特許第6368840号(P6368840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6368840
(24)【登録日】2018年7月13日
(45)【発行日】2018年8月1日
(54)【発明の名称】油ラビリンス及び過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/14 20060101AFI20180723BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20180723BHJP
   F16C 33/80 20060101ALI20180723BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20180723BHJP
【FI】
   F02B39/14 D
   F02B39/00 N
   F16C33/80
   F16J15/447
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-190101(P2017-190101)
(22)【出願日】2017年9月29日
(62)【分割の表示】特願2015-48757(P2015-48757)の分割
【原出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2018-28319(P2018-28319A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】柏木 聖紘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大剛
(72)【発明者】
【氏名】平谷 文人
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 幸博
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−137303(JP,U)
【文献】 特開2011−099373(JP,A)
【文献】 特開平10−226400(JP,A)
【文献】 特開平11−049096(JP,A)
【文献】 実開平04−006524(JP,U)
【文献】 実開昭61−017430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/14
F02B 39/00
F16C 33/80
F16J 15/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過給機の軸受台に固定され、タービンホイールのシャフト部に対向する第1ラビリンスシール部と、前記タービンホイールのホイール部に対向して装備される第2ラビリンスシール部と、を備える油ラビリンスにおいて、
前記第1ラビリンスシール部を備える第1部位と、前記第2ラビリンスシール部を備える第2部位とで分割され、前記第1部位及び前記第2部位がいずれも前記軸受台に固定され、
前記第1部位及び前記第2部位のそれぞれの締結用座部は、重ならないように位相をずらして配置され、個別の締結具で前記軸受台に固定される
ことを特徴とする油ラビリンス。
【請求項2】
前記第1部位の前記第1ラビリンスシール部を備える筒状部が高温部に向かって徐々に増厚されている
ことを特徴とする請求項1記載の油ラビリンス。
【請求項3】
軸受台と、タービンホイールとの間に、請求項1又は2記載の油ラビリンスをそなえている
ことを特徴とする過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機に装備される油ラビリンス及びこれを備えた過給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の主機関に組み入れられた過給機は、コンプレッサとタービンとがロータ軸で連結され一体的に回転する。コンプレッサで圧縮された空気は、クーラーを通って主機関に入り燃焼に寄与される。主機関から排出された燃焼排ガスはタービンに入り、タービンにコンプレッサを駆動する回転力を与えた後、大気へ排気される。
【0003】
このような過給機において、ロータ軸の軸受台内の潤滑油が軸受台の外に漏れないようにするために、シール部材として油ラビリンスを装備したものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−189232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図6(a)に示すような過給機1に油ラビリンス10を装備する構成が考えられる。過給機1には、コンプレッサ(図示略)と、タービンホイール21を備えるタービン2とがロータ軸3で連結されて装備され、ロータ軸3は軸受台4に回転自在に支持されている。
【0006】
油ラビリンス10は、軸受台4に固定されて装備され、タービンホイール21のシャフト部22周りに装備される第1ラビリンスシール部11と、第1ラビリンスシール部11よりも外方(径方向外側)のホイール部23に対向して装備される第2ラビリンスシール部12と、第2ラビリンスシール部12よりも内側で第1ラビリンスシール部11に隣接し、タービンホイール21のホイール部23のシャフト部22寄りに対向して装備される第3ラビリンスシール部13と、を備える。
【0007】
油ラビリンス10は、第1ラビリンスシール部11を備える筒状部10Aと、この筒状部10Aの外周から外方に鍔状に突出し第2ラビリンスシール部12を備える鍔状部10Bと、を有している。第3ラビリンスシール部13は、筒状部10Aと鍔状部10Bとの交差箇所に形成される。油ラビリンス10は、鍔状部10Bにおいて、ボルト5により軸受台4に締結される。
