X’Pert PROにより記録した(X線の波長1.5418Å ニッケルフィルターCu放射線、電圧45kV、フィラメント放出40mA)。自動可変発散スリットおよび散乱防止スリットを使用し、サンプルは、測定の間、回転させた。サンプルは、PIXCEL検出装置(有効長(active length)3.35°2シータ)と一緒に0.013°step widthおよび44.37s count timeを使用し、2〜50°2シータでスキャンした。粉末X線回折(XRPD)パターンは、ブラッグ−ブレンターノ配置(Bragg−Brentano geometry)で得た。使用される設備または機械などの測定条件に依存して1つまたはそれ以上の測定誤差を有する粉末X線回折パターンが得られるかもしれないことが知られている。(Jenkins,R & Snyder,R.L.Introduction to X−Ray Powder Diffractometry John Wiley & Sons 1996;Bunn,C.W.(1948),Chemical Crystallography,Clarendon Press,London;Klug,H.P.& Alexander,L.E.(1974),X−Ray Diffraction Procedures)。粉末X線回折の当業者らは、ピークの相対強度が、たとえば、サンプルの分析に影響を与えるかもしれない、サイズが30ミクロンを超える粒子および統一されていないアスペクト比によって影響を与えられ得ることを理解するであろう。さらに、強度が実験条件および試料調製(たとえば選択配向)に依存して変動するかもしれないことを理解されたい。下記の定義が相対強度(%)に使用されてきた:25〜100%、vs(非常に強い);10〜25%、s(強い);3〜10%、m(中程度);1〜3%。w(弱い)。当業者はまた、サンプルが回折計中に位置する厳密な高さおよび回折計のゼロ点調整が反射の位置に影響を与え得ることを理解するであろう。サンプルの表面の平面性もまたわずかな影響を有し得る。よって、示される回折パターンデータは、絶対値として利用することができない。一般に、X線粉末回折図形における回折角の測定誤差は、およそプラスまたはマイナス0.2°2−シータであり、粉末X線回折データを考慮する場合、そのような程度の測定誤差が考慮に入れられるべきである。
【0124】
旋光度は、Perkin Elmer 341を使用して決定した。比旋光度は、
【数1】
(溶媒、c=1)として報告され、ここで、c=1は10mg/mLを意味し、
【数2】
は旋光度を意味し、Na系を使用して20℃で決定した。
【0125】
小さな有機化合物中のキラル中心の絶対配置の決定のためのいくつかの方法が、単結晶X線回析、キラル誘導体化と組み合わせたNMR、合成変換に基づく構造の証明、旋光度、およびECDを含めて一般に使用されている。より新しい方法は、適度なサイズおよび可動性を有するほとんどの医薬品に適用することができるVCDである。それは、実験および計算スペクトルの比較に依存し、後者は、ボルツマン分布に従う分子のすべての低エネルギーの配座異性体の個々のスペクトルの平均である。この方法は、スペクトルを溶液で得られるので、非常に速くできる。単結晶を得るのが困難で時間がかかる場合、それは特に価値がある。多くの例が公開され、さらに、薬剤様(druglike)化合物に適用されてきた(Appl.Spectrosc.2011,65,699、Org.Biomol.Chem.,2012,10,4208、Bioorg.Med.Chem.Lett.2013,14,4019、J.Med.Chem.2014,57,477)。
【0126】
略語
下記の略語を使用する。
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
aq. 水溶液
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
br 広範
BuOAc 酢酸ブチル
BuLi ブチルリチウム
C 摂氏
Calcd 計算
CV カラム体積
d 二重線
dd 二重の二重線
dba 1,5−ジフェニルペンタ−1,4−ジエン−3−オン
DBU 2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン
DCM ジクロロメタン
DIBAL−H ジイソブチルアルミニウム水素化物
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DIPHOS ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP 4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMHA HCl N,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド
ECD 電子円偏光二色性
ee 鏡像異性体過剰率
EtO ジエチルエーテル
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FA ギ酸
Fe(acac) トリス((Z)−4−オキソペンタ−2−エン−2−イルオキシ)鉄
g グラム
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HRMS 高分解能質量分析
Hz ヘルツ
J 結合定数
LC 液体クロマトグラフィー
LBD リガンド結合ドメイン
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
m 多重線
MCPBA 3−クロロ過安息香酸
MeOH メタノール
MEA メチルアミン
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
MS 質量スペクトル
MPM 4−メトキシベンジル
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
NMM N−メチルモルホリン
NMP N−メチルピロリドン
NMR 核磁気共鳴
OAc アセタート
PE 石油エーテル
Pd(dba) トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
PyBOP(1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジン−1−イルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(V)
q 四重線
rt 室温
s 一重線
sat. 飽和
T3P 1−プロパンホスホン酸環状無水物
t 三重線
TBAF テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム
TBDPS t−ブチルジフェニルシリル
TBPTA t−ブチルフェニルホスフィノチオ酸
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート
t−BuOH tertブチルアルコール
TFA トリフルオロ酢酸
Tf トリフルオロメタンスルホナート
THF テトラヒドロフラン
UV 紫外線
VCD 振動円偏光二色性
Xant Phos 9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン
【0127】
中間体の調製
中間体1
メチル(2E)−4−(2−ニトロフェノキシ)ブタ−2−エノエート
メチル−(2E)−4−ブロモブタ−2−エノエート(28.2g、0.158mol)を室温でN,N−ジメチルホルムアミド(240mL)中2−ニトロフェノール(20g、0.144mol)およびKCO(29.8g、21.6mol)に滴下した。結果として生じる混合物を2時間室温で撹拌した。混合物をEtOAc(2.0L)により希釈し、水(1.0L)、飽和水溶液NaCO(1.0L)、および鹹水(1.0L)により洗浄した。有機相を分離し、無水NaSOで脱水し、ろ過し、真空中で蒸発させて、固体として所望の産物(27.4g、80%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 3.69(3H,s),5.00(2H,dd),6.16(1H,td),7.04(1H,td),7.16(1H,t),7.36(1H,d),7.67(1H,ddd),7.93(1H,dd).
MS m/z238(M+H)
【0128】
中間体2
メチル3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イルアセタート
鉄粉(28.7g、0.51mol)を室温で酢酸(304mL)および水(30.4mL)中の中間体1(20.3g、0.086mol)に追加した。結果として生じる懸濁液を2.5時間80℃で撹拌した。溶媒を真空中で蒸発によって除去し、500mLのEtOAcを追加した。固体をろ過し、EtOAcにより洗浄した。結果として生じる溶液を水(500mL)により洗浄した。水相をEtOAc(2×500mL)によりもう一度抽出した。合わせた有機層を飽和水溶液NaHCO(500mL)および鹹水(500mL)により洗浄した。合わせた有機層を無水NaSOで脱水し、ろ過し、真空下で回転式の蒸発によって濃縮して、黄色の油として表題化合物(17.0g、96%)がもたらされた。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 2.47−2.59(2H,m),3.65(3H,s),3.69−3.74(1H,m),3.87(1H,dd),4.12(1H,dd),5.80(1H,s),6.49(1H,ddd),6.62(1H,dd),6.67−6.70(2H,m).
MS m/z 208(M+H)
【0129】
中間体3
メチル{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
T3P(EtOAc中50%の溶液、61.5g、96.6mmol)を室温でEtOAc(125mL)中3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(10.3g、53.1mmol)、メチル3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イルアセタート(中間体2、10.0g、48.3mmol)、およびTEA(26.8mL、193.2mmol)に追加した。結果として生じる混合物を16時間75℃で撹拌した。結果として生じる溶液を350mLのEtOAcにより希釈し、飽和水溶液NaHCO溶液(160mL)、0.5M HCl溶液(160mL)、および鹹水(160mL)により洗浄した。有機相を無水NaSOで脱水し、ろ過し、蒸発させて、粗生成物がもたらされた。粗生成物を再結晶化によってMeOHから精製し、白色の固体として表題化合物(10.1g、55%)がもたらされた。
MS m/z 383(M+H)
【0130】
中間体4
エチル{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
T3P(EtOAc中50%の溶液、132.4g、0.208mol)を室温でEtOAc(139mL)中3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(22.1g、0.114mol)、エチル−2−(3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート(23.0g、0.104mol)、およびTEA(57.9mL、0.416mol)に追加した。結果として生じる混合物を16時間75℃で撹拌した。結果として生じる溶液を800mLのEtOAcにより希釈し、飽和水溶液NaHCO溶液(300mL)、0.5M HCl溶液(300mL)、および鹹水(300mL)により洗浄した。有機相を無水NaSOで脱水し、ろ過し、蒸発させて、粗生成物がもたらされた。粗生成物を再結晶化によってMeOHから精製して、白色の固体として表題化合物(14.5g、35%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 1.17(3H,t),2.54(2H,d),4.01−4.12(2H,m),4.35(2H,d),4.65(2H,s),4.87(1H,t),6.71(1H,dt),6.92(2H,d),7.01(2H,dt),7.09(1H,d),10.81(1H,brs).
MS m/z 397(M+H)
【0131】
中間体5
{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
NaOH(2M、0.39mL、0.78mmol)を、THF(2mL)/水(2mL)/EtOH(4mL)の混合物中エチル{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体4、154mg、0.39mmol)のスラリーに追加して、透明な溶液がもたらされた。反応混合物を一晩室温で撹拌し、次に、1M HCl(10mL)を追加し、混合物をEtOAc(3×10mL)により抽出した。合わせた有機層を、フェーズセパレーターに通過させて乾燥させ、真空中で濃縮して乾固させて、重量で3% EtOAcを含有する白色の固体として表題化合物(146mg、102%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.41−2.48(m,2H),4.23−4.4(m,2H),4.64(s,2H),4.73−4.84(m,1H),6.72(t,1H),6.89−6.96(m,3H),6.96−7.07(m,2H),7.08(d,1H),10.85(s,1H),12.45(br s,1H).
HRMS m/z [C1916+H]に対する計算値:369.1086,実測値369.1083.
【0132】
中間体6
tert−ブチル7−フルオロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(7.0g、41.9mmol)およびジtert−ブチルジカーボネート(10.6mL、46.1mmol)をTHF(130mL)中に溶解した。DMAP(0.512g、4.19mmol)を追加した。混合物を一晩室温で撹拌した。EtOAc(200mL)を追加し、混合物を、HCl(0.5M、50mL)、飽和水溶液NaHCO(100mL)、および鹹水により洗浄した。混合物をフェーズセパレーターを通して乾燥させ、蒸発させて、粗製油として表題化合物(11.6g、104%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.62(s,9H),4.57(s,2H),6.73−6.82(m,2H),7.19−7.26(m,1H).
【0133】
中間体7
tert−ブチル7−フルオロ−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
tert−ブチル7−フルオロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体6、2.22g、8.31mmol)をTHF(20mL)中に溶解し、−78℃まで冷却した。DIBAL−H(トルエン中1M、10.8mL、10.8mmol)を、−70℃未満に反応温度を維持するために、ある割合で追加し、その後反応液を50分間−78℃で撹拌した。冷却を止め、反応をNHCl(飽和水溶液10mL)によりクエンチした。混合物を室温に到達させた。反応混合物をDCMおよびロッシェル塩(30%水溶液、100mL)により希釈し、DCM(2×100mL)により抽出した。有機層を合わせ、鹹水により洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、フェーズセパレーターを通してろ過し、濃縮し、白色の固体として表題化合物(2.23g、100%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.58(s,10H),4.09(dd,1H),4.29(dd,1H),5.87−5.99(m,1H),6.62−6.75(m,2H),7.91(s,1H).
