特許第6369042号(P6369042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6369042光学式エンコーダユニット及び光学式エンコーダ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369042
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】光学式エンコーダユニット及び光学式エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   G01D5/347 110X
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-24887(P2014-24887)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-111089(P2015-111089A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-229565(P2013-229565)
(32)【優先日】2013年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小口 寿明
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−202328(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/065737(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/065739(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/065753(WO,A1)
【文献】 特開平9−297040(JP,A)
【文献】 特開2011−185810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
偏光子として機能するワイヤーグリッドパターンの信号トラックを有する光学スケールと、
前記光源の光源光が前記光学スケールに透過して入射する入射光を受光する光学センサユニットと、
前記光学センサユニットを搭載する第1基板と、
前記光源を搭載する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とのうち一方の基板を支持するとともに、他方の基板に固定される配線を備え
前記配線は、複数備えられ、複数の前記配線のうち一部の配線は、前記第1基板に固定され、前記第2基板を支持し、電力が通電しない光学式エンコーダユニット。
【請求項2】
前記一部の配線とは異なる配線は、前記第1基板に固定され、前記第2基板を支持し、前記光源が発光するための電力を供給する請求項1に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項3】
前記配線は、複数備えられ、複数の前記配線は、それぞれ金属の柱状体であって、前記光学スケールの回転中心と平行な方向に延びており、かつそれぞれ前記光学スケールの回転中心から等距離に配置されており、隣り合う柱状体が前記光学スケールの回転中心となす角度が等しくなるように配置されている請求項1又は2に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項4】
光源と、
偏光子として機能するワイヤーグリッドパターンの信号トラックを有する光学スケールと、
前記光源の光源光が前記光学スケールに透過して入射する入射光を受光する光学センサユニットと、
前記光学センサユニットを搭載する第1基板と、
前記光源を搭載する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とのうち一方の基板を支持するとともに、他方の基板に固定される配線を備え
前記配線は、複数備えられ、複数の前記配線は、それぞれ金属の柱状体であって、前記光学スケールの回転中心と平行な方向に延びており、かつそれぞれ前記光学スケールの回転中心から等距離に配置されており、隣り合う柱状体が前記光学スケールの回転中心となす角度が等しくなるように配置されている光学式エンコーダユニット。
【請求項5】
前記光学スケールの回転中心を囲む、絶縁体の第1筒体をさらに備え、
前記配線が絶縁体に固定されている請求項1から4のいずれか1項に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項6】
光源と、
偏光子として機能するワイヤーグリッドパターンの信号トラックを有する光学スケールと、
前記光源の光源光が前記光学スケールに透過して入射する入射光を受光する光学センサユニットと、
前記光学センサユニットを搭載する第1基板と、
前記光源を搭載する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とのうち一方の基板を支持するとともに、他方の基板に固定される配線を備え
前記光学スケールの回転中心を囲む、絶縁体の第1筒体をさらに備え、
前記配線が絶縁体に固定されている光学式エンコーダユニット。
【請求項7】
前記第1筒体は、遮光性を有する請求項5又は6に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項8】
前記第1筒体の外周を覆う第2筒体を備える請求項5から7のいずれか1項に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項9】
前記第2筒体は、遮光性を有する請求項に記載の光学式エンコーダユニット。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の光学式エンコーダユニットと、
前記光学センサユニットが検出する光強度から、前記光学スケールと前記光学センサユニットとの相対的な移動量を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする光学式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学スケールを用いて角度を検出する光学式エンコーダユニット及び光学式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
