特許第6368480号(P6368480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368480
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   H01F37/00 A
   H01F37/00 M
   H01F37/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-234290(P2013-234290)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-95565(P2015-95565A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−197567(JP,A)
【文献】 特開2005−339959(JP,A)
【文献】 特開2013−098346(JP,A)
【文献】 実開昭63−128012(JP,U)
【文献】 特開昭63−241915(JP,A)
【文献】 特開2004−106302(JP,A)
【文献】 特開2011−239368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成型品の内部に、コアと固定金具が埋設され、固定金具の端部にはブラケットが設けられ、
前記ブラケットとケースとをねじ止めすることにより、リアクトル本体とケースが固定され、
前記固定金具と樹脂成型品に設けられた樹脂の注入部との間に、開口部が設けられ
前記樹脂成形品における前記注入部と前記開口部との間に突起部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記固定金具は細長い板状の部材で、その両端に樹脂成型品から突出したブラケットが設けられ、
前記固定金具は、前記コア表面と所定の間隙を持って平行に配置され、その間隙部分に樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
記開口部は、コアの表面と対向する位置において、成型品の表面から固定金具の表面に達する深さを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記開口部は、その固定金具表面と平行な断面形状が、固定金具の長手方向の軸線と平行若しくは平行に近い角度を有する長軸と、固定金具の長手方向の軸線と直角若しくは直角に近い角度を有する短軸を有する、長方形、楕円形、角丸長方形、三角形、「く」字形、山形、円弧形のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定金具の樹脂モールド構造に改良を施したリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の昇圧回路に用いられるリアクトルとして、特許文献1や特許文献2に示すように、コアの周囲に配置した樹脂製のボビンにコイルを巻回した後、これらを金属製のケースに収納し、ケース内に封止樹脂を流し込んで固めたものが多く用いられる。
【0003】
たとえば、図6に示す従来技術は、特許文献1に記載の分割コアとその周囲の樹脂成型品(以下、成形品と呼ぶ)を示すものである。図6において、100は環状コアの左右の脚部、101は環状コアのヨーク部、102はその内部にヨーク部101をモールド成型した成型品である。成型品102には、筒状のボビン102aが一体に設けられ、このボビン102a内に脚部100を構成するIコアが挿入され、ボビン102aの外周にコイル103が装着される。
【0004】
この種のリアクトルは、アルミニウムなどの放熱性に優れた金属製のケース104内に収納された状態で、車輌その他の機器に固定される。その場合、リアクトルとケース104との間には封止樹脂が充填され、ケース104内におけるリアクトルの固定を確実にすると共に絶縁を確保している。また、リアクトルをケース104に固定するには、成型品102に樹脂モールド法により固定金具105を一体に埋設し、その固定金具105とケース104をねじ止めする構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−197567号公報
【特許文献2】特開2013−098346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のリアクトルにおいて、成型品102内に固定金具105をモールド成型するには、金型内に固定金具105をセットした後、金型に設けた注入部から固定金具105の周囲に樹脂を充填し、硬化させる射出成型法が使用される。しかし、樹脂の射出圧力はかなり高いため、樹脂の流れが直接固定金具に当たり、金型内における固定金具の位置ずれが生じたり、金型の中央部が撓んでしまう不都合が発生する。
【0007】
