特許第6368743号(P6368743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6368743基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368743
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20180723BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20180723BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20180723BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/316 M
   C23C16/54
   C23C16/52
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-123516(P2016-123516)
(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-228639(P2017-228639A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年8月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】油谷幸則
(72)【発明者】
【氏名】檜山真
(72)【発明者】
【氏名】竹田剛
(72)【発明者】
【氏名】大橋直史
【審査官】 山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−082696(JP,A)
【文献】 特開2004−289032(JP,A)
【文献】 特開2015−070095(JP,A)
【文献】 特開2012−054343(JP,A)
【文献】 特開平10−149992(JP,A)
【文献】 特開2002−217183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/52
C23C 16/54
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理容器と、
前記処理容器にガスを供給するガス供給部と、
前記基板の温度を調整する温度調整部と、前記温度調整部と前記基板との距離を調整可能な昇降部と、前記基板の裏面側から前記基板を加熱するランプと、を有し、前記基板の裏面側に配される温度制御部とを備え、
前記温度制御部が前記基板を第一の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、第一層を形成する処理を行うよう制御し、前記温度制御部が前記基板を前記第一の温度と異なる第二の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、前記第一層と異なる第二層を形成する処理を行うよう制御する装置制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、
第一元素を含む第一原料ガスを供給する第一原料ガス供給部と、
前記第一元素とは異なる第二元素を含む第二原料ガスを供給する第二原料ガス供給部とを有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記温度制御部は、前記第一層を形成する処理では、前記温度調整部と前記基板との距離を所定の距離とし、前記第二層を形成する処理では、前記温度調整部と前記基板との距離を、前記所定の距離と異ならせる距離とするよう制御する請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記温度制御部は、前記第一層を形成する処理では、前記ランプに供給される電力を所定の大きさとし、前記第二層を形成する処理では、前記ランプに供給される電力の大きさを、前記所定の大きさと異ならせるよう制御する請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、
第一元素を含む第一原料ガスを供給する第一原料ガス供給部と、
前記第一元素と反応する第一反応ガスを供給する第一反応ガス供給部と、
前記第一元素と反応し、前記第一反応ガスと異なる第二反応ガスを供給する第二反応ガス供給部とを有する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板を処理容器に搬入する工程と、
前記基板の温度を調整する温度調整部と、前記温度調整部と前記基板との距離を調整可能な昇降部と、前記基板の裏面側から前記基板を加熱するランプと、を有し、前記基板の裏面側に配される温度制御部が、前記基板を第一の温度に維持すると共に、ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、第一層を形成するよう処理する工程と、
前記温度制御部が前記基板を前記第一の温度と異なる第二の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、前記第一層と異なる第二層を形成するよう処理する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基板を処理容器に搬入する処理と、
前記基板の温度を調整する温度調整部と、前記温度調整部と前記基板との距離を調整可能な昇降部と、前記基板の裏面側から前記基板を加熱するランプと、を有し、前記基板の裏面側に配される温度制御部が、前記基板を第一の温度に維持すると共に、ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、第一層を形成するよう処理する処理と、
前記温度制御部が前記基板を前記第一の温度と異なる第二の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、前記第一層と異なる第二層を形成するよう処理する処理と
を基板処理装置に実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の製造工程では、基板上に様々な膜を形成したり、または加工したりするなど、多くの工程を有する。各工程では専用の半導体製造装置を用いている。
【0003】
近年、デバイス構造の複雑化に伴い、工程数が増加傾向にある。前述のように工程ごとに専用の半導体製造装置を使用していることから、半導体装置を製造するのに多くの時間が費やされている。その専用の半導体製造装置として、例えば特許文献1に開示された枚葉装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013―33946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、膜の形成や加工の一形態として、異なる膜処理を繰り返す方法が存在する。例えば異なる材質の層を交互に積層することで膜を形成する方法である。この場合、各層を一つの半導体製造装置で形成するため、所定の層数の膜を基板上に形成するためには、基板が多くの半導体製造装置間を移動することになる。したがって、半導体装置を形成するまでに多くの時間を要する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、異なる処理を繰り返して膜を処理する方法においても、半導体装置の生産性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、基板を処理する処理容器と、前記処理容器にガスを供給するガス供給部と、前記基板の温度を制御する温度制御部と、前記温度制御部が前記基板を第一の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、第一層を形成する処理を行うよう制御し、前記温度制御部が前記基板を前記第一の温度と異なる第二の温度に維持すると共に、前記ガス供給部が前記処理容器にガスを供給して、前記第一層と異なる第二層を形成する処理を行うよう制御する装置制御部とを有する技術を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異なる処理を繰り返して膜を処理する方法においても、半導体装置の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るガス供給系を説明する説明図である。
