特許第6368794号(P6368794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6368794(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの改良された調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368794
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの改良された調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/56 20060101AFI20180723BHJP
   C07B 57/00 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 211/72 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 213/75 20060101ALI20180723BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20180723BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20180723BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20180723BHJP
【FI】
   C07D211/56CSP
   C07B57/00 360
   C07D211/72
   C07D213/75
   C07D487/04 140
   !A61K31/519
   !A61P29/00 101
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-557204(P2016-557204)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公表番号】特表2017-503007(P2017-503007A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】IB2014066510
(87)【国際公開番号】WO2015087201
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】3843/MUM/2013
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】515259694
【氏名又は名称】ユニケム ラボラトリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サテ,ダナンジャイ.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ダス,アリジット
(72)【発明者】
【氏名】パティル,ヨ―ゲシュ スバース
(72)【発明者】
【氏名】ボンデ,ニーレシュ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ケカン,アンクシ サンパット
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−512468(JP,A)
【文献】 特表2008−525406(JP,A)
【文献】 特表2013−505969(JP,A)
【文献】 特表2013−500254(JP,A)
【文献】 特開2001−335563(JP,A)
【文献】 特表2012−524085(JP,A)
【文献】 Database REGISTRY,2011年11月,RN:1341148-61-5,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 6 February 2018
【文献】 Rosenkranz, G.; Mancera, O.; Sondheimer, Franz; Djerassi, Carl,Steroids. LXXXI. Transformation of sapogenins to androgens and estrogens. Beckmann rearrangement of Δ16-20-oxo steroids,Journal of Organic Chemistry ,1956年,21,520-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
C07B 57/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIaの化合物の調製方法であって、
【化1】
以下の工程:
(i)アルキル、アリール若しくは置換アリール酸塩化物又は酸無水物を用い、式IIIの3−アミノ−4−メチルピリジンをN−アシル化して式IVaの化合物を調製し、所望により該化合物を単離する工程;
【化2】
(ii)ベンジル又は置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒中で、式IVaの化合物中のピリジン構造の窒素を四級化して式Vaの化合物を調製し、所望により該化合物を単離する工程;
【化3】
(iii)還元剤の存在下、溶媒中、周囲温度にて、式Vaの化合物を部分的に還元して、式VIa1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
【化4】
(iv)酸又は酸混合物の存在下で、式VIa1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解して、周囲温度にて、又は40℃〜110℃の温度にて、式VIIaの化合物を調製する工程;
【化5】
(v)メチルアミンを用い、ルイス酸存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIaの化合物を還元的にアミノ化し、次いで還元剤を用いて還元し、周囲温度にて、式VIIIaの化合物を調製する工程;及び
【化6】
(vi)分割剤の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIIaの化合物を分割して式IIaの化合物を調製する工程、
を含み、
式中、Rは、水素、アルキル、アリール又は置換アリールを表し、R’は、フェニル又は置換フェニル基を表し、Xはクロロ、ブロモ及びヨードから選択されるハロゲン化物基を表す、調製方法。
【請求項2】
