(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲート領域と前記処理領域とが直結されたときの全長が、前記ゲート領域及び前記処理領域を移動する前記カードの全長の2倍よりも短く形成されている請求項1記載のカード処理装置。
【背景技術】
【0002】
ATM及びCD等の磁気カード及びICカードを取り扱う装置に搭載されるカード処理装置であって、磁気データをカード全長に渡って情報を読み取り(リード)及び情報を書き込む(ライト)する装置においては、搬送路に沿って設けられたローラー対で、カードの上下から挟み込んで搬送する構造が一般的である。また、カード挿入口には、カードの挿入を制限するためのシャッタ機構を設けている。
【0003】
例えば、特許文献1〜特許文献3に記載のカード処理装置では、少なくとも搬送方向に沿って3組のローラー対を、それぞれカードの搬送方向長より少し短いピッチで配置した構造となっている。すなわち、カードの搬送方向全長(例えば、85〜86mm)の2倍以上の搬送経路が必要となっている。
【0004】
一方、磁気データは、カードの搬送方向全長に渡りストライプ状(帯状)に設けられており、上記磁気カード処理装置の構造において、確実に磁気データからリード及びライトするために、3組のローラー対の内、中央のローラー付近に磁気ヘッドが配置されている。
【0005】
ところで、カード処理装置におけるカードの搬送において、安定した搬送が要求される必要最小限の構造は、2組のローラー対がカードの搬送方向全長よりも短いピッチで配置されていればよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、本実施の形態のカード処理装置10が示されている。
図1(A)はカード処理装置10の正面図、(B)は
図1(A)のIB−IB線断面図である。
【0013】
カード処理装置10は、矩形の筐体12によって覆われている。このカード処理装置10では、カード14に設けられたストライプ状(帯状)の磁気データ層14A及びICチップ14Bに対して、情報を読み書き(リードアンドライト)する。
【0014】
筐体12は、
図1の右側のゲート領域16と、左部の処理領域18とに区画されている。
【0015】
ゲート領域16は右側面に設けられた挿入口20から挿入されるカード14の有無を検出し、かつ挿入されたカード14真贋を判別して、連通口22を介して処理領域18へ送り出す役目を有している。
【0016】
ゲート領域16には、挿入口20側の第1シャッタ24と、連通口22側の第2シャッタ26と、カード検出スイッチ27とを備えている。第1シャッタ24は、挿入口20でのカード14の挿入を許可又は禁止する。また、第2シャッタ26は、連通口22でのカード14の通過を許可又は禁止する。第1シャッタ24及び第2シャッタ26は、それぞれ独立した駆動系(例えば、ソレノイド24S、26S)によって開閉動作が可能となっている。なお、カード処理装置10では、カード14の挿入待機状態では、第1シャッタ24が開放し、第2シャッタ26が閉止している。なお、第1シャッタ24のソレノイド24Sは、非励磁状態ではばね等で閉止方向に付勢され、励磁状態では付勢力に抗して開放状態を保持し得るソレノイドが好ましい。
【0017】
挿入口20の下流側には、挿入口20から挿入されるカード14に設けられた磁気データ層14Aに対峙するようにプリヘッド28が設けられている。プリヘッド28は、磁気データ層14Aの有無を検出(磁気データ層14Aの有無で異なる信号を出力)する。
【0018】
ここで、プリヘッド28では、第1シャッタ24の開放中に挿入口20から挿入されるカード14に磁気データ層14Aが存在することを検出することで、真のカードである(異物ではない)と判断し、第2シャッタ26を開放する。これにより、カード所持者がカード14を挿入する際、当該挿入動作に連続して、カード14を、連通口22を介して処理領域18へ送り出すことができる。
【0019】
なお、近年では、磁気データ層が存在せず、ICチップ14Bのみのカード14が存在するため、カード14のICチップ14Bに対峙するように、IC検知部30を設け、前記プリヘッド28と同様の機能を持たせてもよい。IC検知部30は、金属が対峙するか否かで、異なる信号を出力する金属検知センサ等が適用可能である。
