特許第6369216号(P6369216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6369216-消音器および燃焼装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369216
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】消音器および燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23J 13/00 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   F23J13/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-166536(P2014-166536)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-42007(P2016-42007A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉川 徹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−069519(JP,A)
【文献】 特開2006−207902(JP,A)
【文献】 特開2005−321149(JP,A)
【文献】 特開2004−317062(JP,A)
【文献】 特開2001−153340(JP,A)
【文献】 特開2000−074356(JP,A)
【文献】 特開2006−153355(JP,A)
【文献】 特開2000−266335(JP,A)
【文献】 実公昭58−22049(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスの燃焼騒音を低減するための消音器であって、
一方端に設けられ、かつ燃焼ガスを受け入れる受入口と、前記一方端に対向する他方端に設けられ、かつ燃焼ガスを排気する排気口と、前記受入口に連通し、かつ前記一方端から前記他方端に向かって延びる第1の空間と、前記排気口に連通し、かつ前記他方端から前記一方端に向かって延びる第2の空間と、前記第1の空間と前記第2の空間とに挟まれた第3の空間とを有するケースと、
前記ケース内に配置され、前記第1の空間と前記第3の空間とに挟まれ、かつ前記他方端側において前記第1の空間と前記第3の空間とを連通する第1の連通口を有する第1の吸音材と、
前記ケース内に配置され、前記第2の空間と前記第3の空間とに挟まれ、かつ前記第1の連通口よりも前記一方端側において前記第2の空間と前記第3の空間とを連通する第2の連通口を有する第2の吸音材と、
前記ケース内に配置され、前記第1の吸音材とで前記第1の空間を挟む第3の吸音材と、
前記ケース内に配置され、前記第2の吸音材とで前記第2の空間を挟む第4の吸音材とを備え、
前記第1の空間と前記第2の空間とが前記第3の空間を挟む方向に沿う前記第1および第2の吸音材の各々の厚みは、前記挟む方向に沿う前記第3および前記第4の吸音材の各々の厚みよりも小さく、前記一方端と前記他方端とが対向する方向に直交する方向に沿う前記第1および前記第2の空間の各々の断面積は、前記直交する方向に沿う前記第3の空間の断面積よりも大きい、消音器。
【請求項2】
前記第1の連通口の開口面積は、前記第3の空間の断面積以上前記第1の空間の断面積以下の寸法を有し、
前記第2の連通口の開口面積は、前記第3の空間の断面積以上前記第2の空間の断面積以下の寸法を有する、請求項1に記載の消音器。
【請求項3】
前記第1の空間に配置されており、かつ前記第1の吸音材に沿う第1の金属板を有する第1の排気通路部材と、
前記第2の空間に配置されており、かつ前記第4の吸音材に沿う第2の金属板を有する第2の排気通路部材と、
前記第3の空間に配置されており、かつ前記第2の吸音材に沿う第3の金属板を有する第3の排気通路部材とをさらに備え、
前記第1の金属板は前記挟む方向に前記第1の金属板を貫通する複数の貫通孔を含み、 前記第2の金属板は前記挟む方向に前記第2の金属板を貫通する複数の貫通孔を含み、 前記第3の金属板は前記挟む方向に前記第3の金属板を貫通する複数の貫通孔を含む、請求項1または2に記載の消音器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の消音器と、
