(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルムが供給されるドラムと、巻芯を前記ドラム側に押し付けるターレット機構と、前記ドラムおよび前記ターレット機構が相対回転可能に設けられたフレームとを備え、前記ドラムの回転によって巻芯が連れ回されることによりその巻芯にフィルムが巻き取られるように構成された巻取装置であって、
前記ドラムの内部に配置され、巻芯が交換される場合にフィルムを切断する切断機構を備え、
前記切断機構は、前記ドラムに揺動可能に設けられたリンク機構と、前記リンク機構に設けられた切断刃とを含み、前記リンク機構が一方側に配置された場合に前記切断刃が前記ドラムの内部に配置されるとともに、前記リンク機構が他方側に移動された場合に前記切断刃が前記ドラムの外周面から突出してフィルムを切断するように構成されており、前記リンク機構を前記他方側に移動させるための突出機構部と、前記リンク機構を前記一方側に移動させるための退避機構部とをさらに含み、
前記突出機構部は、前記フレームに回動可能に設けられた第1カム部材と、前記ドラムに設けられた第1スライド部材と、前記リンク機構に回転可能に設けられた第1ローラとを含み、前記第1スライド部材が移動された場合に、前記ドラムとともに回転する前記第1スライド部材によって前記第1カム部材が回動されることにより、前記ドラムとともに回転する前記第1ローラが前記第1カム部材に乗ることによって、前記リンク機構が前記他方側に移動されるように構成され、
前記退避機構部は、前記フレームに回動可能に設けられた第2カム部材と、前記ドラムに設けられた第2スライド部材と、前記リンク機構に回転可能に設けられた第2ローラとを含み、前記第2スライド部材が移動された場合に、前記ドラムとともに回転する前記第2スライド部材によって前記第2カム部材が回動されることにより、前記ドラムとともに回転する前記第2ローラが前記第2カム部材に乗ることによって、前記リンク機構が前記一方側に移動されるように構成されていることを特徴とする巻取装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
−構成−
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の一実施形態による巻取装置100を備える巻替装置200の構成について説明する。
【0017】
巻替装置200は、
図1に示すように、原反201のシャフト201aに巻き付けられたフィルム201bを巻芯150に巻き替えるように構成されている。この巻替装置200は、原反201と、繰出ローラ202と、複数の搬送ローラ203と、剥離補助ローラ204と、巻取装置100とを備えている。
【0018】
原反201は、シャフト201aと、シャフト201aに巻き付けられたフィルム201bとを有する。この原反201は、シャフト201aが回転可能に支持されており、そのシャフト201aが回転されることによってフィルム201bが繰り出されるように構成されている。また、原反201は、フィルム201bの繰り出しによりフィルム201bが無くなった場合に交換されるようになっている。フィルム201bは、たとえば、PE(ポリエチレン)などの樹脂製の食品包装用ラップフィルムであり、10〜20μmの厚みと20〜30cmの幅とを有する。
【0019】
繰出ローラ202は、原反201の外周面に接触され、原反201からフィルム201bを繰り出すために設けられている。剥離補助ローラ204は、繰出ローラ202と搬送ローラ203との間に設けられ、原反201からのフィルム201bの剥離を補助するために設けられている。この剥離補助ローラ204は、原反201と繰出ローラ202とが接触する接触位置の接線方向に対してシャフト201a側とは反対側にフィルム201bを案内するように配置されている。このため、原反201と繰出ローラ202とが接触する接触位置で原反201からフィルム201bが剥離されるようになっている。また、繰出ローラ202および剥離補助ローラ204は、原反201の径に応じて回動するように構成されている。これにより、原反201の径が変化しても、繰出ローラ202と剥離補助ローラ204との間のフィルム201bの経路長、および、剥離補助ローラ204と搬送ローラ203(最も上流側に配置される搬送ローラ203)との間のフィルム201bの経路長が変化しないようになっている。搬送ローラ203は、原反201から繰り出されるフィルム201bを巻取装置100に搬送する機能を有する。
【0020】
巻取装置100は、表面巻取方式であり、ドラム1の回転によって巻芯150が連れ回されることによりその巻芯150にフィルム201bが巻き取られるように構成されている。また、巻取装置100は、所定長(たとえば、10〜50m)のフィルム201bが巻芯150に巻き取られた場合に、フィルム201bを巻き取る巻芯150を交換するように構成されている。具体的には、巻取装置100は、