【0020】
処理領域18は、連通口22から流入されるカード14の搬送方向に沿って、2組のローラー対32A、32Bが配置されている。
【0021】
2組のローラー対32A、32Bは、駆動系からの駆動力で回転し、カード14を挟み込むことで、カード14を搬送可能としている。
【0022】
駆動系は、モータ34とモータ34の回転数を変速する変速機(プーリー、歯車等)と、カード14の先端部を検出するフォトセンサ36A、36B、36Cとを備え、カード14の位置を制御することを可能にしている。
【0023】
2組のローラー対32A、32Bが配置されるピッチ寸法Lは、カード14の搬送方向長(例えば、85〜86mm)よりも若干短く設定されている。より詳しくは、2組のローラー対32A、32Bによって、カード14の搬送方向前後端部をそれぞれ挟み込むことができるピッチ寸法Lであり、ピッチ寸法Lは80mmを基準とした、予め定めた許容範囲内とされている。
【0024】
この2組のローラー対32A、32Bの間には、カード14の磁気データ層14Aに対峙し得るように磁気ヘッド38が配置されている。
【0025】
磁気ヘッド38は2組のローラー対32A、32Bの間であって、カード14の搬送方向奥側のローラー対32Bに近い位置に配置され、磁気ヘッド38に対向してプラテンローラー38Aが配置されている。
【0026】
ここで、磁気ヘッド38の位置は、カード14の搬送方向先端部が磁気データ層14Aの先端情報を読み取るとき、カード14の後端が、前記ゲート領域16の第1シャッタ24よりも内方に位置することが条件となる。言い換えれば、磁気データ層14Aの先端を対象に情報を読み書きするときは、第1シャッタ24は閉止され、処理領域18内でのカード14の搬送中に、新たにカードが挿入されたり、異物が挿入されることを防止している。
【0027】
また、2組のローラー対32A、32Bの間には、IC情報処理機構39が配置されている。IC情報処理機構39は、待機状態では、カード14の移動軌跡上から離れているが、カード14が所定の位置に位置決めされたとき(ICチップ14BがIC情報処理部39と対向したとき)、カード14方向に接近し、ICチップ14Bと接触し、情報の読み書きを行う。
【0028】
ここで、カード14が所定位置に位置決めされたとき、カード14の後端が、前記ゲート領域16の第1シャッタ24よりも内方に位置することが条件となる。言い換えれば、ICチップ14Bに対して情報を読み書きするときは、第1シャッタ24は閉止され、処理領域18内でのカード14の搬送中に、新たにカードが挿入されたり、異物が挿入されることを防止している。
【0029】
なお、前記磁気データ層14Aの先端に対して情報を読み書きしたときと、ICチップ14Bに対して情報を読み書きするときのカード14の位置は同一となっている。
【0030】
また、筐体12の内側には、カード搬送動作、及び情報読み書き動作を制御するための制御部42が基板として配置されている。
【0031】
図2は、制御部におけるカード搬送動作、及び情報読み書き動作を制御するブロック図である。
【0032】
制御部42は、マイクロコンピュータ44を備えている。マイクロコンピュータ44は、CPU46、RAM48、ROM50、入出力部(I/O)56及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス54を有している。
【0033】
I/O56には、カード搬送動作の入力系として、フォトセンサ36、プリヘッド28、IC検知部30が接続されている。また、I/O56には、カード搬送動作の出力系として、ソレノイド24S、26S及びモータ34が接続されている。
【0034】
さらに、I/O56には、情報読み書き系として、磁気ヘッド38とIC情報処理部39が接続されている。
【0035】
また、I/O56には、磁気ヘッド38及びIC情報処理部39から読み取った情報を外部へ送出する、或いは外部からの情報を磁気ヘッド38及びIC情報処理部39へ送出するI/F57が接続されている。
【0036】
以下に、本実施の形態の作用を、
図3のフローチャート、及び
図4〜
図6の動作図に従い説明する。
【0037】
(カード挿入「磁気データ読み書き」)
