(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明1に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組は、第1制動板と、第2制動板とを備えている。第1制動板は、第1接合面を有している。第2制動板は、第2接合面を、有している。第2接合面は、第1制動板の第1接合面に接合される。第2制動板は、耐摩耗性が第1制動板より高い。
【0011】
本制動板組では、第1制動板の第1接合面と第2制動板の第2接合面とが、互いに接合される。この構成を有する制動板組が、単体の制動板として機能する。また、第2制動板の耐摩耗性が第1制動板より高いので、第2制動板にはライニング材が摩擦接触可能である。すなわち、本制動板組では、ライニング材が摩擦接触する部分が、第2制動板によって構成され、ライニング材が摩擦接触しない部分が、第1制動板によって構成される。これにより、第2制動板によってドラグ力の向上を図ることができ、且つ第1制動板によって軽量化を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能なドラグ機構用の制動板組を、提供することができる。
【0012】
発明2に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明1に記載の制動板組において、第1制動板は、アルミニウム合金から構成される。
【0013】
この場合、第1制動板がアルミニウム合金から構成されているので、制動板組を軽量化することができる。
【0014】
発明3に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明1又は2に記載の制動板組において、第2制動板は、ステンレス合金から構成される。
【0015】
この場合、第2制動板がステンレス合金から構成されているので、制動板組の耐摩耗性を向上することができる。
【0016】
発明4に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明1から3のいずれか1項に記載の制動板組において、第1制動板及び第2制動板の少なくともいずれか一方が、少なくとも1つの第1孔部を、有している。
【0017】
この場合、第1制動板及び第2制動板の少なくともいずれか一方に、少なくとも1つの第1孔部を設けることによって、制動板組を軽量化することができる。
【0018】
発明5に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明4に記載の制動板組において、第1孔部が、第1制動板及び第2制動板の少なくともいずれか一方の厚み方向に、貫通している。
【0019】
この場合、第1制動板及び第2制動板の少なくともいずれか一方の厚み方向に第1孔部を形成することで制動板としての強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0020】
発明6に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明4又は5に記載の制動板組において、第1孔部は、上記の厚み方向と交差する方向に、貫通している。
【0021】
この場合、第1孔部は、上記の厚み方向と交差する方向に、貫通しているので、第1制動板及び第2制動板の接合面(第1接合面及び第2接合面)の接合面積を維持できるので、接合強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0022】
発明7に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組は、発明1から6
のいずれか1項に記載の制動板組において、第3制動板をさらに備えている。第1制動板は、第3接合面を、さらに有している。第3接合面は、第1制動板の第1接合面の反対側に設けられる。第3制動板は、第4接合面を、有している。第4接合面は、第1制動板の第3接合面に接合される。第3制動板は、耐摩耗性が第1制動板より高い。
【0023】
この場合、第1制動板の第1接合面と第2制動板の第2接合面とが互いに接合され、第1制動板の第3接合面と第3制動板の第4接合面とが互いに接合される。すなわち、第1制動板が第2制動板及び第3制動板の間に配置された状態で、制動板組が単体の制動板として機能する。
【0024】
また、この場合、第2制動板の耐摩耗性及び第3制動板の耐摩耗性が、第1制動板より高いので、第2制動板及び第3制動板にはライニング材が摩擦接触可能である。すなわち、本制動板組では、ライニング材が摩擦接触する部分が、第2制動板及び第3制動板によって構成され、ライニング材が摩擦接触しない部分が、第1制動板によって構成される。これにより、第2制動板及び第3制動板によってドラグ力の向上を図ることができ、且つ、第1制動板によって軽量化を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能なドラグ機構用の制動板組を、提供することができる。
【0025】
発明8に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明7に記載の制動板組において、第3制動板は、ステンレス合金から構成される。
【0026】
この場合、第3制動板がステンレス合金から構成されているので、制動板組の耐摩耗性を向上することができる。
【0027】
発明9に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明7又は8に記載の制動板組において、第3制動板の耐摩耗性が、第2制動板より高い。
【0028】
この場合、第3制動板の耐摩耗性が第2制動板より高いので、第3制動板側のライニング材を、第2制動板側のライニング材より摩擦強度が高い材質や性質の異なる材質から構成することができる。このように、ライニング材の選択の幅を広げることができるので、ドラグ性能(摩擦性能)の調整幅を広げることができる。