前記消音器に前記燃焼ガスを供給するバーナとを備えた、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音器および燃焼装置に関するものであり、特に、燃焼ガスの燃焼騒音を低減するための消音器およびそれを備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石油給湯器などの燃焼装置において、燃焼ガスの燃焼騒音を低減するための消音器が用いられている。燃焼装置には、たとえば、上から下に向かって噴霧された燃料を燃焼させる逆燃式の燃焼装置がある。この逆燃式の燃焼装置では、バーナの上から下に向かって送風機から燃焼用空気が供給され、バーナにおいて下向きに噴霧された燃料を燃焼させることによって燃焼ガスが上から下に向かって供給される。この燃焼ガスは、バーナの下方に配置された集合筒を通って、集合筒の上方に配置された消音器に下方から流入し、消音器を通って燃焼装置の外に排気される。このように燃焼ガスが消音器を通過することによって燃焼ガスの燃焼騒音が低減される。
【0003】
このような消音器は、たとえば、特開平11−159739号公報(特許文献1)に開示されている。この公報に記載された消音器では、燃焼ガスの排気通路は上下方向に折り返されている。また、排気通路の周囲に吸音材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−159739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載された消音器では、排気通路が上下方向に折り返されることにより排気通路が長くなるため、排気抵抗が大きくなるという問題がある。排気通路を単純に短くすると消音効果が低下するため、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することは困難である。また、吸音材の厚みを単純に薄くすると消音効果が低下するため、消音効果を維持しつつ消音器を小型化することは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ小型化することができる消音器およびそれを備えた燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の消音器は、燃焼ガスの燃焼騒音を低減するための消音器であって、ケースと、第1の吸音材と、第2の吸音材と、第3の吸音材と、第4の吸音材とを備えている。ケースは、受入口と、排気口と、第1の空間と、第2の空間と、第3の空間とを有している。受入口は一方端に設けられ、かつ燃焼ガスを受け入れる。排気口は一方端に対向する他方端に設けられ、かつ燃焼ガスを排気する。第1の空間は受入口に連通し、かつ一方端から他方端に向かって延びる。第2の空間は排気口に連通し、かつ他方端から一方端に向かって延びる。第3の空間は、第1の空間と第2の空間とに挟まれている。第1の吸音材はケース内に配置され、第1の空間と第3の空間とに挟まれ、かつ他方端側において第1の空間と第3の空間とを連通する第1の連通口を有する。第2の吸音材はケース内に配置され、第2の空間と第3の空間とに挟まれ、かつ第1の連通口よりも一方端側において第2の空間と第3の空間とを連通する第2の連通口を有する。第3の吸音材はケース内に配置され、第1の吸音材とで第1の空間を挟む。第4の吸音材はケース内に配置され、第2の吸音材とで第2の空間を挟む。第1の空間と第2の空間とが第3の空間を挟む方向に沿う第1および第2の吸音材の各々の厚みは、挟む方向に沿う第3および第4の吸音材の各々の厚みよりも小さく、一方端と他方端とが対向する方向に直交する方向に沿う第1および第2の空間の各々の断面積は、直交する方向に沿う第3の空間の断面積よりも大きい。
【0008】