図2に示すように、ドラム1と、ターレット機構2と、切断機構3(
図4参照)と、ピンチローラ4と、巻芯供給部5とを備えている。
【0021】
ドラム1は、モータ(図示省略)によってR1方向に駆動回転され、原反201から供給されるフィルム201bを巻芯150に送るとともに、巻芯150を回転させてフィルム201bを巻き取らせるように構成されている。なお、ドラム1の詳細については後述する。
【0022】
ターレット機構2は、ドラム1の軸方向(X1およびX2方向)においてドラム1を挟むように対向配置され、モータ(図示省略)によってR1方向に45度ずつ回転(旋回)するように構成されている。なお、ターレット機構2の回転軸は、ドラム1と同軸上に配置されている。
【0023】
ターレット機構2の外周部には、周方向に所定の間隔を隔てて複数のチャック機構21が設けられている。本実施形態では、チャック機構21が45度間隔で8個設けられている。そして、ターレット機構2は、チャック機構21を、巻芯供給位置P1、巻取位置P2および退避位置P3の順に搬送するように構成されている。
【0024】
なお、巻取位置P2は、ドラム1の上端部近傍であり、フィルム201bを主に巻き取るための位置である。巻芯供給位置P1は、巻取位置P2からR1方向とは反対方向に45度回転した位置であり、新しい巻芯150が供給される位置である。退避位置P3は、巻取位置P2からR1方向に45度回転した位置であり、巻芯150が交換される場合に、新しい巻芯150を巻取位置P2に搬送するために、巻取位置P2に位置していた巻芯150を巻取位置P2から退避させるための位置である。
【0025】
チャック機構21は、新しい巻芯150を挟持し、その挟持した巻芯150にフィルム201bを巻き付け、フィルム201bの巻き取りが完了された巻芯150を解放して巻取装置100から放出するように構成されている。具体的には、チャック機構21は、巻芯供給位置P1で新しい巻芯150の供給を受け、その新しい巻芯150とともに巻取位置P2に搬送される。そして、チャック機構21は、巻取位置P2において予め設定された長さのフィルム201bが巻芯150に巻き取られると、その巻芯150とともに退避位置P3に搬送される。その後、チャック機構21は、フィルム201bの巻き取りが完了された巻芯150を巻取装置100から放出する。なお、1本の巻芯150に対して行われるフィルム201bの巻き取りは数秒程度の短期間で完了される。
【0026】
各チャック機構21は、回動軸21aと、回動軸21aを中心にして回動(揺動)可能なアーム21bと、アーム21bの先端に設けられた保持部材21cとを含んでいる。保持部材21cは、巻芯150の軸方向の端部を保持可能であるとともに、アーム21bに対して回転可能に構成されている。
【0027】
また、チャック機構21には、アーム21bを内側(ドラム1側)に付勢する付勢部材(図示省略)が設けられている。付勢部材は、たとえば引張コイルばねである。チャック機構21は、たとえば、巻取位置P2に位置する場合に、付勢部材の付勢力により挟持する巻芯150をドラム1の外周面に接触させ、その他の位置に位置する場合に、付勢部材の付勢力に抗してアーム21bの先端をドラム1の外周面に対して離間する側に移動させるように構成されている。このため、巻取位置P2に位置する巻芯150がフィルム201bを介してドラム1の外周面に接触されており、その巻芯150およびその巻芯150を保持する保持部材21cはドラム1の回転に応じて従動回転される。
【0028】
切断機構3は、ドラム1の内部に配置され、巻芯150が交換される場合にフィルム201bを切断するように構成されている。この切断機構3の切断刃33(
図4参照)は、巻芯供給位置P1と巻取位置P2との間でドラム1の外周面から突出されるようになっている。なお、切断機構3の詳細については後述する。
【0029】
ピンチローラ4は、原反201から繰り出されるフィルム201bをドラム1に押圧するために設けられている。巻芯供給部5は、巻芯供給位置P1に新しい巻芯150を供給するように構成されている。なお、巻芯150は、たとえば円筒状の紙管である。
【0030】
−動作−
次に、
図1〜
図4を参照して、本実施形態による巻替装置200の動作について説明する。
【0031】
まず、
図2に示すように、巻取位置P2に位置するチャック機構21が巻芯150を挟持している。そして、その巻取位置P2の巻芯150がドラム1側に付勢されており、巻取位置P2の巻芯150がフィルム201bを介してドラム1の外周面に接触されている。なお、巻芯供給位置P1では、チャック機構21が新しい巻芯150を挟持するとともに、その挟持される巻芯150がドラム1から離間されている。
【0032】
そして、