エンコーダは、各種機械装置において、可動要素の位置や角度を検出するために用いられている。一般に、エンコーダは、相対的な位置又は角度を検出するエンコーダと、絶対的な位置又は角度を検出するエンコーダがある。エンコーダは、光学式と磁気式とがあるが、光学式エンコーダは異物等の影響を受け、検出光量の変動の影響を受けやすい。
【0003】
特許文献1には、検出光量の変動の影響を低減しかつ分解能を高めることのできる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/065737号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、検出光量の変動の影響を低減しているが、光源及び光学センサの位置合わせを容易にすることが求められている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光源及び光学センサの位置合わせを容易にする光学式エンコーダユニット及び光学式エンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、光学式エンコーダユニットは、光源と、光学スケールと、前記光源の光源光が前記光学スケールに透過して入射する入射光を受光する光学センサユニットと、前記光学センサユニットを搭載する第1基板と、前記光源を搭載する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とのうち一方の基板を支持するとともに、他方の基板に固定される配線を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成により、光学式エンコーダユニットは、配線が第1基板と第2基板の位置関係を決定する支持部材となる。このため、光学式エンコーダユニットは、光源及び光学センサの位置合わせを容易にすることができる。また、光学エンコーダユニットは、小型にすることができる。
【0009】
本発明の望ましい態様として、前記配線は、前記第1基板に固定され、前記第2基板を支持し、前記光源が発光するための電力を供給することが好ましい。この構成により、第1基板から第2基板へ電力を供給することができる。
【0010】
本発明のより望ましい態様として、前記配線は、複数備えられ、複数の前記配線のうち一部の配線は、前記第1基板に固定され、前記第2基板を支持し、電力が通電しないことが好ましい。この構成により、第2基板が第1基板に対する姿勢が安定し、光学式エンコーダユニットは、測定精度を高めることができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、前記配線は、複数備えられ、複数の前記配線は、それぞれ金属の柱状体であって、前記光学スケールの回転中心と平行な方向に延びており、かつそれぞれ前記光学スケールの回転中心から等距離に配置されており、隣り合う柱状体が前記光学スケールの回転中心となす角度が等しくなるように配置されている。この構成により、第2基板が第1基板に対する姿勢が安定し、光学式エンコーダユニットは、測定精度を高めることができる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記光学スケールの回転中心を囲む、絶縁体の第1筒体をさらに備え、前記配線が絶縁体に固定されていることが好ましい。この構成により、配線の位置決めが容易にできる。
【0013】
本発明の望ましい態様として、前記第1筒体は、遮光性を有することが好ましい。この構成により、第1筒体の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記第1筒体の外周を覆う第2筒体を備えることが好ましい。この構成により、第2筒体は、第1筒体の配線を保護することができる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記第2筒体は、遮光性を有することが好ましい。この構成により、第2筒体の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。
【0016】
本発明の望ましい態様として、光学式エンコーダは、上述した光学式エンコーダユニットと、前記光学センサユニットが検出する光強度から、前記光学スケールと前記光学センサユニットとの相対的な移動量を演算する演算手段と、を含むことが好ましい。この構成により、光学式エンコーダは、高分解能な角度の測定精度を有することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光源及び光学センサの位置合わせを容易にする光学式エンコーダユニット及び光学式エンコーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。
図2図2は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。
図4図4は、光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。
図5図5は、実施形態1に係る光学式エンコーダのブロック図である。
図6図6は、実施形態1に係る光学スケールのパターンの一例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。
図8図8は、実施形態1に係る光学センサの第1受光部の一例を説明するための説明図である。
図9図9は、実施形態1に係る光学センサの第3受光部の一例を説明するための説明図である。
図10図10は、実施形態1に係る光学センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。
図11図11は、実施形態1に係る光学センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。
図12図12は、実施形態1に係る光学センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。
図13図13は、実施形態1に係る光学式エンコーダの機能ブロック図である。