本発明の消音器によれば、第1および第2の吸音材の各々の厚みが第3および第4の吸音材の各々の厚みよりも小さいため、消音器の厚みを小さくすることができる。これにより、消音器を小型化することができる。また、第1および第2の空間の各々の断面積が第3の空間の断面積よりも大きいため、第1〜第3の空間の全体の断面積を大きくすることができる。これにより、燃焼ガスの排気抵抗を低減することができる。また、第1の空間の断面積が第3の空間の断面積よりも大きいため、第1の空間から第3の空間に流入した燃焼ガスを圧縮することができる。このため、燃焼ガスの音のエネルギーを高めることができる。この状態で第2の吸音材に燃焼ガスを衝突させることにより音のエネルギーを効果的に低減させることができる。また、第2の空間の断面積が第3の空間の断面積よりも大きいため、第3の空間から第2の空間に流入した燃焼ガスを膨張させることができる。このため、燃焼ガスの音のエネルギーを低減させることができる。したがって、燃焼ガスの燃焼騒音を低減することができる。そのため、第1および第2の吸音材の各々の厚みを第3および第4の吸音材の各々の厚みよりも小さくしても消音効果を維持することができる。以上より、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ小型化することができる。
【0009】
上記の消音器においては、第1の連通口の開口面積は、第3の空間の断面積以上第1の空間の断面積以下の寸法を有し、第2の連通口の開口面積は、第3の空間の断面積以上第2の空間の断面積以下の寸法を有する。このため、燃焼ガスが第1の空間から第3の空間に流入したときに燃焼ガスを圧縮することができ、燃焼ガスが第3の空間から第2の空間に流入したときに燃焼ガスを膨張させることができる。
【0010】
上記の消音器は、第1の排気通路部材と、第2の排気通路部材と、第3の排気通路部材とをさらに備えている。第1の排気通路部材は、第1の空間に配置されており、かつ第1の吸音材に沿う第1の金属板を有している。第2の排気通路部材は、第2の空間に配置されており、かつ第4の吸音材に沿う第2の金属板を有している。第3の排気通路部材は、第3の空間に配置されており、かつ第2の吸音材に沿う第3の金属板を有している。第1の金属板は挟む方向に第1の金属板を貫通する複数の貫通孔を含んでいる。第2の金属板は挟む方向に第2の金属板を貫通する複数の貫通孔を含んでいる。第3の金属板は挟む方向に第3の金属板を貫通する複数の貫通孔を含んでいる。このため、第1の排気通路部材により第1の吸音材を支持することができ、複数の貫通孔から燃焼ガスを第1の吸音材に流入させることができる。第2の排気通路部材により第4の吸音材を支持することができ、複数の貫通孔から燃焼ガスを第4の吸音材に流入させることができる。第3の排気通路部材により第2の吸音材を支持することができ、複数の貫通孔から燃焼ガスを第2の吸音材に流入させることができる。
【0011】
本発明の燃焼装置は、上記の消音器と、消音器に燃焼ガスを供給するバーナとを備えている。このため、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ小型化することができる消音器を備えた燃焼装置を提供することができる。また、消音器を小型化することができるので、燃焼装置も小型化することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ小型化することができる消音器およびそれを備えた燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態における燃焼装置の構成を概略的に示す概略図である。
図2図1のII−II線に沿う部分断面図である。
図3図2のIII−III線に沿う部分断面図である。
図4】本発明の一実施の形態における消音器の第1〜4の吸音材および第1〜3の排気通路部材の配置を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本実施の形態の燃焼装置の構成について説明する。本実施の形態の燃焼装置は、燃焼ガスを排気可能な燃焼装置である。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態の燃焼装置1は、筺体2と、バーナ3と、送風機4と、熱交換器5と、給水配管6、入水口6aと、給湯配管7と、出湯口7aと、集合筒8と、消音器10とを主に有している。
【0016】
