(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を障害物監視システムに適用した場合の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、同システムを建設工事現場で運用する場合の設置環境の一例を示す。同図では、建築工事現場全体を見渡せる位置にカメラ装置10を設置した上で、このカメラ装置10により得た画像等を、表示装置としてのパーソナルコンピュータ(以下「PC」)20で受信し、後述するモニタリングプログラムにより監視者OBが運用状況を監視している状態を示す。
【0015】
カメラ装置10で撮像する工事現場においては、クレーン車CLが作業中であり、PC20では画面に映し出される画像中の、クレーンブームCBの先端位置を第1の追跡対象物である追跡点TP1、同クレーンブームにより吊り下げられている資材MTの、接触等が起こる可能性の高い1点を第2の追跡対象物である追跡点TP2としてそれぞれ設定するものとする。
【0016】
同様に、PC20の画面で映し出す画像中、前記追跡対象物との干渉を回避するための障害物として、電線EC上の注意点AP1、家屋HSの最も工事現場側に張り出した注意点AP2を設定するものとする。
【0017】
これら各障害物は、設定時に障害物の形状を幾何学的形状として併せて指定することで、数少ない特徴点の位置指定によりそれぞれの設定を簡略化することができる。
【0018】
例えば、電線ECは、工事現場範囲内で映り込んでいる画像中、自重により最も落ち込んでいる位置を注意点AP1としてその他の線上の数点を合わせて位置指定すると共に、それらが「線」であることを形状として指定することにより、横方向に延在した曲線形状の電線ECを認識できる。
【0019】
したがって、その電線ECに対して、接近時に注意を促す注意距離TD1を閾値として設定することで、前記電線ECを軸とした半径TD1の円筒状の範囲が、前記追跡点TP1,TP2が侵入した場合に注意を促す範囲となる。
【0020】
同様に、家屋HSにおいては、工事現場範囲内で映り込んでいる画像中、工事現場側に張り出している注意点AP2ともう一点を併せて位置指定すると共に、それらが地面に鉛直な「面」であることを形状として指定することにより、前記2点を含む、地面に鉛直な面形状の家屋HSの一壁面を認識できる。
【0021】
したがって、その家屋HSの一壁面に対して、接近時に注意を促す注意距離TD2を閾値として設定することで、前記家屋HSの一壁面と平行で距離TD2だけ離れた平面が、前記追跡点TP1,TP2が侵入した場合に注意を促す境界面となる。
【0022】
なお本実施形態では、実像にはない、地表面から作業可能な水平面の高さの範囲も設定できる。これは、例えば空港近郊での作業現場により、航空障害となる地面からの高さが設定されているような場合に有効となる。
【0023】
図2は、前記カメラ装置10と表示装置であるPC20の具体的な外見構成を示す図である。カメラ装置10は、例えばカメラ用の三脚11の雲台に対して支持アーム12を取り付けて構成される。この支持アーム12の両端に、それぞれカメラ13,14を配設してステレオカメラを実現する。
【0024】
これらカメラ13,14の各撮影光軸は、支持アーム12の軸に対してそれぞれ直交し、且つ互いの撮影光軸が同一方向に向いて平行となるように調整されている。さらに支持アーム12の略中央には、この支持アーム12の姿勢角度を検出するための傾斜センサ15が配設される。傾斜センサ15は、例えば3軸加速度センサで構成される。
【0025】
前記支持アーム12に配設されたカメラ13,14での撮像により得られる画像信号、及び傾斜センサ15で得られる姿勢角信号は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルでの有線接続により前記PC20に送られて、PC20側で処理される。
【0026】
PC20は、これらの各入力信号を、後述するモニタリングプログラムにより時間的に継続して処理することにより、3次元空間における被撮影対象である前記追跡点TP1,TP2や注意点AP1,AP2の位置を把握することが可能となる。
【0027】
