(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る流体圧システムとしての水圧システム100について説明する。
【0015】
水圧システム100は、流体圧アクチュエータとしての水圧シリンダ1〜4を作動させるための作動水を供給するものである。水圧システム100では、作動流体として作動水が用いられるが、これに限らず、作動油や圧縮空気等の他の流体を用いてもよい。
【0016】
まず、水圧シリンダ1〜4の構成について説明する。
【0017】
水圧シリンダ1は、一対設けられて同期して伸縮する。一対の水圧シリンダ1は、シリンダ本体1aと、シリンダ本体1a内にピストン側室1c及びロッド側室1dを画成するピストン1bと、ピストン1bと一体に設けられてシリンダ本体1aの外部へ延出されるピストンロッド1eと、を各々備える。
【0018】
同様に、水圧シリンダ2〜4は、シリンダ本体2a〜4aと、シリンダ本体2a〜4a内にピストン側室2c〜4c及びロッド側室2d〜4dを画成するピストン2b〜4bと、ピストン2b〜4bと一体に設けられてシリンダ本体2a〜4aの外部へ延出されるピストンロッド2e〜4eと、を各々備える。
【0019】
水圧シリンダ1〜4は、ピストン側室1c〜4cに作動水が供給されてロッド側室1d〜4dがタンク10に連通するとピストンロッド1e〜4eがシリンダ本体1a〜4aから退出して伸長する。一方、水圧シリンダ1〜4は、ロッド側室1d〜4dに作動水が供給されてピストン側室1c〜4cがタンク10に連通するとピストンロッド1e〜4eがシリンダ本体1a〜4aに進入して収縮する。このように、水圧シリンダ1〜4は、複動式シリンダである。
【0020】
水圧シリンダ1〜4に代えて、水圧モータ等の他のアクチュエータを流体圧アクチュエータとして適用してもよい。また、本実施の形態では、四つの水圧シリンダ1〜4が設けられるが、これに限られるものではなく、少なくとも一つ以上のアクチュエータが設けられればよい。
【0021】
次に、水圧システム100の構成について説明する。
【0022】
水圧システム100は、作動水を吐出する第一流体圧ポンプとしての水圧ポンプ11と、水圧ポンプ11と並列に設けられ作動水を吐出する第二流体圧ポンプとしての水圧ポンプ12と、水圧ポンプ12から吐出された作動水を蓄圧可能なアキュムレータ30と、を備える。
【0023】
水圧ポンプ11は、タンク10から作動水を吸い上げて供給通路13に吐出する。水圧ポンプ12は、タンク10から作動水を吸い上げて供給通路14に吐出する。水圧ポンプ11及び水圧ポンプ12は、歯車やシャフトなどによって構成される動力伝達機構15aを介して単一の電動機15によって駆動される。
【0024】
水圧ポンプ11から吐出された作動水は、水圧シリンダ1〜4の作動に用いられる。水圧ポンプ12から吐出された作動水は、後述する開閉弁35の開閉によって水圧シリンダ1〜4の作動又はアキュムレータ30の蓄圧に用いられる。これにより、電動機15によって水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とを共に作動させることで、水圧シリンダ1〜4を駆動しながらアキュムレータ30に蓄圧することができる。
【0025】
タンク10は、作動水の水面の高さを検出する液面計10aと、作動水の温度を検出する水温計10bと、水面の高さが変動したときにタンク10内部の空気を給排して圧力を設定範囲内に調整するエアブリーザ10cと、を備える。タンク10には、外部から作動水が供給される供給通路10dと、手動開閉弁10fが設けられて作動水を排出可能な排出通路10eと、が連結される。
【0026】
供給通路13は、水圧ポンプ11から吐出された作動水の逆流を防止するチェック弁16と、作動水からコンタミなど異物を除去するフィルタ18と、を有する。供給通路14は、水圧ポンプ12から吐出された作動水の逆流を防止するチェック弁17と、作動水からコンタミなど異物を除去するフィルタ19と、水圧ポンプ12と水圧シリンダ1〜4とを連通させる供給通路13に設けられる第二切換弁としての開閉弁35と、を有する。
【0027】
フィルタ18の上流と下流とには、水圧計18aと水圧計18bとが設けられる。同様に、フィルタ19の上流と下流とには、水圧計19aと水圧計19bとが設けられる。これにより、フィルタ18,19の上流と下流との作動水の圧力差を検出でき、フィルタ18,19の詰まりを検出可能である。
【0028】
また、供給通路13には、作動水の圧力を設定圧より低く維持するためのリリーフ弁21aを有するリリーフ通路21が連結される。リリーフ通路21は、水圧シリンダ1〜4から排出された作動水をタンク10に戻す戻り通路20に連結される。同様に、供給通路14には、作動水の圧力を設定圧より低く維持するためのリリーフ弁22aを有するリリーフ通路22が連結される。リリーフ通路22は、戻り通路20に連結される。
【0029】
