(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、医用画像処理システム10は、医用画像処理装置12と、クライアント端末14と、を備える。クライアント端末14は、ネットワーク16を介して医用画像処理装置12と接続されている。ネットワーク16は、例えば、LAN(Local Area Network)などの特定のエリアのネットワークでもよいし、インターネットなどの公共ネットワークでもよい。
【0009】
医用画像処理装置12は、医用画像の生成、及び、生成した医用画像の保管を行う。また、医用画像処理装置12は、クライアント端末14からの要求に応じて、保管した医用画像をクライアント端末14に配信する。
【0010】
このように、医用画像処理システム10は、クライアント端末14から医用画像処理装置12にアクセスすることにより、医用画像処理装置12で生成された医用画像をクライアント端末14で参照できるようにしたシステムである。
【0011】
医用画像処理システム10は、例えば、医用画像の読影に用いられる。医用画像処理システム10は、例えば、医用画像を参照しながら医師が患者に説明を行う場合や、医用画像を参照しながら医師が手術計画を立案する場合などに用いてもよい。
【0012】
医用画像処理装置12は、例えば、CT(Computed Tomography)、MRI(magnetic resonance imaging)またはPET(positron emission tomography)などのモダリティ装置である。換言すれば、この例において、医用画像処理装置12は、医用画像収集装置である。医用画像処理装置12は、一検査に対して複数の医用画像を生成する。医用画像処理装置12の生成する医用画像は、例えば、断層画像である。
【0013】
また、医用画像処理装置12は、例えば、医用デジタル画像と通信に関する標準規格であるDICOM(Digital Imaging and COMmunications)規格に準拠している。医用画像処理装置12は、例えば、DICOM規格のファイル形式で医用画像を生成する。
【0014】
医用画像処理装置12は、例えば、被検者を支持する寝台20と、被検者の撮影を行う撮影部21と、寝台20及び撮影部21の動作を制御する制御装置22と、を含む。
【0015】
撮影部21は、例えば、ガントリと呼ばれる。医用画像処理装置12がCTである場合、撮影部21は、放射線を照射する管球と、管球から照射された放射線を受ける検出器と、を含む。撮影部21は、被検者を撮影し、医用画像の基となる基データを取得する。
【0016】
基データは、例えば、画像データになる前の生データである。例えば、CTの場合、生データは、検出器で検出された放射線の投影データである。MRIの場合、生データは、RFコイルで受信された磁気共鳴信号である。撮影部21は、一検査において、複数の基データを取得する。医用画像処理装置12は、複数の基データから複数の医用画像を生成する。医用画像処理装置12は、例えば、複数の基データを基に、異なる位置の複数の断層画像を生成する。
【0017】
基データは、例えば、生データから生成された高解像度の画像データなどでもよい。医用画像処理装置12は、例えば、画像データに画像処理を施して別の医用画像を生成してもよい。医用画像処理装置12の生成する医用画像は、例えば、エッジ抽出を行った画像や3次元画像などでもよい。
【0018】
このように、医用画像処理装置12の行う医用画像の生成処理は、生データから医用画像を生成する再構成処理でもよいし、画像データから別の医用画像を生成する画像処理でもよい。
【0019】
制御装置22は、例えば、コンソールと呼ばれる。制御装置22は、例えば、種々の制御を行う本体部22aと、本体部22aの制御に応じて種々の操作画面などを表示する表示部22bと、本体部22aに種々の操作指示を入力する入力部22cと、を含む。入力部22cは、例えば、キーボードやマウスなどである。
【0020】
クライアント端末14は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどである。クライアント端末14は、タブレット端末などの携帯型の端末でもよい。クライアント端末14は、ネットワーク16に有線で接続してもよいし、ネットワーク16に無線で接続してもよい。クライアント端末14は、医師や技師などに操作され、医用画像の参照に用いられる任意の端末でよい。
【0021】
この例では、複数台のクライアント端末14が、ネットワーク16に接続されている。ネットワーク16に接続されるクライアント端末14は、1台でもよい。また、この例では、1台の医用画像処理装置12が、ネットワーク16に接続されている。例えば、複数台の医用画像処理装置12をネットワーク16に接続してもよい。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、医用画像処理装置12は、制御部30と、基データ保管部31と、基データ管理部32と、画像生成部33と、画像データ保管部34と、画像データ管理部35と、画像生成要求管理部36と、を含む。これらの各部は、例えば、医用画像処理装置12において、制御装置22に設けられる。より詳しくは、制御装置22の本体部22aに設けられる。