図1に示すように、繰出ローラ202により原反201からフィルム201bが繰り出される。その原反201から繰り出されたフィルム201bは、剥離補助ローラ204および搬送ローラ203により巻取装置100に搬送される。
【0033】
このとき、
図2に示すように、モータ(図示省略)によりドラム1がR1方向に駆動回転され、フィルム201bが巻取位置P2の巻芯150に送られる。そして、ドラム1の駆動回転により、巻取位置P2の巻芯150が従動回転されることによって、フィルム201bが巻取位置P2の巻芯150に巻き取られる。なお、ドラム1の回転速度(表面速度)は、予め設定された巻取時速度(たとえば、600m/min)に設定される。
【0034】
その後、
図3に示すように、巻取位置P2の巻芯150により予め設定された長さのフィルム201bが巻き取られた場合に、巻芯150の交換動作が開始される。巻芯150が交換されるときには、まず、ドラム1が減速され、ドラム1の回転速度が巻取時速度よりも低い交換時速度(たとえば、100m/min以上600m/min以下)に設定される。なお、この交換時速度は従来に比べて高速であり、その高速化のために後述する退避機構部35(
図6参照)が設けられている。そして、ターレット機構2がR1方向に45度回転される。これにより、
図4に示すように、巻取位置P2に位置していた巻芯150が退避位置P3に移動されるとともに、巻芯供給位置P1に位置していた新しい巻芯150が巻取位置P2に移動される。
【0035】
なお、このとき、巻芯供給位置P1に移動されたチャック機構21により新しい巻芯150が挟持される。また、巻取位置P2に移動された巻芯150はドラム1側に付勢される。
【0036】
次に、切断機構3の切断刃33がドラム1の外周面から突出されることにより、巻芯供給位置P1と巻取位置P2との間でフィルム201bが切断される。そして、退避位置P3の巻芯150側の切断端(切断端の一方)201dは、退避位置P3の巻芯150に巻き取られる。また、原反201側の切断端(切断端の他方)201cに、エアが吹き付けられることによって、その切断端201cが巻取位置P2に位置する新しい巻芯150に巻き付けられる。これにより、退避位置P3の巻芯150に所定長のフィルム201bが巻き取られるとともに、切断されたフィルム201bが巻取位置P2の新しい巻芯150に巻き付けられる。
【0037】
その後、ドラム1が加速されて巻取時速度になるとともに、フィルム201bの巻き取りが完了された巻芯150が巻取装置100から放出され、巻芯150の交換動作が終了される。
【0038】
以上の動作が繰り返し行われることによって、原反201のフィルム201bを巻芯150に巻き替えて、所定長のフィルム201bが巻き取られた巻芯150を連続的に作成することが可能である。
【0039】
−ドラムおよび切断機構の詳細−
次に、
図5〜
図8を参照して、本実施形態の巻取装置100におけるドラム1および切断機構3の詳細について説明する。
【0040】
本実施形態の巻取装置100は、
図5に示すように、ドラム1およびターレット機構2が相対回転可能に設けられたフレーム6aおよび6bを備えている。フレーム6aは、ドラム1の軸方向の一方側(X2方向側)に設けられ、フレーム6bは、ドラム1の軸方向の他方側(X1方向側)に設けられている。フレーム6aおよび6bには、それぞれ、内側に延びる筒状部61aおよび61bが取り付けられている。そして、筒状部61aおよび61bの外周部にターレット機構2が回転可能に設けられている。すなわち、軸方向におけるフレーム6aおよび6bの間にターレット機構2が設けられている。
【0041】
ドラム1は、回転軸11と、本体プレート12aおよび12bと、円筒部材13とを含んでいる。なお、
図5では、説明のために回転軸11の一部分(円筒部材13と対応する部分)をずらして示しており、実際の構造とは異なる部分がある。
【0042】
回転軸11は、軸方向に延びるように形成され、両端部がそれぞれ筒状部61aおよび61bの内部に回転可能に支持されている。この回転軸11には、本体プレート12aおよび12bが相対回転不能に取り付けられるとともに、モータ(図示省略)が連結されている。本体プレート12aおよび12bは、ほぼ円板状に形成され、その中央部に回転軸11が配置されている。また、本体プレート12aおよび12bは、軸方向に所定の間隔を隔てて配置されており、本体プレート12aが軸方向の一方側に配置され、本体プレート12bが軸方向の他方側に配置されている。そして、本体プレート12aおよび12bの外周部には、円筒部材13が相対回転不能に取り付けられている。このため、円筒部材13の内部に、本体プレート12aおよび12bと回転軸11の一部とが配置されている。円筒部材13は、軸方向における一対のターレット機構2の間に配置されている。なお、円筒部材13の外周面がドラム1の外周面である。