図14図14は、実施形態1に係る光学スケールの回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。
図15図15は、実施形態1に係る光学スケールの回転角度とリサージュ角度との関係を説明するための説明図である。
図16図16は、実施形態1に係る光源を説明するための平面図である。
図17図17は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態で光源基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。
図18図18は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態でセンサ基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。
図19図19は、実施形態1の第1変形例に係るセンサ基板を説明する説明図である。
図20図20は、実施形態1の第1変形例に係るセンサ基板を説明する説明図である。
図21図21は、実施形態1の第2変形例に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。
図22図22は、実施形態1の第2変形例に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。
図23図23は、実施形態2に係る光学式エンコーダユニットの分解斜視図である。
図24図24は、実施形態2に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。
図25図25は、実施形態2に係る配線を説明するためにカバーがない状態で光源基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。
図26図26は、実施形態2に係る配線を説明するためにカバーがない状態でセンサ基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。
図27図27は、実施形態2に係る光源基板を説明するための説明図である。
図28図28は、実施形態2に係る配線入りカバーを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。図3は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。図2は、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットの分解斜視図である。図1は、図3の断面模式図である。図4は、光学スケール及び光学センサユニットの配置の一例を説明する説明図である。図5は、実施形態1に係る光学式エンコーダのブロック図である。図6は、実施形態1に係る光学スケールのパターンの一例を示す説明図である。光学式エンコーダユニット31は、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12を有するロータ10と、ステータ20と、信号パターンを読み取り可能な光学センサユニット35とを有している。
【0021】
ロータ10は、図6に示す円板形状もしくは図2に示す多角形形状(図2においては8角形)の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。図6に示す光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト12が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zrと直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
【0022】
図3に示すように、ステータ20は、円筒状のカバー21と、センサ基板23とを備えている。円筒状のカバー21は、ロータ10とは独立にセンサ基板23の側面を覆うように固定され、ロータ10がステータ20に対して相対回転できる。カバー21は、軸受26と、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、光学センサユニット35とを囲む、遮光性の部材でできている。このため、カバー21の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。カバー21は、円筒に限られず、筒状であれば、外径が三角、四角、六角、八角などの角柱であってもよい。
【0023】
カバー21は、軸受26を介してシャフト12を回転可能に支持する。カバー21の内周が軸受26の外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26の内輪に固定されている。シャフト12がモータ等回転機械からの回転により回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11が回転中心Zrを軸中心として回転する。光学センサユニット35は、センサ基板23に固定されている。ロータ10が回転すると、光学スケール11の信号トラックT1が光学センサユニット35に対して相対的に移動する。
【0024】
図1及び図2に示すように、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPに固定された、入出力端子であるコネクタCNTを有している。コネクタCNTは、フレキシブル基板23FPの表面又は内部に設けられた導電体の配線25に電力を供給し、光学センサユニット35からの検出信号をプリアンプAMPを介して外部に出力することができる。
【0025】
プリアンプAMPは、パッケージ品のアンプ上に直接に光学センサユニット35を積層している。プリアンプAMPがカバー21内部に内蔵されるので、耐久性を高めることができる。プリアンプAMPは、ベアチップ上に受光素子と増幅回路とを搭載してもよい。また、プリアンプAMPは、受光素子と増幅回路とを半導体プロセスで一体的に形成してもよい。
【0026】
