【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、電力を出力する発電手段と、蓄電池と、発電手段による発電量が電力負荷量に対し不足している場合には該不足量に応じて蓄電池から放電し、発電手段による発電量が電力負荷量より多い場合にはその余剰量に応じた電力を蓄電池に充電する制御手段と、を備える分散型電源システムに関し、所定期間における発電手段による発電量の推移の予想値と、所定期間における電力負荷量の推移の予想値とから、所定期間において蓄電池へ充電することが必要な電力量を算出し、所定期間における蓄電池への充電量の合計が、算出された電力量と等しくなるように、蓄電池への充電量を制御
し、その蓄電池への充電量は、所定期間において蓄電池における充電率が最大となる時期と、所定期間において蓄電池の周囲温度が最高となる時期とを異ならしめるように制御されることを最大の特徴とする。
【0007】
より詳しくは、電力を出力する発電手段と、
電力を貯蔵し、前記発電手段の発電量と電力負荷量との偏差に応じて充電され、または放電する蓄電池と、
を備える分散型電源システムの制御装置であって、
前記発電手段による発電量が電力負荷量に対し不足している場合には該不足量に応じて前記蓄電池から放電して前記発電手段による発電量を補完するとともに、前記発電手段による発電量が電力負荷量より多い場合にはその余剰量に応じた電力を前記蓄電池に充電する制御手段と、
所定期間における前記発電手段による発電量の推移の予想値である発電量予想情報と、前記所定期間における前記電力負荷量の推移の予想値である電力負荷量予想情報とから、前記所定期間において前記蓄電池へ充電することが必要な電力量である必要充電量を算出する必要充電量算出手段と、
前記必要充電量に応じて、前記蓄電池への充電量を制御する充電量制御手段と、
を備え、
前記充電量制御手段は、前記所定期間における前記蓄電池への充電量の推移である充電量曲線を算出する充電量曲線算出手段を有し、
前記充電量曲線算出手段は、前記所定期間において前記蓄電池における充電率が最大となる時期と、前記所定期間において前記蓄電池の周囲温度が最高となる時期とを異ならしめる前記充電量曲線を算出することを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明においては、分散型電源システムにおいて、所定期間における前記発電手段による発電量の推移の予想値である発電量予想情報と、所定期間における電力負荷量の推移の予想値である電力負荷量予想情報とを入手し、これらの情報から、必要充電量算出手段が、所定期間において蓄電池へ充電することが必要な電力量である必要充電量を算出する。そして、充電量制御手段が、前記必要充電量に応じて、前記蓄電池への充電量を制御する。
【0009】
これによれば、予め、所定期間における発電量の予想曲線と、電力負荷量の予想曲線とから、所定期間において蓄電池へ充電することが必要な電力量を予想し、充電量制御手段は、所定期間においては、必要と予想される電力量のみを蓄電池に充電することができる。そうすると、蓄電池におけるSOCを、必要最低限に抑えることができ、蓄電池に不要な負担をかけることを防止でき、蓄電池を長寿命化することができる。
【0010】
なお、所定期間における前記発電手段による発電量の推移の予想値である発電量予想情報は、例えば、発電手段が太陽電池の場合は、所定期間における日照量の予想情報を入手することで取得できる。また、発電手段が風力発電機の場合は、所定期間における風速の予想情報を入手することで取得できる。また、発電手段が小規模水力発電の場合には、所定期間における雨量の予想情報を入手することで取得できる。また、本発明に係る分散型電源システムが適用される需要家が独自に収集した過去のデータベースを入手することでも取得できる。
【0011】
また、所定期間における電力負荷量の推移の予想値である電力負荷量予想情報は、例えば、一般家庭における前記所定期間の電力消費量の統計データを入手することで取得できる。また、本発明に係る分散型電源システムが適用される需要家の過去の実績データを入手することでも取得できる。
【0012】
そして、本発明においては、前記充電量制御手段は、前記所定期間における前記蓄電池への充電量の推移である充電量曲線を算出する充電量曲線算出手段を有し、
前記充電量曲線算出手段は、前記所定期間において前記蓄電池における充電率が最大となる時期と、前記所定期間において前記蓄電池の周囲温度が最高となる時期とを異ならしめる前記充電量曲線を算出する。
【0013】