工程(i)で用いる前記アルキル、アリール若しくは置換アリール酸無水物が、炭素数1〜10の酸の無水物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)で用いる前記アルキル、アリール若しくは置換アリール酸塩化物が、炭素数1〜10の酸塩化物、塩化アセチル及び塩化ベンゾイルから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(ii)で用いる前記ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物が、塩化ベンジル、臭化ベンジル、置換塩化ベンジル及び置換臭化ベンジルから成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(ii)で用いる前記有機溶媒が、芳香族、極性非プロトン性、非極性溶媒、エーテル、エステル、ケトン溶媒、及びそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、及びそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)及び(v)で用いる前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムから成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(iii)で用いる前記溶媒が、水、炭素数1〜5のアルコール、ジ−イソプロピルエーテル、メチル第三ブチルエーテル、トルエン、キシレン及びそれらの混合物から成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(iv)で用いる前記酸又は酸混合物が、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、置換ハロ酢酸、酢酸、HI、HBr、鉱酸、有機酸、及びそれらの水溶液から成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(v)で用いる前記ルイス酸が、三塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化インジウム、及びチタン(IV)テトライソプロポキシドから成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(vi)で用いる前記分割剤が、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、酒石酸、マンデル酸、及びカンファースルホン酸から成る群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
式(Va)の化合物:
【化7】
式中、Rは、アルキル、アリール又は置換アリールを表し;R’は、アリール又は置換アリール基を表し;Xは、クロロ、ブロモ、ヨード、トシルオキシ若しくはメシルオキシを表す
【請求項13】
式(VIa)の化合物及びその塩:
【化8】
式中、Rはアルキル、アリール又は置換アリールを表し;R’はアリール又は置換アリール基を表す
【請求項14】
3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリル又はその塩の調製方法であって、
以下の工程:
(i)アルキル、アリール若しくは置換アリール酸塩化物又は酸無水物を用い、3−アミノ−4−メチルピリジンをN−アシル化して式IVaの化合物を調製し、所望により式IVaの該化合物を単離する工程;
【化9】
(ii)ベンジル又は置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒中で、式IVaの化合物中のピリジン基の窒素を四級化して式Vaの化合物を調製し、所望により式Vaの該化合物を単離する工程;
【化10】
(iii)還元剤の存在下、溶媒中、周囲温度にて、式Vaの化合物を部分的に還元して、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
【化11】
(iv)酸又は酸混合物の存在下で、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解して、周囲温度にて、又は40℃〜110℃の温度にて、式VIIaの化合物を調製する工程;
【化12】
(v)メチルアミンを用い、ルイス酸存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIaの化合物を還元的にアミノ化し、次いで、周囲温度にて還元剤を用いて還元し、式VIIIaの化合物を調製する工程;
【化13】
(vi)分割剤の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIIaの化合物を分割して式IIaの化合物を調製する工程;及び
【化14】
(vii)式IIaの化合物を3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリルに変換する工程、
を含み、
式中、Rは、水素、アルキル、アリール及び置換アリールから選択され、R’は、フェニル又は置換フェニル基を表し、Xはクロロ、ブロモ及びヨードから選択されるハロゲン化物基を表す、調製方法。
【請求項15】
3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリルを3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリル,2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸塩に変換する工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリルを合成するための主要な出発物質である(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの効率的で改良された調製方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリル,2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸塩は、下記式Iとして記載され、国際公開第02/096909号公報、米国特許第7301023号公報に開示されている。米国FDAはこの化合物を関節リウマチ用に承認した。
【0003】
【化1】
【0004】
国際公開第02/096909号公報(スキーム1)に記載された3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリルの主要な調製段階は、以下の工程を含む:
【0005】
(i)ジ−p−トルオイル−L−酒石酸エステル(Di-p-toluoyl-L-tartarate)を用い、ラセミ体(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンに分割する工程;
(ii)4−クロロピロロ[2,3−d]ピリミジンを(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンと縮合させて、(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミンを得る工程;及び
(iii)(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミンを脱ベンジル化し、次いでシアノ酢酸誘導体と縮合させて、3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリル(式I)を得る工程、(スキーム−1)。
【0006】
【化2】
【0007】