戻り通路20は、水圧シリンダ1〜4から排出された作動水からコンタミなど異物を除去するフィルタ23と、フィルタ23の上流に設けられてフィルタ23の詰まりを検出する水圧計24と、を有する。また、戻り通路20には、作動水を冷却する冷却回路25が設けられる。
【0030】
冷却回路25は、冷却水が循環する循環通路26と、閉状態に切り換えられると冷却水の循環を停止させる開閉弁27と、冷却水からコンタミなど異物を除去するフィルタ28と、戻り通路20を流れる作動水と冷却水との間で熱交換を行って作動水を冷却する熱交換機29と、を有する。
【0031】
開閉弁35は、後述する切換弁51と並列に設けられる。開閉弁35は、供給通路14を連通させる連通位置35aと、供給通路14を遮断する遮断位置35bと、を有する。この連通位置35aが開状態に該当し、遮断位置35bが閉状態に該当する。開閉弁35は、ソレノイド35cを有し、コントローラ(図示省略)によって切り換えられる。開閉弁35は、コントローラからの電気信号がソレノイド35cに入力されていないときには、戻しばね35dの付勢力によって連通位置35aを維持する。
【0032】
開閉弁35が連通位置35aに切り換えられると、水圧ポンプ12から吐出された作動水は水圧シリンダ1〜4に供給可能となる。開閉弁35が遮断位置35bに切り換えられると、水圧ポンプ12から吐出された作動水は、アキュムレータ30に供給可能となる。
【0033】
アキュムレータ30は、加圧された作動水を蓄える容器である。アキュムレータ30は、水圧ポンプ12から吐出された作動水の供給通路14から分岐する分岐通路31に設けられる。アキュムレータ30は、窒素ガスが充填された風船状のブラダ(図示省略)を有する。
【0034】
アキュムレータ30は、ブラダ内の窒素ガスと比較して分岐通路31内の作動水の圧力が高くなると、ブラダ内の窒素ガスが圧縮された容積に相当する体積の作動水を蓄える。アキュムレータ30は、ブラダ内の窒素ガスと比較して分岐通路31内の作動水の圧力が低くなると、ブラダ内の窒素ガスの圧力によって、蓄えられていた作動水を放出する。アキュムレータ30は、水圧ポンプ11,12と比較して短時間で大流量の作動水を供給可能である。
【0035】
分岐通路31は、供給通路14における開閉弁35の上流から分岐する。分岐通路31には、作動水が供給通路14に逆流することを防止するチェック弁32と、アキュムレータ30に蓄えられた作動水の圧力を検出可能な圧力計33と、アキュムレータ30に連通する分岐通路31を開閉する第三切換弁としての開閉弁34と、が設けられる。
【0036】
開閉弁34は、分岐通路31を連通させる連通位置34aと、分岐通路31を遮断する遮断位置34bと、を有する。この連通位置34aが開状態に該当し、遮断位置34bが閉状態に該当する。開閉弁34は、ソレノイド34cを有し、コントローラによって切り換えられる。開閉弁34は、コントローラからの電気信号がソレノイド34cに入力されていないときには、戻しばね34dの付勢力によって遮断位置34bを維持する。
【0037】
開閉弁34は、開閉弁35と連動して切り換えられる。具体的には、開閉弁34は、開閉弁35が連通位置35aに切り換えられると遮断位置34bに切り換えられ、開閉弁35が遮断位置35bに切り換えられると連通位置34aに切り換えられる。
【0038】
水圧システム100は、一対の水圧シリンダ1を作動させるための切換弁41と、水圧シリンダ2を作動させるための切換弁42と、水圧シリンダ3を作動させるための切換弁43と、水圧シリンダ4を作動させるための水圧サーボ弁44と、同じく水圧シリンダ4を作動させるための第一切換弁としての切換弁51と、を備える。
【0039】
切換弁41は、両端にソレノイドとセンタリングスプリングとが設けられる四ポート三位置の電磁式切換弁である。切換弁41は、中立位置41aと、一方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第一連通位置41bと、他方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第二連通位置41cと、を有する。切換弁41は、一対のソレノイドに共に通電していない状態では、センタリングスプリングの付勢力によって中立位置41aに切り換えられる。切換弁41は、中立位置41aにて全てのポートを閉状態とするクローズドセンタータイプである。
【0040】
切換弁41は、第一連通位置41bに切り換えられると、水圧ポンプ11から吐出される作動水又は水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水を水圧シリンダ1のピストン側室1cに供給すると共に、ロッド側室1dをタンク10に連通させる。これにより、水圧シリンダ1は、ピストンロッド1eがシリンダ本体1aから退出して伸長する。
【0041】
