(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧面から2つの前記中間基材に作用させる圧力をF1とし、前記射出成形空間に前記可塑化原料を充填させる際に、前記ゲートを流動する前記可塑化原料の流動圧をF2とすると、
F1<F2
なる関係を満足するように設定される請求項1に記載の成形装置。
前記押圧面から2つの前記中間基材に作用させる圧力をF1とし、前記射出成形空間に前記可塑化原料を充填させる際に、前記ゲートを流動する前記可塑化原料の流動圧をF2とすると、
F1<F2
なる関係を満足するように設定される請求項4に記載の成形方法。
前記押圧面から2つの前記中間基材に作用させる圧力をF1とし、前記射出成形空間に前記可塑化原料を充填させる際に、前記ゲートを流動する前記可塑化原料の流動圧をF2とすると、
F1<F2
なる関係を満足するように設定される請求項7に記載の成形システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「一実施形態」
「成形システム1の概要」
図1には、一実施形態に係る成形システム1が示されている。成形システム1は、収容ユニット2と、加熱装置3と、搬送装置4と、成形装置5と、を有している。収容ユニット2は、複数種類の中間基材6,7を収容可能に構成されている。加熱装置3は、かかる中間基材6,7を加熱可能に構成されている。搬送装置4は、収容ユニット2に収容されている中間基材6,7を、加熱装置3を経由させて成形装置5まで搬送可能に構成されている。成形装置5は、中間基材6,7に対してハイブリッド成形を行うことが可能に構成されている。
【0012】
ここで、中間基材6,7とは、上記した熱可塑性プリプレグ、及び、熱可塑性スタンパブルシートなどの総称を指す。中間基材6,7とは、シート状の形状を有している。ハイブリッド成形とは、かかる中間基材6,7に対して、プレス成形と射出成形とを同時に行う加工法である。以下、成形システム1について具体的に説明する。
【0013】
「収容ユニット2」
収容ユニット2は、複数の収容部2a,2bを有している。図面では一例として、収容ユニット2は、2つの収容部(第1収容部2a、第2収容部2b)を有している。2つの収容部(第1収容部2a、第2収容部2b)は、異なる種類の中間基材6,7を収容可能に構成されている。例えば、第1収容部2aには、孔部6h(通路部とも言う)を有する複数の中間基材(以下、第1中間基材6)が一括して収容される。第2収容部2bには、孔部(通路部)の無い複数の中間基材(以下、第2中間基材7)が一括して収容される。
【0014】
孔部(通路部)6hは、シート状の第1中間基材6を貫通させて構成されている。この場合、中間基材6,7の輪郭形状としては、例えば、矩形、円形、楕円形、三角形、多角形など任意に設定することができる。図面には一例として、矩形の中間基材6,7が示されている。
【0015】
ここで、孔部(通路部)6hの位置は、第1中間基材6の範囲内のいずれに設定してもよい。図面では一例として、孔部(通路部)6hは、第1中間基材6の中央部分に設けられている。孔部(通路部)6hの個数は、後述する金型24(固定型24a、第1金型)のゲート29の個数に対応させて設定されている。図面では一例として、金型24(固定型24a、第1金型)に設けられた1個のゲート29に対応させて、1個の孔部(通路部)6hが、第1中間基材6の中央部分に設けられている。孔部(通路部)6hの輪郭(断面)形状は、矩形、円形、楕円形、三角形、多角形など任意に設定することができる。図面では一例として、金型24(固定型24a、第1金型)のゲート29の輪郭形状に対応させて、円形の孔部(通路部)6hが適用されている。
【0016】
第1収容部2aは、複数の第1中間基材6を、縦置き姿勢或いは横置き姿勢で収容可能に構成されている。第2収容部2bは、複数の第2中間基材7を、縦置き姿勢或いは横置き姿勢で収容可能に構成されている。縦置き姿勢とは、中間基材6,7を垂直方向に立てた状態で水平方向に複数並べた体勢を指す。横置き姿勢とは、中間基材6,7を水平方向に寝かせた状態で垂直方向に複数重ねた体勢を指す。図面では一例として、中間基材6,7が、縦置き姿勢で第1及び第2収容部2a,2bに収容されている。
【0017】
「加熱装置3」
加熱装置3は、複数のヒータ3a,3bと、ヒータ3a,3bを制御する制御部(図示しない)と、を有している。図面では一例として、加熱装置3は、2つのヒータ3a,3bを有している。ヒータ3a,3bには、加熱部3pが設けられている。2つのヒータ3a,3bは、互いに平行に対向させて配置されている。この状態において、加熱部3pは、互いに平行に対向させて位置付けられている。更に、加熱部3pの温度は、制御部によって増減変更させることが可能に構成されている。なお、加熱部3pの温度、加熱時間については、後述する金型24において、例えば、プレス成形が可能な程度に設定される。