なお本実施形態では、水平方向に延在する前記電線ECをより正確に認識するために、カメラ装置10の支持アーム12はその軸方向が図示するように鉛直に立てた状態から多少傾斜させた状態で設置させる。その結果、例えば支持アーム12の上方に位置するステレオカメラ13と、同下方に位置するステレオカメラ14は、設置場所の地面の傾斜による影響もあるが、共に撮影光軸が例えば45°〜60°程度の仰角を持って設置され、互いの視差を有効に活用して、精度良く前記電線ECの位置を把握できることになる。
【0028】
この場合、例えば傾斜センサ15を構成する3軸加速度センサの出力から重力加速度成分を検出することで、設置位置の地面が傾斜している場合でも、前記検出結果から水平面を正しく認識することができる。
【0029】
またカメラ装置10からPC20に送信する各信号に関しては、有線接続ではなく、例えばIEEE802.11a/11b/11g/11n(Wi−Fi(登録商標))規格に則った無線LAN技術による送信ユニットをカメラ装置10側に設け、無線通信によりPC20側に伝送することも同様に実現できる。
【0030】
なお、前記ステレオカメラ13,14、傾斜センサ15、及びPC20の各ハードウェア回路の構成自体はきわめて周知の技術であるため、それらの図示及び説明は省略するものとする。
【0031】
次に前記実施形態の動作について説明する。
図3は、カメラ装置10及び表示装置であるPC20を建設工事現場に設置した状態から開始する、前記PC20に予めインストールしたプログラムに基づく監視動作を示すフローチャートである。当該動作は、PC20内のCPUがハードディスク装置等の記録媒体から読出したプログラムをメインメモリ上に展開した上で実行する。その動作開始当初、PC20ではカメラ装置10の傾斜センサ15から3次元空間内での支持アーム12の傾斜角度の情報を取得する(ステップS101)。
【0032】
次にPC20では、監視者OB等により予めPC20内のハードディスク装置等の記憶媒体に記憶させておいた、カメラ装置10に関するキャリブレーションデータ群を読出す(ステップS102)。キャリブレーションの方法自体は一般的に多くの方法があるが、ここで読出すキャリブレーションデータ群の一例を挙げてみる。
カメラ13のレンズの焦点距離:ex)3.5[mm]
カメラ13の撮像素子の対角サイズ:ex)1/2[inch]
カメラ13の撮像素子の画像サイズ:ex)横2048画素×縦1536画素
カメラ14のレンズの焦点距離:ex)3.5[mm]
カメラ14の撮像素子の対角サイズ:ex)1/2[inch]
カメラ14の撮像素子の画像サイズ:ex)横2048画素×縦1536画素
カメラ13,14(の各撮影光軸)間の距離:ex)1200[mm]
カメラ13の画像中心のX,Y方向の座標値、
カメラ14の画像中心のX,Y方向の座標値、
基準座標(地面)からのカメラ13の姿勢(X,Y,Z軸周りの回転角)、
基準座標(地面)からのカメラ14の姿勢(X,Y,Z軸周りの回転角)。
【0033】
前述したように一例として挙げた前記キャリブレーションデータ群を得る方法としては、まず同一のカメラ13,14のセッティング状態で、事前に既知の画像、すなわち視差を生じない、十分に遠方の画像を撮影し、2台のカメラの画像が一致するように2台のカメラの焦点距離の比と姿勢の差(X,Y,Z軸周りの回転角)を、例えば全探索により求める。
【0034】
その後、同一のセッティング状態で、今度は視差を生じる画像を撮影し、画像中で分かっている位置がどこに写るかを数十点計測し、計算される位置が真の位置に近づくようにして求めることで、前記キャリブレーションデータ群を取得できる。
【0035】
キャリブレーションデータ群の算出には、例えば乱数による組合せを初期値として、最急降下法を用いて収束させる。収束後の位置誤差が小さくなるまで、乱数による組合せを変えて繰返す。
【0036】
前記キャリブレーションデータ群を現場で使用するには、事前に少なくとも1回のキャリブレーション(補正)を行なっておく必要がある。
【0037】
キャリブレーションのパラメータとしては、2台のカメラ13,14間の相対的な姿勢を保持しており、同カメラ(座標)を基準として測定した3次元位置を傾斜センサの姿勢角を用いて、基準座標(地面)を基準とする3次元位置に変更する。