【0008】
また、タービンホイール21の外側のガス流路24には燃焼排ガスが流入し、タービンホイール21を回転駆動する。
軸受台4には、潤滑油供給孔41が形成され、コンプレッサ側からロータ軸3の周りに潤滑油が供給される。
【0009】
このような油ラビリンス10は、静止部(軸受台4側)において、各ラビリンスシール部11〜13の先端が回転部(タービンホイール21側)に接近し、その隙間を小さくして圧損を低減させる働きがある。ただし、油ラビリンス10は、潤滑油供給孔41から供給される比較的低温の油(コンプレッサ側で100℃程度)と、比較的高温の燃焼排ガス(タービン側で450℃程度)にさらされる。
【0010】
このため、油ラビリンス10を熱媒体として、高温の燃焼排ガスの熱影響により油側の構造が温められ、その結果油も温められる場合がある。特に、シャフト部22と第1ラビリンスシール部11の隙間の油温度が上昇すると、潤滑性の低下や潤滑油の炭化が発生するため、この部分は所定温度以下の低温(200〜250度以下)に保つ必要がある。
【0011】
図6(b)は、シミュレーションによる油ラビリンス10の温度分布を示す。図中aが最も高温で、a,b,c,d,e,f,g,hの順に次第に温度が低下する。図示するように、第1ラビリンスシール部11において鍔状部10B(第3ラビリンスシール部13)に近い側では、温度がcの領域があり、所定温度以下の低温を保つことが困難な場合がある。
【0012】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、タービンホイールのシャフト部とホイール部の双方に対向するラビリンスシール部を備えた油ラビリンスにおいて、ホイール部から進入する燃焼排ガスの熱がシャフト部の潤滑に影響することを抑制できるようにした、油ラビリンス及びこれを備えた過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の油ラビリンスは、過給機の軸受台に固定され、タービンホイールのシャフト部に対向する第1ラビリンスシール部と、前記タービンホイールのホイール部に対向して装備される第2ラビリンスシール部と、を備える油ラビリンスにおいて、前記第1ラビリンスシール部を備える第1部位と、前記第2ラビリンスシール部を備える第2部位とで分割され、前記第1部位及び前記第2部位がいずれも前記軸受台に固定されることを特徴としている。
【0014】
(2)前記第1部位及び前記第2部位が、それぞれの締結用座部を共通の締結具で共締めされて前記軸受台に固定されることが好ましい。
【0015】
(3)この場合、前記第1部位の締結用座部と前記第2部位の締結用座部との間にガスケットが介装されていることが好ましい。
【0016】
(4)また、前記第1部位及び前記第2部位の少なくとも一方の前記締結用座部には、前記締結用座部の相互の接触面積を縮小させる切欠き部が形成されていることも好ましい。
【0017】
(5)前記第1部位及び前記第2部位のそれぞれの締結用座部は、重ならないように位相をずらして配置され、個別の締結具で前記軸受台に固定されることも好ましい。
【0018】
(6)前記第1部位の前記第1ラビリンスシール部を備える筒状部が高温部に向かって徐々に増厚されていることが好ましい。
【0019】
(7)本発明のもう一つの油ラビリンスは、軸受台に固定され、タービンホイールのシャフト部に対向する第1ラビリンスシール部と、前記タービンホイールのホイール部に対向して装備される第2ラビリンスシール部と、を備える油ラビリンスにおいて、前記第1ラビリンスシール部を備える筒状部が高温部に向かって徐々に増厚されていることを特徴としている。
【0020】
(8)本発明の過給機は、軸受台と、タービンホイールとの間に、上記(1)〜(7)の何れか記載の油ラビリンスをそなえていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ホイール部から進入する燃焼排ガスの熱流束(熱の流れ)を少なくして、油ラビリンス部の油温上昇を抑えることができ、熱がシャフト部の潤滑に影響することを抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態にかかる油ラビリンスを示す図であって、(a)は過給機の要部縦断面図、(b)は油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図である。
図2】本発明の第2実施形態にかかる油ラビリンスを示す図であって、(a)は過給機の要部縦断面図、(b)は図2(a)のA部拡大図である。
図3】本発明の第3実施形態にかかる油ラビリンスを示す図であって、(a)は過給機の要部縦断面図、(b)は図3(a)のB部拡大図である。
図4】本発明の第4実施形態にかかる油ラビリンスを示す図であって、(a)は過給機の要部縦断面図、(b)は油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図である。
図5】本発明の第5実施形態にかかる油ラビリンスを示す図であって、(a)はタービンホイール側から見た油ラビリンスの正面図、(b)は図5(a)のC−C線に沿った過給機の要部縦断面図、(c)は図5(a)のD−D線に沿った過給機の要部縦断面図である。
図6】本発明の課題を説明する油ラビリンスを示す図であって、(a)は過給機の要部縦断面図、(b)は油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