【0029】
発明10に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明7から9のいずれか1項に記載の制動板組において、第3制動板の厚さが、第2制動板の厚さより大きい。
【0030】
この場合、第3制動板の厚さが、第2制動板の厚さより大きいので、第3制動板側のライニング材を、第2制動板側のライニング材より摩擦強度が高い材質や性質の異なる材質から構成することができる。このように、ライニング材の選択の幅を広げることができるので、ドラグ性能(摩擦性能)の調整幅を広げることができる。
【0031】
発明11に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明7から10のいずれか1項に記載の制動板組において、第3制動板が、少なくとも1つの第2孔部を、有している。
【0032】
この場合、第3制動板に、少なくとも1つの第2孔部を設けることによって、第3制動板すなわち制動板組を、軽量化することができる。
【0033】
発明12に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明11に記載の制動板組において、第2孔部が、第3制動板の厚み方向に、貫通している。
【0034】
この場合、第3制動板の厚み方向に第2孔部を形成することで、制動板としての強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0035】
発明13に係る釣用リールのドラグ機構用の制動板組では、発明11又は12に記載の制動板組において、第2孔部は、上記の厚み方向と交差する方向に、貫通している。
【0036】
この場合、第2孔部は、上記の厚み方向と交差する方向に、貫通しているので、第1制動板及び第3制動板の接合面(第3接合面及び第4接合面)の接合面積を維持できるので、接合強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0037】
発明14に係る釣用リールは、リール本体と、スプールと、ドラグ機構とを、備えている。スプールは、リール本体に回転自在に装着される。ドラグ機構は、制動構造を有している。制動構造は、スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。制動構造は、ライニング材と、発明1から13のいずれか1項に記載の制動板組とを、有している。
【0038】
本釣用リールでは、ドラグ機構の制動構造が、スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。この場合、制動構造が、ライニング材と、発明1から13のいずれか1項に記載の制動板組とを、有しているので、本釣用リールにおいても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0039】
発明15に係る釣用リールでは、発明14に記載の釣用リールにおいて、ライニング材が、金属系焼結材から構成される。
【0040】
この場合、ライニング材が金属系焼結材から構成されているので、ドラグ力の向上を図ることができる。また、ライニング材が金属系焼結材から構成されていても、上記の制動板組を軽量化することができる。
【0041】
発明16に係る釣用リールは、リール本体と、スプールと、ドラグ機構とを、備えている。スプールは、リール本体に回転自在に装着される。ドラグ機構は、制動構造を有している。制動構造は、スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。制動構造は、第1ライニング材と、第2ライニング材と、第1制動板組と、第2制動板組と、を有している。
【0042】
第1制動板組は、第4制動板と、第5制動板とを、有している。第4制動板は、第5接合面を有する。第5制動板は、耐摩耗性が第4制動板より高い。第5制動板は、第6接合面と、第1摩擦接触面とを、有している。第6接合面は、第4制動板の第5接合面に接合される。第1摩擦接触面は、第1ライニング材に対して摩擦接触する。
【0043】
第2制動板組は、第6制動板と、第7制動板と、第8制動板とを、有している。第6制動板は、第7接合面と、第8接合面とを、有している。第8接合面は、第7接合面の反対側に設けられている。第7制動板は、耐摩耗性が第6制動板より高い。第7制動板は、第9接合面と、第2摩擦接触面とを、有している。第9接合面は、第6制動板の第7接合面に接合される。第2摩擦接触面は、第1ライニング材に対して摩擦接触する。第8制動板は、耐摩耗性が第6制動板より高い。第8制動板は、第10接合面と、第3摩擦接触面とを、有している。第10接合面は、第6制動板の第8接合面に接合される。第3摩擦接触面は、第2ライニング材に対して摩擦接触する。
【0044】
本釣用リールでは、制動構造が、第1ライニング材と、第2ライニング材と、第1制動板組と、第2制動板組とを、有している。第1制動板組は、上述したように第4制動板及び第5制動板が互いに接合された状態で、単体の制動板として機能する。また、第5制動板は、第1ライニング材と摩擦接触する。第2制動板組は、上述したように第6制動板が第7制動板及び第8制動板の間に配置され、互いに接合された状態で、単体の制動板として機能する。また、第2制動板組(第7制動板及び第8制動板)は、第1ライニング材及び第2ライニング材と、摩擦接触する。
【0045】
これにより、本釣用リールでは、第1制動板組の第4制動板と、第2制動板組の第6制動板とによって、制動板組の軽量化を図ることができる。また、第1制動板組の第5制動板と、第2制動板組の第7制動板及び第8制動板とによって、ドラグ力の向上を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能な釣用リールを、提供することができる。