【0134】
中間体8
tert−ブチル3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−7−フルオロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
ステップ1.−78℃で、リチウムトリエチルヒドロボラート(THF中1M、52.1mL、52.1mmol)を、THF(180mL)中tert−ブチル7−フルオロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体6、11.6g、43.4mmol)の冷却(ドライアイス/アセトン)溶液に滴下した。反応混合物を1.5時間−78℃で撹拌した。飽和水溶液NaCO(55mL)を追加し、混合物を約−20℃まで温めた。H(水中30%、55mL)を低温を維持しながら滴下した。反応混合物を30分間−10℃で撹拌した。混合物をセライトを通してろ過し、THFによりその充填物を洗浄した。約150mLまでロータリーエバポレーターで濃縮した。EtOAc(200mL)を追加した。混合物を鹹水により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗ヘミアミナール(中間体7)が黄色の固体として得られ、精製しないで使用した。
【0135】
ステップ2.0℃で、LiHMDS(THF中1M、87mL、87mmol)を、THF(60mL)中エチル2−(ジエトキシホスホリル)アセタート(17.4mL、87mmol)にゆっくりと(温度<5℃)追加した。反応混合物を15分間撹拌した。上記の粗ヘミアミナール(中間体7)をTHF(90mL)中で溶解し、冷却した溶液に滴下した。反応混合物を1時間0℃で撹拌した。氷浴を取り外し、反応液を5時間室温で撹拌した。LiHMDS(THF中1M、21.7mL、21.7mmol)をさらに追加し、反応液を室温で一晩撹拌した。ホーナー−ワズワース−エモンズ試薬を、氷上で冷却しながら、THF(20mL)中でエチル2−(ジエトキシホスホリル)アセタート(4.34mL、21.7mmol)およびLiHMDS(THF中1M、21.7mL、21.7mmol)を混合することによってさらに調製した。30分間氷上で撹拌した。溶液を反応混合物に注意深く追加し、撹拌を4時間室温で継続した。EtOAc(300mL)を追加し、飽和水溶液NaCO(250mL)、飽和水溶液NaHCO(100mL)、HCl(0.5M、100mL)、および鹹水により洗浄した。有機層を分離し、NaSOで脱水し、ろ過後に蒸発させた。残留物を、Biotage(登録商標)KP−SIL 340gカラムで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。5CVにわたるヘプタン中5%〜25%のEtOAcの勾配を移動相として使用した。表題化合物(6.69g、収率45.4%)は、検出に波長250/285nmを使用して収集した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.26(t,3H),1.54(s,9H),2.47(dd,1H),2.57(dd,1H),4.08−4.21(m,3H),4.37(d,1H),5.01(s,1H),6.56−6.69(m,2H),7.79(s,1H).
MS m/z 340.2(M+H)
【0136】
中間体9
エチル(2E)−4−(5−フルオロ−2−ニトロフェノキシ)ブタ−2−エノエート
窒素雰囲気下の3−フルオロ−6−ニトロフェノール(200g、1.27mol)、無水KCO(202g、1.46mol)、およびNMP(1.2L)の混合物を30分間25℃で撹拌した。4−ブロモクロトン酸エチル(80% tech.、252mL、1464mmol)を、得られた赤色の懸濁液に2〜3分間追加し、結果として生じる混合物を外界温度で一晩撹拌した。次いで、黄色がかった懸濁液を撹拌下で氷水(8.0L)の中に注いだ。1時間撹拌した後に、固体をろ過し、水(5×1.0L)、ヘプタン(4×0.50L)により洗浄し、次いで、真空中で50℃で一晩脱水し、表題化合物(332g、1.20mmol、98% w/w、95%の収率)がもたらされた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.31(t,3H),4.23(q,2H),4.82(dd,2H),6.31(dt,1H),6.71−6.82(m,2H),7.04(dt,1H),8.00(dd,1H).
【0137】
中間体10
エチル(7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート
AcOH(1.4L)中で溶解したエチル(2E)−4−(5−フルオロ−2−ニトロフェノキシ)ブタ−2−エノエート(中間体9、310g、1.09mol)を、窒素雰囲気下、60℃で、AcOH(0.90L)中の鉄粉のスラリー(325メッシュ、305g、5.47mol)に1時間滴下した。追加の間、温度を60〜75℃に保った。追加の完了に際して、結果として生じる混合物を、室温まで冷却する前に、30分間70℃で撹拌した。固体をろ過し、AcOH(2.5L)により洗浄した。ろ液を濃縮して乾燥させ、残留物をEtOAc(2.0L)中で溶解した。溶液を、クエン酸(水溶液、10% w/w、2×1.0L)、NaCO(10% w/w、500mL)、および水(1.5L)により洗浄した。次いで、溶液を濃縮して乾燥させ、得られた残留物をi−PrOAc(500mL)中で溶解した。もう一度、乾燥するまで濃縮して残留物を得、これを、溶出液としてヘプタン/EtOAc(4:1)を使用しシリカ上でカラムクロマトグラフィーによって精製した。表題化合物(236g、0.986mol、98% w/w、88%の収率)が、油として得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.52(d,2H),3.80(qd,1H),3.94(dd,1H),4.20(dt,3H),4.33(s,1H),6.47−6.59(m,3H).
【0138】
中間体10aおよび10b、方法A
エチル[(3Sまたは3R)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート)
エチル(7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート(433g、1.76mol)の2種の鏡像異性体を、ChiralPak ADカラム(250×110mm、20μmの粒径)を取り付けたNovaSep SFCおよび溶出液としてのEtOH/TEA 100/0.1で分離した。
【0139】
中間体10a、方法A
エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させて、表題化合物の異性体1を得た[(201g、0.848mol、キラルHPLCによって99.6% ee(Chiralpak AD 250×110mm 20μm、室温でEtOH/TEA 100/0.1により溶出、270nmで検出)およびキラルシフト試薬((R)−TBPPTA)を用いるF NMRによって>99.5% ee、48.3%の収率、
【数3】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.52(d,2H),3.81(qd,1H),3.95(dd,1H),4.13−4.25(m,3H),4.33(s,1H),6.46−6.59(m,3H).
【0140】
中間体10b、方法A
エチル[(3R)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させて、表題化合物の異性体2を得た[(192g、0.802mol、キラルHPLCによって96.6% ee(Chiralpak AD 250×110mm 20μm、室温でEtOH/TEA 100/0.1により溶出、270nmで検出)およびキラルシフト試薬((R)−TBPPTA)を用いるF NMRによって96.3% ee、45.7%の収率、
【数4】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.52(d,2H),3.81(qd,1H),3.95(dd,1H),4.14−4.25(m,3H),4.33(s,1H),6.46−6.59(m,3H).
【0141】
中間体10a、方法B
エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
(S,S)[Ph−BPE Rh COD]BF(0.10mol%、1.7g)を水素化装置に装填し、続いてZn(OTf)(4.0mol%、30.6g)およびエタノール(70mL)を装填した。次いで、水素化装置を窒素によりパージした(3回)。エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、500g)を45℃でエタノール(3930mL)中で溶解した。結果として生じる溶液を脱気し(3×真空、続いて窒素)、ラインのリンス剤として脱気エタノール(1000mL)を使用して水素化装置(N移入)に装填した。水素化装置に5バールの窒素(3回)、次いで10バールの水素(3回)をパージした。次いで、反応を50℃で加熱し/18時間10バール水素(スターラー1000rpm)、その後HPLCにより反応が完了したことが示された。室温まで冷却した後、溶媒を真空中で除去し、残留物を、前の3回の500g程度の反応液の粗生成物と合わせた。合わせた残留物をEtOAc(400mL)中で溶解した。ヘプタン(1600mL)を追加し、溶液をシリカ(2Kg)のパッド上に載せ、10%〜30% EtOAcにより溶出した。産物画分をはがして、茶色の油(2052g、量)として所望の産物がもたらされた。H NMRにより産物の特徴を確認し、キラルHPLCは、99.03% eeを示した。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 1.26(t,3H),2.49(d,2H),3.78(qd,1H),3.91(dd,1H),4.11−4.22(m,3H),4.32(br s,1H),6.43−6.56(m,3H).
【0142】
エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a)へのエチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11)の変換のための触媒スクリーニング
(a)ロジウム触媒:
48ウェルプレートにおける一般化された手順:
DCM(100μL)中配位子(0.00044mmol)の溶液を、2mLウェルに装填し、その後、DCM(100μL)中金属源(0.0004mmol)を装填した。混合物を10分間撹拌し、次いで蒸発させた。次いで、エタノール(667μL)中エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、0.02mmol)および亜鉛トリフレート(0.0008mmol)の溶液をウェルに追加し、結果として生じる混合物を16時間155psiの圧力および50℃で水素化し、次いで、エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a)への変換および産物の鏡像異性体純度についてhplcによって分析した。
【0143】
【表1】
【0144】
(R,R)−BenzP=(R,R)−(+)−1,2−ビス(t−ブチルメチルホスフィノ)ベンゼン)(CAS 919778−41−9)
R,R−QuinoxP=(R,R)−2,3−ビス(tert−ブチルメチルホスフィノ)キノキサリンCAS 866081−62−1
S−BINAPINE=(3S,3’S,4S,4’S,11bS,11’bS)−(+)−4,4’−ジ−t−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビ−3H−ジナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフェピン CAS 528854−26−4
【0145】
(b)ルテニウム触媒
別々の金属源および配位子を使用する48ウェルプレートにおける一般化された手順:
DMF(100μL)中配位子(0.00044mmol)の溶液を、2mLウェルに装填し、その後、DMF(100μL)中金属源(0.0002mmol)を装填した。次いで、混合物を30分間撹拌し、100℃で蒸発させた。次いで、エタノール(667μL)中エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、0.02mmol)および85% w/wリン酸水溶液(0.02mmol)の溶液をウェルに追加し、結果として生じる混合物を16時間95〜99psiの圧力および80〜85℃で水素化し、次いで、エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a)への変換および産物の鏡像異性体純度についてhplcによって分析した。
【0146】
【表2】
【0147】
あらかじめ形成された触媒およびさまざまな量の添加剤を使用する48ウェルプレートにおける一般化された手順:
DMF(200μL)中のあらかじめ形成された触媒(0.00044mmol)を2mLウェルに装填した。混合物を撹拌して溶解し、次いで蒸発させた。次いで、エタノール(667μL)中エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、0.02mmol)および85% w/wリン酸水溶液(さまざまな量)の溶液をウェルに追加し、結果として生じる混合物を16時間95〜99psiの圧力および80〜85℃で水素化し、次いで、エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a)への変換および産物の鏡像異性体純度についてh.p.l.c.によって分析した。
【0148】
【表3】
【0149】
(c)イリジウム触媒:
48ウェルプレートにおける一般化された手順:
DCM(100μL)中配位子(0.00044mmol)の溶液を、2mLウェルに装填し、その後、DCM(100μL)中の金属源([Ir(COD)2]BF4については0.0004mmol;[Ir(COD)Cl]2については0.0002mmol)を装填した。混合物を10分間撹拌し、次いで蒸発させた。次いで、トルエン(667μL)中エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、0.02mmol)およびヨウ素(0.01mmol)の溶液をウェルに追加し、結果として生じる混合物を16時間10バールの圧力および30℃で水素化し、次いで、エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタートへの変換および産物の鏡像異性体純度についてh.p.l.c.によって分析した。
【0150】
【表4】
【0151】
中間体10c
エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート2−ナフタレンスルホン酸塩
エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、20.0g、84mmol)を250mLガラスオートクレーブに装填した。オートクレーブを窒素により3.5バールまで5回加圧し、次いで、160mL無水エタノール(10分間の窒素の通気によって酸素を除去した)を窒素の流れに逆らってシリンジを介して追加した。Tjを45℃にセットし、スターラー速度を800rpmにセットし、反応装置を3回窒素により3.5バールまで加圧した。
【0152】
20mLの脱気エタノール中Rh(S)−Ph−BPE(cod)BF4(64mg、0.0796mmol、0.0009eq)およびZn(OTf)(1.25g、3.4mmol、0.040eq)の溶液を窒素の流れに逆らってシリンジを介して装填した。オートクレーブを窒素により3.5バールまで3回加圧し、次いで、水素により9.5バールまで加圧する前に水素により3バールまで2回加圧した。Tjを50℃にセットした。ガス取込みは5時間後に停止し、14時間後に得られたサンプルは100%の変換および99.5% eeを示した。反応溶液をフラスコに移し、計量した(141.5g)。
【0153】
反応混合物の20.56gを取り出し(2.92g、12.2mmol産物に相当する)、2−ナフタリンスルホン酸(一水化物)(2.85g、12.6mmol)を追加した。密集した沈殿物が形成され、混合物を80℃まで加熱し、透明な濃褐色の溶液がもたらされた。20℃まで冷却し、ろ過し、5mLエタノールによりすすぐことにより、40℃で真空状態で乾燥させた後、白色の固体としてエチル2−[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート,2−ナフタレンスルホン酸塩がもたらされた(4.21g、77%の収率−アッセイ補正済み)。H NMR(500MHzで作動するBruker AvanceスペクトロメーターでDMSO−d中で記録したスペクトル)δ(ppm):
8.70(bs,2H),8.16(bs,1H),8.00−7.95(m,1H),7.93−7.88(m,1H),7.87(d,1H,J=8.6Hz),7.72(dd,1H,J=8.6Hz J=1.7Hz),7.55−7.50(m,2H),6.69(dd,1H,J=8.7Hz J=5.9Hz),6.64−6.55(m,2H),4.18(dd,1H,J=10.8Hz J=2.9Hz),4.1(q,2H,J=7.1Hz),3.90(dd,1H, J=10.8Hz J=6.4Hz),3.71(ddd,1H, J=6.7Hz J=6.7Hz J=2.8Hz),2.56(dd,1H,J=16.2Hz J=6.4Hz),2.49(dd,1H,J=16.2Hz J=6.9Hz),1.19(t,3H,J=7.1Hz).