式Iの調製のための最も重要な部分は、非常に時間のかかる合成であり、また非常に高価な試薬を必要とするため、(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの合成である。ラセミ体(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンから(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンへの合成と分割に関しては、数種類の方法が文献に報告されている。
【0008】
国際公開第2007/012953号公報には、1−ベンジル−3−メトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ピリジニウムブロミドを調製し、ルテニウム及びイリジウム系キラル触媒の混合物を用い、水素化条件下で不斉還元することにより、シス異性体84%で、68%eeの(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンが提供されることが開示されている。
【0009】
前記特許には、スキーム−2に記載されるように、部分的還元により同じ中間体を調製し、次いで不斉還元の手法を用いることにより、高度に濃縮されたピペリジン誘導体を得ることが更に開示されている。
【0010】
【化3】
【0011】
いずれの手法もキラル触媒の使用量が非常に多く、商業的な使用を高価で困難なものとしている。更に、当該方法は非常に高い圧力を必要とするため、危険であり、費用がかかり、スケールアップに好ましくない。
【0012】
国際公開第2010/123919号公報には、以下の工程を含む、(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの更なる調製方法が提示されている:
(i)カリウムt−ブトキシドの存在下、テトラヒドロフラン中で、3−アミノ−4−メチルピリジンのアミノ基を炭酸ジメチルにより保護する工程;
(ii)臭化ベンジルを用い、トルエン中で、ピリジン構造の窒素を四級化する工程;
(iii)水素化ホウ素ナトリウムの存在下、メタノール中で、四級化されたピリジン構造を部分的に還元して、1,2,5,6−テトラヒドロピリジンを製造する工程;
(iv)メタノール中、白金酸化物を用いて還元し、ピペリジン誘導体を生成させ、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製する工程;及び
(v)水素化アルミニウムリチウムと更に反応させ、カラムクロマトグラフィーにより精製して、(1−ベンジル−4−メチル−ピペリジン−3−イル)−メチルアミンを得る工程。
【0013】
当該方法にはいくつかの欠点がある。方法全体の収率が非常に低く、即ち約40%である。当該方法では、2つの段階でカラムクロマトグラフィーを使用する。公知の発火性試薬である水素化アルミニウムリチウムは、その製造過程で安全性リスクの原因となる。最後に、白金酸化物は水素の存在下で爆発性が高い。白金酸化物は非常に高価な試薬であるため、プラントスケールでの使用を妨げる。全体として、当該方法は費用がかかり、商業規模の実施用としてはそれ程安全ではなく、厳密な技術を必要とする。
【0014】
国際公開第2010/123919号公報には、(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを調製するための追加的な操作が更に示されており、その合成操作をスキーム−3に要約する。
【0015】
【化4】
【0016】
当該方法には、1−ベンジル−3−オキソピペリジン−4−カルボン酸エチルを脱ベンジル化及び四級化し、次いで得られた3−オキソピペリジン−4−カルボン酸エチル誘導体を、二炭酸ジ−tert−ブチルにより保護する方法が含まれる。水素化ナトリウムを用いてメチレン性プロトンを除去することにより、保護されたピペリジン誘導体をメチル化し、更にヨードメタンと反応させる。次の段階では、酸性媒質中、N−tert−ブトキシカルボニル基の脱保護を実施し、得られた4−メチルピペリジン−3−オンをベンジル化し、次いでメチルアミンとトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元的にアミノ化し、所望の生成物(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを提供する。
【0017】
全体の変換には、非常に複雑な出発物質からの5段階が含まれる。当該方法には、様々な段階で保護と脱保護が含まれる。水素化ナトリウム、流涙性の(lacrimatic)臭化ベンジル及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等のコストが高く、安全ではない試薬の使用は、その商業規模の生産を制限する。当該方法には、3つの段階でカラムクロマトグラフィーを使用することに関する大きな欠点がある。更に、当該方法は、製造される中間体と標的分子の純度については記載されていない。また、当該方法について記載された全体収率は、非常に低く、即ち13.6モルパーセントである。
【0018】
米国特許第6627754号公報には、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として用い、密封管中で、1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−オンから(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを合成することについて、国際公開第2010/123919号公報で考察されたものと類似した還元的アミノ化経路が提示されている。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムは非常に感湿な発火性試薬である。密封管反応では大規模な実施は困難である。
【0019】
先行技術に教示された方法はいくつかの欠点があり、即ち、高価であり、プラントレベルでのスケールアップに適さず、エネルギー集約的で、困難であり、収率が低く、腐食性酸の使用を余儀なくされ、腐食反応の時間がより長く、ユーザーフレンドリーではない。先行技術の欠点と非常に複雑な方法論が適用されることを考慮すると、(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製に関しては、単純で、エネルギーの節約となり、財政的により安価でプラントに適した方法であり、環境に優しい、式Iを合成するための(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン-3−イル)-メチルアミンの調製方法であって、吸湿性で発火性の薬品を使用しなくても良好な収率が得られる方法が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の主な目的は、全収率がより良好な、改良され且つ効率的な(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、対費用効果が高く、環境に優しく、またエネルギーの節約となる、(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製方法を提供することにある。
【0021】
