(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているような接続具の医療現場での使用場面を想定すると、オス部材をメス部材の内周面に嵌合させ、かつ、固定部材を螺合させたロック状態で使用する場合の他、例えば乳幼児等に対しては固定部材が邪魔になるためオス部材をメス部材の内周面に嵌合させた状態で固定部材を螺合させないで使用することがある。
【0006】
また、治療内容や医療従事者の手技内容によれば、例えば初めは固定部材を用いることなくオス部材をメス部材の内周面に嵌合させただけにしておき、その後、固定部材が必要になって固定部材を螺合させなければならない場合もある。
【0007】
さらに、例えば使用後にはオス部材をメス部材から抜く分離作業が必要になる。この分離作業時に、メス部材の内周面がテーパー形状であるためオス部材の外周面に固着していて抜けにくくなっていることがあり、この固着を容易に解くことができるようにして作業性を良好にしたいという要求がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、テーパー面の嵌合によってメス部材とオス部材を接続する構成を前提として、固定部材の有無に対応できるようにするとともに、オス部材とメス部材との分離作業時に固着を容易に解くことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、固定部材をメス部材に螺合させない状態でオス部材に係合させて固定部材によってオス部材に回転力を与えてオス部材とメス部材との固着を解きやすくし、さらに、所定の操作によって固定部材をオス部材から外すこともできるようにして固定部材の有無に対応できるようにした。
【0010】
第1の発明は、
第1管状部材と第2管状部材とを接続する際に使用される医療用接続具において、
上記第1管状部材の端部が接続される筒状のメス部材と、
上記第2管状部材の端部が接続され、上記メス部材に挿入されて該メス部材の内部に連通する筒状のオス部材と、
上記オス部材が挿入されるリング状に形成され、上記オス部材が上記メス部材に挿入された状態で上記オス部材が上記メス部材から抜けるのを阻止するための固定部材とを備え、
上記メス部材の内周面にはメス側テーパー面が設けられ、
上記オス部材の外周面には上記メス側テーパー面に嵌合するオス側テーパー面が設けられ、
上記メス部材の外周面には、雄ねじ部が設けられ、
上記オス部材の外周面には、オス側第1係合部と、上記オス側第1係合部よりも上記メス部材への挿入方向先端側に位置するオス側第2係合部とが設けられ、
上記固定部材の内周面には、上記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部と、上記オス側第1係合部に対して上記オス部材の周方向に
接触して係合する固定部材側第1係合部と、上記オス側第2係合部に対して上記メス部材への挿入方向から係合する固定部材側第2係合部とが設けられ、
上記雄ねじ部と上記雌ねじ部が非螺合状態にあるときに、上記固定部材の中心線方向への移動が許容されて上記オス側第1係合部と上記固定部材側第1係合部と
が周方向に接触して係合した係合状態と上記オス側第1係合部と上記固定部材側第1係合部とが周方向に非接触になる非係合状態とに切り替えられ、
所定の操作によって上記固定部材が上記第2管状部材側へ移動して上記オス部材から外れるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、オス部材をメス部材に挿入することでオス側テーパー面とメス側テーパー面との嵌合によってメス部材とオス部材が接続される。このとき、固定部材の雌ねじ部をメス部材の雄ねじ部に螺合させると、固定部材がオス部材の挿入方向に移動していき、固定部材側第2係合部がオス側第2係合部に係合して固定部材の推進力がオス部材に伝達され、オス部材がメス部材への挿入方向へ押されて固定部材によってメス部材に固定される。これにより、ロック状態で使用することが可能になる。
【0012】
一方、オス部材とメス部材との分離作業時には、雄ねじ部と雌ねじ部とが非螺合状態となるように固定部材を回転させると固定部材の中心線方向への移動が許容される。この固定部材を、固定部材側第1係合部がオス側第1係合部に係合するまで移動させると、固定部材側第1係合部とオス側第1係合部とをオス部材の周方向に係合させることが可能になる。そして、固定部材に回転力を与えるとオス側第1係合部を介してオス部材に回転力が伝達され、このときメス部材を固定しておくことでオス部材が相対的に回転し、これにより、テーパー面の固着を容易に解くことが可能になる。
