特許第6368586号(P6368586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368586
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】交通信号制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20180723BHJP
   G08G 1/083 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   G08G1/07 E
   G08G1/083
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-171215(P2014-171215)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-45828(P2016-45828A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【審査官】 黒嶋 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−228942(JP,A)
【文献】 特開2010−157148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御部と、複数の灯器制御ユニットとを備え、第1道路と第2道路とが交差する交差点における前記第1道路に係る第1の車両用灯器及び第1の歩行者用灯器と、前記第2道路に係る第2の車両用灯器及び第2の歩行者用灯器とのうち、通行権を与える表示灯色変更を行う灯器を所与の順序とすることで、当該交差点の各交通流に順番に通行権を与える制御を行う交通信号制御装置であって、
前記複数の灯器制御ユニットには、前記第1の車両用灯器を制御する第1の車両用灯器制御ユニットと、前記第1の歩行者用灯器を制御する第1の歩行者用灯器制御ユニットと、前記第2の車両用灯器を制御する第2の車両用灯器制御ユニットと、前記第2の歩行者用灯器を制御する第2の歩行者用灯器制御ユニットとが含まれ、
前記灯器制御ユニットそれぞれは、
当該灯器制御ユニットの制御対象灯器に前記表示灯色変更を行わせるためのシークエンスを定めたシークエンス表示制御データを記憶する記憶部と、
所与の指令信号を入力した場合に当該灯器制御ユニットの制御対象灯器に前記シークエンス表示制御データに従った前記表示灯色変更を行わせる制御を開始し、当該シークエンス表示制御データに従った当該表示灯色変更が終了した場合に当該制御対象灯器を停止表示とさせるとともに前記主制御部に表示終了通知を行う表示制御部と、
を有し、
前記主制御部は、(1)前記指令信号を出力した出力先の前記灯器制御ユニットを含む前記複数の灯器制御ユニット全てから前記表示終了通知を入力したことを判断した後に、(2)前記第1の車両用灯器制御ユニット、前記第1の歩行者用灯器制御ユニット、前記第2の車両用灯器制御ユニット、及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットの中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に前記指令信号を出力した灯器制御ユニットに基づいて、次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力することを繰り返し行う、
交通信号制御装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記(2)について、
前記第1の車両用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプAと、
前記第1の車両用灯器制御ユニット及び前記第1の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプBと、
前記第2の車両用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプCと、
前記第2の車両用灯器制御ユニット及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプDと、
前記第1の歩行者用灯器制御ユニット及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプEと、
の中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に実行した指令タイプに基づいて、次に実行する指令タイプを選択することで、当該選択した指令タイプに従って次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する
請求項1に記載の交通信号制御装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記(2)について、
歩行者の進行要求が無い場合には、前記指令タイプAと、前記指令タイプCとを交互に選択することで、当該選択した指令タイプに従って次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する
請求項2に記載の交通信号制御装置。
【請求項4】
前記主制御部は、前記(2)について、
前記第1の歩行者用灯器及び前記第2の歩行者用灯器のうちの何れの歩行者用灯器に対する進行要求がなされたか、及び、従前に実行した指令タイプに基づいて、次に実行する指令タイプを選択することで、当該選択した指令タイプに従って次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する
