(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1重合体が、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む第3構造単位をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]酸発生体及び[C]溶媒を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[D]酸拡散制御体、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい第2重合体(以下、「[E]重合体」ともいう)、及び[F]偏在化促進剤を含有していてもよく、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
【0012】
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体が構造単位(I)を有することで、解像性、断面形状の矩形性、LWR性能、焦点深度及び膜収縮抑制性に優れる。当該感放射線性樹脂組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、[A]重合体は、高い極性を有する2つの基R
4及びR
5が主鎖の近傍に位置することにより、適度に高い剛直性を有する。その結果、当該感放射線性樹脂組成物によれば、[B]酸発生体から生じる酸の拡散長を適度に短くすることができるので、解像性及びLWR性能に優れる。また、当該感放射線性樹脂組成物によれば、[A]重合体の適度に高い剛直性により、PEB時等のレジスト膜の収縮を抑制できる。さらに、上記剛直性等により、断面形状の矩形性及び焦点深度が向上すると考えられる。
【0013】
[A]重合体は、構造単位(I)以外に、酸解離性基を含む第2構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造若しくはこれらの組み合わせを含む第3構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)、アルコール性水酸基を含む構造単位(IV)、フェノール性水酸基を含む構造単位(V)又はこれらの組み合わせを有することが好ましい。ここで「酸解離性基」とは、カルボキシ基又はフェノール性水酸基の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(V)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、上記各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
【0014】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される。
【0016】
上記式(1)中、Xは、下記式(1−a)又は(1−b)で表される1価の基である。R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。R
3は、水素原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1〜5の整数である。
【0018】
上記式(1−a)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、−CN、−NO
2、炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基、極性基で置換されている炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は−Y−Zで表される1価の基である。Yは、−CO−、−COO−、−SO
2−又は−SO
2O−である。Zは、炭素数1〜30の1価の有機基である。R
6は、水素原子、フッ素原子、−NO
2又はR
4、R
5及びR
6が結合する炭素原子に隣接する炭素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜30の1価の有機基である。R
4、R
5及びR
6のうちの2以上は、互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。Yが複数の場合、複数のYは同一でも異なっていてもよい。Zが複数の場合、複数のZは同一でも異なっていてもよい。*は、第1構造単位のX以外の部分に結合する部位を示す。
【0019】
上記式(1−b)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、−CN、−NO
2、炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基、極性基で置換されている炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は−Y−Zで表される1価の基である。Yは、−CO−、−COO−、−SO
2−又は−SO
2O−である。Zは、炭素数1〜30の1価の有機基である。R
4及びR
5は、互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に環員数3〜20の環構造を形成していてもよい。Yが複数の場合、複数のYは同一でも異なっていてもよい。Zが複数の場合、複数のZは同一でも異なっていてもよい。*は、第1構造単位のX以外の部分に結合する部位を示す。
【0020】
上記R
1及びR
2としては、[A]重合体の共重合性の観点から水素原子が好ましい。
【0021】
上記R
3で表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基等が挙げられる。ここで「ヘテロ原子」とは、炭素原子及び水素原子以外の原子をいう。
【0022】
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0023】
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
【0024】
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
【0025】
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0026】
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば−CO−、−CS−、−O−、−S−、−NR”−、−COO−、−SO
2−、−SO
2O−、又はこれらを組み合わせた基等が挙げられる。R”は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
【0027】
上記置換基としては、例えば
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、イソシアネート基、スルホ基等の極性基などが挙げられる。
【0028】
上記置換基は、カチオン基とアニオンとの組み合わせ、又はアニオン基とカチオンとの組み合わせにより形成されるイオン性基であってもよい。上記カチオン基としては、例えば−(NR
X4)
+、−(SR
X2)
+、−(IR
X)
+等が挙げられる。R
Xは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。上記アニオンとしては、例えばF
−、Cl
−、Br
−、I
−、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸二水素イオン、四フッ化ホウ酸イオン、脂肪族スルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロスルホン酸イオン、六フッ化リン酸イオン、六塩化アンチモン酸イオン等が挙げられる。上記アニオン基としては、例えば−SO
3−、−COO
−等が挙げられる。上記カチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウムカチオンなどが挙げられる。また、上記オニウムカチオンは、後述する[B]酸発生体が含む感放射線性オニウムカチオンであってもよい。
【0029】
上記R
3は、酸解離性基でもよく、非酸解離性基でもよい。また、上記R
3は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0030】
上記R
3としては、非酸解離性基が好ましく、置換又は非置換の炭化水素基がより好ましく、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又はフッ素原子で置換された炭化水素基、及び非置換の炭化水素基がさらに好ましく、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されたアルキル基、及び非置換のアルキル基が特に好ましい。
【0031】
上記R
3の炭素数の下限としては、1が好ましく、2がより好ましい。上記R
3の炭素数の上限としては、20が好ましく、10がより好ましく、5がさらに好ましく、3が特に好ましい。
【0032】
上記R
4及びR
5で表される炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基等の有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基などが挙げられる。