【0018】
かかる構成において、後述する搬送装置4によって搬送された中間基材6,7は、2つのヒータ3a,3b(加熱部3p)の相互間を経由する。このとき、中間基材6,7は、当該加熱部3pによって、その両側から加熱されて温められる。例えば、第1及び第2中間基材6,7は、含浸されている熱可塑性樹脂の溶融温度付近の温度若しくはそれ以上の温度に加熱される。第1及び第2中間基材6,7は、後述する金型24の成形面(第1成形面25a、第2成形面26a)の温度よりも高温にされる。かくして、温められた中間基材6,7は、搬送装置4によって、後述する成形装置5に搬送される。
【0019】
「搬送装置4」
搬送装置4は、クレーン(crane)機構4aと、移動機構4bと、制御機構(図示しない)を有している。制御機構は、クレーン機構4aと移動機構4bを制御可能に構成されている。クレーン機構4aは、可動シャフト8と、把持機構9と、を備えている。可動シャフト8は、例えば、垂直方向に沿って伸縮可能に制御される。可動シャフト8の基端は、移動機構4bに支持されている。移動機構4bは、例えば、水平方向に沿って可動シャフト8を移動可能に制御される。
【0020】
把持機構9は、可動シャフト8の先端に設けられている。把持機構9は、複数のフックを備えている。把持機構(フック)9は、複数の中間基材6,7を同時に把持可能に制御される。ここでは、把持機構(フック)9によって、第1中間基材6と第2中間基材7を1枚ずつ同時に把持する仕様を想定する。
【0021】
かかる仕様において、例えば、可動シャフト8を水平方向に移動させる。把持機構(フック)9を第1収容部2a(或いは、第2収容部2b)の真上に位置付ける。可動シャフト8を伸ばす。これにより、把持機構(フック)9が、第1及び第2中間基材6,7を把持可能となる。
【0022】
例えば、把持機構(フック)9によって、第1中間基材6を1枚把持する。次に、可動シャフト8を縮めた後、水平方向に移動させる。把持機構(フック)9を第2収容部2bの真上に位置付ける。可動シャフト8を伸ばす。把持機構(フック)9によって、第2中間基材7を1枚把持する。かくして、把持機構(フック)9によって、第1中間基材6と第2中間基材7が1枚ずつ把持される。この場合、第1中間基材6と第2中間基材7は、互いに平行に対向させて把持される。
【0023】
続いて、可動シャフト8を縮める。これにより、把持機構(フック)9と共に、第1及び第2中間基材6,7は、垂直方向に吊り上げられる。この状態で、可動シャフト8を水平方向に移動させる。この後、第1及び第2中間基材6,7を、ヒータ3a,3b(加熱部3p)の相互間を経由させる。このとき、ヒータ3a,3b(加熱部3p)によって、第1及び第2中間基材6,7を、例えば、プレス成形が可能な程度に加熱する。換言すると、第1及び第2中間基材6,7は、含浸されている熱可塑性樹脂の溶融温度付近の温度若しくはそれ以上の温度に加熱される。第1及び第2中間基材6,7は、金型24の成形面(第1成形面25a、第2成形面26a)の温度よりも高温にされる。
【0024】
更に、可動シャフト8を水平方向に移動させる。第1及び第2中間基材6,7が、成形装置5まで搬送される。このとき、第1及び第2中間基材6,7が、把持機構(フック)9から成形装置5に受け渡される。成形装置5において、第1及び第2中間基材6,7に、ハイブリッド成形(プレス成形と射出成形とを同時に行う成形)が行われる。
【0025】
「成形装置5」
図1〜
図3に示すように、成形装置5は、ベース10上に設けられている。成形装置5は、射出ユニット5aと、型締めユニット5bと、を有している。成形装置5では、射出ユニット5aから射出された可塑化材料(溶融された樹脂材料)を、型締めユニット5bにおいて冷却・固化させることで、使用目的(用途)に応じた各種の成形品を製造することができる。
【0026】
「射出ユニット5a」
射出ユニット5aは、ユニット本体11と、移動機構12と、射出構造体13と、を有している。ユニット本体11は、移動機構12によって、予め設定された方向に移動可能に構成されている。射出構造体13は、ユニット本体11に連結されている。これにより、射出構造体13は、ユニット本体11に追従して移動可能に構成されている。なお、ユニット本体11には、後述する回転移動装置20が搭載されている。
【0027】
移動機構12は、2本のガイドレール12aと、複数のスライダ12bと、駆動部12cと、を備えている。2本のガイドレール12aは、互いに平行に対向させて配置されている。ガイドレール12aは、後述する型締めユニット5bに向かって配置されている。スライダ12bは、ガイドレール12aに沿って移動可能に構成されている。スライダ12bは、ユニット本体11に取り付けられている。これにより、ユニット本体11は、ガイドレール12aに沿って移動可能に構成されている。
