(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368467
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】液圧式の車両ブレーキ装置用の内接型ギヤポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/10 20060101AFI20180723BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
F04C2/10 311B
F04C2/10 341F
F04C15/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-193773(P2013-193773)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-66244(P2014-66244A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】10 2012 217 484.2
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド・シュペア
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・アラーゼ
(72)【発明者】
【氏名】カール−ハインツ・ハッハ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・クライン
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・クルツ
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−140902(JP,A)
【文献】
特公昭50−021685(JP,B1)
【文献】
米国特許第02482713(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の車両ブレーキ装置のための内接型ギヤポンプであって、軸受(5)内に回転可能に支承された、内歯を備えたリングギヤ(3)と、外歯を備えたピニオン(2)とを有しており、該ピニオン(2)は、前記リングギヤ(3)内に偏心的に配置され、1つの周方向区分内で前記リングギヤ(3)と噛み合っており、前記ピニオン(2)が前記リングギヤ(3)と噛み合う前記周方向区分に向き合って、前記ピニオン(2)と前記リングギヤ(3)との間に鎌形のポンプ室(6)が形成されており、該ポンプ室(6)内に分離部材(7)が配置されていて、該分離部材(7)が、前記ピニオン(2)および前記リングギヤ(3)の歯列の歯先に当接し、かつ前記ポンプ室(6)を吸入室(8)と吐出室(9)とに分離している形式のものにおいて、
前記分離部材(7)が、前記分離部材(7)を支承する部材(13)に、前記ピニオン(2)の半径方向への移動が許容された状態で係合されており、前記軸受(5)が旋回軸線を中心にして旋回可能に支承されており、前記旋回軸線が前記リングギヤ(3)の回転軸線に対して偏心的に配置されていることで、前記内接型ギヤポンプ(1)の駆動時に前記ポンプ室(6)内に形成され、かつ内方から前記リングギヤ(3)に作用する、前記内接型ギヤポンプ(1)により圧送される流体の圧力が、前記リングギヤ(3)を介して、該リングギヤ(3)を外方から前記分離部材(7)に向かって押圧するモーメントを前記軸受(5)に加えるようになっている
液圧式の車両ブレーキ装置用の内接型ギヤポンプ。
【請求項2】
前記軸受(5)の前記旋回軸線が、前記リングギヤ(3)の前記回転軸線に対して偏心的に扇形内に配置されており、前記扇形の周方向の両端を画定する2つの半径が、前記リングギヤ(3)の前記回転軸線において交差し、前記2つの半径のうちの吸入室側の半径が、前記分離部材(7)を通って延在しており、前記2つの半径のうちの吐出室側の半径が、前記分離部材(7)の外側で前記吐出室(9)を通って延在している、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項3】
前記分離部材(7)が前記部材(13)に旋回可能に係合されており、前記軸受(5)の前記旋回軸線が扇形内に配置されており、前記扇形の周方向の両端を画定する2つの半径が、前記リングギヤ(3)の前記回転軸線において交差し、前記2つの半径のうちの吸入室側の半径が、前記分離部材(7)の旋回の軸線と交差している、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項4】
