特許第6368762号(P6368762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368762
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2484 20160101AFI20180723BHJP
   H01M 8/243 20160101ALI20180723BHJP
   H01M 8/2404 20160101ALI20180723BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20180723BHJP
【FI】
   H01M8/2484
   H01M8/243
   H01M8/2404
   H01M8/12 102C
   H01M8/12 101
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-231311(P2016-231311)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-88359(P2018-88359A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2017年11月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 遥平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−346988(JP,A)
【文献】 特開2012−009226(JP,A)
【文献】 特開2013−161574(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/041593(WO,A1)
【文献】 特開2014−067669(JP,A)
【文献】 特開2016−115581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/12
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列方向に配列され、配列方向に直交する方向に延びる燃料ガス流路を有する複数の燃料電池と、
前記複数の燃料電池それぞれの先端部に取り付けられ、前記燃料ガス流路に連なる燃料ガス排出路を有する複数の流速調整部材と、
前記複数の燃料電池それぞれの基端部を支持するマニホールドと、
を備え、
前記複数の流速調整部材は、前記配列方向の中央部に位置する中央部燃料電池に取り付けられる中央部流速調整部材と、前記配列方向の端部に位置する端部燃料電池に取り付けられる端部流速調整部材とを含み、
前記中央部流速調整部材が有する前記燃料ガス排出路の第1内径は、前記端部流速調整部材が有する前記燃料ガス排出路の第2内径よりも小さい
燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池スタックの一種として、一列に並べられた複数の燃料電池と、各燃料電池の基端部を支持するマニホールドとを備える燃料電池スタックが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
各燃料電池の内部には燃料ガス流路が形成されており、燃料電池スタックの作動時、マニホールドの内部から各燃料電池の燃料ガス流路に燃料ガス(例えば、水素)が供給されるとともに、各燃料電池の外側に酸素含有ガス(例えば、空気)が供給される。燃料ガス流路を流れる燃料ガスのうち発電に使用されなかった余剰燃料ガスは、燃料ガス流路から外部に排出される。燃料ガス流路から排出される余剰燃料ガスは、酸素含有ガスと反応して燃焼する。余剰燃料ガスの燃焼熱によって各燃料電池が適切な作動温度に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−187995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、燃料ガス流路から排出される余剰燃料ガスが失火する場合がある。余剰燃料ガスが失火すると、燃料電池を適切な作動温度に保持できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、各燃料電池を適切な作動温度に保持可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