すなわち、本発明においては、充電量曲線算出手段が、前記所定期間における蓄電池への充電量の推移である充電量曲線を算出し、充電量制御手段は、この充電量曲線に従って充電量を変化させながら蓄電池に充電を行う。そして、この充電量曲線は、前記所定期間において蓄電池における充電率が最大となる時期と、前記所定期間において気温が最高となる時期とを異ならしめるように設計される。
【0014】
そうすれば、充電池の充電率が高く且つ気温が高いという状況を可能な限り低減できる。これによって、より確実に蓄電池に対する負担が増えることを防止でき、蓄電池を長寿命化することが可能となる。
【0015】
また、本発明においては、前記充電量曲線算出手段は、前記蓄電池への前記必要充電量の充電が完了する時期を、前記所定期間において前記蓄電池の周囲温度が最高となる時期の後に設定することにより、前記所定期間において前記蓄電池における充電率が最大となる時期と、前記所定期間において前記蓄電池の周囲温度が最高となる時期とを異ならしめる前記充電量曲線を算出するようにしてもよい。
【0016】
この場合は、充電量曲線算出手段が、前記所定期間における蓄電池への充電量の推移である充電量曲線を算出する。そして、充電量制御手段は、この充電量曲線に従って充電量を変化させながら蓄電池に充電を行う。そして、この充電量曲線は、蓄電池への前記必要充電量の充電が完了する時期が、前記所定期間において気温が最高となる時期の後になるように設計される。
【0017】
そうすれば、所定期間において気温が最高となる時期には、蓄電池には未だ必要充電量が充電されていないことになる。これによっても自動的に、気温が最高となる時期における蓄電池の充電率を低下させることができる。よって、より確実に蓄電池に対する負担が増えることを防止でき、蓄電池を長寿命化することが可能となる。
【0018】
また、本発明においては、前記発電手段は太陽電池であって、
前記発電量予想情報は、少なくとも所定の日一日間における前記発電手段による発電量の推移の予想値であり、
前記電力負荷量予想情報は、少なくとも前記所定の日一日間における前記電力負荷量の推移の予想値であり、
前記発電量予想情報は、前記所定の日一日間のうち、正午前後の時間帯においては前記電力負荷量予想情報より大きな値を有するとともに、午後の所定時刻において、前記電力負荷量予想情報より小さい値を有するようになり、
前記充電量曲線算出手段は、前記蓄電池への前記必要充電量の充電が完了する時期を、前記所定の日において周囲温度が最高となる時刻より後で、前記所定時刻以前の時刻に設定するようにしてもよい。
【0019】
この場合は、発電手段が太陽電池である場合に着目している。そして、発電量予想情報は、少なくとも所定の日一日間における前記太陽電池による発電量の推移の予想値であり、電力負荷量予想情報は、少なくとも所定の日一日間における前記電力負荷量の推移の予想値である。ここで、少なくとも所定の日一日間とは、少なくとも、蓄電池の充電量の制御を予定している対象の日の例えば、0時から24時の間を含む期間を意味する。よって
、必要に応じ、蓄電池の充電量の制御を予定している対象の日の例えば、0時から24時の間に、次の日の午前中までを加えた期間としてもよい。
【0020】
そして、この場合には、発電量予想情報は、所定の日一日間のうち、正午前後の時間帯においては日照量が増加するため電力負荷量予想情報より大きな値を有するとともに、午後の所定時刻、例えば夕刻において、日照量の減少とともに電力負荷量予想情報より小さい値を有するようになると考えられる。
【0021】
そして、本発明では、充電量曲線算出手段は、蓄電池への必要充電量の充電が完了する時期を、前記所定の日において周囲温度が最高となる時刻より後で、前記所定時刻以前に設定する。これによれば、蓄電池が高温に晒される時刻と、蓄電池のSOCが最高になる時刻とを自動的に異ならしめることができる。よって、蓄電池への負担の増加を抑制でき、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0022】
また、本発明においては、前記充電量曲線算出手段は、前記蓄電池への前記必要充電量の充電が完了する時期を、前記所定の日における前記所定時刻に設定してもよい。そうすれば、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する期間を最大限に利用することができ、より効率よく、蓄電池への充電を行うことが可能である。また、蓄電池のSOCが最大になる時刻を、可及的に、蓄電池の周囲温度が最高になる時刻から遠ざけることが可能で、より確実に、蓄電池が高温に晒される時刻と、蓄電池のSOCが最高になる時刻とを自動的に異ならしめることができる。よって、より確実に蓄電池への負担の増加を抑制でき、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0023】