ここでは、図1図5を参照して、第1〜第5実施形態を説明するが、同一の部材には同一の符号を付して、説明については省略又は簡略化する。
【0024】
〔第1実施形態〕
図1(a)に示すように、本実施形態の油ラビリンス110は過給機1に装備される。過給機1には、コンプレッサ(図示略)と、タービンホイール21を備えるタービン2とがロータ軸3で連結されて装備され、ロータ軸3は軸受台4に回転自在に支持されている。
【0025】
油ラビリンス110は、タービンホイール21のシャフト部22周りに装備される第1ラビリンスシール部111と、第1ラビリンスシール部111よりも外方(径方向外側)のホイール部23に対向して装備される第2ラビリンスシール部112と、第2ラビリンスシール部112よりも内側で第1ラビリンスシール部111に隣接し、タービンホイール21のホイール部23のシャフト部22寄りに対向して装備される第3ラビリンスシール部113と、とを備え、軸受台4に固定される。
【0026】
油ラビリンス110は、第1ラビリンスシール部111及び第3ラビリンスシール部113を備える第1部位110Aと、第2ラビリンスシール部112を備える第2部位110Bとに分割されて構成される。油ラビリンス110は、シャフト部22周りに配置される筒状の部分と、この筒状の部分の外周から外方に突出した鍔状の部位があり、鍔状の部位をボルト(締結具)5によって軸受台4に固定されるが、第1部位110Aと第2部位110Bとは、この軸受台4に固定される部分で分割される。
【0027】
本実施形態では、第1部位110Aを締結具によって軸受台4に締結する座面となる締結用座部114と、第2部位110Bを締結具によって軸受台4に締結する座面となる締結用座部115とが、この第1部位110Aと第2部位110Bとの分割箇所に形成される。油ラビリンス110の軸受台4への固定は、両締結用座部114,115を重合させて、各締結用座部114,115に形成されたボルト穴を位置合わせして、共通のボルト5で共締めすることにより行う。
【0028】
なお、低温側で温度上昇を抑制したい第1部位110Aの締結用座部114は、燃焼排ガスの受熱部分から遠いコンプレッサ側(図中、左方)に配置され、一方、第2部位110Bの締結用座部115は、燃焼排ガスの受熱部分に近いタービンホイール21の側に配置される。
【0029】
また、タービンホイール21の外側のガス流路24には燃焼排ガスが流入し、タービンホイール21を回転駆動する。
軸受台4には、潤滑油供給孔41が形成され、コンプレッサ側からロータ軸3の周りに潤滑油が供給される。
【0030】
本実施形態の油ラビリンスは、上述のように構成されており、油ラビリンス110が、締結用座部(ボルト締結部)114,115において、低温側の第1部位110Aと高温側の第2部位110Bとに分割されているので、この座面領域が、接触熱抵抗(〜2000W/mm2K程度)による伝熱条件となり、一体構造(接触熱抵抗∞)に比べると熱の伝わり方は鈍化されて、低温側の第1部位110Aの温度低下に寄与する。
【0031】
図1(b)は、シミュレーションによる油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図であり、図中のa,c,d,e,f,g,hは図6と同様に温度を示し、図中aが最も高温で、a,c,d,e,f,g,hの順に次第に温度が低下する。図示するように、シャフト部22周りに装備される第1ラビリンスシール部111に着目すると、最も高くなる箇所でも温度はdであり、図6(温度がcまで高くなる)と比較すると温度が低下しており、第1ラビリンスシール部111を所定温度以下に保つことができる。
【0032】
こうして、油ラビリンス110の油温上昇を抑えることができるため、熱がシャフト部22の潤滑に影響することを抑制できるようになる。
また、本実施形態の場合、第1部位110Aと第2部位110Bとが、両締結用座部114,115を重合させて共通のボルト5で軸受台4に共締めして固定されるので、固定にかかる作業工程の削減や締結具の削減が促進できる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図2(a),(b)に示すように、本実施形態の油ラビリンス110は、第1実施形態のものにおいて、第1部位110Aの締結用座部114と、第2部位110Bの締結用座部115との重合箇所に、ガスケット(ここでは、金属ガスケット)116を組み込んでいる。このガスケット116は円筒形状で断面がC型やV型のものが一般的であり、その断面形状は限定されないが、ここでは断面形状がV型のものを例示する。
【0034】
本実施形態の油ラビリンスは、上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる上に、締結用座部114と締結用座部115との重合箇所に介装されたガスケット116によって、締結ボルト5が熱変形により締結力低下を発生することが防止され、これとともに、接触熱抵抗も小さくすることができ(接触熱抵抗は〜500W/
mm2K程度)、油ラビリンス110の第1部位110Aの温度を第1実施形態以上に低く抑えることが可能となる。
【0035】
〔第3実施形態〕
図3(a),(b)に示すように、本実施形態の油ラビリンス110は、第1実施形態のものにおいて、第1部位110Aの締結用座部114と、第2部位110Bの締結用座部115との少なくとも何れか一方(ここでは、締結用座部114)に、締結用座部114,115の相互の接触面積を縮小させる切欠き部117が形成されている。
【0036】