【0046】
発明17に係る釣用リールは、発明16に記載の釣用リールにおいて、第1ライニング材及び第2ライニング材が、金属系焼結材から構成される。
【0047】
この場合、第1ライニング材及び第2ライニング材が金属系焼結材から構成されているので、ドラグ力の向上を図ることができる。また、第1ライニング材及び第2ライニング材が金属系焼結材から構成されていても、第1制動板組及び第2制動板組の軽量化を図ることができる。
【0048】
発明18に係る釣用リールでは、発明16又は17に記載の釣用リールにおいて、ドラグ機構が、第1制動板組を調整するための調整部材を、さらに有している。
【0049】
この場合、調整部材によって第1制動板組が調整される。すると、制動板組(第1制動板組及び第2制動板組)とライニング材(第1ライニング材及び第2ライニング材)との圧接状態、すなわち制動板組及びライニング材の摩擦力が、変化する。すなわち、調整部材によって第1制動板組が調整され
ると、制動構造における摩擦力が変化する。このように、本釣用リールでは、調整部材によって、制動構造における摩擦力を確実に変更することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能なドラグ機構用の制動板組を、提供することができる。また、このドラグ機構用の制動板組を有する釣用リールを、提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1及び
図2に示すように、両軸受リール100は、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されるハンドル2と、リール本体1の内部に回転自在に装着されたスプール12とを、備えている。
【0053】
なお、以降の説明では、前後左右を示す文言が用いられる場合がある。ここでは、両軸受リール100が釣り竿に装着された状態で、釣り糸が繰り出される方向が、前に対応している。また、この状態で、両軸受リール100を後方から見た場合に、左右を定義している。
【0054】
[ハンドル]
図1に示すように、ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの先端に回転自在に装着された把手2bとを、有している。アーム部2aの基端は、
図2に示すように、後述する駆動軸30の先端に一体回転可能に装着されている。具体的には、アーム部2aの基端は、ナット28により駆動軸30に締結されている。
【0055】
[リール本体]
図2に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを、有している。リール本体1の内部には、スプール12が、スプール軸20を介して、回転自在に装着されている。
【0056】
フレーム5は、所定の間隔をあけて配置された左右1対のリング状の第1側板8及び第2側板9と、第1側板8及び第2側板9を連結する複数の連結部10と、を有している。
【0057】
複数の連結部10は、第1側板8及び第2側板9と一体形成されている。連結部10には、リールを釣り竿に装着するための前後に長い竿装着脚部4が、リベット止めされている(
図1を参照)。
【0058】
第1側カバー6は、第1側板8と一体形成されている。第1側カバー6は、後述するスプール軸20の左端を回転自在に支持する。第2側カバー7は、複数本(例えば5本)のねじ部材11によって、機構装着板34に締結される。第2側カバー7は、駆動軸30を回転自在に支持する。第2側カバー7には、クラッチレバー17が装着されている。第2側カバー7と第2側板9との間には、フレーム5を構成する機構装着板34が配置されている。
【0059】
なお、クラッチレバー17は、第2側カバー7の後部に揺動自在に装着されている。クラッチレバー17は、クラッチ制御機構22に連結されている。クラッチレバー17が揺動すると、クラッチ機構21が、クラッチ制御機構22を介して、クラッチオン及びクラッチオフする。
【0060】
図2に示すように、第2側カバー7と機構装着板34との間には、回転伝達機構19と、クラッチ機構21と、クラッチ制御機構22と、ドラグ機構23と、キャスティングコントロール機構24とが、配置されている。
【0061】
回転伝達機構19は、ハンドル2の糸巻取方向の回転を、スプール12に伝える。回転伝達機構19の詳細については、後述する。
【0062】
クラッチ機構21は、ハンドル2とスプール12とを連結及び遮断する。クラッチ機構21をクラッチオフ状態(遮断状態)にすると、スプール12が自由に回転可能になる。
【0063】
クラッチ制御機構22は、クラッチ機構21を制御するためのものである。
【0064】
ドラグ機構23は、スプール12の糸繰り出し方向の回転を制動する。ドラグ機構23の詳細については、後述する。
【0065】
キャスティングコントロール機構24は、スプール12の回転時の抵抗力を調整する。
【0066】
[スプール]
図2に示すように、スプール12は、両側部に皿状の左右一対のフランジ部12aと、一対のフランジ部12aの間に設けられる筒状の糸巻胴部12bとを、有している。スプール12は、糸巻胴部12bの内周側を貫通するスプール軸20に対して、例えばセレーション結合により、回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0067】
スプール軸20は、駆動軸30と略平行に配置されている。スプール軸20は、第2側板9を貫通して、第2側カバー7の第2ボス部7fまで延びている。スプール軸20は、スプール12の両側の第1軸受26a及び第2軸受26bにより、リール本体1に回転自在に支持されている。
【0068】
スプール軸20の中心には、大径部20aが形成されており、大径部20aにはクラッチ機構21の係合ピン29が、固定されている。係合ピン29は、半径方向に大径部20aを貫通し、その両端が径方向に突出している。