【0028】
駆動部12cは、モータ14と、ボールネジ15と、ナット構造体16と、を備えている。モータ14は、ベース10に支持されている。ボールネジ15は、モータ14の出力軸(図示しない)に連結されている。ボールネジ15は、ガイドレール12aに沿って平行に配置されている。ナット構造体16は、ボールネジ15に螺合されている。ナット構造体16は、上記したユニット本体11に連結されている。
【0029】
かかる駆動部12cにおいて、モータ14を駆動させる。モータ14の回転運動は、出力軸を介してボールネジ15に伝達され、当該ボールネジ15を回転させる。ボールネジ15の回転により、ナット構造体16が、ボールネジ15に沿って移動する。このとき、ナット構造体16の移動に追従して、ユニット本体11がガイドレール12aに沿って移動する。
【0030】
かくして、ユニット本体11に追従して、射出構造体13を、後述する型締めユニット5bに向けて移動させることができる。これにより、射出構造体13のノズル17aを、型締めユニット5b(即ち、金型24)のノズルタッチ部30に隙間なく接触(密着)させることができる。この結果、射出構造体13のノズル17aから射出された可塑化原料が、外部に漏れ出すことは無い。
【0031】
射出構造体13は、両端(先端、基端)を有するシリンダ本体17と、ホッパ18と、スクリュ19と、を備えている。シリンダ本体17には、中空円筒状のシリンダ17sが設けられている。シリンダ17sには、スクリュ19が回転可能に挿通されている。シリンダ17sは、シリンダ本体17の基端から先端に亘って連続して構成されている。シリンダ本体17の基端には、ホッパ18が設けられている。シリンダ本体17の先端には、ノズル17aが設けられている。
【0032】
スクリュ19は、シリンダ17sに沿って連続的に構成されている。スクリュ19をシリンダ17sに挿通させた状態において、スクリュ19の先端は、ノズル17aに対向して位置付けられている。スクリュ19の基端は、回転移動装置20(
図2参照)に連結されている。回転移動装置20は、ユニット本体11に搭載されている。
【0033】
回転移動装置20は、例えば、モータ20aと、アクチュエータ20bと、タイミングベルト20cと、を備えている。スクリュ19の基端には、アクチュエータ20bが連結されている。アクチュエータ20bは、スクリュ19をシリンダ17sに沿って移動(前進、後退)可能に構成されている。スクリュ19の基端には、タイミングベルト20cを介してモータ20aが連結されている。
【0034】
ここで、モータ20aを駆動させる。モータ20aの回転運動は、タイミングベルト20cを介して、スクリュ19の基端に伝達される。これにより、スクリュ19を、予め設定された回転状態(例えば、回転数、角速度)で回転させることができる。
【0035】
なお、シリンダ本体17には、ヒータ21が設けられている。ヒータ21によってシリンダ本体17を加熱することで、シリンダ17s内の温度を、予め設定された温度に調整することができる。予め設定された温度としては、例えば、シリンダ17sに投入された原料22(
図2参照)を溶融するのに最適な温度を想定することができる。
【0036】
「射出ユニット5aの動作」
シリンダ17s内のスクリュ19を、その先端がノズル17aに近接させた状態で回転する。ここで、原料22(例えば、ペレット状の樹脂材料)をホッパに供給する。原料22は、当該ホッパ18を通ってシリンダ17s内に投入される。
【0037】
投入された原料22は、回転するスクリュ19によって、シリンダ17sの先端(ノズル17a)に向けて搬送される。この間、原料22は、圧縮されつつヒータ21によって加熱される。これにより、溶融された原料22(可塑化原料22p)となる。かくして、可塑化原料22pは、スクリュ19の先端に搬送される。
【0038】
このとき、スクリュ19の先端に搬送された可塑化原料22pに押されて、スクリュ19が後退する。そして、スクリュ19が計量完了位置まで後退する。このとき、スクリュ19の回転を停止させる。かくして、1個の成形品を成形するのに必要な可塑化原料22pが、シリンダ17s内(即ち、スクリュ19の先端とノズル17aとの間のシリンダ17s内)に蓄えられる。
【0039】
次に、非回転状態のスクリュ19をノズル17aに向けて前進させる。このとき、スクリュ19の先端から、可塑化原料22pに押圧力が作用する。これにより、可塑化原料22pをノズル17aから、シリンダ17s外(例えば、後述する型締めユニット5bの金型24)に、射出させることができる。この後、例えば、金型24を冷却する。可塑化材料22pを冷却・固化させる。これにより、使用目的(用途)に応じた各種の成形品が成形される。かくして、金型24から脱型することで最終的な成形品を得ることができる。
【0040】