【0038】
その後、カメラ13,14での撮影により得られる画像をPC20のディスプレイで表示させた上で、画面中の任意のポイント位置を指定することで、全追跡点、全注意点とその幾何学図形を指定する(ステップS103)。
以上で監視のための初期動作を完了し、カメラ13,14の撮影に基づくモニタリング処理を開始する(ステップS104)。その当初、まず前記ステップS103で設定した追跡点に対し、その点位置を含む所定サイズの矩形範囲を第1のテンプレート画像として保持、設定する(ステップS105)。
【0039】
以後、予め設定されたフレームレート、例えば12[フレーム/秒]であれば約83[ミリ秒]周期で撮影タイミングとなるのを待機する(ステップS106)。
【0040】
撮影タイミングとなったと判断した場合(ステップS106のYES)、PC20ではカメラ13,14による撮影を実行する(ステップS107)。得た画像データから各追跡点と各注意点の位置に関する認識を行ない、その認識結果と1フレーム前の同データを用いて、1フレーム後の時点での3次元空間内の追跡点の位置と注意点との相対位置関係を予測値として演算する(ステップS108)。
【0041】
この場合、特に追跡点の位置の認識に際しては、その時点で設定されているテンプレート画像を用いてパターンマッチングにより類似度が高い位置を探索する。
【0042】
そして、前記算出結果である位置関係の数値を撮影画像の対応する追跡点位置、注意点位置に重畳した画像を作成する一方で、併せてその時点で追跡点と注意点の幾何学図形の相対的な位置関係を3次元(3D)空間でモデリングしたグラフィック画像を作成し、これら作成した2つの画像を同一ディスプレイ内に別ウィンドウとして同時に表示する(ステップS109)。
【0043】
図4は、このときPC20のディスプレイ上で表示される画像を例示する図である。同図では、画面の左下側から中央を含んでそのほとんど全面で、第1のウィンドウW1として監視画像と付随データを表示する一方で、画面の右下側の小さな範囲で、第2のウィンドウW2としてグラフィック画像による3Dモデリング画像を表示している。
【0044】
前記第1のウィンドウW1の監視画像においては、左側2/3以上の領域を使って、前記
図1で示した例とは異なる、追跡点TP1と注意点AP1〜AP3を含んだ実監視画像を表示している。追跡点TP1においては、その3次元空間での仮想座標値((x=)−1.4,(y=)+27.2,(z=)+26.0)の例を用いている。さらに後述する如く同様の処理を時間的に連続して繰返すことにより、追跡点1の移動軌跡を合わせて表示している。
【0045】
また、同第1のウィンドウW1の右側では、前述した追跡点の前記3次元空間内での仮想座標値に加えて、前記注意点AP1〜AP3を含む注意面までの距離と、地表面からの実像にはない水平面での上限高さを設定した管理高、例えば45.0[m]に対する現在の追跡対象点TP1からの高さ(y)方向の距離17.8[m]、前記
図1の注意距離TD1,TD2に該当する一律の注意距離2.0[m]、カメラ装置10の2台のカメラ13,14の中間高さ0.8[m]、カメラ13,14の撮影光軸に対する水平角との各値を表示すると共に、画像の記録、追跡の停止または再開、全動作の終了を指示するための各種指示項目を表示している。
【0046】
さらに、同第1のウィンドウW1の右端において、追跡対象点TP1をより正確に認識するための、後述するテンプレート画像をいくつか、例えば5つ表示しており、その時点で選択しているテンプレート画像を他のテンプレート画像と区別するべく、例えば枠線を付加して表示する。
【0047】
一方の第2のウィンドウW2では、追跡点の点位置と、各注意点を含むそれぞれ指定した幾何学形状との位置関係がグラフィック画像により3Dモデリング画像で表示される。このモデリング画像は、3Dに限らず、平面化した2次元(2D)としても切換て表示させることが可能であると共に、視点位置も前記カメラ装置10の位置から見た画像のみならず、任意の位置に移動させて、表示される画像を回転させることが可能となる。
【0048】
なお、前記PC20のディスプレイ上で表示させる第1のウィンドウW1と第2のウィンドウW2は、それぞれのウィンドウの大きさと位置、2つのウィンドウで重複した部分の優先関係等を監視者OBが任意に切換え、あるいは可変できる。