【0069】
<回転伝達機構>
図2及び
図3に示すように、回転伝達機構19は、駆動軸30と、駆動軸30に固定された駆動ギア31と、駆動ギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、を有している。
【0070】
駆動軸30は、軸受15及び軸受16を介して、機構装着板34及び第2側カバー7に回転自在に装着されている。
図3に示すように、駆動軸30には、複数の回り止め部30aと鍔部30dとが、形成されている。具体的には、複数の回り止め部30aには、互いに平行な切欠き面が、形成されている。鍔部30dは、駆動軸30の外周面に大径に形成されている。
【0071】
また、駆動軸30には、第1雄ねじ部30bと、第2雄ねじ部30cとが、形成されている。第1雄ねじ部30bには、ハンドル2のアーム部2a
が固定される。第2雄ねじ部30cには、ドラグ機構23のドラグ力を調整するためのスタードラグ36(後述する)が、装着される。
【0072】
ここで、駆動軸30は、ローラ型の第1ワンウェイクラッチ86(
図2を参照)及び爪式の第2ワンウェイクラッチ87(
図3を参照)により、糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。
【0073】
図2に示すように、第1ワンウェイクラッチ86は、第2側カバー7と駆動軸30との間に装着されている。第1ワンウェイクラッチ86は、外輪86aと、内輪86bとを、有している。外輪86aは、第1ボス部7cに、回転不能に装着されている。内輪86bは、駆動軸30に回転不能に連結されている。外輪86a及び内輪86bの間には、転動体86cが配置されている。
【0074】
図3に示すように、第2ワンウェイクラッチ87は、ラチェットホイール88と、ラチェット爪89と、を有している。ラチェットホイール88は、駆動軸30の回り止め部30aの一つに、一体回転可能に装着されている。また、ラチェットホイール88は、鍔部30dに接触するように、配置されている。すなわち、ラチェットホイール88は、スタードラグ36の押圧力を、鍔部30dに伝達している。
【0075】
図2に示すように、駆動ギア31は、駆動軸30に回転自在に装着されている。駆動ギア31は、ドラグ機構23を介して、駆動軸30に摩擦結合されている。駆動ギア31の側面(
図3の右側面)には、ドラグ機構23を収納するための円形の収納凹部31aが、形成されている。
【0076】
収納凹部31aの内周面には、複数(例えば4つ)の第1係合凹部31bが、形成されている。複数の第1係合凹部31bには、図示しないドラグ発音機構の回転部材が、一体回転可能に係合する。また、2つの第1係合凹部31bの間には、第2係合凹部31cが、形成されている。ここでは、複数(例えば2つ)の第2係合凹部31cが、互いに対向するように、収納凹部31aの内周面に形成されている。複数の第2係合凹部31cには、後述する摩擦機構37の係止耳部55,56が一体回転可能に係合する。
【0077】
図2に示すように、ピニオンギア32は、筒状部材である。ピニオンギア32には、スプール軸20が貫通している。ピニオンギア32は、スプール軸20に対して、軸方向に移動自在に装着されている。
【0078】
図2におけるピニオンギア32の左端部は、軸受18a,18bを介して、機構装着板34及び第2ボス部7fに対して、回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。ピニオンギア32の軸方向移動がクラッチ制御機構22によって制御されることによって、クラッチ機構21は機能する。
【0079】
<ドラグ機構>
ドラグ機構23は、調節後のドラグ力を超える力で釣り糸が引っ張られた場合に、作動する。このドラグ機構23が作動した状態で、スプール12は、糸繰り出し方向に回転する。
図1から
図3に示すように、ドラグ機構23は、スタードラグ36(調整部材の一例)と、スタードラグ36によってドラグ力が調整される摩擦機構37(制動構造の一例)と、を有している。
【0080】
スタードラグ36は、ドラグ力を調節するためのものである。
図2に示すように、スタードラグ36は、摩擦機構37のドラグ力を変化させる調節機構41を介して、摩擦機構37のドラグ力を調節する。例えば、調節機構41は、第1ワンウェイクラッチ86の内輪86bに係合する。スタードラグ36が回転すると、第1ワンウェイクラッチ86の内輪86bに対する調節機構41の押圧状態が変化する。すると、この調節機構41の押圧状態に応じて、摩擦機構37のドラグ力が調節される。
【0081】
摩擦機構37は、スプールの釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。摩擦機構37は、
図2及び
図3に示すように、駆動軸30の周囲に設けられている。摩擦機構37は、第1ワンウェイクラッチ86(の内輪86b)を介して、調節機構41によって押圧される。
【0082】
図3に示すように、摩擦機構37は、複数の制動板組51,52,53,54(後述する第1から第4制動板組)と、複数のライニング材65a,65b,65c(後述する第1から第3ライニング材)とを、有している。
【0083】
複数の制動板組は、第1制動板組51と、第2制動板組52と、第3制動板組53と、第4制動板組54とを、有している。第1制動板組51は、駆動軸30の回り止め部30aに係合して、駆動軸30に一体回転可能に連結されている。また、第1制動板組51は、第1ワンウェイクラッチ86の内輪86bに対して、一体回転可能に連結されている。さらに、第1制動板組51には第1ワンウェイクラッチ86の内輪86bが当接し、この内輪86bが第1制動板組51を押圧する。これにより、内輪86bが駆動軸30に対して一体回転可能になり、且つ内輪86bにより第1制動板組51が押圧される。
【0084】