【0154】
中間体11、方法A
エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート
エチル4−クロロアセトアセタート(1eq.、521.6mL)をTHF(4883mL)中2−アミノ−5−フルオロ−フェノール(488.2g)の溶液に追加した。反応を50℃まで加熱し、DIPEA(1eq.、664.6mL)を50〜60℃で1時間滴下した。結果として生じる反応混合物を6時間50℃で加熱した。H NMR分析により反応が完了したことを確認した。反応を室温まで冷却し、MTBE(4883mL)/水(4883mL)により分配した。相を分離し、水をMTBE(2×1220mL)により抽出した。合わせた有機層を20重量%鹹水(3×1220mL)により洗浄し、MgSOで脱水し、ろ過し、はがし、濃褐色の固体として粗生成物が得られた。粗製物は、さらに2回の反応(両方とも488.3g程度)の粗生成物と組み合わせ、シリカパッドを介して精製した;物質は、DCM(600mL)およびMTBE(2810mL)中で溶解した。シリカ(3kg)を追加し、その後EtOAc(141mL)およびヘプタン(2669mL)を追加した。結果として生じるスラリーをシリカ(9kg)のパッド上に注ぎ、ヘプタン中5% EtOAcにより溶出した(11×10L画分)。産物画分をはがして、オレンジ色の固体(2291g)がもたらされた。産物を別の反応(120g投入量)の粗生成物と合わせ、シリカパッドを介して再精製し、DCM(2.2L)中で溶解し、シリカ(12kg)上に載せた。ヘプタン中5% EtOAcにより溶出させた(17×10L)。産物画分をはがし、黄色の固体(2290g)がもたらされた。この固体をヘプタン(6870mL)中で溶解し、加熱して溶解した(60℃)。溶液を40℃まで冷却し、ある中規模反応由来の純粋な産物を種晶として入れ、次いで−5℃まで冷却し、1時間撹拌した。結果として生じる固体をろ過し、冷ヘプタン(2×1L)により洗浄し、溶媒を真空中で除去した。40℃での真空オーブン中でのさらなる乾燥により、クリームイエロー色の固体として所望の表題化合物が得られた(2140g、2−アミノ−5−フルオロ−フェノールの合わせた投入量から72%の収率で計算)。
H NMR(Jeol EX270 Eclipse,270MHz,CDCl)δ ppm1.27(t,3H),4.15(q,2H),4.54(s,2H),4.64(s,1H),6.58−6.67(m,2H),6.70−6.78(m,1H),10.10(br. s,1H).
【0155】
中間体11、方法B
エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート
5−フルオロ−2−ニトロフェノール(250g、1.591mol)を5Lのステンレス鋼オートクレーブに装填した。7.5gの10% Pd/C(Escat 1931)を装填し、その後1.50Lメタノールを装填した。温度を20℃にセットし、反応装置を窒素により2バールまで4回加圧し、次いで2バールの水素圧力を加え、スターラー速度を600rpmにセットした。反応を15時間放置し(ガス取込みは200分後に停止した)、その後、水素圧力を放出させ、オートクレーブを窒素によりパージした。反応混合物をK200フィルターを通してろ過し、フィルター上の収集した触媒をメタノール(250mL)ですすいだ。
【0156】
反応混合物を反応装置に移し、エチル−4−クロロアセトアセタート(385g、2.368mol、1.5eq)を追加し、その後、ラインをすすぐためにメタノール(250mL)を追加し、Tjを40℃にセットした。混合物を30分間撹拌し、その時点でTiは35℃であった。DIPEA(205.6g、1.594mol、1.002当量)を45分間にわたって装填した。反応をさらに10分間撹拌し、その時点で19F NMR分析は、90%の産物を示した。Tjを30℃にセットし、10分後、Tiは32℃となった。エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート種(20mg、実施例11、方法Aに従って調製)を追加し、混合物をさらに45分間撹拌した。水(500mL)を1時間にわたって装填し、次いでTbathを20℃にセットした。さらに1.5時間後、混合物をろ過した。ケーキを75%メタノール水溶液(750mL)により洗浄し、40℃真空下で乾燥させて、表題の産物(261g;68%アッセイ補正収率)がもたらされた。
【0157】
中間体12
(2Z)−2−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)−N−メチルアセトアミド
エチル(2Z)−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体11、2.0g;8.4mmol)、MeOH(6.0mL)、およびメチルアミン(7.3mLの40重量%水溶液、84.3mmol)の混合物を、35℃(ブロック温度)まで金属ホットプレート上で加熱し、16時間撹拌した。濃褐色の濁った溶液が得られた。LCMS分析により、出発物質の消費および産物の形成が示された。混合物をDCM(80mL)および水(80mL)の間で分配した。有機相を分離し、次いで、真空中で濃縮し、残留物を、0〜10% EtOAc:DCMにより溶出する40g silicycleシリカカートリッジでカラムクロマトグラフィーによって精製し、経時的に(on standing)暗くなったオレンジ色の結晶性固体の表題化合物(1.10g、58.9%)が得られた。
H NMR(Bruker Avance III 500,500MHz,DMSO−d)δ ppm2.62(d,3H)4.58(s,2H)4.67(s,1H)6.71−6.75(m,1H)6.77−6.80(dd,1H)7.04−7.06(dd,1H),7.61−7.62(m,1H).
MS m/z 223(M+H)
【0158】
中間体13、方法A
2−[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]−N−メチル−アセトアミド
エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a、50.0g、204.2mmol)を20℃で500mLジャケット容器中MeOH(150mL)中で溶解した。メチルアミン(EtOH中127mLの33% w/w溶液、96g、1.02mol)を一部追加し、混合物を一晩20℃で撹拌した。溶液をサンプリングし、HPLC分析によって完了に達していないことがわかった。反応をさらに2時間撹拌したままにし、次いで、EtOH(EtOH中25.0mLの33% w/w溶液;18.9g;200.8mmol)中のメチルアミンをさらに追加し、溶液を20℃で一晩撹拌した。溶液を真空中で蒸発させ、オレンジ色の油にし、次いでMeOH(300mL)を追加し、混合物を再度蒸発させ、ベージュ色の固体がもたらされ、これを乳鉢および乳棒を使用して挽いて粉にし、次いで、3時間40℃で真空オーブン中で乾燥させ、表題化合物が得られた(46.3g、99.2%の収率 NMRアッセイ98.1% w/w、キラルHPLC%で99.7% e.p.)。
H NMR(Bruker Avance III 400,400MHz,DMSO−d)δ ppm2.26(d,2H)2.59(d,3H)3.55−3.71(m,1H)3.81(dd,1H)4.12(dq,1H)5.59(s,1H),6.41−6.57(m,2H),6.57−6.68(m,1H),7.87(d,1H).
HRMS(Bruker micrOTOF−Q)[C1113FN+Na]に対する計算値:247.085875;実測値:247.084779.
【0159】
中間体13、方法B
2−[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]−N−メチル−アセトアミド
2mLの反応バイアルに、1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジフェニルホスホラノ]エタン(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート(DCM中0.004M、0.0004mmol)の100μLの溶液を追加し、真空を適用することによって溶媒を除去した。これに、MeOH中4mol% Zn(OTf)を含有する(2Zまたは2E)−2−(7−フルオロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)−N−メチルアセトアミド)(中間体12)、0.03M、0.02mmol)の670μLの原液を追加した。容器を水素により加圧し、反応を16時間50℃で331psiの水素で実行し、>99% eeで所望の(S)−鏡像異性体への完全な変換がもたらされた。
HRMS m/z [C1113FN+H]に対する計算値:225.1034;実測値:225.1045.
【0160】
中間体14
エチル{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
エチル(7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート(中間体10、1.91g、8.0mmol)、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(1.70g、 8.80mmol)、およびTEA(3.33mL、24.0mmol)をEtOAc(10mL)中で溶解した。T3P(EtOAc中50重量%、9.52mL、16.0mmol)を追加し、混合物を一晩還流で加熱した。反応混合物をEtOAc(150mL)により希釈し、飽和水溶液NaHCO(2×100mL)、0.5M HCl(100mL)、および鹹水(100mL)により洗浄した。有機層をフェーズセパレーターを通過させることによって乾燥させ、濃縮し、灰白色の固体として表題化合物(2.68g、収率81%)がもたらされ、さらに精製することなく使用した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.26(t,3H),2.61(qd,2H),4.15−4.22(m,2H),4.30(dd,1H),4.51(d,1H),4.66(s,2H),5.02−5.25(m,1H),6.38−6.48(m,1H),6.65(dd,1H),6.73(br s,1H),6.90(d,1H),7−7.06(m,1H),7.06−7.11(m,1H),8.30(s,1H).
MS m/z 415.2(M+H)
【0161】
中間体14a
エチル{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
酢酸ブチル(800mL)中3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(151g、0.779mol)、N−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(370mL、2.12mol)、およびエチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a、169g、0.708mol)の混合物を10分間外界で撹拌した。T3P(EtOAc中50重量%、844mL、1.42mol)を10分間追加した。追加の完了に際して、温度を85分間(1℃/分)105℃まで増加させる前に、結果として生じる混合物を外界温度で15分間撹拌した。40時間105℃で撹拌した後、反応混合物を5℃まで冷却し、水(800mL)を注意深く追加した。外界温度で1時間撹拌した後、pHをNaOH(水溶液、2.5M、およそ1.5L)によりおよそ10に調節した。pHが変化しなくなった時、相を分離した。水(1.2L)を有機相に追加し、HCl(水溶液、2M、およそ0.6L)を、水相のpHがおよそ4となるまで撹拌下で追加した。有機相を水(2×2L)により洗浄しながら水相を廃棄し、Celite(Seitz filter、K200)を通してろ過し、濃縮して乾固させた。得られた残留物をEtOAc(400mL)中で溶解し、溶液を濃縮して乾固させ、茶色がかった気泡として粗表題化合物(278g、0.671mol、88% w/w、83%の収率)が得られた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 1.17(t,3H),2.53(dd,2H),4.06(qdd,2H),4.36(d,2H),4.65(s,2H),4.86(t,1H),6.62(td,1H),6.84(dd,1H),6.94(d,2H),7.03(dd,1H),7.07(d,1H),10.82(s,1H).
MS m/z 415.5(M+H)
【0162】
中間体15
{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
水(7.50mL)中で溶解したLiOH(0.208g、8.69mmol)を、THF(15mL)中エチル{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体14、1.2g、2.90mmol)の溶液に追加した。混合物を1.5時間室温で撹拌した。EtOAc(40mL)を追加し、その後、塩化水素(1M、11.6mL、11.6mmol)および水(20mL)を追加した。相を分離し、有機層を鹹水(30mL)により洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。表題化合物(1.19g、106%)が固体として得られ、さらに精製することなく使用した。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 2.44(dd,1H),2.51−2.53(m,1H),4.26−4.4(m,2H),4.64(s,2H),4.76(s,1H),6.64(td,1H),6.83(dd,1H),6.95(d,1H),6.98−7.16(m,3H),10.84(s,1H).酸性COプロトンは検出されなかった。
HRMS(ESI+)m/z [C1915FN+H]に対する計算値:387.0992,実測値387.0995.
【0163】
中間体16
tert−ブチル7−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
DMAP(0.158g、1.30mmol)を、THF(70mL)中7−クロロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(2.38g、13.0mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(3.58mL、15.6mmol)の混合物に追加した。混合物を2.5時間室温で撹拌した。EtOAc(100mL)を追加した。混合物を、HCl(0.25M、50mL)、飽和水溶液NaHCO(50mL)、および鹹水により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、蒸発させた。表題化合物(3.89g、106%)が、粗製油として得られ、さらに精製することなく使用した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.83(s,9H),4.78(s,2H),7.24(dd,1H),7.27(d,1H),7.39(d,1H).