【0013】
また、雄ねじ部と雌ねじ部が非螺合状態にあるときには固定部材の中心線方向への移動が許容されるので、固定部材によるロックをしない状態で使用することも可能である。
【0014】
さらに、所定の操作によって固定部材を第2管状部材側へ移動させてオス部材から外すことが可能になるので、固定部材の有無に容易に対応することが可能である。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
上記オス側第1係合部は、上記オス部材の外周面の周方向の一部から突出しており、
上記固定部材側第1係合部は、上記固定部材の内周面から突出していることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、固定部材側第1係合部がオス側第1係合部に対してオス部材の周方向に確実に係合するようになるので、固定部材の回転力がオス部材に確実に伝達する。
【0017】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記オス部材及び上記固定部材は樹脂成形品であり、
上記オス部材の外周面には、第1突部が形成され、
上記固定部材の内周面には、上記第1突部に係合する第2突部が形成され、
上記固定部材を上記オス部材の中心線方向に移動させる移動力が所定以上のときに上記第1突部及び上記第2突部が弾性変形することによって上記第2突部が上記第1突部を乗り越えるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、固定部材を第2管状部材側へ移動させてオス部材から外す際に行う所定の操作として、固定部材をオス部材の中心線方向に所定以上の移動力で移動させる操作を行うことで、固定部材の第2突部がオス部材の第1突部を乗り越えるので、固定部材をオス部材から容易に外すことが可能になる。
【0019】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記固定部材には、上記オス部材に対して周方向から係合する周方向係合部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、オス部材とメス部材との分離作業時に、固定部材の周方向係合部をオス部材に係合させることで、固定部材に与えた回転力がオス部材に確実に伝わってオス部材をメス部材に対して回転させることが可能になる。これにより、テーパー面の固着を容易に解くことが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、テーパー面の嵌合によってメス部材とオス部材を接続することができるので固定部材を用いなくても液密性を確保でき、このときに固定部材を用いてロック状態で使用することもできる。また、所定の操作によって固定部材をオス部材から外すことができるので、固定部材の有無に容易に対応することができる。そして、オス部材とメス部材との分離作業時には、雄ねじ部と雌ねじ部とを非螺合状態にして固定部材の固定部材側第1係合部をオス側第1係合部に係合させて固定部材に回転力を与えることにより、テーパー面の固着を容易に解くことができる。
【0022】
第2の発明によれば、オス側第1係合部がオス部材の外周面の周方向の一部から突出し、固定部材側第1係合部が固定部材の内周面から突出しているので、固定部材側第1係合部をオス側第1係合部に確実に係合させて固定部材の回転力をオス部材に確実に伝達することができる。これにより、オス部材とメス部材との分離作業時に固着をより一層容易に解くことができる。
【0023】
第3の発明によれば、固定部材をオス部材の中心線方向に移動させる移動力が所定以上のときにオス部材の第1突部及び固定部材の第2突部が弾性変形して第2突部が第1突部を乗り越えるようになっているので、固定部材をオス部材から容易に外すことができ、操作性を向上させることができる。
【0024】
第4の発明によれば、オス部材に対して周方向から係合する周方向係合部を固定部材に設けたので、テーパー面の固着を容易に解くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る医療用接続具1の側面図である。医療用接続具1は、医療現場において例えば輸液チューブや穿刺針等からなる第1管状部材100と第2管状部材200とを接続する際に使用されるものである。第1管状部材100と第2管状部材200とは、例えば柔軟性のある樹脂材で構成することができる。