本発明の更に別の目的は、3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロパンニトリル,2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸塩(式I)を調製するための、(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第一の態様によれば、改良された効率的な式IIの(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製方法が提供される。
【0023】
本発明の別の態様は、以下の工程を含むスキーム−4に示されるような、式IIaの化合物の調製方法を提供することである:
(i)アルキル、アリール若しくは置換アリール酸無水物又は酸塩化物を用い、3−アミノ−4−メチルピリジン(式III)をN−アシル化し、式IVaを得る工程;
(ii)ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式IVaのピリジン構造の窒素を四級化し、式Vaを得る工程;
(iii)還元剤又は任意の水素化ホウ素剤の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中、周囲温度にて、四級化され所望により単離された式Vaのピリジン構造を部分的に還元し、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
(iv)酸又は酸混合物の存在下、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解し、周囲温度にて、式VIIaを得る工程;
(v)メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIaを還元的にアミノ化し、次いで任意の還元剤又は任意のアルカリ金属水素化ホウ素誘導体を用いて還元し、周囲温度にて、式VIIIaの化合物を製造する工程;及び
(vi)任意の分割剤(resoluting agent)の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIIaの化合物を更に分割し、式IIaの化合物を製造する工程。
【0024】
【化5】
式中、Rは、水素、アルキル、アリール、置換アリールを表し、R’は、アリール又は置換アリール基を表す。
【0025】
先行技術である国際公開第2010/123919号公報では、異なる種類の化合物の反応体を使用している。その2つの合成ルート(ROS)は異なっている。国際公開第2010/123919号公報では、第一段階で無水物の使用を想定していない。本発明の反応で形成された中間体は、先行技術の場合とは異なり、側鎖にメチルを有する。本発明では、異なった種類の反応体を最初に使用すると異なった種類の中間体が製造する。加水分解工程と還元的アミノ化工程、及び形成された中間体は、本発明のROSに特有である。これらは先行技術には存在しない。水素化アルミニウムリチウムは国際公開第2010/123919号公報においては必須であるが、本発明では存在しない。本発明の進歩性は、国際公開第2010/123919号公報の場合と比べ、驚く程に短縮された様々な反応工程の持続時間にある。式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造の調製は、国際公開第2010/123919号公報で必要とされる時間の30%で完了させることができる。
【0026】
本発明の更に別の態様は、以下の工程を含む、スキーム5に示されるような、式(II)の(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製方法を提供することである:
(i)塩化アセチル又は無水酢酸を用い、3−アミノ−4−メチルピリジンをN−アシル化して式IV得る工程;
(ii)塩化ベンジルを用い、トルエンの存在下、式IVのピリジン構造の窒素を四級化して式Vを得る工程;
(iii)水素化ホウ素ナトリウムの存在下、メタノール又は水中、四級化され所望により単離された式Vのピリジン構造を部分的に還元し、周囲温度にて、式VIの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
(iv)塩酸と酢酸の混合物存在下、式Vの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解して、周囲温度にて、式VIIを得る工程;
(v)チタン(IV)テトライソプロポキシドの存在下、メチルアミン中で、式VIIを還元的にアミノ化し、次いで水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元し、周囲温度にて、式VIIIの1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを得る工程;及び
(vi)ジベンゾイル−L−酒石酸又はジトルオイル−L−酒石酸等の分割剤の存在下、メタノール及び/又は水の混合物中で、式VIIIの化合物を更に分割して、式IIの(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを製造する工程。
【0027】
【化6】
【0028】
試薬:(i)塩化アセチル、酢酸、室温;(ii)塩化ベンジル、トルエン、110℃;(iii)水素化ホウ素ナトリウム、メタノール、0℃〜5℃、又は水素化ホウ素ナトリウム、水、0℃〜5℃;(iv)HCl、AcOH、80℃〜85℃;(v)チタン(IV)テトライソプロポキシド、メチルアミンメタノール溶液、NaBH、MeOH、0℃〜5℃;(vi)ジトルオイル−L−酒石酸、MeOH−水(1:1)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、以下の工程を含む、改良された効率的な式(IIa)の化合物の調製方法に関する:
(i)アルキル、アリール若しくは置換アリール酸無水物又は酸塩化物を用いて3−アミノ−4−メチルピリジン(式III)をN−アシル化し、式IVaを得る工程;
(ii)ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒中で、式IVaのピリジン構造の窒素を四級化し、式Vaを得る工程;
(iii)還元剤又は任意の水素化ホウ素剤の存在下、有機溶媒中、周囲温度にて、四級化された式Vaのピリジン構造を部分的に還元し、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
(iv)酸又は酸混合物の存在下、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解し、周囲温度にて、式VIIaを得る工程;
(v)メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIaを還元的にアミノ化し、次いで任意の還元剤又は任意のアルカリ金属水素化ホウ素誘導体を用いて還元し、周囲温度にて、式VIIIaの化合物を製造する工程;及び
(vi)任意の分割剤の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIIaの化合物を更に分割し、式IIaの化合物を製造する工程。
【0030】
