特許第6368570号(P6368570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368570
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】既存建物補強構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20180723BHJP
【FI】
   E04G23/02 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-145253(P2014-145253)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-20607(P2016-20607A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇秀
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一
(72)【発明者】
【氏名】安岡 千尋
(72)【発明者】
【氏名】平岡 麻紀
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−155139(JP,A)
【文献】 特開平09−203220(JP,A)
【文献】 特開2013−060763(JP,A)
【文献】 特開2009−209589(JP,A)
【文献】 特開平11−256837(JP,A)
【文献】 特開2000−309907(JP,A)
【文献】 特開2009−209585(JP,A)
【文献】 特開2009−068182(JP,A)
【文献】 特開2000−145162(JP,A)
【文献】 米国特許第05174085(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/00−23/08
E04F 15/00−15/22
E04B 1/62−1/99
E04B 5/00−5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱及び梁で構成され、既存建物と隣接して構築されているとともに、前記梁が前記既存建物の梁と直接接合された立体架構と、
前記立体架構に設けられ前記既存建物の既存スラブと接合される新設スラブと、
を有する既存建物補強構造。
【請求項2】
前記既存スラブの上面と前記新設スラブの上面に跨って、繊維製のシートが貼り付けられている請求項に記載の既存建物補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建物補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
既存建物を耐震補強する補強方法の一つとして、例えば特許文献1に示すように、既存建物に隣接して外付けの立体架構を構築し、既存建物と立体架構を連結する方法がある。
【0003】
特許文献1は、平面上、既存建物と干渉しない領域に、既存建物とは独立させた、床を伴わない立体架構を構築し、既存建物と立体架構を連結して立体架構に既存建物の水平力を分担させる耐震補強方法である。
特許文献1には、既存建物と立体架構の具体的な連結方法は記載されていないものの、一般的には、アンカーボルト等の連結金具で連結し、既存建物の地震力を立体架構へ伝達させている。このため、連結金具と、既存建物及び立体架構との接合部(連結金具接合部)が、地震力に耐える強度を備えている必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−203220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、既存建物の柱や梁の断面積が小さい場合や、既存建物のコンクリート強度が低強度の場合等には、既存建物の連結金具接合部の強度が不足して、既存建物の地震力を立体架構へ伝達することができない。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、既存建物と立体架構を一体化させて、既存建物の地震力を立体架構へ伝達させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る既存建物補強構造は、複数の柱及び梁で構成され、既存建物と隣接して構築されているとともに、前記梁が前記既存建物の梁と直接接合された立体架構と、前記立体架構に設けられ前記既存建物の既存スラブと接合される新設スラブと、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、立体架構に設けられた新設スラブにより、既存建物と立体架構が接合され、既存建物と立体架構が一体化される。