【0028】
図2にも示すように、医療用接続具1は、筒状のメス部材10と、該メス部材10に挿入されて該メス部材10の内部に連通する筒状のオス部材20と、オス部材20がメス部材10に挿入された状態でオス部材20がメス部材10から抜けるのを阻止するための固定部材30とを備えている。メス部材10、オス部材20及び固定部材30は、全て樹脂材を成形してなる樹脂成形品である。
【0029】
メス部材10は、全体として、第1管状部材100の挿入される側(基端側)がオス部材20の挿入される側(先端側)に比べて小径とされている。メス部材10の基端側には、第1管状部材100の先端側が挿入された状態で液密に接続されている。メス部材10の内周面には、基端側寄りの部位に段部11が形成されている。メス部材10の基端側から挿入された第1管状部材100の先端部が段部11に突き当てられている。
【0030】
メス部材10の外周面における中心線方向中間部には、外方へ突出する一対の突出板部12、12が設けられている。メス部材10の外周面における先端側には、周方向に螺旋状に延びる突条からなる雄ねじ部14が設けられている。
【0031】
メス部材10の内周面における先端側には、メス側テーパー面13が設けられている。メス側テーパー面13は、メス部材10の先端に向かって次第に拡径するように形成されている。
【0032】
オス部材20には、第2管状部材200の先端側が挿入された状態で液密に接続されている。オス部材20における第2管状部材200が挿入される側が基端側であり、オス部材20におけるメス部材10へ挿入される側が先端側である。
【0033】
オス部材20の内周面には、基端側に段部21が形成されている。第2管状部材200は、オス部材20の基端側から挿入され、第2管状部材200の先端部が段部21に突き当てられている。オス部材20の内径は、第1管状部材100の内径と略等しくなるように設定されている。
【0034】
オス部材20の外周面における先端側には、メス側テーパー面13に嵌合するオス側テーパー面23が設けられている。オス側テーパー面23は、オス部材20の先端に向かって次第に縮径するように形成されている。オス側テーパー面23は、メス側テーパー面13に対して中途部まで挿入された状態で全周に亘って密着し、オス側テーパー面23とメス側テーパー面13との間から液体が漏れないようになっている。この状態で、メス部材10の中心線とオス部材20の中心線とは略同一直線状に位置することになる。
【0035】
図3及び
図4に示すように、オス部材20の外周面には、中心線方向の中間部に外方へ突出して周方向に延びる環状突出部24が形成されている。環状突出部24におけるオス部材20の先端側に位置する面は、オス部材20の先端側へ行くほど縮径するように傾斜する傾斜面24aで構成されている。また、環状突出部24におけるオス部材20の基端側に位置する面は、オス部材20の中心線に対し直交する方向に延びる垂直面(オス側第2係合部)24bで構成されている。環状突出部24における突出方向先端面24cは、傾斜面24aと垂直面24bとを繋ぐようにオス部材20の中心線と略平行に延びるように形成されている。
【0036】
また、オス部材20の外周面には、環状突出部24からオス部材20の基端側に離れた部位に、外方へ突出して中心線方向に延びる一対の第1突条部(オス側第1係合部)25、25が形成されている。これら第1突条部25、25は、オス部材20の周方向に離れており、この実施形態では、オス部材20を中心線方向から見たとき、一方の第1突条部25と他方の第1突条部25とがオス部材20の中心線を対称の中心として点対称となるように配置されている。
【0037】
各第1突条部25は中心線に沿うように真っ直ぐに延びている。第1突条部25の突出高さは、第1突条部25におけるオス部材20の基端側がその端部に近づくほど低くなるように形成されている。第1突条部25におけるオス部材20の先端側の突出高さは、環状突出部24の突出高さと略同じに設定されている。
【0038】
さらに、オス部材20の外周面には、環状突出部24からオス部材20の基端側に離れた部位に、外方へ突出して周方向に延びる一対の第2突条部(第1突部)26、26が形成されている。第2突条部26、26は、第1突条部25、25におけるオス部材20の先端側の端部近傍において該端部よりも基端側に位置するようになっており、第1突条部25、25の側面に連なってこれら突条部25、25を連結するように円弧状に延びている。