【0049】
前記ステップS109での処理によりディスプレイ画面での表示を行なった後、PC20では、直前の前記ステップS108で算出した、各追跡点から各注意点までの距離が、予め設定した、閾値としての注意距離(例えばTD1,TD2)以下であるか否かにより、追跡点が注意点へ近付きすぎたことによる報知を行なう必要があるか否かを判断する(ステップS110)。
【0050】
ここで各追跡点から各注意点までの距離が、予め設定した、閾値としての注意距離(例えばTD1,TD2)以下であった場合(ステップS110のYES)、PC20では注意点から効率的に追跡点を離間させる方向を算出して前記第1のウィンドウW1の監視画像上に重畳して表示させる(ステップS111)。
【0051】
合わせてPC20では、スピーカ部を用いてアラーム音を報知するなど、予め設定しておいた報知方法に基づいて追跡点が注意点に近付きすぎていることをアラーム報知する(ステップS112)。
【0052】
また前記ステップS110において、各追跡点から各注意点までの距離が、予め設定した、閾値としての注意距離より大きかった場合(ステップS110のNO)には、アラーム報知を行なう必要がないため、その時点ですでにアラーム報知中である場合にのみ、同報知を解除する処理を実行する(ステップS113)。
【0053】
前記ステップS112またはS113での処理後、次いでその時点で選択している追跡点のテンプレート画像を、2フレーム前及び1フレーム前の追跡点近傍の各画像を外挿してパターンマッチングによる類似度を探索し、相関値を算出する(ステップS114)。相関値の算出に際して具体的には、類似度としてカラー画像のRGB各原色信号毎の正規化相関を用いる。
【0054】
この場合、2フレーム前の追跡点の位置と1フレーム前の追跡点の位置から現フレームでの追跡点の位置を予測し、予測した位置と、現フレームで認識した追跡点の位置とを比較する。そして、予測した位置から実際の追跡点の位置が離れている場合には、その度合いに応じて、現フレームの追跡点近傍とその時点で選択しているテンプレート画像から算出した相関値を下げるよう補正する。
【0055】
こうして補正した相関値が、予め用意した相関値の閾値以下であるか否かにより、参考とするテンプレート画像の切換えが必要であるか否かを判断する(ステップS115)。
【0056】
ここで相関値が閾値より大きいと判断した場合(ステップS115のNO)、テンプレート画像の切換えは必要ないものとして、再び次の撮影タイミングに備えるべく前記ステップS106からの処理に戻る。
【0057】
また前記ステップS115において、補正した相関値が閾値以下であると判断した場合(ステップS115のYES)、参考とするテンプレート画像の切換えが必要であるものとして、次に現フレームの画像中の追跡点近傍と、その時点で保持しているすべてのテンプレート画像との各相関値を算出する(ステップS116)。
【0058】
それらの算出結果に基づき、前記閾値より高い相関値が算出されたテンプレート画像が少なくとも1つあったか否かを判断する(ステップS117)。
【0059】
ここで前記閾値より高い相関値が算出されたテンプレート画像が少なくとも1つあったと判断した場合(ステップS117のYES)、PC20ではそれらテンプレート画像の中で最も相関値が高いと判断したものを選択し、その選択したテンプレート画像を次の相関値の比較に用いるべく切替えて設定した上で(ステップS118)、再び次の撮影タイミングに備えるべく前記ステップS106からの処理に戻る。
【0060】
また前記ステップS117において、前記閾値より高い相関値が算出されたテンプレート画像が1つもなかったと判断した場合、PC20では直前の撮影画像中の追跡点近傍の所定サイズの矩形範囲を新たなテンプレート画像として切替えて設定した上で(ステップS119)、再び次の撮影タイミングに備えるべく前記ステップS106からの処理に戻る。
【0061】
このように、追跡点が示す追跡対象物の移動に伴ってその形状が変化し、あるいは追跡対象物の背景の画像が変化する場合であっても、前記したテンプレート画像との類似度を相関値として常時算出し、必要に応じて、より相関値が高い他のテンプレート画像に切替えるように制御することで、前記追跡点近傍の画像の変化に確実に追従して、高い認識状態を維持できる。