請求項2又は3に記載の交通信号制御装置。
【請求項5】
前記主制御部は、前記(2)について、
前記第1の歩行者用灯器に対する進行要求が有り、且つ、直前に実行した指令タイプが前記指令タイプA又は前記指令タイプBである場合には、前記指令タイプEを次に選択することで、当該選択した指令タイプに従って次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する
請求項4に記載の交通信号制御装置。
【請求項6】
前記主制御部は、前記(2)について、
前記第1の歩行者用灯器に対する進行要求が無く、且つ、直前に実行した指令タイプが前記指令タイプA又は前記指令タイプBである場合には、前記第2の歩行者用灯器に対する進行要求の有無に応じて前記指令タイプC又は前記指令タイプDを選択することで、当該選択した指令タイプに従って次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する
請求項4又は5に記載の交通信号制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号を制御する交通信号制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点等における交通信号を制御する交通信号制御装置は、各灯器の表示灯色を制御する装置である。従来、例えば表示灯色を青(進行表示を示す。「緑」とも言われるが、本明細書では「青」として説明する。)とする灯器の順序は、予め定められていた。従って、交通信号制御装置は、予め定められた灯器の順序に従って表示灯色の周期的な制御を実行する。表示灯色には、基本的に青、黄、赤(停止表示を示す。)が含まれ、右折矢印や左折矢印等の矢印表示を含む場合もある。従来の交通信号制御装置において、制御可能な要素は、時間帯や交通量によって、サイクル長やスプリット、オフセットといった信号制御パラメータを変更することくらいであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−002598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した通り、従来の交通信号制御装置では、どの交通流に通行権を与えるかの順番である、表示灯色を青とする灯器の順序は基本的に固定であり、変更することはできなかった。このことは、灯器として、車両用灯器と歩行者用灯器とがある場合も同様であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用灯器と歩行者用灯器とがある交差点の交通信号の制御において、歩行者用灯器に対する歩行者の進行要求に応じて、多様な信号制御を可能とする新たな交通信号制御装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
主制御部と、複数の灯器制御ユニットとを備え、第1道路と第2道路とが交差する交差点における前記第1道路に係る第1の車両用灯器及び第1の歩行者用灯器と、前記第2道路に係る第2の車両用灯器及び第2の歩行者用灯器とを制御する交通信号制御装置であって、
前記複数の灯器制御ユニットには、前記第1の車両用灯器を制御する第1の車両用灯器制御ユニットと、前記第1の歩行者用灯器を制御する第1の歩行者用灯器制御ユニットと、前記第2の車両用灯器を制御する第2の車両用灯器制御ユニットと、前記第2の歩行者用灯器を制御する第2の歩行者用灯器制御ユニットとが含まれ、
前記灯器制御ユニットそれぞれは、
制御対象灯器の表示灯色のシークエンスを定めたシークエンス表示制御データを記憶する記憶部と、
前記制御対象灯器を前記シークエンス表示制御データに従って表示させる表示制御部であって、所与の指令信号を入力した場合に表示制御を開始し、当該シークエンス表示制御データが終了した場合に停止表示とさせる表示制御部と、
を有し、
前記主制御部は、前記第1の車両用灯器制御ユニット、前記第1の歩行者用灯器制御ユニット、前記第2の車両用灯器制御ユニット、及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットの中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に前記指令信号を出力した灯器制御ユニットに基づいて、次に前記指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して前記指令信号を出力する、
交通信号制御装置である。
【0007】
この第1の発明によれば、交通信号制御装置は、主制御部と、複数の灯器制御ユニットとを備えて構成される。交通信号制御装置が制御する灯器には、第1道路と第2道路とが交差する交差点における第1道路に係る第1の車両用灯器及び第1の歩行者用灯器と、第2道路に係る第2の車両用灯器及び第2の歩行者用灯器とがある。灯器制御ユニットには、第1の車両用灯器を制御する第1の車両用灯器制御ユニットと、第1の歩行者用灯器を制御する第1の歩行者用灯器制御ユニットと、第2の車両用灯器を制御する第2の車両用灯器制御ユニットと、第2の歩行者用灯器を制御する第2の歩行者用灯器制御ユニットとが含まれる。
【0008】
主制御部は、第1の車両用灯器制御ユニット、第1の歩行者用灯器制御ユニット、第2の車両用灯器制御ユニット、及び第2の歩行者用灯器制御ユニットの中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に指令信号を出力した灯器制御ユニットに基づいて、次に指令信号を出力する灯器制御ユニットを決定して指令信号を出力する。
【0009】