また、本発明においては、前記充電量曲線算出手段は、前記所定の日一日間のうち、前記発電量予想情報が、前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、前記発電量予想情報の最大値より小さく、前記電力負荷量予想情報より大きな電力値である最大充電電力を算出し、
前記発電量予想情報が前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、前記最大充電電力以下の値を示す前記発電量予想情報と、前記最大充電電力とによって、前記充電量曲線を算出するようにしてもよい。
【0024】
これは、充電量曲線算出手段が、算出する充電量曲線の、具体的な形状を定めるものである。本発明では、充電量曲線算出手段は、所定の日一日間のうち、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、発電量予想情報の最大値より小さく、電力負荷量予想情報より大きな電力値である最大充電電力を算出する。そして、発電量予想情報が電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、最大充電電力以下の値を示す発電量予想情報と、最大充電電力とによって、充電量曲線を算出することとした。
【0025】
すなわち、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯において、蓄電池への充電量は、発電量予想情報の値から電力負荷量予想情報の値を差し引いた偏差であるところ、本発明では、発電量予想情報の値が最大充電電力より大きい場合には、発電量予想情報の値ではなく最大充電電力から電力負荷量予想情報の値を差し引いた偏差を充電することにした。
【0026】
これによれば、蓄電池への充電量の最大値を抑えることができ、より確実に、蓄電池への必要充電量の充電が完了する時期を、前記所定の日において発電量予想情報が電力負荷量予想情報より小さい値をとるようになる前記所定時刻に設定することができる。また、蓄電池におけるSOCの変化の傾きを低く抑えることができるので、蓄電池の周囲温度が最高になる時刻におけるSOCを低く抑えることができる。これにより、より確実に蓄電
池への負担の増加を防止でき、蓄電池を長寿命化することが可能となる。
【0027】
また、本発明においては、前記充電量曲線算出手段は、前記所定の日一日間のうち、前記発電量予想情報が、前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯に含まれ前記蓄電池への充電を開始する時刻である充電開始時刻を算出し、
前記発電量予想情報が前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、前記充電開始時刻以降の前記発電量予想情報によって、前記充電量曲線を算出するようにしてもよい。
【0028】
これも、充電量曲線算出手段が算出する充電量曲線の、具体的な形状を定めるものである。本発明では、充電量曲線算出手段は、所定の日一日間のうち、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯に含まれ蓄電池への充電を開始する時刻である充電開始時刻を算出する。そして、発電量予想情報が電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、充電開始時刻以降の発電量予想情報によって、充電量曲線を算出することとした。
【0029】
すなわち、発電手段が太陽電池である場合、前記所定の日において、正午の前後の時間帯においては、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有するが、その時間帯の全域において蓄電池に充電するのではなく、その時間帯のうちの充電開始時間以降の時間のみに集中して、蓄電池に充電する。充電開始時間以降の充電量曲線は、発電量予想情報と一致しても構わない。
【0030】
これによれば、蓄電池への充電期間を、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯のうちの後半部分に集中させることができる。一方、発電量予想情報が、電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯の中央の時間帯と蓄電池の周囲温度が最高になる時間帯とは概略一致することが多い。従って、より確実に、蓄電池の周囲温度が最高になる時刻におけるSOCを低い状態に抑えることが可能となる。これにより、より確実に蓄電池への負担の増加を防止でき、蓄電池を長寿命化することが可能となる。