図4(A)は、第1シャッタ24が開放し、第2シャッタ26が閉止しており(ステップ100)、カード14の受付待ち状態であり、この状態でカード14が挿入され、まず、カード検出スイッチ27によってカードが検出されると(ステップ101の肯定判定)、2組のローラー対32A、32Bが正転駆動を開始する(ステップ103)。プリヘッド28が磁気データ層14Aを検出すると(ステップ104の肯定判定)、真のカード14であると判断し、ステップ106へ移行して、第2シャッタ26を開放する(
図4(B)参照)。
【0038】
これにより、カード14は、ゲート領域16から連通口22を介して、処理領域18へ送り込むことができる。
【0039】
図4(B)に示される如く、カード所持者がカード14を奥方向、すなわち処理領域18まで挿入を継続すると、カード14の先端部が、カード搬送方向上流側のローラー対32Aに到達し、カード14はローラー対32Aによって処理領域18の奥側(
図4(B)の左側)に搬送される。なお、前記カード14の先端部のローラー対32Aへの到達を契機として(ステップ108の肯定判定)、第1シャッタ24は、ソレノイド24Sが非励磁とされて(ステップ110)、付勢力で挿入口20を通過中のカード14に接触した状態となる。
【0040】
図4(C)に示される如く、カード14が引き続きローラー対32A、32Bによって搬送されて、カード14の搬送方向後端が第1シャッタ24を通り過ぎた時点で、第1シャッタ24は閉状態になる。この状態では次のカードを挿入すること及び、異物を挿入することが出来ない。
【0041】
その後、カード14の前端が磁気ヘッド38に達し(ステップ112)、
図4(D)に示される如く、磁気データ層14Aと磁気ヘッド38とが相対移動することで、磁気データ層14Aに対する読み書き処理が実行可能となる(ステップ114)。このとき、
図5(A)の状態では、カード14は処理領域18の左側面から突出することになる。すなわち、カード処理装置10の外部(処理領域18の左側面周辺の領域)にカード14と干渉しない領域が必要となる。しかし、カード処理装置10の後方には、筐体12がなく、カード14の長さ×幅×厚み程度(よりも若干大きい)隙間を確保すればよいため、カード処理装置10の設置スペースは小さくすることができる。
【0042】
なお必要に応じて、筐体12の左側面に、カード14が必要十分に収容可能な保護カバーを設けてもよい。
【0043】
(カード排出)
前述したように、
図5(A)において、磁気データ層14Aの全長において、読み書き処理が完了する。なお、磁気データ層14Aから情報を逆方向から読取る場合は、
図5(A)の状態から
図5(B)の状態を経て、
図5(C)の状態に至る過程(カード14の搬送)で実施される。
【0044】
実際の処理では、カード14の挿入方向の搬送で書込み処理をした後に、挿入方向と逆方向の搬送で読取り、正常に書込みが出来たかどうかの確認を行う。このとき、第2シャッタ26は開放が継続されているため、カード14の往復搬送時と干渉することはなく、読取り処理の邪魔をしない。この場合、第1シャッタ24の閉止が継続されている。
【0045】
図5(D)に示される如く、磁気データ14Aからの読み書き処理が終了すると、第1シャッタ24が開放され(ステップ116)、次いで、2組のローラー対32A、32Bが逆転駆動して(ステップ118)、カード14を挿入口20から排出される。なお、排出は、カード14の一部が挿入口20から突出する形となり、これ以降は、カード所持者が引き抜くことになる。カード検出スイッチ27がOFFになったことによりカード14が引き抜かれたことを確認すると(ステップ120)、第2シャッタ26が閉止される(ステップ122)。また、一定時間カード14の引き抜きが無い場合は、セキュティ上、カード14は回収される(ステップ124、126)。
【0046】
(IC情報読取)
次に、
図6(A)〜
図6(D)に基づいて,ICチップ14Bに対してIC情報を読み書きする場合の動作を説明する。
【0047】
図6(A)は、第1シャッタ24が開放し、第2シャッタ26が閉止しており、カード14の受付待ち状態であり、この状態でカード14が挿入され、まず、カード検出スイッチ27によってカードが検出されると、2組のローラー対32A、32Bが正転駆動を開始する。次に、プリヘッド28が磁気データ層14Aを検出すると、真のカード14であると判断し、第2シャッタ26を開放する(