灯器制御ユニットそれぞれは、主制御部から指令信号が入力された場合に、記憶しているシークエンス表示制御データに定められる表示灯色のシークエンスに従って、制御対象灯器を表示制御する。すなわち、指令信号が入力された後は、灯器制御ユニットは、記憶している表示灯色のシークエンスに従って、制御対象灯器の表示制御を自発的に行う。
これにより、歩行者の進行要求を受け付けて、進行要求が有ったか否か、従前に表示灯色を変更させた灯器が何れであるかに基づいて、多様な信号制御を実現することができる。
【0010】
より具体的には、例えば、第2の発明として、第1の発明の交通信号制御装置において、
前記主制御部は、
前記第1の車両用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプAと、
前記第1の車両用灯器制御ユニット及び前記第1の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプBと、
前記第2の車両用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプCと、
前記第2の車両用灯器制御ユニット及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプDと、
前記第1の歩行者用灯器制御ユニット及び前記第2の歩行者用灯器制御ユニットに前記指令信号を出力する指令タイプEと、
の中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に実行した指令タイプに基づいて、次に実行する指令タイプを選択して実行する、
交通信号制御装置を構成しても良い。
【0011】
さらに、第3の発明として、第2の発明の交通信号制御装置において、
前記主制御部は、歩行者の進行要求が無い場合には、前記指令タイプAと、前記指令タイプCとを交互に選択して実行する、
交通信号制御装置を構成することとしてもよい。
【0012】
この第3の発明によれば、歩行者の進行要求が無いため、車両用灯器のみについて、シークエンス表示制御データに従って表示制御させることができる。
【0013】
また、第4の発明として、第2又は第3の発明の交通信号制御装置において、
前記主制御部は、前記第1の歩行者用灯器及び前記第2の歩行者用灯器のうちの何れの歩行者用灯器に対する進行要求がなされたか、及び、従前に実行した指令タイプに基づいて、次に実行する指令タイプを選択して実行する、
交通信号制御装置を構成することとしてもよい。
【0014】
この第4の発明によれば、第1の歩行者用灯器及び第2の歩行者用灯器のうちの何れの歩行者用灯器に対する進行要求がなされたかによって、次に実行する指令タイプを変更することが可能となる。
【0015】
例えば、第5の発明として、第4の発明の交通信号制御装置において、
前記主制御部は、前記第1の歩行者用灯器に対する進行要求が有り、且つ、直前に実行した指令タイプが前記指令タイプA又は前記指令タイプBである場合には、前記指令タイプEを次に実行する、
交通信号制御装置を構成することとしてもよい。
【0016】
この第5の発明によれば、全ての車両用信号灯器を赤としている間に全ての歩行者用信号灯器を青とする、いわゆる歩車分離の信号制御を実行することが可能となる。
【0017】
また、第6の発明として、第4又は第5の発明の交通信号制御装置において、
前記主制御部は、前記第1の歩行者用灯器に対する進行要求が無く、且つ、直前に実行した指令タイプが前記指令タイプA又は前記指令タイプBである場合には、前記第2の歩行者用灯器に対する進行要求の有無に応じて前記指令タイプC又は前記指令タイプDを選択して次に実行する、
交通信号制御装置を構成することとしてもよい。
【0018】
この第6の発明によれば、例えば、第2の歩行者用灯器に対する進行要求がある場合に指令タイプDを次に実行することで、第2道路に係る第2の車両用信号灯器及び第2の歩行者用灯器の表示灯色を並行して表示制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】灯器及び交通信号制御装置の設置例を示す図。
図2】交通信号の制御対象となる交通の流れを説明するための図。
図3】交通信号制御装置の概略的な機能構成を説明するための図。
図4】シークエンス表示制御データのデータ構成の一例を示す図。
図5】指令タイプ設定データのデータ構成の一例を示す図。
図6】交通信号制御装置の詳細な構成を説明するための図。
図7】歩行者要求フラグのデータ構成の一例を示す図。
図8】灯器制御処理の流れを示すフローチャート。
図9】主制御処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[全体構成]
図1は、本実施形態における交通信号制御装置20の適用例である。本実施形態では、交通信号制御装置20の制御対象となる交差点ITは、第1道路と第2道路とが交差する十字交差点とする。そのため、交差点ITには、第1道路に係る車両用灯器として第1の車両用灯器10−1a,10−1bが設けられ、第2道路に係る車両用灯器として第2の車両用灯器10−2a,10−2bが設けられている。また、交差点ITには、横断歩道が設けられ、第2道路を横断するための第1道路に係る第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dが設けられ、第1道路を横断するための第2道路に係る第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dが設けられている。交通信号制御装置20は、これらの灯器の表示灯色を制御する。
【0021】