「型締めユニット5b」
型締めユニット5bは、型締め装置23と、金型24と、を有している。かかる型締め装置23は、金型24を横方向(例えば、水平方向)に型締め可能に構成されている。ここでは、後述する型締め機構23cの一例として、トグル(toggle)機構が適用されている。
【0041】
型締め装置23は、固定盤23aと、可動盤23bと、型締め機構23cと、複数のタイバー23dと、駆動部23eと、を備えている。固定盤23aは、ベース10に固定されている。可動盤23bは、型締め機構23cに支持されている。タイバー23dは、型締め機構23cと固定盤23aとの相互間に亘って配置されている。可動盤23bは、タイバー23dに沿って進退動作可能に構成されている。駆動部23eは、型締め機構23cによる可動盤23bの進退動作を制御可能に構成されている。
【0042】
金型24は、固定型(第1型)24aと、可動型(第2型)24bと、を備えている。固定型24aは、型締め装置23の固定盤23aに支持されている。可動型24bは、型締め装置23の可動盤23bに支持されている。これにより、固定型24aと可動型24bとは、横方向(水平方向)に開閉可能に構成されている。
【0043】
かかる構成において、図示しない制御部によって駆動部23eを制御して、可動盤23bを後退させる。可動型24bを固定型24aから離間させる。これにより、金型24を開いた状態に維持することができる(
図3参照)。これに対して、制御部23eによって型締め機構23cを制御して、可動盤23bを前進させる。可動型24bを固定型24aに接近させる。そして、後述する第1分割面25bと第2分割面26bとを互いに接触(密着)させる。これにより、金型24を閉じた状態(即ち、型締め状態)に維持することができる(
図4参照)。
【0044】
また、固定型(第1型)24aは、第1成形面25aと、第1分割面25bと、を備えている。可動型(第2型)24bは、第2成形面26aと、第2分割面26bと、を備えている。この場合、金型24(固定型24a、可動型24b)を横方向(水平方向)に型締めした状態において(
図4参照)、第1分割面25bと第2分割面26bとは、互いに隙間なく接触(密着)する。かかる型締め状態において、第1成形面25aと第2成形面26aとで囲まれた空間領域には、1つの射出成形空間(射出成形領域)27が構成されている。
【0045】
更に、金型24(型締めユニット5b)は、充填機構を備えている。充填機構は、かかる射出成形空間(射出成形領域)27に可塑化材料22p(溶融された樹脂材料)を充填可能に構成されている。ここでは一例として、充填機構は、固定型(第1型)24aに設けられている。充填機構(固定型24a)は、射出流路28と、ゲート29と、ノズルタッチ部30と、を備えている。なお、射出流路28は、特に図示しないが、スプルー、及び、ランナーを含めて構成されている。
【0046】
ゲート29は、固定型24aの第1成形面25aに沿って構成されている。即ち、ゲート29は、第1成形面25aに隣接して構成されている。ノズルタッチ部30は、上記した射出構造体13(ノズル17a)の先端部に沿った輪郭形状を有している。ノズルタッチ部30は、固定型24aの取付面24sに構成されている。取付面24sは、第1成形面25aとは反対側に対向した部分に構成されている。
【0047】
射出流路28は、第1成形面25aから取付面24sに亘って固定型24aを貫通させて構成されている。即ち、射出流路28は、ゲート29とノズルタッチ部30とを相互に連通可能に構成されている。これにより、射出構造体13(ノズル17a)から射出された可塑化材料22p(溶融された樹脂材料)を、射出流路28を通って、上記した射出成形空間(射出成形領域)27に充填させることができる。
【0048】
ところで、固定型24aは、上記した取付面24sを型締め装置23の固定盤23aに固定させることで、当該固定盤23aに支持される。そこで、固定盤23aには、開口部31が構成されている。開口部31は、固定盤23aを貫通させて構成されている。開口部31は、上記したノズルタッチ部30に対向させて配置されている。これにより、ノズルタッチ部30は、開口部31を介して、外部に露出された状態となる。この結果、射出構造体13(ノズル17a)の先端部を、スムーズかつ安全に、ノズルタッチ部30に接触(密着)させることができる(
図2、
図4参照)。
【0049】
「主要成形技術(ホルダユニット32、支持機構33)」
「ホルダユニット32」
成形装置5(具体的には、金型24)は、ホルダユニット32を有している。ホルダユニット32は、上記した搬送装置4によって搬送された第1及び第2中間基材6,7を受け取って保持可能に構成されている。
【0050】
ホルダユニット32は、金型24を開いた状態(