【0043】
切断機構3は、ドラム1に揺動可能に設けられたリンク機構31aおよび31bと、リンク機構31aおよび31bを一方側に付勢する付勢部材32aおよび32bと、リンク機構31aおよび31bに設けられた切断刃33と、リンク機構31aおよび31bを他方側に移動させるための突出機構部34と、リンク機構31aおよび31bを一方側に移動させるための退避機構部35とを含んでいる。
【0044】
リンク機構31aは、ドラム1の本体プレート12aに揺動可能に設けられている。このリンク機構31aは、
図6に示すように、第1アーム311aと第2アーム312aと第3アーム313aとを有し、U字状(コ字状)に形成され、回転軸11の周囲に配置されている。第1アーム311aの一方端部は、本体プレート12aの軸部121aに回動可能に取り付けられている。第1アーム311aの他方端部にはピン314aが設けられ、そのピン314aに第2アーム312aの一方端部が回動可能に取り付けられている。第3アーム313aの一方端部にはピン315aが設けられ、そのピン315aに第2アーム312aの他方端部が回動可能に取り付けられている。第3アーム313aの他方端部はシャフト31cに取り付けられ、そのシャフト31cは本体プレート12aに回動可能に設けられている。したがって、リンク機構31aは、軸部121aおよびシャフト31cを支点として、一方側(ドラム1の開口部13aから離れる側)および他方側(ドラム1の開口部13aに近づく側)に揺動可能に構成されている。なお、第2アーム312aの他方端部は、T字状に形成されており、外側張出部および内側張出部を有する。また、他方端部のT字状の根元部分は、後述するピストン353のシリンダ353a(
図5参照)との干渉を回避するために湾曲されている。
【0045】
付勢部材32aは、たとえば引張コイルばねであり、リンク機構31aを一方側に付勢する機能を有する。付勢部材32aの一端は、本体プレート12aに形成された取付部122aに取り付けられ、付勢部材32aの他端は、第2アーム312aの他方端部の外側張出部に取り付けられている。また、付勢部材32aは、第2アーム312aの外側に配置されている。この付勢部材32aと第2アーム312aとの間には、後述するシリンダ353aの一方端部が配置されている。
【0046】
リンク機構31bは、
図7に示すように、ドラム1の本体プレート12bに揺動可能に設けられている。このリンク機構31bは、第1アーム311bと第2アーム312bと第3アーム313bとを有し、U字状(コ字状)に形成され、回転軸11の周囲に配置されている。第1アーム311bの一方端部は、本体プレート12bの軸部121bに回動可能に取り付けられている。第1アーム311bの他方端部にはピン314bが設けられ、そのピン314bに第2アーム312bの一方端部が回動可能に取り付けられている。第3アーム313bの一方端部にはピン315bが設けられ、そのピン315bに第2アーム312bの他方端部が回動可能に取り付けられている。第3アーム313bの他方端部はシャフト31cに取り付けられ、そのシャフト31cは本体プレート12bに回動可能に設けられている。したがって、リンク機構31bは、軸部121bおよびシャフト31cを支点として、一方側および他方側に揺動可能に構成されている。ここで、シャフト31cは、
図5に示すように、本体プレート12aおよび12bに回動可能に設けられ、両端部にそれぞれ第3アーム313aおよび313bが取り付けられている。このため、シャフト31cによりリンク機構31aおよび31bが連結されることから、リンク機構31aおよび31bは同期した状態で揺動されるようになっている。なお、第2アーム312bの他方端部は、T字状に形成されており、外側張出部および内側張出部を有する。また、他方端部のT字状の根元部分は、第2アーム312aと対応するように湾曲されている。
【0047】
付勢部材32bは、
図7に示すように、たとえば引張コイルばねであり、リンク機構31bを一方側に付勢する機能を有する。付勢部材32bの一端は、本体プレート12bに形成された取付部122bに取り付けられ、付勢部材32bの他端は、第2アーム312bの他方端部の外側張出部に取り付けられている。また、付勢部材32bは、第2アーム312bの外側に配置されている。
【0048】
切断刃33は、フィルム201b(
図4参照)を切断するために設けられている。この切断刃33は、
図5に示すように、軸方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されており、一方端部がリンク機構31aの第2アーム312aの内側張出部に取り付けられるとともに、他方端部がリンク機構31bの第2アーム312bの内側張出部に取り付けられている。また、切断刃33は、ドラム1の円筒部材13に形成された開口部13a(