図3】本発明の実施形態に係るガス供給系を説明する説明図である。
図4】本発明の実施形態に係るガス供給系を説明する説明図である。
図5】本発明の実施形態に係るガス供給系を説明する説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るコントローラを説明する説明図である。
図7】本発明の実施形態に係る基板処理の成膜シーケンス例である。
図8】本発明の実施形態に係る基板処理の成膜処理のフロー例である。
図9】本発明の実施形態に係る基板処理の成膜処理のフロー例である。
図10】本発明の実施形態に係る基板処理装置の動作を説明する説明図である。
図11】本発明の実施形態に係る基板処理装置の動作を説明する説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る基板処理装置の動作を説明する説明図である。
図13】本発明の実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態に係る基板処理装置について説明する。
【0012】
本実施形態に係る基板処理装置100について説明する。基板処理装置100は、基板200上に薄膜を形成する装置であり、図1に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。本装置は、異なる成分の層を交互に積層する装置である。例えば、ZAZ(ZrOx/AlO/ZrOx)構造を形成する際に用いられる。
【0013】
図1に示すとおり、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202の側壁や底壁は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。
【0014】
処理容器202内のうち、上方の空間にはシャワーヘッド250が設けられる。処理容器202及びシャワーヘッド250の下端に囲まれた空間であって、ウエハ(基板)200よりも上方の空間を処理空間201と呼ぶ。
【0015】
処理容器202の側面には、基板搬入出口203が設けられる。基板搬入出口203はゲートバルブ204と隣接する。更に、ゲートバルブ204は、基板搬出口203と異なる側に図示しない真空搬送室が設けられている。ウエハ200は基板搬入出口を介して図示しない搬送室との間を移動する。
【0016】
(基板支持部)
処理容器202の底部には、リフトピン205が複数設けられている。各リフトピン205の上端には、ウエハ200を支持するフィンガ206が設けられる。複数のフィンガ206はウエハ200の外周を支持するよう構成される。
【0017】
処理容器202の外側には、複数のリフトピンの下端を支持するリフトピン支持部207が設けられる。リフトピン支持部207にはリフトピン205を昇降させるリフトピン昇降制御部208が設けられる。リフトピン昇降制御部208は後述するコントローラ310に電気的に接続される。
【0018】
リフトピン昇降制御部208は、リフトピン支持部207を支持する支持軸208aと、支持軸208aを昇降させる昇降機構208bと、昇降機構208bを制御する作動部208cを有する。昇降機構208bは、昇降を実現するための機構であり、例えばモータ等で構成される。作動部208cは、コントローラ310の指示により、昇降機構208bを制御し、支持軸208aを昇降させる。指示軸208aを昇降させることで、リフトピン205の昇降を実現する。なお、ここでは作動部208bが昇降機構208bを制御することを記載したが、コントローラ310が昇降機構208bを制御してもよい。
【0019】
ウエハ200を昇降する際は、コントローラ310がリフトピン昇降制御部208に昇降動作を行うよう指示し、リフトピン昇降制御部208はその指示内容に基づきリフトピン支持部207を昇降させる。このようにしてウエハ200を昇降させる。尚、リフトピン昇降制御部208は、後述するように、ウエハ200が基板搬入出ポジションPW1、基板処理ポジションPW2に位置するように制御される。
【0020】
本実施形態においては、リフトピン205、フィンガ206、リフトピン支持部207、リフトピン昇降制御部208をまとめて基板支持部と呼ぶ。
【0021】
(ランプハウス)
処理容器202の底部であって、リフトピン205と重ならない箇所には、ランプハウス210が設けられている。ランプハウス210は、複数のランプ211を有する。ランプ211はウエハ200を加熱するものであり、ウエハ200を均一に加熱するよう、ウエハ200裏面と並行に、複数配される。ランプ211のそれぞれにはカバー212が設けられる。複数のランプ211は、ランプ支持部213によって支持される。ランプ支持部213は支柱214を介して、ランプ昇降制御部215によって支持される。ランプ昇降制御部215はコントローラ310に電気的に接続される。
【0022】
ランプ昇降制御部215は、支柱214を支持する支持軸215aと、支持軸215aを昇降させる昇降機構215bと、昇降機構215bを制御する作動部215cを有する。昇降機構215bは、昇降を実現するための機構であり、例えばモータ等で構成される。作動部215cは、コントローラ310の指示により、昇降機構215bを制御し、支持軸215aを昇降させる。指示軸215aを昇降させることで、ランプ支持部213の昇降を実現する。なお、ここでは作動部215bが昇降機構215bを制御することを記載したが、コントローラ310が昇降機構215bを制御してもよい。
【0023】
ランプ211を昇降する際は、コントローラ310がランプ昇降制御部215に昇降動作を行うよう指示し、ランプ昇降制御部215はその指示内容に基づきランプ支持部213を昇降させる。このようにしてランプ211を昇降させる。尚、ランプ昇降制御部215は、後述するように、ランプ211の先端がポジションPL1、PL2、PL3に位置するように制御される。
【0024】
ランプ211は、配線216を介してランプ制御部217に接続される。ランプ制御部217はコントローラ310に電気的に接続される。本実施形態においては、ランプ211のオン/オフ等は、コントローラ310の指示に基づいて、ランプ制御部217が制御する。
【0025】
ランプハウス210には、ランプハウス210の側壁として構成される側壁219が設けられる。側壁219は、例えば円柱状に構成される。ランプハウス210の下方には、底壁220が設けられる。底壁220には穴221が設けられており、その孔に支柱214が挿入される。底壁220には、ランプハウス210の昇降を制御するランプハウス昇降制御部222が設けられる。ランプハウス昇降制御部222はコントローラ310に電気的に接続される。尚、ランプハウス昇降制御部222は、後述する温度調整部223がポジションPT1、PT2、PT3に位置するように制御される。このようにランプハウス昇降制御部222は温度調整部223を昇降可能とすることから、温度調整部を昇降させる昇降部とも呼ぶ。
【0026】
ランプハウス昇降制御部222は、底壁220を支持する支持軸222aと、支持軸22aを昇降させる昇降機構222bと、昇降機構222bを制御する作動部222cを有する。昇降機構222bは、昇降を実現するための機構であり、例えばモータ等で構成される。作動部222cは、コントローラ310の指示により、昇降機構222bを制御し、支持軸222aを昇降させる。指示軸222aを昇降させることで、ランプハウス210の昇降を実現する。なお、ここでは作動部222bが昇降機構222bを制御することを記載したが、コントローラ310が昇降機構222bを制御してもよい。
【0027】