特に、図7の拡大図に示すような固定金具105は、1部材でリアクトル本体の両側を固定できるように、細長い板状の部材であることから、固定金具の中央部が弓なりに凹み、その分、固定金具の両端に形成したねじ止め用のブラケット105aの先端が水平面から浮き上がってしまう。このようなブラケット105aの浮き上がりは、ブラケット105aをケース104に対してねじ止めすることにより解消されたかのように見えるが、実際には、ブラケット105aの根元部分はねじで強く負荷を掛けて変形させた状態になっており、常時強いストレスが加わっている。
【0008】
この種のリアクトルは広汎な用途に使用されているが、最近では車載用などのように、10年以上もの長期間にわたって振動が加わる場所に設置されることもあり、前記の様にストレスの加わっているブラケット105aの根元部分に、そのような長期間にわたる振動が加わると固定金具105がブラケット105aの根元部分から破断する現象が生じる。
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、モールド成型時において固定金具に対して樹脂の射出圧力が直接加わることがないため、固定金具の変形が少なく、長期間にわたって振動が加わっても固定金具が破断するおそれがないリアクトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のリアクトルは、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)樹脂成型品の内部に、コアと固定金具が埋設され、固定金具の端部にはブラケットが設けられている。
(2)前記ブラケットとケースとをねじ止めすることにより、リアクトル本体とケースが固定されている。
(3)前記固定金具と樹脂成型品に設けられた樹脂の注入部との間に、開口部が設けられている。
(4)前記樹脂成形品における前記注入部と前記開口部との間に突起部が形成されている。
【0011】
本発明において、前記固定金具は細長い板状の部材で、その両端に樹脂成型品から突出したブラケットが設けられていても良い。前記注入部が固定金具の上方に設けられ、隔壁が注入部と固定金具の上面との間に固定金具の上面に対して垂直に設けられていることが望ましい。
【0012】
前記固定金具は、前記コアの表面と所定の間隙を持って平行に配置され、その間隙部分に樹脂が充填されていても良い。
【0013】
本発明において、前記開口部は、コアの表面と対向する位置において、成型品の表面から固定金具の表面に達する深さを有することが好ましい。
【0015】
本発明において、前記開口部は、その固定金具表面と平行な断面形状が、固定金具の長手方向の軸線と平行若しくは平行に近い角度を有する長軸と、固定金具の長手方向の軸線と直角若しくは直角に近い角度を有する短軸を有する、長方形、楕円形、角丸長方形、三角形、「く」字形、山形、円弧形のいずれかであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、注入部から流入した樹脂が隔壁によって遮られるため、射出圧力が直接固定金具に加わることがなく、固定金具の変形が抑止できる。その結果、固定金具をケースにねじ止めした場合に、固定金具の成形品内部に埋設されている部分と成形品から突出した部分との間で、モールド成型時の変形に起因する応力が加わることがなくなり、耐振動特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のリアクトルの斜視図。
図2】第1実施形態のリアクトルの分解斜視図。
図3】第1実施形態のリアクトルにおけるU字型コアと成形品を左前方から見た斜視図。
図4】第1実施形態のリアクトルにおいて被覆部に設けられた開口部と、樹脂の注入部を示す拡大斜視図。
図5】第1実施形態のリアクトルにおける固定金具、成形品、コアの配置を示す断面図。
図6】従来のリアクトルの一例を示す分解斜視図。
図7】従来技術において、固定金具が変形した状態を示すリアクトルの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を図1から図5に従って具体的に説明する。
【0019】
(1)構成
本実施形態のリアクトルは、四隅が直線状に面取りされた環状コアを有するもので、この環状コアは、図2の分解斜視図に示すように、ヨーク部を構成する2つのU字型コア1a,1bと、脚部を構成する左右各2個のI字型コア1c,1dを、スペーサ1eを介して接続したものである。
【0020】
環状コアは、その外周に設けられた第1と第2の成形品2,3によって被覆されている。第1の成型品2は、筒状をした左右のボビン22a,22bと、これらを繋ぐように設けられたコア被覆部21を有し、それらの内部に第1のU字型コア1aがモールド成型法によって埋設されている。第2の成型品3は、左右のボビン32a,32bとコア被覆部31を備え、その内部に第2のU字型コア1bがモールド成型法によって埋設されている。
【0021】
第2の成形品の左右のボビン32a,32bは、第1の成形品のボビン22a,22bよりは短く、互いに突き合わされたこれらボビンの内部にI字型コア1c,1dが挿入されている。ボビン22a,22bの外周には、左右のコイル51a,51bが巻回されている。これら左右のコイル51a,51bは1本の導体によって構成され、コイルの両端は第2の成型品3側で上方向に引き出されている。