【0023】
制御部30は、医用画像処理装置12の各部を統括的に制御する。制御部30は、例えば、プロセッサとシステムメモリとを含み、システムメモリに記憶されたプログラムを逐次処理することによって、医用画像処理装置12の各部を制御する。また、制御部30は、ネットワーク16を介してクライアント端末14と接続されている。制御部30は、クライアント端末14と各種の情報を通信する。制御部30は、例えば、DICOMサーバの機能を医用画像処理装置12に提供する。
【0024】
基データ保管部31は、検査で取得された基データ40を保管する。基データ保管部31は、例えば、撮影部21で取得された基データ40を保管する。基データ40は、1回の検査で複数取得される。基データ保管部31は、複数の検査のそれぞれにおいて取得された複数の基データ40を保管する。
【0025】
基データ管理部32は、基データ保管部31に保管された各基データ40を管理する。基データ管理部32は、例えば、各基データ40のそれぞれにタグ情報として付与された検査IDなどに基づいて、各基データ40を検査毎に管理する。前述のように、1回の検査において、複数の基データ40が取得される。一検査分の各基データ40は、例えば、検査IDによって互いに関連付けられる。各基データ40は、例えば、検査IDの他に、DICOM規格で予め用意された患者IDなどの各種のタグ情報を含む。基データ管理部32は、タグ情報に限ることなく、例えば、基データ40の識別情報と検査の識別情報とを関連付けたテーブルデータなどに基づいて、各基データ40を管理してもよい。
【0026】
画像生成部33は、基データ保管部31に保管された各基データ40から医用画像42を生成する。画像生成部33は、例えば、基データ管理部32から一検査分の各基データ40を受信し、受信した各基データ40を基に、一検査分の複数の医用画像42を生成する。画像生成部33は、例えば、生データの各基データ40を再構成することにより、医用画像42を生成する。画像生成部33は、例えば、画像データの各基データ40に画像処理を施すことにより、医用画像42を生成してもよい。
【0027】
画像データ保管部34は、画像生成部33が生成した各医用画像42を保管する。基データ保管部31及び画像データ保管部34は、例えば、HDD(Hard disk drive)などのストレージユニットである。
【0028】
画像データ管理部35は、画像データ保管部34に保管された各医用画像42を管理する。画像データ管理部35は、基データ管理部32と同様に、タグ情報やテーブルデータなどを基に、各医用画像42を検査毎に管理する。
【0029】
画像生成要求管理部36は、画像生成部33に医用画像42の生成を要求するための要求情報44を管理する。医用画像42の再構成を行う場合、要求情報44は、例えば、医用画像処理装置12(撮影部21)で検査が行われる毎に、画像生成要求管理部36に記憶される。また、画像処理で医用画像42を生成する場合、要求情報44は、例えば、基データ保管部31に一検査分の各基データ40が保管された際に、画像生成要求管理部36に記憶される。要求情報44は、例えば、検査ID、生成する医用画像42の枚数の情報、及び、医用画像42の生成に必要な画像生成条件の情報などを含む。画像生成条件とは、例えば、再構成関数などの医用画像42の生成に必要な各種のパラメータなどである。
【0030】
要求情報44は、例えば、検査情報などに基づいて制御部30で生成され、画像生成要求管理部36に記憶される。例えば、基データ40を医用画像処理装置12の外部から入力する場合には、要求情報44も外部から入力してもよい。画像生成部33は、画像生成要求管理部36から要求情報44を読み出す。そして、画像生成部33は、その要求情報44に対応する検査の基データ40を基データ保管部31から読み出し、要求情報44に基づいて医用画像42を生成する。画像生成部33は、生成した医用画像42を画像データ保管部34に保管する。
【0031】
画像生成要求管理部36は、複数の要求情報44を記憶することができる。画像生成部33は、画像生成要求管理部36に複数の要求情報44が記憶されている場合、古い要求情報44から順に読みだして医用画像42の生成を行う。画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44は、例えば、画像生成部33が一検査分の複数の医用画像42を生成し終えた後に、画像生成要求管理部36から消去される。要求情報44は、例えば、再構成キューである。
【0032】
制御部30は、クライアント端末14からの要求に応じて、画像データ保管部34に医用画像42が保管されている各検査の検査リスト情報を作成する。そして、制御部30は、作成した検査リスト情報を要求基のクライアント端末14に配信する。検査リスト情報は、例えば、検査毎のコメント欄の項目を含む。