筺体2は、バーナ3と、送風機4と、熱交換器5と、給水配管6と、給湯配管7と、集合筒8と、消音器10とを内部に収容可能に構成されている。筺体2の前面に排気用孔EPが配置されている。排気用孔EPは、バーナ3で発生し、送風機4によって熱交換器5に送られてから集合筒8を通って消音器10に到達した燃焼ガスを排気するためのものである。排気用孔EPは、熱交換器5によって熱が回収された燃焼ガスを筺体2の外部に排気可能に構成されている。また、筺体2の側面には給水のための入水口6aと給湯のための出湯口7aとが設けられている。
【0017】
バーナ3は燃焼ガスを供給するためのものである。バーナ3は筺体2内において送風機4の下方に配置されている。バーナ3は、熱交換器5との間で熱交換を行なうための燃焼ガスを発生させて熱交換器5に供給するためのものである。バーナ3は、灯油などの液体燃料を下向きに噴霧して燃焼させる逆燃式の装置である。具体的にはバーナ3はたとえばガンタイプバーナである。
【0018】
送風機4は、バーナ3に対して燃焼に必要な空気を供給するためのものである。送風機4は筺体2内においてバーナ3の上方に配置されている。送風機4は、バーナ3の上方から下向きに燃焼用空気を供給可能に構成されている。具体的には送風機4はたとえばファンである。
【0019】
熱交換器5は顕熱回収型の熱交換器である。高温の燃焼ガスとの熱交換によって熱交換器5内の湯水が加熱される。熱交換器5は筺体2内においてバーナ3の下方に配置されている。熱交換器5の一方端には給水配管6が接続されており、熱交換器5の他方端には給湯配管7が接続されている。
【0020】
入水口6aは給水配管6に接続されており給水配管6を経由して熱交換器5に水を給水可能に構成されている。出湯口7aは給湯配管7に接続されており熱交換器5で温められた温水を給湯可能に構成されている。これにより、入水口6aから給水された水は、給水配管6を経由して熱交換器5を通過する際に燃焼ガスによって加熱されて給湯配管7を経由して出湯口7aから給湯される。
【0021】
集合筒8および消音器10は一連に繋がった燃焼ガス流路を構成している。集合筒8は筺体2内において熱交換器5の下流側に位置している。集合筒8は筺体2内において熱交換器5の下方に配置されている。集合筒8は筺体2の一方側面側から他方側面側に向かって横方向に延在している。集合筒8は、筺体2の一方側面側において熱交換器5に接続されており、筺体2の他方側面側において消音器10に接続されている。
【0022】
消音器10は燃焼ガスの燃焼騒音を低減するための装置である。消音器10は筺体2内において集合筒8の下流側に位置している。消音器10は集合筒8の上方に配置されている。消音器10は集合筒8から筺体2の上面に向かって延在している。消音器10は上部に排気用孔EPを有している。
【0023】
図1中矢印で示すように、バーナ3で発生した燃焼ガスは、送風機4によって下方に送られる。この燃焼ガスは熱交換器5の周囲を通過して熱交換器5内の水と熱交換した後、集合筒8を通って消音器10に供給される。つまり、バーナ3で発生した燃焼ガスは熱交換器5を経由して集合筒8でUターンするように消音器10に導かれる。そして、消音器10に送られた燃焼ガスは消音器10を通って、排気用孔EPから筺体2外に排出される。
【0024】
続いて、図2図4を参照して本実施の形態の消音器10の構成について詳しく説明する。主に図2を参照して、消音器10は、消音部10aと、排気部10bとを有している。消音部10aは燃焼ガスの燃焼騒音を消音するためのものである。排気部10bは消音部10aに連通している。排気部10bは排気用孔EPを有している。排気部10bは消音部10aを通ってきた燃焼ガスを排気用孔EPから筺体2外に排気するためのものである。排気部10bは消音部10aの上方に配置されている。
【0025】
主に図2および図3を参照して、消音器10は、ケース11と、第1〜第6の吸音材21〜26と、第1〜3の排気通路部材31〜33と、側面吸音材40とを主に備えている。ケース11は、正面FSと、背面RSと、天面TSと、底面BSと、第1の側面SS1と、第2の側面SS2とを有している。正面FSは筺体2の前面側に配置されている。背面RSは筺体2の後面側に配置されている。背面RSは正面FSに対向している。天面TSは筺体2の上面側に配置されている。底面BSは筺体2の下面側に配置されている。第1の側面SS1は筺体2の他方側面側に配置されている。第2の側面SS2は筺体2の一方側面側に配置されている。第1の側面SS1と第2の側面SS2とは互いに対向している。第1の側面SS1および第2の側面SS2のそれぞれの前方端に正面FSが接続されている。第1の側面SS1および第2の側面SS2のそれぞれの後方端に背面RSが接続されている。