【0022】
第1と第2の成形品2,3における被覆部21,31の上部には、これらの成形品をケース4に固定するための金具52,53がモールド成形法により埋設されている。この固定金具52,53は、両端にねじ挿入穴52a,53aを備えた細長い板状の部材で、その中央部分が成形品2,3内に埋設され、両端のねじ挿入穴52a,53aを設けたブラケット部52b,53bが成形品2,3の左右に突出している。
【0023】
固定金具52,53は、そのモールド成型時に両端のブラケット部52b,53bが金型に挟持され、U字型コア1a,1bの上方において、コアの上面と所定の間隙を持って、U字型コア上面と平行に配置され、その間隙部分に成形品2,3を構成する樹脂が充填されている。固定金具52,53の上面には、コア表面と固定金具の間と同様に、成形品2,3を構成する樹脂が充填され、被覆部21,31となっている。
【0024】
前記のような構成を有する環状コア、成形品2,3及び左右のコイル51a,51bから成るリアクトル本体は、組み立てられた状態でケース4内に収納され、固定金具52,53のねじ挿入穴52a,53aに差し込んだねじ62,63を、ケース4のねじ穴に締結することで、成型品2,3とケース4は固定される。この場合、成形品2,3及び左右のコイル51a,51bの外周とケース4の内面との間に所定の隙間が保たれるように固定する。その隙間に封止樹脂70を充填して固化することで、ケース4と組み立てられたリアクトル本体を一体化する。
【0025】
第1、第2の成形品2,3は、図5の断面図に示すように、金型Cに設けられた注入口Pから金型C内に射出された樹脂を硬化させることで形成されている。本実施形態では、樹脂の注入口Pは、成形品2,3におけるボビン22a,22b,32a,32bの根元部分の中央に位置している。そのため、硬化した成形品2,3には、図3の斜視図や図5の断面図に示すように、注入口Pの位置に対応して樹脂の注入部21c,31cが設けられている。なお、図3図5では、注入部21c,31cが円形の凹みのように見えるが、この円形の凹みは金型に設けられた注入口Pのヘッド部分であり、実際の注入部21c,31cは円形の凹みの中心に形成された点状の部分で、成型後は注入された樹脂によって封止されている。
【0026】
被覆部21,31における固定金具52,53の上方には、被覆部21,31の表面から固定金具52,53の表面に達する四角形の開口部21a,31aが形成されている。開口部21a,31aは、その固定金具表面と平行な断面形状が、固定金具52,53の長手方向の軸線と平行な長軸と、固定金具の長手方向の軸線と直角な短軸を有する長方形である。開口部21a,31aは、成形品2,3の金型Cに設けられた隔壁Wが固定金具52,53の表面に当接することによって形成される。開口部21a,31aは、左右のボビン22a,22b,32a,32bの中心軸上で、且つ、固定金具52,53の幅方向の中心よりもボビン側にずれた位置に設けられている。
【0027】
開口部21a,31aを形成するための隔壁Wは、成形品2,3のモールド成型時において、注入部21c,31cから流入した樹脂の射出圧力が、固定金具52,53の上面に直接加わることを阻止する。そのため、開口部21a,31aは、成型品2,3に設けられた樹脂の注入部21c,31cと固定金具52,53の上面との間に、樹脂の流入方向と直交するように、固定金具52,53の上面に対して垂直に設けられている。
【0028】
第1の成形品2における注入部21cと開口部21aとの間には、開口部21aと平行にU字型コア1aとは反対方向に伸びる突起部21bが形成されている。この突起部21bは被覆部21の表面から上方に突出したものであり、図示しない温度センサのコネクタを保持する部材である。この突起部21bにより、注入部21cから流入した樹脂は、この突起部21bと、U字型コア1a上面と固定金具52との間と、隔壁Wの背後に位置する固定金具52表面と金型C内面との間に分岐して流入する。
【0029】
本実施形態では、第2の成形品3にはこのような突起部を設けていないが、被覆部31の表面に補強用のリブなどを設けることにより、同様な突起部を設けることができる。
【0030】
(2)作用効果
(2−1)
本実施形態によれば、注入部21c,31cから流入した樹脂が隔壁Wによって遮られるため、射出圧力が直接固定金具52,53の上面に加わることがなく、固定金具52,53の変形が抑止できる。その結果、固定金具52,53をケース4にねじ止めした場合に、固定金具の成形品2,3内部に埋設されている部分と成形品2,3から突出した部分との間で、モールド成型時の変形に起因する応力が加わることがなくなり、耐振動特性が向上する。
【0031】
(2−2)