炭素数1の酸無水物は酢酸の無水物、即ち無水酢酸である。炭素数2の酸無水物はプロパン酸の無水物である。本発明では、炭素数1〜10の酸の無水物を使用してもよい。炭素数1〜10の酸塩化物は、ギ酸からデカン酸の酸塩化物、アリール酸塩化物、又は炭素原子数10以下の置換酸塩化物であると解釈される。炭素数1〜5のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びペンタノールであると解釈される。全収率がより良好であるとは、分割前の中間体である1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンを合成する全収率が50%を超えることと解釈される。
【0031】
四級化(quarternization)及び四級化(quaternization)なる用語は互換的に使用され、三級窒素への結合に関し同じ意味を有する。「改良された効率的な」という用語は、供給量のコストが低く、関連操作が単純であり、プラントレベルの拡張性が良好であることに加え、収率がより高く、エネルギー集約性が低く、反応の持続時間がより短いという点から解釈される。ピリジン構造とは、置換基を有するか又は有さない分子構造中のピリジン環部分を意味する。周囲温度とは0℃〜30℃の温度であると解釈される。RTは室温である。塩化メチレン及び二塩化メチレン、即ちMDCなる用語は互換的に使用される。本発明の進歩性は以下の工程にある(スキーム−6):
【0032】
(i)アルキル、アリール若しくは置換アリール酸無水物又は酸塩化物を用いて3−アミノ−4−メチルピリジン(式III)をN−アシル化し、式IVaを得る工程。先行技術では、この段階でのアセチル化反応は存在しない。先行技術には、炭酸ジメチルを使用し、この初期段階における反応体が異なるために、異なる特性を示す異なる種類の化合物に属する構造的に異なる中間体が形成されることが教示されている。
(ii)ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒中で、式IVaのピリジン構造の窒素を四級化し、式Vaを得る工程;
(iii)還元剤又は任意の水素化ホウ素剤の存在下、有機溶媒中、周囲温度にて、四級化され所望により単離された式Vaのピリジン構造を部分的に還元し、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する工程;
(iv)酸又は酸混合物の存在下、式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を加水分解し、周囲温度にて、式VIIaを得る工程;及び
(v)メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒若しくは水性溶媒又はそれらの混合物中で、式VIIaを還元的にアミノ化し、次いで任意の還元剤又は任意のアルカリ金属水素化ホウ素誘導体を用いて還元し、周囲温度にて、式VIIIaの化合物を製造する工程。
【0033】
【化7】
【0034】
式中、Rは、水素、アルキル、アリール、置換アリールを表し、R’は、アリール又は置換アリール基を表す。
アルキル、アリール若しくは置換アリール酸無水物を用いる3−アミノ−4−メチルピリジン(式III)のN−アシル化には、炭素数1〜10の無水物、無水酢酸、より好ましくは無水酢酸が含まれる。
【0035】
アルキル、アリール若しくは置換アリール酸塩化物を用いる3−アミノ−4−メチルピリジン(式III)のN−アシル化には、炭素数1〜10の酸塩化物、塩化アセチル、塩化ベンゾイル等が含まれ、より好ましくは塩化アセチルが含まれる。N−アシル化により式(IVa)の化合物及びその塩が形成される。
【0036】
【化8】
【0037】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキル、アリール又は置換アリールを表すが、イソプロピル、t−ブチル及びフェニルは含まない。Rが、炭素数3〜10のアルキル、アリール又は置換アリールを表すが、イソプロピル、t−ブチル及びフェニルを含まない場合には、新規化合物が形成される。


【0038】
ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物を用いる式IVaのピリジン構造の窒素の四級化には、塩化ベンジル、臭化ベンジル等が含まれ、より好ましくは塩化ベンジルが含まれる。
【0039】
式Vaを得るための、式IVaのピリジン構造の窒素の四級化は、ベンジルハロゲン化物又は置換ベンジルハロゲン化物を用い、トルエン、キシレン、アルコール溶媒、エーテル溶媒、より好ましくはトルエン及びキシレン、最も好ましくはトルエンを含む有機又は水性有機溶媒の存在下で実施される。極性、プロトン性、非プロトン性溶媒は、一般的な定義により解釈される。
【0040】
ベンジル若しくは置換ベンジルハロゲン化物を用い、有機溶媒の存在下で、式IVaのピリジン構造の窒素を四級化して、式Vaを得ることは、40℃〜110℃、より好ましくは75℃〜85℃の温度で実施された。式(Va)の化合物:
【0041】
【化9】
【0042】
式中、Rはアルキル、アリール又は置換アリールを表し、より好ましくはメチルであり;R’はアリール又は置換アリール基を表し、より好ましくはフェニルであり;Xはクロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン化物基、又はトシルオキシ又はメシルオキシ等の任意の脱離基を表す。
【0043】
水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、より好ましくは水素化ホウ素ナトリウムを含む水素化ホウ素剤等の還元剤と、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)、メチル第三ブチルエーテル(MTB)等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン及びそれらの水性混合物から成る群より選ばれる有機溶媒、より好ましくはメタノール、水、最も好ましくは水の存在下で、四級化された式Vaのピリジン構造を部分的に還元することにより、式Viaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造を製造する。水素化ホウ素試薬を用いた還元は、0℃〜10℃、より好ましくは0℃〜5℃で実施した。
【0044】
式VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造は、式IVaのピリジン構造が四級化され、所望により単離された式Vaのピリジン構造から得ることができる。式(VIa)の化合物及びその塩:
【0045】
【化10】
【0046】
式中、Rはアルキル、アリール又は置換アリールを表し、より好ましくはメチルであり;R’はアリール又は置換アリール基を表し、より好ましくはフェニルである。
酸又は酸混合物の存在下における、VIaの1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造の加水分解には、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、酢酸、又はそれらの水溶液又はそれらの混合物、より好ましくは塩酸及び酢酸、最も好ましくは塩酸と酢酸の混合物が含まれる。
【0047】