これにより、既存建物の柱や梁の断面積が小さい場合や、既存建物のコンクリート強度が低強度である場合にも、既存建物の地震力を立体架構へ伝達させることができる。
【0010】
また、既存スラブに新設スラブを接合することにより、これまでより接合面積が大きくなり、既存建物と立体架構の一体化が担保される。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の既存建物補強構造において、前記既存スラブの上面と前記新設スラブの上面に跨って、繊維製のシートが貼り付けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項に記載の発明によれば、繊維製のシートにより、既存建物の既存スラブと立体架構の新設スラブが接合される。このとき、繊維製のシートは、既存スラブの上面と新設スラブの上面に跨って貼り付けられる。これにより、既存スラブと新設スラブの一体性を、より高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記構成としてあるので、既存建物と立体架構を一体化させて、既存建物の地震力を立体架構へ伝達させる既存建物補強構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る既存建物補強構造の基本構成を示す斜視図である。
図2】(A)は本発明の第1実施形態に係る既存建物補強構造を示す図1(A)のY1−Y1線位置における鉛直断面図であり、(B)はその接合部の部分断面図である。
図3】(A)、(B)は、いずれも本発明の第1実施形態に係る既存建物補強構造の接合部の展開例を示す部分断面図である。
図4】(A)、(B)は、いずれも本発明の第2実施形態に係る既存建物補強構造の基本構成を示す接合部の部分断面図である。
図5】(A)は本発明の第3実施形態に係る既存建物補強構造の基本構成を示す鉛直断面図であり、(B)は、(A)のZ1−Z1線位置における断面図である。
図6】(A)は本発明の第4実施形態に係る既存建物補強構造の基本構成を示す鉛直断面図であり、(B)は、(A)のZ1−Z1線位置における断面図である。
図7】(A)は本発明の第5実施形態に係る既存建物補強構造の基本構成を示す鉛直断面図であり、(B)は、(A)のZ1−Z1線位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1図3(A)、(B)を用いて、第1実施形態に係る既存建物補強構造について説明する。
ここに、図1は、既存建物12と、既存建物12を補強する鉄骨フレーム14を示す斜視図であり、図2(A)は、図1のY1−Y1線断面図であり、図2(B)は既存建物12と鉄骨フレーム14の接合部10の部分断面図である。図3(A)、(B)は、いずれも、接合部10の展開例である。
【0016】
図1図2(A)に示すように、耐震補強される既存建物12は、複数階を備えた鉄筋コンクリート造の建物である。既存建物12は、補強構造の説明のために壁の記載は省略し、柱74、梁24、及びスラブ18のみを記載している。既存建物12は、躯体の加工を必要最小限に抑制して耐震補強されている。
【0017】
既存建物12の一方の側壁には、既存建物12と隣接して鉄骨フレーム(立体架構)14が構築されている。鉄骨フレーム14は、既存建物12を補強する外付けの補強部材であり、下記の構成とされ、既存建物12と鉄骨フレーム14は、後述する接合部10で接合(連結)されている。
【0018】
鉄骨フレーム14は、鉄骨製の縦部材、横部材及び斜め部材を組み合わせて直方体形状に構築されている。鉄骨フレーム14は、既存建物12に沿って、既存建物12と並んで配置されている。
鉄骨フレーム14の既存建物12に近い側には、H形鋼製の柱を既存建物12に沿って複数配置した柱列34が設けられ、既存建物12から遠い側には、H形鋼製の柱を既存建物12に沿って複数配置した柱列36が設けられている。鉄骨フレーム14は、柱列34及び柱列36で自立する構成とされ、柱列34及び柱列36の下端部は、地盤37に、例えばアースアンカー等で固定されている。なお、柱列34、36を構成する柱は、H形鋼で以下説明するが、丸型鋼や角型鋼等、他の断面形状であってもよい。
【0019】
また、鉄骨フレーム14は、横方向に複数配置されたH形鋼製の梁38を有している。梁38は、柱列34、36の間に、X軸方向及びY軸方向に渡され、柱列34、36を構成する柱と接合され、立体架構を構築している。