センサ基板23の表面及び内部には、配線25に接続される配線及び回路が配線されており、配線25と直接又は配線25に接続される配線及び回路を介して、カバー21の内側に沿って設けられた配線24の一端が電気的に接続されている。このため、センサ基板23の表面又は内部に設けられた導電体の配線25と、カバー21の内側に沿って設けられた配線24とは、コネクタCNT、プリアンプAMP、光学センサユニット35及び光源41を適宜接続している。
【0027】
なお、光学式エンコーダユニット31は、フレキシブル基板23FPを保護するため、蓋部材29を裏面側より取り付けても良い。蓋部材29は、遮光性の絶縁体であるとより好ましい。
【0028】
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、図4に示すように、光学スケール11が、例えばR方向に光学センサユニット35に対して相対的に移動する。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いており、かつ偏光方向Pmが回転により変化する。光学センサユニット35は、光源41の光源光71が光学スケール11に透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、図6に示す光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
【0029】
実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41を光源基板42の表面に固定している。光源基板42は、シャフト12が貫通する孔部42Hが開けられており、センサ基板23と光学基板42とが光学スケール11を挟んで、対向するように、後述する配線24、24、24D、24Dに支持されている。また、光源41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源であり、詳細に後述する。
【0030】
光学式エンコーダ2は、上述した光学式エンコーダユニット31と、演算装置3と、を備えており、図5に示すように、光学式エンコーダユニット31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
【0031】
光学式エンコーダ2は、光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光73を光学センサユニット35で検出する。演算装置3は、光学センサユニット35の検出信号から光学式エンコーダユニット31のロータ10と光学センサユニット35との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
【0032】
演算装置3は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
【0033】
入力インターフェース4aは、光学式エンコーダユニット31の光学センサユニット35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
【0034】
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0035】
記憶手段である内部記憶装置4fには、光学スケール11における後述する偏光軸と光学センサユニット35のセンサの出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。または、内部記憶装置4fには、図4に示す距離Dの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
【0036】
図6に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
【0037】
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、光学スケール11は耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光またはナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、精度を高く誤差の少ない光学スケールとすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
【0038】
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域glである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域glの幅は、光源41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光軸Pmが一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、光学センサユニット35へ入射する入射光の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。実施形態1において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
【0039】
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光軸Pmを有しているため、偏光軸Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。実施形態1の光学式エンコーダ2は、誤検出またはノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
【0040】
図7は、実施形態1に係る光学センサユニットの一例を説明するための説明図である。図8は、実施形態1に係る光学センサの第1受光部の一例を説明するための説明図である。図9は、実施形態1に係る光学センサの第3受光部の一例を説明するための説明図である。図4及び図7に示すように、光学センサユニット35は、ユニット基材30の表面30b上に、偏光層PP1を有する第1受光部PD1と、偏光層PP2を有する第2受光部PD2と、偏光層PP3を有する第3受光部PD3と、偏光層PP4を有する第4受光部PD4とを含む。図7に示すように、平面視で第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、ユニット基材30の表面30bの配置中心S0から等距離に配置されている。