【0164】
中間体17
tert−ブチル7−クロロ−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
THF中リチウムトリエチルヒドロボラート(13.75mL、13.75mmol)の1M溶液を、N(g)下−78℃で無水THF(60mL)中tert−ブチル7−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体16、3.25g、11.5mmol)の溶液に滴下した。45分間の−78℃での撹拌後、混合物をNaCO(飽和水溶液、25mL)により処理し、次いで、H(水溶液中35%、25mL)を−15℃でゆっくりと追加した。混合物を一晩室温で撹拌し、次いでろ過した。ろ液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAc(2×100mL)により抽出した。有機相を鹹水(100mL)により洗浄し、フェーズセパレーターを通過させることによって乾燥させ、減圧下で濃縮し、灰白色の固体として表題化合物(3.29g、101%)がもたらされ、さらに精製することなく使用した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.57(s,9H),3.31(br s,1H),4.06(dd,1H),4.27(dd,1H),5.91(t,1H),6.91(dd,1H),6.95(d,1H),7.88(d,1H).
【0165】
中間体18
tert−ブチル7−クロロ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
THF中1M溶液のLiHMDS(23.0mL、23.0mmol)を、窒素下0℃でTHF(30mL)中エチル2−(ジエトキシホスホリル)アセタート(4.57mL、23.0mmol)の溶液に滴下し、結果として生じる混合物を10分間撹拌し、その後、THF(30mL)中で溶解したtert−ブチル7−クロロ−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体17、3.29g、11.5mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を1時間室温窒素下で撹拌し、その後、水(100mL)を追加し、混合物をEtOAc(3×75mL)により抽出した。合わせた有機層を鹹水(100mL)により洗浄し、フェーズセパレーターを通過させることによって乾燥させ、濃縮して、茶色の油として粗製物である表題化合物(4.36g、106%)を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.24(t,3H),1.52(s,9H),2.46(dd,1H),2.57(dd,1H),4.03−4.2(m,3H),4.34(dd,1H),4.98(t,1H),6.78−6.93(m,2H),7.80(br s,1H).
MS m/z 356(M+H)
【0166】
中間体19
エチル(2Eまたは2Z)−(7−クロロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート
エチル4−クロロ−3−オキソブタノアート(60.1g、0.36mol)を、20℃でTHF(434mL)中5−クロロ−2−アミノフェノール(43.4g、0.30mol)のよく撹拌した溶液に追加した。結果として生じる混合物を30分間撹拌し、次いで、TEA(36.8g、0.36mol)を50℃で滴下した。結果として生じる溶液を16時間この温度で撹拌した。有機溶媒を真空中で取り出した。粗生成物を0%〜1.6%のPE中EtOAcによりシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。産物をシクロヘキサン中での再結晶化によってさらに精製した。これにより淡黄色の固体として表題化合物(53.8g、70%)がもたらされた。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.20(3H,t),4.11(2H,q),4.68(2H,s),4.78(1H,s),6.97(1H,dd),7.00(1H,d),7.31(1H,d),10.18(1H,s).
MS m/z254(M+H)
【0167】
中間体20
エチル(7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート
DCM(10mL)/TFA(5mL、67.3mmol)中tert−ブチル7−クロロ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体18、1.98g、5.56 mmol)の溶液を2.5時間室温で撹拌した。混合物を濃縮し、DCM(50mL)中で溶解し、飽和水溶液NaHCO(2×50mL)により洗浄し、次いで、フェーズセパレーターを通過させることによって乾燥させ、濃縮して、1.52gの油がもたらされた。化合物を、分取HPLC(XBridge C18カラム(10μm 250×50 ID mm)、100mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/NH 95/5/0.2バッファー中15〜55% ACNの勾配を使用、240nmでUV検出)によって精製した。溶媒の除去により油として表題化合物(0.67g、47%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.83(qd,1H),3.94(dd,1H),4.15−4.23(m,3H),6.52(d,1H),6.74(dd,1H),6.79(d,1H).スペクトルはさらに、それぞれOおよびNに帰属をつけられるδ1.61および4.40の2つの幅の広い一重線を示す。
MS m/z 256(M+H)
【0168】
中間体20aおよび20b、方法A
エチル[(3Rおよび3S)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
エチル(7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタートの鏡像異性体(中間体20、13.7g、53.7mmol)を、120mL/分の流速および270nmでの検出、20℃EtOH/TEA 100/0.1の移動相でChiralPak ADカラム(20μm、250×50mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0169】
中間体20a、方法A
エチル[(3S)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
第1の溶出化合物を、収集し、蒸発させ、表題化合物(6.64g、48.4%、99.2% ee)が得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.78−3.87(m,1H),3.94(dd,1H),4.16−4.24(m,3H),4.46(s,1H),6.52(d,1H),6.74(dd,1H),6.79(d,1H).
【数5】
【0170】
中間体20b、方法A
エチル[(3R)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
【0171】
第2の溶出化合物を、収集し、蒸発させ、表題化合物(6.47g、47.1%、98.9% ee)が得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.78−3.88(m,1H),3.94(dd,1H),4.15−4.25(m,3H),4.46(s,1H),6.52(d,1H),6.74(dd,1H),6.79(d,1H).
【数6】
【0172】
絶対配置は、それぞれのサンプルについて140〜150μl CDCl中で15mgの固体材料を最初に溶解することによってVCDを使用して決定した。次いで、溶液を0.100mm BaF2セルに移し、VCDスペクトルは、デュアルソースおよびデュアル光弾性モジュレーターを備えたBioTools ChiralIR機器においてそれぞれ6時間で得た。解像度は4cm−1とした。低エネルギー配置についてのモンテカルロ分子力学調査を、2つの鏡像異性体、RおよびSのわずかに切り詰められた構造(メチルエステルをエチルエステルの代わりに使用した)について行なった。Maestroグラフィカルインターフェース(Schroedinger Inc.)内のMacroModelを配座異性体についての出発座標を生成するために使用した。最も低エネルギーの配座異性体の5kcal/モル内のすべての配座異性体をGaussian09内の密度汎関数法(DFT)最小化のための出発点として使用した。最適化構造、調和振動頻度/強度(harmonic vibrational frequencies/intensities)、VCD旋光強度、およびSTPでの自由エネルギー(零点エネルギーを含む)をそれぞれの配座異性体について決定した。これらの計算において、関数B3LYPおよび基底6−31Gを使用した。それぞれの立体配座についての赤外スペクトルおよびVCDスペクトルのシミュレーションは、その計算したスペクトルにローレンツ曲線(12cm−1線幅)をフィットさせるために社内で作ったプログラムを使用して生成し、それによって、シミュレートしたスペクトルおよび実験のスペクトルの間の直接的な比較を可能にした。CDClにおいて得られた中間体20aおよび中間体20bの実験VCDスペクトルを、2つの鏡像異性体についてシミュレートしたスペクトルと比較した。比較により、中間体20aがS鏡像異性体であり、中間体20bがR立体配置を有することが実証される。ほとんどの主なバンドによりこの説明が確認される。
【0173】
中間体20a、方法B
エチル[(3S)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
亜鉛トリフルオロメタンスルホナート(2.87g、7.91mmol)を、20℃でEtOH(150mL、HPLCグレード)中(2EまたはZ)−(7−クロロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタートのよく撹拌した溶液に追加した。結果として生じる混合物を真空にし、数回Nによりパージし、次いで、(+)−1,2−ビス(2,5s)−2,5−ジフェニルホスホラノールエタン(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート(0.51g、0.63mmol)を20℃で追加した。結果として生じる溶液を真空にし、再び数回Nによりパージした。次いで、反応液をH(15バールの圧力)下で16時間60℃で撹拌した。混合物を濃縮した。粗生成物を0%〜20%のPE中EtOAcによりシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋な産物画分を濃縮した。これによりオレンジ色の油として表題化合物(18.9g、93.6%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,CDCl)δ 1.28(3H,t),2.52(2H,d),3.78−3.85(1H,m),3.93(1H,dd),4.15−4.22(3H,m),4.44(1H,brs),6.50(1H,d),6.73(1H,dd),6.78(1H,d).
MS m/z 256(M+H)
【数7】
【0174】
中間体21
エチル{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
エチル(7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート(中間体20、0.67g、2.62mmol)、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(0.607g、3.14mmol)およびTEA(1.090mL、7.86mmol)をEtOAc(15mL)中で溶解した。次いで、T3P(EtOAc中50重量%、3.12mL、5.24mmol)を追加し、混合物を160℃で2時間マイクロ波反応装置中で加熱した。EtOAc(100mL)を追加し、混合物を、飽和水溶液NaHCO(100mL)、1M HCl(100mL)、および鹹水(100mL)により洗浄した。混合物はフェーズセパレーターを通過させることによって乾燥させた。減圧下での濃縮により、1.14gの油がもたらされ、これを、溶出液としてのヘプタン中12%〜100%のEtOAcの勾配を使用してシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥するまで濃縮することにより表題化合物(0.530g、46.9%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.26(t,3H),2.61(qd,2H),4.13−4.2(m,2H),4.30(dd,1H),4.48−4.55(m,1H),4.66(s,2H),4.95−5.24(m,1H),6.62−6.71(m,2H),6.89(d,1H),6.92−6.95(m,1H),7.03(dd,1H),7.11(d,1H),8.58(s,1H).
MS m/z 431(M+H)
【0175】
中間体21a
エチル{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
DIPEA(12.38mL、71.08mmol)およびT3P(酢酸ブチル中50%、30.2g、47.4mmol)を酢酸ブチル(60mL)中エチル[(3S)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体20a、6.06g、23.7mmol)および3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(5.418g、28.05mmol)の懸濁液に追加した。反応混合物を16時間117℃でアルミナブロック中で加熱した。反応混合物を室温まで冷却した。混合物をEtOAc(150mL)により希釈し、飽和水溶液NaCO(100+30mL)、クエン酸(1M、50mL)、HCl(1M、50mL)、および鹹水(100mL)により洗浄した。有機相を無水NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、赤色の泡状の油として粗生成物がもたらされた。残留物を、Biotage(登録商標)KP−SIL 340gカラムで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。7CVにわたるヘプタン中30%〜75%のEtOAcの勾配を移動相として使用した。産物は波長254/280nmでの検出を使用して収集した。表題化合物(7.62g、74.6%)が泡状の固体として得られた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 1.15−1.18(m,3H),2.51−2.55(m,2H),4.03−4.1(m,2H),4.34−4.41(m,2H),4.65(s,2H),4.86(t,1H),6.80(dd,1H),6.87(d,1H),6.94(d,1H),7.01−7.07(m,2H),7.08(d,1H),10.82(s,1H).
MS m/z 431.1(M+H)
【0176】
中間体21a、方法B
エチル{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
T3P(EtOAc中50%溶液、146g、230mmol)を、20℃でn−BuOAc(100mL)中エチル[(3S)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体20a、29.4g、115mmol)、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(22.7g、118mmol)、およびDIPEA(44.5g、345mmol)の溶液の中に追加した。結果として生じる混合物を24時間140℃で撹拌した。反応混合物を冷却し、EtOAc(500mL)により希釈した。結果として生じる混合物を、200mLの飽和炭酸水素ナトリウム、200mLの1Mクエン酸、および200mLの1M HClにより洗浄した。有機相を無水NaSOで脱水し、ろ過し、蒸発させて乾固させた。残留物をシリカゲルカラム上に加え、EtOAc/PE(1/10〜1/1)により溶出した。純粋な画分を真空中で濃縮させ、黄色固体として表題化合物(41g、83%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 1.17(3H,t),2.50−2.58(2H,m),3.99−4.12(2H,m),4.38(2H,s),4.65(2H,s),4.87(1H,t),6.78−6.99(3H,m),7.00−7.09(3H,m),10.81(1H,s).
MS m/z431(M+H)
【0177】
中間体21b
エチル{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
酢酸ブチル(9mL)中3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−カルボキシル酸(1.68g、8.6mmol)、DIPEA(4.1mL、23.5mmol)、およびエチル[(3R)−7−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体20b、2.0g、7.8mmol)の混合物を15分間外界で撹拌した。T3P(BuOAc中50%w/w、9.3mL、15.6mmol)を2分間追加した。追加の完了に際して、温度を50分間(2℃/分)120℃まで増加させる前に、結果として生じる混合物を外界温度で10分間撹拌した。40時間120℃で撹拌した後、反応混合物を20℃まで冷却し、水(20mL)を注意深く追加し、その後EtOAc(20mL)を追加した。外界温度で30分間撹拌した後、pHを、6% NaCO(水溶液、およそ20mL)により約10に調節した。pHが変化しなくなった時、相を分離した。有機相を、クエン酸(10%水溶液、2×20mL)、NaHCO(8%水溶液、20mL)、および鹹水(20mL)により洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、シリカの充填物を通してろ過し、溶液を濃縮して乾固させ、茶色がかった気泡として粗表題化合物(3.25g、0.622mmol、95%w/w、80%の収率)が得られた。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 1.27(t,3H),2.54−2.71(m,2H),4.17(qd,2H),4.31(dd,1H),4.53(dd,1H),4.66(s,2H),5.12(t,1H),6.66(dd,2H),6.90(d,1H),6.95(d,1H),7.04(dd,1H),7.12(d,1H),8.59(s,1H).