【0033】
制御部30には、端末情報46が記憶されている。制御部30は、クライアント端末14から検査リストの取得要求を受信すると、端末情報46を基に、検査リスト情報の作成を行う。
【0034】
図3は、端末情報の一例を表す模式図である。
図3に表したように、端末情報46は、クライアント端末14の識別情報と、画像生成中の検査の提示の可否を示す提示可否情報と、医用画像42を生成中であることのコメントの提示の要否を示すコメント要否情報と、を関連付けて記憶している。
【0035】
クライアント端末14の識別情報には、例えば、IPアドレス、マックアドレスまたはDICOM AE Titleなどが用いられる。識別情報は、クライアント端末14を識別可能な任意の情報でよい。
【0036】
端末情報46に関連付けて記憶される情報は、上記に限定されるものではない。端末情報46は、クライアント端末14毎に合わせた処理を実行するための他の情報をさらに含んでもよい。また、例えば、全てのクライアント端末14において画像生成中の検査を提示する場合には、端末情報46に提示可否情報を含めなくてもよい。例えば、画像生成中の検査を提示する全てのクライアント端末14において、画像生成中のコメントを提示する場合には、端末情報46にコメント要否情報を含めなくてもよい。すなわち、端末情報46には、提示可否情報とコメント要否情報との少なくとも一方が、クライアント端末14の識別情報と関連付けられていればよい。
【0037】
制御部30は、クライアント端末14から検査リスト取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる検索条件を基に、対応する検査の情報を画像データ管理部35から取得する。制御部30は、例えば、検索条件の情報を画像データ管理部35に入力する。検索条件には、例えば、患者ID、患者名、検査日時などが用いられる。画像データ管理部35は、例えば、各医用画像42のタグ情報と検索条件の情報とを照合することにより、画像データ保管部34に医用画像42が保管された各検査の中から、入力された検索条件に適合する検査を抽出し、抽出結果を制御部30に出力する。例えば、検索条件が検査日時である場合、その検査日時に実施された検査を抽出し、その検査の情報を制御部30に出力する。画像データ管理部35は、例えば、抽出した検査の検査IDを制御部30に出力する。
【0038】
また、制御部30は、クライアント端末14から検査リスト取得要求を受信すると、端末情報46を参照し、要求基のクライアント端末14の提示可否情報及びコメント要否情報を確認する。端末情報46の参照は、画像データ管理部35から検査の情報を取得した後でもよいし、検査の情報を取得する前でもよい。
【0039】
例えば、図中の「AAA」のクライアント端末14のように、提示可否情報が「可」で、コメント要否情報が「否」である場合、制御部30は、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報をそのまま検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0040】
「BBB」のクライアント端末14のように、提示可否情報が「可」で、コメント要否情報が「要」である場合、制御部30は、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照する。制御部30は、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれているか否かを判定する。すなわち、制御部30は、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報に、医用画像42の生成途中の検査が、含まれているか否かを判定する。
【0041】
制御部30は、含まれていないと判定した場合、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報をそのまま検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。一方、制御部30は、含まれていると判定した場合、その検査の検査コメント欄に、画像生成中であることを示すコメントを追記する。この後、制御部30は、コメントを追記した分を含む各検査の情報を検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0042】
このように、制御部30は、検査の情報を取得した後、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照し、要求情報44の示す検査が検査の情報に含まれているか否かを判定し、含まれている場合に、該当する検査が画像生成中であることを示す指示情報を検査リスト情報に含め、指示情報を含む検査リスト情報を要求基のクライアント端末14に配信する。