【0026】
ケース11は、一方端E1と、他方端E2とを有している。他方端E2は一方端E1と対向している。一方端E1はケース11の底面BSを構成している。他方端E2は消音部10aと排気部10bとの仕切り部材を構成している。一方端E1に燃焼ガスを受け入れる受入口11aが設けられている。つまり、ケース11の底面BSに受入口11aが設けられている。他方端E2に燃焼ガスを排気する排気口11bが設けられている。つまり、ケース11の消音部10aと排気部10bとの仕切り部材に排気口11bが設けられている。
【0027】
ケース11は、第1の空間S1と、第2の空間S2と、第3の空間S3とを有している。第1の空間S1は、受入口11aに連通している。第1の空間S1は、一方端E1から他方端E2に向かって延びている。第2の空間S2は、排気口11bに連通している。第2の空間S2は、他方端E2から一方端E1に向かって延びている。第3の空間S3は、第1の空間S1と第2の空間とに挟まれている。
【0028】
第1〜6の吸音材21〜26はそれぞれケース11内に配置されている。第1〜第6の吸音材21〜26は第1〜3の空間S1〜S3を規定するように配置されている。第1〜6の吸音材21〜26は音のエネルギーを吸収する部材である。第1〜6の吸音材21〜26は、たとえばロックウールに熱硬化性樹脂がバインダーとして加えられて板状に成形されたものである。第1および2の吸音材21、22の各々の厚みはたとえば8mmである。第3〜6の吸音材23〜26の各々の厚みはたとえば25mmである。
【0029】
第1の吸音材21は、第1の空間S1と第3の空間S3とに挟まれている。第1の吸音材21は、第1の連通口21aを有している。第1の連通口21aは、一方端E1側において第1の空間S1と第3の空間S3とを連通する。
【0030】
第2の吸音材22は、第2の空間S2と第3の空間S3とに挟まれている。第2の吸音材22は、第2の連通口22aを有している。第2の連通口22aは、第1の連通口21aよりも他方端E2側において第2の空間S2と第3の空間S3とを連通する。
【0031】
第3の吸音材23は、第1の吸音材21とで第1の空間S1を挟んでいる。第3の吸音材23は、ケース11の正面FS側の内面と第1の空間S1との間に配置されている。第4の吸音材24は、第2の吸音材22とで第2の空間S2を挟んでいる。第4の吸音材24は、ケース11の背面RS側の内面と第2の空間S2との間に配置されている。
【0032】
第5の吸音材25は、第1の吸音材21、第2の吸音材23および第3の吸音材23と、ケース11の他方端E2との間に配置されている。第6の吸音材26は、第1の吸音材21、第2の吸音材23および第4の吸音材24と、ケース11の一方端E1との間に配置されている。
【0033】
主に図3を参照して、一方端E1と他方端E2とが対向する方向に直交する方向に沿う第1の空間S1の断面積A1および第2の空間S2断面積A2の各々は、直交する方向に沿う第3の空間S3の断面積A3よりも大きくなっている。これらの断面積A1〜A3はいずれも一方端E1と他方端E2とが対向する方向に直交する断面における断面積である。第1の空間S1の断面積A1および第2の空間の断面積A2の各々と第3の空間S3の断面積A3との比率は2:3から3:4が好ましい。第1の空間S1の断面積A1および第2の空間の断面積A2の各々はたとえば60mm2であり、第3の空間S3の断面積A3はたとえば45mm2である。
【0034】
第1の空間S1と第2の空間S2とが第3の空間S3を挟む方向に沿う第1の吸音材21の厚みT1および第2の吸音材22の厚みT2の各々は、挟む方向に沿う第3の吸音材23の厚みT3および第4の吸音材24の厚みT4の各々よりも小さくなっている。これらの厚みT1〜T4はいずれも一方端E1と他方端E2とが対向する方向に直交する方向の厚みである。第1の吸音材21の厚みT1および第2の吸音材22の厚みT2の各々はたとえば8mmである。第3の吸音材23の厚みT3および第4の吸音材24の厚みT4の各々はたとえば25mmである。
【0035】