図3参照)において、第1中間基材6と第2中間基材7を、互いに平行に対向(隣接)させつつ、金型24内に保持可能に構成されている。即ち、ホルダユニット32は、互いに平行に対向配置(隣接)させた第1中間基材6と第2中間基材7を、固定型(第1型)24aと可動型(第2型)24bとの間に位置決め可能に構成されている。換言すると、ホルダユニット32は、第1中間基材6の孔部(通路部)6hをゲート29に対向させて整列させるように、互いに平行に対向配置(隣接)させた第1中間基材6と第2中間基材7を金型24内に保持可能に構成されている。
【0051】
ホルダユニット32は、複数の第1ホルダ32aを備えている。第1ホルダ32aは、固定型(第1型)24aに設けられている。第1ホルダ32aは、第1成形面25aから突没自在に構成されている。第1ホルダ32aは、第1中間基材6を保持可能に構成されている。
【0052】
ホルダユニット32は、複数の第2ホルダ32bを備えている。第2ホルダ32bは、可動型(第2型)24bに設けられている。第2ホルダ32bは、第2成形面26aから突没自在に構成されている。第2ホルダ32bは、第2中間基材7を保持可能に構成されている。
【0053】
ここで、保持方法としては、例えば、第1及び第2中間基材6,7を第1及び第2ホルダ32a,32bに吸着させて保持する方法、第1及び第2中間基材6,7を第1及び第2ホルダ32a,32bに引っ掛けて保持する方法、或いは、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bとで第1及び第2中間基材6,7を挟み込んで保持する方法など、既存の方法を適用することができる。
【0054】
かかる構成によれば、金型24を開いた状態(
図3参照)において、第1及び第2ホルダ32a,32bを、固定型(第1型)24aと可動型(第2型)24bとの相互間に向けて突出させる。これにより、第1及び第2中間基材6,7が、金型24内に保持される。続いて、上記した型締め機構23cによって可動型24bを固定型24aに接近させるタイミングに同期して、第1及び第2ホルダ32a,32bを引っ込める。
【0055】
そして、金型24を閉じた状態(
図4参照)において、第1及び第2ホルダ32a,32bを、固定型(第1型)24a及び可動型(第2型)24bの内部に格納する。このとき、第1及び第2ホルダ32a,32bは、射出成形空間(射出成形領域)27を回避した位置に格納される。かくして、第1及び第2中間基材6,7が、金型24の射出成形空間(射出成形領域)27にセットされる。同時に、第1及び第2中間基材6,7には、第1及び第2成形面25a,26aによってプレス成形が施される。
【0056】
「支持機構33」
成形装置5(具体的には、金型24)は、更に、支持機構33を有している。支持機構33は、金型24を閉じた状態(
図4参照)において、金型24の射出成形空間(射出成形領域)27にセットされた第1及び第2中間基材6,7を、ゲート29の周囲の第1成形面25aに向けて押圧することで、孔部(通路部)6hをゲート29に隣接させることが可能に構成されている。
【0057】
支持機構33は、例えば、支持部材33aと、バネ構造体33bと、ガイド凹部33cと、を備えている。
支持部材33aは、平坦状の押圧面33sを有している。押圧面33sの輪郭形状は、例えば、矩形、円形、楕円形、三角形、多角形など任意に設定することができる。図面では一例として、ゲート29の輪郭形状に対応させて、円形の押圧面33sを有する支持部材33aが適用されている。なお、押圧面33sは、平坦状に限らず、成形品の形状や第2成形面26aの形状にあわせて、例えば、曲面状や凹凸面状としてもよい。
【0058】
ここで、押圧面33sの大きさ(例えば、直径、表面積)は、孔部(通路部)6hの大きさ(例えば、直径、開口面積)、及び、ゲート29の大きさ(例えば、直径、開口面積)よりも大きく設定されている。この場合、孔部(通路部)6hの大きさ(例えば、直径、開口面積)は、ゲート29の大きさ(例えば、直径、開口面積)よりも大きく設定してもよいし、或いは、相互に同一の大きさに設定してもよい。
即ち、ゲート29の大きさをW1とし、孔部(通路部)6hの大きさをW2とし、押圧面33sの大きさをW3とすると、W1≦W2<W3 なる関係を満足するように設定する(
図3参照)。
【0059】
バネ構造体33bとしては、例えば、圧縮コイルばね、スプリングなどを適用することができる。この場合、バネ構造体33bのバネ力(弾性力、押圧力)は、上記した充填機構(28,29,30)によって可塑化原料22pを射出成形空間(射出成形領域)27に充填する状態において、ゲート29を流動する可塑化原料22pの流動圧よりも小さく設定されている。
即ち、バネ構造体33bのバネ力(弾性力、押圧力)をF1とし、ゲート29を流動する可塑化原料22pの流動圧をF2とすると、F1<F2なる関係を満足するように設定する。なお、F1は、上記した押圧面33sから第1及び第2中間基材6,7に作用させる圧力として規定される。