燃料電池スタックは、複数の燃料電池と、複数の流速調整部材と、マニホールドとを備える。複数の燃料電池は、配列方向に配列され、燃料ガス流路を有する。複数の流速調整部材は、複数の燃料電池それぞれの先端部に取り付けられ、燃料ガス流路に連なる燃料ガス排出路を有する。マニホールドは、複数の燃料電池それぞれの基端部を支持する。複数の流速調整部材は、配列方向の中央部に位置する中央部燃料電池に取り付けられる中央部流速調整部材と、配列方向の端部に位置する端部燃料電池に取り付けられる端部流速調整部材とを含む。中央部流速調整部材が有する燃料ガス排出路の第1内径は、端部流速調整部材が有する燃料ガス排出路の第2内径と異なる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各燃料電池を適切な作動温度に保持可能な燃料電池スタックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1実施形態に係る燃料電池スタックの側面図
図2】流速調整部材が取り付けられた燃料電池の斜視図
図3】流速調整部材が取り付けられた燃料電池の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(燃料電池スタック100)
図1は、実施形態に係る燃料電池スタック100の側面図である。燃料電池スタック100は、複数の燃料電池1と、複数の流速調整部材2と、マニホールド3とを備える。
【0011】
複数の燃料電池1は、配列方向に配列される。各燃料電池1は、平板状に形成される。各燃料電池1は、略等間隔で略平行に配置される。本実施形態では、15枚の燃料電池1が設けられているが、燃料電池1の枚数は適宜変更可能である。
【0012】
各燃料電池1は、内部に燃料ガス流路11を有する。燃料ガス流路11は、燃料電池1の長手方向に延びる。燃料電池スタック100の作動時、マニホールド3の内部から各燃料電池1の燃料ガス流路11に燃料ガス(例えば、水素)が供給されるとともに、各燃料電池1の外側に酸素含有ガス(例えば、空気)が供給される。
【0013】
各燃料電池1の基端部4は、マニホールド3に固定される。各燃料電池1の先端部5は、自由端である。このように、各燃料電池1は、マニホールド3によって片持ち状態で支持される。
【0014】
複数の燃料電池1の配列方向外側には、一対の導電部材6が配置される。各導電部材6の基端部は、マニホールド3に支持される。本実施形態において、各導電部材6は板状に形成されているが、これに限られるものではない。各導電部材6には、電流を引き出すための電流引き出し線6aが接続されている。
【0015】
各燃料電池1の間、及び、燃料電池1と導電部材6との間には、集電部材7が配置される。集電部材7は、各燃料電池1同士、及び、燃料電池1と導電部材6とを電気的に接続する。集電部材7は、隣接する2つの燃料電池1の間を基端部4側から先端部5側に向かって流れる酸素含有ガスの流れを妨げないように構成されていればよく、集電部材7の形状は特に制限されない。
【0016】
各流速調整部材2は、各燃料電池1の先端部5に取り付けられる。各流速調整部材2は、燃料ガス流路11を流れる燃料ガスのうち発電に使用されずに燃料ガス流路11から排出される余剰燃料ガスの流速を調整するための部材である。本実施形態では、15個の流速調整部材2が設けられているが、流速調整部材2の個数は燃料電池1の枚数に応じて適宜変更可能である。
【0017】
各流速調整部材2は、内部に燃料ガス排出路21を有する。燃料ガス排出路21は、燃料電池1の燃料ガス流路11に連なる。燃料ガス流路11から燃料ガス排出路21に流入した余剰燃料ガスは、燃料ガス排出路21から外部に排出される。燃料ガス排出路21から外部に排出された余剰燃料ガスは、酸素含有ガスと反応して燃焼する。
【0018】
マニホールド3は、各燃料電池1の基端部4を支持する。マニホールド3は、各燃料電池1の燃料ガス流路11に燃料ガスを分配するように構成される。マニホールド3は、中空状の箱体であり、内部空間を有する。マニホールド3の内部空間には、図示しない燃料ガス供給源から燃料ガスが供給される。
【0019】
(燃料ガス排出路21の内径)
図1に示すように、複数の燃料電池1は、中央部燃料電池1aと、端部燃料電池1bと、中間部燃料電池1cとを含む。
【0020】