MS m/z 431.3(M+H)
【0178】
中間体22
{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
THF(2mL)中エチル{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体21、42mg、0.10mmol)およびLiOH(1M、0.146mL、0.15mmol)の混合物を2時間室温で撹拌した。LiOH(1M、0.070mL、0.07mmol)をさらに追加し、混合物を2時間撹拌した。HCl(1M、5mL)を追加し、水相をDCM(3×5mL)により抽出した。合わせた有機層を、フェーズセパレーターを通過させて乾燥させ、真空中で濃縮し、白色の固体として表題化合物(38.0mg、97%)がもたらされた。
MS m/z 403.1(M+H)
【0179】
中間体22a
{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
LiOH(1.40g、58.3mmol)を水(50mL)中で溶解し、THF(50mL)中(S)−エチル{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体21a、5.71g、11.7mmol)を追加した。反応混合物を75分間室温で撹拌し、EtOAc(150mL)を追加した。HCl(1M、100+50mL)および鹹水(50mL)により洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、ろ過後、溶媒を真空中で蒸発させ、粗製物である表題化合物(82mg、107%)が得られ、これを実施例5aの合成においてさらに使用した。
H NMRを、実施例5aの合成から回収した純粋な物質について得た。:H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.4−2.48(m,1H),2.51−2.56(m,1H),4.29−4.4(m,2H),4.65(s,2H),4.71−4.87(m,1H),6.81(dd,1H),6.93−7.03(m,2H),7.03−7.1(m,3H),10.84(s,1H),12.53(s,1H).
MS m/z 403.1(M+H)
【0180】
中間体23
tert−ブチル7−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
ジ−tert−ブチルジカーボネート(919mg、4.21mmol)およびDMAP(42.9mg、0.35mmol)を、THF(20mL)中7−ブロモ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン(800mg、3.51mmol)の溶液に追加した。2.5時間室温で撹拌した。EtOAc(100mL)を追加し、混合物をHCl(30mL、0.25M)、飽和水溶液NaCO(30mL)、および鹹水(30mL)により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、溶媒を蒸発させ、粗表題化合物がもたらされ、これを中間体24(1.16g、100%)の合成において直接使用した。
【0181】
中間体24
tert−ブチル7−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート
ステップ1.リチウムトリエチルヒドロボラート(THF中1M、4.23mL、4.23mmol)を−78℃でTHF(20mL)中tert−ブチル7−ブロモ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体23、1.16g、3.52mmol)の溶液に滴下した。混合物を1時間−78℃で撹拌し、その後、NaCO(飽和水溶液4mL)を追加し、混合物を約−20℃まで温めた。H(30%、4mL)を低温度を維持しながら滴下した。混合物を20分間約−10℃で撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、充填物をTHFにより洗浄した。EtOAc(50mL)を追加し、混合物を鹹水(20mL)により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗ヘミアミナールが黄色油として得られ、精製することなく使用した。
ステップ2.別のフラスコにおいて、LiHMDS(7.75mL、7.75mmol)を、5℃未満の温度を保ちながらTHF(8mL)中エチル2−(ジエトキシホスホリル)アセタート(1.55mL、7.75mmol)の溶液にゆっくりと追加した。混合物を30分間室温で撹拌し、次いで0℃まで冷却した。上記のステップ1の粗ヘミアミナールをTHF(10mL)中で溶解し、0℃で滴下した。氷浴を取り外し、反応液を2時間室温で撹拌した。EtOAc(70mL)を追加し、混合物を、飽和水溶液NaCO(2×30mL)、HCl(0.25M、20mL)、および鹹水により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残留物を、Biotage(登録商標)KP−SIL 50gカラムで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。6CVにわたるヘプタン中5%〜25%のEtOAcの勾配を移動相として使用した。産物は波長250/285nmでの検出を使用して収集した。表題化合物(0.556g、39.4%)が溶媒の除去の後に油として得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.26(t,3H),1.54(s,9H),2.48(dd,1H),2.58(dd,1H),4.08−4.20(m,3H),4.35(dd,1H),4.99(s,1H),7.02(dd,1H),7.05(d,1H),7.75(s,1H).
【0182】
中間体25
エチル(2Eまたは2Z)−(7−ブロモ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート
エチル4−クロロ−3−オキソブタノアート(45mL、333mmol)を室温でTHF(400mL)中2−アミノ−5−ブロモフェノール(55.7g、296mmol)の溶液に追加した。混合物を50℃まで加熱し、TEA(57mL、326mmol)を30分間ゆっくりと追加した。結果として生じる混合物を16時間この温度で撹拌した。混合物を水(500mL)で希釈し、EtOAc(500mL×3)により抽出した。合わせた有機相を鹹水(500mL×2)により洗浄し、無水NaSOで脱水し、ろ過し、蒸発によって濃縮した。残留物は、PE中1.25%〜2%のEtOAcの溶媒勾配を使用し、シリカクロマトグラフィーによって精製した。純粋な画分を蒸発させて乾固させ、淡黄色固体として表題化合物(47g、56%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,CDCl)δ 1.29(3H,t),4.18(2H,q),4.56(2H,s),4.70(1H,s),6.70(1H,d),7.02−7.06(2H,m),10.14(1H,brs).
MS m/z 298(M+H)
【0183】
中間体26
エチル(2E)−4−(5−ブロモ−2−ニトロフェノキシ)ブタ−2−エノエート
5−ブロモ−2−ニトロフェノール(10g、45.9mmol)およびKCO(8.24g、59.6mmol)を、NMP(81mL)(明るい赤色の懸濁液)中で懸濁し、4−ブロモクロトン酸エチル(10.26mL、59.63mmol)を室温で滴下した。反応液を一晩(20時間)室温で撹拌した。混合物を氷/水(500mL)の中に注ぎ、30分間撹拌した。沈殿物をろ過によって収集し、水(2×200mL)により洗浄し、10分間風乾させ、次いで、ヘプタン(200mL)により洗浄した。ヘプタン(200mL)をその固体に追加し、1時間撹拌した。固体をろ過し、ヘプタン(2×50mL)により洗浄し、真空中で乾燥させ、ベージュ色の固体がもたらされた。表題化合物(15.0g、99%)が得られ、さらに精製することなく使用した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.32(t,3H),4.24(q,2H),4.84(dd,2H),6.31(dt,1H),7.04(dt,1H),7.18−7.26(m,2H),7.80(d,1H).
MS m/z 298(M−H)
【0184】
中間体27、方法A
エチル(7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート
tert−ブチル7−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(中間体24、556mg、1.39mmol)をジオキサン(5.0mL、162.8mmol)中塩化水素中で溶解し、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAc(50mL)中で溶解し、飽和水溶液NaCO(30mL)および鹹水(20mL)により洗浄し、NaSOで脱水し、ろ過の後に蒸発させ、油として表題化合物(399mg、96%)がもたらされた。
MS m/z 300(M+H)
【0185】
中間体27、方法B
エチル(7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート
酢酸(125mL)中エチル(2E)−4−(5−フルオロ−2−ニトロフェノキシ)ブタ−2−エノエートの溶液(中間体26、15.0g、45.4mmol)を、窒素雰囲気下60℃(内部温度、70℃ドライバス)で鉄の粉(10.13g、181.5mmol)および酢酸(50mL、873.6mmol)のスラリーに滴下し、内部温度を追加の間70℃未満に保った。残存している反応物を酢酸(25mL)により洗い流した。反応混合物を1.5時間60℃で加熱した。温度を70℃(内部、80℃ドライバス)まで増加させ、さらに1.5時間撹拌した。反応混合物を一晩室温で冷却した。混合物をEtOAc(150mL)により希釈し、セライトを通してろ過し、EtOAc(2×100mL)により洗浄し、真空中で濃縮した。粗製物をEtOAc(200mL)中で溶解し、1Mクエン酸水溶液(2×100mL)により洗浄した。有機層を飽和水溶液NaCO(2×50mL)により洗浄した。有機層をクエン酸水溶液(50mL、0.5M)、飽和水溶液NaCO(50mL)、および鹹水(50mL)によりさらに洗浄した。有機層をフェーズセパレーターを通してろ過し、10分間シリカ(10g)により処理した。混合物をろ過し、シリカをEtOAc(2×50mL)により洗浄した。有機層を蒸発させ、濃褐色の油(11g)がもたらされた。残留物を、Biotage(登録商標)KP−SIL 340gカラムで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。5CVにわたるヘプタン中5%〜40%のEtOAcの勾配を移動相として使用した。産物を波長254/280nmを使用して収集した。表題化合物(10.4g、76%)が淡黄色の油として得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.78−3.87(m,1H),3.94(dd,1H),4.16−4.23(m,3H),4.47(s,1H),6.47(d,1H),6.88(dd,1H),6.93(d,1H).
MS m/z 300(M+H)
【0186】
中間体27aおよび27b
エチル[(3Rおよび3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
エチル2−(7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3−イル)アセタートの鏡像異性体(中間体27、13.73g、45.75mmol)を、120mL/分の流速および280nmでの検出、20℃EtOH/TEA 100/0.1の移動相でChiralPak ADカラム(20μm、250×50mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0187】
中間体27a、方法A
エチル[(3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
第1の溶出化合物を、収集し、蒸発させ、表題化合物(4.2g、30.6%、99.9% ee)が得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.78−3.86(m,1H),3.94(dd,1H),4.14−4.24(m,3H),4.47(s,1H),6.47(d,1H),6.87(dd,1H),6.93(d,1H).
【数8】
【0188】
中間体27b、方法A
エチル[(3R)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
第2の溶出化合物を、収集し、蒸発させ、表題化合物(6.6g、33.5%、99.4% ee)が得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.29(t,3H),2.53(d,2H),3.78−3.86(m,1H),3.94(dd,1H),4.14−4.24(m,3H),4.47(s,1H),6.47(d,1H),6.87(dd,1H),6.93(d,1H).
【数9】
【0189】
中間体27aおよび27bの絶対配置は、2つの鏡像異性体についてVCDを記録し、対応するメチルエステル(計算上の立体配座の数を低下させるため)について計算したものと比較することによって決定した。中間体27a(16.9mg)を170μL CDCl中で溶解した。中間体27b(14.9mg)を150μL CDCl中で溶解した。溶液を0.100mm BaF2セルに移し、VCDスペクトルは、デュアルソースおよびデュアル光弾性モジュレーターを備えたBioTools ChiralIR機器においてそれぞれ7時間で得た。解像度は4cm−1とした。低エネルギー配置についてのモンテカルロ分子力学調査を、2つの鏡像異性体、RおよびSのわずかに切り詰められた構造(メチルエステルをエチルエステルの代わりに使用した)について行なった。シミュレーションに使用した構造を図3に示す。Maestroグラフィカルインターフェース(Schroedinger Inc.)内のMacroModelを配座異性体についての出発座標を生成するために使用した。最も低エネルギーの配座異性体の5kcal/モル内のすべての配座異性体をGaussian09内の密度汎関数法(DFT)最小化のための出発点として使用した。最適化構造、調和振動頻度/強度、VCD旋光強度、およびSTPでの自由エネルギー(零点エネルギーを含む)をそれぞれの配座異性体について決定した。これらの計算において、関数B3LYPおよび基底6−31Gを使用した。それぞれの立体配座についての赤外スペクトルおよびVCDスペクトルのシミュレーションは、その計算したスペクトルにローレンツ曲線(12cm−1線幅)をフィットさせるために社内で作ったプログラムを使用して生成し、それによって、シミュレートしたスペクトルおよび実験のスペクトルの間の直接的な比較を可能にした。2つのサンプルの実験スペクトルを2つのメチルエステル鏡像異性体のシミュレートスペクトルと比較した。実験スペクトルおよびシミュレートスペクトル間の一致は十分であり、中間体27aは、S鏡像異性体として明確に帰属をつけることができ、中間体27bは、R異性体として帰属をつけることができる。
【0190】
中間体27a、方法A
エチル[(3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
実施例27(1.6g、5.3mmol)の鏡像異性体を、47mL/分(40g/mL)の流速および254nmでの検出、35℃85バール、CO中40%MeOHの移動相でChiralpak AD−H(5μm、250×20mm)を使用してキラル分離によって分離した。第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(277mg、17.3%、99.3% ee)。
H NMR(300MHz,CDOD)δ 1.27(3H,t),2.47−2.61(2H,m),3.73−3.80(1H,m),3.93(1H,dd),4.14−4.21(3H,m),6.53(1H,d),6.79−6.83(2H,m).
