(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コールドブロックのアセンブリは、前記結晶フロントの第2の幅に等しい前記冷却領域で第1の幅の結晶シートを生成するよう構成された細長形状を備える、請求項1に記載の装置。
前記コールドブロックは、第1と第2の位置との間を移動するよう作動し、前記第1の位置の方が前記融液の表面に近く、前記コールドブロックが前記第1の位置に配置された場合の前記結晶シートの第1の成長速度の方が、前記コールドブロックが前記第2の位置に配置された場合の第2の成長速度より速い、請求項1に記載の装置。
前記コールドブロックを、前記融液表面から前記第1の距離よりも大きい第2の距離に移動させるステップをさらに含み、前記結晶フロントは、前記コールドブロックが前記第2の距離に移動した際に終端する、請求項7に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
シリコン又はシリコン合金のような半導体材料は、集積回路や、他の用途のうちでも特に太陽電池産業で使用するためのウエハ又はシートとして製造することができる。再生可能エネルギー源の需要が増えているため、太陽電池のような大面積基板の需要が増え続けている。太陽電池産業における1つの大きなコストは、これらの太陽電池を作成するために用いられるウエハ又はシートである。ウエハ又はシートのコストの削減は、結果的に、太陽電池のコストを削減し、潜在的に再生可能エネルギー技術をより普及させることになるであろう。
【0004】
費用対効果の高い大面積基板を生成する可能性を示す1つのタイプの技術は、融液からの結晶シートの成長を伴う。特に、融液から水平に引き出されるシート(又は“リボン”)の生成は、過去数十年にわたって研究されてきた。特に、いわゆるフローティングシリコン法(FSM)、水平リボン成長法(HRG)、及び低角度シリコンシート法のような技術が、典型的にはシリコンである結晶半導体材料の高品質なシートを成長させるための迅速で信頼性のある方法を発展させる目的で研究されてきた。これら全てのアプローチにおいて、半導体材料のシートは、成長する結晶材料の先端部に垂直な方向に引き出される。
【0005】
図1は、従来技術に従って較正された、水平リボンの成長用システム100を示す。システム100は、材料を溶融するのに十分な温度にまで加熱されるるつぼ102を備え、それから水平シート106、又はリボンとしてシステム100から引き出される。シリコンを成長させる場合には、るつぼ内の融液104の温度は、シリコンの溶融温度より僅かに高く設定するのがよい。例えば、下部領域108における融液104の温度は、融液104を形成する材料の溶融温度より数度高くするのがよい。水平シート106の成長は、イニシエータ110、又は“イニシャライザ”が融液104の上面に近接すると始まり、イニシエータ110は、融液104の表面から熱を除去する。図示の例において、イニシエータ110は、融液104の表面に垂直な方向112に沿って移動可能である。
【0006】
従来技術によれば、イニシエータの少なくとも一部は、融液104の溶融温度より低い温度に維持される。イニシエータ110を、融液104の表面に十分近づけると、イニシエータ110によって提供される冷却によって、
図1に示す成長界面114に沿って結晶化が起こる。そして、成長する結晶シート106が、引張り方向116に沿って引っ張られる。引張り方向116に沿う引張り速度は、水平シート106の安定した結晶フロント、すなわち先端部118が得られるように調整するのがよい。
図1に例示されるように、先端部118は、引張り方向116に対して垂直に向けられる。引張り速度が、先端部118の成長速度を越えない限り、材料の連続シート106は、システム100を用いて引き出すことができる。
【0007】
図1に図示されたタイプの水平シート成長をモデル化する様々な取り組みが行われてきた。一例では、モンテカルロ解析によって、結晶シートの成長速度は、原子レベルで起こるプロセスによって制限されることが明らかになった。原子的粗面成長とファセット成長との2つの異なる成長レジームが同定されている。原子的粗面成長の場合、結晶成長速度は、融液の過冷却の量に比例し、10Kごとの過冷却に対して約1cm/sであることが分かっている。ファセット成長のシミュレーションでは、ファセットを横切る個々の層ステップの速度は、過冷却度あたり約0.5m/sである。実際の成長速度(V
g)は、後者の計算では推定されない、新しいステップの初期速度に依存する。
【0008】
上記結果から分かるように、V
gを増加させるために、成長する結晶界面の近傍の融液の過冷却を増大させるのが有用である。しかし、従来技術によれば、最大引張り速度V
pは、依然としてV