中央部燃料電池1aは、複数の燃料電池1のうち配列方向の中央部に配置された燃料電池1である。配列方向の中央部には、配列方向の中央とその近傍とが含まれる。具体的には、配列方向の中央を中心として、配列方向における複数の燃料電池1の全長の1/5程度の領域に配置された燃料電池1を、中央部燃料電池1aとすることができる。図1に示すように、本実施形態では、3枚の中央部燃料電池1aが設けられているが、中央部燃料電池1aの枚数は、複数の燃料電池1の全長と各燃料電池1のサイズに応じて適宜変更できる。
【0021】
端部燃料電池1bは、複数の燃料電池1のうち配列方向の端部に配置された燃料電池1である。配列方向の端部には、配列方向の両端とその近傍とが含まれる。具体的には、配列方向の両端から複数の燃料電池1の全長の1/5程度までの領域に配置された燃料電池1を、端部燃料電池1bとすることができる。図1に示すように、本実施形態では、中央部燃料電池1aの両側に端部燃料電池1bが3枚ずつ設けられているが、端部燃料電池1bの枚数は、複数の燃料電池1の全長と各燃料電池1のサイズに応じて適宜変更できる。
【0022】
中間部燃料電池1cは、複数の燃料電池1のうち、配列方向の中央部と端部の間の中間部に配置された燃料電池1である。具体的には、配列方向の中央部と端部との間における複数の燃料電池1の全長の1/5程度の領域に配置された燃料電池1を、中間部燃料電池1cとすることができる。図1に示すように、本実施形態では、中央部燃料電池1aの両側に中間部燃料電池1cが3枚ずつ設けられているが、中間部燃料電池1cの枚数は、複数の燃料電池1の全長と各燃料電池1のサイズに応じて適宜変更できる。
【0023】
本実施形態において、中央部燃料電池1aと、端部燃料電池1bと、中間部燃料電池1cそれぞれの構成及び外形は略同じである。また、中央部燃料電池1aと、端部燃料電池1bと、中間部燃料電池1cそれぞれに形成された燃料ガス流路11の内径は略同じである。
【0024】
図1に示すように、複数の流速調整部材2は、中央部流速調整部材2aと、端部流速調整部材2bと、中間部流速調整部材2cとを含む。
【0025】
中央部流速調整部材2aは、複数の流速調整部材2のうち中央部燃料電池1aに取り付けられた流速調整部材2である。端部流速調整部材2bは、複数の流速調整部材2のうち端部燃料電池1bに取り付けられた流速調整部材2である。中間部流速調整部材2cは、複数の流速調整部材2のうち中間部燃料電池1cに取り付けられた流速調整部材2である。本実施形態において、中央部流速調整部材2aと、端部流速調整部材2bと、中間部流速調整部材2cそれぞれの外形は略同じであるが、異なっていてもよい。
【0026】
図1に示すように、中央部流速調整部材2aが有する燃料ガス排出路21の内径Ra(第1内径の一例)は、端部流速調整部材2bが有する燃料ガス排出路21の内径Rb(第2内径の一例)よりも小さい。すなわち、内径Rbは内径Raよりも大きく、Rb>Raが成立している。
【0027】
ここで、燃料電池スタック100の作動時、各燃料電池1は、燃料電池1自身のジュール熱や反応熱による熱エネルギーを放出する。この際、中央部燃料電池1aの両側には多数の燃料電池1が配置されているため、中央部燃料電池1aからの熱エネルギーは端部燃料電池1bに比べて外部に放散されにくいのに対して、端部燃料電池1bは隣接する燃料電池1が少ないため、端部燃料電池1bからの熱エネルギーは外部に放散されやすい。そのため、中央部燃料電池1aは、端部燃料電池1bに比べて高温になるため、中央部燃料電池1aの燃料ガス流路11を流れる燃料ガスの粘性が高くなりやすい。その結果、中央部燃料電池1aの燃料ガス流路11を流れる燃料ガスの流速が、端部燃料電池1bの燃料ガス流路11を流れる燃料ガスの流速よりも遅くなり、中央部流速調整部材2aから排出される余剰燃料ガスが失火するおそれがある。
【0028】
そこで、本実施形態では、中央部流速調整部材2aが有する燃料ガス排出路21の内径Raが、端部流速調整部材2bが有する燃料ガス排出路21の内径Rbよりも小さくされている。これにより、端部燃料電池1bに比べて燃料ガスの流速が遅くなりやすい中央部燃料電池1aに取り付けられた中央部流速調整部材2aの燃料ガス排出路21において、燃料ガスの流速を速めることができるため、中央部流速調整部材2aから排出される余剰燃料ガスが失火してしまうことを抑制することができる。
【0029】
中央部流速調整部材2aの燃料ガス排出路21は、略均一な太さに形成されている。すなわち、内径Raは、全体的に略均一である。内径Raは、燃料ガス排出路21の流入口の口径と、排出口の口径と、長手方向中央の直径との算術平均値である。流入口の口径、排出口の口径、及び長手方向中央の直径は、2次元光学透過式の寸法測定器を用いて測定するものとする。