ランプハウス210のうち、ウエハ200の裏面と対向する位置には温度調整部223が設けられる。温度調整部223は、側壁219に固定される。温度調整部223の形状は、側壁219の内径と同様の径を持つ円柱で構成されている。温度調整部223はランプハウス210の昇降と共に昇降される。なお、本実施形態においては、温度調整部223を側壁219に固定した構成を示したが、温度調整部223を昇降可能とすれば良く、例えば独立した昇降機構を温度調整部223に設けても良い。
【0028】
温度調整部223内には、ウエハ200の温度を調整する流路構造224が設けられる。流路構造224は、ウエハ200の裏面と並行となるように配される。流路構造224に冷媒等の熱媒体が供給されることで、ウエハ200の温度を均一に調整可能とする。
【0029】
更には、温度調整部223内には、複数のランプ211が挿入される複数の穴225が設けられる。後述するように、ランプ211が上昇した際に、ランプ先端が挿入される。
【0030】
流路構造224には、熱媒体供給管226と熱媒体排出管227が接続される。熱媒体供給管226には、上流から順に熱媒体供給源228、流量制御部229、バルブ230が設けられる。熱媒体排出管227は、たとえば工場側の貯留槽等に接続される。
【0031】
流量制御部229、バルブ230はコントローラ310に電気的に接続されており、コントローラ310の指示に応じて流量制御部229、バルブ230が制御され、流路構造224内に供給される熱媒体の流量等を調整する。
【0032】
温度調整部223、ランプ211をまとめて温度制御部と呼ぶ。更には、温度制御部223を昇降可能とする構造、温度調整部223に冷媒を供給/排気する構造、ランプを制御する構成、ランプを昇降可能とする構造のいずれか、またはそれらの組み合わせを温度制御部に含めても良い。
【0033】
(ガス導入孔)
処理室201の上部に設けられる後述するシャワーヘッド250の上面であって、処理容器202天井壁には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244が設けられている。ガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244に接続されるガス供給系の構成については後述する。
【0034】
(シャワーヘッド)
ガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244と処理室201との間には、処理室201に連通するガス分散機構としてのシャワーヘッド250が設けられている。ガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244から導入されるガスはシャワーヘッド250のバッファ室252に供給される。バッファ室252は、処理容器202と分散板254に囲まれるように形成される。
【0035】
シャワーヘッド250は、バッファ室252と処理空間201との間に、ガスを分散させるための分散板254を備えている。分散板254には、複数の貫通孔が設けられている。分散板254は、ウエハ200の上方にてウエハ200と対向するように配置されている。分散板254を介してガスを供給することで、ウエハ200上に均一に供給可能とする。
【0036】
(供給系)
図2から図5を用いてガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244に接続されるガス供給系について説明する。
【0037】
(第一原料ガス供給系)
ガス導入孔241には、図2に記載の第一原料ガス供給系260が接続される。ガス供給系260はガス供給管261を有し、ガス供給管261はガス導入孔241に連通するよう、処理容器202の天井に接続される。ガス供給管261は、上流から第一原料ガスのガス源262、第一原料ガスの流量を調整するマスフローコントローラ(MFC)263、バルブ264が設けられる。バルブ264の下流には、不活性ガス供給管265が合流される。不活性ガス供給管265には、上流から不活性ガス源266、MFC267、バルブ268が設けられる。
【0038】
第一原料ガスは、第一元素を含むガスであり、例えばジルコニウム(Zr)含有ガスである。ガスの具体例は、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr[N(C2H5)(CH3)]4、略称:TEMAZ)である。不活性ガスは第一原料ガスと反応しないガスであり、例えば窒素(N2)ガスである。不活性ガスは、第一原料ガスのキャリアガスとして用いられる。
【0039】
ガス供給管261、MFC263、バルブ264をまとめて第一原料ガス供給部と呼ぶ。なお、第一原料ガス供給部に不活性ガス供給管265、MFC267、バルブ268、第一ガス源262、不活性ガス源266のいずれか、またはその組み合わせを含めても良い。
【0040】
(反応ガス供給系)
ガス導入孔242には、図3に記載の反応ガス供給系270が接続される。反応ガス供給系270はガス供給管271を有し、ガス供給管271はガス導入孔242に連通するよう、処理容器202の天井に接続される。ガス供給管271は、上流から反応ガスのガス源272、反応ガスの流量を調整するマスフローコントローラ(MFC)273、バルブ274が設けられる。バルブ274の下流には、不活性ガス供給管275が合流される。不活性ガス供給管275には、上流から不活性ガス源276、MFC277、バルブ278が設けられる。
【0041】
反応ガスは、第一原料ガスや後述する第二原料ガスと反応する反応ガスである。例えば酸素含有ガスである。具体例としては、オゾンガス(オゾンガス)である。不活性ガスは反応ガスと反応しないガスであり、例えば窒素(N2)ガスである。
【0042】
なお、反応ガスをプラズマ状態とする場合、ガス供給管271のうち、例えばバルブ274の下流に、プラズマ生成部279を設けてもよい。プラズマ生成部279は、例えばコイルで構成されるICP(Inductively Coupled Plasma)電極で構成される。プラズマ生成部279は、ガス供給管271を通過する反応ガスをプラズマ状態とする。
【0043】
ガス供給管271、MFC273、バルブ274をまとめて反応ガス供給部と呼ぶ。なお、反応ガス供給部に不活性ガス供給管275、MFC277、バルブ278、反応ガス源272、不活性ガス源276、プラズマ生成部279のいずれか、またはその組み合わせを含めても良い。
【0044】
(第二原料ガス供給系)
ガス導入孔243には、図4に記載の第二原料ガス供給系280が接続される。第二原料ガス供給系280はガス供給管281を有し、ガス供給管281はガス導入孔243に接続される。ガス供給管281は、上流から第二原料ガスのガス源282、第二原料ガスの流量を調整するマスフローコントローラ(MFC)283、バルブ284が設けられる。バルブ284の下流には、不活性ガス供給管285が合流される。不活性ガス供給管285には、上流から不活性ガス源286、MFC287、バルブ288が設けられる。
【0045】
第二原料ガスは、第二元素を有するガスであり、例えばアルミニウム含有ガスである。ガスの具体例としては、例えば塩化アルミニウム(AlCl3)である。不活性ガスは第二原料ガスと反応しないガスであり、例えば窒素(N2)ガスである。
【0046】
ガス供給管281、MFC283、バルブ284をまとめて第二原料ガス供給部と呼ぶ。なお、第二原料ガス供給部に不活性ガス供給管285、MFC287、バルブ288、第三ガス源282、不活性ガス源286のいずれか、またはその組み合わせを含めても良い。
【0047】
(パージガス供給系)
ガス導入孔244には、図5に記載のパージガス供給系290が接続される。パージガス供給系290はガス供給管291を有し、ガス供給管291はガス導入孔244に接続される。ガス供給管291は、上流からパージガスのガス源292、パージガスの流量を調整するマスフローコントローラ(MFC)293、バルブ294が設けられる。
【0048】
パージガスは、後述する基板処理工程において、処理空間201内の雰囲気を排気するパージガスとして用いられる。パージガスは不活性ガスであり、例えば窒素(N2)ガスである。
【0049】
ガス供給管291、MFC293、バルブ294をまとめてパージガス供給部と呼ぶ。なお、パージガス供給部に第四ガス源292を含めても良い。
【0050】