【0033】
上記R
4及びR
5の極性基で置換されている炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば上記1価の炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部が極性基で置換された基などが挙げられる。
【0034】
上記極性基としては、例えばカルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、イソシアネート基、スルホ基等が挙げられる。なお、フッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子は極性基には含まれない。
【0035】
上記Zで表される1価の有機基としては、例えば上記R
3で表される1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
【0036】
上記R
4及びR
5としては、−Y−Zで表される1価の基が好ましい。上記Yとしては、−CO−が好ましい。上記Zとしては、置換又は非置換の炭化水素基が好ましく、フッ素化炭化水素基及び非置換の炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基及びアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロメチル基及びメチル基が特に好ましい。
【0037】
上記R
6で表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば上記R
3で表される1価の有機基と同様の基等が挙げられる。
【0038】
上記R
6としては、水素原子及び炭化水素基が好ましく、水素原子、芳香族炭化水素基及び鎖状炭化水素基がより好ましく、水素原子、アリール基及びアルキル基がさらに好ましく、水素原子、フェニル基、メチル基及びエチル基が特に好ましく、水素原子がさらに特に好ましい。
【0039】
上記R
6で表される有機基の炭素数の上限としては、20が好ましく、10がより好ましく、6がさらに好ましく、3が特に好ましい。
【0040】
上記式(1−a)において、上記R
4、R
5及びR
6のうちの2以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の環構造としては、例えば脂環構造、脂肪族複素環構造、芳香環構造、芳香族複素環構造等が挙げられる。
【0041】
上記脂環構造としては、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造などが挙げられる。
【0042】
上記脂肪族複素環構造としては、例えば
アザシクロペンタン構造、アザシクロへキサン構造等のアザシクロアルカン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造等のオキサシクロアルカン構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロへキサン構造等のチアシクロアルカン構造;
オキサゾリジン、1,4,2−ジオキサゾリジン、チアゾリジン等が挙げられる。
【0043】
上記芳香環構造としては、例えばベンゼン環構造、ナフタレン環構造、アントラセン構造、フェナントレン構造等が挙げられる。
【0044】
上記芳香族複素環構造としては、例えばフラン構造、ピリジン構造、キノリン構造、ピロール構造、インドール構造、カルバゾール構造、チオフェン構造、オキサゾール構造、イソチアゾール構造等が挙げられる。
【0045】
上記式(1−b)において、上記R
4及びR
5が互いに合わせられこれらが結合する窒素原子と共に構成される環員数3〜20の環構造としては、例えば脂肪族複素環構造、芳香族複素環構造等が挙げられる。上記脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造としては、例えば式(1−a)において例示した脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造と同様の構造等が挙げられる。
【0046】
上記nとしては、[A]重合体の主鎖の剛直性をより適度に高める観点から、1及び2が好ましく、1がより好ましい。
【0047】
構造単位(I)としては、例えば下記式(I−1)〜(I−21)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−21)」ともいう)等が挙げられる。
【0050】
上記式(I−1)〜(I−21)中、R
1〜R
3は、上記式(1)と同義である。
【0051】
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、6モル%がさらに好ましく、8モル%が特に好ましい。一方、構造単位(I)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、15モル%がさらに好ましく、12モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性、LWR性能、焦点深度及び膜収縮抑制性をより向上させることができる。
【0052】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば下記式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」ともいう)等が挙げられる。
【0054】
上記式(i)中、R
1〜R
3、X及びnは、上記式(1)と同義である。
【0055】
化合物(i)としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0057】
化合物(i)は、Xが式(1−a)で表される1価の基である化合物(i’)の場合、例えば下記スキームに従い合成することができる。
【化9】
【0058】
上記スキーム中、Jは、ハロゲン原子である。R
1〜R
6及びnは、上記式(1)と同義である。
【0059】
上記Jで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、これらの中で臭素原子が好ましい。
【0060】
上記式(i−a)で表される重合性炭素−炭素二重結合含有化合物と、上記式(i−b)で表される活性メチレン化合物とを、炭酸カリウム等の塩基存在下、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させることにより化合物(i’)を得ることができる。得られた生成物をカラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留等により適切に精製することにより化合物(i’)を単離することができる。
【0061】
化合物(i’)以外の化合物(i)も、同様の方法により合成することができる。
【0062】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、酸解離性基を含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、露光部と未露光部との溶解コントラストを適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をより向上させることができる。
【0063】
構造単位(II)としては、例えば下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)、下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)等が挙げられる。
【0065】
上記式(3−1)中、R
7は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
8は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R
9及びR
10は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
【0066】
上記式(3−2)中、R
11は、水素原子又はメチル基である。L
1は、単結合、−COO−又は−CONH−である。R
12は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R
13及びR
14は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。
【0067】
上記R
7としては、構造単位(II−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0068】
上記R
11としては、構造単位(II−2)を与える単量体の共重合性の観点から、メチル基が好ましい。
【0069】
上記R
8〜R
10及びR
12〜R
14で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記R
3で例示した炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
【0070】
上記R
12、R
13及びR
14で表される炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;
エテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基等のアルキニルオキシ基等の1価のオキシ鎖状炭化水素基等、
シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の単環のシクロアルキルオキシ基;
シクロプロペニルオキシ基、シクロブテニルオキシ基、シクロペンテニルオキシ基等の単環のシクロアルケニルオキシ基;
ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロドデシルオキシ基等の多環のシクロアルキルオキシ基;
ノルボルネニルオキシ基、トリシクロデセニルオキシ基、テトラシクロドデセニルオキシ基等の多環のシクロアルケニルオキシ基等の1価のオキシ脂環式炭化水素基等、
フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基、ナフチルメチルオキシ基等のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
【0071】
上記R
9及びR
10が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造としては、例えば上記R
4、R
5及びR
6で例示した脂環構造と同様の構造等が挙げられる。
【0072】
構造単位(II−1)としては、下記式(3−1−1)〜(3−1−5)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)」ともいう)が好ましい。構造単位(II−2)としては、下記式(3−2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2−1)」ともいう)が好ましい。
【0074】
上記式(3−1−1)〜(3−1−5)中、R
7〜R
10は、上記式(3−1)と同義である。R
8’、R
9’及びR
10’は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。n
pは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
【0075】
上記式(3−2−1)中、R
11〜R
14は、上記式(3−2)と同義である。
【0076】
構造単位(II−1−1)〜(II−1−5)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【化12】
【0078】
上記式中、R
7は、上記式(3−1)と同義である。
【0079】
これらの中で、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1−アルキル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−アルキル−2−テトラシクロドデカン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−(1−シクロヘキシル)−2−プロピル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、t−デカン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び1−アルキル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
【0080】
構造単位(II−2)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0082】
上記式中、R
11は、上記式(3−2)と同義である。
【0083】
構造単位(II−2)としては、p−(1−シクロヘキシルエトキシエトキシ)スチレンに由来する構造単位が好ましい。
【0084】
[A]重合体が構造単位(II)を有する場合、構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましく、40モル%が特に好ましい。一方、構造単位(II)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、70モル%がさらに好ましく、60モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をさらに向上させることができる。
【0085】
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性を適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト膜と基板との密着性を向上させることができる。ここで、ラクトン構造とは、−O−C(O)−で表される基を含む環(ラクトン環)を有する構造をいう。また、環状カーボネート構造とは、−O−C(O)−O−で表される基を含む環(環状カーボネート環)を有する構造をいう。スルトン構造とは、−O−S(O)
2−で表される基を含む環(スルトン環)を有する構造をいう。
【0086】
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0090】
上記式中、R
L1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0091】
構造単位(III)としては、これらの中で、ラクトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、オキシノルボルナンラクトン構造を含む構造単位及びブチロラクトン構造を含む構造単位がより好ましく、ノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、シアノ置換ノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、オキシノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及びブチロラクトン−3−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がさらに好ましい。
【0092】
[A]重合体が構造単位(III)を有する場合、構造単位(III)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、35モル%が特に好ましい。一方、構造単位(III)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、[A]重合体は、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
【0093】
[構造単位(IV)]
構造単位(IV)は、アルコール性水酸基を有する構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(IV)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能を向上させることができる。
【0094】
構造単位(IV)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0096】
上記式中、R
L2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0097】
[A]重合体が構造単位(IV)を有する場合、[A]重合体における構造単位(IV)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、8モル%がさらに好ましい。[A]重合体における構造単位(IV)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、40モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、15モル%が特に好ましい。構造単位(IV)の含有割合を上記範囲とすることで、[A]重合体は、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をより向上させることができる。
【0098】
[構造単位(V)]
構造単位(V)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(V)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能を向上させることができる。また、KrF露光、EUV露光又は電子線露光の場合、当該感放射線性樹脂組成物の感度を高めることができる。
【0099】
構造単位(V)としては、例えば下記式(5)で表される構造単位(以下、「構造単位(V−1)」ともいう)等が挙げられる。
【0101】
上記式(5)中、R
M1は、水素原子又はメチル基である。L
2は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。R
M2は、炭素数1〜20の1価の有機基である。sは、0〜9の整数である。sが2以上の場合、複数のR
M2は同一でも異なっていてもよい。rは、1〜3の整数である。pは、0〜2の整数である。
【0102】
構造単位(V)としては、例えば下記式(5−1)〜(5−6)で表される構造単位(以下、「構造単位(V−1)〜(V−6)」ともいう)等が挙げられる。
【0104】
これらの中で、構造単位(V−1)が好ましい。
【0105】