本実施形態では固定金具52,53は、そのモールド成型時に両端のブラケット部52b,53bにおいて金型Cに支持された結果、U字型コア1a,1bの上方において、コアの上面と所定の間隙を持って、U字型コア上面と平行に配置され、その間隙部分に樹脂が充填されている。そのため、固定金具52,53の上方に注入部21c,31cが設けられていても、樹脂は隔壁Wによって遮られて固定金具52,53の上面側には流れ込みにくく、流入しやすい固定金具とU字型コアとの隙間に優先的に流れ込む。その結果、固定金具52,53は、U字型コア1a,1bとの隙間に流れ込んだ樹脂によって下から支えられることになり、その後、隔壁Wを回り込んで固定金具の上方に樹脂が流れ込んでも、その樹脂によって固定金具52,53が上方から押し付けられることはなく、固定金具の変形が防止される。
【0032】
(2−3)
本実施形態では、モールド成型時において、隔壁WがU字型コアとは反対側から固定金具52,53の表面に当接しているので、コア表面と固定金具との間に流入した樹脂の射出圧力によって固定金具が隔壁側に変形することを阻止している。そのため、固定金具52,53の表面が隔壁Wの先端に位置決めされることになり、固定金具の中央部が金型によって挟持された両端のブラケット部と同じ角度で水平に保持されることになり、固定金具の変形が効果的に防止される。
【0033】
(2−4)
本実施形態では、注入部21c,31cから流入した樹脂が、突起部21bと、U字型コア1a,1b上面と固定金具52,53との間と、隔壁Wの背後に位置する固定金具52,53表面と金型C内面との間に分岐して流入するので、突起部21bがない構成に比較して、樹脂の射出圧力をより分散することができ、固定金具52,53の変形をより効果的に抑止できる。
【0034】
2.他の実施形態
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。
【0035】
(1)前記実施形態は、固定金具の両端にブラケットが設けられていたが、固定金具の一端にのみブラケットが設けられた固定金具にも適用可能である。特に、一端にブラケットが設けられた固定金具では、ブラケット部分を金型で挟持した場合に、成形品の内部に埋設される端部は金型で挟持されることがないために樹脂の射出圧力で変形しやすいが、本発明によれば、隔壁によって射出圧力が直接固定金具に加わることを防止でき、また、隔壁先端で固定金具の先端部を押さえることができるので、固定金具の変形が生じない。
【0036】
(2)図示の前記実施形態では、隔壁が固定金具表面に接触して、流入した樹脂の圧力で固定金具が上方に変形することを防止したが、固定金具下方の隙間が狭く流入圧力が小さい場合には、隔壁は必ずしもその先端が固定金具の表面に接触する必要はない。
【0037】
(3)前記隔壁は、その固定金具表面と平行な断面形状が長方形に限定されるものではなく、注入部から流入した樹脂の流れ方向を効果的に変更することのできるものであれば、楕円形、角丸長方形、三角形、「く」字形、山形、円弧形のいずれかでもよい。「く」字形、山形、円弧形は、樹脂の流れを左右に振り分けて案内するので、固定金具に加わる流入圧力を効果的に分散できる。
【0038】
(4)隔壁W及びそれによって形成される開口部21a,31aは、その固定金具表面と平行な断面形状が、固定金具の長手方向の軸線と平行に近い角度を有する長軸と、固定金具の長手方向の軸線と直角に近い角度を有する短軸を有するものでも良い。すなわち、隔壁及び開口部が、樹脂の流入方向に対して、必ずしも直角である必要はなく、多少傾いていても良く、真円形や正方形、多角形、波形断面形状であっても良い。前記隔壁及びそれによって形成される開口部の数は、2つに限定されるものではなく、1つあるいは3つ以上でも良い。更に、固定金具の表面に対して垂直のものに限らず、傾斜して配置されていても良い。
【0039】
(5)前記実施形態では、樹脂の注入部を成形品の被覆部におけるコアの上方に設けたが、コアの側方に設けても良いし、ボビン部分に設けても良い。また、コアの上方に注入部を設ける場合でも、固定金具のボビンとは反対側に設けることもできる。固定金具の真上に注入部を設けることは不可能ではないが、樹脂の射出圧力を阻止するには、隔壁を固定金具表面と平行に設ける必要があり、固定金具表面と平行な開口部が成形品の外側面に形成されることになる。すなわち、本発明における固定金具と注入部との間とは、両者間を流れる樹脂の流路上を意味するので、注入部から流入した樹脂が開口部を形成する隔壁に遮られて直接固定金具に当たらないように作用する位置であれば、注入部や隔壁の位置には特に限定はない。
【0040】
(5)固定金具の位置は、リアクトル本体を固定するケースやケースに設けるねじ穴の位置や形状によって適宜変更可能であり、U字型コアの側部や下部に設けることもできる。その場合、隔壁や樹脂の注入部の位置も固定金具の位置に合わせて、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1a,1b…U字型コア
1c,1d…I字型コア
1e…スペーサ
2,3…樹脂成形品
21,31…被覆部
21a,31a…開口部
21b…突起部
21c,31c…注入部
22a,22b,32a,32b…ボビン
4…ケース
51a,51b…コイル
52,53…固定金具
52a,53a…ねじ挿入穴
52b,53b…ブラケット部
62,63…ねじ
70…封止樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7