また、本実施形態では、歩行者用灯器を、進行表示を示す表示灯色とするためには、対応する歩行者用押しボタン装置60のボタンを歩行者が押して、進行要求を入力する必要があることとする。受け付けられた進行要求は交通信号制御装置20に通知される。進行表示は、通行権を与える交通方向に、通行権を与えていることを示す表示である。進行表示を示す表示灯色は、「緑」と言われる場合もあるが、本実施形態では「青」として説明する。なお、通行権を与えていない停止表示を示す表示灯色は「赤」である。
【0022】
第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dに対応する歩行者用押しボタン装置としては、第1の歩行者用押しボタン装置60−1a,60−1b,60−1c,60−1dが設けられている。また、第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dに対応する歩行者用押しボタン装置としては、第2の歩行者用押しボタン装置60−2a,60−2b,60−2c,60−2dが設けられている。
【0023】
以下では、第1の車両用灯器10−1a,10−1b及び第2の車両用灯器10−2a,10−2bをまとめて車両用灯器10と称し、第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1d及び第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dをまとめて歩行者用灯器50と称し、第1の歩行者用押しボタン装置60−1a,60−1b,60−1c,60−1d及び第2の歩行者用押しボタン装置60−2a,60−2b,60−2c,60−2dをまとめて歩行者用押しボタン装置60と称する。
【0024】
交通信号制御装置20は、灯器の何れかが取り付けられた柱の下方やその近傍に設置され、各灯器それぞれと有線又は無線によって通信接続されている。そして、交通信号制御装置20は、各灯器の表示を制御して、交差点に係る交通信号を制御することで、交差点ITに係る車両及び歩行者の交通の流れを制御する。
【0025】
図2は、交通信号制御装置20が制御対象とする交通の流れを示す図である。交通信号制御装置20が制御対象とする交通には、大きく、車両交通と歩行者用交通との2種類がある。図2(1)は、交通信号制御装置20が制御対象とする車両交通の流れを示す図であり、図2(2)は、交通信号制御装置20が制御対象とする歩行者交通の流れを示す図である。車両交通には、第1道路に係る第1の車両用灯器10−1a,10−1bが進行表示を示す青となることにより通行権が与えられる車両交通1Vと、第2道路に係る第2の車両用灯器10−2a,10−2bが進行表示を示す青となることにより通行権が与えられる車両交通2Vとの2方向がある。なお、図2(1)では、車両交通の方向として直進方向のみを示しているが、右折及び左折方向も含む。
【0026】
また、歩行者交通には、第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dが進行表示を示す青となることにより通行権が与えられる歩行者交通1Pと、第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dが進行表示を示す青となることにより通行権が与えられる歩行者交通2Pとがある。
【0027】
図3は、交通信号制御装置20の概略機能構成を説明するための図である。図3に示すように、交通信号制御装置20は、主制御部30と、複数の灯器制御ユニット40−1V,40−2V,40−1P,40−2Pとを備えて構成される(図6参照)。灯器制御ユニット40−1V,40−2V,40−1P,40−2Pをまとめて灯器制御ユニット40と称する。
【0028】
灯器制御ユニット40は、交通信号制御装置20が制御対象とする交通それぞれに対応して設けられ、制御対象灯器である1又は複数の灯器の表示を制御する。すなわち、灯器制御ユニット40には、車両用灯器制御ユニット40−Vと、歩行者用灯器制御ユニット40−Pとがある。そして、車両用灯器制御ユニット40−Vには、車両交通1Vに対応する、第1の車両用灯器10−1a,10−1bを制御する第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vと、車両交通2Vに対応する、第2の車両用灯器10−2a,10−2bを制御する第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vとがある。歩行者用灯器制御ユニット40−Pには、歩行者交通1Pに対応する、第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dを制御する第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1Pと、歩行者交通2Pに対応する、第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dを制御する第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pとがある。
【0029】
灯器制御ユニット40は、制御対象の車両用灯器10或いは歩行者用灯器50の表示灯色の表示順序であるシークエンスを定めたシークエンス表示制御データ422(422−1V,422−2V,422−1P,422−2P)を記憶しており、主制御部30からの指令信号に従って、シークエンス表示制御データ422で定められた表示灯色のシークエンス(表示順序)で、制御対象の車両用灯器10或いは歩行者用灯器50の表示を制御する。このとき、制御対象の灯器が複数である灯器制御ユニット40は、これらの複数の灯器を同一表示に制御する。すなわち、交通流1つ1つに対応して灯器が存在するが、異なる交通流に対して同一の信号制御を実現したい場合には、それらの交通流に対応する灯器を、1つの灯器制御ユニット40が制御することとすればよい。例えば、図2(1)の第1道路において、上方から交差点ITに進入する交通流と、下方から交差点ITに進入する交通流とは異なるため、それぞれに車両用灯器10−1a,10−1bが割り当てられている。しかし、本実施形態では、車両交通1Vとして同一の信号制御を実現するため、1台の第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vが、車両用灯器10−1a,10−1bを制御する。