図6(B)参照)。
【0048】
これにより、カード14は、ゲート領域16から連通口22を介して、処理領域18へ送り込むことができる。
【0049】
なお、磁気データ層14Aが存在しないカード14の場合は、プリヘッド28に代えて、IC検知部30でICチップ14Bを検知した時点で、第2シャッタ26を開放する。カード所持者がカード14を奥方向、すなわち処理領域18まで挿入を継続すると、カード14の先端部が、カード搬送方向上流側のローラー対32Aに到達するとカード14はローラー対32Aによって処理領域18の奥側(
図4(B)の左側)に搬送される。このとき、第1シャッタ24は、図示しないストッパーが外れてばね等の付勢力で挿入口20を通過中のカード14に接触した状態となる。
【0050】
図6(C)に示される如く、カード14が引き続きローラー対32A、32Bによって搬送されて、カード14の搬送方向後端が第1シャッタ24を通り過ぎた時点で、第1シャッタ24は閉状態になる。この状態では次のカードを挿入すること及び、異物を挿入することが出来ない。
【0051】
その後、ICチップ14BがIC情報処理部39に対向すると、
図6(D)に示される如く、IC情報処理部39をカード14に接近させ、IC情報の読み書き処理が実行される。
【0052】
IC読み書き処理が終了すると、前記
図5(C)及び
図5(D)と同様の手順でカード14の一部が挿入口20から突出した状態となり、カード所持者に引き抜きを促す。
【0053】
(従来構造1との比較)
従来構造1のカード処理装置は、3組のローラー対をカードの全長より少し短いピッチ(L)でカード搬送方向に配置し、中央のローラー付近に読取り及び書込み用磁気ヘッドを配置している。また、単一のシャッタが3組のローラー対の手前に配置されている。この従来構造1のカード処理装置では、全長がカードの全長の2倍以上必要となる。
【0054】
(従来構造2との比較)
従来構造2のカード処理装置として、磁気データの書込みを行わず、読取りのみ行い、搬送系に2組のローラー対を備えるものがある。この従来構造2のカード処理装置では、磁気情報読取時に、カードが挿入口から突出するため、カード所持者がカードをすぐに離さない、又は、意図的に動かす等の行為をした場合には読取りが正常に出来なくなる場合がある。また、磁気情報を逆方向(カード排出方向)で読取る場合においても、カード所持者がカードを触った場合には読取りが正常に出来なくなる場合がある。このため、従来構造2のカード処理装置は、ATM及び、CD等のハイセキュリティーな自動機で使用される事は少ない。
【0055】
以上説明したように、カードデータ全長を読み書きするカード処理装置10において、2組のローラー対32A、32Bをカード長より少し短いピッチ(L)で配置した。
【0056】
また、磁気ヘッド38は2組のローラー対32A、32Bの間であって奥側のローラー対32Bに近い位置に配置し、磁気ヘッド38の対向部にプラテンローラー38Aを配置して、読み書き時のカード14と磁気ヘッド38との密着性を向上した。
【0057】
カード14の挿入を制限する手段として、第1シャッタ24及び第2シャッタ26の2枚構成とし、上流側の第1シャッタ24と下流側の第2シャッタ26とを2組のローラー対32A、32Bよりも上流側に配置した。
【0058】
第2シャッタ26は、カード挿入待機中に外部からのカード挿入を規制し、第1シャッタ24は装置内にカード14があり読み書き処理中に、次のカードや異物を入れられないために動作させる。
【0059】
すなわち、第1シャッタ24は、カード14の先端が磁気ヘッド38に到達した位置で、カード14の後端が第1シャッタ24よりも下流側になる位置に配置する。
【0060】
また、IC情報処理部39は、2組のローラー対32A、32Bの間であって、ICチップ14Bに対して情報の読み書き処理中にカード14の後端が第1シャッタ24よりも下流側になる位置に配置する。
【0061】
以上の条件により、カード処理装置10の全長をカード14の全長の2倍(85×2=170mm)よりも短くできる。また、2枚構成のシャッタ(第1シャッタ24及び第2シャッタ26)としたので、装置全体の長さを大きくすることなく、カード14の挿入規制及び、情報の読み書き処理中の次のカード又は異物の挿入規制を、従来の装置と同様に実施することができる。