前記分離部材(7)が前記部材(13)に旋回可能に係合されており、前記軸受(5)の前記旋回軸線が扇形内に配置されており、前記扇形の周方向の両端を画定する2つの半径が、前記リングギヤ(3)の前記回転軸線において交差し、前記2つの半径のうちの吸入室側の半径が、前記分離部材(7)の旋回の軸線の吐出室側に延在している、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項5】
前記軸受が軸受リング(5)を有しており、該軸受リング(5)内に前記リングギヤ(3)が滑り軸受けされている、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項6】
前記分離部材(7)が、前記部材(13)に、前記ピニオン(2)の周方向への移動が抑止された状態で係合されている、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【請求項7】
前記分離部材(7)が一体物として構成されている、
請求項1に記載の内接型ギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載した構成を有する内接型ギヤポンプに関する。このような内接型ギヤポンプは、例えば一般的に使用されるピストンポンプの代わりに、スキッドコントロール式および/または動力式の車両ブレーキ装置に使用され、しばしばリターンポンプとも称呼される。
【背景技術】
【0002】
内接型ギヤポンプは公知である。内接型ギヤポンプは、ピニオンつまり外歯を備えた歯車を有していて、このピニオンは内歯を備えたリングギヤ内に偏心的に配置されていて、外周面の1個所若しくは1つの周方向区分内でリングギヤと噛み合うようになっている。ピニオンとリングギヤとは、内接型ギヤポンプの歯車であると理解してもよい。2つの歯車のうちの一方、一般的にはピニオンが回転駆動されることによって、他方の歯車、一般的にはリングギヤが、回転連行され、内接型ギヤポンプは、公知の形式で流体、つまり液圧式の車両ブレーキ装置においてはブレーキ液を圧送する。
【0003】
ピニオンがリングギヤと噛み合う前記周方向区分に向き合って、内接型ギヤポンプは、ピニオンとリングギヤとの間に鎌形のフリースペースを有しており、このフリースペースはここではポンプ室と称呼される。ポンプ室内に分離部材が配置されており、この分離部材はポンプ室を吸入室と吐出室とに分離している。分離部材はその典型的な形状に基づいて、鎌または鎌部材とも称呼され、また別の呼び名として充てん部材とも称呼される。分離部材の、標準的な形式で中空円形の内側は、ピニオンの歯列の歯先に当接していて、標準的な形式で外方に湾曲している分離部材の外側は、リングギヤの歯列の歯先に当接しているので、分離部材は、内接型ギヤポンプの歯車の歯列間の歯間スペース内に流体体積を閉じ込める。歯車は回転駆動されることによって、歯間スペース内の流体を吸入室から吐出室へ圧送する。
【0004】
特許文献1によれば、鎌形の一体的な分離部材を備えた、このような形式の内接型ギヤポンプが開示されており、前記分離部材は、周方向中央部若しくは長手方向中央部で以って旋回可能に支承されている。方向に関する記載例えば「周方向」若しくは「半径方向」は、内接型ギヤポンプに関するものである。分離部材と歯車の歯先との間に遊びが存在すると、分離部材は旋回することができるので、分離部材はその一方の端部が、ピニオンの歯列の歯先に当接し、他方の端部がリングギヤの歯列の歯先に当接する。内接型ギヤポンプの駆動時に、ピニオンおよびリングギヤの歯間スペース内に発生する圧力は、分離部材に、この分離部材を旋回させて、分離部材の一方の端部をピニオンの歯列の歯先に当接維持させ、かつ前記一方の端部とは反対側の、分離部材の他方の端部をリングギヤの歯列の歯先に当接維持させるモーメントを作用させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102007050820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術による内接型ギヤポンプを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の特徴部を有する本発明による内接型ギヤポンプによれば、分離部材が半径方向に可動であって、リングギヤが軸受に回転可能に支承されていて、この軸受は旋回軸線を中心にして旋回可能に支持されている。