【0062】
なお前記説明では接続の便宜上、前記ステップS106〜S113での追跡点と注意点との距離の算出とその算出結果から必要に応じたアラーム報知を行なう処理と、前記ステップS114〜S119でのテンプレート画像による追跡点近傍の画像の相関値算出に伴うテンプレート画像の切替え設定を行なう処理とを、1つの流れに基づいて行なう場合について例示したが、実際にはこれらの処理は平行して処理することで、常に追跡点近傍の画像と相関値の高いテンプレート画像を用いた認識を行ない、高い精度で追跡点の位置を算出できる。
【0063】
加えて、カメラ13,14で得た両画像の視差から3次元位置を検出するに際しては、最も相関が高い画素位置から隣接する1画素ずらした相関値を用いて比例配分して例えば1/10画素単位で補間することにより、仮想的に画素解像度を10倍として視差を求めた上で位置の検出を行なうようこととなり、追跡点、注意点共に高い精度での位置検出が実現できる。
【0064】
なお前記実施形態にあっては、単にテンプレート画像を切替えて設定するものとして説明したが、撮影画像が外乱の影響を受け、短い期間で多くのテンプレート画像を追加されるのを防ぐため、テンプレート画像を切替えて設定した後も、一定時間、例えば2秒間はその前に使用していたテンプレート画像と合成したテンプレート画像を用いるようにしても良い。
【0065】
また、テンプレート画像を追加し、あるいは切替えるタイミングなど、類似度の相関値が低下すると思われるタイミングでは、撮影画像中からテンプレート画像を用いて追跡点を探索する範囲を一時的に広げることで、テンプレートの変更などに伴って対象とする追跡点の画像が認識できなくなる可能性を極力排除するようなフェイルセーフ機能を採用することも考えられる。
【0066】
以上詳述した如く本実施形態によれば、可搬性と汎用性に優れ、クレーン装置等の追跡対象物と障害物との位置関係を外部から正確に把握することが可能となる。
【0067】
また前記実施形態では、追跡点と注意点との位置関係について、少なくとも一方が移動体であり、位置関係が時々刻々変化するものとして、時間的に連続した監視を行なう過程で、それまでの移動状態から予測される一定時間後の位置関係を算出するものとしたので、追跡対象物と障害物との位置関係を外部からより正確に把握できる。
【0068】
加えて前記実施形態では、位置関係を示す数値等のみならず、移動体の移動軌跡を画像上で表示することにより、監視者が視覚的にも移動状態を把握し易くなる。
【0069】
特に前記位置関係を示す情報として、3次元空間での距離値を表示することで、監視者が予め3次元座標の各軸方向を把握しておくだけで、より具体的な情報により指示を出し易くなる。
【0070】
またPC20で表示画面中の障害物の位置を例えばポイント指定すると、その障害物に関する追跡対象物との3次元空間での距離値のみを表示させるようにもできるため、表示画像が繁雑化することなく、その時点で注意すべき障害物との位置関係のみに専念できる。
【0071】
さらに前述した如く、実画像中にはない障害物として水平面の高さ情報を設定するも可能としたので、例えば航空障害の設定がなされているような地域での作業にも対応できる。
【0072】
前記追跡対象物及び障害物の位置をそれぞれ幾何学的形状により規定して計算を行なうことにより、演算量を削減して装置の負担を軽減できる。
【0073】
加えて、前記
図4の第2のウィンドウW2でも示した如く、表示画像においても幾何学的形状に基づいたモデリング画像を表示することで、作業環境をより客観的に示して、把握が容易となる。
【0074】
その場合、カメラ装置10での撮像により得た実画像と並設して、すべての追跡対象物及び障害物の幾何学的な2次元または3次元のモデリング画像を表示させることにより、作業可能な2次元または3次元でのエリアを明確に示すことができる。
【0075】
なお前記実施形態では、障害物からの注意距離を閾値として設定することで、当該距離を安全係数として勘案した作業の運用が可能となり、予め任意の注意距離を設定することで、監視者の判断に要する負担を軽減できる。