本実施形態の油ラビリンスは、上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる上に、座部114,115の接触面積が縮小されるため、熱流束(熱の流れ)が抑制され、油ラビリンス110の第1部位110Aの温度を第1実施形態以上に低く抑えることが可能となる。つまり、熱流束は接触面積に比例するため、接触面積を減らすとそれだけ温度上昇を低減することができる。
【0037】
〔第4実施形態〕
図4(a),(b)に示すように、本実施形態の油ラビリンス110は、第1実施形態のものにおいて、第1部位110Aにおいて、特にシャフト部22周りに配置される筒状の部分を外方に拡大し厚み(径方向の厚み)を増大させている。なお、図4(a)には、厚みの増大がわかるように、厚みの増大前の従来構造の外径を二点鎖線で示し、増厚された部分に符号118を付している。この増厚は、高温部に向かって徐々に厚みを増すように増厚されている。ここでは、増厚部分の外形はテーパ面状に形成される。
【0038】
本実施形態の油ラビリンスは、上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる上に、潤滑油によって冷却される筒状の部分が、厚みを増加させたことで冷却効果を促進されており、この点からも温度上昇を抑制される。特に、高温部に向かって徐々に厚みを増すように増厚されているので、軸受台4に対するセンタリングは容易になり、組み立て作業を容易にする効果がある。なお、図4(b)は、シミュレーションによる本実施形態の油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図であり、シャフト部22周りに装備される第1ラビリンスシール部111に着目すると、最も高くなる箇所でも温度はdであり、温度上昇が抑制される。
【0039】
なお、図4(c)は、第4実施形態の変形例の油ラビリンスと共に、シミュレーションによるその変形例の油ラビリンスの温度状態を示す縦断面図であり、この変形例では、油ラビリンス110を、第1部位110Aと第2部位110Bとに分割することなく、潤滑油によって冷却される筒状の部分の厚みを増加させている。図4(c)に示すように、この場合にも、潤滑油によって冷却される筒状の部分が、厚みを増加させたことで冷却効果を促進されて、温度上昇を抑制されることがわかる。
【0040】
〔第5実施形態〕
図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態の油ラビリンス210は、第1部位210Aの締結用座部214と、第2部位210Bの締結用座部215とに特徴がある。
つまり、本実施形態では、第1部位210Aの締結用座部214と、第2部位210Bの締結用座部215とが、重ならないように位相をずらして配置され、個別のボルト5A,5Bで軸受台3に固定される。
【0041】
図5(a)は油ラビリンス210をタービンホイール側から見た正面図であり、第2部位210Bの締結用座部215は第1部位210Aの締結用座部214よりも図示手前側にあるため、締結用座部215は締結用座部214を覆うように重なるが、本実施形態の締結用座部215を備える第2部位210Bのプレート部には、締結用座部214(ここでは3つ)が露出するように、切欠きが形成されている。
【0042】
したがって、第1部位210Aの締結用座部214には、第2部位210Bに影響されることなくボルト5Aを締結することができる。
こうして、第1部位210Aは、締結用座部214においてボルト5Aにより軸受台3に直接締結され、第2部位210Bは、締結用座部215においてボルト5Bにより軸受台3に直接締結される。
【0043】
なお、前記各実施形態と同様に、第1部位210Aは、油ラビリンス210は、第1ラビリンスシール部211及び第3ラビリンスシール部213を有し、第2部位210Bは、第2ラビリンスシール部12を備える。
【0044】
本実施形態の油ラビリンスは、上述のように構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる上に、油ラビリンスの内径側(低温側)の第1部位210Aと外径側(高温側)の第2部位210Bが、個別に締結されるため、第1部位210Aへの熱の流入が一層抑えられる。
【0045】
つまり、締結用座部214,締結用座部215を重合して共締めして締結する場合にはボルト締結部に熱の流れが発生するが、共締めして締結していないので、このような熱の流れがなくなり、油による冷却効果が促進して温度上昇を低減させることができる。
【0046】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態を適宜変更して実施しうるものである。
【0047】
例えば、上記実施形態5実施形態の分割構造に、第4実施形態の厚肉化構造を適用することで、第1部位210Aの温度低減効果を一層促進することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 過給機
2 タービン
21 タービンホイール
22 シャフト部
23 ホイール部
3 ロータ軸
4 軸受台
5、5A,5B ボルト(締結具)
41 潤滑油供給孔
10,110,210 油ラビリンス
10A 筒状部
10B 鍔状部
11,111,211 第1ラビリンスシール部
12,112,212 第2ラビリンスシール部
13,113,213 第3ラビリンスシール部
114,115,214,215 締結用座部
116 ガスケット
117 切欠き部
118 厚肉化された部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6