【0043】
この例では、コメントを指示情報として検査リスト情報に追加している。指示情報は、これに限ることなく、例えば、画像生成中を示す特定のアイコン(図柄)などでもよい。指示情報は、該当する検査が画像生成中であることを示すことが可能な任意の情報でよい。
【0044】
「CCC」のクライアント端末14のように、提示可否情報が「不可」である場合、制御部30は、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照し、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれているか否かを判定する。
【0045】
制御部30は、含まれていないと判定した場合、画像データ管理部35の抽出した各検査の情報をそのまま検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。一方、制御部30は、含まれていると判定した場合、画像データ管理部35の抽出した各検査から画像生成要求管理部36に要求情報44が記憶されている検査を除外し、除外後の各検査の情報を検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。すなわち、制御部30は、提示可否情報が「不可」である場合に、画像生成要求管理部36に要求情報44が記憶されている検査の情報を検査リスト情報から除外する。
【0046】
図4は、検査リストの一例を表す模式図である。
図4に表しように、クライアント端末14は、医用画像処理装置12の制御部30から検査リスト情報を取得すると、その検査リスト情報に基づく検査リストELを表示部に表示する。検査リストELには、例えば、患者ID、患者名、検査日、及び、検査コメントなどが含まれる。検査リストELに含まれる情報は、これらに限ることなく、クライアント端末14のユーザ(医師や技師など)が所望の検査を抽出可能な任意の情報でよい。
【0047】
クライアント端末14のユーザは、例えば、検査リストELが表示された後、その検査リストELから所望の検査を選択する。クライアント端末14は、ユーザの選択した検査の情報を医用画像処理装置12に送信する。
【0048】
医用画像処理装置12の制御部30は、クライアント端末14から検査の情報を受信すると、その検査に対応する各医用画像42を画像データ保管部34から読み出す。そして、制御部30は、読み出した各医用画像42を要求基のクライアント端末14に配信する。これにより、クライアント端末14において、所望の検査の各医用画像42を参照することができる。例えば、各医用画像42の読影を行うことができる。
【0049】
次に、医用画像処理装置12の作用について説明する。
図5は、医用画像処理装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図5に表したように、医用画像処理装置12の制御部30は、クライアント端末14から検査リスト取得要求を受信する(ステップS1)。制御部30は、検査リスト取得要求を受信すると、その取得要求に含まれる検索条件を画像データ管理部35に入力し、対応する検査の情報の取得を画像データ管理部35に要求する。
【0050】
画像データ管理部35は、検索条件を受信すると、その検索条件に適合する検査を抽出し、抽出した検査の情報を制御部30に出力する。これにより、制御部30は、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を画像データ管理部35から取得する(ステップS2)。
【0051】
制御部30は、検査リスト取得要求を受信した後、端末情報46を参照する(ステップS3)。制御部30は、例えば、検査リスト取得要求に含まれる要求基のクライアント端末14の識別情報を基に、端末情報46を参照する。これにより、制御部30は、要求基のクライアント端末14の提示可否情報を確認する。
【0052】
制御部30は、要求基のクライアント端末14の提示可否情報を確認し、提示可否情報が「可」であるか否かを判定する(ステップS4)。制御部30は、「可」であると判定した場合、要求基のクライアント端末14のコメント要否情報を確認する。そして、制御部30は、コメント要否情報が「要」であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0053】
制御部30は、「要」であると判定した場合、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照する(ステップS6)。そして、制御部30は、画像データ管理部35の抽出した検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれているか否かを判定する(ステップS7)。
【0054】