また、鉄骨フレーム14は、斜め部材であるブレース39を有し、柱列34、36と梁38の交点を斜めに繋いでいる。
【0020】
鉄骨フレーム14は、柱列34を既存建物12と隣接させて配置され、梁38は、既存建物12の梁24と対応する高さに配置されている。また、梁38は、高さ(Z軸)方向には、複数階を有する既存建物12の、各階の梁24とそれぞれ対応させて、各階の梁24の位置に取付けられている。
なお、各図における既存建物12と鉄骨フレーム14の境界は、鉛直線Pで示している。鉛直線Pより矢印X1側が既存建物12であり、鉛直線Pより矢印X2側が鉄骨フレーム14である。
【0021】
また、鉄骨フレーム14には、鉄筋コンクリート造の新設のスラブ16が構築されている。スラブ16は、梁38に支持され、図1のドットで示す範囲に構築されている。スラブ16は、既存建物12の既存の鉄筋コンクリート造のスラブ18と、端面同士を当接させて接合されている。
【0022】
スラブ16の幅は、X軸方向には、鉄骨フレーム14のX軸方向の幅に収まる寸法に構築され、Y軸方向には、スラブ18の全幅を覆う寸法で構築されている。
具体的には、X軸方向のスラブ16の幅WSは1m程度が望ましく、詳細寸法は、既存建物12に要求される耐震強度により決定される。スラブ16の幅WSが、鉄骨フレーム14の幅WTより小さい場合には、Y軸方向へ小梁62を渡してスラブ16の端部を支持すればよい(図3(B)参照)。
【0023】
続いて、第1実施形態に係る既存建物補強構造の接合部10について説明する。
図2(B)に示すように、接合部10は、鉄骨フレーム14のスラブ16と、既存建物12の梁24を、アンカーボルト(いわゆるあと施工アンカー)32で接合した構成である。
【0024】
ここに、スラブ16の端面16Sは、梁24の端面24Sと、平面同士を当接させて接合されている。これにより、既存建物12と鉄骨フレーム14が一体化される。この結果、既存建物12の地震力を鉄骨フレーム14へ伝達させることができる。
なお、既存建物12の外周部に設けられている、外壁又は手すり等の壁体は、記載を省略している。
【0025】
上述したように、本実施形態の既存建物補強構造は、既存建物12と隣接して構築された鉄骨フレーム14と、鉄骨フレーム14に設けられ既存建物12と接合される新設のスラブ16と、を有している。そして、新設のスラブ16は、既存建物12と接合されている。
即ち、鉄骨フレーム14に設けられた新設スラブ16により、既存建物12と鉄骨フレーム14が接合され、既存建物12と鉄骨フレーム14が一体化される。
【0026】
これに対し、従来の鉄骨フレームによる補強方法では、鉄骨フレーム14の梁38と既存建物12の梁24を、アンカーボルト等で接合していた。このため、既存建物の梁成が小さい場合、既存建物のコンクリート強度が低強度の場合、更には補強架構が立体となる場合等には、従来の補強方法では、地震時の水平力を鉄骨フレームに十分伝えることができなかった。
【0027】
接合部10によれば、スラブ16がスラブ18と同レベルで接合され、地震時の水平力がスラブの面内力として、既存建物12から新設スラブ16へ連続的に伝達される。
これにより、地震力が分散されて応力集中が緩和され、アンカーボルト32の取付け部の補強が軽減される。
【0028】
既存のスラブ18と新設のスラブ16が、既存建物12に沿って連続して面で当接されることにより、鉄骨フレーム14に的確に地震力が伝達される。
この結果、既存建物12の柱74や梁24の断面積が小さい場合や、既存建物12のコンクリート強度が低強度である場合にも、既存建物12の地震力を鉄骨フレーム14へ伝達させることができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、鉄骨フレーム14に構築されたスラブ16を、既存建物12の既存の梁24と接合する構成について説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えば、図3(A)に示す接合部20のように、スラブ16を、既存建物12の既存のスラブ78の側面78Sと接合する構成でもよい。
【0030】
これにより、スラブ16とスラブ78を一体化し、既存建物12の既存のスラブ78から、鉄骨フレーム14のスラブ16へ、連続して地震力を伝達させることで、既存建物12の地震力を鉄骨フレーム14へ伝達させることができる。
【0031】
また、図3(B)に示す接合部30のように、鉄骨フレーム88にはスラブ16が設けられ、スラブ16を支持する梁38を、鉄骨鉄筋コンクリート梁(いわゆるSRC梁)46とすることもできる。