主に図2を参照して、第1〜3の排気通路部材31〜33はそれぞれケース11内に配置されている。第1〜3の排気通路部材31〜33は受入口11aから排気口11bに燃焼ガスを流通させるためのものである。第1〜3の排気通路部材31〜33はたとえば金属で形成されている。第1〜3の排気通路部材31〜33はそれぞれ筒状に形成されている。
【0036】
第1の排気通路部材31は第1の空間S1に配置されている。第1の排気通路部材31は、受入口11aに連通している。第1の排気通路部材31は一方端E1から他方端E2に向かって延びている。第1の排気通路部材31は、第1の開口H1および第2の開口H2を有している。第1の開口H1はケース11の一方端E1に配置されている。第2の開口H2は第1の開口H1よりもケース11の他方端E2側に配置されている。第1の開口H1は受入口11aに連通している。第1の排気通路部材31は、第1の開口H1および受入口11aを通じて図1に示す集合筒8に連通している。第2の開口H2は第1の連通口21aに連通している。第1の排気通路部材31は、第2の開口H2および第1の連通口21aを通じて第3の排気通路部材33に連通している。
【0037】
第2の排気通路部材32は第2の空間S2に配置されている。第2の排気通路部材32は、排気口11bに連通している。第2の排気通路部材32は他方端E2から一方端E1に向かって延びている。第2の排気通路部材32は、第3の開口H3および第4の開口H4を有している。第3の開口H3はケース11の他方端E2に配置されている。第4の開口H4は第3の開口H3よりもケース11の一方端E1側に配置されている。第3の開口H3は排気口11bに連通している。第2の排気通路部材32は、第3の開口H3および排気口11bを通じて排気部10bに連通している。第4の開口H4は第2の連通口22aに連通している。第2の排気通路部材32は、第4の開口H4および第2の連通口22aを通じて第3の排気通路部材33に連通している。
【0038】
第3の排気通路部材33は第3の空間S3に配置されている。第3の排気通路部材33は、一方端E1と他方端E2とが対向する方向に延びている。第3の排気通路部材33は、他方端E2側で第1の排気通路部材31に連通し、一方端E1側で第2の排気通路部材32に連通している。第3の排気通路部材33は、第5の開口H5および第6の開口H6を有している。第5の開口H5はケース11の一方端E1側に配置されている。第6の開口H6は第5の開口H5よりもケース11の他方端E2側に配置されている。第6の開口H6は第1の連通口21aに連通している。第3の排気通路部材33は、第6の開口H6および第1の連通口21aを通じて第2の開口H2から第1の排気通路部材31に連通している。第5の開口H5は第2の連通口22aに連通している。第3の排気通路部材33は、第5の開口H5および第2の連通口22aを通じて第4の開口H4から第2の排気通路部材32に連通している。
【0039】
第1の排気通路部材31、第2の排気通路部材32、第3の排気通路部材33によりケース11の一方端E1および他方端E2が対向する方向に折り返すように排気通路が構成されている。このため、図2中矢印で示すように、燃焼ガスは受入口11aおよび第1の開口H1を通って第1の排気通路部材31に流入し、一方端E1から他方端E2側に流れる。この後、燃焼ガスは第2の開口H2、第1の連通口21aおよび第6の開口H6を通って第3の排気通路部材33に流入し、他方端E2側から一方端E1側に流れる。さらに、燃焼ガスは第5の開口H5、第2の連通口22aおよび第4の開口H4を通って第2の排気通路部材32に流入し、一方端E1側から他方端E2に流れ、排気口11bおよび第3の開口H3を通って排気部10bに流入する。
【0040】
主に図3および図4を参照して、第1の連通口21aの開口面積A10は、第3の空間S3の断面積A3以上第1の空間S1の断面積A1以下の寸法を有している。第2の連通口22aの開口面積A20は、第3の空間S3の断面積A3以上第2の空間S2の断面積A2以下の寸法を有している。
【0041】