制御部30は、含まれていると判定した場合、その検査の検査コメント欄に、画像生成中であることを示すコメントを追記する(ステップS8)。制御部30は、コメントの追記の後、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を、検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する(ステップS9)。
【0055】
制御部30は、ステップS7において、含まれていないと判定した場合、コメントの追記を行うことなくステップS9に進み、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を、検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0056】
制御部30は、ステップS5において、コメント要否情報が「否」である判定した場合、ステップS9に進み、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を、検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0057】
制御部30は、ステップS4において、提示可否情報が「不可」であると判定した場合、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照する(ステップS10)。そして、制御部30は、画像データ管理部35の抽出した検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれているか否かを判定する(ステップS11)。
【0058】
制御部30は、含まれていると判定した場合、画像データ管理部35の抽出した各検査から画像生成要求管理部36に要求情報44が記憶されている検査を除外する(ステップS12)。制御部30は、画像生成中の検査を除外した後、ステップS9に進み、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を、検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0059】
また、制御部30は、ステップS11において、含まれていないと判定した場合、画像生成中の検査の除外を行うことなくステップS9に進み、検査リスト取得要求に対応した検査の情報を、検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。
【0060】
クライアント端末14は、検査リスト情報を取得した後、その検査リスト情報に基づく検査リストELを表示部に表示する。クライアント端末14が、提示可否情報が「可」で、コメント要否情報が「要」であり、かつ医用画像42の生成途中の検査が含まれている場合、画像生成中であることを示すコメントが、検査コメント欄に表示される。
【0061】
これにより、当該検査において、まだ生成されていない医用画像42があることを、クライアント端末14のユーザに即座に認識させることができる。これにより、医用画像42の見落としを抑制することができる。また、クライアント端末14は、例えば、DICOM規格に準拠して検査リストELの表示を行う。検査コメント欄は、DICOM規格などにおいて、予め用意された項目である。従って、クライアント端末14の変更を要することなく、医用画像処理装置12側の変更のみで、医用画像42の見落としを適切に抑制することができる。
【0062】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置12の医用画像処理方法は、検査の情報を取得した後、画像生成要求管理部36に記憶された要求情報44を参照し、要求情報44の示す検査が検査の情報に含まれているか否かを判定する工程を含む(ステップS6、S7)。医用画像処理方法は、含まれている場合に、該当する検査が画像生成中であることを示す指示情報を検査リスト情報に含める工程をさらに含む(ステップS8)。医用画像処理方法は、指示情報を含む検査リスト情報をクライアント端末14に配信する工程をさらに含む(ステップS9)。
【0063】
例えば、クライアント端末14で読影作業を実施する場合、一検査分の全画像が揃っている必要がある。医用画像処理装置12では、常に新しい医用画像42が発生している。このため、クライアント端末14から指定された検索条件に対応する検査を単純に提示すると、全画像が揃っていない状態で、読影が開始されてしまう可能性がある。すなわち、読影作業において、一検査分の複数の医用画像42の一部が、見落とされてしまう恐れがある。医用画像42の見落としは、例えば、病変部の見落としにつながる。
【0064】
これに対して、本実施形態に係る医用画像処理装置12では、画像生成中の検査が検査リスト情報に含まれる場合に、画像生成中であることを示すコメントを検査コメント欄に追記する。これにより、上記のように、医用画像42の見落としを抑制することができる。例えば、一検査の全画像が揃っていない状態で読影作業が開始されてしまうことを抑制することができる。
【0065】
