【実施例】
【0025】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0026】
実施例1
平均粒子径5μm、平均細孔径12nm、比表面積300m
2/gの多孔質シリカゲル10gをトルエン50mLに分散させ、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランを8g添加後、還流するまで加温し6時間反応させた。室温に冷却後、反応後のシリカゲルをろ過、洗浄し、減圧乾燥して下記一般式で表されるシラン官能基で表面修飾されたシリカゲルをクロマトグラフィー用分離剤として得た。
【化2】
【0027】
得られた分離剤を元素分析したところ、C:11.69%、H:1.60%、N:2.17%であった。
【0028】
比較例1
平均粒子径5μm、平均細孔径12nm、比表面積300m
2/gの多孔質シリカゲル10gをトルエン50mLに分散させ、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを11g添加後、還流するまで加温し6時間反応させた。室温に冷却後、反応後のシリカゲルをろ過、洗浄し、減圧乾燥して下記一般式で表されるシラン官能基で表面修飾されたシリカゲルをクロマトグラフィー用分離剤として得た。
【化3】
【0029】
得られた分離剤を元素分析したところ、C:4.53%、H:0.56%、N:0.57%であった。
【0030】
HILICモードにおけるクロマトグラフィー性能の評価
実施例1で得られた分離剤をステンレス製のカラム本体(カラム長:100mm、カラム内径:4.6mm)に充填して、クロマトグラフィーカラムを得た。このクロマトグラフィーカラムに対して、HILICモードにおけるクロマトグラフィー性能の評価を、非特許文献1(Yuusuke Kawachi, et al., "Chromatographic characterization of hydrophilic interaction liquid chromatography stationary phases: Hydrophilicity, charge effects, structural selectivity, and separation efficiency", Journal of Chromatography A. 1218 (2011) pp.5903-5919、この文献は参照により本明細書に組み込まれる)に開示される評価手法に準じた手順で、様々なサンプルに対して行った。また、比較のため、比較例1で得られた分離剤を用いて上記と同様にして作製したクロマトグラフィーカラムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
【0031】
なお、各サンプルの測定において、分離係数αを以下の通り算出した。先ず、サンプル注入時を0として、各サンプルに含まれるトルエン(これは分離剤に保持されない化合物である)の検出時間をt
0とする。そして、トルエンの次に検出されることになる化合物(以下、第1化合物という)の検出時間をt
1と、第1化合物の次に検出されることになる化合物(以下、第2化合物という)の検出時間t
2とする。そして、第1化合物のキャパシティファクターk
1をk
1=(t
1−t
0)/t
0の式に従い算出する一方、第2化合物のキャパシティファクターk
2をk
2=(t
2−t
0)/t
0の式に従い算出する。最後に、分離係数αをα=k
2/k
1の式により算出する。したがって、この分離係数αの値が大きいほど、第1化合物と第2化合物との分離性能が高いといえる。
【0032】
(1)保持力及びOH選択性の評価(HILICモード)
サンプル1として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化4】
【0033】
サンプル1においてトルエンはHILICモードにおいて分離剤に保持されない化合物であり、それ故、他の化合物に対する分離剤の保持力の程度を評価するための参照指標となる(後述するサンプル2〜8においても同様の理由からトルエンが含まれている)。サンプル1において、2’−デオキシウリジン(2dU)とウリジン(U)は互いに極めて類似した化学構造を有しており、上記化学式中において丸で囲まれた部分が−H基であるか−OH基であるかにおいてのみ相違する。したがって、サンプル1に対する分離性能を評価することで、Uの保持時間から水素結合性の強さを示す保持力を評価することができ、α(U/2dU)の値によってOH基の有無の違いを示すOH選択性を評価することができる。
【0034】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル1に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル1:トルエン1.0mg/mL、2’−デオキシウリジン(2dU)0.1mg/mL、及びウリジン(U)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ 流速:0.5mL/min
‐ サンプル注入量:4.0μL
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1におけるサンプル1のクロマトグラムを