【0030】
本実施形態において、中央部流速調整部材2aが有する燃料ガス排出路21の内径Raは、中央部燃料電池1aの燃料ガス流路11の内径と略同じであるが、燃料ガス流路11の内径より大きくても小さくてもよい。
【0031】
本実施形態において、中央部流速調整部材2aが有する燃料ガス排出路21の内径Raは、中央部燃料電池1aの燃料ガス流路11の内径と略同じであるが、燃料ガス流路11の内径より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0032】
また、図1に示すように、中間部流速調整部材2cが有する燃料ガス排出路21の内径Rcは、端部流速調整部材2bが有する燃料ガス排出路21の内径Rbよりも小さい。すなわち、内径Rcは内径Rbよりも小さく、Rc<Rbが成立している。これにより、端部燃料電池1bに比べて燃料ガスの流速が遅くなりやすい中間部燃料電池1cに取り付けられた中間部流速調整部材2cの燃料ガス排出路21において、燃料ガスの流速を速めることができるため、中間部流速調整部材2cから排出される余剰燃料ガスが失火してしまうことを抑制することができる。
【0033】
さらに、図1に示すように、中央部流速調整部材2aが有する燃料ガス排出路21の内径Raは、中間部流速調整部材2cが有する燃料ガス排出路21の内径Rcよりも小さい。すなわち、Ra<Rcが成立している。これにより、中間部燃料電池1cに比べて燃料ガスの流速が遅くなりやすい中央部燃料電池1aに取り付けられた中央部流速調整部材2aの燃料ガス排出路21において、燃料ガスの流速を速めることができるため、中央部流速調整部材2aから排出される余剰燃料ガスが失火してしまうことをより抑制することができる。
【0034】
(燃料電池1及び流速調整部材2の構成)
図2及び図3は、流速調整部材2が取り付けられた燃料電池1の斜視図である。
【0035】
図2及び図3では、燃料電池1の一例として、いわゆる横縞型の固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)が図示されている。
【0036】
燃料電池1は、多孔支持基板10、複数の発電部20、及び緻密シール膜30を備える。
【0037】
多孔支持基板10は、長手方向に延びる扁平な平板状に形成される。多孔支持基板10の内部には、6本の燃料ガス流路11が形成される。
【0038】
多孔支持基板10は、電子伝導性の低い多孔質材料によって構成される。多孔支持基板10は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、MgO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)の複合材料、MgO(酸化ニッケル)とY(イットリア)の複合材料、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)の複合材料などによって構成することができる。多孔支持基板10は、遷移金属を含有していてもよい。多孔支持基板10の気孔率は特に制限されないが、20%〜60%とすることができる。多孔支持基板10の厚さは特に制限されないが、1mm〜10mmとすることができる。
【0039】
複数の発電部20は、多孔支持基板10の主面上において長手方向に並べられる。複数の発電部20は、多孔支持基板10の両主面上に配置されていてもよい。発電部20の個数は適宜変更することができる。
【0040】
各発電部20は、燃料極と、固体電解質層と、空気極と、インターコネクタとを有する。燃料極は、多孔支持基板10上に配置される。固体電解質層は、燃料極と空気極の間に配置される。インターコネクタは、当該発電部20の燃料極と隣接する他の発電部20の空気極とを電気的に接続する。各発電部20は、固体電解質層と空気極との間に配置されるバリア層を有していてもよい。各発電部20は、空気極上に配置される空気極集電層を有していてもよい。
【0041】
緻密シール膜30は、多孔支持基板10の外表面を覆う。緻密シール膜30は、各発電部20の固体電解質層と一体的に形成されていてもよい。緻密シール膜30は、緻密質材料によって構成される。緻密質材料としては、例えば、YSZ、ScSZ、ガラス、スピネル酸化物などが挙げられる。
【0042】