医用画像の見落としを抑制する技術として、例えば、医用画像処理装置とは別に、医用画像を保管する医用画像サーバをシステムに設けることが考えられる。例えば、医用画像サーバ内に検査種毎の画像数に関するテーブルを予め用意しておく。そして、このテーブルに記憶された画像数と実際に生成されている画像数とを比較し、検査下の全画像が揃っている検査のみをクライアント端末に提示する。
【0066】
しかしながら、医用画像サーバは高価であり、診療所や小規模な病院などの医療機関では、医用画像サーバを設置できない場合がある。また、近年では、読影医の不足も問題になっており、特に救急時の読影などにおいて、クライアント端末(読影用端末)からモダリティ装置などに直接アクセスして医用画像を参照するケースも増加している。
【0067】
例えば、RIS(Radiology Information System)サーバに対する検査情報取得要求や検査終了通知要求などを利用して、医用画像の見落としを抑制することも考えられる。しかしながら、検査終了通知は、必ずしも画像生成が完了してから通知されるとは限らない。また、RISサーバは高価であり、医療機関によっては、RISサーバを設置することができない。さらに、RISサーバとの通信機能をクライアント端末に持たせることも、新たなコストを生む。
【0068】
本実施形態に係る医用画像処理装置12では、医用画像サーバやRISサーバなどを別途設ける必要がない。従って、医用画像サーバやRISサーバを設ける場合と比べて、簡易な構成で医用画像42の見落としを抑制することができる。例えば、比較的低コストで、医用画像42の見落としを抑制することができる。医用画像処理装置12をモダリティ装置とすることで、救急時対応の要望にも応えることができる。さらには、クライアント端末14側に変更を加えることなく、医用画像42の見落としを抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る医用画像処理装置12では、画像生成中の検査を提示するか否か、及び、途中であることを提示するか否かを、クライアント端末14毎に選択することができる。これにより、例えば、クライアント端末14のユーザの好みなどに応じた検査リストELの表示を行うことができる。例えば、医用画像処理システム10の利便性をより高めることができる。
【0070】
図6は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、医用画像処理装置50の制御部30は、画像生成情報52をさらに記憶している。
【0071】
図7は、画像生成情報の一例を表す模式図である。
図7に表したように、画像生成情報52は、画像生成条件の情報と、画像n枚当たりの生成時間の情報と、を関連付けて記憶している。画像生成条件の情報とは、例えば、再構成関数など、医用画像42の生成に必要な情報である。
【0072】
この例において、制御部30は、画像生成中であることを示すコメントを検査コメント欄に追記する場合に、要求情報44に含まれる画像生成条件の情報を基に、画像生成情報52を参照する。制御部30は、要求情報44に含まれる枚数の情報と、画像生成情報52に含まれる生成時間の情報と、を基に、一検査分の複数の医用画像42の生成に要する時間を算出する。制御部30は、算出した時間を基に、画像生成の完了予定時刻を算出する。そして、制御部30は、算出した完了予定時刻を、画像生成中であることを示すコメントとして検査コメント欄に追記する。このように、制御部30は、該当する検査の画像生成の完了予定時刻を算出し、完了予定時刻をコメントとして検査リスト情報に含める。例えば、画像生成要求管理部36に複数の要求情報44が記憶されている場合には、該当する検査の前までの各要求情報44のそれぞれの画像生成の時間を算出し、各検査の時間の総和から完了予定時刻を算出する。
【0073】
図8は、検査リストの変形例を表す模式図である。
図8に表しように、この例においては、クライアント端末14が検査リストELを表示部に表示する際に、画像生成の完了予定時刻が、検査コメント欄に表示される。これにより、当該検査において、生成途中の医用画像42があることを、クライアント端末14のユーザに認識させることができるとともに、その医用画像42の生成の完了予定時刻を報知することができる。例えば、医用画像処理システム10の利便性をより高めることができる。
【0074】
例えば、完了予定時刻の提示が必要か否かを示す情報を端末情報46に含める。これにより、完了予定時刻を提示するか否かをクライアント端末14毎に選択できるようにしてもよい。すなわち、完了予定時刻を検査リストELに表示するか、「画像生成中」のコメントのみを検査リストELに表示するかを、クライアント端末14毎に選択できるようにしてもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置を模式的に表すブロック図である。