酸又は酸混合物の存在下における、式VIaの化合物の1,2,5,6−テトラヒドロピリジン構造の加水分解は、40℃〜110℃、より好ましくは75℃〜90℃、最も好ましくは85℃〜90℃の温度で実施した。
式VIIaの還元的アミノ化は、メチルアミンを用い、任意のルイス酸、例えば、AlCl、InCl、チタン(IV)テトライソプロポキシド、FeCl等、より好ましくはチタン(IV)テトライソプロポキシドの存在下で行うことができる。
【0048】
式VIIaの還元的アミノ化は、メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒、例えば、メタノール、エタノールのようなアルコール溶媒、ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)、メチル第三ブチルエーテル(MTB)のようなエーテル溶媒、又はトルエン、キシレン、又はそれらの水性混合物、より好ましくはメタノール又は水、最も好ましくは水中で行うことができる。
【0049】
メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒中で、式VIIaを還元的にアミノ化し、次いで水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを含むアルカリ金属水素化ホウ素誘導体、より好ましくは水素化ホウ素ナトリウム等の任意の還元剤を用いて還元することにより、式VIIIaの化合物を製造する。
【0050】
メチルアミンを用い、任意のルイス酸の存在下、有機溶媒中における式VIIaの還元的アミノ化と、これに続く、任意の還元剤又は任意のアルカリ金属水素化ホウ素誘導体を用いた還元による式VIIIaの化合物の製造は、0℃〜10℃、より好ましくは0℃〜5℃の温度で実施した。
【0051】
酒石酸、ジベンゾイル酒石酸(DBTA)、ジトルオイル酒石酸(DTTA)、マンデル酸、カンファースルホン酸等を含み、より好ましくはジベンゾイル酒石酸(DBTA)、ジトルオイル酒石酸(DTTA)、最も好ましくはジトルオイル酒石酸(DTTA)である分割剤の存在下で、式VIIIaの分割を行うことにより、式IIaの化合物を得る。
【0052】
任意の分割剤の存在下、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、エーテル溶媒、トルエン、キシレン又はそれらの水性混合物、より好ましくはメタノールを含む有機溶媒中で、化合物式VIIIを分割することにより、式IIaの化合物が得られる。エーテル溶媒としては、ジ−イソプロピルエーテル(DIPE)、メチル第三ブチルエーテル(MTB)が挙げられるが、これら2種類の溶媒に限定されない。本発明を、以下の実施例により更に説明する。
【実施例】
【0053】
実施例−1:3−アミノ−4−メチルピリジンからのN−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)と酢酸(600mL)を入れ、室温で15分間撹拌した。無水酢酸(284gm/263mL)又は塩化アセチル(174gm)をその温度で1〜2時間以内で滴下した。次いで、反応内容物を室温で8〜10時間撹拌した。TLC、HPLCのモニターによる反応の終了後、真空下で酢酸を留去した。次いで、反応混合物にメタノール(1L)を添加し、反応混合物のpHを液体アンモニアにより約10〜12に維持した。メタノールを真空下50℃〜55℃で完全に留去した。次いで生成物をMDC(1L)で抽出し、純粋な生成物を得た。収率:98%w/w;HPLC純度:98%。
【0054】
実施例−2:3−アミノ−4−メチルピリジンからのN−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコ内の3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)と無水酢酸(284gm/263mL)を、室温で15分間撹拌した。その撹拌を室温で1〜3時間継続した。TLCのモニターによる反応の終了後、反応混合物にメタノール(1L)を添加し、反応混合物のpHを液体アンモニアにより約10〜12に維持した。メタノールを真空下50℃〜55℃で完全に留去した。MDC(1L)を用いた抽出により、純粋な生成物が得られた。収率:98%w/w;HPLC純度:98%。
【0055】
実施例−3:3−アミノ−4−メチルピリジンからのN−(4−メチルピリジニウム−3−イル)−アセトアミドアセテートの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコ内の、3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)、無水酢酸(284gm/263mL)又は塩化アセチル(174gm)及びMDC(1L)を室温で15分間撹拌した。反応内容物を室温で8〜10時間撹拌した。反応の終了をTLC、HPLCによりモニターした。MDC(1L)を用いた抽出により、純粋な生成物が得られた。収率:98%w/w;HPLC純度:98%。
【0056】
実施例−4:3−アミノ−4−メチルピリジンからのN−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコ内の、3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)、無水酢酸(284gm/263mL)又は塩化アセチル(174gm)及びMDC(1L)を室温で15分間撹拌した。次いで、反応内容物を室温で8〜10時間撹拌した。反応の終了をTLCによりモニターした。反応混合物のpHを液体アンモニアにより約10〜12に維持した。MDC(1L)を用いた抽出により、純粋な生成物が得られた。収率:98%w/w;HPLC純度:98%。
【0057】
実施例−5:N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドからの1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、トルエン(1L)とN−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミド(200gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。塩化ベンジル(202gm)又は臭化ベンジル(273gm)を不溶性の反応内容物に添加し、室温で15分間撹拌した。反応内容物の温度を80℃〜85℃に上げ、反応が終了するまで(TLC、HPLCによりモニター)撹拌した。次いで、反応内容物を25℃〜30℃まで冷却し、トルエン層をデカントにより除去した。反応混合物にメタノール(1L)を入れ、撹拌して透明な溶液を得て、0℃〜5℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.1N水酸化ナトリウム中に60gm)を0℃〜5℃で滴下した。次いで、反応混合物を必要に応じ10〜12時間撹拌して、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応内容物に水(600mL)を添加し、撹拌して透明な溶液を得た。真空下でメタノールを留去した。観察された固体沈殿物をBuckner漏斗によりろ過して純粋な生成物を得た(収率=84−87%;HPLC:90%).