軸受の旋回軸線は、リングギヤの回転軸線に対して偏心的に配置されていることで、内接型ギヤポンプの駆動時にポンプ室内に形成され、かつ内方からリングギヤに作用する圧力が、リングギヤを介して、このリングギヤを外方から分離部材に向かって押圧するモーメントを、リングギヤの軸受に加えるようになっている。内接型ギヤポンプの駆動時に外方から分離部材を押圧するリングギヤは、半径方向で可動な分離部材を、ピニオンの歯列の歯先に向かって内方に押圧する。これによって、リングギヤの歯列の歯先も、ピニオンの歯列の歯先も、外方および内方に向かって分離部材に対して気密に当接させることができる。このような気密な当接は、良好な体積効率のために重要である。ポンプ室内に異なる圧力が形成され、吐出室内の圧力は吸入室内における圧力よりも高い。軸受の旋回軸線をどこに配置するかは、幾何学的な関係に基づいている。好適には、軸受の旋回軸線は、軸受がリングギヤと共に吐出室の領域内および/または分離部材の吐出室側の領域内で外方につまりピニオンから離れる方向に旋回し、また分離部材の吸入室側の領域内で内方につまり分離部材に向かって旋回するように、配置されている。これによって、吐出室内の高い圧力は、リングギヤを外方から負荷してリングギヤの歯列の歯先を分離部材に押しつけるモーメントで、軸受を負荷するために用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内接型ギヤポンプの組立を容易にする一体的な分離部材を有する、内接型ギヤポンプの簡単な構成が可能である。本発明のその他の利点は、本発明によれば、製造公差が調整され、より大きい製造公差を許容できる、という点にある。分離部材の内方および外方における歯車の歯先の摩耗も、調整される。さらに、本発明によれば、リングギヤおよびピニオンの歯列の歯先を、周方向に長い当接面を介して分離部材に当接させることができ、内接型ギヤポンプは、前述のように高い体積効率を有している。
【0009】
軸受の旋回軸線は、好適にはリングギヤの外周面の外側に位置している。勿論、軸受の旋回軸線がリングギヤの外周面の内側に位置している構成も考えられる。半径方向以外での、分離部材の並進運動的な運動可能性は設けられていないが、勿論、本発明は、半径方向以外での運動可能性を除外するものではない。好適には分離部材は旋回可能である。
【0010】
従属請求項には、請求項1に記載した本発明の好適な実施態様および変化実施例が記載されている。
【0011】
請求項2によれば、リングギヤの軸受の旋回軸線が、扇形内に配置されており、この扇形は、リングギヤの回転軸線において交差し合う2つの半径つまり2つの直線によって画定されている。2つの半径のうちの吸入室側の半径は、分離部材の吸入室側の端部の近傍で分離部材の内側に延在しており、これによって、内接型ギヤポンプの駆動時にリングギヤ内の圧力に基づいてリングギヤに作用するモーメントが、リングギヤを分離部材の吸入室側の端部において軸受を介して分離部材に向かって内方に押圧する。扇形(この扇形内にリングギヤの軸受の旋回軸線が位置している)の吐出室側の半径は、分離部材の外側で分離部材の吐出室側の端部の近傍において吐出室を通って延在している。「近傍」とは、吐出室側の半径が、分離部材の吐出室側の端部の近くでこの端部の傍らを通って延在していることで、内接型ギヤポンプの駆動時にリングギヤ内に発生する圧力に基づくモーメントが、所望の方向でリングギヤに作用する、すなわちリングギヤを少なくとも分離部材の吸入室側の端部において分離部材に向かって内方に負荷する、ということである。リングギヤは、分離部材の全長に亘って内方に負荷される必要はなく、リングギヤは、分離部材の吐出室側の端部において外方に負荷されてよい。好適には、リングギヤは、分離部材の長さの所定の部分例えば(吸入室側の)半分、または分離部材の長さよりも大きい長さに亘って、内方に負荷される。分かりやすく言えば、前記扇形の2つの半径は、リングギヤの軸受の旋回軸線の位置を内接型ギヤポンプの周方向で画定する、リングギヤの回転軸線を通る2つの直線である。
【0012】