図6および
図7参照)に配置され、ドラム1の外周面に対して進退するようになっている。具体的には、切断刃33は、リンク機構31aおよび31bが一方側に配置される場合にドラム1の内部に配置され、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動された場合にドラム1の外周面から突出するように構成されている。
【0049】
突出機構部34は、リンク機構31aおよび31bを他方側に移動させるために設けられている。すなわち、突出機構部34は、切断刃33をドラム1の外周面から突出させるために設けられている。この突出機構部34は、
図7に示すように、フレーム6bの筒状部61bに回動可能に設けられたカム部材341と、カム部材341を一方側に付勢する付勢部材342と、ドラム1に設けられたピストン343と、リンク機構31bに回転可能に設けられたローラ344とを含んでいる。なお、カム部材341および付勢部材342は、ドラム1とともに回転されないようになっている。また、カム部材341は、本発明の「第1カム部材」の一例であり、ピストン343は、本発明の「第1スライド部材」の一例であり、ローラ344は、本発明の「第1ローラ」の一例である。
【0050】
カム部材341は、筒状部61bに形成された軸部611bに回動可能に取り付けられている。軸部611bは、回転軸11の近傍に配置され、軸方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されている。このカム部材341は、軸方向から見て半円弧状に形成され、回転軸11の周囲の上側に配置されている。また、カム部材341は、軸部611bに対して一方側(R1方向とは反対側)に配置されるカム部341aと、軸部611bに対して他方側(R1方向側)に配置されるレバー部341bとを有する。
【0051】
付勢部材342は、たとえば引張コイルばねであり、カム部材341を一方側(カム部341aが回転軸11に近づく側)に付勢する機能を有する。付勢部材342の一端は、フレーム6bの筒状部61bに形成された取付部612bに取り付けられ、付勢部材342の他端は、カム部材341の軸部611bに対する一方側に取り付けられている。
【0052】
ピストン343は、カム部材341を回動させるために設けられている。このピストン343は、
図5に示すように、シリンダ343aに収容され、軸方向(X1およびX2方向)に移動可能に構成されている。シリンダ343aは、本体プレート12aおよび12bに取り付けられ、内部に付勢部材343bが設けられている。付勢部材343bは、たとえば圧縮コイルばねであり、ピストン343を一方側(X2方向側)に付勢するように構成されている。そして、ピストン343は、シリンダ343aに供給されるエアにより、付勢部材343bの付勢力に抗して他方側(X1方向側)に移動するように構成されている。すなわち、ピストン343は、エアによって作動するように構成されている。また、ピストン343には、一方端部(X2方向側の端部)にストッパ部343cが形成され、他方端部(X1方向側の端部)にローラ343dが設けられている。
【0053】
そして、ピストン343が一方側(X2方向側)に配置されている場合には、
図6に示すように、ストッパ部343cに、リンク機構31aの第1アーム311aに設けられた係合部31dが係合されている。このとき、リンク機構31aおよび31bが一方側(開口部13aに遠い側)に配置され、他方側(開口部13aに近い側)への移動がストッパ部343cにより規制されている。なお、この状態では、リンク機構31aの第1アーム311aが、本体プレート12aに設けられたゴム製のストッパ部123aに係合されている。また、
図7に示すように、リンク機構31bの第1アーム311bが、本体プレート12bに設けられたゴム製のストッパ部123bに係合されている。したがって、ストッパ部123aおよび123bにより、リンク機構31aおよび31bの一方側への移動が規制されている。また、このとき、ローラ343d(
図5参照)は、軸方向においてレバー部341bの内側に配置され、レバー部341bと当接されないようになっている。
【0054】
また、
図8に示すように、ピストン343が他方側(X1方向側)に移動された場合には、ストッパ部343cと係合部31dとの係合が解除され、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動可能になる。また、ピストン343のローラ343dが軸方向においてカム部材341のレバー部341bと対応する位置に配置される。このため、
図7に示す状態からドラム1がR1方向に回転され、ローラ343dがレバー部341bに当接し、カム部材341が付勢部材342の付勢力に抗して回動されると、カム部341aがローラ344の回転軌跡に現れるようになっている。