【0058】
実施例−6:N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドからの1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、トルエン(1L)、N−アセチル−3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。塩化ベンジル(202gm)又は臭化ベンジル(273gm)を不溶性反応内容物に添加し、その温度で15分間撹拌した。次いで、反応内容物の温度を80℃〜85℃に上げ、必要に応じてその温度で8〜10時間反応混合物を撹拌し、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応内容物を25℃〜30℃まで冷却した。反応混合物に水(1L)を入れ、15分間撹拌した。水層を分離して、0℃〜5℃に冷却した。次いで、水層に水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.1N水酸化ナトリウム中に60gm)を0℃〜5℃で滴下した。次いで、反応混合物を10〜12時間撹拌して、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応終了後、観察された固体沈殿物をBuckner漏斗によりろ過して、純粋な生成物を得た(収率=84−87%;HPLC:90%)。
【0059】
実施例−7:N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドのベンジル四級化塩の調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、トルエン(1L)、N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミド(200gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。塩化ベンジル(202gm)又は臭化ベンジル(273gm)を不溶性反応内容物に添加し、その温度で15分間撹拌した。次いで、反応内容物の温度を80℃〜85℃に上げ、8〜10時間撹拌し反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。次いで、反応内容物を25℃〜30℃まで冷却し、トルエン層をろ過により除去して、純粋なN−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドのベンジル四級化塩を得た(収率=98%;HPLC:95%)。
【0060】
実施例−8:N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドのベンジル四級化塩からの1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、メタノール(1L)、N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドのベンジル四級化塩(200gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。反応混合物を0℃〜5℃に冷却し、その温度で水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.1N水酸化ナトリウム中に60gm)を滴下した。10〜12時間撹拌して反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応終了後、水(600mL)を添加し、撹拌して透明な溶液を得た。真空下でメタノールを留去した。観察された固体沈殿物をろ過して、純粋な生成物を得た(収率=75%;HPLC:98%)。
【0061】
実施例−9:3−アミノ−4−メチルピリジンからの1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、3−アミノ−4−メチルピリジン(200gm)と無水酢酸(284gm/263mL)を入れ、25℃〜30℃で1〜3時間撹拌した。TLCでモニターした反応の終了後、反応混合物にメタノール(1L)を添加し、液体アンモニアによりpHを約10〜12に維持した。真空下50℃〜55℃でメタノールを完全に留去した。次いで、生成物をMDC(1L)を用いて抽出し、有機層を留去して粗N−(4−メチルピリジン−3−イル)−アセトアミドを得た。
【0062】
トルエン(1L)を反応混合物に加え、室温で15分間撹拌した。塩化ベンジル(202gm)又は臭化ベンジル(273gm)を不溶性反応内容物に添加し、その温度で15分間撹拌した。次いで、温度を80℃〜85℃に上げ、必要に応じその温度で8〜10時間反応混合物を撹拌し、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応内容物を25℃〜30℃に冷却した。次いで、反応混合物に水(1L)を入れ、15分間撹拌した。水層を分離除去し、0℃〜5℃に冷却した。水層に水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.1N水酸化ナトリウム中に60gm)を0℃〜5℃で滴下した。次いで、反応混合物を必要に応じて10〜12時間撹拌し、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応終了後、観察された固体沈殿物をBuckner漏斗によりろ過して、純粋な生成物を得た(収率=84−87%;HPLC:90%)。
【0063】
実施例−10:1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンからのN−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−オンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、酢酸(50mL)、濃HCl35%(100mL)を入れ、室温で10分間撹拌した。次いで、その温度で、反応内容物に1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミン(100gm)を添加した。反応混合物の温度をゆっくりと85℃〜90℃に上げ、必要に応じその温度で3〜4時間撹拌し、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。反応混合物を25℃〜30℃に冷却し、トルエン(500mL)で抽出して、純粋な生成物を得た。収率:95%;HPLC:95%