切換弁41とロッド側室1dとの間には、パイロットチェック弁45とスローリターンチェック弁46とが設けられる。切換弁41が第一連通位置41bに切り換えられると、ピストン側室1cに導かれる作動水の圧力によってパイロットチェック弁45が開状態となる。これにより、ロッド側室1d内の作動水は、スローリターンチェック弁46の絞り弁46aを通過して、タンク10に導かれる。よって、水圧シリンダ1は、絞り弁46aによって作動水の流量が絞られるため、メータアウト制御によってゆっくりと伸長する。
【0042】
一方、切換弁41は、第二連通位置41cに切り換えられると、水圧ポンプ11から吐出される作動水又は水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水を水圧シリンダ1のロッド側室1dに供給すると共に、ピストン側室1cをタンク10に連通させる。このとき、パイロットチェック弁45はロッド側室1dに導かれる作動水の圧力によって開状態となり、スローリターンチェック弁46のチェック弁46bもまた開状態となる。これにより、水圧シリンダ1は、ピストンロッド1eがシリンダ本体1a内に進入して収縮する。
【0043】
切換弁42は、両端にソレノイドとセンタリングスプリングとが設けられる四ポート三位置の電磁式切換弁である。切換弁42は、中立位置42aと、一方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第一連通位置42bと、他方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第二連通位置42cと、を有する。切換弁42は、一対のソレノイドに共に通電していない状態では、センタリングスプリングの付勢力によって中立位置42aに切り換えられる。切換弁42は、中立位置42aにて水圧シリンダ2のピストン側室2cとロッド側室2dとが戻り通路20を通じてタンク10に連通されるエグゾーストセンタータイプである。
【0044】
切換弁42は、第一連通位置42bに切り換えられると、水圧ポンプ11から吐出される作動水又は水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水を水圧シリンダ2のロッド側室2dに供給すると共に、ピストン側室2cをタンク10に連通させる。これにより、水圧シリンダ2は、ピストンロッド2eがシリンダ本体2a内に進入して収縮する。
【0045】
一方、切換弁42は、第二連通位置42cに切り換えられると、水圧ポンプ11から吐出される作動水又は水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水を水圧シリンダ2のピストン側室2cに供給すると共に、ロッド側室2dをタンク10に連通させる。これにより、水圧シリンダ2は、ピストンロッド2eがシリンダ本体2aから退出して伸長する。
【0046】
切換弁43は、両端にソレノイドとセンタリングスプリングとが設けられる四ポート三位置の電磁式切換弁である。切換弁43は、中立位置43aと、一方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第一連通位置43bと、他方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第二連通位置43cと、を有する。切換弁43は、切換弁42と同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
水圧サーボ弁44は、一端にソレノイド44dが設けられ他端に戻しばね44eが設けられる四ポート三位置のものである。水圧サーボ弁44は、ソレノイド44dに通電していないときに切り換えられる第一連通位置44aと、ソレノイド44dに通電したときに切り換えられる中立位置44bと、ソレノイド44dに更に大きな電流が通電したときに切り換えられる第二連通位置44cと、を有する。水圧サーボ弁44は、ソレノイド44dに通電していない状態では、戻しばね44eの付勢力によって第一連通位置44aに切り換えられる。
【0048】
水圧サーボ弁44は、圧力センサ(図示省略)が内蔵されており、水圧シリンダ4に設けられるストロークセンサ(図示省略)と共にフィードバック制御に用いられる。これにより、水圧サーボ弁44を用いることで、精密な位置制御が可能である。
【0049】
水圧サーボ弁44と水圧シリンダ4のピストン側室4cとの間には、開閉弁47と水圧計49とが設けられる。同様に、水圧サーボ弁44と水圧シリンダのロッド側室4dとの間には、開閉弁48と水圧計50とが設けられる。開閉弁47,48を閉位置に切り換えた状態で水圧計49,50が検出する作動水の圧力が同一になるように水圧サーボ弁44のソレノイド44dに通電させることで、水圧サーボ弁44が中立位置44bとなるように調整することができる。
【0050】