【0041】
図4に示すように、光源41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11を透過して、入射光73として、偏光層PP1、偏光層PP2、偏光層PP3及び偏光層PP4を透過し、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4に入射する。
【0042】
図4に示すように、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
【0043】
また、第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と点対称の位置に配置され、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と点対称の位置に配置されている。第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と距離W離して配置されており、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と距離W離して配置されている。なお、第1受光部PD1、第3受光部PD3、第2受光部PD2及び第4受光部PD4が有する幅wがあり、距離Wは、幅2wより小さくならない制約がある。実施形態1では、第1受光部PD1、配置中心S0及び第3受光部PD3を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をx軸とし、第2受光部PD2、配置中心S0及び第4受光部PD4を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をy軸とする。図7において、x軸はy軸とユニット基材30の表面上で直交している。図4に示すように、光源41の出射面と、配置中心S0との距離をDとする。x軸とy軸とによるxy平面は、光源41の出射面と配置中心S0とを結ぶz軸と直交している。
【0044】
図4に示すように、z軸方向から平面視でみると、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれが光源41の周囲に配置されている。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
【0045】
図8に示すように、第1受光部PD1は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図9に示すように、第3受光部PD3は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0046】
同様に、図8及び図9を用いて説明すると、第2受光部PD2は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、図9に示すように、第4受光部PD4は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、または金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、図2に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0047】
第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、入射光73をそれぞれ異なる偏光方向に分離する偏光層PP1、PP2、PP3及びPP4を介して受光する。このため、偏光層PP1が分離する偏光軸と、偏光層PP2が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP2が分離する偏光軸と、偏光層PP3が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP3が分離する偏光軸と、偏光層PP4が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP4が分離する偏光軸と、偏光層PP1が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0048】
図10図11及び図12は、実施形態1に係る角度センサの偏光成分の分離を説明するための説明図である。図10のように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。図10において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。上述したように、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。図10図11及び図12において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
【0049】
第1受光部PD1は、図11に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光部PD3は、図12に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光部PD2は、図11に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光部PD4は、図12に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
【0050】
図13は、実施形態1に係る光学式エンコーダの機能ブロック図である。図14は、実施形態1に係る光学スケールの回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。図13に示すように、光源41は、基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。透過光である入射光73は、受光部である光学センサユニット35に受光される。図13に示すように、プリアンプAMPで増幅された受光信号は、差動演算回路DSで差動演算処理を行う。
【0051】