【0039】
図6や
図7等に示すように、固定部材30は、オス部材20が挿入されるリング状に形成されたナット部材である。この固定部材30は、
図2に示すように固定部材30の中心線がメス部材10やオス部材20の中心線と略一致するようにして使用される。固定部材30の中心線方向の寸法は、メス部材10やオス部材20の中心線方向の寸法よりも短く設定されている。
【0040】
固定部材30における先端側(
図1、
図2の右側)は、基端側(
図1、
図2の左側)に比べて大径となっている。固定部材30の先端側の開口周囲には、
図7に示すように面取り部30aが形成されている。
【0041】
固定部材30の内周面には、先端側の領域に雄ねじ部14に螺合する雌ねじ部31が形成されている。また、固定部材30の内周面における雄ねじ部31よりも基端側には、内方へ突出して周方向に延びる内側環状突条部33が形成されている。内側環状突条部33における固定部材30の先端側に位置する先端側面33aは、先端側へ行くに従って固定部材30の中心線から離れるように(拡径方向に)傾斜している。また、内側環状突条部33における固定部材30の基端側に位置する基端側面33bは、固定部材30の中心線に対して略垂直に延びている。
【0042】
さらに、固定部材30の内周面には、固定部材30の内方へ突出する一対の突出部(第2突部)36、36が形成されている。突出部36、36は、固定部材30の周方向に離れており、この実施形態では、固定部材30を中心線方向から見たとき、一方の突出部36と他方の突出部36とが固定部材30の中心線を対称の中心として点対称となるように配置されている。
図2に示すように、各突出部36の突出高さは、突出方向先端面がオス部材20の外周面に近接するように設定されている。
【0043】
突出部36における固定部材30の先端側に位置する面は、オス部材20の垂直面24bに対してメス部材10への挿入方向から係合する係合面(固定部材側第2係合部)36aである。この係合面36aは、固定部材30の中心線に対して略直交する方向に延びており、オス部材20の垂直面24bにオス部材20の中心線方向から当接した状態で係合する。
【0044】
突出部36における固定部材30の周方向両側に位置する両側面(固定部材側第1係合部)36b、36b(
図6に示す)は、オス部材20の第1突条部25に対してオス部材20の周方向から当接することによって該第1突条部25に係合するようになっている(
図5(b)参照)。
【0045】
また、突出部36の突出方向先端面がオス部材20の外周面に近接するように位置しているので、突出部36は、オス部材20の第2突条部26、26に対してオス部材20の中心線方向から係合する。
【0046】
また、
図5(a)や
図11に示すように、メス部材10の雄ねじ部14と固定部材30の雌ねじ部31とが非螺合状態にあるときには、固定部材30は、オス部材20が挿通した状態でオス部材20の中心線方向に移動可能になるとともに、中心線周りに自由に回転させることができるようになっている。すなわち、オス部材20の第1突条部25は、メス部材10の雄ねじ部14と固定部材30の雌ねじ部31とが非螺合状態となるまで固定部材30がオス部材20側へ移動しても、固定部材30の突出部36に接触しないように配置されている。これにより、雄ねじ部14と雌ねじ部31とが非螺合状態にあるときに固定部材30が回転可能になる。
【0047】
また、雄ねじ部14と雌ねじ部31とが非螺合状態にあるときには、オス部材20の第2突条部26が固定部材30の突出部36よりもオス部材20の基端側に位置している。これにより、固定部材30が第2管状部材200へ移動しようとして固定部材30がオス部材20から外れそうになった場合に、固定部材30の突出部36が第2突条部26に係合して固定部材30が不用意に外れてしまうのを防止することができる。
【0048】
次に、上記のように構成された医療用接続具1を使用して第1管状部材100と第2管状部材200とを接続する場合について説明する。第1管状部材100と第2管状部材200との接続方法としては、次の3通りがある。1つ目の接続方法は、
図9に示すように固定部材30を用いずにメス部材10とメス部材20とを接続する方法(第1の方法)であり、2つ目の接続方法は、
図1及び