主に図2および図4を参照して、本実施の形態では、第1の排気通路部材31、第2の排気通路部材32、第3の排気通路部材33のそれぞれの正面FS側の面は貫通孔が形成されていない金属板で構成されており、第1の排気通路部材31、第2の排気通路部材32、第3の排気通路部材33のそれぞれの背面RS側の面はパンチングメタル等の複数の貫通孔THが形成された金属板で構成されている。第1〜3の排気通路部材31〜33の各々は複数の貫通孔THを有する第1〜第3の金属板M1〜M3を有している。第1の排気通路部材31の複数の貫通孔THを有する第1の金属板M1は第1の吸音材21に沿うように配置されている。第2の排気通路部材32の複数の貫通孔THを有する第2の金属板M2は第4の吸音材24に沿うように配置されている。第3の排気通路部材33の複数の貫通孔THを有する第3の金属板M3は第2の吸音材22に沿うように配置されている。
【0042】
主に図2および図3を参照して、第1〜3の排気通路部材31〜33は、第1〜6の吸音材21〜26によって覆われている。また、第1〜3の排気通路部材31〜33は、側面吸音材40によって覆われている。消音部10aにおいて、第1〜3の排気通路部材31〜33とケース11の内面との間に第1〜第6の吸音材21〜26および側面吸音材40が充填されている。
【0043】
側面吸音材40は、音のエネルギーを吸収する部材である。側面吸音材40は、たとえばロックウールに熱硬化性樹脂がバインダーとして加えられて板状に成形されたものである。
【0044】
側面吸音材40は、ケース11内においてケース11と第1〜3の排気通路部材31〜33との間に配置されている。側面吸音材40は、消音部10aにおいて、ケース11の第1の側面SS1の内面と第1〜3の排気通路部材31〜33との間およびケース11の第2の側面SS2の内面と第1〜3の排気通路部材31〜33との間のそれぞれに配置されている。つまり、側面吸音材40はケース11の側面側に配置されている。
【0045】
具体的には、側面吸音材40は、ケース11の第1の側面SS1の内面と第1の排気通路部材31の第1の側面SS1の内面と対向する側面との間、ケース11の第2の側面SS2の内面と第1の排気通路部材31の第2の側面SS2の内面と対向する側面との間にそれぞれ配置されている。側面吸音材40は第1の吸音材21と第3の吸音材23との間にそれぞれ配置されている。
【0046】
また、側面吸音材40は、ケース11の第1の側面SS1の内面と第2の排気通路部材32の第1の側面SS1の内面と対向する側面との間、ケース11の第2の側面SS2の内面と第2の排気通路部材32の第2の側面SS2の内面と対向する側面との間にそれぞれ配置されている。側面吸音材40は第2の吸音材22と第4の吸音材24との間にそれぞれ配置されている。
【0047】
また、側面吸音材40は、ケース11の第1の側面SS1の内面と第3の排気通路部材33の第1の側面SS1の内面と対向する側面との間、ケース11の第2の側面SS2の内面と第3の排気通路部材33の第2の側面SS2の内面と対向する側面との間にそれぞれ配置されている。側面吸音材40は第1の吸音材21と第2の吸音材22との間にそれぞれ配置されている。
【0048】
燃焼ガスの燃焼騒音のうち高周波成分は、第1の排気通路部材31、第2の排気通路部材32、第3の排気通路部材33の背面RS側のそれぞれの金属板に設けられた複数の貫通孔THから第1の吸音材21、第2の吸音材22、第4の吸音材24を通過して吸音される。さらに、燃焼ガスの燃焼騒音のうち高周波成分は、第3の排気通路部材33、第2の排気通路部材32の正面FS側の金属板、ケース11の背面RS側の内面に当たって反射されて再び第1の吸音材21、第2の吸音材22、第4の吸音材24によって吸音される。
【0049】
また燃焼ガスの燃焼騒音のうち低周波成分は、複数の貫通孔THから第1の吸音材21、第2の吸音材22、第4の吸音材24を通過して、それらに接する第5の吸音材25、第6の吸音材26、側面吸音材40によって吸音される。さらに第1の吸音材21によっても吸音される。
【0050】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
再び図1を参照して、燃焼装置1では、バーナ3において燃料が燃焼する際に騒音が発生する。また、逆燃式の燃焼装置1は、噴霧された燃料と燃焼用空気との混合を促進するために、バーナ3において旋回流を発生させる。この旋回流も騒音を発生させるため、逆燃式の燃焼装置1では燃焼による騒音である燃焼騒音が大きくなる。
【0051】
