(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
様々な燃焼器から排出される排気ガス(排気煙)には、すす粒子が含まれ、このようなすすは環境汚染の一因となっている。従って、燃焼器において、すす粒子の発生を低減できる好適な運転状態を実現するためにも排気ガスに含まれるすす粒子を計測する必要がある。
【0003】
排気ガスのすす粒子の濃度を計測する方法としては、計測用フィルタ(ろ紙)に対し、所定の口径の孔を介して設定された積算流量の排気ガスを通過させ、これよって、排気ガスに含まれるすす粒子を計測用フィルタにより捕捉する。その後、計測用フィルタに捕捉されたすす粒子の色の濃淡をスモークスケールを用いて等級で判定することによりすす粒子の濃度を計測する方法がある。大気圧での排気ガスにおけるすす粒子の濃度を計測する手法としては、バッハラッハ法(Bacharach)が知られている。
【0004】
バッハラッハ法では、計測用フィルタが装着された手動ポンプを、燃焼器の下流のガス取出管に接続し、手動ポンプのノブを設定された速度で内蔵されたシリンダのストローク分だけ引くことにより、1回分の規定量の排気ガスを吸い込んで計測用フィルタに通過させ、続いてノブを押すことにより吸い込んだ排気ガスを弁を介して排出した後、再びノブを引くという操作を設定された回数(例えば10回)繰り返すことにより、設定された積算流量の排気ガスを計測用フィルタに通過させる。
【0005】
尚、内燃機関の排気中の炭素状微粒子(すす粒子)の直径と濃度を計測する装置を示す先行技術文献としては、特許文献1がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記バッハラッハ法のように手動ポンプを用いる方法は、大気圧での排気ガスの計測に用いられており、従って、例えばジェットエンジンの燃焼器のように大気圧よりも高い圧力を有する燃焼器からの排気ガスをそのままの高圧を保持してサンプリングを行い、すす粒子の濃度を計測することはできない。
【0008】
即ち、高圧の排気ガスを手動ポンプを用いてサンプリングする際には、ノブを引いて規定量の排気ガスを計測用フィルタに通過させた後、ノブを押して吸い込んだ排気ガスを排出するときに、計測用フィルタよりも上流の高圧の排気ガスが計測用フィルタを通り抜けて排出されてしまうために、計測用フィルタを通過する排気ガスの流量を規定量に保持することはできない。従って、設定された積算流量の排気ガスを計測用フィルタに通過させことはできない。又、引いたノブを押し戻す際に、ノブには高圧の排気ガスの圧力が作用しているために、ノブを押すこと自体ができない場合もある。
【0009】
従って、高圧の排気ガスをサンプリングする方法としては、燃焼器の下流に接続されるガス取出管に減圧弁或いはオリフィス等の減圧手段を設け、この減圧手段によって減圧した排気ガスを用いて手動ポンプによりサンプリングすることが考えられる。
【0010】
しかし、上記したように、減圧手段で減圧した排気ガスを手動ポンプでサンプリングする方法では、ガス取出管の内面や減圧手段にすす粒子が付着するために、手動ポンプに導かれる排気ガスのすす粒子が実際ものと異なってしまい、排気ガスに含まれるすす粒子を正しく計測用フィルタで捕集することができない。更に、減圧手段で高圧の排気ガスを減圧して手動ポンプに導くようにした場合には、圧力の低下及び温度の低下によって、排気ガス中に含まれる水分が凝縮して凝縮水を生じる問題があり、凝縮水はガス取出管の内面及び減圧弁の内部に付着し、この凝縮水に排気ガスのすす粒子が捕集されてしまうために、排気ガスに含まれるすす粒子を正しく計測用フィルタで捕集することができない。
【0011】
又、計測用フィルタは水分に弱いために、凝縮水が計測用フィルタに作用した場合には計測用フィルタの強度が著しく低下するという問題がある。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、燃焼器からの排気ガスが大気圧よりも高い圧力を有している場合にも、燃焼器からの排気ガスの圧力を保持した状態で、排気ガスに含まれるすす粒子を安定してサンプリングできる排気ガスサンプリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、仕切弁を備えた第1のガス流路と、