図2に示すようにメス部材10とメス部材20とを接続して固定部材30によって固定する方法(第2の方法)であり、3つ目の接続方法は、固定部材30を用いずにメス部材10とメス部材20とを接続しておき、その後、固定部材30でメス部材10とメス部材20とを固定する方法(第3の方法)である。
【0049】
第1の方法では固定部材30を用いないので、初めに固定部材30を第2管状部材200側に移動させておく。すなわち、
図8(a)に示すように固定部材30がオス部材20に取り付けられた状態では、
図5(b)に示すように固定部材30の突出部36がオス部材20の第2突条部26よりもオス部材20の先端側に位置しており、固定部材30が第2管状部材200側へ移動するのが第2突条部26によって阻止されている。この状態から固定部材30をオス部材20の基端側へ向けて中心線方向に所定以上の移動力を作用させる操作(所定の操作)を行うと、突出部36及び第2突条部26が弾性変形することによって突出部36が第2突条部26を乗り越えるので、固定部材30が
図8(b)に示すように第2管状部材200側に移動してオス部材20から外れる。突出部36が第2突条部26を乗り越えるのに要する力は、突出部36及び第2突条部26の形状、突出高さ、材質等によって設定することができ、この実施形態では、医療従事者が手で簡単にできるようになっている。
【0050】
その後、
図9に示すように、オス部材20のオス側テーパー面23をメス部材10のメス側テーパー面13に挿入して嵌合させる。これにより、固定部材30を用いずにメス部材10とメス部材20とを接続することができる。
【0051】
第2の方法では、まず、固定部材30が取り付けられたオス部材20とメス部材10とを接続する。その後、固定部材30を回転させて固定部材30の雌ねじ部31をメス部材10の雄ねじ部14に螺合させていくと、
図2に示すように固定部材30がメス部材10側へ移動していき、固定部材36の係合面36aがオス部材20の垂直面24bに対してオス部材20への挿入方向から係合することになる。固定部材30を更に螺合方向に回転させると、固定部材36の係合面36aがオス部材20の垂直面24bをオス部材20の挿入方向に押していき、これにより、オス側テーパー面23がメス側テーパー面13に深く挿入して両テーパー面13、23が嵌合状態になり、固定部材30によってメス部材10とメス部材20とを固定することができる(ロック状態)。
【0052】
尚、ロック状態にある固定部材30を螺合方向とは反対側に回転させていくことで、固定部材30がメス部材10から外れて非螺合状態となる。これが非ロック状態である。
【0053】
第3の方法では、まず、第1の方法のようにしてメス部材10とメス部材20とを接続する。このとき、
図10に示すように固定部材30は第2管状部材200側に位置していてオス部材20から取り外された状態となっている。この固定部材30を
図10の白抜きの矢印の方向に移動させる。すると、固定部材30の突出部36がオス部材20の第2突条部26に一旦係合して白抜きの矢印の方向に移動するのが阻止されるが、白抜きの矢印の方向への移動力を上述のように所定以上作用させると、突出部36及び第2突条部26が弾性変形することによって突出部36が第2突条部26を乗り越えるので、
図11に示すように固定部材30をオス部材20の先端側まで移動できる。そして、第2の方法と同じようにして固定部材30を回転させて雌ねじ部31を雄ねじ部14に螺合させる。
【0054】
一方、第1〜第3の方法によって接続された状態にあるメス部材10とオス部材20との分離作業時には固定部材30を使用することができる。固定部材30の雌ねじ部31とメス部材10の雄ねじ部14とが螺合状態にある場合には、雌ねじ部31と雄ねじ部14とが非螺合状態となるように固定部材30を回転させる(
図5(a)に示す)。また、固定部材30を使用しない接続方法の場合には、固定部材30を
図11に示すように配置する。
【0055】
そして、固定部材30をオス部材20の基端側へ軽く押しながら回転させると、固定部材30の突出部36が第1突条部25から外れた回転位置となったときに、
図5(b)及び
図13に示すように固定部材30がオス部材20の基端側へ移動し、これにより、突出部36が第1突条部25の端部よりも第2突条部26側に位置する。
【0056】