【0060】
ガイド凹部33cは、第2成形面26a(金型24、可動型24b)を一部窪ませて構成されている。図面では一例として、ガイド凹部33cは、ゲート29に対向する第2成形面26aの一部に設けられている。ガイド凹部33cは、支持部材33aとバネ構造体33bを格納可能な大きさを有している。これにより、支持部材33a(押圧面33s)は、常に、ゲート29に対して平行に対向した姿勢に位置決めされている。
【0061】
ここで、バネ構造体33bの弾性力に抗して支持部材33aをガイド凹部33cに押し込む。これにより、支持部材33aの押圧面33sが、第2成形面26aと同一平面上に位置付けられる(
図6参照)。一方、かかる押込力を解除する。バネ構造体33bの弾性力によって、支持部材33aの一部がガイド凹部33c(即ち、第2成形面26a)から突出する。これにより、押圧面33sが、ゲート29に向けて突出させた状態に位置付けられる(
図3参照)。
【0062】
「主要成形技術(ホルダユニット32、支持機構33)の作用」
図4〜
図7に示すように、本実施形態の成形技術において、ホルダユニット32(第1ホルダ32a、第2ホルダ32b)によって、第1及び第2中間基材6,7を、金型24の射出成形空間(射出成形領域)27にセットする。このとき、金型24は、閉じた状態となる(
図4〜
図5参照)。
【0063】
かかる状態において、第2成形面26aから突出した支持部材33aの押圧面33sによって、第1及び第2中間基材6,7は、ゲート29の周囲の第1成形面25aに向けて押圧される。このとき、押圧面33sから第1及び第2中間基材6,7には、バネ構造体33bのバネ力(弾性力、押圧力)が作用する。
【0064】
これにより、第1及び第2中間基材6,7は、ゲート29の周囲の第1成形面25aに対して、隙間なく接触(密着)する。このとき、第1中間基材6の孔部(通路部)6hが、ゲート29に隣接させて位置決めされる。換言すると、孔部(通路部)6hと、ゲート29とが、互いに整列し、かつ、互いに隣り合った位置関係を維持しつつ対向配置される。
【0065】
ここで、充填機構(28,29,30)によって可塑化原料22pを射出成形空間(射出成形領域)27に充填する。このとき、ゲート29を流動する可塑化原料22pは、第1中間基材6と第1成形面25aとの隙間に向かって、矢印方向T1(
図5参照)に流れ込もうとする。
【0066】
ところで、押圧面33sから押圧力により、第1中間基材6は、第1成形面25aに接触(密着)している。このため、中間基材6と第1成形面25aとの隙間に流れ込もうとする可塑化原料22pは、第1成形面25aによって熱が奪われる。これにより、当該隙間に流れ込もうとする可塑化原料22pは、短時間のうちに冷却され、粘度が高く流動性が低下した状態若しくは固化状態となる。この結果、当該隙間に可塑化原料22pが流れ込み難くなる。
【0067】
一方で、ゲート29を流動する可塑化原料22pは、第1中間基材6と第1成形面25aとの隙間に流れ込もうとするのと同時に、孔部(通路部)6hを介して露出した第1中間基材6と第2中間基材7との隙間に向かって、矢印方向T2(
図5参照)に流れ込もうとする。
【0068】
第1中間基材6と第2中間基材7との接触面の温度は、当該接触面が第1成形面25a及び押圧面33sからそれぞれの中間基材6、7の厚さ分だけ離れているため、押圧面33sから押圧力を受けても短時間のうちに下がることはない。このため、当該接触面の隙間に可塑化原料22pが流れ込み易くなる。
【0069】
これにより、ゲート29を流動する可塑化原料22pは、第1中間基材6と第1成形面25aとの隙間に流れ込むこと無く、第1中間基材6と第2中間基材7との隙間に流れ込む。このとき、熱が奪われることが無いため、可塑化原料22pは、途切れること無くスムーズに当該隙間に流れ込む。
【0070】
この後、当該隙間に流れ込む可塑化原料22pの流動量が増加する。やがて、可塑化原料22pの流動圧F2が、バネ構造体33bのバネ力(弾性力、押圧力)F1を上回る。そうすると、かかる流動圧F2によって、支持部材33aが、バネ構造体33bの弾性力に抗して、ガイド凹部33cに押し込まれる。これにより、第1中間基材6と第2中間基材7との接触面が順次離間して、可塑化原料22pの流路、言い換えれば、射出成形空間(射出成形領域)27が形成される(
図7参照)。かくして、支持部材33aの押圧面33sが、第2成形面26aと同一平面上に位置付けられる(
図6参照)。
【0071】
この後、可塑化材料22pを冷却・固化させる。これにより、使用目的(用途)に応じた各種の成形品が成形される。例えば、2枚の中間基材6,7の相互間に射出層22sが構成された成形品を形成することができる(
図12参照)。かくして、金型24から脱型することで最終的な成形品を得ることができる。