請求項3は、旋回可能な分離部材に関するものであり、扇形(この扇形内に軸受の旋回軸線が位置している)を、分離部材の旋回軸線を起点としてこの旋回軸線から吐出室の方向に延在する周方向領域に限定している。軸受の旋回軸線を吐出室の方向にずらすことによって、リングギヤの歯列の歯先が分離部材に向かって内方に負荷される長い周方向区分が得られる、つまりリングギヤの歯列の歯先においても、またピニオンの歯列の歯先においても分離部材に対して周方向で長い当接面が得られる。
【0013】
本発明による内接型ギヤポンプは、特に、液圧式の、スキッドコントロール式および/または動力式の車両ブレーキ装置のための液圧ポンプとして設けられている。スキッドコントロール式の車両ブレーキ装置においては、液圧ポンプはリターンポンプとも称呼され、今日ではもっぱらピストンポンプとして構成されている。
【0014】
本発明を以下に図面に示した実施例を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による内接型ギヤポンプの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に示した本発明による内接型ギヤポンプ1は、ここではピニオン2と称呼される、外歯を備えた歯車と、ここではリングギヤ3と称呼される、内歯を備えた歯車とを有している。ピニオン2はリングギヤ3に対して軸平行に、かつピニオン2がリングギヤ3と噛み合うように、リングギヤ3内に偏心的に配置されている。ピニオン2は、ポンプ軸4に相対回動不能に配置されており、ポンプ軸4と共にピニオン2は回転駆動可能であり、またピニオン2を介して、このピニオン2に噛み合うリングギヤ3が回転駆動可能である。回転方向は矢印Pで示されている。リングギヤ3は軸受リング5内に回転可能に滑り軸受けされている。
【0017】
ピニオン2とリングギヤ3とが互いに噛み合っている周方向区分に向き合って、内接型ギヤポンプ1は、鎌形のフリースペースを有しており、このフリースペースはポンプ室6と称呼される。ポンプ室6内には同様に鎌形の分離部材7が配置されており、この分離部材7は、ポンプ室6を吸入室8と吐出室9とに分離している。吸入室8はポンプインレット10に連通しており、このポンプインレット10は孔として構成されていて、横方向につまり内接型ギヤポンプ1に対して軸平行に、一方側からポンプ室6の吸入室8内に開口している。吐出室9は、ポンプアウトレット11に連通しており、このポンプアウトレット11は同様に孔として構成されていて、一方側からポンプ室6の吐出室9内に開口している。
【0018】
分離部材7はその凹状の内側がピニオン2の歯列の歯先に当接し、凸状の外側がリングギヤ3の歯列の歯先に当接しているので、分離部材7は、ピニオン2の歯列とリングギヤ3の歯列との間の歯間スペース内に流体を閉じ込める。従って、内接型ギヤポンプ1の駆動時に歯車2,3の回転駆動によって、内接型ギヤポンプにより公知の形式で、流体が吸入室8から吐出室9内へ圧送される。この内接型ギヤポンプ1を液圧式の車両ブレーキ装置に組み込んで使用する場合、圧送される流体はブレーキ液である。
【0019】
分離部材7は、その長手方向中央部若しくは周方向中央部に、半径方向に配向された楕円形の孔12を有しており、この楕円形の孔12を介して分離部材7はピン13に保持されており、このピン13は、内接型ギヤポンプ1の歯車2,3に対して軸平行に分離部材7を貫通していて、内接型ギヤポンプ1内に定置に固定されている。分離部材7の中央に配置された楕円形の孔12は、この孔12を貫通するピン13の直径と同じ幅を有しているので、分離部材7は、周方向で不動に内接型ギヤポンプ1のポンプ室6内に保持されており、しかも分離部材7の楕円形の孔12は、この孔12を貫通するピン13の直径よりもやや長いので、分離部材7は内接型ギヤポンプ1の半径方向で可動である。楕円形の孔12は、1ミリメートルまたは数ミリメートルまたは1ミリメートルよりも小さい寸法だけ、ピン13の直径よりも長いので、分離部材7は、前記寸法分だけ半径方向でポンプ室6内において可動である。しかも、分離部材7はピン13を中心にして旋回可能であり、ピン13の幾何学上の軸線は同時に分離部材7の旋回軸線である。
【0020】