図9に表したように、医用画像処理装置60は、予約情報保管部61と、検査予約管理部62と、をさらに含む。また、医用画像処理装置60では、制御部30が、検査時間情報66をさらに記憶している。なお、機能・構成上、上記第1の実施形態と実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0076】
予約情報保管部61は、検査予約情報64を保管する。検査予約情報64は、例えば、医用画像処理装置60で実施される検査の予約状況を表す。例えば、別のモダリティ装置で検査を行い、医用画像処理装置60で医用画像42の生成のみを行う場合には、別のモダリティ装置で実施される検査を検査予約情報64に含めてもよい。検査予約情報64は、例えば、検査ID、患者ID、患者名、検査日時、検査種、撮影枚数、及び、画像生成条件など、検査の実施に必要な各種の情報を含む。
【0077】
検査予約管理部62は、予約情報保管部61に保管された検査予約情報64を管理する。検査予約管理部62は、例えば、検査予約情報64に含まれる検査IDや患者IDなどに基づいて、検査予約情報64を管理する。
【0078】
検査予約情報64は、例えば、RISサーバなどから取得され、予約情報保管部61に保管される。検査予約情報64は、例えば、医師や技師などの手入力により、予約情報保管部61に保管してもよい。また、例えば、予約情報保管部61を設けることなく、必要に応じてRISサーバなどから検査予約情報64を随時取得してもよい。
【0079】
図10は、検査時間情報の一例を表す模式図である。
図10に表したように、検査時間情報66は、検査種の情報と、その検査の所要時間の情報と、を関連付けて記憶している。これにより、検査時間情報66を参照することで、検査の所要時間を取得することができる。
【0080】
検査の所要時間の情報は、例えば、撮影部21で複数の基データ40(生データ)を取得するまでの時間と、複数の基データ40から複数の医用画像42を生成するまでの時間と、を含む。例えば、撮影枚数などの検査条件によって所要時間が変化する場合には、同じ検査種において、検査条件の異なる複数のデータを用意してもよい。この場合には、例えば、検査時間情報66に検査条件の項目を追加し、検査種と検査条件とから所要時間を取得すればよい。
【0081】
制御部30は、クライアント端末14から検査リスト取得要求を受信すると、その取得要求に含まれる検索条件を検査予約管理部62に入力し、対応する未実施の検査の情報の取得を検査予約管理部62に要求する。
【0082】
検査予約管理部62は、検索条件を受信すると、その検索条件に適合する検査を抽出し、抽出した検査の情報を制御部30に出力する。これにより、制御部30は、検査リスト取得要求に対応した未実施の検査の情報を検査予約管理部62から取得する。なお、未実施の検査の情報の取得は、画像データ管理部35から実施済みの検査の情報を取得した後でもよいし、実施済みの検査の情報の取得前でもよい。
【0083】
制御部30は、未実施の検査の情報を取得した後、検査予約情報64に含まれる検査種を基に検査時間情報66を参照し、その検査の所要時間を取得する。そして、制御部30は、取得した所要時間と、検査予約情報64に含まれる検査日時と、を基に、未実施の検査の画像生成の完了予定時刻を算出する。
【0084】
制御部30は、未実施の検査の画像生成の完了予定時刻を算出した後、画像データ管理部35の抽出した実施済みの検査の情報に、検査予約管理部62の抽出した未実施の検査の情報を加える。この際、制御部30は、検査の開始予定時刻及び算出した完了予定時刻を、未実施の検査の検査コメント欄に追記する。
【0085】
制御部30は、抽出した実施済みの検査の情報及び未実施の検査の情報を検査リスト情報として要求基のクライアント端末14に配信する。このように、制御部30は、検査予約情報64を基に、未実施の検査の画像生成の完了予定時刻を算出し、未実施の検査の完了予定時刻を検査リスト情報にさらに加える。
【0086】
図11は、第2の実施形態の検査リストの一例を表す模式図である。
図11に表しように、この例においては、クライアント端末14が検査リストELを表示部に表示する際に、未実施の検査の情報も検査リストELに表示される。さらに、検査の開始予定時刻と、その検査の各医用画像42の生成の完了予定時刻と、が、未実施の検査の検査コメント欄に表示される。これにより、未実施の検査もクライアント端末14のユーザに報知することができる。例えば、医用画像処理システム10の利便性をより高めることができる。
【0087】
例えば、未実施の検査の提示が必要か否かを示す情報を端末情報46に含める。これにより、未実施の検査を提示するか否かをクライアント端末14毎に選択できるようにしてもよい。
【0088】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係る医用画像処理装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