切換弁51は、両端にソレノイドとセンタリングスプリングとが設けられる四ポート三位置の電磁式切換弁である。切換弁51は、中立位置51aと、一方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第一連通位置51bと、他方のソレノイドに通電したときに切り換えられる第二連通位置51cと、を有する。切換弁51は、一対のソレノイドに共に通電していない状態では、センタリングスプリングの付勢力によって中立位置51aに切り換えられる。切換弁51は、中立位置51aにて全てのポートを閉状態とするクローズドセンタータイプである。
【0051】
切換弁51は、第一連通位置51bに切り換えられると、アキュムレータ30に蓄圧された作動水を水圧シリンダ4のピストン側室4cに供給すると共に、ロッド側室4dをタンク10に連通させる。これにより、水圧シリンダ4は、ピストンロッド4eがシリンダ本体4aから退出して伸長する。
【0052】
一方、切換弁51は、第二連通位置51cに切り換えられると、アキュムレータ30に蓄圧された作動水を水圧シリンダ4のロッド側室4dに供給すると共に、ピストン側室4cをタンク10に連通させる。これにより、水圧シリンダ4は、ピストンロッド4eがシリンダ本体4a内に進入して収縮する。
【0053】
このように、切換弁51が第一連通位置51b又は第二連通位置51cに切り換えられると、アキュムレータ30に蓄圧された作動水が水圧シリンダ4のピストン側室4c又はロッド側室4dに供給される。これにより、アキュムレータ30から短時間で大流量の作動水が供給されるため、水圧シリンダ4を急速に伸縮させることができる。
【0054】
次に、水圧システム100の作用について説明する。
【0055】
水圧シリンダ1〜3は、伸縮するのに必要な作動水の流量が比較的小さいものである。一方、水圧シリンダ4は、水圧シリンダ1〜3と比較して伸縮するのに必要な作動水の流量が大きいものである。
【0056】
まず、水圧ポンプ11から吐出された作動水によって水圧シリンダ1〜3を作動させるとともに、水圧ポンプ12から吐出された作動水をアキュムレータ30に蓄圧する場合について説明する。
【0057】
開閉弁35は、水圧ポンプ12から吐出された作動水をアキュムレータ30に導くために遮断位置35bに切り換えられる。そして、開閉弁34は、連通位置34aに切り換えられて、分岐通路31を介して供給通路14とアキュムレータ30とを連通させる。また、切換弁51は、一対のセンタリングスプリングの付勢力によって中立位置51aを維持し、分岐通路31と水圧シリンダ4との連通を遮断する。これにより、切換弁41,切換弁42,及び切換弁43を切り換えることで、水圧ポンプ11から吐出された作動水を用いて水圧シリンダ1〜3を作動させることができる。
【0058】
なお、このとき、切換弁41,切換弁42,及び切換弁43だけでなく、水圧サーボ弁44も切り換えることで、水圧ポンプ11から吐出された作動水によって、水圧シリンダ1〜3と水圧シリンダ4とを同時に作動させてもよい。
【0059】
一方、水圧ポンプ12から吐出された作動水は、チェック弁32を通過して分岐通路31に導かれ、開閉弁34を通過してアキュムレータ30に供給される。これにより、アキュムレータ30に作動水が蓄圧される。
【0060】
このように、水圧システム100では、水圧ポンプ11から吐出される作動水を水圧シリンダ1〜3に供給しながら、水圧ポンプ12からと出される作動水を水圧シリンダ4に供給するためにアキュムレータ30に供給して蓄圧する。したがって、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とを共に作動させることで、水圧シリンダ1〜3を駆動しながらアキュムレータ30に蓄圧することができる。
【0061】
次に、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出された作動水によって水圧シリンダ4を伸長させる場合(一方向に作動させる場合)について説明する。
【0062】
水圧シリンダ4を伸長させる場合には、水圧サーボ弁44による制御に先立って、切換弁51を切り換えることで、水圧シリンダ4のピストンロッド4eを予め設定された初期位置に移動させる。これは、水圧サーボ弁44を切り換えるためにはある程度高いパイロット圧が必要であるため、水圧シリンダ4の初期位置への調整程度の作業であれば、アキュムレータ30に蓄圧された作動水を用いる方が効率がよいためである。水圧システム100では、水圧シリンダ4が初期位置に調整された後、水圧サーボ弁44による制御が開始される。
【0063】
開閉弁35は、水圧ポンプ12から吐出された作動水を水圧シリンダ4に供給するために連通位置35aを維持する。そして、開閉弁34は、遮断位置34bを維持して、分岐通路31のアキュムレータ30との連通を遮断する。また、切換弁51は、一対のセンタリングスプリングの付勢力によって中立位置51aを維持し、分岐通路31と水圧シリンダ4との連通を遮断する。これにより、水圧サーボ弁44を切り換えることで、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出された大流量の作動水を用いて水圧シリンダ4を作動させることができる。