【0030】
図4は、シークエンス表示制御データ422の一例を示す図である。図4(1)は、第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vに記憶されるシークエンス表示制御データ422−1Vであり、図4(2)は、第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vに記憶されるシークエンス表示制御データ422−2Vであり、図4(3)は、第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1Pに記憶されるシークエンス表示制御データ422−1Pであり、図4(4)は、第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pに記憶されるシークエンス表示制御データ422−2Pである。
【0031】
シークエンス表示制御データ422は、表示順序に、表示灯色と、表示時間とを対応付けた表示灯色の遷移に関するデータである。車両用灯器10に対する表示灯色の順序は何れも同じであり、青(進行表示)、黄、赤(停止表示)の順に定められている。また、歩行者用灯器50に対する表示灯色の順序は同じであり、青、青点滅、赤の順に定められている。なお、車両用灯器10の表示灯色として右折又は左折等の矢印灯がある場合には、矢印灯の表示を順序に組み込むことができる。
【0032】
灯器制御ユニット40は、主制御部30から指令信号が入力されることによって、シークエンス表示制御データ422で定められる表示順序に従って、定められた表示灯色を、定められた表示時間だけ順番に表示させていく。そして、灯器制御ユニット40は、シークエンス表示制御データ422に従った1回分の表示灯色の制御サイクルが終了すると、主制御部30に表示制御の終了を通知する(表示終了通知)。すなわち、指令信号が入力されると、灯器制御ユニット40は、自発的に、制御対象の灯器の表示灯色をシークエンス表示制御データ422に従って1回分制御する。また、シークエンス表示制御データ422に従った表示制御が終了した場合を含む、シークエンス表示制御データ422に従った表示制御を行っていない待機状態の場合には、灯器制御ユニット40は、制御対象の灯器を停止表示(赤)とする。
【0033】
主制御部30は、どの灯器制御ユニット40に、どの順番に指令信号を出力するかによって、通行権を与える交通を制御することができる。例えば、車両交通1Vと車両交通2Vとに交互に通行権を与えるのであれば、第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vに指令信号を出力し、表示終了通知を受信した後、第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vに指令信号を出力する。そして表示終了通知を受信したならば、再度第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vに指令信号を出力する。これを繰り返せばよい。
【0034】
本実施形態の特徴の1つとして、主制御部30は、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に指令信号を出力した灯器制御ユニットに基づいて、次に指令信号を出力する灯器制御ユニットを動的に決定する。本実施形態では、指令信号の出力先の組み合わせを5種類とし、指令タイプと呼ぶ。指令タイプは、図5に示す指令タイプ設定データ322のデータ構成として予め設定される。
【0035】
指令タイプAは、第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vを指令信号の出力先とするタイプである。指令タイプAにより、車両交通1V(図2参照)にのみ通行権が与えられる(図2参照)。
指令タイプBは、第1の車両用灯器制御ユニット40−1V及び第1の歩行者用灯器制御ユニット10−1Pを指令信号の出力先とするタイプである。車両交通1V及び歩行者交通1P(図2参照)に並行して通行権が与えられる。
指令タイプCは、第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vを指令信号の出力先とするタイプである。車両交通2V(図2参照)にのみ通行権が与えられる。
【0036】
指令タイプDは、第2の車両用灯器制御ユニット40−2V及び第2の歩行者用灯器制御ユニット10−2Pを指令信号の出力先とするタイプである。車両交通2V及び歩行者交通2P(図2参照)に並行して通行権が与えられる。
指令タイプEは、第1の歩行者用灯器制御ユニット10−1P及び第2の歩行者用灯器制御ユニット10−2Pを指令信号の出力先とするタイプである、歩行者交通1P及び歩行者交通2P(図2参照)に並行して通行権が与えられる。指令タイプEの場合は、全ての歩行者交通1P,2Pに通行権が与えられ、全ての車両交通1V,2Vには通行権が与えられないため、いわゆる歩車分離が実現される。
【0037】
[機能構成]