この状態で固定部材30を回転させると、固定部材30の突出部36の側面(周方向係合部)36bがオス部材20の第1突条部25に対して周方向から当接し、第1突条部25に係合する。これにより、固定部材30の回転力が突出部36及び第1突条部25を介してオス部材20に伝達される。このとき、メス部材10が回らないように押さえておけば、固定部材30の回転力によってオス部材20がメス部材10に対して相対的に回転し、これにより、メス側テーパー面13とオス側テーパー面23との固着を容易に解くことができる。固定部材30の回転方向はどちらでもよい。固着が解ければオス側テーパー面23をメス側テーパー面13から容易に抜いてメス部材10とオス部材20とを分離できる。
【0057】
以上説明したように、この実施形態1に係る医療用接続具1によれば、メス側テーパー面13とオス側テーパー面23との嵌合によってメス部材10とオス部材20を接続することができるので固定部材30を用いなくても液密性を確保でき、このときに必要であれば固定部材30を用いてロック状態で使用することもできる。また、固定部材30をオス部材20から外すことができるので、固定部材30の有無に容易に対応することができる。そして、オス部材20とメス部材10との分離作業時には、メス部材10の雄ねじ部14と固定部材30の雌ねじ部31とを非螺合状態にして固定部材30の突出部36の側面36bをオス部材20の第1突条部25に係合させて固定部材30の回転力をオス部材20に伝達することにより、メス側テーパー面13とオス側テーパー面23との固着を容易に解くことができ、分離作業性を向上できる。
【0058】
また、第1突条部25がオス部材20の外周面の周方向の一部から突出しており、固定部材30の突出部36の側面36aが該固定部材36の内周面から突出しているので、第1突条部25を突出部36の側面36aに確実に係合させることができる。これにより、メス側テーパー面13とオス側テーパー面23との固着を解く際に、固定部材30の回転力をオス部材20に確実に伝達することができる。
【0059】
また、固定部材30をオス部材20の中心線方向に移動させる移動力が所定以上のときにオス部材20の第2突条部26及び固定部材30の突出部36が弾性変形して突出部36が第2突条部26を乗り越えるようになっているので、固定部材30をオス部材20から外すこと、及び取り付けることが容易にできる。
【0060】
(実施形態2)
図15は本発明の実施形態2に係るオス部材20を示し、
図16は本発明の実施形態2に係る固定部材30を示している。この実施形態2では、オス部材20及び固定部材30の形状が実施形態1のものとは異なっており、他の部分は実施形態1と同じである。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0061】
すなわち、実施形態2では、オス部材20の外周面に周方向に延びる一対の突条部27、27が形成されている。一方の突条部27(
図15の上側の突条部)は、その一端部が一方の第1突条部25(
図15の上側の第1突条部)の端部に連なり、他方の第1突条部25(
図15の下側の第1突条部)の端部近傍まで円弧を描くように延びている。該一方の突条部27の他端部は、他方の第1突条部25の端部との間に隙間(図示せず)が形成されるようにオス部材20の外周面上に位置している。また、他方の突条部27(
図15の下側の突条部)は、その一端部が他方の第1突条部25の端部に連なり、一方の第1突条部25の端部近傍まで円弧を描くように延びており、該他方の突条部27の他端部は、一方の第1突条部25の端部との間に隙間28が形成されるようにオス部材20の外周面上に位置している。
【0062】
一方、
図16に示すように、固定部材30の内周面の基端部には、上記隙間28に挿入される一対の突起(固定部材側第1係合部)39、39が内方へ突出するように形成されている。突起39を隙間28から第2突条部26と突条部27との間に入れることができ、この状態で固定部材30を回転させると、突起39が第1突条部25に対して周方向から当接し、第1突条部25に係合する。これにより、固定部材30の回転力がオス部材20に伝達されることになる。このものでは、実施形態1の突出部36を省略することができる。突起39及び第1突条部25を弾性変形させることにより、固定部材30をオス部材20に取り付けたり、オス部材20から外したりすることができる。
【0063】
したがって、実施形態2も実施形態1と同様な作用効果を奏することができる。
【0064】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。