MS m/z 300(M+H)
【0191】
中間体27a、方法B
エチル[(3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
Zn(OTf)(2.4g、6.63mmol)をN雰囲気下室温でEtOH(HPLCグレード、500mL)中エチル(2Eまたは2Z)−(7−ブロモ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−イリデン)アセタート(中間体25、47.5g、160mmol)に追加した。混合物を真空にし、(S,S)[Ph−BPE Rh COD]BF(900mg、0.112mmol)を追加する前に窒素により数回充填し戻した。結果として生じる混合物を真空にし、水素により数回充填し戻した。混合物を水素(15バール)下で16時間60℃で撹拌した。外界温度まで冷却した後に、圧力をゆるめた。有機溶媒を蒸発によって除去した。粗生成物は、水(0.1% NHHCOを含有する)中10%〜60% MeCNの溶出液勾配を用いてフラッシュクロマトグラフィー(C18材料)によって精製した。純粋な画分をプールし、蒸発させて乾固させ、固体として表題化合物がもたらされた(44g、92%の収率、ee 100%(Chiralpak IC−3(0.46×10cm、3μm)を使用するSFC分析;溶出液、MeOH(0.15DEA)/CO 40/60))。
H NMR(300MHz,CDOD)δ 1.27(3H,t),2.47−2.61(2H,m),3.73−3.80(1H,m),3.93(1H,dd),4.14−4.21(3H,m),6.53(1H,d),6.79−6.83(2H,m).
MS m/z 300(M+H)
【0192】
中間体28
エチル{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート
TEA(0.737mL、5.32mmol)およびT3P(EtOAc中50重量%、2.372mL、3.99mmol)を、EtOAc(7mL)中エチル(7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル)アセタート(中間体27、399mg、1.33mmol)および3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(308mg、1.60mmol)の溶液に追加した。反応混合物を2時間150℃でマイクロ波反応装置中で加熱した。T3P(EtOAc中50重量%、1.2mL、2.02mmol)およびTEA(0.3mL、2.16mmol)をさらに追加し、混合物をさらに2時間150℃でマイクロ波反応装置中で加熱した。EtOAc(50mL)を追加し、混合物を飽和水溶液NaCO(2×30mL)、HCl(30mL、0、5M)、および鹹水により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、蒸発させた。化合物を、分取HPLC(Kromasil C8カラム(10μm 250×50 ID mm)、100mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中35〜75% ACNの勾配を使用、254/280nmでUV検出)によって精製した。表題化合物(366mg、58%)が溶媒の除去の後に真空中で得られた。
MS m/z 475(M+H)
【0193】
中間体28a、方法A
エチル2−[(3S)−7−ブロモ−4−(3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
250mL 3つ口フラスコにおいて、エチル[(3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体27a、4.2g、14.0mmol)および3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−カルボキシル酸(2.73g、14.1mmol)を酢酸ブチル(40mL)中で懸濁した。DIPEA(7.31mL、42.0mmol)を追加し、その後T3P(BuOAc中50%)(17.8g、28.0mmol)を追加した。反応液を、117℃(内部反応温度、ヒーティングブロックは135℃にセットした)で7時間アルミナブロック中で加熱した。反応液を一晩室温まで冷却した。粗反応液をEtOAc(150mL)により希釈し、飽和水溶液NaHCO(100+30mL)、1Mクエン酸水溶液(50mL)、1M HCl(50mL)、および鹹水(100mL)により洗浄し、無水NaSOで脱水し、ろ過し、濃縮し、赤色の泡状の油として粗生成物がもたらされた。残留物を、Biotage(登録商標)KP−SIL 340gカラムで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。5CVにわたるヘプタン中30%〜75%のEtOAcの勾配を移動相として使用した。産物を波長254/280nmを使用して収集した。表題化合物(4.23g、63.6%)が泡状の固体として得られた。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 1.27(t,3H),2.54−2.7(m,2H),4.14−4.22(m,2H),4.31(dd,1H),4.53(dd,1H),4.66(s,2H),5.12(s,1H),6.62(d,1H),6.80(dd,1H),6.90(d,1H),7.04(dd,1H),7.08−7.14(m,2H),8.51(s,1H).
MS m/z 475(M+H)
【0194】
中間体28a、方法B
エチル2−[(3S)−7−ブロモ−4−(3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート
DIPEA(46.4g、360mmol)を、室温で酢酸ブチル(100mL)中エチル[(3S)−7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体27a、36g、120mmol)、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−カルボキシル酸(28g、144mmol)、および2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスホリナン2,4,6−三酸化物(EtOAc中50%の溶液)(152.6g、240mmol)に追加した。結果として生じる懸濁液を2時間140℃で撹拌した。反応混合物をEtOAc(700mL)により希釈し、飽和NaHCO(500mL)、1M HCl(500mL)、および鹹水(500mL)により洗浄した。有機層を無水NaSOで脱水し、ろ過し、蒸発させ、粗生成物がもたらされた。残留物は、シリカクロマトグラフィー、PE中5%〜20%のEtOAcの溶出液の勾配によって精製した。純粋な画分を蒸発させて乾固させ、灰白色の固体として表題化合物(33g、58%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,CDC1)δ 1.26(3H,t),2.56−2.64(2H,m),4.16(2H,q),4.30(1H,dd),4.52(1H,d),4.66(2H,s),5.11(1H,t),6.61(1H,d),6.79(1H,dd),6.89(1H,d),7.03(1H,dd),7.11(2H,dd),8.90(1H,brs).
MS m/z 475(M+H)
【0195】
中間体29
{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
水(3mL)中で溶解したLiOH(55.3mg、2.31mmol)を、THF(6.0mL)中エチル{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体28、366mg、0.77mmol)の溶液に追加した。混合物を1.5時間室温で撹拌した。EtOAc(40mL)を追加し、その後、1M HCl(3.1mL、3.1mmol)および水(20mL)を追加した。相を分離し、有機層を鹹水(30mL)により洗浄し、NaSOで脱水し、蒸発させ、固体として粗表題化合物がもたらされた(372mg、108%)。
MS m/z 447(M+H)
【0196】
中間体29a
{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸
エチル2−[(3S)−7−ブロモ−4−(3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体28a、173mg、0.37mmol)をTHF(1.5mL)中で溶解した。水(1.50mL)中で溶解した水酸化リチウム(52.5mg、2.19mmol)を追加した。反応液をEtOAc(50mL)の追加の前に2時間室温で撹拌した。有機層をHCl(1M、30mL)および鹹水(30mL)により洗浄した。フェーズセパレーターを通して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。表題化合物(160mg、98%)が、未精製の状態で得られ、さらに精製することなく使用した。
MS m/z 447.0(M+H)
【0197】
実施例
実施例1
2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化8】
エチルクロロホルメート(0.038mL、0.39mmol)を、乾燥THF(8mL)中{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体5、132mg、0.36mmol)およびTEA(0.150mL、1.08mmol)の溶液に室温で追加した。数秒後、濁った沈殿物が形成された。30分後、水酸化アンモニウム溶液(1mL、26% NH)を追加し、撹拌を1時間継続した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(15mL)中で溶解し、フェーズセパレーターを使用して飽和水溶液NaHCO(10mL)により洗浄した。相が分離されたら、産物を有機相から沈殿させた。有機相を濃縮し、白色の固体として表題化合物(112mg、85%)がもたらされた。ごく一部の産物(30mg)を、分取HPLC(Sunfire C18カラム(5μm 150×19 ID mm)pH3の0.1M FA中5〜95% ACNの勾配を使用)によってさらに精製し、表題化合物がもたらされた(30mgの取り出したサンプルに基づいて16mg、53.3%)。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 2.34−2.47(m,2H),4.2−4.36(m,2H),4.66(s,2H),4.71−4.84(m,1H),6.72−6.78(m,1H),6.92−7.14(m,7H),7.42(s,1H),10.83(s,1H).
HRMS [C19175+]に対する計算値:368.1246;実測値:368.12438(M+H)
【0198】
実施例2、方法A
N−メチル−2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化9】
DMF(1mL)中{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体5、50mg、0.14mmol)、メタンアミン(0.339mL、0.68mmol、THF中2M溶液)、およびTEA(0.056mL、0.41mmol)の溶液を室温でT3P(EtOAc中50重量%、0.161mL、0.27mmol)により処理した。反応混合物を一晩室温で撹拌し、濃縮した。粗製物を分取HPLC(Xbridge C18カラム(5μm 150×19 ID mm)、HO/ACN/NH 95/5/0.2バッファー中5〜95% ACNの勾配)によって精製し、表題化合物(40.0mg、77%)がもたらされた。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 2.36−2.39(m,2H),2.55(d,3H),4.12−4.31(m,2H),4.64(s,2H),4.68−4.87(m,1H),6.73(t,1H),6.89−6.95(m,2H),6.97−7.02(m,2H),7.02−7.06(m,1H),7.07−7.1(m,1H),7.79−7.94(m,1H),10.81(s,1H).
HRMS [C2019+H]に対する計算値:382.1403;実測値:382.1413.
【0199】
実施例2、方法B
N−メチル−2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化10】
メチルアミン(375mL)を、室温でMeOH(750mL)中メチル−2−[4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体3、12.5g、32.7mmol)の溶液の中にゆっくりと追加した。結果として生じる混合物を16時間室温で撹拌した。有機溶媒を減圧下で蒸発によって除去した。粗生成物を再結晶化によってMeOHから精製し、白色の固体として表題化合物(12.0g、96%)がもたらされた。この材料を上記のように調製した3つバッチと組み合わせて、5.28g、10.68g、および12.5gの中間体3から5.0g、10.3g、および12.0gの表題化合物が得られた。合わせたバッチを40mLのMeOH中で懸濁し、30分間撹拌した。懸濁液をろ過し、固体を真空下で乾燥させ、35.7gの表題化合物が得られた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 2.39(2H,d),2.56(3H,d),4.25(2H,s),4.65(2H,s),4.77(1H,t),6.75(1H,ddd),6.91−7.10(6H,m),7.89(1H,q),10.78(1H,s).
MS m/z 382(M+H)
【0200】
実施例2、方法C
N−メチル−2−{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化11】
メチルアミン(370mL)を、室温でMeOH(640mL)中エチル{4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体4、10.7g、26.9mmol)の溶液の中にゆっくりと追加した。結果として生じる混合物を16時間室温で撹拌した。有機溶媒を減圧下で蒸発によって除去した。粗生成物をMeOHから再結晶化によって精製し、白色の粉末として表題化合物(10.3g、100%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 2.39(2H,d),2.56(3H,d),4.25(2H,s),4.66(2H,s),4.77(1H,t),6.75(1H,ddd),6.91−7.10(6H,m),7.89(1H,q),10.83(1H,s).
MS m/z 382(M+H)
【0201】
実施例2aおよび2b、方法D
N−メチル−2−{3Sおよび3R)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
実施例2の鏡像異性体(23mg、0.06mmol)を、80mL/分の流速および250nmでの検出、40℃150バール、CO中30%EtOHの移動相でReproSilカラム(8μm、250×30mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0202】
実施例2a、方法D
N−メチル−2−{3Sまたは3R)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化12】
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体1を得た(11mg、43.5%、99.4% ee)。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 2.35−2.59(m,2H),2.70(s,3H),4.31(dd,1H),4.39(d,1H),4.62(s,2H),5.03(t,1H),6.68(t,1H),6.82(d,1H),6.87−6.96(m,2H),6.97−7.03(m,1H),7.03−7.08(m,1H),7.11(dd,1H).
HRMS [C2019+H]に対する計算値:382.1403;実測値:382.1406.
【0203】
実施例2b、方法D
N−メチル−2−{3Sまたは3R)−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化13】
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(10mg、47.8%、99.7% ee)。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 2.42−2.59(m,2H),2.70(s,3H),4.31(dd,1H),4.39(dd,1H),4.62(s,2H),5.03(t,1H),6.63−6.71(m,1H),6.82(d,1H),6.88−6.97(m,2H),6.97−7.03(m,1H),7.06(d,1H),7.11(dd,1H).