各ガス供給部のMFCやバルブは後述するコントローラ310に電気的に接続されており、コントローラ310の指示によって制御される。
【0051】
本実施形態においては、第一のガス供給部260、反応ガス供給部270、第二原料ガス供給部280、パージガス供給部290のいずれかの組み合わせ、もしくは全てをガス供給部と呼ぶ。
【0052】
(排気系)
処理容器202の内壁側面には、雰囲気を排気する排気口245が設けられている。処理容器202の外壁側面には、排気口245と連通するよう排気管246が接続されている。排気管246には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(AutoPressure Controller)等の圧力調整器247、真空ポンプ248が順に直列に接続されている。主に、排気口245、排気管246、圧力調整器247をまとめて排気部と呼ぶ。なお、排気部に真空ポンプ248を含めてもよい。
【0053】
(コントローラ)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ310を有している。コントローラ310は装置制御部とも呼ぶ。
【0054】
コントローラ310の概略を図6に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ310は、CPU(Central Processing Unit)310a、RAM(Random Access Memory)310b、記憶装置310c、I/Oポート310d、送受信部310eを備えたコンピュータとして構成されている。RAM310b、記憶装置310c、I/Oポート310dは、内部バス310fを介して、CPU310aとデータ交換可能なように構成されている。基板処理装置100内のデータの送受信は、送受信部310eの指示により行われる。
【0055】
コントローラ310には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置311や、外部記憶装置312が接続可能に構成されている。更に、上位装置320にネットワークを介して接続される受信部313が設けられる。受信部310は、上位装置から他の装置の情報を受信することが可能である。
【0056】
記憶装置310cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置310c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプログラムレシピ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ310に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプログラムレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プログラムレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM310bは、CPU310aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0057】
I/Oポート310dは、ゲートバルブ204、リフトピン昇降制御部208、ランプ昇降制御部215、ランプハウス昇降制御部222、圧力調整器247、真空ポンプ248等、基板処理装置100の各構成に接続されている。
【0058】
CPU310aは、記憶装置310cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置311からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置310cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU310aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ204の開閉動作、リフトピン昇降制御部208、ランプ昇降制御部215、ランプハウス昇降制御部222の昇降動作、圧力調整器247の圧力調整動作、真空ポンプ248の動作等を制御可能に構成されている。
【0059】
なお、コントローラ310は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)312を用意し、係る外部記憶装置312を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ310を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置312を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置312を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置310cや外部記憶装置312は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置310c単体のみを含む場合、外部記憶装置312単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0060】
(2)基板処理工程
次に、基板処理装置100としての基板処理装置100を使用して、ウエハ200上に積層構造を有する膜を形成する工程について、図7から図12を用いて説明する。図7は、本実施形態にかかる成膜シーケンス例であり、図8は、本実施形態にかかる第一層を形成する第一層形成工程のフローの例であり、図9は第二層を形成する第二層形成工程を説明する図、図10から図12図7のフローの一部を実施した際の装置の動作を説明する説明図である。図10から図12にかけては連続した図であり、(a)、(b)・・・(e)の順に動作される。図10から図12では、説明の便宜上、図1中の一部構成の記載を省略している。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ310により制御される。
【0061】
ここでは、第一元素含有ガスとしてTEMAZガスを用い、反応ガスとしてオゾンガスを用い、第二元素含有ガスとしてAlCl3ガスを用いて、いわゆるZAZ(ZrOx/AlO/ZrOx)積層構造の膜を形成する例について説明する。
【0062】
(基板搬入工程S1002)
処理装置100ではフィンガ206をウエハ200の搬送位置まで下降させる。この状態を図10(a)に示す。続いて、ゲートバルブ204を開き、図示しないウエハ移載機を用いて、処理室内にウエハ200(処理基板)を搬入し、フィンガ206上にウエハ200を移載する。これにより、ウエハ200は、フィンガ206上に水平姿勢で支持される。
【0063】
処理容器202内にウエハ200を搬入したら、ウエハ移載機を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ204を閉じて処理容器202内を密閉する。このとき、ウエハ200はウエハ搬送ポジションPW1に位置され、温度調整部223の上端はポジションPT1、ランプ211はポジションPL1に位置される。
【0064】
バルブ230の開閉やランプ211のオン・オフは、ウエハ200の処理に応じて制御される。例えば、スループット等の問題から早急にウエハ200を加熱する場合は、ゲートバルブ204が閉じた後にランプ211をオンとして、ウエハ200の加熱を開始しても良い。また、このとき温度調整が必要であれば、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に流しても良い。
【0065】
(基板処理ポジション移動工程S1004)
図10(b)に記載のように、フィンガ206を上昇させることにより、ウエハ200を基板処理ポジションPW2に移動する。このとき、ウエハ200の裏面と流路構造224との距離があらかじめ定められた距離となるよう、ランプハウス210を上昇させて流路構造224を上昇させる。このとき、温度調整部223の上端は、ポジションPT2となるよう位置される。更には、ウエハ200の裏面とランプ211との距離があらかじめ定められた距離となるよう、ランプ支持部213を上昇させてランプ211を上昇させる。