流速調整部材2は、燃料電池1の先端部5に取り付けられる。流速調整部材2は、接合材によって、燃料電池1の先端部5に固定されていてもよい。接合材としては、例えば、結晶化ガラスを用いることができる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系のガラスを用いることができる。
【0043】
本実施形態において、流速調整部材2は、平板状の緻密体である。流速調整部材2は、緻密質材料によって構成される。緻密質材料としては、MgO、ZrO、MgAlなどのスピネル酸化物や、フェライト系ステンレス、SiO−MgO系などのガラス材料が挙げられるが、これに限られるものではない。流速調整部材2の気孔率は、20%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
【0044】
流速調整部材2は、内部に6本の燃料ガス排出路21を有する。各燃料ガス排出路21は、燃料電池1の燃料ガス流路11に連なる。各燃料ガス排出路21は、燃料電池1の長手方向に延びる。燃料ガス排出路21の本数は、燃料電池1が有する燃料ガス流路11の本数に合わせて適宜変更可能である。
【0045】
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
【0046】
上記実施形態では、本発明にかかる流速調整部材を横縞型の燃料電池1に適用した場合について説明したが、本発明にかかる流速調整部材は、いわゆる縦縞型の燃料電池などにも適用することができる。縦縞型の燃料電池は、導電性の支持基板と、支持基板の一主面上に配置される発電部(燃料極、固体電解質層及び空気極)と、支持基板の他主面上に配置されるインターコネクタとを備える。
【0047】
上記実施形態では、流速調整部材2は、平板状の緻密体であることとしたが、これに限られるものではない。流速調整部材2は、燃料電池1の先端部5の側面上に形成された緻密膜であってもよい。このような緻密膜は、ZrO、SiO−MgO系の結晶化ガラスなどの緻密質材料を先端部5の側面上にディップ成膜することによって形成することができる。
【0048】
上記実施形態では、図1に示したように、複数の流速調整部材2は、中間部流速調整部材2cを含むこととしたが、中間部流速調整部材2cを含んでいなくてもよい。この場合、中間部燃料電池1cには、中間部流速調整部材2cの代わりに、中央部流速調整部材2aを取り付けてもよいし、端部流速調整部材2bを取り付けてもよい。
【0049】
上記実施形態では、図1に示したように、複数の流速調整部材2には、中央部流速調整部材2a、端部流速調整部材2b及び中間部流速調整部材2cが含まれることとしたが、中央部流速調整部材2aと中間部流速調整部材2cとの間、又は/及び、端部流速調整部材2bと中間部流速調整部材2cとの間に、中央部流速調整部材2a、端部流速調整部材2b及び中間部流速調整部材2cそれぞれと異なる内径を有する1以上の補充流速調整部材を含んでいてもよい。
【0050】
補充流速調整部材は、中央部流速調整部材2aと中間部流速調整部材2cとの間に配置される場合、中央部燃料電池1aと中間部燃料電池1cのいずれに取り付けられていてもよい。この場合、補充流速調整部材が有する燃料ガス排出路21の内径は、中央部流速調整部材2aの内径Raと中間部流速調整部材2cの内径Rcの間であることが好ましい。
【0051】
補充流速調整部材は、端部流速調整部材2bと中間部流速調整部材2cとの間に配置される場合、端部燃料電池1bと中間部燃料電池1cのいずれに取り付けられていてもよい。この場合、補充流速調整部材の内径は、端部流速調整部材2bの内径Rbと中間部流速調整部材2cの内径Rcの間であることがより好ましい。
【0052】
上記実施形態では、図1に示したように、複数の流速調整部材2には、3種類の流速調整部材(中央部流速調整部材2a、端部流速調整部材2b及び中間部流速調整部材2c)だけが含まれることとしたが、これに限られるものではない。例えば、複数の流速調整部材2それぞれの内径が異なっており、配列方向の端部から中央部に向かって順番に内径が小さくなるように、又は、配列方向の端部から中央部に向かって順番に内径が大きくなるように並べられていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 燃料電池
1a 中央部燃料電池
1b 端部燃料電池
1c 中間部燃料電池
2 流速調整部材
2a 中央部流速調整部材
2b 端部流速調整部材
2c 中間部流速調整部材
100 燃料電池スタック
図1
図2
図3