g未満又はそれに等しい値に制限され、したがって、達成可能な所定の過冷却条件に対する基板製作速度に上限を置いている。上記の観点から、融液からシリコンシートを水平に成長させる速度を高めるための、改良された装置及び方法が必要とされることが認識されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下に、本発明の好適な実施形態が示される添付図面を参照して、より完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形式で具体化することができ、本明細書に記述される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分であり、完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。図面においては、全体にわたって同様の数字は同様の要素を示す。
【0014】
上記の方法に関連する欠点を解決するために、本実施形態は、結晶材料、特に、単結晶材料の融液を水平に成長させるための新規性及び進歩性のある装置及び技術を提供する。多様な実施形態では、融液からの水平成長による単結晶シリコンシートの形成を改善する装置及び技術が開示される。本明細書に開示される装置は、概ね水平方向にシートを引っ張り、流し、さもなければ移送することによって融液から引き出すことができる長い単結晶シートを形成することができる。融液は、一実施形態においてはシートとともに流れるかもしれないが、シートに対して静止させることもできる。このような装置は、シリコン又はシリコン合金の薄い単結晶シートが、融液の表面領域から取り除かれ、長さ方向が、例えば、引張り方向に沿って整列するリボン形状を実現すべく融液の表面に沿う所定方向に引っ張られる固体のシートを形成することができるため、水平リボン成長(HRG)又はフローティングシリコン法(FSM)として称されることがある。
【0015】
HRG技術においては上記のように、シリコン融液の表面が溶融温度T
m以下に過冷却されると、成長する結晶フロントを生成させることができる。上記の成長のモデルのうちのどちらのモデルも、融液からのシリコンシートの水平方向な成長に最適であるとしても、その結果は、成長する結晶の成長フロントに与えられる過冷却の量と相俟って、シリコンの物理的な特性が、達成可能な結晶引張り速度の限界に制限を課していると考えられると示唆している。特に、装置によって与えられるシリコン融液の表面における過冷却の量は結晶シートが引き出される結晶フロントの成長速度V
gを決定することができる。本実施形態には、従来の装置及び技術と比較して、所定の冷却度に対して結晶引張り速度を速くする方法で、結晶シートの水平方向の成長を開始し、持続する冷却装置の新規の構成の利点がある。特に、本明細書においては、従来技術に比べて、結晶フロントにおける成長速度を超える結晶引張り速度(速度V
p)を提供する技術及び装置が開示される。
【0016】
多様な実施形態において、融液から結晶シートを形成する装置は、コールドブロックによって生成される結晶シートの結晶フロントが結晶シートの引張り方向に対する垂線に対して0でない角度を成すように相互運用可能なコールドブロックと結晶引張り器とを有する。このようにして、以降で詳述されるように、結晶シートの引張り速度は、結晶フロントの成長速度以上とすることができ、これにより、結晶シートの引張り速度を高くすることができる。
【0017】
図2は多様な実施形態による装置200の斜視図であり、
図3aは本装置200の上面図である。装置200は、融液104を形成するために、シリコンのような材料を溶融するのに用いられるるつぼ102を備え、これから結晶シート202が引き出される。装置は、るつぼ102と、融液104及び/又はるつぼ102を加熱するのに用いられる(不図示の)加熱構成要素とを含む従来技術において一般に知られているような構成要素を備える。シリコン成長の実施形態において、下部領域108におけるような融液104の温度は、シリコンの溶融温度(T
m)を僅かに超える範囲内、例えばシリコンの溶融温度T
mより数度高い温度に維持するのがよい。融液104から材料の固形化処理を開始するために、装置200は、融液104の表面212の一部に近接する、冷却領域を提供するように作動するコールドブロック206を備える。一例では、コールドブロック206には、このコールドブロック206内に融液表面212より冷たい領域を生成するために、コールドブロックの内部に(不図示の)冷却液体を設けられる。例示されるように、コールドブロック206は、高さH、すなわちコールドブロック206の下面218と融液104の表面212との間の最短距離を調節することができるように、方向214に沿って移動可能である。Hの値が十分に小さいと、コールドブロック206は、下面218に、その近傍にある融液104の一部を固化させるのに十分な、冷却領域を提供することができる。結晶化が起こると、結晶フロント210が形成され、T
c4−T
m4に比例する成長速度V
gで成長する。T