【0031】
また、本発明は、上記の制御装置と、
前記発電手段及び前記蓄電池の少なくとも一方と、電力負荷及び系統の少なくとも一方との間で、各々の出力を電圧変換および/または直流交流変換する電力変換装置と、
を備えることを特徴とする分散型電源システムのパワーコンディショナであってもよい。
【0032】
あるいは、本発明は、上記の制御装置と、
電力を出力する発電手段と、
電力を貯蔵し、前記発電手段の発電量と電力負荷量との偏差に応じて充電され、または放電する蓄電池と、
を備えることを特徴とする分散型電源システムであってもよい。
【0033】
また、本発明は、上記のパワーコンディショナと、
電力を出力する発電手段と、
電力を貯蔵し、前記発電手段の発電量と電力負荷量との偏差に応じて充電され、または放電する蓄電池と、
を備えることを特徴とする分散型電源システムであってもよい。
【0034】
また、本発明は、電力を出力する発電手段と、
電力を貯蔵し、前記発電手段の発電量と電力負荷量との偏差に応じて充電され、または
放電する蓄電池と、
前記発電手段による発電量が電力負荷量に対し不足している場合には該不足量に応じて前記蓄電池から放電して前記発電手段による発電量を補完するとともに、前記発電手段による発電量が電力負荷量より多い場合にはその余剰量に応じた電力を前記蓄電池に充電する、分散型電源システムの制御方法であって、
所定期間における前記発電手段による発電量の推移の予想値である発電量予想情報と、前記所定期間における前記電力負荷量の推移の予想値である電力負荷量予想情報とを入手し、
前記発電量予想情報及び前記電力負荷量予想情報から、前記所定期間において前記蓄電池へ充電することが必要な電力量である必要充電量を算出するとともに、前記所定期間における前記蓄電池への充電量の合計が前記必要充電量になるような、前記所定期間における前記蓄電池への充電量の推移である充電量曲線を算出し、
前記充電量曲線においては、前記所定期間において前記蓄電池における充電率が最大となる時期と、前記所定期間において前記蓄電池の周囲温度が最高となる時期とを異ならしめることを特徴とする分散型電源システムの制御方法であってもよい。
【0035】
また、発電手段は太陽電池である場合は、
前記発電量予想情報は、少なくとも所定の日一日間における前記発電手段による発電量の推移の予想値であり、
前記電力負荷量予想情報は、少なくとも前記所定の日一日間における前記電力負荷量の推移の予想値であり、
前記発電量予想情報は、前記所定の日一日間のうち、正午前後の時間帯においては前記電力負荷量予想情報より大きな値を有するとともに、午後の所定時刻において、前記電力負荷量予想情報より小さい値を有するようになり、
前記充電量曲線においては、前記蓄電池への前記必要充電量の充電が完了する時期が、前記所定時刻に設定されるようにしてもよい。
【0036】
また、その場合は、前記所定の日一日間のうち、前記発電量予想情報が、前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯における、前記発電量予想情報の最大値より小さく、前記電力負荷量予想情報より大きな電力である最大充電電力を算出し、
前記充電量曲線においては、前記発電量予想情報が前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯において、前記発電量予想情報が前記最大充電電力以下の値を示す時間については前記発電量予想情報に基づき、前記発電量予想情報が前記最大充電電力より大きい値を示す時間については前記最大充電電力に基づき、前記蓄電池への充電量が推移するようにしてもよい。
【0037】
また、前記所定の日一日間のうち、前記発電量予想情報が、前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯に含まれ前記蓄電池への充電を開始する時刻である充電開始時刻を算出し、
前記充電量曲線においては、前記発電量予想情報が前記電力負荷量予想情報より大きな値を有する時間帯において、前記充電開始時刻において前記蓄電池への充電を開始し、前記発電量予想情報に基づき、前記蓄電池への充電量が推移するようにしてもよい。
【0038】
なお、上記した課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。