再び図2および図3を参照して、本実施の形態の消音器10によれば、第1および第2の吸音材21、22の各々の厚みT1、T2が第3および第4の吸音材23、24の各々の厚みT3、T4よりも小さいため、消音器10の厚みを小さくすることができる。これにより、消音器10を小型化することができる。また、第1および第2の空間S1、S2の各々の断面積A1、A2が第3の空間S3の断面積A3よりも大きいため、第1〜第3の空間S1〜S3の全体の断面積を大きくすることができる。これにより、燃焼ガスの排気抵抗を低減することができる。また、第1の空間S1の断面積A1が第3の空間S3の断面積A3よりも大きいため、第1の空間S1から第3の空間S3に流入した燃焼ガスを圧縮することができる。このため、燃焼ガスの音のエネルギーを高めることができる。この状態で第2の吸音材22に燃焼ガスを衝突させることにより音のエネルギーを効果的に低減させることができる。また、第2の空間S2の断面積が第3の空間S3の断面積よりも大きいため、第3の空間S3から第2の空間S2に流入した燃焼ガスを膨張させることができる。このため、燃焼ガスの音のエネルギーを低減させることができる。したがって、燃焼ガスの燃焼騒音を低減することができる。そのため、第1および第2の吸音材21、22の各々の厚みT1、T2を第3および第4の吸音材23、24の各々の厚みT3、T4よりも小さくしても消音効果を維持することができる。以上より、消音器10の消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ消音器10を小型化することができる。
【0052】
また、再び図3および図4を参照して、本実施の形態の消音器10においては、第1の連通口21aの開口面積A10は、第3の空間S3の断面積A3以上第1の空間S1の断面積A1以下の寸法を有し、第2の連通口22aの開口面積A20は、第3の空間S3の断面積A3以上第2の空間S2の断面積A2以下の寸法を有する。このため、燃焼ガスが第1の空間S1から第3の空間S3に流入したときに燃焼ガスを圧縮することができ、燃焼ガスが第3の空間S3から第2の空間S2に流入したときに燃焼ガスを膨張させることができる。
【0053】
また、再び図2図3および図4を参照して、本実施の形態の消音器10においては、第1の排気通路部材31は、複数の貫通孔THを有し、第1の吸音材21に沿う第1の金属板M1を有する。第2の排気通路部材32は、複数の貫通孔THを有し、第4の吸音材24に沿う第2の金属板M2を有する。第3の排気通路部材33は、複数の貫通孔THを有し、第2の吸音材22に沿う第3の金属板M3を有する。このため、第1の排気通路部材31により第1の吸音材21を支持することができ、複数の貫通孔THから燃焼ガスを第1の吸音材21に流入させることができる。第2の排気通路部材32により第4の吸音材24を支持することができ、複数の貫通孔THから燃焼ガスを第4の吸音材24に流入させることができる。第3の排気通路部材33により第2の吸音材22を支持することができ、複数の貫通孔THから燃焼ガスを第2の吸音材22に流入させることができる。
【0054】
再び図1を参照して、本発明の燃焼装置1は、上記の消音器10と、消音器10に燃焼ガスを供給するバーナ3とを備えている。このため、消音効果を維持しつつ排気抵抗を低減することができ、かつ小型化することができる消音器10を備えた燃焼装置1を提供することができる。また、消音器10を小型化することができるので、燃焼装置1も小型化することができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 燃焼装置、2 筺体、3 バーナ、4 送風機、5 熱交換器、6 給水配管、6a 入水口、7 給湯配管、7a 出湯口、8 集合筒、10 消音器、10a 消音部、10b 排気部、11 ケース、11a 受入口、11b 排気口、21〜26 第1〜6の吸音材、21a 第1の連通口、22a 第2の連通口、31〜33 第1〜3の排気通路部材、40 側面吸音材、A1〜A3 断面積、A10、A20 開口面積、BS 底面、E1 一方端、E2 他方端、EP 排気用孔、FS 正面、H1〜6 第1〜6の開口、M1〜M3 第1〜第3の金属板、RS 背面、S1〜S3 第1〜3の空間、T1〜T4 第1〜4の吸音材の厚み、TH 貫通孔、TS 天面。
図1
図2
図3
図4