cは、融液104の表面212近傍のコールドブロック206の冷却領域の温度である。そのため、コールドブロック206が、冷却領域の温度T
cを十分に低く維持し、コールドブロック206が表面212に十分近い場合、結晶シートに引き出すことができる結晶材料は、コールドブロック206近傍の表面212の領域内で成長する。
【0018】
公知技術と同様に、結晶引張り器220は、例えば、
図2に示されるデカルト座標系のX軸に平行な所定の方向に沿って前後に引き出される(単独では示されていない)結晶種を含むことができる。そして、沈殿層が結晶種に付着すると、結晶シート202は融液104から引き出すことができる。
図2に例示されるように、結晶引張り器220が結晶材料の層を、X軸に平行な引張り方向
208に沿って引っ張ると、結晶シート202は、コールドブロック206の下面近傍の融液104の領域から引き出される。所望の量の結晶シート202が生成されるまで、結晶材料の層は結晶シート202として引き出すことができる。その後、コールドブロック206は、融液104の表面212からさらに離れたところに、表面212から方向214に沿って離すことができる。このさらに離れたところでは、コールドブロック206は、もはや融液104を結晶化させるのに十分なほどに表面212を冷却しなくなり、つまり、V
gは、結晶シート202の継続的な引張りを維持するのには不十分な値にまで低減する。そして、結晶フロント210は、コールドブロック206の下で終端し、結晶シート202はもはや成長しなくなる。
【0019】
特に、
図3aで例示されるように、コールドブロック206が表面212に十分に近接し、結晶シート202が引張り方向208に沿って引き出されると、結晶フロント210が、コールドブロック206の下面218近傍の融液104の表面212の領域で生じる。
図3aの挿入図に示されるように、コールドブロック206は、表面212に平行なX−Y平面で見て、一般に細長い形状を有する。そのため、コールドブロックは、細長くて、コールドブロック206の下面の形状と同様の形状を有する冷却領域222を生成する。そして、この冷却領域222は、(細長い)下面218の長さ方向に平行な線に沿って結晶フロント210を生成させることができる。なお、例示目的の
図3aの上面図で見ることができるが、冷却領域222は、
図2に示される表面212近傍の、コールドブロック206の下面218に位置する。
【0020】
さらに、
図3aに示されるように、冷却領域222は細長方向に平行な幅W
2aを有し、等しい幅の結晶フロント210を生成する。しかし、
図3aに示されるように、従来の技術及び装置とは異なり、本装置200は、引張り方向208に対して垂直でなく、引張り方向208に対する垂線230に対して0°より大きく、90°未満の角度を成す方向に結晶フロント210を生成する。
【0021】
図3bは、追加の実施形態による他のコールドブロック234の上面図を示している。この場合、コールドブロックは、表面212に平行なX−Y平面内で見て、一般的に細長い形状を有していない。コールドブロック234は、同様に細長形状でなく、コールドブロック234の下面の形状と同様の形状を有する冷却領域232を生成する。しかし、冷却領域222と同様に、冷却領域232は、引張り方向208に対する垂線230に対して0°より大きく、90°未満の角度を成す結晶フロント210を生成するよう作動する。シリコンのような材料のシートを成長させる、
図3a及び3bに例示されるコールドブロックの構成の利点は、以降の図面に関して詳述される。
【0022】
図4a及び4bは、従来技術及び本実施形態による融液から結晶シートを作成するための構造の細部の比較を示している。特に、上面図が、参考のために
図2及び3と同一のデカルト座標系を用いて例示されている。
図4aには、従来技術による装置で形成される結晶シート402の上面図が示されている。特に、(明示されていない)コールドブロックは、Y軸に平行な方向に沿って、言い換えれば、引張り方向に対する垂線に沿って存在する結晶フロント408を生成する。結晶シート402は、X軸に平行な方向406に沿って、に沿って引っ張ることにより引き出される。結晶材料は、
図4に示すように左へ向かう方向404に沿って、場合によっては、毎秒約数センチメートルの成長速度V
gで、成長する傾向で、結晶フロント408を形成することができる。また、当然、結晶材料は、Z方向に平行な速度で成長する。同時に、結晶シート材料は、引張り速度V
pで方向406に沿って引き出すことができる。例示されるように、方向406は、結晶フロント408の成長方向404から180°の方向である。結晶シート402を引き出すのに用いられる引張り速度V
pの値は、V
gの値によってある程度決められる。例えば、V
pの大きさがV
gの大きさより大きくない限り、結晶フロント408は、十分迅速に方向404の方に伝播し、方向406に沿う引張り速度V