第2制動板組52及び第4制動板組54それぞれは、駆動ギア31に一体回転可能に連結される。第2制動板組52及び第4制動板組54それぞれは、外周面に左方に折れ曲がった一対の係止耳部55,56を、有している。これら係止耳部55,56が駆動ギア31の第2係合凹部31cに係合する。これにより、第2制動板組52及び第4制動板組54は、駆動ギア31と一体回転可能になる。また、第2制動板組52及び第4制動板組54は、駆動軸30に対して、相対回転可能に配置される。
【0085】
第3制動板組53は、駆動軸30の回り止め部30aに係合して、駆動軸30と一体回転可能に連結されている。
【0086】
ここで、駆動軸30は、第1ワンウェイクラッチ86及び第2ワンウェイクラッチ87により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。このため、駆動軸30と一体回転可能に連結された第1制動板組51及び第3制動板組53も、糸繰り出し方向に回転しない。一方で、第2制動板組52は、駆動ギア31に一体回転可能、且つ駆動軸30に相対回転可能に、配置される。すなわち、駆動ギア31が回転すると、第2制動板組52は、駆動軸30、すなわち第1制動板組51及び第3制動板組53に対して、相対回転する。
【0087】
以下では、第1制動板組51、第2制動板組52、第3制動板組53、及び第4制動板組54それぞれの構成について、詳細に説明する。第1制動板組51、第2制動板組52、第3制動板組53、第4制動板組54それぞれは、例えば、クラッド材である。
【0088】
図4に示すように、第1制動板組51及び第4制動板組54それぞれは、第1板要素61(第1制動板及び第4制動板の一例)と、第2板要素62(第2制動板及び第5制動板の一例)とから、構成されている。
【0089】
第1板要素61は、例えば、アルミニウム合金から構成される。第1板要素61は、第1接合面61a(第1接合面及び第5接合面の一例)を有している。第1板要素61には、第1ワンウェイクラッチ86の内輪86bが当接し、この内輪86bによって第1板要素61が押圧される。
【0090】
また、第2板要素62は、耐摩耗性が第1板要素61より高い。第2板要素62は、例えば、ステンレス合金から構成される。第2板要素62は、第2接合面62a(第2接合面及び第6接合面の一例)と、第1摩擦接触面62bとを、有している。第2接合面62aは、第1板要素61の第1接合面61aに、接合される。
【0091】
第1制動板組51の第1摩擦接触面62bは、後述する第1ライニング材65aに対して、摩擦接触する。一方で、第4制動板組54の第1摩擦接触面62bは、後述する第3ライニング材65cに対して、摩擦接触する。
【0092】
上記をまとめると、第1板要素61の第1接合面61aと、第2板要素62の第2接合面62aとが、互いに接合されることにより、第1制動板組51及び第4制動板組54それぞれは、単体の制動板として機能する。
【0093】
また、単体の制動板として機能する第1制動板組51では、第2板要素62(第1摩擦接触面62b)が、第1ライニング材65aに摩擦接触する。一方で、単体の制動板として機能する第4制動板組54では、第2板要素62(第1摩擦接触面62b)が、第3ライニング材65cに摩擦接触する。
【0094】
なお、第4制動板組54の係止耳部56は、第1板要素61及び第2板要素62それぞれに、形成されている。
【0095】
図5に示すように、第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれは、第3板要素71(第1制動板及び第6制動板の一例)と、第4板要素72(第2制動板及び第7制動板の一例)と、第5板要素73(第3制動板及び第8制動板の一例)とから、構成されている。
【0096】
第3板要素71は、例えば、アルミニウム合金から構成される。第3板要素71は、第3接合面71a(第3接合面及び第7接合面の一例)と、第4接合面71b(第4接合面及び第8接合面の一例)とを、有している。第4接合面71bは、第3接合面71aの反対側に設けられている。
【0097】
第4板要素72は、耐摩耗性が第3板要素71より高い。第4板要素72は、例えば、ステンレス合金から構成される。第4板要素72は、第5接合面72a(第9接合面の一例)と、第2摩擦接触面72bとを、有している。第5接合面72aは、第3板要素71の第3接合面71aに接合される。
【0098】
第2制動板組52の第2摩擦接触面72bは、第1ライニング材65aに対して摩擦接触する。一方で、第3制動板組53の第2摩擦接触面72bは、後述する第2ライニング材65bに対して摩擦接触する。
【0099】
第5板要素73は、耐摩耗性が第3板要素71より高い。第5板要素73は、例えば、ステンレス合金から構成される。第5板要素73は、第6接合面73a(第10接合面の一例)と、第3摩擦接触面73bとを、有している。第6接合面73aは、第3板要素71の第4接合面71bに接合される。
【0100】
第2制動板組52の第3摩擦接触面73bは、第2ライニング材65bに対して摩擦接触する。第3制動板組53の第3摩擦接触面73bは、第3ライニング材65cに対して摩擦接触する。
【0101】
上記をまとめると、第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれでは、第3板要素71の第3接合面71aと、第4板要素72の第5接合面72aとが、互いに接合され、且つ第3板要素71の第4接合面71bと、第5板要素73の第6接合面73aとが、互いに接合される。すなわち、第3板要素71が第4板要素72及び第5板要素73の間に配置された状態で、第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれは、単体の制動板として機能する。
【0102】