【0066】
(第一層形成工程S1006)
第一層形成工程S1006では、第一層であるZrO膜を形成する。ここでは、処理空間201にTEMAZとオゾンガスを交互に供給する。このとき、図11(c)に記載のように、ウエハ200は基板処理ポジションPW2に位置され、温度調整部223の上端は、ポジションPT2とされ、ランプ211の先端はポジションPL2となるよう位置される。
【0067】
このとき、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に供給すると共に流路構造を通過し冷媒を排出して流路構造内に冷媒を循環させる。更にランプ211は一定の間隔で照射する。このような一定間隔の照射を継続して、ウエハ200を裏面から加熱する。なお、本工程におけるウエハ200の温度を第一の温度とする。
【0068】
ところで、本工程においては、後述する第二層形成工程S1010よりも温度を低くするよう制御することから、ポジションPT2をポジションPL2よりも高い位置となるよう制御される。このようにすると、流路構造224がランプ211よりもウエハ200に近い位置となり、ウエハ200の温度に対して流路構造224の影響が強くなるので、ウエハ200の温度が低くなるよう制御しやすくなる。
【0069】
より良くは、ランプ211の先端を温度調整部223の下端よりも下方に配されるよう、ポジションPT2、ポジションPL2を設定しても良い。このようにすると、ウエハ200に向かって照射されるランプ211の熱が温度調整部223によって遮られ、ウエハ200への熱影響が低減されるので、温度調整部223の影響をより支配的にできる。
【0070】
本工程では、流路構造224による冷却とランプ211による加熱とでウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、300℃から400℃の間であって、350℃に加熱する。
【0071】
ZrO層を形成する具体的な方法について、図8を用いて説明する。
(第一原料ガス供給工程S2002)
流路構造224による冷却とランプ211とでウエハ200が所望の温度に達すると、バルブ264を開くと共に、TEMAZガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ243cを調整する。なお、TEMAZガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。このとき、バルブ268を開き、供給管265からN2ガスを供給する。
【0072】
処理空間201に供給されたTEMAZガスはウエハ200上に供給される。ウエハ200の表面には、TEMAZガスがウエハ200上に接触することで「第一元素含有層(もしくは単に第一層)」としてのジルコニウム含有層が形成される。
【0073】
ジルコニウム含有層は、例えば、処理容器202内の圧力、TEMAZガスの流量、ウエハ200の温度、処理空間201の通過にかかる時間等に応じて、所定の厚さ及び所定の分布で形成される。
【0074】
TEMAZガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ264を閉じ、TEMAZガスの供給を停止する。
【0075】
(パージ工程S2004)
次いで、供給管291からN2ガスを供給し、シャワーヘッド250および処理空間201のパージを行う。これにより、第一原料ガス供給工程S2002でウエハ200に結合できなかったTEMAZガスは、真空ポンプ248により、排気管246を介して処理空間201から除去される。
【0076】
(反応ガス供給工程S2006)
パージ工程S2004の後、バルブ274を開けてシャワーヘッド250を介して、処理空間201内に反応ガスとしてのオゾンガスガスの供給を開始する。
【0077】
このとき、オゾンガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ244cを調整する。なお、オゾンガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。なお、オゾンガスとともに、供給管275からキャリアガスとしてN2ガスを流してもよい。
【0078】
オゾンガスはウエハ200上に供給される。既に形成されているジルコニウム含有層がオゾンガスによって改質されることにより、ウエハ200の上には、ジルコニウム元素および酸素元素を含有するジルコニウム含有層が形成される。
【0079】
改質された層は、例えば、処理容器203内の圧力、酸素含有ガスの流量、基板載置台212の温度等に応じて、所定の厚さ、所定の分布、ジルコニウム含有層に対する所定の酸素成分等の侵入深さで形成される。
【0080】
所定の時間経過後、バルブ274を閉じ、酸素含有ガスの供給を停止する。
【0081】
(パージ工程S2008)
次いで、S2004と同様のパージ工程を実行する。各部の動作はS2004と同様であるので説明は省略する。
【0082】
(判定S2010)
コントローラ280は、上記1サイクルを所定回数(n cycle)実施したか否かを判定する。
【0083】
所定回数実施していないとき(S2010でNoの場合)、第一原料ガス供給工程S2002、パージ工程S2004、反応ガス供給工程S2006、パージ工程S2008のサイクルを繰り返す。所定回数実施したとき(S2010でYesの場合)、図8に示す処理を終了する。
所望の膜厚のZrOを形成したら、切り替え工程S1008に移行する。
【0084】
(切り替え工程S1008)
切り替え工程S1008では、第一層形成工程S1006から第二層形成工程S1010に移行するに際し、処理条件を切り替える工程である。以下に具体的内容を説明する。
【0085】
第一層形成工程S1006が終了したら、引き続きパージガスを供給する。このとき第二層形成工程S1010でのウエハ温度となるよう、ランプ211を制御する。例えばウエハ温度を第一層形成工程S1006よりも高くする場合、ランプ211の照射間隔を第一層形成工程S1006よりも短くしたり、ランプ211から出力される熱量を第一層形成工程S1006よりも大きくしたり、ポジションPL3に位置させウエハ200とランプ211を近づかせるなどの制御を行う。このとき、図11(d)に記載のように、ランプハウス210を下降させて温度調整部223の上端をポジションPT3に位置させ、流路構造224とウエハ200との距離を遠ざける。このときランプ211の先端と温度調整部233が接触することが懸念されるが、本実施形態における温度調整部233は、ランプ211が通過可能な穴225を有するので、接触することなく、ランプハウス210を下降させることができる。
【0086】
このようにすると冷却効率が低くなると共に、ウエハ200の加熱効率を高くすることができる。更には、バルブ230を閉として冷媒の供給を停止しても良い。このようにすると、より冷却効率を低くすることができる。
【0087】
また、ウエハ200の温度を第一層の温度よりも低くする場合、ランプ211の照射間隔を第一層形成工程S1006よりも長くしたり、ランプ2011の出力を第一層形成工程S1006よりも小さくしたりするなどの制御を行う。この場合は、冷却効率を高めるために、流路構造224を下降させないことが望ましい。
【0088】
より良くは、ランプ211の先端を温度調整部223の上端よりも上方に配されるよう、ポジションPT3、ポジションPL3を設定しても良い。このようにすると、ウエハ200に向かって照射されるランプ211の熱が温度調整部223によって遮られることが無いので、ウエハ200への熱影響が強くなり、ランプ211の影響をより支配的にできる。
【0089】
(第二層形成工程S1010)
続いて、第二層形成工程S1010を説明する。本工程では、第一層形成工程S1006よりもウエハ200の温度が高い場合を例に説明する。切り替え工程S1008で切り替えた状態を維持した状態で次の処理を行う。
【0090】