[A]重合体が構造単位(V)を有する場合、構造単位(V)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がさらに好ましく、35モル%がより好ましく、45モル%が特に好ましい。構造単位(V)の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、80モル%が好ましく、70モル%がさらに好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%が特に好ましい。構造単位(V)の含有割合を上記範囲とすることで、[A]重合体は現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物のKrF露光、EUV露光又は電子線露光の場合の感度をより高めることができる。
【0106】
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(V)以外にもその他の構造単位を有していてもよい。上記その他の構造単位としては、例えば構造単位(I)以外の構造単位であって、フッ素原子を含む構造単位、非解離性の脂環式炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。[A]重合体が上記その他の構造単位を有する場合、上記その他の構造単位の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
【0107】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、特に限定されないが、1,000が好ましく、3,000がより好ましく、5,000がさらに好ましく、7,000が特に好ましい。一方、上記Mwの上限としては、特に限定されないが、40,000が好ましく、20,000がより好ましく、12,000がさらに好ましく、8,000が特に好ましい。上記Mwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性、LWR性能、焦点深度及び膜収縮抑制性をより向上させることができ、また形成されるレジスト膜の耐熱性を向上させることができる。
【0108】
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の下限としては、通常1であり、1.2が好ましく、1.4がより好ましい。一方、上記Mw/Mnの上限としては、5が好ましく、3よりが好ましく、2がさらに好ましく、1.6が特に好ましい。上記Mw/Mnを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性、LWR性能、焦点深度及び膜収縮抑制性をより向上させることができる。
【0109】
なお、本明細書においてMw及びMnは、GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、及び「G4000HXL」1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃の分析条件で、検出器として示差屈折計を使用し、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した値をいう。
【0110】
[A]重合体の含有量の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分中に対して、40質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましく、65質量%が特に好ましい。一方、[A]重合体の含有量の上限としては、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分中に対して、99質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、75質量%が特に好ましい。
【0111】
[[A]重合体の合成方法]
[A]重合体は、例えばラジカル重合開始剤等を用い、各構造単位を与える単量体を適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0112】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル重合開始剤などが挙げられる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0114】
上記重合における反応温度の下限としては、40℃が好ましく、60℃がより好ましく、70℃がさらに好ましい。一方、上記反応温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、100℃がさらに好ましい。上記重合における反応時間の下限としては、30分が好ましく、2時間がより好ましく、4時間がさらに好ましい。一方、上記反応時間の上限としては、48時間が好ましく、24時間がより好ましく、10時間がさらに好ましい。
【0115】
重合反応により得られた重合体は再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより目的の重合体を粉体として回収する。この再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0116】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、「[B]酸発生剤」ともいう)でもよく、重合体の一部として組み込まれた形態でもよく、これらの両方の形態でもよい。
【0117】
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
【0118】
上記オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。
【0119】
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
【0120】
[B]酸発生剤としては、下記式(7)で表される化合物が好ましい。[B]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]重合体が有する極性構造との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能を向上させることができる。
【0122】
上記式(7)中、R
23は、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基又は環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基である。R
24は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。X
+は、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
【0123】
上記R
23で表される環員数6以上の脂環構造を含む1価の基としては、例えば
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
【0124】
上記R
23で表される環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基などが挙げられる。
【0125】
上記R
23で表される基の環員数の下限としては、8が好ましく、9がより好ましく、10がさらに好ましい。一方、上記R
23で表される基の環員数の上限としては、15が好ましく、13がより好ましい。上記R
23で表される基の環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度なものに調整することができる。
【0126】
上記R
23としては、これらの中で、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基及び5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.1
3,8]ウンデカン−イル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0127】
上記R
24で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基の有する水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された基などが挙げられる。これらの中で、SO
3−基に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基が好ましく、SO
3−基に隣接する炭素原子に2個のフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,1−ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1,2−プロパンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基及び1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基がさらに好ましい。
【0128】
上記X
+で表される1価の感放射線性オニウムカチオンは、放射線の照射により分解するカチオンである。露光部では、この感放射線性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記X