また、単体の制動板として機能する第2制動板組52では、第4板要素72(第2摩擦接触面72b)が第1ライニング材65aに摩擦接触し、第5板要素73(第3摩擦接触面73b)が第2ライニング材65bに摩擦接触する。一方で、単体の制動板として機能する第3制動板組53では、第4板要素72(第2摩擦接触面72b)が第2ライニング材65bに摩擦接触し、第5板要素73(第3摩擦接触面73b)が第3ライニング材65cに摩擦接触する。
【0103】
なお、第2制動板組52の係止耳部55は、第3板要素71、第4板要素72、及び第5板要素73それぞれに、形成されている。
【0104】
次に、第1ライニング材65a、第2ライニング材65b、及び第3ライニング材65cそれぞれの構成について、詳細に説明する。
【0105】
図3から
図5に示すように、第1制動板組51と第2制動板組52との間には、第1ライニング材65aが、配置されている。第1ライニング材65aの一方の面は、第1制動板組51(第1摩擦接触面62b)に、接触する。また、第1ライニング材65aの他方の面は、第2制動板組52(第2摩擦接触面72b)に、接触する。
【0106】
第2制動板組52と第3制動板組53の間には、第2ライニング材65bが、配置されている。第2ライニング材65bの一方の面は、第2制動板組52(第3摩擦接触面73b)に、接触する。また、第2ライニング材65bの他方の面は、第3制動板組53(第2摩擦接触面72b)に、接触する。
【0107】
第3制動板組53と第4制動板組54の間には、第3ライニング材65cが、配置されている。第3ライニング材65cの一方の面は、第3制動板組53(第3摩擦接触面73b)に、接触する。また、第3ライニング材65cの他方の面は、第4制動板組54(第1摩擦接触面62b)に、接触する。
【0108】
第1ライニング材65a、第2ライニング材65b、及び第3ライニング材65cそれぞれは、例えば、金属系焼結材から構成される。また、これら第1から第3ライニング材65a,65b,65cそれぞれと摩擦接触される板要素は、上述したように、ステンレス合金から構成されている。
【0109】
ここでは、上述したラチェットホイール88が、駆動ギア31に隣接して配置され、相対回転する。このため、ラチェットホイール88と駆動ギア31との間には、第4ライニング材65dが、配置されている。なお、この第4ライニング材65dも、ドラグ力の発生に寄与している。
【0110】
第4ライニング材は、例えば、カーボン又はフェルトから構成されている。なお、ここでは、第4ライニング材が、例えば、カーボン又はフェルトから構成される場合の例を示したが、第4ライニング材は、例えば、金属系焼結材から構成されていてもよい。
【0111】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0112】
(A)本両軸受リール100の第1制動板組51及び第4制動板組54それぞれは、第1板要素61と、第2板要素62とを、備えている。第1板要素61は、第1接合面61aを有している。第2板要素62は、第2接合面62aを、有している。第2接合面62aは、第1板要素61の第1接合面61aに接合される。第2板要素62は、耐摩耗性が第1板要素61より高い。
【0113】
第1制動板組51及び第4制動板組54それぞれでは、第1板要素61の第1接合面61aと第2板要素62の第2接合面62aとが、互いに接合される。すなわち、第1制動板組51及び第4制動板組54それぞれが、単体の制動板として機能する。また、第2板要素62の耐摩耗性が第1板要素61より高いので、第2板要素62には、第1ライニング材65a及び第3ライニング材65cが摩擦接触する。
【0114】
すなわち、第1制動板組51及び第4制動板組54では、第1ライニング材65a及び第3ライニング材65cが摩擦接触する部分が、第2板要素62によって構成され、第1ライニング材65a及び第3ライニング材65cが摩擦接触しない部分が、第1板要素61によって構成される。これにより、第2板要素62によってドラグ力の向上を図ることができ、且つ第1板要素61によって軽量化を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能な第1制動板組51及び第4制動板組54を、提供することができる。
【0115】
また、本両軸受リール100の第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれは、第3板要素71と、第4板要素72と、第5板要素73とを、備えている。第3板要素71は、第1制動板組51及び第4制動板組54の第1板要素61に対応している。第4板要素72と、第5板要素73とは、第1制動板組51及び第4制動板組54の第2板要素62に対応している。このため、第2制動板組52及び第3制動板組53は、第1制動板組
51及び第4制動板組54と同様の効果を得ることができる。
【0116】
(B)本両軸受リール100の第1から第4制動板組51,52,53,54では、第1板要素61及び第3板要素71が、アルミニウム合金から構成される。
【0117】
この場合、第1板要素61及び第3板要素71がアルミニウム合金から構成されているので、第1から第4制動板組51,52,53,54を軽量化することができる。
【0118】
(C)本両軸受リール100の第1から第4制動板組51,52,53,54では、第2板要素62、第4板要素72、及び第5板要素73が、ステンレス合金から構成される。
【0119】
この場合、第2板要素62、第4板要素72、及び第5板要素73がステンレス合金から構成されているので、第1から第4制動板組51,52,53,54の耐摩耗性を向上することができる。
【0120】
(D)本両軸受リール100の第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれは、第4板要素72及び第5板要素73を、備えている。第4板要素72及び第5板要素73は、耐摩耗性が第3板要素71より高い。
【0121】
ここで、第4板要素72は第5接合面72a