図6は、交通信号制御装置20の詳細な構成を説明するための図である。図6によれば、交通信号制御装置20は、操作部110と、表示部120と、通信部140と、主制御部30と、複数の灯器制御ユニット40(40−1V,40−2V,40−1P,40−2P)とを備えて構成される。各機能部は施錠された筐体に収められており、歩行者等の一般人が操作できないようにされる。但し、交通信号制御装置20の設置時や保守時には扉が解錠されて開扉可能となり、操作部110の操作や、表示部120の表示の目視など、各機能部へアクセスできるようになる。
【0038】
操作部110は、例えばスイッチやタッチパネル等の入力装置で実現され、交通信号制御装置20の管理者の操作に応じた操作信号を、主制御部30などに出力する。表示部120は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置で実現され、主制御部30などからの表示信号に従った各種表示を行う。通信部140は、例えば有線或いは無線の通信装置で実現され、外部装置との間で有線通信或いは無線通信を行う。
【0039】
主制御部30は、主処理部310と、主記憶部320とを有する。主制御部30は、各種の電子回路が配設された制御ボードの形で構成される。
【0040】
主処理部310は、例えばCPU(Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算装置で実現され、主記憶部320に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて主制御部30の全体制御を行う。また、主処理部310は、主制御プログラム321に従った主制御処理(図9参照)を行う。
【0041】
主記憶部320は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶装置で実現され、主処理部310が主制御部30を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶している。また、主処理部310の作業領域として用いられ、主処理部310が各種プログラムに従って実行した演算結果が一時的に格納される。本実施形態では、主記憶部320には、主制御プログラム321と、指令タイプ設定データ322と、歩行者要求フラグ323と、従前実行指令タイプ324とが記憶される。
【0042】
図7は、歩行者要求フラグ323のデータ構成の一例を示す図である。第1道路に係る歩行者交通1Pと、第2道路に係る歩行者交通2Pとについて、それぞれ進行要求が有ったか否かを示すフラグが格納される。第1の歩行者用押しボタン装置60−1a,60−1b,60−1c,60−1dの何れかに、歩行者によって進行要求が入力された場合には、進行要求の信号を受信した主処理部310が、歩行者交通1PのフラグをONとする。同様に、第2の歩行者用押しボタン装置60−2a,60−2b,60−2c,60−2dの何れかに、歩行者によって進行要求が入力された場合には、進行要求の信号を受信した主処理部310が、歩行者交通2PのフラグをONとする。また、主処理部310は、指令タイプA〜Eの何れを実行したかに応じて、歩行者交通1P,2PのフラグをOFFとする。
【0043】
従前実行指令タイプ324には、直前に実行した指令タイプの識別情報と、2つ前に実行した指令タイプの識別情報とが格納され、新たな指令タイプが実行される毎に主処理部310によって更新される。
【0044】
灯器制御ユニット40(40−1V,40−2V,40−1P,40−2P)は、ユニット処理部410と、ユニット記憶部420とを有する。図6では、代表して、第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vの内部構成のみを示している。シークエンス表示制御データ422のデータ内容が異なるだけで、第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vや、第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1P、第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pも同様の構成を有している。灯器制御ユニット40は、各種の電子回路が配設された制御ボードの形で構成される。
【0045】
ユニット処理部410は、例えばCPUやASIC、FPGA等の演算装置で実現され、ユニット記憶部420に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、灯器制御ユニット40の全体制御を行う。また、ユニット処理部410は、表示制御部411を有し、灯器制御プログラム421に従った灯器制御処理(図8参照)を行う。
【0046】
表示制御部411は、主制御部30からの指令信号に従って、シークエンス表示制御データ422で定められる表示順序で、制御対象の灯器の表示灯色を制御する。
【0047】
ユニット記憶部420は、ROMやRAM等の記憶装置で実現され、ユニット処理部410が灯器制御ユニット40を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶しているとともに、ユニット処理部410の作業領域として用いられ、ユニット処理部410が各種プログラムに従って実行した演算結果が一時的に格納される。本実施形態では、ユニット記憶部420には、灯器制御プログラム421と、シークエンス表示制御データ422とが記憶される。
【0048】
[処理の流れ]
交通信号制御装置20における処理の流れを説明する。図8は、灯器制御ユニット40における灯器制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、ユニット処理部410が灯器制御プログラム421を実行することで実現される。
【0049】