第二層形成工程S1010では、第二層であるAlO膜を形成する。ここでは、処理空間201にAlCl3とオゾンガスを交互に供給する。このとき、図12(e)に記載のように、ウエハ200を基板処理ポジションPW2に位置され、温度調整部223の先端は、ポジションPT3となるよう位置され、ランプ211の先端はポジションPL3となるよう位置される。
【0091】
このとき、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に供給すると共に流路構造を通過し冷媒を排出して流路構造内に冷媒を循環させる。更にランプ211は一定の間隔で照射する。このような一定間隔の照射を継続することで、ウエハ200を裏面から加熱する。なお、本工程における温度を第二の温度とする。なお、照射間隔は、ウエハ200の加熱温度によって異なるものである。従って、第一層形成工程S1006と照射間隔を異なるようにさせてもよい。
【0092】
流路構造224による冷却とランプ211による加熱とでウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、400℃から500℃の間であって、450℃に加熱する。
【0093】
AlO層を形成する具体的な方法について、図9を用いて説明する。
(第二原料ガス供給工程S2002)
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達すると、バルブ284を開くと共に、第二原料ガスとしてのAlCl3ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ283を調整する。なお、AlCl3ガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。このとき、バルブ288を開き、供給管285からN2ガスを供給する。
【0094】
処理空間201に供給されたAlCl3ガスはウエハ200上に供給される。ウエハ200の表面には、AlCl3ガスがウエハ200の上に接触することによって「第二元素含有層」としてのアルミニウム含有層が形成される。
【0095】
アルミニウム含有層は、例えば、処理容器202内の圧力、AlCl3ガスの流量、ウエハ200の温度、処理空間201の通過にかかる時間等に応じて、所定の厚さ及び所定の分布で形成される。
【0096】
AlCl3ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ284を閉じ、AlCl3ガスの供給を停止する。
【0097】
(パージ工程S4004)
次いで、供給管291からN2ガスを供給し、シャワーヘッド250および処理空間201のパージを行う。これにより、第二原料ガス供給工程S4002でウエハ200に結合できなかったAlCl3ガスは、真空ポンプ248により、排気管246を介して処理空間201から除去される。
【0098】
(反応ガス供給工程S4006)
パージ工程S4004の後、バルブ274を開けてシャワーヘッド250を介して、処理空間201内にオゾンガスの供給を開始する。
【0099】
このとき、オゾンガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ244cを調整する。なお、オゾンガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。なお、オゾンガスとともに、供給管275からキャリアガスとしてN2ガスを流してもよい。
【0100】
オゾンガスはウエハ200上に供給される。既に形成されているアルミニウム含有層がオゾンガスによって改質されることにより、第一層であるアルミニウム含有層の上には、例えばアルミニウム元素および酸素元素を含有するアルミニウム含有層が形成される。
【0101】
改質層は、例えば、処理容器203内の圧力、酸素含有ガスの流量、基板載置台212の温度等に応じて、所定の厚さ、所定の分布、アルミニウム含有層に対する所定の酸素成分等の侵入深さで形成される。
【0102】
所定の時間経過後、バルブ274を閉じ、酸素含有ガスの供給を停止する。
【0103】
(パージ工程S4008)
次いで、S4004と同様のパージ工程を実行する。各部の動作はS4004と同様であるので説明は省略する。
【0104】
(判定S4010) コントローラ280は、上記1サイクルを所定回数(n cycle)実施したか否かを判定する。
【0105】
所定回数実施していないとき(S4010でNoの場合)、第二原料ガス供給工程S4002、パージ工程S4004、反応ガス供給工程S4006、パージ工程S4008のサイクルを繰り返す。所定回数実施したとき(S4010でYesの場合)、図9に示す処理を終了する。
所望の膜厚のAlOを形成したら、判定S1012に移行する。
【0106】
(判定S1012)
第二層形成工程S1010の後、判定S1012を行う。ここでは第一層と第二層を合わせた積層が、所定数に達したか否かを判定する。例えば第一層形成工程S1006または第二層形成工程S1010を実行した回数をカウントすることで、層数をカウントする。
【0107】
所望の層数に達した場合は基板移載ポジション移動工程S1016に移行する。所望の層数に達していない場合は切り替え工程S1014に移行する。
【0108】
(切り替え工程S1014)
判定S1012で所望の層数を形成していないと判断されたら切り替え工程S1014に移行する。ここでは、切り替え工程S1008と同様に、処理条件を切り替える。本実施形態の場合、図12(e)の状態から、図11(c)の状態に移行する。その後、第一層形成工程S1006に移行する。
【0109】
(基板移載ポジション移動工程S1016)
判定S1012で所望の層数を形成したと判断されたら基板移載ポジション移動工程S1016に移行する。ここでは基板処理ポジション移動工程S1004と逆の順番で各構成を制御し、図10(a)と同様の位置にフィンガ206等を移動する。
【0110】
(基板搬出工程S1018)
ウエハ200が図10(a)と同様の位置に位置されたら、基板搬入工程S1002と逆の順番にて各構成を制御し、ウエハ200を装置100の外部に搬出する。
【0111】
以上の実施形態では、ZAZ積層構造を形成する例を説明したがそれに限るものではなく、第一層、第二層を形成する際にウエハ温度を変更する処理も対象であり、異なるガスや材料を使用した工程も含むことは言うまでも無い。
【0112】
また、ここでは第一層、第二層を例にして二つの層を形成する形態を説明したが、それに限るものではなく、例えば三層以上を形成する例も含む。
【0113】
また、本実施形態ではZAZ構造を例にして、TEMAZガス、オゾンガス、AlCl3ガスを使用する形態を説明したが、それに限るものではなく、層を形成する工程でウエハ温度を変更する処理であれば、他のジルコニウム含有ガス、酸素含有ガス、アルミニウム含有ガスを用いても良い。
【0114】
ただし、本実施形態で説明したAlCl3は、他のアルミニウム含有ガス(例えばトリメチルアミン((CH3)3N、略称:TMA)に比べ、高温領域である400℃から500℃の間の処理で良好な段差被覆性を実現可能とする。したがって、良好な段差被覆性を求めるプロセスである場合、AlCl3を使用することが望ましい。
【0115】
なお、本実施形態においては、ランプハウス211が処理空間201と連通する場合を説明したが、それに限るものではなく、ランプハウス内へのガスの侵入を考慮した場合、ランプハウスに窓をつけてもよい。以下、この変形例について図13を用いて説明する。
【0116】
図13では、ランプハウス301として、側壁219の上端に窓302が設けられている点で、図1の装置形態と異なる。
【0117】
窓302は耐真空製であり、且つランプ211から照射される熱を遮らない材質であり、例えば石英で構成される。窓302は、円柱状の側壁302の上端をふさぐように設けられており、ランプハウス301内にガスが回り込まないよう構成される。
【0118】
このように構成することで、第一層形成工程S1006や第二層形成工程S1010において、ウエハ200よりも下方にガスが回りこんだとしても、ランプカバー212や温度調整部223にガスが付着することが無い。従って、ランプ211の加熱効率や温度調整部223の冷却効率を低減させることが無いという顕著な効果を有する。