減圧弁を備えた第2のガス流路と、
燃焼器の排気ガスを取り出すガス取出管からの排気ガスを、第1のガス流路と第2のガス流路に切り換えて導く切換弁と、
切換弁の下流で
且つ仕切弁より上流の第1のガス流路と
、切換弁の下流で且つ減圧弁より上流の第2のガス流路
とを連通
し、第1のガス流路から第2のガス流路に向かう順に計測用フィルタと開閉弁を配置したサンプリング流路と、
サンプリング流路の
連通箇所より下流で
且つ仕切弁より上流の第1のガス流路と
、サンプリング流路の連通箇所より下流で且つ減圧弁より上流の第2のガス流路
とを連通
し、第2のガス流路の排気ガスを第1のガス流路の方向へのみ流すことにより第1のガス流路のガス圧力を第2のガス流路のガス圧力に一致させる逆止弁を配置した圧力調整流路と、
第2のガス流路におけるサンプリング流路の連通箇所と圧力調整流路の連通箇所との間に設けられた粒子除去装置と、
減圧弁の下流に備えられ、サンプリング流路を流れるガス流量が設定流量になるように減圧弁から導かれる排気ガスの流量を調整する流量制御装置と
を備えたことを特徴とする排気ガスサンプリング装置、に係るものである。
【0014】
上記排気ガスサンプリング装置において、開閉弁に代えて、サンプリング流路の排気ガスを第2のガス流路の方向へのみ流す逆止弁を設けることができる。
【0016】
又、上記排気ガスサンプリング装置において、少なくとも計測用フィルタよりも上流のサンプリング流路、第1のガス流路及びガス取出管を加熱するヒータを備えることが好ましい。
【0017】
又、上記排気ガスサンプリング装置において、第1のガス流路と第2のガス流路との間に、サンプリング流路を複数個並列に備えることができる。
【0018】
又、上記排気ガスサンプリング装置において、減圧弁の下流に、別の切換弁を介してガス分析計を接続することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の排気ガスサンプリング装置によれば、燃焼器からの排気ガスが大気圧よりも高い圧力を有している場合にも、燃焼器からの排気ガスの圧力を保持した状態で、排気ガスに含まれるすす粒子を安定してサンプリングできるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1(a)は本発明の排気ガスサンプリング装置100の実施例を示すブロック図であり、排気ガスサンプリング装置100は、燃焼器1の燃焼により生じる排気ガスを取り出して、排気ガス中に含まれるすす粒子の濃度等を計測する際に用いられる。
【0023】
燃焼器1には、該燃焼器1の排気ガスを取り出すガス取出管2が設けてあり、該ガス取出管2で取り出した排気ガスは、切換弁3を介して、仕切弁4を備えたサンプリング流路としての第1のガス流路5と、減圧弁6を備えた非サンプリング流路としての第2のガス流路7とに切り換えて導くようにしている。前記切換弁3には三方弁3aを用いることができるが、切換弁3は燃焼器1からの排気ガスを第1のガス流路5と第2のガス流路7とに切り換えて導くことができればよく、従って、第1のガス流路5と第2のガス流路7の夫々に設けた開閉弁によって切り換えを行うようにしてもよい。
【0024】
前記切換弁3の下流において、第1のガス流路5と第2のガス流路7に連通し、第1のガス流路5から第2のガス流路7に向かう順に計測用フィルタ8と開閉弁9を配置したサンプリング流路10を設ける。
【0025】
前記計測用フィルタ8は、一例としてバッハラッハ法で使用されるろ紙と同一のものであり、この計測用フィルタ8は計測器11に保持されている。計測器11は、バッハラッハ法と同一の有効径の通気口を備えて排気ガスを計測用フィルタ8に流通させる構成を有する。前記開閉弁9は、計測用フィルタ8に排気ガスを流すサンプリング時のみに開作動させるものである。この開閉弁9は手動弁であってもよく、又、電動弁であってもよい。
【0026】
前記サンプリング流路10の下流には、第1のガス流路5と第2のガス流路7とに連通する圧力調整流路12を設けている。この圧力調整流路12には、第2のガス流路7の排気ガスを第1のガス流路5の方向へのみ流す逆止弁13が設けてあり、この逆止弁13によって、第1のガス流路5のガス圧力が常に第2のガス流路のガス圧力に一致されるようにしている。
【0027】