図12に表したように、この例では、画像データ管理部35の抽出した検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれているとステップS7またはステップS11において判定された場合に、画像生成要求管理部36が、当該検査の画像生成の順序の優先度を高くする(ステップS21、ステップS22)。
【0089】
例えば、制御部30は、含まれていると判定した後、その検査について、クライアント端末14から検索されたことを示す情報を画像生成要求管理部36に送る。画像生成要求管理部36は、制御部30からの情報の受信に応答して、当該検査の優先度を高くする。すなわち、画像生成要求管理部36は、クライアント端末14から検査リスト情報の参照を要求された場合に、当該検査の画像生成の順序の優先度を高くする。
【0090】
クライアント端末14から検索された検査は、例えば、早く読影などを開始したい検査であると考えられる。従って、上記のように、クライアント端末14側から検索された検査の要求情報44が画像生成要求管理部36に記憶されている場合には、その検査の生成順序の優先度を高くする。換言すれば、検索された検査の画像生成のジョブが待機中である場合には、そのジョブの優先度を高くし、そのジョブを検索されていないジョブよりも先に実行する。これにより、クライアント端末14のユーザの所望する医用画像42をなるべく早く参照させることができる。例えば、医用画像処理システムの利便性をより高めることができる。
【0091】
図12では、コメントを追記する処理の後に、優先度を高くする処理を行っている。同様に、画像データ管理部35の抽出した各検査から画像生成要求管理部36に要求情報44が記憶されている検査を除外する処理の後に、優先度を高くする処理を行っている。
【0092】
優先度を高くする処理は、コメントを追記する処理の前や、検査を除外する処理の前に行ってもよい。優先度を高くする処理は、検査リスト情報を配信する処理の後に行ってもよい。すなわち、優先度を高くする処理を行うタイミングは、画像データ管理部35の抽出した検査の情報に、要求情報44の示す検査が含まれていると制御部30が判定した後の任意のタイミングでよい。
【0093】
画像生成の順序の優先度は、検索が行われる毎に高くしてもよい。例えば、検索されていない検査の優先度は「1」に設定し、1回検索された検査の優先度は「2」に設定し、2回検索された検査の優先度は、「3」に設定する。このように、検索が行われる毎に優先度を高くし、優先度の高い検査から順に画像生成を行う。これにより、例えば、医用画像処理システムの利便性をより高めることができる。
【0094】
なお、
図8や
図11に示したように、画像生成の完了予定時刻をコメントとして追記する場合には、優先度を変更した後の各要求情報44の並び順に従って完了予定時刻を算出する。これにより、優先度を変更した場合でも、完了予定時刻を適切に算出することができる。この場合には、優先度を高くする処理を行った後に、コメントの追記を行うことが好ましい。
【0095】
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態に係る医用画像処理システムを模式的に表すブロック図である。
図13に表したように、医用画像処理システム80では、医用画像処理装置82が、ネットワーク16を介してクライアント端末14及びモダリティ装置84と接続されている。医用画像処理装置82は、モダリティ装置84から基データ40を受け取り、モダリティ装置84からの基データ40に基づいて医用画像42の生成を行う。医用画像処理装置82は、例えば、医用画像42の生成のみを行うアプリケーションサーバである。
【0096】
このように、医用画像処理装置82は、必ずしも撮影部21を含まなくてもよい。モダリティ装置84から送られる基データ40は、生データでもよいし、再構成後の画像データでもよい。医用画像処理装置82は、生データを再構成して医用画像42を生成してもよいし、画像データに画像処理を施して医用画像42を生成してもよい。
【0097】
実施形態によれば、医用画像の見落としを抑制できる医用画像処理装置及び医用画像処理方法が提供される。
【0098】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、医用画像処理装置に含まれる、基データ保管部、画像生成部、画像データ保管部、画像生成要求管理部、及び、制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0099】
その他、本発明の実施の形態として上述した医用画像処理装置及び医用画像処理方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての医用画像処理装置及び医用画像処理方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0100】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。