+で表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えばS、I、O、N、P、Cl、Br、F、As、Se、Sn、Sb、Te、Bi等の元素を含む感放射線性オニウムカチオンが挙げられる。元素としてS(イオウ)を含むカチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン等が挙げられる。また、元素としてI(ヨウ素)を含むカチオンとしては、例えばヨードニウムカチオン等が挙げられる。これらの中で、下記式(X−1)で表されるスルホニウムカチオン、下記式(X−2)で表されるテトラヒドロチオフェニウムカチオン及び下記式(X−3)で表されるヨードニウムカチオンが好ましい。
【0130】
上記式(X−1)中、R
a1、R
a2及びR
a3は、それぞれ独立して置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R
P若しくは−SO
2−R
Qであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R
P及びR
Qは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して、0〜5の整数である。R
a1〜a3並びにR
P及びR
Qがそれぞれ複数の場合、複数のR
a1は同一でも異なっていてもよく、複数のR
a2は同一でも異なっていてもよく、複数のR
a3は同一でも異なっていてもよく、複数のR
Pは同一でも異なっていてもよく、複数のR
Qは同一でも異なっていてもよい。
【0131】
上記式(X−2)中、R
b1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。R
b1が複数の場合、複数のR
b1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のR
b1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。R
b2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。R
b2が複数の場合、複数のR
b2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のR
b2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。qは、0〜3の整数である。
【0132】
上記式(X−3)中、R
c1及びR
c2は、それぞれ独立して置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R
R若しくは−SO
2−R
Sであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R
R及びR
Sは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して、0〜5の整数である。R
c1、R
c2、R
R及びR
Sがそれぞれ複数の場合、複数のR
c1は同一でも異なっていてもよく、複数のR
c2は同一でも異なっていてもよく、複数のR
Rは同一でも異なっていてもよく、複数のR
Sは同一でも異なっていてもよい。
【0133】
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
【0134】
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0135】
上記R
a1〜R
a3、R
c1及びR
c2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0136】
上記R
b1及びR
b2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0137】
上記アルキル基及び芳香族炭化水素基の有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
【0138】
上記R
a1〜R
a3、R
b1、R
b2、R
c1及びR
c2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO
2−R”及び−SO
2−R”が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
【0139】
上記式(X−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0140】
上記式(X−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0141】
上記式(X−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
【0142】
上記X
+としては、上記式(X−1)で表されるカチオンが好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0143】
上記式(7)で表される[B]酸発生剤としては、例えば下記式(7−1)〜(7−13)で表される化合物(以下、「化合物(7−1)〜(7−13)」ともいう)等が挙げられる。
【0145】
上記式(7−1)〜(7−13)中、X
+は、上記式(7)と同義である。
【0146】
[B]酸発生剤としては、これらの中でも、スルホニウム塩及びテトラヒドロチオフェニウム塩が好ましく、化合物(7−1)、化合物(7−2)、化合物(7−12)及び化合物(7−13)がより好ましい。
【0147】
また、[B]酸発生体が重合体の一部として組み込まれた形態である場合、[B]酸発生体としては、下記式(7−14)で表される構造単位等の上記式(7)の構造が重合体の一部として組み込まれるものも好ましい。
【0149】
上記式(7−14)中、R’は、水素原子又はメチル基である。X
+は、上記式(7)と同義である。
【0150】
当該感放射線性樹脂組成物が[B]酸発生体としての[B]酸発生剤を含有する場合、[B]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましく、7質量部が特に好ましい。一方、[B]酸発生剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、40質量部が好ましく、30質量部がより好ましく、25質量部がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の解像性、断面形状の矩形性及びLWR性能をさらに向上させることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生体を1種単独で又は2種以上を混合して含有していてもよい。
【0151】
<[C]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物に含まれる[C]溶媒としては、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体、必要に応じて加えられる[D]酸拡散制御体、[E]重合体、[F]偏在化促進剤及び後述するその他の任意成分を溶解又は分散できれば特に限定されないが、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0152】
上記アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0153】
上記ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトフェノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のジケトン系溶媒などが挙げられる。
【0154】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0155】
上記エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジ脂肪族エーテル系溶媒;
アニソール、ジフェニルエーテル等の含芳香環エーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0156】
上記エステル系溶媒としては、例えば
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
【0157】
上記炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0158】
[C]溶媒としては、エステル系溶媒、ケトン系溶媒又はこれらの組み合わせが好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒、環状ケトン系溶媒又はこれらの組み合わせがより好ましく、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン又はこれらの組み合わせがさらに好ましい。
【0159】
<[D]酸拡散制御体>
[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する成分である。また、当該感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上するため、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができる。これにより、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。なお、[D]酸拡散制御体の含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、「[D]酸拡散制御剤」ともいう)でもよく、重合体の一部として組み込まれた形態でもよく、これらの両方の形態でもよい。