【0119】
(第二の実施形態)
第一の実施形態においては、ZAZ構造を例にして説明したが、それに限るものではなく、例えば3D-NAND構造におけるシリコン窒化(SiN)膜とシリコン酸化(SiO)膜の積層構造にも応用可能である。
【0120】
第二の実施形態として、シリコン窒化(SiN)とシリコン酸化(SiO)膜の積層構造を形成する例について説明する。
【0121】
(基板処理装置)
本実施形態では、第一の実施形態と同様、装置100を用いるため、装置の説明は省略する。なお、装置100においては、第一原料ガスとしてシリコン含有ガスを用い、第一反応ガスとして窒素含有ガスを用い、第二反応ガスとして酸素含有ガスを用いる。なお、本実施形態においては、第一反応ガスをガス供給系260から供給し、第一反応ガスをガス供給系270から供給し、第二反応ガスをガス供給系280から供給する。
【0122】
本実施形態においては、第一の原料ガスを供給するガス供給部を第一原料ガス供給部と呼び、第一反応ガスを供給するガス供給部を第一反応ガス供給部と呼び、第二反応ガスを供給するガス供給部を第二反応ガス供給部と呼ぶ。
【0123】
(基板処理工程)
続いて基板処理工程を説明する。本実施形態にかかる成膜シーケンスは、第一の実施形態と同様であり、第一層形成工程S1006、第二層形成工程S1010の詳細が異なる。以下、相違点を中心に説明する。なお、本実施形態においては、第一元素をシリコンとして説明する。
【0124】
(第一層形成工程S1006)
第一層形成工程S1006では、第一層であるシリコン窒化(SiN)膜を形成する。ここでは、処理空間201にシリコン含有ガスと窒素含有ガスを供給する。シリコン含有ガスは例えばジシラン(Si2H6)であり、窒素含有ガスは例えばアンモニア(NH3)ガスである。このとき、図11(c)に記載のように、ウエハ200を基板処理ポジションPW2に、温度調整部223の上端をポジションPT3に、ランプ211をポジションPL1になるよう位置制御される。アンモニアを供給する際は、プラズマ生成部279を立ち上げて、アンモニアガスをプラズマ状態とする。
【0125】
このとき、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に供給すると共に流路構造を通過し冷媒を排出して流路構造内に冷媒を循環させる。更にランプ211は一定の間隔で照射する。このような一定間隔の照射を継続して、ウエハ200を裏面から加熱する。なお、本工程におけるウエハ200の温度を第一の温度とする。
【0126】
流路構造224による冷却とランプ211による加熱とでウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、350℃から500℃の間であって、400℃に加熱する。この温度は、後述する第二層形成工程の温度よりも低い温度であり、結合度が弱い温度帯であるため、第二層であるSiO膜よりも疎の状態の膜となる。
【0127】
本実施形態においては、目的の膜厚等に応じて、二種類のガスを同時に処理室に供給して反応させたり、交互に供給したりして、適宜選択する。
【0128】
SiN膜が所望の膜厚に達したら、処理を終了し、切り替え切り替え工程S1008に移行する。
【0129】
(切り替え工程S1008)
第一層形成工程S1006が終了したら切り替え工程S1008を実行する。ここでは第一の実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0130】
(第二層形成工程S1010)
切り替え工程S1008で切り替えた状態を維持した状態で次の処理を行う。
第二層形成工程S1010では、第二層であるシリコン酸化(SiO)膜を形成する。ここでは、処理空間201にシリコン含有ガスと酸素含有ガスを供給する。シリコン含有ガスは例えば第一の実施形態と同様、ジシラン(Si2H6)であり、酸素含有ガスは例えばオゾンガスである。このとき、図10(e)に記載のように、ウエハ200は基板処理ポジションPW2に、温度調整部223の上端はポジションPT3に、ランプ211の先端はポジションPL3になるよう位置制御される。このようにすることで、このとき、ポジションPT3はポジションPT2よりも下方であり、ポジションPL3はポジションPL2よりも上方とされる。このようにすることで、第一層形成工程S1006よりも加熱効率を高くすることができ、従ってウエハ200は第一層形成工程S1010よりも高い温度とすることができる。
【0131】
このとき、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に供給すると共に流路構造を通過し冷媒を排出して流路構造内に冷媒を循環させる。更にランプ211は一定の間隔で照射する。このように一定間隔の照射を継続することで、ウエハ200を裏面から加熱する。このように加熱することで、ウエハ200を、第一の温度よりも高い第二の温度とする。
【0132】
流路構造224による冷却とランプ211による加熱とでウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、400℃から700℃の間であって、500℃に加熱する。このように、ウエハ200は第一層形成工程S1010よりも高い温度とすることができる。したがって、第一層であるSiN層よりも緻密で硬い膜を形成することができる。
【0133】
本実施形態においては、目的の膜厚等に応じて、二種類のガスを同時に処理室に供給して反応させたり、交互に供給したりして、適宜選択する。
【0134】
SiNが所望の膜厚に達したら、処理を終了し、判定S1012に移行する。
【0135】
判定工程S1012から基板搬出工程S1018については、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0136】
このようにして、膜厚が疎の状態のSiN膜と膜厚が密の状態のSiO膜の積層膜を形成することが可能となる。3D−NAND構造においては、後の工程でSiN膜をエッチングすることになるが、このように疎のSiN膜と密のSiO膜を同時に存在させることができるので、良好なエッチング選択性を有する膜を形成することが可能となる。
【0137】
(第三の実施形態)
続いて第三の実施形態を説明する。第三の実施形態は、装置の構成が異なる。以下、相違点を中心に、図14を用いて本実施形態の装置400を説明する。なお、図1と同様の番号がついている構成は、図1と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0138】
(基板処理装置)
基板処理装置400を構成する処理容器202の底部には、リフトピン401が複数設けられている。
【0139】
処理空間201内には、ウエハ200を支持する基板支持部410が設けられている。基板支持部410は、ウエハ200を載置する載置面411と、載置面411を表面に持つ載置台412、基板載置台412の内側に設けられた流路構造224と真空断熱構造413を主に有する。真空断熱構造413はウエハ200と流路構造224の間に設けられると共に、中が空洞で構成される。基板載置台412には、リフトピン401が貫通する貫通孔414が、リフトピン401と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0140】
基板載置台412はシャフト415によって支持される。シャフト415は処理容器202の底壁に設けられた穴416を貫通しており、更には支持板417を介して処理容器202の外部で昇降機構418に接続されている。昇降機構418を作動させてシャフト415及び基板載置台412を昇降させることにより、基板載置面411上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト415下端部の周囲はベローズ419により覆われている。処理容器202内は気密に保持されている。
【0141】