【0076】
なお前記実施形態では示さなかったが、前記動作における作業の表示内容を、当該プログラムの制御に基づいて、例えばPC20内のハードディスク装置等の記録媒体にデータファイル化して記憶しておくことも容易に実現可能であり、作業状況を記録して、後の検証等に活用できる他、あらたな注意点を追加した上でのシミュレーション等にも適用可能となる。
【0077】
また前記実施形態では、障害物からの注意距離に設定した閾値より追跡対象物が接近した場合にはアラーム報知するものとしたので、監視者は障害物との接触を回避するべく即時指示等を行なうことができる。
【0078】
その場合、単にアラーム報知を行なうだけではなく、前記追跡対象物と前記障害物の3次元空間での距離に基づいて、追跡対象物が障害物が離間する修正方向等の指示を合わせて出力することにより、監視者の負担を軽減しながら適正な指示を与えることができる。
【0079】
なお前記実施形態では、必要に応じて作成するテンプレート画像とのパターンマッチング処理により撮影画像中から追跡対象物の位置を探索して認識するものとしたので、該テンプレート画像の更新に応じて、追跡対象物の形状等が移動等によって変化し、あるいは追跡対象物の背景となる画像が天候等により変化するような場合でも追従して認識し続けることが可能となる。
【0080】
加えて前記実施形態では、前記パターンマッチング処理により画像情報中の追跡対象物の位置を認識する際のテンプレート画像との類似度を相関値として算出し、算出した類似度に応じて、テンプレート画像の追加保持、及び保持した複数のテンプレート画像からのパターンマッチング処理に用いるテンプレート画像の選択を制御するものとしたので、常にその時点で得られる最も類似度の高いテンプレート画像を用いて正確に追跡対象物を認識できる。
【0081】
また前記実施形態において、カメラ装置10のカメラ13,14が、撮影画角及び焦点距離を可変する光学ズーム機能を有し、PC20側から必要に応じてカメラ13,14の撮影画角及び焦点距離を任意に可変設定できるようにすれば、追跡対象物の探索範囲を可変することで、監視範囲の大きさやカメラ装置10の設置位置からの距離、あるいは監視時に特に注目する障害物を特定する場合など、時々の要求に応じて最適な撮影画角及び焦点距離を設定して、常に追跡対象物と障害物との位置関係を外部から正確に把握することが可能となる。
【0082】
さらに本実施形態では、監視者OB等によりPC20内の媒体にカメラ装置10に関するキャリブレーションデータ群を記憶させておき、監視作業時には記憶させたキャリブレーションデータ群を読出してから監視作業の動作を開始するものとしたので、作業現場での繁雑な初期作業を簡略化できる。
【0083】
なお前記実施形態では、傾斜センサ15を3軸加速度センサで構成する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、X軸とY軸の2軸の傾斜センサでも実現できる。
【0084】
さらに前記実施形態では示さなかったが、カメラ装置10自体を移動体に搭載した状態で監視作業に運用することも考えられる。その場合、カメラ装置10を搭載した移動体の移動方向と移動速度、さらにカメラ装置10の三脚11の雲台を回動する場合はその回動角度情報を検出し、撮影画像と傾斜情報と合わせてPC20に送信することで、PC20側では作業現場の領域内におけるカメラ装置10と追跡対象物、障害物の相対的な位置関係を把握できる。
【0085】
また、カメラ装置10に設けるカメラの数は2台に限らず、3台以上であっても良い。その場合、視差を得るためになるべく多数のカメラを相互の間隔を空けて設置することにより、追跡対象物及び障害物の形状をより正しく認識できるようになるが、その反面、撮影画像に対する演算処理量は増大するため、構築するシステムの規模に応じて台数を選定することが必要となる。
【0086】
その他、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、前述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。前述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。