【0055】
ローラ344は、回転軌跡にカム部341aが現れた場合に、そのカム部341aに乗り上がるように構成されている。このローラ344は、回転軸11に対して開口部13a側に配置される第3アーム313bに設けられている。また、ローラ344は、軸方向においてカム部341aと対応する位置に配置されている。そして、ローラ344がカム部341aに乗り上がると、第3アーム313bが径方向外側に押されるため、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動される。なお、カム部材341が一方側に配置されている場合(カム部材341が回動されていない場合)には、ローラ344の回転軌跡の内側にカム部341aが配置されるようになっている。
【0056】
退避機構部35は、リンク機構31aおよび31bを一方側に移動させるために設けられている。すなわち、退避機構部35は、突出された切断刃33をドラム1の内部に退避させるために設けられている。この退避機構部35は、
図6に示すように、フレーム6aの筒状部61aに回動可能に設けられたカム部材351と、カム部材351を一方側に付勢する付勢部材352と、ドラム1に設けられたピストン353と、リンク機構31aに回転可能に設けられたローラ354とを含んでいる。なお、カム部材351および付勢部材352は、ドラム1とともに回転されないようになっている。また、カム部材351は、本発明の「第2カム部材」の一例であり、ピストン353は、本発明の「第2スライド部材」の一例であり、ローラ354は、本発明の「第2ローラ」の一例である。
【0057】
カム部材351は、筒状部61aに形成された軸部611aに回動可能に取り付けられている。軸部611aは、回転軸11の近傍に配置され、軸方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されている。このカム部材351は、軸方向から見て半円弧状に形成され、回転軸11の周囲の下側に配置されている。また、カム部材351は、軸部611aに対して一方側(R1方向とは反対側)に配置されるカム部351aと、軸部611aに対して他方側(R1方向側)に配置されるレバー部351bとを有する。
【0058】
付勢部材352は、たとえば引張コイルばねであり、カム部材351を一方側(カム部351aが回転軸11に近づく側)に付勢する機能を有する。付勢部材352の一端は、フレーム6aの筒状部61aに形成された取付部612aに取り付けられ、付勢部材352の他端は、カム部材351の軸部611aに対する一方側に取り付けられている。
【0059】
ピストン353は、カム部材351を回動させるために設けられている。このピストン353は、
図5に示すように、シリンダ353aに収容され、軸方向(X1およびX2方向)に移動可能に構成されている。シリンダ353aは、本体プレート12aおよび12bに取り付けられ、内部に付勢部材353bが設けられている。付勢部材353bは、たとえば圧縮コイルばねであり、ピストン353を他方側(X1方向側)に付勢するように構成されている。そして、ピストン353は、連結部材36を介してピストン343に連結されている。この連結部材36は、回転軸11に回動可能に設けられており、一端がピストン343に連結され、他端がピストン353に連結されている。これにより、ピストン353は、ピストン343が他方側(X1方向側)に移動された場合に、付勢部材353bの付勢力に抗して一方側(X2方向側)に移動するように構成されている。すなわち、ピストン353は、ピストン343と連動するとともに、ピストン343の移動方向とは反対方向に移動するようになっている。また、ピストン353には、一方端部(X2方向側の端部)にローラ353cが設けられている。
【0060】
そして、ピストン353が他方側(X1方向側)に配置されている場合には、ピストン353のローラ353cが、軸方向においてカム部材351のレバー部351bの内側に配置され、レバー部351bと当接されないようになっている。また、
図8に示すように、ピストン353が一方側(X2方向側)に移動された場合には、ローラ353cが軸方向においてレバー部351bと対応する位置に配置される。このため、
図6に示す状態からドラム1がR1方向に回転され、ローラ353cがレバー部351bに当接し、カム部材351が付勢部材352の付勢力に抗して回動されると、カム部351aがローラ354の回転軌跡に現れるようになっている。
【0061】
ローラ354は、回転軌跡にカム部351aが現れた場合に、そのカム部351aに乗り上がるように構成されている。このローラ354は、回転軸11に対して開口部13aとは反対側に配置される第1アーム311aに設けられている。また、ローラ354は、軸方向においてカム部351aと対応する位置に配置されている。そして、ローラ354がカム部351aに乗り上がると、第1アーム311aが径方向外側に押されるため、リンク機構31aおよび31bが一方側に移動される。なお、カム部材351が一方側に配置されている場合(カム部材351が回動されていない場合)には、ローラ354の回転軌跡の内側にカム部351aが配置されるようになっている。