基板載置台412は、ウエハ200の搬送時には、基板載置面411が基板搬入出口206に対向する位置(ウエハ搬送位置、ウエハ搬送ポジション、図10(a)のPW1に相当するポジション。)まで下降する。ウエハ200の処理時には、ウエハ200が処理空間201内の処理位置(ウエハ処理位置、ウエハ処理ポジション、図11(c)のPW2に相当するポジション。)となるまで上昇する。
【0142】
具体的には、基板載置台412をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン401の上端部が基板載置面411の上面から突出して、リフトピン401がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台412をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン401は基板載置面411の上面から埋没して、基板載置面411がウエハ200を下方から支持するようになっている。
【0143】
処理空間201の上部(上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド450が設けられている。シャワーヘッド450の側壁にはガス導入孔241、ガス導入孔242、ガス導入孔243、ガス導入孔244が設けられる。各ガス導入孔には、第一の実施形態と同様、図2から図5に記載の各ガス供給系が接続される。
【0144】
シャワーヘッド450は、分散板254を備えている。この分散板254の上流側がバッファ空間252であり、下流側が処理空間201である。分散板254には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板254は、基板載置面411と対向するように配置されている。分散板254は、後述するランプ211が照射する熱を遮断しない材質であり、例えば石英で構成される。
【0145】
処理容器202の天井であって、ウエハ200の表面側には、ランプハウス460が設けられる。ランプハウス460には、複数のランプ211が設けられる。ランプ211は、第一の実施形態と同様に、ランプ制御部217で制御される。処理容器の天井であって、ランプ211と対向する位置には、窓461が設けられる。窓302は耐真空製であり、且つランプ211から照射される熱を遮らない材質であり、例えば石英で構成される。
【0146】
流路構造224はウエハ200の裏面側に設けられる。流路構造224には、熱媒体供給管226と熱媒体排出管227が接続される。熱媒体供給管225には、上流から順に熱媒体供給源228、流量制御部229、バルブ230が設けられる。熱媒体排出管226には、たとえば工場側の貯留槽等に接続される。
【0147】
流量制御部229、バルブ230はコントローラ310に電気的に接続されており、コントローラ310の指示に応じて流量制御部229、バルブ230が制御され、流路構造224内に供給される熱媒体の流量等を調整する。
【0148】
真空断熱構造413には、ガス供給管420とガス排出管421が接続される。ガス供給管420には、上流から順に不活性ガス源422、流量制御部423、バルブ424が設けられる。熱媒体排出管421には、ポンプ425が設けられる。
【0149】
流量制御部423、バルブ424、ポンプ425はコントローラ310に電気的に接続されており、コントローラ310の指示に応じて流量制御部229、バルブ230、ポンプ425が制御され、真空断熱構造413の真空度を調整する。
【0150】
真空断熱構造413を真空断熱部と呼んでも良い。真空断熱部は、流量制御部423、バルブ424、ポンプ425のいずれか、またはその組み合わせを含めても良い。
【0151】
(基板処理工程)
続いて基板処理工程を説明する。本実施形態にかかる成膜シーケンスは、第一の実施形態と同様であり、第一層形成工程S1006、切り替え工程S1008、第二層形成工程S1010の詳細が異なる。以下、第一の実施形態で説明したZAZ構造の形成を例にして、相違点を中心に説明する。
【0152】
(第一層形成工程S1006)
第一層形成工程S1006では第一層であるZrO膜を形成する。ここでは、処理空間201にTEMAZガスとオゾンガスを交互に供給する。このとき、ウエハ200は基板処理ポジション(図11(c)のPW2に相当)に位置され、温度調整部223の先端は、ポジションPT2となるよう位置される。
【0153】
このとき、バルブ230を開として冷媒を流路構造224に供給すると共に流路構造を通過し冷媒を排出して流路構造内に冷媒を循環させる。このようにしてウエハ200から熱を吸収し、所望の温度に調整する。なお、本実施形態においては、流路構造に冷媒を供給した状態を、温度調整部をオンとする、と表現する。また、流路構造に冷媒を供給しない状態を、温度調整部をオフとする、と表現する。
【0154】
更にランプ211がオンとされ、ウエハ200の表面が加熱される。具体的には、ランプ211に一定の間隔で照射する。このように照射することで、ウエハ200を表面から加熱する。なお、本工程における温度を第一の温度とする。
【0155】
流路構造224による冷却とランプ211による加熱とでウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、300℃から400℃の間であって、350℃に加熱する。
【0156】
このとき真空断熱構造413は、流路構造224による冷却効率が低下しない程度の不活性ガス雰囲気とされる。本実施形態では、このように真空断熱の効果が無い(もしくは少ない)状態を、真空断熱部をオフとする、と表現する。
【0157】
(切り替え工程S1008)
第一層形成工程S1006が終了したら切り替え工程S1008を実行する。
切り替え工程S1008では、第一層形成工程S1006から第二層形成工程S1010に移行するに際し、処理条件を切り替える工程である。以下に具体的内容を説明する。
【0158】
第一層形成工程S1006が終了したら、引き続きパージガスを供給する。このとき第二層形成工程S1010でのウエハ温度となるよう、ランプ211を制御する。例えばウエハ温度を第一層形成工程S1006よりも高くする場合、ランプ211の照射間隔を第一層形成工程S1006よりも短くしたり、ランプ211から出力される熱量を第一層形成工程S1006よりも大きくしたりするなどの制御を行う。このとき、ポンプ425を起動して、真空断熱構造413を真空圧レベルの圧力となるまで排気する。なお、本実施形態においては、真空断熱の効果が顕著となる状態を、真空断熱部をオンとする、と表現する。
【0159】
流路構造224に供給された冷媒の影響は真空断熱構造413によって断熱されるので、ウエハ200は流路構造224の冷却の影響を受けることがなくなる。したがって、ウエハ200の冷却効率が低下する。一方、ランプ211は加熱を維持するよう制御される。その結果、ウエハ200の加熱効率を高めることができる。
【0160】
(第二層形成工程S1010)
続いて、第二層形成工程S1010を説明する。本工程では、第一層形成工程S1006よりもウエハ200の温度が高い場合を例に説明する。
第二層形成工程S1010では、第二層であるAlO膜を形成する。ここでは、処理空間201にAlCl3ガスとオゾンガスを交互に供給する。
【0161】
切り替え工程S1008で切り替えた状態を維持しつつ、ランプ211による加熱でウエハ200を所定の温度に維持する。例えば、400℃から500℃の間であって、450℃に加熱する。なお、本工程における温度を第二の温度とする。
【0162】
AlO膜が所望の膜厚に達したら、処理を終了し、判定S1012に移行する。
【0163】
判定工程S1012から基板搬出工程S1018については、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0164】
以上のように、各実施形態の基板処理装置およびそれを用いた基板処理方法を行うことで、各層ごとに温度条件が変わる積層膜をIn−Situで形成可能とするので、半導体装置の生産性を高めることできる。
【符号の説明】
【0165】
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理空間
310 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14