【0072】
「一実施形態の効果」
本実施形態によれば、金型24の射出成形空間(射出成形領域)27にセットされた第1及び第2中間基材6,7を、支持機構33によって、ゲート29の周囲の第1成形面25aに向けて押圧する。これにより、孔部(通路部)6hをゲート29に隣接させる。かかる状態で、可塑化原料22pを射出成形空間(射出成形領域)27に充填する。更に、ゲート29の大きさをW1とし、孔部(通路部)6hの大きさをW2とし、押圧面33sの大きさをW3とすると、W1≦W2<W3 なる関係を満足するように設定する。更に、バネ構造体33bのバネ力(弾性力、押圧力)をF1とし、ゲート29を流動する可塑化原料22pの流動圧をF2とすると、F1<F2なる関係を満足するように設定する。
【0073】
これにより、2枚の中間基材6,7の相互間に射出層22s(
図12参照)が構成された成形品を形成することができる。この場合、薄肉の中間基材6,7で射出層22sをサンドイッチさせた構造により、完成品の品質及び歩留りを一定に維持しつつ、強度及び剛性を向上させることができる。
【0074】
「一実施形態の効果の実証データ」
上記した本実施形態の成形技術によれば、
図12に示すように、2枚の中間基材6,7の相互間に射出層22sが構成された成形品を形成することができる。これに対して、2枚の中間基材6,7の一方に孔部(通路部)を構成してはいるものの、本実施形態に係る支持機構33を採用しなかった仕様では、
図13に示すように、2枚の中間基材6,7と、射出層22sとが、別々の領域に分離した成形品となった。
図13の成形品では、完成品の品質及び歩留りを一定に維持することができないだけでなく、強度及び剛性の向上を図ることもできない。
【0075】
「第1変形例」
上記した実施形態では、金型24を横方向(水平方向)に型締め可能な型締め装置23(型締め機構23c)を有する型締めユニット5bを想定したが、これに代えて、例えば
図8に示すように、金型24を縦方向(例えば、垂直方向)に型締め可能な型締め装置23(型締め機構23c)を有する型締めユニット5bを適用してもよい。その他の本変形例の構成、並びに、その作用効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0076】
「第2変形例」
本変形例は、上記した第1変形例の改良である。ここでは、射出ユニット5aに、オンラインブレンド機能が付加されている。その他の構成、並びに、その作用効果は、上記した第1変形例と同様である。以下、オンラインブレンド機能について説明する。
【0077】
射出ユニット5aは、上記した射出構造体13と、オンラインブレンド構造体34と、を備えている。オンラインブレンド構造体34は、長尺の連続繊維35と、原料22とを混ぜ合わせることが可能に構成されている。オンラインブレンド構造体34は、第2シリンダ本体36と、第2スクリュ37と、連続繊維供給部38と、を備えている。
【0078】
第2シリンダ本体36には、中空円筒状の第2シリンダ36sが設けられている。第2シリンダ36sには、第2スクリュ37が回転可能に挿通されている。第2シリンダ36sは、第2シリンダ本体36の基端から先端に亘って連続して構成されている。第2シリンダ本体36の基端には、ホッパ18が設けられている。第2シリンダ本体36には、ヒータ39が設けられている。
【0079】
ヒータ39によって第2シリンダ本体36を加熱することで、第2シリンダ36s内の温度を、予め設定された温度に調整することができる。予め設定された温度としては、例えば、第2シリンダ36sに投入された原料22と、第2シリンダ36s内で切断された連続繊維35とを溶融させて混ぜ合わせるのに最適な温度を想定することができる。
【0080】
第2シリンダ本体36の先端は、シリンダ本体17に連結されている。例えば、第2シリンダ本体36の先端と、シリンダ本体17とは、連結部40を介して、相互に連結されている。連結部40には、連結通路40aが設けられている。このため、第2シリンダ36sは、当該連結通路40aを介して、シリンダ17sに連通させて接続されている。
【0081】
第2スクリュ37は、第2シリンダ36sに沿って連続的に構成されている。第2スクリュ37を第2シリンダ36sに挿通させた状態において、第2スクリュ37の先端は、連結部40に対向して位置付けられている。第2スクリュ37の基端は、駆動機構41に連結されている。駆動機構41は、第2スクリュ37の回転状態(例えば、回転数、角速度)を制御可能に構成されている。
【0082】
ここで、連続繊維供給部38は、原料22の搬送方向で見てホッパ18の下流側に設けられている。連続繊維供給部38から第2シリンダ36sに供給された連続繊維35は、回転する第2スクリュ37によって切断される。切断された連続繊維35は、第2スクリュ37の回転によって、原料22と混ぜ合わされる。更に、ヒータ39で加熱されることで、連続繊維35と原料22とは、互いに可塑化されてブレンドされる。かくして、射出構造体13は、当該ブレンド材を、予め設定されたタイミングで金型24に射出可能となる。