ここに、鉄骨鉄筋コンクリート梁46は、H形鋼製の梁38の周囲を、鉄筋コンクリートで囲んだ梁である。
【0032】
この場合には、鉄骨鉄筋コンクリート梁46の側面46Sと、既存の梁24の側面24Sを当接させて、アンカーボルト32で接合すればよい。
これにより、既存建物12と鉄骨フレーム88の一体化が担保される。
【0033】
(第2実施形態)
図4(A)、(B)を用いて、第2実施形態に係る既存建物補強構造について説明する。第2実施形態に係る既存建物補強構造は、既存のスラブ18の上面と、新設のスラブ16の上面に跨って、シート26が貼り付けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図4(A)は既存建物12と鉄骨フレーム88の接合部80の施工段階を示し、図4(B)は完成状態を示す部分断面図である。
【0034】
図4(A)に示す接合部80のように、シート26は、同一高さに構築された既存のスラブ18の上面と、新設のスラブ16の上面に跨って、接着剤で貼り付けられている。
シート26は、例えば炭素繊維系の炭素繊維シートであり、連続した1枚のシートで構成され、スラブ18の上面とスラブ16の上面を、同時に一体的に覆う構成である。
これにより、既存スラブ18と新設スラブ16の接合強度をより高めることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、既存建物12の外周部に設けられている、外壁又は手すり等の壁体28は、シート26の貼り付け前に、それらを一旦取り外す。取り外した壁体28は、補強工程の終了後に、シート26の上に再度構築すればよい。このとき、新たな壁体28は、乾式壁(いわゆるALC等)とするのが望ましい。
【0036】
図4(B)に接合部80の仕上げ状態を示す。既存建物12のスラブ18は、シート26の上にモルタル84を打設して仕上げる。また、鉄骨フレーム88のスラブ16は、シート26の上、及び壁体28の下部に防水シート86を貼り、防水処理を行う。
【0037】
なお、本実施形態では、第1実施形態の図3(B)に示す接合部30を例に説明した。しかし、これに限定されることはなく、第1実施形態の図2(B)に示す接合部10、及び図3(A)に示す接合部20に適用してもよい。また、本実施形態は、後述する第3実施形態〜第5実施形態にも適用される。また、本実施形態は、鉄骨フレーム88の柱列34と、既存建物12の柱74をアンカーボルト32等で連結する構成も含む。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0038】
(第3実施形態)
図5(A)、(B)を用いて、第3実施形態に係る既存建物補強構造について説明する。第3実施形態に係る既存建物補強構造は、鉄骨フレーム44に設けられた新設のスラブ48が跳ね出しスラブである点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図5(A)は既存建物12と鉄骨フレーム44の接合部40の断面図((B)のY1−Y1線断面図)であり、図5(B)は(A)のZ1−Z1線断面図である。
【0039】
図5(A)に示す接合部40のように、既存建物12は、外周部に既存の鉄筋コンクリート造の梁24に支持された既存のスラブ18を有している。
鉄骨フレーム44は、既存建物12と所定の距離W1を開けて構築され、既存建物12と、既存建物12側の柱列34との間には、鉄筋コンクリート造のスラブ48が設けられている。
【0040】
また、柱列34の柱間に設けられたH形鋼製の梁38は、梁38の周囲がコンクリートで覆われた鉄骨鉄筋コンクリート梁46とされている。
スラブ48は、鉄骨フレーム44側の端部が鉄骨鉄筋コンクリート梁46に支持されている。また、既存建物12側の端面48Sは既存のスラブ18と当接されている。スラブ48の端面48Sとスラブ18の端面18Sは、アンカーボルト32で接合されている。
【0041】
また、図5(B)に示すように、スラブ48の上面48Uとスラブ18の上面18Uには、炭素繊維系のシート26が貼り付けられている。図5(B)のドットで示す範囲が、シート26が貼り付けられた範囲である。
【0042】
これにより、スラブ18とスラブ48の接合強度が高められ、既存建物12と鉄骨フレーム44を一体化することができる。なお、スラブ18とスラブ48の接合強度を、アンカーボルト32のみで確保できる場合には、シート26は設けなくてもよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0043】