差動演算回路DSは、光学センサユニット35の検出信号である、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれの出力は、例えば、図14のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
【0052】
差動演算回路DSは、式(1)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
【0053】
【数1】
【0054】
【数2】
【0055】
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算する。式(1)及び式(2)により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、光学式エンコーダユニット31の出力は、光学センサユニット35と光学スケール11との距離、光源41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。そして、式(1)に示すように、差動信号Vcは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。ただし、光源の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている場合は、上述の除算は不要である。
【0056】
図13に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。次に、逓倍回路APでは、差動信号Vc及びVsから図15に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュ角が定まることになる。例えば、図15に示すリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。演算装置3は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶する機能を有する。このように、光学式エンコーダ2は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶装置に記憶し、起動時に読み出す演算手段を有し、光学スケール11と前記光学センサとの絶対的な移動量を演算する。これにより、光学式エンコーダ2は、ロータ10の絶対位置が演算できるアブソリュートエンコーダとすることができる。図13に示す構成以外にも、光学式エンコーダユニット31は、光学センサユニット35とプリアンプAMPまでを含んだ構成としてもよい。
【0057】
図16は、実施形態1に係る光源を説明するための平面図である。図16に示す光源41は、発光ダイオード、垂直共振器面発光レーザ等のレーザ光源、フィラメント等の発光デバイス41Uをパッケージしたものである。発光デバイス41Uは、面発光型光源を用いている。
【0058】
光源41は、ベース基板41Fと、スルーホールSHに埋め込まれた貫通導電層41Hと、貫通導電層41Hと電気的に接続された外部電極41Pと、ベース基板41Fに搭載された発光デバイス41Uと、発光デバイス41Uと貫通導電層41Hとを導通接続するボンディングワイヤ41Wと、発光デバイス41Uを保護する封止樹脂41Mと、遮光膜41Rとを備えている。
【0059】
光源41の遮光膜41Rは、発光デバイス41Uが放射する光源光71を出射面41Tの範囲に絞る光源光71の絞りの機能を奏している。出射面41Tにはレンズ面がなくてもあってもよい。実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、レンズのついていない光源41を使用することができる。光源41の出射面と、光学センサユニット35との距離を接近させることでSN比を向上させることができる。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれまでの距離は、光源41の拡散する光の影響を減じて受光できる範囲に配置可能となる。このため光学式エンコーダユニット31及び光学式エンコーダ2は、測定精度が向上する。
【0060】
図17は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態で光源基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図18は、実施形態1に係る配線を説明するためにカバーがない状態でセンサ基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図17及び図18に示すように、光源41を片側面に搭載する光源基板42と、光学センサユニット35を片側面に搭載するセンサ基板23とが対向するように、4つの配線24、24、24D、24Dで固定されている。
【0061】
配線24、24は、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱などの角柱又は円柱である金属の柱状体である。配線24、24は、導電性を有する鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を線引き加工して直線状の柱状体としている。配線24D、24Dは、三角柱、四角柱、六角柱、八角柱などの角柱又は円柱である金属の柱状体である。配線24、24、24D、24Dは、導電性を有する鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を線引き加工して直線状の柱状体としている。
【0062】
配線24、24は、センサ基板23の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部23Mで固定されている。配線24、24は、同様に、光源基板42の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定されている。光源基板42の表面又は内部の配線は、光源41と電気的に接続されている。フレキシブル基板23FPから給電された電力は、フレキシブル基板23FPの配線25、センサ基板23の表面又は内部の配線24、24、光源基板42の表面又は内部の配線を通じて、光源41へ供給される。このように、配線24、24は、センサ基板23(第1基板)に固定され、光源基板42(第2基板)を支持し、光源41が発光するための電力を供給する。