HRMS [C2019+H]に対する計算値:382.1403;実測値:382.1387.
【0204】
実施例3
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化14】
{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体15、293mg、0.76mmol)をDCM(10mL)中で懸濁した。TEA(0.631mL、4.55mmol)およびPyBOP(520mg、1.00mmol)を追加した。アンモニアヒドロクロリド(0.162mL、4.55mmol)を追加し、反応液を一晩撹拌した。懸濁液をDCM、水、および3.8M HCl(aq)により希釈した。有機層を分離し、水層をDCMにより1回抽出した。合わせた有機層を飽和水溶液NaHCOおよび鹹水により1回洗浄し、フェーズセパレーターを通してろ過し、濃縮した。残った油を、分取HPLC(Kromasil C8カラム(10μm 250×50 ID mm)、100mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中10〜50% ACNの勾配を使用、227/254nmでUV検出)によって精製した。産物を含有する画分を合わせ、真空中で濃縮し、最後に凍結乾燥させ、白色の固体として表題化合物(165mg、56.5%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.37−2.41(m,2H),4.24−4.31(m,2H),4.65(s,2H),4.72−4.78(m,1H),6.65(td,1H),6.84(dd,1H),6.93−6.99(m,2H),7.05−7.14(m,3H),7.40(s,1H),10.83(s,1H).
MS m/z 386.5(M+H)
【0205】
実施例3aおよび3b
2−{(3Sおよび3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド)
実施例3の鏡像異性体(165mg、0.43mmol)を、80mL/分の流速および290nmでの検出、40℃175バール、CO中30%EtOHの移動相でChiralPak OJカラム(5μm、250×30mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0206】
実施例3a
2−{(3Sまたは3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド)
【化15】
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体1を得た(74mg、44.8%、99.9% ee)。
【数10】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 2.57(d,2H),4.23−4.32(m,1H),4.45(d,1H),4.58(s,2H),5.08(s,1H),6.38−6.54(m,2H),6.61−6.89(m,4H),6.96(dd,1H),7.19(d,1H),9.73(s,1H).
HRMS [C1916FN5+]に対する計算値:386.1152;実測値:386.1158(M+H)
【0207】
実施例3b
2−{(3Sまたは3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド)
【化16】
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(71mg、43.0%、99.7% ee)。
【数11】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 2.57(d,2H),4.25−4.32(m,1H),4.45(d,1H),4.59(s,2H),5.04−5.13(m,1H),6.37−6.49(m,2H),6.61−6.88(m,4H),6.97(d,1H),7.19(s,1H),9.68(s,1H).
HRMS [C1916FN+H]に対する計算値:386.1152;実測値:386.1157.
【0208】
実施例4
2−{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化17】
メタンアミン(THF中2M溶液、259μL、0.52mmol)を、室温でEtOAc(2mL)中{7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体15、40mg、0.10mmol)およびTEA(43μL、0.31mmol)の撹拌懸濁液に追加した。厚い白色の沈殿物が形成された。混合物へのT3P(EtOAc中50重量%、123μL、0.21mmol)の追加により透明で淡黄色の反応溶液がもたらされた。混合物を一晩室温で撹拌した。EtOAc(10mL)を追加し、混合物を飽和水溶液NaHCO(5mL)、HCl(1M、5mL)、および鹹水(5mL)により洗浄し、MgSOで脱水し、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(溶出液としてDCM中5%MeOHを使用)によって精製し、ACN/水(およそ5mL、1:4)中で溶解し、冷凍乾燥し、白色の固体として表題化合物(19mg、46%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.38(d,2H),2.56(d,3H),4.26(s,2H),4.65(s,2H),4.76(br t,1H),6.65(td,1H),6.83(dd,1H),6.96(d,1H),7.03−7.16(m,3H),7.87(q,1H),10.82(s,1H).
HRMS [C2018FN+H]に対する計算値:400.1309;実測値:400.1331.
【0209】
実施例4aおよび4b、方法A
2−{(3Sおよび3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
実施例4の鏡像異性体(103mg、0.26mmol)を、80g/分の流速および260nmでの検出、40℃175バール、CO中30%EtOH/DEA100/0.5の移動相でReproSilカラム(5μm、250×30mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0210】
実施例4a、方法A
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化18】
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体1を得た(33mg、32%、99.9% ee)。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.38(d,2H),2.56(d,3H),4.26(s,2H),4.65(s,2H),4.71−4.79(m,1H),6.62−6.68(m,1H),6.84(dd,1H),6.96(d,1H),7.03−7.09(m,2H),7.11(br m,1H),7.87(q,1H),10.81(s,1H).
HRMS [C2018FN+H]に対する計算値:400.1309;実測値:400.1312.
【0211】
実施例4b、方法A
2−{(3R)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化19】
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(26mg、25%、99.9% ee)。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.38(d,2H),2.56(d,3H),4.26(s,2H),4.65(s,2H),4.71−4.8(m,1H),6.65(td,1H),6.84(dd,1H),6.96(d,1H),7.07(d,2H),7.11(s,1H),7.87(q,1H),10.82(br s,1H).
HRMS [C2018FN+H]に対する計算値:400.1309;実測値:400.1297.
【0212】
実施例4a、方法B
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化20】
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.31−2.42(m,2H),2.55(d,3H),4.25(d,2H),4.64(s,2H),4.68−4.8(m,1H),6.64(td,1H),6.82(dd,1H),6.95(d,1H),7.04−7.07(m,2H),7.09(br s,1H),7.77−7.97(m,1H),10.80(s,1H).
HRMS [C2018FN+H]に対する計算値:400.1309;実測値:400.1294.
固体残留物はXRPDによって結晶性であることがわかった、また、典型的なディフラクトグラムを図1に示す。特徴的なピークの位置を下記に列挙する。XRPDパターン 2−シータ(°)5.6(s),7.4(vs),9.3(vs),13.5(vs),14.8(vs),15.8(vs),16.9(s),18.6(vs),22.3(vs),22.6(vs)。
【0213】
実施例4a、方法C
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化21】
3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(9.58g、48.0mmol)をn−酢酸ブチル(48mL)中で撹拌することにより懸濁した。酢酸エチル(52.5mL、87.5mmol、50.0%w/w)中のT3Pを追加し、その後DIPEA(3.82mL、21.9mmol)を追加した。結果として生じる懸濁液を一晩80℃で加熱した。2−[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]−N−メチルアセトアミド(中間体13、10.0g、43.7mmol)をおよそ90分間にわたって分けて追加し、次いで一晩80℃で保持した。水(100mL)を追加し、混合物を40℃で撹拌した。有機相を収集し、40℃で炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL、5.25%w/w)により洗浄した。有機相を10℃まで冷却し、一晩撹拌した。イソプロパノール(100mL)を追加し、固体をろ過によって収集し、40℃で真空下で乾燥させた。表題化合物が、灰白色の固体(9.29g、22.3mmol、95.7%w/w、ee 98.4%、50.9%の収率)として得られた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ ppm 2.40(d,2H)2.57(d,3H)4.27(s,2H)4.66(s,2H)4.71−4.83(m,1H)6.66(dt,1H)6.84(dd,1H)6.96(d,1H)7.04−7.19(m,3H)7.90(d,1H)10.86(s,1H).
LCMS(Agilent LC/MSD SL) [C2018FN+H+]に対する計算値:400.130;実測値:400.200。
【0214】
実施例4a、方法D
2−{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化22】
3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボキシル酸(2.219kg、11.44mol;99.6質量%)を100Lグラスライニング容器に装填し、その後トルエン(9L)を装填した。エチル[(3S)−7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体10a、2.970kg、10.39mol、83.7質量%)を装填し、混合物を20℃で撹拌した。次いで、2−MeTHF中T3Pの溶液(11.6L、20.8mol、55.7質量%)を5分以内に容器に装填した。トルエン(3.1L)、ピリジン(2.5L)、およびトルエン(3L)を装填し、結果として生じる混合物を20時間80℃で加熱し、次いで20℃まで冷却し、3日間保持した。混合物を50℃まで加熱し、水(15L)により洗浄した。有機相を保持し、分離した水相をトルエン(14.8L)により抽出した。組み合わせた有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(14.8L、11.3mol、6.00質量%)により洗浄し、次いで39〜50℃で水(15L)により洗浄した。有機相を21℃まで冷却し、ろ過して粒子を取り出し、少量の収集した固体をトルエン(3L)により洗浄した。次いで、ろ液を減圧蒸留によって4相対容量まで濃縮し、トルエン中エチル{(3S)−7−フルオロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタートの溶液を得た。有機相をもう一度ろ過し、エタノール(13L、104mol、33.3質量%)中メチルアミン(33%w/w)の溶液を追加し、混合物を3日間20℃で撹拌した。混合物を減圧下で蒸発させて乾固させ、次いで2−プロパノール(5L)により処理し、再度蒸発させた。2−プロパノール処理をもう一度繰り返した;10Ltを100Lt容器をすすぐために使用し、これをロータリーエバポレーター容器中の収集した産物に追加し、混合物を蒸発させて乾固させた。収集した固体を減圧(10mBar)下で真空オーブン中でさらに乾燥させた。乾燥させた固体(3.985Kg)をきれいな乾燥容器に装填し、その後2−プロパノール(24.5L)を装填し、混合物を撹拌し、80℃まで加熱し、2時間80℃で保持し、次いで10℃まで冷却し、4日間10〜11℃で保持し、次いでろ過した。産物ケーキを2−プロパノール(5L)により洗浄し、次いで45℃で真空オーブン中で乾燥させ、表題産物(3.636Kg;99.4%w/wアッセイ、87.1%の収率)がもたらされた。
【0215】
実施例5a
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化23】
PyBOP(127mg、0.24mmol)およびTEA(0.141mL、1.02mmol)をDCM(2mL)中{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体22a、82mg、0.20mmol)の溶液に追加した。その後、NHCl(43.6mg、0.81mmol)を追加し、混合物を1.5時間室温で撹拌した。EtOAc(30mL)を追加し、混合物を飽和水溶液NaCO(30mL)、HCl(0.5M、20mL)、および鹹水(20mL)により洗浄した。産物を分取HPLC(Phenomenex Luna Hilicカラム(5μm 250×30 IDmm)40℃で6分間にわたってCO、120バール中10〜45% MeOH/DEA 100/0.5の勾配を使用)によって精製し、表題化合物(42.0mg、51.3%)がもたらされた。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 2.35−2.41(m,2H),4.29(d,2H),4.65(s,2H),4.76(s,1H),6.83(dd,1H),6.93−7.01(m,2H),7.01−7.12(m,4H),7.39(s,1H),10.83(s,1H).
HRMS [C1916ClN+H]に対する計算値:402.0857;実測値:402.0840.
【0216】
実施例5b
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化24】
エチル{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体21b、2.00g、4.64mmol)をアンモニア(MeOH中7M)(49.7mL、348.2mmol)中で溶解し、密閉し、45時間室温で撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物(616mgの粗茶色の油)をDMSOおよびMeOH中で溶解した。化合物を、100mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中10〜50% ACNの勾配を使用して、Kromasil C8カラム(10μm 250×50 ID mm)で分取HPLCによって精製した。化合物を253/280nmでUVによって検出した。純粋な画分をプールし、ほとんどのACNを蒸発させた。残留物をEtOAcおよび水の間で分配した。合わせた有機相を真空中で濃縮した。DMSO/ACNおよび水を追加し、沈殿物が観察された。溶媒を真空中で除去し、水を残留物に追加し、一晩室温で撹拌し、ろ過し、LCMSに従って、純粋な表題化合物がもたらされた。511mgのオフホワイトの固体が単離された、収率27.4%。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 2.35−2.42(m,2H),4.29(s,2H),4.65(s,2H),4.77(d,1H),6.82(dd,1H),6.96(t,2H),7.02−7.12(m,4H),7.39(s,1H),10.83(s,1H).
HRMS(ESI+)m/z [C1916ClN+H]に対する計算値:402.0857,実測値402.0864.
【0217】
実施例6、方法A
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化25】
EtOH中MeOH(5mL)および33%溶液のメタンアミン(15mL、0.91mmol)の混合物中エチル{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体21、0.39g、0.91mmol)のスラリーを一晩室温で撹拌し、アミドへの完全な変換がもたらされた。反応混合物を減圧下で濃縮し、白色の固体として表題化合物(0.370g、98%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.28−2.41(m,2H),2.56(d,3H),4.21−4.3(m,2H),4.64(s,2H),4.76(t,1H),6.82(dd,1H),6.95(d,1H),7−7.1(m,4H),7.66−7.93(m,1H),10.82(s,1H).