軸受リング5は、ポンプハウジング16内で、歯車2,3および分離部材7の平面で僅かに可動である。後述されている、軸受リング5の外周面の個所において、内接型ギヤポンプ1はピン14を有しており、このピン14の幾何学上の軸線は旋回軸線を形成しており、この旋回軸線を中心にして軸受リング5が旋回可能である。ピン14は、ピニオン2およびリングギヤ3の回転軸線に対して平行に、内接型ギヤポンプ1のポンプハウジング16内の孔内に保持されていて、その直径のほぼ半分が、軸受リング5の外周面の相補的な溝内に位置している。軸受リング5の旋回軸線は、必ずしも軸受リング5の外周面に位置していなくてもよく、外周面よりもさらに外側またはさらに内側に位置していてもよい。また、軸受リング5の旋回軸線がリングギヤ3の内側に位置していることも考えられる。この場合、勿論、軸受リング5の旋回軸線はリングギヤ3の回転軸線から間隔を保っていて、リングギヤ3および軸受リング5に関連して偏心的である。ポンプハウジング16と軸受リング5との間にギャップ17が存在しており、このギャップ17は、軸受リング5内に回転可能に支承されたリングギヤ3と協働して軸受リング5の旋回運動を可能にするために、軸受リング5を包囲している。図示の実施例では、ポンプハウジング16は液圧ブロックによって形成されており、この液圧ブロックのうちの、図面には内接型ギヤポンプ1を包囲する部分だけが示されている。このような液圧ブロックは、スキッドコントロールされた車両ブレーキ装置において公知であり、この液圧ブロック内に、ハイドロポンプ、図示の実施例では内接型ギヤポンプ1の他に、その他の液圧式の構成部分、例えば電磁弁、逆止弁、液圧蓄圧器が組み込まれていて、孔を通じて液圧式に互いに接続されている。
【0021】
周方向で見て、軸受リング5の旋回軸線を規定するピン14は、分離部材7の楕円形の孔12を貫通し、かつ分離部材7の旋回軸線を規定するピン13と、分離部材7の吐出室側の端部15との間に配置されている。言い換えれば、軸受リング5の旋回軸線を規定するピン14は、2つの半径、つまりリングギヤ3の回転軸線において交差し合う2つの直線によって画定された扇形内に配置されており、この場合、吸入室側の半径は分離部材7の旋回軸線と交差し、吐出室側の半径は分離部材7の吐出室側の端部15と交差している。好適には、軸受リング5の旋回軸線を規定するピン14は、上記扇形の中央領域内に配置されている。
【0022】
内接型ギヤポンプ1の駆動時に吐出室9内に形成される圧力は、リングギヤ3を内方から押圧し、それによって、ピン14により軸受リング5の外周面において規定される、軸受リング5の旋回軸線を中心としたモーメントが生じる。このモーメントは、ピン14からリングギヤ3の回転方向Pとは逆向きに吸入室8に向かって延在する周方向区分内で、軸受リング5を内方に押圧する。これによって、リングギヤ3の歯列の歯先は内方に向かって、分離部材7の凸状の外側に押しつけられ、この分離部材の外側とシール接触する。リングギヤ3の歯列の歯先は、図示の周方向区分において分離部材7を内方に向けて、ピニオン2の歯列の歯先に押しつけるので、分離部材7の凹状の内側は、ピニオン2の歯列の歯先に当接する。このような形式で、リングギヤ3およびピニオン2の歯列の歯先が分離部材7に良好に当接し、公差調整および摩耗調整が得られる。
【0023】
軸受リング5の旋回軸線は、周方向で見て分離部材7の旋回軸線から吐出室9に向かってずらされているか、若しくは分離部材7の吸入室側の端部よりも、吐出室側の端部15に近い位置に配置され、それによってリングギヤ3の歯列の歯先は、分離部材7の長い周方向区分に沿って分離部材7を内方に押圧するようになっているが、基本的に、軸受リング5の旋回軸線を分離部材7の吸入室側の端部により近い位置に配置する(図示せず)構成を除外するものではない。
【0024】
本発明による内接型ギヤポンプ1は、図示してない液圧式の、スキッドコントロール式および/または動力式の車両ブレーキ装置の液圧ポンプとして設けられており、この液圧ポンプにおいて、内接型ギヤポンプ1は、アンチロック制御装置、トラクションスリップコントロールおよび/またはビークルダイナミックコントロール等のスキッドコントロールのために用いられ、かつ/または液圧式の動力式車両ブレーキ装置においてブレーキ圧形成のために用いられる。このような液圧ポンプは、必ずしも適切ではないが、リターンポンプとも称呼される。前記スキッドコントロールのために、略語ABS,ASR,FDRおよびESPが一般的に用いられている。ビークルダイナミックコントロールは、俗語的に超過速度防止制御装置とも称呼される。
【符号の説明】
【0025】
1 内接型ギヤポンプ
2 ピニオン
3 リングギヤ
4 ポンプ軸
5 軸受リング、軸受
6 ポンプ室
7 分離部材
8 吸入室
9 吐出室
10 ポンプインレット
11 ポンプアウトレット
12 孔
13 ピン
14 ピン
15 吐出室側の端部
16 ポンプハウジング
17 ギャップ