【0062】
−切断機構の動作−
次に、
図5〜
図16を参照して、本実施形態の巻取装置100の切断機構3の動作について説明する。
【0063】
まず、切断刃33によるフィルム201bの切断が行われない場合には、
図5に示すように、突出機構部34のピストン343および退避機構部35のピストン353が非作動状態である。具体的には、ピストン343が一方側(X2方向側)に配置されるとともに、ピストン353が他方側(X1方向側)に配置されている。このとき、
図6に示すように、ピストン343のストッパ部343cにリンク機構31aの係合部31dが係合されており、リンク機構31aおよび31bが、一方側(開口部13aに遠い側)に配置され、他方側(開口部13aに近い側)への移動が規制されている。これにより、切断刃33がドラム1の内部に配置されている。なお、リンク機構31aおよび31bの一方側への移動規制は、ストッパ部123aおよび123b(
図7参照)により行われている。
【0064】
このとき、
図5に示すように、ピストン343のローラ343dが、カム部材341のレバー部341bの内側(X2方向側)に配置されている。このため、ドラム1とともに回転するピストン343のローラ343dがレバー部341bに作用しない。これにより、リンク機構31bに設けられたローラ344の回転軌跡の内側にカム部材341のカム部341aが配置されるので、ドラム1とともに回転するローラ344に対してカム部341aが作用しない。
【0065】
また、ピストン353のローラ353cが、カム部材351のレバー部351bの内側(X1方向側)に配置されている。このため、ドラム1とともに回転するピストン353のローラ353cがレバー部351bに作用しない。これにより、リンク機構31aに設けられたローラ354の回転軌跡の内側にカム部材351のカム部351aが配置されるので、ドラム1とともに回転するローラ354に対してカム部351aが作用しない。
【0066】
したがって、切断刃33がドラム1の内部に退避された状態でドラム1の回転が行われる。
【0067】
そして、切断刃33によるフィルム201bの切断が行われる場合には、切断刃33が巻芯供給位置P1に到達する前に、
図8に示すように、予めピストン343および353が作動される。具体的には、シリンダ343aに供給されるエアによってピストン343が他方側(X1方向側)に移動され、そのピストン343に連れてピストン353が一方側(X2方向側)に移動される。これにより、ピストン343のストッパ部343cと係合部31dとの係合が解除され、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動可能な状態になる。
【0068】
また、ピストン343のローラ343dが軸方向においてレバー部341bと対応する位置に配置されるとともに、ピストン353のローラ353cが軸方向においてレバー部351bと対応する位置に配置される。これにより、ドラム1がR1方向に回転され、切断刃33が巻芯供給位置P1に到達すると、
図9に示すように、ドラム1とともに回転するローラ353cがカム部材351のレバー部351bに当接し、カム部材351が付勢部材352の付勢力に抗して回動され始める。また、
図10に示すように、ドラム1とともに回転するローラ343dがカム部材341のレバー部341bに当接し、カム部材341が付勢部材342の付勢力に抗して回動される。これにより、カム部材341のカム部341aが径方向外側に移動され、そのカム部341aがローラ344の回転軌跡に現れるので、そのカム部341aにローラ344が乗り上がる。これにより、リンク機構31aおよび31bが付勢部材32aおよび32bの付勢力に抗して他方側に移動され、切断刃33が突出され始める。
【0069】
そして、ドラム1がR1方向に約25度回転されると、
図11に示すように、ローラ353cによりカム部材351がさらに回動され、
図12に示すように、ローラ343dによりカム部材341がさらに回動される。そして、ローラ344がカム部341aのピークに乗り上がり、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動され、切断刃33が最も突出された状態になる。このように、ドラム1の外周面から切断刃33が突出されることにより、フィルム201bが切断される。なお、このとき、
図11に示すように、カム部材351のカム部351aが径方向外側に移動され、そのカム部351aがローラ354の回転軌跡に現れており、ローラ354にカム部351aが作用する直前の状態になっている。