図1Aに示す一方、比較例1によるサンプル1のクロマトグラムを
図1Bに示す。表1から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、Uの保持力は極めて大きいだけでなく、α(U/2dU)の値によって示されるOH選択性も極めて高かった。Uの保持力が大きかった原因として実施例1の分離剤は2種類のアミンを有するため水素結合が強かったためと解される。また、実施例1の分離剤はアミン以外にベンゼン環を有し多様な相互作用が存在するため分離にも寄与したと考えられる。
【0037】
(2)CH
3選択性の評価(HILICモード)
サンプル2として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化5】
【0038】
サンプル2において、5−メチルウリジン(5MU)とウリジン(U)は互いに極めて類似した化学構造を有しており、上記化学式中において丸で囲まれた部分における−CH
3基の有無においてのみ相違する。したがって、サンプル2に対する分離性能を評価することで、CH
3選択性を評価することができる。
【0039】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル2に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル2:トルエン1.0mg/mL、5−メチルウリジン(5MU)0.1mg/mL、及びウリジン(U)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1におけるサンプル2のクロマトグラムを
図2Aに示す一方、比較例1によるサンプル2のクロマトグラムを
図2Bに示す。表2から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(U/5MU)の値によって示されるCH
3選択性は高かった。
【0042】
(3)立体配置選択性の評価(HILICモード)
サンプル3として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化6】
【0043】
サンプル3において、アデノシン(A)とビダラビン(V)は互いに極めて類似した化学構造を有しており、上記化学式中において丸で囲まれた部分の立体配置においてのみ相違する。したがって、サンプル3に対する分離性能を評価することで、立体配置選択性を評価することができる。
【0044】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル3に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル3:トルエン1.0mg/mL、アデノシン(A)0.1mg/mL、及びビダラビン(V)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0045】
【表3】
【0046】
実施例1におけるサンプル3のクロマトグラムを
図3Aに示す一方、比較例1によるサンプル3のクロマトグラムを
図3Bに示す。表3から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(V/A)の値によって示される立体配置選択性は同等であった。
【0047】
(4)位置異性体選択性の評価(HILICモード)
サンプル4として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化7】
【0048】
サンプル4において、3’−デオキシグアノシン(3dG)及び2’−デオキシグアノシン(2dG)は互いに極めて類似した化学構造を有しており、上記化学式中において丸で囲まれた部分の比較から分かるように、両者は位置異性体である。したがって、サンプル4に対する分離性能を評価することで、位置異性体選択性を評価することができる。
【0049】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル4に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル:トルエン1.0mg/mL、3’−デオキシグアノシン(3dG)0.1mg/mL、及び2’−デオキシグアノシン(2dG)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0050】
【表4】
【0051】
実施例1におけるサンプル4のクロマトグラムを
図4Aに示す一方、比較例1によるサンプル4のクロマトグラムを
図4Bに示す。表4から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(2dG/3dG)の値によって示される位置異性体選択性は同等であった。
【0052】
(5)分子形状選択性の評価(HILICモード)
サンプル5として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化8】
【0053】