【0064】
実施例−11:1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンからのN−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−オンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、濃HCl35%(150mL)と1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミン(100gm)を入れ、室温で10分間撹拌した。反応混合物の温度をゆっくりと85℃〜90℃に上げ、3〜4時間撹拌し、反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。次いで、反応混合物を25℃〜30℃に冷却し、トルエン(500mL)で抽出して、純粋な生成物を得た。収率:95%;HPLC:90%
【0065】
実施例−12:1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミンからのN−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−オンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、酢酸(100mL)と1−ベンジル−4−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル−アセチルアミン(100gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。反応混合物の温度をゆっくりと85℃〜90℃に上げ、3〜4時間撹拌して反応を終了させた(TLC、HPLCによりモニター)。次いで、反応混合物を25℃〜30℃に冷却し、トルエン(500mL)で抽出して、純粋な生成物を得た。収率:95%;HPLC:90%
【0066】
実施例−13:N−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−オンからの(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、メタノール(500mL)とN−ベンジル−4−メチルピペリド−3−オン(100gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。反応内容物を0℃〜5℃に冷却し、チタン(IV)テトライソプロポキシド溶液(175mL)を30〜45分以内で滴下した。反応内容物を0℃〜5℃で30分間撹拌し、メチルアミンメタノール溶液(30%)(100mL)を0℃〜5℃で30〜45分以内で滴下した。反応内容物を0℃〜5℃で2〜3時間撹拌した。次いで、反応内容物に水素化ホウ素ナトリウム(22gm)を0℃〜5℃で30〜45分以内で添加し、2〜3時間撹拌した。TLC、HPLCのモニターによる反応の終了後、反応混合物に水(500mL)を添加し、室温で30〜45分間撹拌した。生成物をMDC(500mL)で抽出し、純粋な生成物を得た。収率:90%;HPLC:90%
【0067】
実施例−14:N−ベンジル−4−メチル−3−ピペリドンからの(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの調製
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、メタノール(500mL)とN−ベンジル−4−メチルピペリド−3−オン(100gm)を入れた。室温で15分間撹拌した。反応内容物を0℃〜5℃に冷却し、チタン(IV)テトライソプロポキシド溶液(175mL)を30〜45分以内で滴下した。反応内容物を0℃〜5℃で30分間撹拌し、メチルアミン塩酸塩(66gm)を0℃〜5℃で30〜45分以内で添加した。反応内容物を0℃〜5℃で2〜3時間撹拌した。反応内容物に水素化ホウ素ナトリウム(22gm)を0℃〜5℃で30〜45分以内で添加し、2〜3時間撹拌した。TLC、HPLCのモニターによる反応の終了後、反応内容物に水(500mL)を添加し、室温で30〜45分間撹拌した。生成物をMDC(500mL)で抽出し、純粋な生成物を得た。収率:95%;HPLC:90%。
【0068】
実施例−15:(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンの分割による(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミン生成
オーバーヘッドスターラーを備えた2L4つ口丸底フラスコに、メタノール(500mL)と(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミン(100gm)を入れ、室温で15分間撹拌した。反応混合物にジトルオイル−L−酒石酸(DTTA)(106gm)又はジベンゾイル−L−酒石酸(DBTA)(98gm)を添加し、15分間撹拌して、透明な溶液を得た。反応内容物に水(500mL)を添加し、温度を65℃〜70℃に上げ、1時間撹拌した。反応内容物を10℃〜15℃に冷却し、3時間維持した。固体沈殿物をろ過により除去し、純粋な(3R,4R)−(1−ベンジル−4−メチルピペリジン−3−イル)−メチルアミンのジトルオイル−L−酒石酸(DTTA)塩又はジベンゾイル−L−酒石酸(DBTA)塩を得た。収率=80−82%;HPLC:98%.
【0069】
本発明を特定の実施形態を参照しつつ説明したが、限定的な意味で解釈することを意味しない。本発明の明細書を参照すれば、上記本発明の開示された実施形態と代替となる実施形態の様々な変更が、当業者に明らかになるであろう。従って、例示され、以下にクレームされた本発明の真の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような変更は可能であると考えられる。