(第4実施形態)
図6(A)、(B)を用いて、第4実施形態に係る既存建物補強構造について説明する。第4実施形態に係る既存建物補強構造は、既存建物52が跳ね出しスラブ54を有し、跳ね出しスラブ54が鉄骨フレーム56と接合される点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図6(A)は既存建物52と鉄骨フレーム56の接合部50の断面図((B)のY1−Y1線断面図)であり、図6(B)は(A)のZ1−Z1線断面図である。
【0044】
図6(A)に示す接合部50のように、既存建物52は、鉄骨フレーム56と接する側面に、鉄筋コンクリート造の跳ね出しスラブ54が設けられている。
一方、鉄骨フレーム56の柱列34の間のH形鋼製の梁38は、梁38の周囲がコンクリートで覆われた、鉄骨鉄筋コンクリート梁46とされている。また、鉄骨フレーム56には、新設のスラブ58が設けられている。スラブ58は、鉄筋コンクリート造とされ、鉄骨鉄筋コンクリート梁46及び小梁62で支持されている。スラブ58の端面58Sと、跳ね出しスラブ54の端面54Sは、アンカーボルト32で接合されている。
【0045】
また、図6(B)に示すように、スラブ58の上面58Uとスラブ54の上面54Uには、炭素繊維系のシート26が貼り付けられている。図5(B)のドットで示す範囲が、シート26が貼り付けられた範囲である。
【0046】
これにより、スラブ54とスラブ58の接合強度が高められ、既存建物52と鉄骨フレーム56を一体化することができる。なお、スラブ54とスラブ58の接合強度を、アンカーボルト32のみで確保できる場合には、シート26は設けなくてもよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0047】
(第5実施形態)
図7(A)、(B)を用いて、第5実施形態に係る既存建物補強構造について説明する。第5実施形態に係る既存建物補強構造は、既存建物52が跳ね出しスラブ54を有し、鉄骨フレーム90も跳ね出しスラブ68を有している点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
ここに、図7(A)は既存建物52と鉄骨フレーム90の接合部60の側面図((B)のY1−Y1線断面図)であり、図7(B)は(A)のZ1−Z1線断面図である。
【0048】
図7(A)に示す接合部60のように、既存建物52は、鉄筋コンクリート造の跳ね出しスラブ54を有し、鉄骨フレーム90も鉄筋コンクリート造の跳ね出しスラブ68を有し、跳ね出しスラブ68の端面68Sと、跳ね出しスラブ54の端面54Sがアンカーボルト32で接合されている。
【0049】
鉄骨フレーム90は、既存建物12の跳ね出しスラブ54の端面54Sから、梁46の側面46Sまで所定の距離W2を開けて構築され、既存建物52との間は、新設のスラブ68で接合されている。
鉄骨フレーム90において、柱列34の柱の間のH形鋼製の梁38は、梁38の周囲が鉄筋コンクリートで覆われた、鉄骨鉄筋コンクリート梁46とされている。
スラブ68は、鉄骨フレーム90側の端部が、鉄骨鉄筋コンクリート梁46に支持され、既存建物52側の端部は、スラブ68の端面68Sと、スラブ54の端面54Sを当接させて、アンカーボルト32で接合されている。
【0050】
また、図7(B)に示すように、スラブ68の上面68Uと、スラブ54の上面54Uには、炭素繊維系のシート26が貼り付けられている。図7(B)のドットで示す範囲が、シート26が貼り付けられた範囲である。
【0051】
これにより、スラブ54とスラブ68の接合強度が高められ、既存建物52と鉄骨フレーム90を一体化することができる。なお、スラブ54とスラブ68の接合強度を、アンカーボルト32のみで確保できる場合には、シート26は設けなくてもよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
【0052】
10、20、30、40、50、60、70 接合部
12、52 既存建物
14、44、56、88、90 鉄骨フレーム(立体架構)
16、48、58、68 スラブ(新設スラブ)
16U、48U、58U、68U スラブの上面
16S、48S、58S、68S スラブの端面
18、54、78 スラブ(既存スラブ)
18U、54U、78U スラブの上面
18S、54S、78S スラブの端面
26 シート(繊維製のシート、炭素繊維シート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7