前記減圧弁6の下流には、該減圧弁6によって減圧された排気ガスを導入して流量を調整する流量制御装置14を設けている。前記計測用フィルタ8には基準の圧力、温度の排気ガスを流すときの設定流量(及びそれによる積算流量)が決められているので、流量制御装置14は、この設定流量になるように、減圧弁6からの排気ガスの流量を調整して大気に排出するものである。
図1では一例としてマスフローコントローラ14aを用いた場合を示している。このとき、流量制御装置14は、減圧弁6で減圧された排気ガスと大気圧とが所定の差圧(例えば0.3MPa)のときに高い精度で流量調整が行われる。
【0028】
流量制御装置14には、流量調整弁と、流量検出器と、圧力計及び温度計と、検出した流量と圧力と温度に基づいて流量調整弁を制御する制御機能とを内蔵したマスフローコントローラ14a等を用いることができる。又、流量制御装置14は、減圧弁6の下流に体積流量計又は差圧流量計を設けると共に、温度検出器及び圧力検出器を設け、体積流量計又は差圧流量計で測定した流量を、温度検出器による温度と圧力検出器による圧力により補正して流量調整弁を調整するようにしたものであってもよい。
【0029】
尚、前記第1のガス流路5に設けた仕切弁4は、常時は閉じられており、サンプリング流路10の計測用フィルタ8に排気ガスを流して排気ガスをサンプリングする作業が終了した後に、開作動させて第1のガス流路5を大気に開放させるものである。
【0030】
前記第2のガス流路7におけるサンプリング流路10と圧力調整流路12との間には、粒子除去装置15を設けている。この粒子除去装置15は、高い精度が要求される減圧弁6及び流量制御装置14に固体粒子が導かれることによって作動の不具合等が生じることを防止するために設けられる。
【0031】
又、少なくとも計測用フィルタ8よりも上流のサンプリング流路10、第1のガス流路5及びガス取出管2には、排気ガス中の水分が凝縮する温度以上の温度で加熱するようにしたヒータ16を設けている。又、上記に加えて、第2のガス流路7にヒータ16を設けてもよい。
【0033】
図1の排気ガスサンプリング装置100によるサンプリングが行われない非サンプリング時には、切換弁3は排気ガスを第2のガス流路7に導くように切り換えられており、開閉弁9及び仕切弁4は閉じられている。
【0034】
燃焼器1の燃焼が開始してガス取出管2から取り出された排気ガスは、切換弁3を介して第2のガス流路7に導かれ、第2のガス流路7に導かれた排気ガスは、粒子除去装置15により固体粒子が除去された後、減圧弁6により減圧されて流量制御装置14に導かれる。前記流量制御装置14の性能が例えば0.3MPaで作動するように決められている場合には、減圧弁6は流量制御装置14に導く排気ガスと大気との差圧が0.3MPaになるように調整され、その後はこの差圧が維持される。
【0035】
前記圧力調整流路12に備えた逆止弁13は、第2のガス流路7の排気ガスを第1のガス流路5に流す方向にのみ流すので、圧力調整流路12、第1のガス流路5及びサンプリング流路10の計測用フィルタ8には、常に第2のガス流路7の排気ガスの圧力と同一の圧力が作用する。
【0036】
サンプリングを手動で行う場合には、以下のようにして行う。
【0037】
サンプリング時は、ガス取出管2からの排気ガスを第1のガス流路5に導くように切換弁3を切り換えると同時に、開閉弁9を開作動させて、サンプリングを開始する。このとき、圧力調整流路12に備えた逆止弁13は、第2のガス流路7の排気ガスを第1のガス流路5に流して、第1のガス流路5のガス圧力を第2のガス流路7のガス圧力と一致させて均圧しているため、切換弁3により第2のガス流路7から第1のガス流路5に切り換えても、計測用フィルタ8が圧力の変動を受けることはない。仮に前記逆止弁13を有する圧力調整流路12を備えていない場合には、切換弁3により第1のガス流路5に排気ガスを導くように切り換えた際に、計測用フィルタ8に燃焼器1からの排気ガスの圧力が急激に作用する問題を生じることになる。
【0038】
第1のガス流路5に導かれた排気ガスは、流量制御装置14によって設定された設定流量がサンプリング流路10に流れることになり、排気ガスに含まれるすす粒子は計測用フィルタ8によって捕捉され、すす粒子が除去された排気ガスは第2のガス流路に流れる。
【0039】