【0160】
[D]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0161】
上記アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;2,6−ジイソプロピルアニリン等の置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0162】
上記アミド基含有化合物としては、例えばt−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、t−アミル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート等のN−t−アミルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0163】
上記ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0164】
上記含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、4−ヒドロキシ−N−アミロキシカルボニルピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール;モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、N−(2−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル)モルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール等のモルホリン類;1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0165】
これらの中で、アミン化合物及びアミド基含有化合物が好ましく、置換アルキルアニリン及びN−t−アミルオキシカルボニル基含有化合物がより好ましく、t−アミル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート及び2,6−ジイソプロピルアニリンがさらに好ましい。
【0166】
[D]酸拡散制御剤としては、露光により弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基は、未露光部ではアニオンによる酸捕捉機能が発揮されクエンチャーとして機能し、露光部から拡散する酸を捕捉する。一方、露光部においては酸を発生してアニオンが消滅するため、酸捕捉機能がなくなる。すなわち、未露光部のみにおいてクエンチャーとして機能するため、酸解離性基の解離反応のコントラストが向上し、結果として、当該感放射線性樹脂組成物の解像性及びLWR性能をより向上させることができる。光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(D1)で示されるスルホニウム塩化合物、下記式(D2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0168】
上記式(D1)及び式(D2)中、R
25〜R
29は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は−SO
2−R
Aである。R
Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。Q
−及びE
−は、OH
−、R
B−COO
−、R
C−SO
2−N
−−R
B、R
B−SO
3−又は下記式(D3)で表されるアニオンである。R
Bは、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基である。上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。R
Cは、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基である。上記アルキル基及びシクロアルキル基の有する水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。但し、Q
−がR
B−SO
3−の場合、SO
3−が結合する炭素原子にフッ素原子が結合する場合はない。
【0170】
上記式(D3)中、R
30は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
【0171】
上記式(D1)及び(D2)におけるR
25〜R
29としては、水素原子及び−SO
2−R
Aが好ましい。また、上記R
Aとしては、シクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
【0172】
上記R
Bで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、これらの基の水素原子の一部又は全部が置換された基等が挙げられる。
【0173】
上記R
Bで表されるシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基、これらの基の水素原子の一部又は全部が置換された基等が挙げられる。
【0174】
上記R
Bで表されるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、これらの基の水素原子の一部又は全部が置換された基等が挙げられる。
【0175】
上記R
Bで表されるアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、これらの基の有する水素原子の一部又は全部が置換された基等が挙げられる。
【0176】
上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアルカリール基の有する置換基としては、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ラクトン基、アルキルカルボニル基等が挙げられる。
【0177】
上記R
Cで表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0178】
上記R
Cで表されるシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0179】
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
【0181】
これらの中でも、トリフェニルスルホニウムサリチレート及びトリフェニルスルホニウムカンファースルホナートが好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレートがより好ましい。
【0182】
当該感放射線性樹脂組成物が[D]酸拡散制御体としての[D]酸拡散制御剤を含有する場合、[D]酸拡散制御剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、1.5質量部がさらに好ましく、2質量部が特に好ましい。一方、[D]酸拡散制御剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、20質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、7質量部がさらに好ましく、4質量部が特に好ましい。
【0183】
<[E]重合体>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率(質量%)が大きい[E]重合体を含有していてもよい。当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有すると、レジスト膜を形成した際に、膜中の[E]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があるため、後述する液浸露光等の際における[B]酸発生体、[D]酸拡散制御体等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[E]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなるため、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、
13C−NMR分析により求めた重合体の構造から算出することができる。
【0184】
[E]重合体は、フッ素原子を構造中に含む単量体を1種類以上重合することにより形成される。上記フッ素原子を構造中に含む単量体としては、主鎖にフッ素原子を含む重合体を与える単量体、側鎖にフッ素原子を含む重合体を与える単量体、主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む重合体を与える単量体等が挙げられる。
【0185】
主鎖にフッ素原子を含む重合体を与える単量体としては、例えばα−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1つ以上のビニル部位の水素がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された化合物等が挙げられる。