【0070】
次に、ドラム1がR1方向に約10度回転されると、
図13に示すように、カム部351aにローラ354が乗り上がり、リンク機構31aおよび31bが一方側に移動される。このため、開口部13aを介して外周面から突出された切断刃33が内側へと引き込まれる。なお、このとき、
図14に示すように、突出機構部34のローラ344はカム部341aを乗り越えている。
【0071】
その後、ドラム1がR1方向に約10度回転され、切断刃33が巻取位置P2に到達すると、
図15に示すように、ローラ354がカム部351aのピークに乗り上がり、リンク機構31aおよび31bが一方側に移動される。これにより、切断刃33がドラム1の内部に退避される。このとき、リンク機構31aがストッパ部123aに押し付けられるとともに、リンク機構31bがストッパ部123b(
図16参照)に押し付けられている。この状態で、ピストン343および353が非作動状態に切り替えられ、ピストン343のストッパ部343cにリンク機構31aの係合部31dが係合される。
【0072】
上記したように、切断機構3では、切断刃33の突出動作(径方向外側への移動)と、切断刃33の退避動作(径方向内側への移動)とが連続的に行われることにより、フィルム201bが切断される。この突出動作および退避動作は、巻芯供給位置P1と巻取位置P2との間で行われるように構成されている。なお、突出動作は、ローラ344がカム部341aに乗り上がり、リンク機構31aおよび31bが他方側に移動されることにより行われる。退避動作は、ローラ354がカム部351aに乗り上がり、リンク機構31aおよび31bが一方側に移動されることにより行われる。すなわち、ローラ344がカム部341aに乗り上がった後に、ローラ354がカム部351aに乗り上がるように構成されている。
【0073】
−効果−
本実施形態では、上記のように、退避機構部35を設けることによって、突出機構部34によりリンク機構31aおよび31bが他方側に移動されて切断刃33が突出された後に、退避機構部35によりリンク機構31aおよび31bを一方側に移動させることができる。すなわち、リンク機構31aおよび31bの一方側への移動(復帰)を退避機構部35により強制的に行うことができるので、リンク機構31aおよび31bを短時間で復帰させることができる。つまり、切断刃33が巻取位置P2に到達する際に、退避動作を確実に完了させることができる。したがって、巻芯150を交換する際のドラム1の回転速度(交換時速度)の向上を図ることができるので、生産性(所定長のフィルム201bが巻き取られた巻芯150の単位時間当たりの作成本数)の向上を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態では、ピストン343および353を連結部材36で連結することによって、ピストン343および353を連動させることができるので、ピストン343および353を個別に駆動させる場合に比べて部品点数の削減を図ることができる。
【0075】
また、本実施形態では、ピストン343にストッパ部343cを設けることによって、ピストン343の非作動時にはストッパ部343cによりリンク機構31aおよび31bの他方側への移動を規制するとともに、ピストン343の作動時にはストッパ部343cによる移動規制を解除することができる。
【0076】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0077】
たとえば、本実施形態では、ターレット機構2に8個のチャック機構21が設けられる例を示したが、これに限らず、ターレット機構に複数のチャック機構が設けられていればよい。
【0078】
また、本実施形態では、突出機構部34のピストン343がエアによって駆動され、退避機構部35のピストン353が突出機構部34のピストン343に連動される例を示したが、これに限らず、退避機構部のピストンがエアによって駆動され、突出機構部のピストンが退避機構部のピストンに連動されるようにしてもよい。
【解決手段】巻取装置は、ドラム1の回転によって巻芯が連れ回されることによりその巻芯にフィルムが巻き取られるように構成されている。この巻取装置は、切断機構を備える。切断機構は、リンク機構31aと切断刃33と退避機構部とを含む。退避機構部は、フレームに回動可能に設けられたカム部材351と、ドラム1に設けられたピストン353と、リンク機構31aに回転可能に設けられたローラ354とを含み、ピストン353が移動された場合に、ドラム1とともに回転するピストン353によってカム部材351が回動されることにより、ドラム1とともに回転するローラ354がカム部材351に乗ることによって、リンク機構31aが一方側に移動されるように構成されている。