前記切換弁3を第1のガス流路5に切り換えると同時に開閉弁9を開作動してサンプリングを開始した瞬間から、流量制御装置14を通過した設定流量(単位流量)と経過時間の積を積算することにより、計測用フィルタ8に流れた排気ガスの積算流量を求める。流量制御装置14によって設定流量になるように制御している流量は変動することが考えられるので、このように流量が変動する場合には流量の瞬時値を積算することで積算流量を求めることができる。このとき、バッハラッハ法では、例えば1600cm
3の排気ガスを計測用フィルタ8に通過させることを規定しているので、この規定の場合には、積算流量が1600cm
3に達した時をサンプリングの終了とし、直ちに切換弁3を第2のガス流路7に切り換えると同時に開閉弁9を閉作動させる。これにより、計測用フィルタ8には排気ガスが流れなくなり、サンプリングの作業は終了する。
【0040】
サンプリングの作業の終了後、仕切弁4を開作動し、第1のガス流路5を大気に開放することにより計測用フィルタ8の上流の圧力を下げる。続いて、計測器11から計測用フィルタ8を取り出す。そして、計測用フィルタ8に捕捉されたすす粒子の濃度を、スモークスケールに表示された等級と比較することにより判定することで計測する。
【0041】
図1(b)は、
図1(a)の実施例の変形例を示したものであり、
図1(a)のサンプリング流路10に設けた開閉弁9に代えて、サンプリング流路10の排気ガスを第2のガス流路7の方向へのみ流す逆止弁23を設けている。
【0042】
図1(b)に示すように、サンプリング流路10の排気ガスを第2のガス流路7の方向へのみ流す逆止弁23を設けた場合には、切換弁3を第1のガス流路5に切り換えるのみでサンプリングを開始し、切換弁3を第2のガス流路7に切り換えるのみでサンプリングを終了することができるので、切換弁3を切り換えるのみの簡単な操作によりサンプリング時と非サンプリング時を切り換えることができる。
【0043】
上記操作では、排気ガスサンプリング装置100によるサンプリング時と非サンプリング時の切り換えを手動で行う場合について説明した。
【0044】
一方、
図2は、サンプリング時と非サンプリング時の切り換えを自動で行う場合の実施例を示したものであり、この実施例では、前記排気ガスサンプリング装置100に、切り換えを自動で行うための指令制御器17を設けている。
【0045】
指令制御器17には、前記流量制御装置14で調整される設定流量18が入力されている。指令制御器17は、計測用フィルタ8による計測を行わない非サンプリング時には、第2のガス流路7に排気ガスを流すように、電動弁である切換弁3に指令19aを発して第2のガス流路7の側に切り換えると共に、電動弁である開閉弁9に指令20aを発して開閉弁9を閉作動する。従って、第2のガス流路7に導かれた排気ガスは、粒子除去装置15、減圧弁6及び流量制御装置14を通って大気に排出される。指令制御器17には、計測用フィルタ8に決められた積算流量の設定値Tが入力されている。
【0046】
サンプリング時は、指令制御器17は、第1のガス流路5に排気ガスを流すように、切換弁3に指令19bを発して第1のガス流路5の側に切り換えると共に、開閉弁9に指令20bを発して開閉弁9を開作動する。これにより、計測用フィルタ8に排気ガスが流れてサンプリングが開始される。そして、指令制御器17は流量制御装置14を通過する流量を積算した積算値と設定値Tとを比較し、積算流量が設定値Tに達すると、指令制御器17は、再び第2のガス流路7に排気ガスを流すように、切換弁3に指令19aを発して第2のガス流路7の側に切り換えると共に、開閉弁9に指令20aを発して開閉弁9を閉作動する。これにより、サンプリング流路10には排気ガスが流れなくなり、サンプリングは終了する。
図2のように、指令制御器17を備えてサンプリング時と非サンプリング時の切り換えを自動で行うようにすると、高圧のために作業員が近づけないような燃焼器1においても排気ガスのサンプリングを安全に行うことができる。
【0047】
図2に示すように、指令制御器17を備えてサンプリング時と非サンプリング時の切り換えを自動で行う場合においても、
図1(b)に示したように、開閉弁9に代えて、サンプリング流路10の排気ガスを第2のガス流路7の方向へのみ流す逆止弁23を設けることができる。すると、切換弁3を第1のガス流路5に切り換えることでサンプリングが開始され、切換弁3を第2のガス流路7に切り換えることでサンプリングが終了されるので、切換弁3に指令するのみで、サンプリング時と非サンプリング時の切り換えを容易に行うことができる。