【0186】
側鎖にフッ素原子を含む重合体を与える単量体としては、例えばノルボルネンのような脂環式オレフィン化合物の二重結合を含まない部位にフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基が結合したもの、アクリル酸又はメタクリル酸とフルオロアルキル基又はその誘導基とのエステル化合物、1つ以上のオレフィンの二重結合を含まない部位にフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基が結合したもの等が挙げられる。
【0187】
主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む重合体を与える単量体としては、例えばα−フルオロアクリル酸、β−フルオロアクリル酸、α,β−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等とフルオロアルキル基又はその誘導基とのエステル化合物、1つ以上のビニル部位の水素がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換された化合物の二重結合を含まない部位にフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基が結合したもの、1つ以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素をフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換し、かつ二重結合を含まない部位にフルオロアルキル基又はその誘導基が結合したもの等が挙げられる。なお、上記脂環式オレフィン化合物とは、環の一部が二重結合である化合物を示す。
【0188】
[E]重合体が有する構造単位としては、例えば下記式(E1)で表される構造単位(以下、「構造単位(E−I)」ともいう)が挙げられる。
【0190】
上記式(E1)中、R
E1は、水素、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
E2は2価の連結基である。R
E3は少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基である。
【0191】
上記R
E2で表される2価の連結基としては、例えば単結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレタン基等が挙げられる。
【0192】
構造単位(E−I)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0193】
[E]重合体は、構造単位(E−I)を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。構造単位(E−I)の含有割合の下限としては、[E]重合体における全構造単位を100モル%とした場合に、通常5モル%であり、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。構造単位(E−I)の含有割合の上限としては、[E]重合体における全構造単位を100モル%とした場合に、50モル%が好ましく、40モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。構造単位(E−I)の含有割合を上記範囲とすることで、十分な後退接触角を得ることができる。
【0194】
[E]重合体は、構造単位(E−I)以外に、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(E−II)」ともいう)を有することが好ましい。構造単位(E−II)としては、例えば[A]重合体における構造単位(II)と同様のもの等が挙げられる。[E]重合体は、構造単位(E−II)を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。構造単位(E−II)の含有割合の下限としては、[E]重合体における全構造単位を100モル%とした場合に、30モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、65モル%がさらに好ましい。構造単位(E−II)の含有割合の上限としては、[E]重合体における全構造単位を100モル%とした場合に、95モル%が好ましく、85モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましい。
【0195】
[E]重合体のMwの下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、4,000がさらに好ましく、7,000が特に好ましい。一方、[E]重合体のMwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、10,000がさらに好ましく、8,000が特に好ましい。[E]重合体のMwを上記範囲とすることで、十分な前進接触角を得ることができ、さらに現像性を向上させることができる。
【0196】
[E]重合体のMw/Mnの下限としては、通常1であり、1.2が好ましく、1.4がより好ましい。一方、[E]重合体のMw/Mnの上限としては、通常5であり、3が好ましく、2.3がより好ましい。
【0197】
[E]重合体は、例えばラジカル重合開始剤を使用して所定の各構造単位を与える単量体を適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0198】
当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合、[E]重合体の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましく、2.5質量部が特に好ましい。一方、[E]重合体の含有量の上限としては、50質量部が好ましく、20質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましく、5質量部が特に好ましい。当該感放射線性樹脂組成物における[E]重合体の含有量を上記範囲とすることにより、得られるレジスト膜表面の撥水性及び溶出抑制性をより高めることができる。
【0199】
[[F]偏在化促進剤]
[F]偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合等に、この[E]重合体をより効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有するものである。当該感放射線性樹脂組成物にこの[F]偏在化促進剤を含有させることで、上記[E]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、LWR性能等を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出をさらに抑制し、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を抑制するレジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。このような[F]偏在化促進剤として用いることができるものとしては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
【0200】
上記ラクトン化合物としては、例えばブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。上記カーボネート化合物としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。上記ニトリル化合物としては、例えばスクシノニトリル等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、例えばグリセリン等が挙げられる。
【0201】
当該感放射線性樹脂組成物が[F]偏在化促進剤を含有する場合、[F]偏在化促進剤の含有量の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物における重合体の総量100質量部に対して、10質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましく、25質量部が特に好ましい。一方、[F]偏在化促進剤の含有量の上限としては、当該感放射線性樹脂組成物における重合体の総量100質量部に対して、200質量部が好ましく、100質量部がさらに好ましく、60質量部がより好ましく、40質量部が特に好ましい。
【0202】
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、上記[A]〜[F]成分以外にも、その他の任意成分を含有できる。上記その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分をそれぞれ1種単独で又は2種以上を混合して含有していてもよい。
【0203】
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤の市販品としては、例えばKP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該感放射線性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、通常2質量部である。