サンプル5において、4−ニトロフェニルβ−D−グルコピラノシド(NPβGlu)及び4−ニトロフェニルα−D−グルコピラノシド(NPαGlu)は互いに極めて類似した化学構造を有しており、上記化学式中において丸で囲まれた部分の置換基の向き、すなわちアキシアル位又はエクアトリアル位に4−ニトロフェノキシ基が結合していることのみ相違する。したがって、サンプル5に対する分離性能を評価することで、分子形状選択性を評価することができる。
【0054】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル5に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル5:トルエン1.0mg/mL、4−ニトロフェニルβ−D−グルコピラノシド(NPβGlu)0.1mg/mL、及び4−ニトロフェニルα−D−グルコピラノシド(NPαGlu)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0055】
【表5】
【0056】
実施例1におけるサンプル5のクロマトグラムを
図5Aに示す一方、比較例1によるサンプル5のクロマトグラムを
図5Bに示す。表5から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(NPαGlu/NPβGlu)の値によって示される分子形状選択性は同等であった。
【0057】
(6)アニオン交換性の評価(HILICモード)
サンプル6として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化9】
【0058】
サンプル6において、ウリジン(U)とは異なり、p−トルエンスルホン酸ナトリウム(SPTS)はカチオン性が高い化合物であり、アニオン交換によって分離剤に保持される傾向を有する化合物である。したがって、サンプル6に対する分離性能を評価することで、アニオン交換性を評価することができる。
【0059】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル6に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル6:トルエン1.0mg/mL、ウリジン(U)0.1mg/mL、及びp−トルエンスルホン酸ナトリウム(SPTS)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0060】
【表6】
【0061】
実施例1におけるサンプル6のクロマトグラムを
図6Aに示す一方、比較例1によるサンプル6のクロマトグラムを
図6Bに示す。表6から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(SPTS/U)の値によって示されるアニオン交換性は極めて高かった。特に、実施例1の分離剤が有する第2級アミンは第1級アミンや第3級アミンと比べて一般的に水溶液中の塩基性が最も強いとされており(すなわちNH
3<(CH
3)
3N<CH
3NH
2<(CH
3)
2NHの順に塩基性が強い)、これが高いアニオン交換性に寄与したものと解される。
【0062】
(7)カチオン交換性の評価(HILICモード)
サンプル7として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化10】
【0063】
サンプル7において、ウリジン(U)とは異なり、N,N,N−トリメチルフェニルアンモニウムクロリド(TMPAC)はアニオン性が高い化合物であり、カチオン交換によって分離剤に保持される傾向を有する化合物である。したがって、サンプル7に対する分離性能を評価することで、カチオン交換性を評価することができる。
【0064】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル7に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル7:トルエン1.0mg/mL、ウリジン(U)0.1mg/mL、及びN,N,N−トリメチルフェニルアンモニウムクロリド(TMPAC)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0065】
【表7】
【0066】
実施例1におけるサンプル7のクロマトグラムを
図7Aに示す一方、比較例1によるサンプル7のクロマトグラムを
図7Bに示す。
図7A、
図7B及び表7から明らかなように、実施例1による分離剤を用いた場合、アニオン性の高い化合物であるTMPACの保持時間は参照指標のトルエンの保持時間とほぼ同様であり、TMPACは分離剤に全く保持されないことが分かる。すなわち、本発明の分離剤はカチオン交換性を有しないことが分かる。
【0067】
(8)固定相表面pH効果(HILICモード)
サンプル8として、以下に示される3種類の化合物の混合物を用意した。
【化11】
【0068】
サンプル8において、テオフィリン(Tp)及びテオブロミン(Tb)は−CH
3基の位置が異なることよりpKaが異なる。塩基性固定相はTbからTpの順で溶出し、α(Tp/Tb)の値によって固定相表面pH効果を評価した。
【0069】
クロマトグラフィーカラムを用いて、サンプル8に対するクロマトグラフィーを以下の分析条件で行った。
‐ サンプル:トルエン1.0mg/mL、テオフィリン(Tp)0.1mg/mL、及びテオブロミン(Tb)0.1mg/mL