【0064】
具体的には、水圧シリンダ4は、水圧サーボ弁44が第一連通位置44aに切り換えられることで、設定された時間ごとに設定されたストロークずつピストンロッド4eをシリンダ本体4aから退出させる。このとき、開閉弁47と開閉弁48とは共に開位置に切り換えられている。これにより、水圧シリンダ4は、設定された時間ごとに設定されたストロークずつ伸長し、押し出し対象物を等ピッチずつ押し出すことができる。
【0065】
なお、水圧サーボ弁44だけでなく、切換弁41,切換弁42,又は切換弁43も切り換えることで、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出された作動水によって、水圧シリンダ4と水圧シリンダ1〜3とを同時に作動させてもよい。このとき、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出された作動水が共に供給されているため、作動水の流量が不足することが防止される。
【0066】
次に、アキュムレータ30に蓄圧された作動水によって水圧シリンダ4を収縮させる場合(他方向に作動させる場合)について説明する。
【0067】
開閉弁34は、アキュムレータ30に蓄圧された作動水を分岐通路31を通じて水圧シリンダ4に供給するために連通位置34aに切り換えられる。そして、開閉弁35は、水圧シリンダ1〜4に作動水を供給しないように遮断位置35bに切り換えられる。また、切換弁51は、第二連通位置51cに切り換えられて、分岐通路31と水圧シリンダ4のロッド側室4dとを連通させると共に、ピストン側室4cをタンク10に連通させる。
【0068】
これにより、アキュムレータ30に蓄圧された作動水が、ロッド側室4dに供給されることで、ピストンロッド4eはシリンダ本体4a内に進入する。よって、水圧シリンダ4は、収縮する。アキュムレータ30は、上述したように、水圧ポンプ11,12と比較して短時間で大流量の作動水を供給可能である。したがって、水圧シリンダ4は、水圧ポンプ11,12から吐出された作動水によって収縮する場合と比較して急速に収縮する。
【0069】
以上のように、水圧シリンダ4は、水圧サーボ弁44が制御されることによって、設定された時間ごとに設定されたストロークずつ伸長し、切換弁51が切り換えられることによって初期位置まで収縮する。よって、水圧シリンダ4は、押し出し対象物を等ピッチずつ押し出すように伸長し、押し出し端まで到達したら、初期位置まで急速に収縮する。したがって、水圧シリンダ4を初期位置に戻すための時間を短縮できるため、押し出し対象物の交換に要する時間を短縮することができる。
【0070】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0071】
水圧シリンダ1〜3を作動させる作動水を吐出する水圧ポンプ11と、アキュムレータ30に蓄圧される作動水を吐出する水圧ポンプ12と、を備えることによって、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とを共に作動させれば、水圧シリンダ1〜3を駆動しながらアキュムレータ30に蓄圧することができる。
【0072】
また、水圧シリンダ4は、水圧サーボ弁44が制御されることによって、設定された時間ごとに設定されたストロークずつ伸長し、切換弁51が切り換えられることによって初期位置まで収縮する。よって、水圧シリンダ4は、押し出し対象物を等ピッチずつ押し出すように伸長し、押し出し端まで到達したら、初期位置まで急速に収縮する。したがって、水圧シリンダ4を初期位置に戻すための時間を短縮できるため、押し出し対象物の交換に要する時間を短縮することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0074】
例えば、上述した実施の形態では、水圧シリンダ4は、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水によって伸長し、アキュムレータ30から供給される作動水によって収縮するものである。これに代えて、水圧シリンダ4を、水圧ポンプ11と水圧ポンプ12とから吐出される作動水によって収縮し、アキュムレータ30から供給される作動水によって伸長するようにしてもよい。
【0075】
また、切換弁51を切り換えることによって水圧シリンダ4を伸長又は収縮させるように制御してもよい。この場合、切換弁51が第一連通位置51bに切り換えられると水圧シリンダ4は伸長し、切換弁51が第二連通位置51cに切り換えられると水圧シリンダ4は収縮する。そして、切換弁51が中立位置51aに切り換えられると、水圧シリンダ4の伸縮が停止する。