pでのシート材料の引っ張りに対抗する。したがって、結晶フロント408は、固形化を引き起こす(不図示の)コールドブロック近傍の位置で安定した状態を保つことができ、連続シート402を、融液104から引っ張ることができる。このように、V
gの大きさは、結晶シート402を引き出す引張り速度に上限を置いていることが分かる。
【0023】
図4bには、本実施形態による装置で形成することのできる結晶シート410の上面図が示されている。
図4bに例示される例では、従来技術との比較のために結晶シート410は、X軸に平行な方向416に沿って引っ張ることによって引き出される。再度、比較のために、結晶フロント412の成長速度V
gは、
図4aの従来例における成長速度と同じ値であると想定する。しかし、従来技術とは異なり、コールドブロック(明示されていないが、
図3a参照)は、Y軸に対して0°でない角度θを成す方向に沿う方向に結晶フロント412を生成する。そのため、結晶フロント412に沿って形成される結晶材料は、
図4bに示されるように、方向414に沿って下方に、かつ左側へと成長する傾向にある。
【0024】
図4bに示される結晶材料が方向414に沿って速度V
gで成長すると仮定した場合、結晶シート410を方向416に沿って引っ張られる場合に、引張り速度V
pは、結晶フロント412の位置に変化をもたらさずに、V
g以上とすることができる。特に、
図4bに例示されるように、V
p=V
g/cosθである場合、結晶フロント412の位置は安定したままでいることができる。再び、
図2及び3を参照するに、このようにコールドブロック206の長軸を引張り方向に対する垂線に対して角度θで方向付けることによって、本実施形態は、従来技術よりV
pを実質的に増大させる。また、
図4bには、例示的な増大因子418をリストアップしており、増大因子418は、コールドブロックが本実施形態にしたがって構成される場合に、角度θの関数として達成可能なV
pの相対的な増加を表す。例えば、θが45°に等しい場合、V
pは41%増加し、また、θの値が60°に等しい場合、V
pは2倍になる。結晶シートのシート幅Sを同じに維持するためには、従来の装置の場合と同様に、細長い方向におけるコールドブロックの幅は従来の装置に対して増大させることに留意すべきである。例えば
図4aに例示されるように、従来の装置では、(不図示の)コールドブロックの幅W
1は結晶シートの幅Sと同じである。これに対し、
図3aに示されるように、コールドブロック206の幅W
2はシート幅Sより大きい。
【0025】
水平に引き出される結晶シートの引張り速度を増大させることに加えて、本実施形態にはさらなる利点がある。例えば、融液からの結晶化の間に、コールドブロックの下面近くの融液表面に形成される渦で欠陥や異物が取り込まれることがある。細長方向が引張り方向に対して角度θを成すようにコールドブロックを方向付けることによって、欠陥や異物はコールドブロックの「下流」端の方に一掃され、それにより、後に基板を製造するのに用いることができるシートの一部からの欠陥や異物を潜在的に取り除くことができる。
【0026】
図5は、多様な追加の実施形態による装置500の斜視図を示し、
図6は上面図を示す。本例において、るつぼ502は、融液504を収容し、融液504の少なくとも下部506は、結晶シート530を形成するための材料の溶融温度より高く維持される。コールドブロック510は、
図6に示されるように上から見ると「V」字形状を有する。特に、コールドブロック510は、上から見ると、ともにVを形成する細長形状をそれぞれ有する部分512及び部分514を備える。そのため、コールドブロック510の下面は、一般に、
図6の挿入図に例示されるようなV字形状のパターンを有する冷却領域540を提供する。例示目的のために
図6の上面図に見ることができるが、冷却領域540は、
図5に示される表面518近傍のコールドブロック510の下面516に位置することに留意すべきである。
【0027】
下面516が融液504の表面518に十分に近いと、冷却領域540はV字形状の結晶フロント522を生成することができる。V字形状の結晶フロント522は、2つの部分、すなわち
図6にも図示されているように結晶フロント524及び526の組み合わせとして特徴付けることができる。結晶フロント524及び526を形成する結晶材料は、結晶シート530を形成するために引張り方向528に表面518に沿って引き出すことができる。
【0028】
図6に示されるように、結晶フロント524は、
図6に示されるように下向きの方向532に沿い、かつ左側へと成長する傾向にあり、一方、結晶フロント526は、同じく
図6に示されるように、上向き方向534に沿い、かつ左側へと成長する傾向にある。部分512によって提供される冷却の度合いが、部分514によって提供される冷却の度合いと同一であるとすると、結晶フロント524の成長速度V