‐ 移動相:20mM CH
3CO
2NH
4(pH4.7)/CH
3CN=10/90
‐ 温度:30℃
‐ 検出:UV254nm
‐ サンプル注入量:4.0μL
‐ 流速:0.5mL/min
【0070】
【表8】
【0071】
実施例1におけるサンプル8のクロマトグラムを
図8Aに示す一方、比較例1によるサンプル1のクロマトグラムを
図8Bに示す。表8から明らかなように、実施例1による分離剤を用いることで、α(Tp/Tb)の値によって示される分離性能は極めて大きかった。すなわち、本発明の分離剤は塩基性固定相として極めて高い分離性能を有することが分かる。
【0072】
参考のため、非特許文献1において評価結果が開示されている、以下に列挙される市販の分離剤における値(すなわちTpk、Tbk及びα(Tp/Tb))を実施例1及び比較例1の値と並べて
図9及び表9に示す。
‐ ZIC−HILIC(3.5μm,5μm,150×4.6mm.I.D)[Merck],Nucleodur HILIC(3μm,150×4.6mm.I.D)[NAGEL]
‐ Xbridge Amide(3.5μm,150×4.6mm.I.D[Waters]
‐ Amide−80(3μm,5μm,150×4.6mm.I.D)[Tosoh]
‐ PolySULFOETHYL A(3μm,100×2.1mm.I.D)[PolyLC]
‐ PolyHYDROXYETHYL A(3μm,100×2.1mm.I.D)[PolyLC]
‐ CYCLOBOND I 2000(5μm,250×4.6mm.I.D.)[Astec]
‐ LiChrospher Diol(5μm,100×4.6mm.I.D)[Merck]
‐ Chromolith Si(100×4.6mm.I.D)[Merck]
‐ Halo HILIC(2.7μm,150×4.6mm.I.D)[AMT]
‐ COSMOSIL HILIC(5μm,150×4.6mm.I.D)[Nacalai]
‐ Sugar−D(5μm,150×4.6mm.I.D)[Nacalai]
‐ NH
2−MS(5μm,150×4.6mm.I.D)[Nacalai]
【0073】
なお、
図9に示されるTpk、Tbk及びα(Tp/Tb)の意味は以下のとおりである。
‐ Tpk:テオフィリン(Tp)のキャパシティファクター
‐ Tbk:テオブロミン(Tb)のキャパシティファクター
‐ α(Tp/Tb):Tpを第2化合物、Tbを第1化合物とした場合の分離係数
【0074】
【表9】
【0075】
図9に示される結果から明らかなように実施例1の分離剤にあっては、比較例1やその他の市販の分離剤と比較して、顕著に高い分離性能(すなわちα(Tp/Tb)=2.40)を示すことが分かる。すなわち、実施例1におけるα(Tp/Tb)=2.40の値は非特許文献1に開示される論文値と比較しても最も高い値であり、これは最も分離性能が高かったことを意味する。実施例1における高い分離性能は本発明による分離剤は相互作用が多様であることが原因であろうと考えられる。
【0076】
(9)HILICモードにおける総合評価
上記(1)〜(8)において評価された各種項目についての実施例1と比較例1の結果のレーダーチャートを
図10に示す。なお、
図10のレーダーチャートの各項目において1.00とされるべき基準は実施例1、比較例1及び非特許文献1に開示される各種分離剤の結果の中で最も高い評価のサンプルの評価結果に対応しており、それに対する相対評価を数値化したものが
図10に示される。
図10に示されるレーダーチャートから明らかなように実施例1において作製された分離剤の各種クロマトグラフィー性能は多くの評価項目で比較例1よりも大きく向上しており、その他の評価項目においても比較例1に匹敵する高い性能を発揮している。また、非特許文献1に開示される各種分離剤と比較した場合、実施例1の分離剤は、カチオン交換性は無いものの、広い観点から分離性能を発揮する点で全般的に優れた分離性能を発揮することが分かる。特に、実施例1の分離剤は2種類のアミンとベンゼン環を有するため、水素結合性k(U)は大きくなったと考えられる。また、実施例1の分離剤は第2級アミンを有するため、アニオン交換性α(SPTS/U)は大きくなったと考えられる。さらに、実施例1の分離剤は2種類のアミン以外に、ベンゼン環を有し、それ故ππ相互作用も呈するため、多様な相互作用が分離性能の向上に寄与したものと考えられる。
【0077】
一方、比較例1の分離剤は疎水性の大きい第3級アミンが1種類と水酸基を有し、実施例1に比べ水素結合性k(U)は小さくなったと考えられる。また、比較例1の分離剤は第3級アミンを有するが実施例1の第2級アミンよりも塩基性が小さいためアニオン交換性α(SPTS/U)は小さくなったと考えられる。
図10より、比較例1の分離剤におけるOH選択性α(U/2dU)及び固定相表面pH効果α(Tp/Tb)は実施例1と比較して大幅に値が小さかった。比較例1の分離剤は水酸基及び第3級アミンの官能基しか持たないため、実施例1と比較して相互作用の種類の少なさが分離にも影響したのではないかと考えられる。
【0078】
なお、上記評価はHILICモードにおいて行われたものであるが、本発明の分離剤は、HILICモードのみならず、順相モード等、他の分離モードによるクロマトグラフィーにおいても有用であるものと考えられる。