を有し、第5板要素73は第6接合面73aを有している。第5接合面72aは、第3板要素71の第3接合面71aに、接合される。第6接合面73aは、第3板要素71の第4接合面71bに、接合される。すなわち、第3板要素71が第4板要素72及び第5板要素73の間に配置され、互いに接合された状態で、第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれが単体の制動板として機能する。
【0122】
また、この場合、第4板要素72の耐摩耗性及び第5板要素73の耐摩耗性が、第3板要素71より高い。このため、第2制動板組52の第4板要素72には、第1ライニング材65aが摩擦接触する。第2制動板組52の第5板要素73には、第2ライニング材65bが摩擦接触する。一方で、第3制動板
組53の第4板要素72には、第2ライニング材65bが摩擦接触する。第3制動板
組53の第5板要素73には、第3ライニング材65cが摩擦接触する。
【0123】
これにより、第4板要素72及び第5板要素73によってドラグ力の向上を図ることができ、且つ第3板要素71によって軽量化を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能な第2制動板組52及び第3制動板組53を、提供することができる。
【0124】
(E)本両軸受リール100は、リール本体1と、スプール12と、ドラグ機構23とを、備えている。スプール12は、リール本体1に回転自在に装着される。ドラグ機構23は、摩擦機構37を有している。摩擦機構37は、スプール12の釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。摩擦機構37は、第1から第4制動板組51,52,53,54と、第1から第3ライニング材65a,65b,65cとを、有している。
【0125】
本両軸受リール100では、ドラグ機構23の摩擦機構37が、スプール12の釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。この場合、摩擦機構37が、第1から第4制動板組51,52,53,54と、第1から第3ライニング材65a,65b,65cとを、有しているので、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0126】
(F)本両軸受リール100は、リール本体1と、スプール12と、ドラグ機構23とを、備えている。スプール12は、リール本体1に回転自在に装着される。ドラグ機構23は、摩擦機構37を有している。摩擦機構37は、スプール12の釣糸繰り出し方向の回転を制動可能である。摩擦機構37は、第1から第4制動板組51,52,53,54と、第1から第3ライニング材65a,65b,65cとを、有している。
【0127】
第1制動板組51及び第4制動板組54は、第1板要素61と、第2板要素62とを、有している。第1板要素61は、第1接合面61aを、有している。
【0128】
第2板要素62は、耐摩耗性が第1板要素61より高い。第2板要素62は、第2接合面62aと、第1摩擦接触面62bとを、有している。第2接合面62aは、第1板要素61の第1接合面61aに接合される。ここで、第1制動板組51の第1摩擦接触面62bは、第1ライニング材65aに対して、摩擦接触する。一方で、第4制動板組54の第1摩擦接触面62bは、第3ライニング材65cに対して、摩擦接触する。
【0129】
第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれは、第3板要素71と、第4板要素72と、第5板要素73とを、備えている。
【0130】
第3板要素71は、第3接合面71aと、第4接合面71bとを、有している。第4接合面71bは、第3接合面71aの反対側に設けられている。
【0131】
第4板要素72は、耐摩耗性が第3板要素71より高い。第4板要素72は、第5接合面72aと、第2摩擦接触面72bとを、有している。第5接合面72aは、第3板要素71の第3接合面71aに接合される。ここで、第2制動板組52の第2摩擦接触面72bは、第1ライニング材65aに対して、摩擦接触する。一方で、第3制動板組53の第2摩擦接触面72bは、第2ライニング材65bに対して、摩擦接触する。
【0132】
第5板要素73は、耐摩耗性が第3板要素71より高い。第5板要素73は、第6接合面73aと、第3摩擦接触面73bとを、有している。第6接合面73aは、第3板要素71の第4接合面71bに接合される。ここで、第2制動板組52の第3摩擦接触面73bは、第2ライニング材65bに対して、摩擦接触する。第3制動板組53の第3摩擦接触面73bは、第3ライニング材65cに対して、摩擦接触する。
【0133】
本両軸受リール100では、第1制動板組51及び第4制動板組54は、第1板要素61と第2板要素62とが互いに接合された状態で、単体の制動板として機能する。また、第1制動板組51は、第1ライニング材65aに対して、摩擦接触する。一方で、第4制動板組54は、第3ライニング材65cに対して、摩擦接触する。
【0134】
第2制動板組52及び第3制動板組53では、第3板要素71が第4板要素72及び第5板要素73の間に配置され、互いに接合された状態で、第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれが単体の制動板として機能する。また、第2制動板組52は、第1ライニング材65a及び第2ライニング材65bと、摩擦接触する。第3制動板組53は、第2ライニング材65b及び第3ライニング材65cと、摩擦接触する。
【0135】
これにより、本両軸受リール100では、第1及び第4制動板組51,54の第1板要素61と、第2及び第3制動板組52,53の第3板要素71によって、制動板組の軽量化を図ることができる。また、第1及び第4制動板組51,54の第2板要素62と、第2及び第3制動板組52,53の第4及び第5板要素72,73とによって、ドラグ力の向上を図ることができる。すなわち、ドラグ力の向上及び軽量化を同時に実現可能な両軸受リール100を、提供することができる。