先ず、表示制御部411が、制御対象の灯器に、停止表示である赤を表示させる(ステップA1)。そして、主制御部30に、シークエンス表示制御データ422に従った表示制御を行っていないことを示す表示終了通知を出力する(ステップA3)。そして、主制御部30からの指令信号を待機する。このステップA1,A3は、いわば初期設定の状態である。
【0050】
その後、主制御部30から指令信号が入力されたならば(ステップA5:YES)、表示制御部411は、シークエンス表示制御データ422に従った灯器の表示制御を行う(ステップA7)。すなわち、制御対象の灯器の表示灯色を、シークエンス表示制御データ422で定められた表示灯色順に、定められた表示時間分ずつ順番に変更していく。そして、シークエンス表示制御データ422に従った1回の表示制御が終了した場合、制御対象の灯器の表示灯色を、停止表示を示す赤とする(ステップA9)。また、主制御部30に表示制御が終了した旨を示す表示終了通知を通知する(ステップA11)。その後、ステップA5に戻り、主制御部30からの指令信号を待機する。
【0051】
図9は、主制御部30における主制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、主処理部310が主制御プログラム321を実行することで実現される。
【0052】
先ず、歩行者用押しボタン装置60からの進行要求の受け付けを開始する(ステップS1)。以降、主処理部310は、進行要求が入力された場合には、対応する歩行者交通1P,2PのフラグをONとする。また、主処理部310は、全ての灯器制御ユニット40から表示終了通知が入力されているかを判断する。入力されているならば(ステップS2:YES)、直前に実行した指令タイプが何れであるかを判断する(ステップS3)。すなわち、主記憶部320に記憶された従前実行指令タイプ324に基づいて判断する。主制御処理の実行開始直後であり、従前実行指令タイプ324に直前に実行した指令タイプの識別情報が記憶されていない場合には、例えば、指令タイプAとするなど、所定の指令タイプとすることができる。
【0053】
直前に実行した指令タイプが指令タイプA又は指令タイプBであった場合(ステップS3:A又はB)、主処理部310は、歩行者交通1PのフラグがONか否かを判定する(ステップS5)。ONである場合には(ステップS5:YES)、指令タイプEを実行する(ステップS7)。すなわち、主処理部310は、指令タイプ設定データ322に従って、指令タイプEに対応する第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1P及び第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pに、指令信号を出力する。そして、歩行者交通1P及び歩行者交通2PのフラグをOFFとした後(ステップS9)、処理をステップS2に移行する。
【0054】
なお、ステップS5において、歩行者交通2PのフラグがONか否かに関わらず、歩行者交通1PのフラグがONであれば、ステップS7で指令タイプEを実行することとしたが、ステップS5で歩行者交通1P,2P両方のフラグがONの場合にのみ、ステップS7で指令タイプEを実行することとしてもよい。
【0055】
また、ステップS5において、歩行者交通1PのフラグがONではないと判定された場合には(ステップS5:NO)、主処理部310は、次いで、歩行者交通2PのフラグがONか否かを判定する(ステップS11)。ONである場合には(ステップS11:YES)、指令タイプDを実行する(ステップS13)。すなわち、主処理部310は、指令タイプ設定データ322に従って、指令タイプDに対応する第2の車両用灯器制御ユニット40−2V及び第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pに、指令信号を出力する。そして、歩行者交通2PのフラグをOFFとした後(ステップS15)、処理をステップS2に移行する。
【0056】
また、ステップS11において、歩行者交通2PのフラグがONではないと判定された場合には(ステップS11:NO)、指令タイプCを実行する(ステップS17)。すなわち、主処理部310は、指令タイプ設定データ322に従って、指令タイプCに対応する第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vに指令信号を出力する。そして、処理をステップS2に移行する。
【0057】
ステップS3において、直前に実行した指令タイプが指令タイプC又は指令タイプDであった場合(ステップS3:C又はD)、主処理部310は、歩行者交通2PのフラグがONか否かを判定する(ステップS19)。ONである場合には(ステップS19:YES)、処理部310は、指令タイプEを実行し(ステップS21)、歩行者交通1P及び歩行者交通2PのフラグをOFFとした後(ステップS23)、処理をステップS2に移行する。
【0058】
また、ステップS19において、歩行者交通2PのフラグがONではないと判定された場合には(ステップS19:NO)、主処理部310は、次いで、歩行者交通1PのフラグがONか否かを判定する(ステップS25)。ONである場合には(ステップS25:YES)、指令タイプBを実行する(ステップS27)。すなわち、主処理部310は、指令タイプ設定データ322に従って、指令タイプBに対応する第1の車両用灯器制御ユニット40−1V及び第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1Pに、指令信号を出力する。そして、歩行者交通1PのフラグをOFFとした後(ステップS29)、処理をステップS2に移行する。
【0059】