MS m/z 416(M+H)
【0218】
実施例6、方法B
2−{7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化26】
EtOAc(2mL)中2−(7−クロロ−4−(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−カルボニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3−イル)酢酸(中間体22、38mg、0.09mmol)、メタンアミン(0.236mL、0.47mmol)(THF中2M溶液)、およびTEA(0.039mL、0.28mmol)の混合物を室温でT3P(EtOAc中50重量%、0.112mL、0.19mmol)により処理した。反応混合物を一晩室温で撹拌し、濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(Kromasil C8カラム(10μm 250×20 ID mm)、19mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中20〜60% ACNの勾配を使用、240nmでUV検出)によって精製した。凍結乾燥により、白色の粉末として表題化合物(24mg、61%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.34−2.4(m,2H),2.54(d,3H),4.21−4.32(m,2H),4.64(s,2H),4.76(t,1H),6.82(dd,1H),6.95(d,1H),7.01−7.1(m,4H),7.78−7.97(m,1H),10.82(s,1H).
HRMS [C2018ClN+H]に対する計算値:416.1013;実測値:416.1007.
【0219】
実施例6aおよび6b、方法A
2−{(3Sおよび3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
実施例6の鏡像異性体(0.45g、1.08mmol)を、120mL/分の流速および254nmでの検出、40℃120バール、CO中30%iPrOHの移動相でChiralPak ADカラム(5μm、250×30mm)を使用してキラル分離によって分離した。
【0220】
実施例6a、方法A
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化27】
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体1を得た(215mg、48%、99.9% ee)。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 2.42−2.52(m,2H),2.70(s,3H),4.31(dd,1H),4.39(dd,1H),4.62(s,2H),5.01(t,1H),6.65−6.76 dd,1H),6.81−6.92(m,1H),6.92−6.98(m,2H),7.06(d,1H),7.11(dd,1H).
HRMS [C2018ClN+H]に対する計算値:416.1013;実測値:416.1026.
【0221】
実施例6b、方法A
2−{(3R)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化28】
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(198mg、44%、97.3% ee)。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 2.30−2.57(m,2H),2.71(s,3H),4.32(dd,1H),4.40(dd,1H),4.64(s,2H),5.02(t,1H),6.72(dd,1H),6.83−6.93(m,1H),6.95−7.00(m,2H),7.07(d,1H),7.13(dd,1H).
HRMS [C2018ClN+H]に対する計算値:416.1013;実測値:416.1024.
【0222】
実施例6a、方法B
2−{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化29】
MEA(EtOH中30%溶液、175g、1.86mol)を、MeOH(100mL)中エチル{(3S)−7−クロロ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセタート(中間体21a、40g、92.8mmol)の溶液の中に追加した。結果として生じる溶液を24時間室温で撹拌した。結果として生じる混合物を蒸発によって濃縮した。粗生成物をACN(300mL)から再結晶化によって精製し、白色の固体として表題化合物(32.7g、85%の収率、ee 100%)がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 2.38(2H,d),2.56(3H,d),4.23−4.31(2H,m),4.65(2H,s),4.77(1H,t),6.82(1H,dd),6.95(1H,d),7.03−7.09(4H,m),7.86(1H,q),10.71(1H,s).
HRMS m/z [C2018ClN+H]に対する計算値:416.1013,実測値416.0991.
【0223】
実施例7
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}アセトアミド
【化30】
{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体29a、160mg、0.36mmol)をDCM(3mL)中で溶解した。PyBOP(223mg、0.43mmol)およびTEA(0.248mL、1.79mmol)を追加し、その後、NHCl(77mg、1.43mmol)を追加した。混合物を週末にわたって室温で撹拌した。EtOAc(40mL)を追加した。飽和水溶液NaCO(2×30mL)、HCl(0.5M、20mL)、および鹹水(20mL)により洗浄した。フェーズセパレーターを通して乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残留物は、SFC2−MSシステムを使用し、Waters Viridis 2−EPカラム5μ 30×250mmでMeOHにより溶出することによって精製した。均一な画分のプールおよび真空中での溶媒の除去により表題化合物(46.1mg、28.9%)がもたらされた。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 2.31−2.45(m,2H),4.29(d,2H),4.65(s,2H),4.76(s,1H),6.9−7.04(m,4H),7.08(d,2H),7.17(d,1H),7.40(s,1H),10.83(s,1H).
HRMS(ESI+)m/z [C1916+H]に対する計算値:446.0352,実測値446.0346.
【0224】
実施例8
2−{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化31】
TEA(0.461mL、3.33mmol)およびT3P(EtOAc中50重量%、0.989mL、1.66mmol)を、EtOAc(5mL)中{7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}酢酸(中間体29、372mg、0.83mmol)の溶液に追加した。混合物を5分間撹拌した。THF中メタンアミン(1.248mL、2.50mmol)を追加し、混合物を2時間室温で撹拌した。EtOAc(50mL)を追加し、混合物をNaCO(40mL)、HCl(1M、30mL)、および鹹水(30mL)により洗浄し、フェーズセパレーターを通して乾燥させ、蒸発させた。化合物を、分取HPLC(Kromasil C8カラム(10μm 250×50 ID mm)、100mL/分の流速で20分間にわたってHO/ACN/FA 95/5/0.2バッファー中15〜55% ACNの勾配を使用、254/280nmでUV検出)によって精製して、白色の固体として表題化合物(215mg、56%)がもたらされた。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ 2.35−2.42(m,2H),2.56(d,3H),4.21−4.32(m,2H),4.65(s,2H),4.78(t,1H),6.89−7.04(m,3H),7.04−7.14(m,2H),7.16(d,1H),7.87(d,1H),10.83(s,1H).
HRMS [C2018BrN+H]に対する計算値:460.0508;実測値:460.0506.
【0225】
実施例8aおよび8b、方法A
2−{(3Sおよび3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
実施例8の鏡像異性体(132mg、0.29mmol)を、80mL/分の流速および254nmでの検出、40℃で150バール、CO中15%MeOHの移動相でChiralPak OJカラム(5μm、250×30mm)を使用してキラル分離によって分離した。産物をt−BuOHから凍結乾燥した。
【0226】
実施例8a、方法A
2−{(3R)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化32】
第1の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体1を得た(53.7mg、40.7%、97.2% ee)。
【数12】
HRMS [C2018BrN+H]に対する計算値:460.0508;実測値:460.0522.
【0227】
実施例8b、方法A
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化33】
第2の溶出化合物を収集し、蒸発させ、表題化合物の異性体2を得た(53.1mg、40.2%、98.9% ee)。
【数13】
HRMS [C2018BrN5+]に対する計算値:460.0508;実測値:460.0535.
【0228】
実施例8b、方法B
2−{(3S)−7−ブロモ−4−[(3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)カルボニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル}−N−メチルアセトアミド
【化34】
MEA(EtOH中33%溶液)(53.6g、570mmol)を室温でMeOH(94mL)中エチル2−[(3S)−7−ブロモ−4−(3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボニル)−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジン−3−イル]アセタート(中間体28a、18.8g、39.6mmol)に追加した。結果として生じる溶液を15時間25℃で撹拌した。溶媒を真空中で除去した。粗生成物をMeCN/MeOH(20:1)から再結晶によって精製し、白色の固体として表題化合物(12.5g、69%の収率、ee 100%)がもたらされた。このバッチを上記のように調製した3つのバッチと合わせ、これにより、それぞれ5.0g、16.6g、および17.0gの出発物質から4.2g、17g、および11.5gの表題化合物を得た。プールした表題化合物をACN/MeOHから再結晶して、35.09gの表題化合物がもたらされた。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 2.38(2H,d),2.56(3H,d),4.27(2H,s),4.66(2H,s),4.77(1H,t),6.92−7.02(3H,m),7.06−7.09(2H,m),7.16(1H,d),7.87(1H,q),10.83(1H,s).
HRMS(ESI+)m/z [C2018BrN+H]に対する計算値:460.0508,実測値460.0500.
【0229】
薬理活性
下記の試験手順が用いられてもよい。
【0230】
鉱質コルチコイド結合、試験A
ヒトMR LBDへの結合を同定するために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を384ウェルフォーマットに適合させた。MR−LBD(アミノ酸T729〜K985)を、組換えMBP−MR LBDおよびP23バキュロウイルスによる同時感染によってHi5昆虫細胞中でマルトース結合タンパク質とのN−末端融合物として発現させ、粗タンパク質溶解物をアッセイにおいて使用した。トリチウム化アルドステロンを、MR LBDに結合することによってシンチレーション(SPA)ビーズの近くに来た時にシンチレーションシグナルを生成するためのリガンドとして使用し、試験化合物の親和性(IC50値)は、MR LBDへのトリチウム化アルドステロンの結合を50%減少させる濃度として定義する。
【0231】
手短かに言えば、試験A1において、アッセイは、室温で、10mM Tris−HCl、pH7.5、0.5mM EDTA 20mM NaMoO、0.1mM DTT、および10%グリセロール中で384ウェルフォーマットにおいて実行した。化合物は、10nM〜10μM(試験A1)または1nM〜37μM(試験A2)の範囲にわたる7(試験A1)または10(試験A2)の濃度反応曲線で試験した。化合物を、384ウェルPE Opti−Plateのウェルの底に配置し、2%のアッセイの最終DMSO濃度を得た。あらかじめ作製したMBP−MR/P23溶解物:Hアルドステロン混合物(最終アッセイ濃度7μg/mL MBP−MR LBD/P23溶解物;5nMアルドステロン)を配置した化合物の上部に追加し、RTで1時間プレインキュベートした。1時間後、ウサギ抗MBPとつながれた等量の抗ウサギSPAビーズ(試験A1)または画像化ビーズ(試験A2)をアッセイ混合物に追加し、室温で3時間(試験A1)または>8時間(試験A2)インキュベートした。試験化合物による結合したHアルドステロンの置換によるシンチレーションシグナルの阻害をMicrobeta Trilux(Wallac)を使用するシンチレーション測定によって(試験A1)またはLEADseeker(PerkinElmer)を使用するCCDカメラ検出(試験A2)によって測定する。
【0232】
鉱質コルチコイド細胞レポーター遺伝子アッセイ、試験B
化合物の効力および効能について試験するために、新たに解凍した一組の凍結保存UAS−MR−bla HEK293細胞(Invitrogen、K1696)の25000細胞を、Multidropを使用して384ウェルプレート中のそれぞれのウェルに追加した。細胞を、細胞と共に含まれるInvitrogenプロトコールに従って、2%チャコール処理済みウシ胎児血清(charcoal stripped fetal bovine serum)(Invitrogen 12676−029)、ペニシリン/ストレプトマイシン、非必須アミノ酸、およびピルビン酸ナトリウムを含有するフェノールレッド(Invitrogen 21063−029)なしの30μl DMEM中で成長させた。播種に際して、プレートを4時間37℃5%COでインキュベートし、細胞を接着させた。典型的に10の濃度(10μM〜0.5nM最終濃度)にわたるDMSO中化合物希釈液シリーズを含有するプレートから、ウェル当たり0.6μL化合物をBeckman FXピペッターを使用して追加した。プレートを、アルドステロンの追加前に30分間インキュベートし、0.25nM(試験B1)または1nM(試験B2)の最終濃度にした。16〜20時間のインキュベーション後に、ベータ−ラクタマーゼ活性を、細胞と共に含まれるInvitrogenプロトコールに従って調製した基質バッファーを含有する8μLのCCF4の追加によって判断した。ボトムリーディングならびに409nmでの励起ならびに460および530nmでの発光収集にセットしたフィルターを有するPherastar FSで蛍光を測定する前にプレートを暗中で2時間そのままにした。バックグラウンドを差し引いた後に、460/530比をそれぞれのアッセイポイントについて計算し、3つの並行するアッセイプレートから平均した。0%阻害は、アルドステロンのみを含有するウェルによって定義し、100%阻害は、120nMスピロノラクトンを含有するウェルによって定義した。
【0233】
試験化合物の濃度および活性化パーセントは、S字形用量−応答モデルを使用してフィットさせ、EC50は、用量−応答曲線の中間点の試験化合物の濃度として決定する。方程式:fit=(A+((B−A)/(1+((C/x)^D))))式中、A=曲線下部、B=曲線上部、C=EC50、D=傾き(Hill係数)、およびx=試験化合物の濃度。
【0234】
結果
実施例の化合物は、上記に記載されるように試験A1およびA2ならびにB1およびB2で試験した。下記の表は、実施例についての結果を示す。
【0235】
【表5】
図1