gは、結晶フロント526の成長速度に等しい。従来の装置によって生成される結晶フロント408とは異なり、結晶フロント524及び526は、結晶フロント412と同様に、引張り方向528に対する垂線542に対して、それぞれ0でない角度を成す。特に、結晶フロント524は、垂線542に対して角度+θを成すも、結晶フロント526は角度−θを成す。そのため、結晶フロント524及び526が同じ状態を保ったままで、連続する結晶シート530が形成される安定した結晶引張り状態下において、引張り方向528に沿う結晶シート530の引張り速度V
pは、
図4bで説明した増大因子418に従ってV
g以上とすることができる。多様な実施形態において、均一な結晶材料シートを形成するために、コールドブロック510は、角度−θと+θとが同じ値となるように、引張り方向528に対して配置される。この条件を表現する別の方法は、結晶フロント524及び526の間の角度θ
2を考慮することである。−θと+θとが同じ値である場合、引張り方向528は結晶フロント間の角度θ
2を二等分し、それにより引張り方向528とそれぞれ結晶フロント524及び526との間の角度+θ
3及び−θ
3を等しい値にする。
【0029】
さらに、V字形状構成のコールドブロック510を用いて均一な材料のシートを成長させるために、コールドブロック510の各部分512及び514の下面552及び554は同一平面にあり、表面518に平行であるよう構成するのがよい。そのため下面552及び554は表面518から同等に離間され、それにより、等しい度合いの冷却を表面518に提供し、その結果、結晶フロント524及び526に等しいV
gの値を与えることができる。
【0030】
図7は、結晶化を開始するのに、
図5及び6で述べたようなV字形状のコールドブロックが用いられたときの結晶成長の形状のさらなる詳細を含む上面図を示している。例示されたように、結晶シート702は、(不図示の)コールドブロックが、V字形状の結晶フロント710を画定する結晶フロント706及び708を生成する間に、引張り方向704に沿って引っ張られる。結晶フロント706及び708は、安定した成長条件下で引張り速度V
pが結晶フロント706及び708の成長速度V
gを超えるように、それぞれの方向712及び714に成長する。結晶フロント710の方向は、個々の結晶フロント706及び708が交わるP点のところで急激な変化を示すため、P点の近傍の領域に欠陥が析出することがある。これは、結晶シート702を引っ張っている間に、結晶シート702の内部領域にでき、かつ引張り方向704に概して平行な一般的に直線状の領域716となる。多様な実施形態によれば、V字形状冷却ブロックの、図示されたY軸に平行な方向の全幅は、その後に基板を領域716と交差しないで結晶シートから切り取れるように、結晶シート702の幅W
3(反対側718との間の距離)が十分であるように設定される。そのため、意図した基板幅を表す、所定寸法幅W
4の基板720をダイシングすることが所望される場合、幅W
3は、領域716がいずれの基板720にも含まれないようW
4の2倍以上に設定される。
【0031】
コールドブロックは、結晶フロント708の幅とは異なる幅の結晶フロント706を生成するよう配置することができるが、多様な実施形態では、結晶フロント706及び708の幅は同じとする。このようにして、等しい寸法の基板を、領域716の上下にある結晶シート702の領域722及び724から好都合に産出することができる。
【0032】
要するに、本実施形態は、従来技術のFSM及びHRG装置よりも多数の利点を提供する。1つには、従来のFSM装置又はHRG装置と比較して、結晶シートを形成するために材料の融液表面に与えられる同程度の過冷却に対し、より速い結晶引張り速度を得ることができる。さらに、より少ない過冷却で従来装置と同一の結晶引張り速度を達成することができる。すなわち、本実施形態によって配置されるコールドブロックは、引張り方向に対するコールドブロックの傾斜した形状によって増大因子が提供されるため、従来の装置で用いられる融液の表面に対する過冷却を大きくしなくても、従来の装置と同等の引張り速度を達成することができる。
【0033】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が制限されるものではない。実際に、本明細書に記載の実施形態に加えて、本発明における他の多様な実施形態、及び本発明に対する変更は、先の記載及び添付の図面から当業者にとって明らかであろう。そのため、そのような他の実施形態及び変更は、本開示の範囲内にあると意図されている。さらに、本開示は、特定の目的のために、特定の環境において、特定の実装のうえで記載されてきたが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本開示は、任意の目的のために、任意の環境で、有利に実装することができると認識するであろう。したがって、本開示の主題は、本明細書に記載の本開示における十分な広がり及び思想をもって解釈されるべきである。