【0136】
(G)本両軸受リール100では、第1から第3ライニング材65a,65b,65cが、金属系焼結材から構成される。
【0137】
この場合、第1から第3ライニング材65a,65b,65cが金属系焼結材から構成することによって、ドラグ力の向上を図ることができる。また、第1から第3ライニング材65a,65b,65cが金属系焼結材から構成されていても、第1から第4制動板組51,52,53,54の軽量化を図ることができる。
【0138】
(H)本両軸受リール100では、ドラグ機構23が、第1制動板組51を調整するためのスタードラグ36を、さらに有している。
【0139】
この場合、スタードラグ36によって第1制動板組51が調整される。すると、第1から第4制動板組51,52,53,54と、第1から第3ライニング材65a,65b,65cとの圧接状態、すなわち第1から第4制動板組51,52,53,54と、第1から第3ライニング材65a,65b,65cとの摩擦力が、変化する。すなわち、スタードラグ36によって第1制動板組51が調整されと、摩擦機構37における摩擦力が変化する。このように、本両軸受リール100では、スタードラグ36
によって、摩擦機構37における摩擦力を確実に変更することができる。
【0140】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0141】
(a)前記実施形態では、両軸受リール100のドラグ機構23に、第1から第4制動板組51,52,53,54が用いられる場合の例を示したが、第1から第4制動板組51,52,53,54は、スピニングリールのドラグ機構に適用してもよい。
【0142】
(b)前記実施形態の第1から第4制動板組51,52,53,54において、第1から第5板要素61,62,71,72,73の少なくともいずれか1つが、少なくとも1つの孔部(第1孔部及び/又は第2孔部の一例)を、有していてもよい。
【0143】
例えば、
図6A,
図6B,
図7A,及び
図7Bに示すように、第2制動板組52が孔部90,91を有していてもよい。なお、
図6A及び
図7Aは、説明を容易にするために、第2制動板組52の厚みを、拡大表示している。
【0144】
図6A及び
図6Bに示すように、第2制動板組52において、孔部90が、第3から第5板要素71,72,73の厚み方向に、貫通していてもよい。このように孔部90を形成することによって、制動板としての強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0145】
なお、図示しないが、第3から第5板要素71,72,73のいずれか1つ又は2つに、少なくとも1つの孔部を形成してもよい。また、ここでは、孔部90が、所定の角度で周方向に間隔を隔てて形成される場合の例を示したが、孔部90が形成される角度は、どのような角度でもよい。
【0146】
また、
図7A及び
図7Bに示すように、第2制動板組52において、孔部91が、第3板要素71の厚み方向と交差する方向に、貫通していてもよい。このように孔部91を形成することによって、第2制動板組52における接合面62a,72a,73aの接合面積を維持できる。これにより、接合強度を維持しつつ、効果的に軽量化を図ることができる。
【0147】
なお、ここでは、孔部91が、所定の角度で周方向に間隔を隔てて形成される場合の例を示したが、孔部91が形成される角度は、どのような角度でもよい。また、図示しないが、第3から第5板要素71,72,73のいずれか2つ又は全てを貫通するように、上記の孔部91を、形成してもよい。
【0148】
なお、
図6A,
図6B,
図7A,及び
図7Bでは、第2制動板組52を用いて、孔部90,91の説明を行ったが、第1制動板組51、第3制動板組53、及び第4制動板組54にも、同様の孔部90,91を、形成してもよい。
【0149】
以上のように構成することによって、第1から第4制動板組51,52,53,54を、効果的に軽量化することができる。
【0150】
(c)前記実施形態の第2制動板組52において、
図6Bに示すように、第5板要素73の厚さt1が、第4板要素72の厚さt2より厚くなるようにしてもよい。また、図示は省略するが、第3制動板組53においても、第2制動板
組52と同様に、第5板要素73の厚さt1が、第4板要素72の厚さt2より厚くなるようにしてもよい。
【0151】
これにより、第5板要素73側のライニング材65b(65c)を、第4板要素72側のライニング材65a(65b)より摩擦強度が高い材質や性質の異なる材質から構成することができる。このように、ライニング材の選択の幅を広げることができるので、ドラグ性能(摩擦性能)の調整幅を広げることができる。
【0152】
なお、
図6Bでは、第5板要素73の厚さt1が、第4板要素72の厚さt2より厚い場合の例を示したが、第4板要素72の厚さが第5板要素73の厚さより厚くなるように、構成してもよい。この場合も同様に、ドラグ性能(摩擦性能)の調整幅を広げることができる。
【0153】
(d)前記実施形態の第2制動板組52及び第3制動板組53それぞれにおいて、第4板要素72(又は第5板要素73)の耐摩耗性が、第5板要素73(又は第4板要素72)より高くてもよい。
【0154】
この場合、第4板要素72(又は第5板要素73)側のライニング材65a,65b(
ライニング材65b,65c)を、第5板要素73(又は第4板要素72)側のライニング材65b,65c(ライニング材65a,65b)より摩擦強度が高い材質や性質の異なる材質から構成することができる。このように、ライニング材の選択の幅を広げることができるので、ドラグ性能(摩擦性能)の調整幅を広げることができる。