また、ステップS25において、歩行者交通1PのフラグがONではないと判定された場合には(ステップS25:NO)、指令タイプAを実行する(ステップS31)。すなわち、主処理部310は、指令タイプ設定データ322に従って、指令タイプAに対応する第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vに指令信号を出力する。そして、処理をステップS2に移行する。
【0060】
ステップS3において、直前に実行した指令タイプが指令タイプEであった場合(ステップS3:E)、主処理部310は、2つ前に実行した指令タイプを主記憶部320に記憶された従前実行指令タイプ324に基づいて判断する(ステップS33)。指令タイプA又は指令タイプBである場合には(ステップS33:A又はB)、ステップS11へ処理を移行する。また、指令タイプC又は指令タイプDである場合には(ステップS33:C又はD)、ステップS25へ処理を移行する。なお、主制御処理の実行開始直後であり、従前実行指令タイプ324に2つ前に実行した指令タイプの識別情報が記憶されていない場合には、例えば、2つ前に実行した指令タイプを指令タイプAとみなすなど、所定の指令タイプとすることができる。
【0061】
また、図9のフローチャートの原理的に、直前に実行した指令タイプおよび2つ前に実行した指令タイプが共に指令タイプEとなることは無いが、何らかの不具合でそのようになった場合を想定して、ステップS33の判断が指令タイプEであった場合には、ステップS11へ処理を移行することとしてもよい。
【0062】
[作用効果]
以上のように、本実施形態の交通信号制御装置20は、主制御部30と、複数の灯器制御ユニット40とを備えて構成される。交通信号制御装置20が制御する灯器には、第1道路と第2道路とが交差する交差点ITにおける第1道路に係る第1の車両用灯器10−1a,10−1b及び第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dと、第2道路に係る第2の車両用灯器10−2a,10−2b及び第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dとがある。灯器制御ユニット40には、第1の車両用灯器10−1a,10−1bを制御する第1の車両用灯器制御ユニット40−1Vと、第1の歩行者用灯器50−1a,50−1b,50−1c,50−1dを制御する第1の歩行者用灯器制御ユニット40−1Pと、第2の車両用灯器10−2a,10−2bを制御する第2の車両用灯器制御ユニット40−2Vと、第2の歩行者用灯器50−2a,50−2b,50−2c,50−2dを制御する第2の歩行者用灯器制御ユニット40−2Pとが含まれる。
【0063】
主制御部30は、各灯器制御ユニット40の中から、歩行者の進行要求の有無、及び、従前に指令信号を出力した灯器制御ユニット40に基づいて、次に指令信号を出力する灯器制御ユニット40を決定して指令信号を出力する。
【0064】
灯器制御ユニット40それぞれは、主制御部30から指令信号が入力された場合に、記憶しているシークエンス表示制御データ422に定められる表示灯色のシークエンスに従って、制御対象灯器を表示制御する。すなわち、指令信号が入力された後は、灯器制御ユニット40は、記憶している表示灯色のシークエンスに従って、制御対象灯器の表示制御を自発的に行う。
これにより、歩行者の進行要求を受け付けて、進行要求が有ったか否か、従前に表示灯色を変更させた灯器が何れであるかに基づいて、多様な信号制御を実現することができる。
【0065】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0066】
例えば、交差点を十字路としたが、三叉路や五叉路といった交差点に本発明を適用することも可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、交通信号制御装置20内に灯器制御ユニット40を内蔵することとして説明した。しかし、灯器制御ユニット40と制御対象の灯器との対応関係を1対1とし、各灯器それぞれに灯器制御ユニット40を内蔵することとしてもよい。その場合、主制御部30と各灯器制御ユニット40との間は有線または無線による通信接続となる。
【0068】
また、上記実施形態では、歩行者が歩行者用押しボタン装置60のボタンを押すことで、進行要求を入力するとして説明した。しかし、歩行者が待機していることを検出可能な歩行者センサーを設置し、この歩行者センサーの検出結果に基づいて進行要求を入力することとしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10−1a,10−1b 第1の車両用灯器
10−2b,10−2b 第2の車両用灯器
50−1a,50−1b,50−1c,50−1d 第1の歩行者用灯器
50−2a,50−2b,50−2c,50−2d 第2の歩行者用灯器
60−1a,60−1b,60−1c,60−1d 第1の歩行者用押しボタン装置
60−2a,60−2b,60−2c,60−2d 第2の歩行者用押しボタン装置
20 交通信号制御装置
110 操作部、120 表示部、140 通信部
30 主制御部
310 主処理部
320 主記憶部
321 主制御プログラム
322 指令タイプ設定データ
323 歩行者要求フラグ
324 従前実行指令タイプ
40(40−1V,40−2V,40−1P,40−2P) 灯器制御ユニット
410 ユニット処理部
420 ユニット記憶部
421 灯器制御プログラム
422(422−1V,422−2V,422−1P,422−2P) シークエンス表示制御データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9