【0048】
図3は、本発明の更に他の実施例を示すもので、
図3では、第1のガス流路5と第2のガス流路7との間に、
図1に示した計測用フィルタ8と開閉弁9を配置したサンプリング流路10を複数個並列に備えた場合を示している。尚、
図1では2つのサンプリング流路10を並列に備えた場合を示しているが、3つ以上のサンプリング流路10を並列に備えてもよい。
【0049】
又、
図3では、減圧弁6の下流に、別の切換弁21を介してガス分析計22を接続した場合を示している。ガス分析計22としては、NO
X、SO
X等の種々の成分を分析できるものを設けることができる。前記ガス分析計22を設ける構成は、
図1に示した実施例にも適用することができる。
【0050】
上記した本発明の排気ガスサンプリング装置100では、燃焼器1の排気ガスを取り出すガス取出管2からの排気ガスを、切換弁3を介して第1のガス流路5と第2のガス流路7に切り換えて導くようにし、切換弁3の下流で第1のガス流路5と第2のガス流路7に連通され、第1のガス流路5から第2のガス流路7に向かう順に計測用フィルタ8と開閉弁9を配置したサンプリング流路10を設けている。更に、サンプリング流路10の下流で第1のガス流路5と第2のガス流路7に連通され、第2のガス流路7の排気ガスを第1のガス流路5の方向へのみ流して第1のガス流路5のガス圧力が常に第2のガス流路のガス圧力に一致されるようにした逆止弁13を配置した圧力調整流路12を設けている。更に、減圧弁6の下流に備えられ、サンプリング流路10を流れるガス流量が設定流量になるように減圧弁6からの排気ガスの流量を調整して排出する流量制御装置14を設けている。従って、計測用フィルタ8には常に燃焼器1からの排気ガスの圧力が作用するので、燃焼器1からの排気ガスが大気圧よりも高い圧力を有している場合でも、燃焼器1からの排気ガスの圧力を保持した状態で、計測用フィルタ8により排気ガスを安定してサンプリングすることができる。
【0051】
従って、従来、減圧弁により減圧した排気ガスを計測用フィルタに導いてサンプリングする場合に生じていた凝縮水によって正しいすす粒子の濃度が計測できないという問題を防止でき、更に、凝縮水によって計測用フィルタ8の強度が著しく低下するという問題を防止できるので、サンプリングを行った計測用フィルタ8を用いて行うすす粒子の濃度の計測を安定して正確に行えるようになる。
【0052】
開閉弁9に代えて、サンプリング流路10の排気ガスを第2のガス流路7の方向へのみ流す逆止弁23を設けると、サンプリング時と非サンプリング時との切り換えを、切換弁3の切り換え操作のみにて行えるので、サンプリング操作が容易になる。
【0053】
第2のガス流路7におけるサンプリング流路10と圧力調整流路12との間に、粒子除去装置15を備えると、高い精度が要求される減圧弁6及び流量制御装置14に固体粒子が導かれる問題を防止することができる。
【0054】
少なくとも計測用フィルタ8よりも上流のサンプリング流路10、第1のガス流路5及びガス取出管2と、第2のガス流路7とを加熱するヒータ16を備えると、排気ガスサンプリング装置100の内部に凝縮水が生じる問題を未然に防止することができる。
【0055】
第1のガス流路5と第2のガス流路7との間に、サンプリング流路10を複数個並列に備えると、燃焼器1の燃料量等の燃焼条件を変更した際に、排気ガスを流すサンプリング流路10を順次切り換えることにより、複数の燃焼条件でのサンプリングを容易に行うことができる。
【0056】
減圧弁6の下流に、別の切換弁21を介してガス分析計22を接続すると、計測用フィルタ8によるすす粒子の濃度計測のためのサンプリングと同時に、ガス分析計22によるNO
X、SO
X等の種々の成分の分析を行うことができる。
【0057】
尚、本発明の排気ガスサンプリング装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、ジェットエンジン以外の大気圧よりも高い圧力の排気ガスを排出する種々の燃焼器からの排気ガスのサンプリングにも適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。