【0063】
配線24D、24Dは、センサ基板23に半田付けなどの金属接合により、接合部23Mで固定されている。配線24D、24Dは、同様に、光源基板42に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定されている。配線24D、24Dは、光源41への電力供給に寄与しないダミー配線である。
【0064】
なお、センサ基板23(第1基板)と、光源基板42(第2基板)との上下関係を入れ替えた場合は、配線24、24、24D、24Dは、光源基板42(第2基板)に固定され、センサ基板23(第1基板)を支持し、光源41が発光するための電力を供給することもできる。この場合、配線24D、24Dは、光学センサユニット35の検出信号の伝達配線とする。
【0065】
光源基板42は、円環状の板部材であるので、配線24、24だけでは、傾きを生じる可能性がある。配線24、24、24D、24Dは、同じ長さの柱状体であるので、光学スケール11の回転中心Zrから等距離に配置され、隣り合う柱状体が回転中心Zrとなす角度が等しくなるようにされていることにより、配線24、24、24D、24Dにかかる光源基板42の荷重が均等となり、バランスがよくなる。これにより、光源41からの出射光の方向の精度を高めることができる。配線24、24は、光源41を点灯させるだけの本数であればよい。
【0066】
(変形例)
図19は、実施形態1の第1変形例に係るセンサ基板を説明する説明図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図20は、実施形態1に係る第1変形例のセンサ基板を説明する説明図である。実施形態1の第1変形例に係る光源基板42Aは、円環状の板部材を半分に切った基板である。光源基板42Aは、円環状の板部材を半分に切った基板に限られず、回転中心Zrと周方向の端部とのなす角度αを例えば、90度から270度まで自由に変更できる。角度αは、隣り合う配線24、24が回転中心Zrとなす角度よりも5度以上10度以下程度大きければ、光源基板42Aは、配線24、24により支持することができる。このようにすることで、ダミーの配線24D、24Dがなくても、配線24、24は、光源基板42Aを支持することができる。
【0067】
図21は、実施形態1の第2変形例に係る光学式エンコーダユニットの構成図である。図22は、実施形態1の第2変形例に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。実施形態1の第2変形例に係るセンサ基板23は、カバー21に覆われるものではなく、カバー21を表面上に固定する。また、光学式エンコーダユニット31は、センサ基板23に固定された、入出力端子であるコネクタCNTと、増幅器であるプリアンプAMPとを備える。また、センサ基板23の表面又は内部に設けられた導電体の配線25と、カバー21の内側に沿って設けられた配線24とは、コネクタCNT、プリアンプAMP、光学センサユニット35及び光源41を適宜接続している。
【0068】
以上説明したように、実施形態1に係る光学式エンコーダユニット31は、光源41と、面内における偏光子の偏光方向が所定の方向を向いており、かつ偏光方向が回転により変化する光学スケール11と、光源41の光源光が光学スケール11に透過して入射する入射光を受光する光学センサユニット35と、第1基板であって、光学センサユニット35を搭載するセンサ基板23と、第2基板であって光源41を搭載する光源基板42と、センサ基板23と光源基板42とのうち一方の基板を支持するとともに、他方の基板に固定される配線24、24を備えている。この構成により、光学式エンコーダユニットは、配線24、24がセンサ基板23と光源基板42の位置関係を決定する支持部材となる。このため、光学式エンコーダユニットは、小型になる。
【0069】
配線24、24は、センサ基板に固定され、光源基板42を支持し、光源41が発光するための電力を供給する。この構成により、配線24、24は、センサ基板から光源基板へ電力を供給することができる。
【0070】
配線24、24、24D、24Dのうち一部の配線24D、24Dは、センサ基板23に固定され、光源基板42を支持するものの、光源41で使用する電力が通電しないダミー配線である。この構成により、光源基板42がセンサ基板23に対する姿勢が安定し、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットは、測定精度を高めることができる。
【0071】
配線24、24、24D、24Dは、それぞれ金属の柱状体である。配線24、24、24D、24Dは、光学スケール11の回転中心Zrと平行な方向に延びており、かつそれぞれ光学スケール11の回転中心から等距離に配置されており、隣り合う柱状体が光学スケールの回転中心Zrとなす角度が等しくなるように配置されている。光源基板42がセンサ基板23に対する姿勢が安定し、実施形態1に係る光学式エンコーダユニットは、測定精度を高めることができる。
【0072】
(実施形態2)
図23は、実施形態2に係る光学式エンコーダユニットの分解斜視図である。図24は、実施形態2に係る光学式エンコーダユニットの外観斜視図である。図25は、実施形態2に係る配線を説明するためにカバーがない状態で光源基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図26は、実施形態2に係る配線を説明するためにカバーがない状態でセンサ基板側から模式的にみた組み立て状態の斜視図である。図27は、実施形態2に係る光源基板を説明するための説明図である。図28は、実施形態2に係る配線入りカバーを説明するための説明図である。なお、上述したものと同じ部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。実施形態2に係る光学式エンコーダユニット31は、実施形態1と同じ透過型の光学スケール及び光学センサの配置であるが、実施形態1と異なり、配線24、24が配線入りカバー27と一体となっている。
【0073】