【0083】
以上、本変形例によれば、強化繊維を含有した可塑化原料22pを成形することができる。これにより、成形品の強度を向上させることができる。この場合、予め強化繊維が含有されたペレットを原料22とする仕様に比べて、成形に要するコストを低減することができる。なお、オンラインブレンド構造体34は、上記した一実施形態及び第1変形例だけでなく、後述する第3変形例にも適用可能である。即ち、当該オンラインブレンド機能は、上記した一実施形態の成形システムの射出ユニット5aにも適用可能であることは言うまでもない。加えて、当該射出ユニット5aを、例えば、プランジャ式の射出ユニット(特開2015−93432号公報参照)としても良い。
【0084】
「第3変形例」
上記した実施形態、及び、第1〜第2変形例では、支持部材33aと、バネ構造体33bと、ガイド凹部33cと、を備えた支持機構33を想定したが、これに代えて、例えば
図10〜
図11に示すように、支持部材33aと、ピストン42と、シリンダ43と、を備えた支持機構33を適用してもよい。
【0085】
本変形例に係る支持機構33において、シリンダ43は、可動型(第2型)24bを貫通させて構成されている。ピストン42は、移動(前進、後退)可能にシリンダ43に挿通されている。ピストン42の先端には、支持部材33aが取り付けられている。ピストン42の基端は、図示しない駆動機構に連結されている。
【0086】
かかる構成において、駆動機構によってピストン42を前進させる。これにより、支持部材33aをゲート29に接近させることができる。これに対して、駆動機構によってピストン42を後退させる。これにより、支持部材33aをゲート29から離間させることができる。
【0087】
ここで、ピストン42の移動(前進、後退)のタイミングは、駆動機構に内蔵されたメモリ(図示しない)に、予め記憶することができる。例えば、駆動機構に圧力センサ(図示しない)を搭載する。圧力センサは、支持部材33a(押圧面33s)に作用する圧力を検出可能に構成されている。かかる圧力としては、例えば、ゲート29を流動する可塑化原料22pの流動圧F2を想定することができる。
【0088】
本変形例において、第1及び第2中間基材6,7を、金型24の射出成形空間(射出成形領域)27にセットする。ピストン42を前進させる。支持部材33aをゲート29に接近させる。これにより、支持部材33aの押圧面33sによって、第1及び第2中間基材6,7を、ゲート29の周囲の第1成形面25aに向けて押圧する。このときの押圧力を仮にF1とする(
図10参照)。
【0089】
ここで、充填機構(28,29,30)によって可塑化原料22pを射出成形空間(射出成形領域)27に充填する。ゲート29を流動する可塑化原料22pは、矢印方向T1,T2に流れ込もうとする。この場合、矢印方向T1に流れ込もうとする可塑化原料22pは、冷却されるため、同方向に流れ込み難くなる。
【0090】
矢印方向T2の流れは、温度が短時間のうちに下がらず、流動し易いため、途切れること無くスムーズ連続する。この後、当該矢印方向T2の可塑化原料22pの流動量が増加する。やがて、可塑化原料22pの流動圧F2が、ピストン42による押圧力F1を上回る。このとき、圧力センサからの出力に基づいて、ピストン42を後退させる。
【0091】
これにより、可塑化原料22pが、第1中間基材6と第2中間基材7との隙間に流れ込む。このとき、ピストン42を更に後退させる。そして、支持部材33aの押圧面33sを、第2成形面26aと同一平面上に位置付ける(
図11参照)。かくして、2枚の中間基材6,7の相互間に射出層22sが構成された成形品が形成される(
図12参照)。
なお、その他の構成、並びに、作用効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0092】
「第4変形例」
上記した実施形態、及び、第1〜第3変形例において、第1中間基材6と第2中間基材7は、互いに平行に対向させて配置される仕様を想定している。ここで、例えば、各々の中間基材6,7の形状や特性(特徴)によっては、平行に対向させない仕様、或いは、平行に対向できない仕様も想定される。
【0093】
しかし、かかる仕様であっても、上記した実施形態、及び、第1〜第3変形例と同様の作用効果を実現することができることは言うまでもない。この場合、例えば、第1中間基材6と第2中間基材7を、上記したホルダユニット32によって保持した状態において、第1中間基材6と第2中間基材7は、例えば、互いに横断する方向、或いは、互いに交差する方向に配置される仕様となる。