配線入りカバー27は、円筒の筒状体であり、樹脂性の絶縁体27Mで成形されている。配線入りカバー27は、光学センサユニット35の全体を囲むことのできる内壁の直径を有している。配線入りカバー27は、円筒に限られず、筒状であれば、外径が三角、四角、六角、八角などの角柱であってもよい。配線入りカバー27は、回転中心の延びる方向と平行な軸方向における端面に配線24A、24A、24B、24Bの端部を露出させている。このため、配線24A、24Aは、センサ基板23の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部23Mで固定させることができる。配線24A、24Aは、同様に、光源基板42の表面又は内部の配線に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定させることができる。
【0074】
また、配線24B、24Bは、センサ基板23に半田付けなどの金属接合により、接合部23Mで固定されている。配線24B、24Bは、同様に、光源基板42に半田付けなどの金属接合により、電気的に接続されるように、接合部42Mで固定されている。配線24B、24Bは、光源41への電力供給に寄与しないダミー配線である。なお、センサ基板23(第1基板)と、光源基板42(第2基板)との上下関係を入れ替えた場合は、配線24B、24Bは、光源基板42(第2基板)に固定され、センサ基板23(第1基板)を支持し、光源41が発光するための電力を供給することもできる。この場合、配線24B、24Bは、光学センサユニット35の検出信号の伝達配線とする。
【0075】
配線入りカバー27の径方向の厚みは、配線24A、24A、24B、24Bの厚み以上である。配線入りカバー27の径方向の厚みは、配線24A、24A、24B、24Bの厚みと同じである、又は配線入りカバー27の外周側に配線24A、24A、24B、24Bが露出している場合は、配線入りカバー27の外側から、配線の位置を目視しやすく、組み立てしやすくなる。
【0076】
配線入りカバー27は、円管状の金型空間内に配線を配置して樹脂で封止することで長尺物を作成し、必要な長さに切り出すといった方法で製作することができる。
【0077】
光源基板42は、円環状の板部材であるので、配線24A、24Aだけでは、傾きを生じる可能性がある。本実施形態では、光源基板42は、配線24A、24Aと配線入りカバー27の絶縁体27Mの軸方向の端部とで支え、支持される。このため、光学式エンコーダユニット31は、組み立て後の衝撃に対しても光源基板42の位置を保持しやすくなる。
【0078】
以上説明したように、実施形態2に係る光学式エンコーダユニット31は、回転中心Zrを囲む、第1筒体として絶縁体の配線入りカバー27をさらに備え、少なくとも配線24A、24Aが絶縁体27Mに固定されていることが好ましい。この構成により、配線24A、24A、24B、24Bの位置決めが容易にできる。また、実施形態1において、センサ基板23上の光源基板42は、センサ基板23上の配線24A、24A、24B、24Bだけで支持されている。これに対し、実施形態2のエンコーダユニットは、センサ基板23と光源基板42との間に配線入りカバー27があるので、センサ基板23と光源基板42との間の剛性が向上し、組み立て後等の衝撃に強くなる。また、配線入りカバー27は、部品自体のハンドリングも容易である。
【0079】
例えば、センサ基板23に配線入りカバー27を半田付けなどの金属接合により、接合部23Mで固定する場合、配線入りカバー27の中で、配線24A、24A、24B、24Bの位置が定まっているため、複数の配線24A、24A、24B、24Bを一括して組み付けられる。その結果、実施形態2に係る光学式エンコーダユニット31は、、組み立ての工数を減少させることができる。また、配線入りカバー27は自立するので、センサ基板23上の半田ペーストに対して配線入りカバー27を自立させておき、配線入りカバー27とセンサ基板23とをリフロー装置を用いて自動はんだ付けができる。さらに、光源基板42の半田ペーストに対して配線入りカバー27を自立させておき、配線入りカバー27とセンサ基板23とをリフロー装置を用いて自動はんだ付けができる。
【0080】
実施形態2に係る光源基板42は、図27に示すように、接合部42Mに相当する基板の表面を凹部としておく。図28に示すように、実施形態2に係る配線入りカバー27は、配線24A、24A、24B、24Bの端部24Tを、配線入りカバー27の端面より突出させておく。そして、図27に示す光源を配線入りカバー27の内部側となるような向きとし、接合部42Mに相当する基板の表面の凹部に配線24A、24A、24B、24Bの端部24Tを挿入する。これにより、配線入りカバー27と光源基板42との位置決めをすることができる。同様に、実施形態2に係るセンサ基板23は、接合部23Mに相当する基板の表面を凹部としておき、配線24A、24A、24B、24Bの端部24Tを挿入する。これにより、センサ基板23と光源基板42とは、配線入りカバー27を介して位置決めされ、光学センサユニット35と光源41との位置合わせを容易に行うことができる。
【0081】
配線入りカバー27は、遮光性を有することが好ましい。この構成により、配線入りカバーの内部は、外来の光ノイズを抑制できる。図23及び図24に示すように、光学式エンコーダユニット31は、配線入りカバー27の外周を覆うカバー28をさらに備える。この構成により、カバー28は、第2筒体として、配線入りカバー27の配線24A、24A、24B、24Bを保護することができる。カバー28は、上述したカバー21と同様に、遮光性を有する。この構成により、カバー28の内部は、外来の光ノイズを抑制できる。
【符号の説明】
【0082】
2 光学式エンコーダ
3 演算装置
5 制御部
10 ロータ
11 光学スケール
12 シャフト
20 ステータ
21 カバー
23 センサ基板(第1基板)
23FP フレキシブル基板
24、24A、24B、24D、25 配線
26 軸受
30 ユニット基材
30b 表面
31 光学式エンコーダユニット
35 光学センサユニット
39a、39b 偏光層
41 光源
41T 出射面
42 光源基板(第2基板)
71 光源光
73 入射光
AMP プリアンプ
AP 逓倍回路
CNT コネクタ
D 距離
Vc 差動信号
Vs 差動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28