【0204】
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、当該感放射線性樹脂組成物により形成されるレジストパターのドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0205】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。これらの脂環式骨格含有化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該感放射線性樹脂組成物が脂環式骨格含有化合物を含有する場合、脂環式骨格含有化合物の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、通常5質量部である。
【0206】
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0207】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。当該感放射線性樹脂組成物が増感剤を含有する場合、増感剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、通常2質量部である。
【0208】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒、必要に応じて含有される[D]酸拡散制御体、[E]重合体、[F]偏在化促進剤及びその他の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは孔径0.2μm程度のメンブレンフィルター等で濾過することにより調製することができる。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、4質量%が特に好ましい。一方、上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、25質量%がより好ましく、15質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。
【0209】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)を備え、上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成する。以下、各工程について説明する。
【0210】
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する。レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
【0211】
塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。形成されるレジスト膜の膜厚の下限としては、5nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、上記膜厚の上限としては、1,000nmが好ましく、500nmがより好ましい。
【0212】
当該感放射線性樹脂組成物を塗布した後、必要に応じてプレベーク(PB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。上記PB温度の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、30℃が好ましく、60℃がより好ましい。一方、上記PB温度の上限としては、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、200℃が好ましく、120℃がより好ましい。上記PB時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。一方、上記PB時間の上限としては、600秒が好ましく、200秒がより好ましい。
【0213】
環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。さらに、レジスト膜からの酸発生体等の流出を防止するために、例えば特開2005−352384号公報等に開示されている液浸用保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
【0214】
[露光工程]
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成したレジスト膜を露光する。この露光としては、例えば所望の領域にアイソラインパターンマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、アイソトレンチパターンを形成できる。また、露光は所望のパターンとマスクパターンとによって2回以上行ってもよい。2回以上露光を行う場合、露光は連続して行うことが好ましい。複数回露光する場合、例えば所望の領域にラインアンドスペースパターンマスクを介して第1の縮小投影露光を行い、続けて第1の露光を行った露光部に対してラインが交差するように第2の縮小投影露光を行う。第1の露光部と第2の露光部とは直交することが好ましい。直交することにより、露光部で囲まれた未露光部において真円状のコンタクトホールパターンが形成しやすくなる。
【0215】
露光方法としては液浸露光が好ましい。液浸露光とすることで、当該感放射線性樹脂組成物によって形成されたレジスト膜の現像前後における接触角の変化及び現像欠陥抑制性の効果を発揮させることができる。なお、露光の際に用いられる液浸液としては水やフッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤を僅かな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
【0216】
露光に使用される放射線としては、[B]酸発生体の種類に応じて適宜選択されるが、例えば紫外線、遠紫外線、極端紫外線、可視光線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中で、遠紫外線、極端紫外線及び電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザーがさらに好ましい。露光量等の露光条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択される。当該パターン形成方法においては露光工程を複数回有してもよく、複数回の露光は同じ光源を用いても異なる光源を用いても良いが、1回目の露光にはArFエキシマレーザー光を用いることが好ましい。
【0217】
また、露光後にPEBを行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、当該感放射線性樹脂組成物中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行できる。上記PEB温度の下限としては、30℃が好ましく、50℃がより好ましく、70℃がさらに好ましい。一方、上記PEB温度の上限としては、200℃が好ましく、170℃がより好ましく、120℃がさらに好ましい。上記PEB時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。一方、上記PEB時間の上限としては、600秒が好ましく、200秒がより好ましい。
【0218】
[現像工程]
本工程では、現像液を用い、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンが形成される。上記現像液としては、例えばアルカリ現像液、有機溶媒を主成分とする現像液等が挙げられる。ここで「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。上記現像液は形成するパターン形状に応じて選択することができる。マスクパターンを露光によりレジスト膜上に投影した時に、光照射強度の強い領域をアルカリ性の水溶液で現像することにより、所定の閾値以上の露光部が溶解及び除去されることによってポジ型のレジストパターンを形成することができる。一方、マスクパターンを露光によりレジスト膜上に投影した時に、光照射強度の弱い領域を有機溶媒を主成分とする現像液で現像することにより、所定の閾値以下の露光部が溶解及び除去されることによってネガ型のレジストパターンを形成することができる。所望する解像性やパターン形状に応じてこれらの現像液を組み合わせて現像することもできる。
【0219】
上記アルカリ現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物からなる群より選択される少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液などが挙げられる。上記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解してしまうおそれがある。上記アルカリ性水溶液には、有機溶媒を添加することもできる。
【0220】
上記有機溶媒を主成分とする現像液に含有される有機溶媒としては、上記溶媒[C]で例示したものと同様の有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。有機溶媒を主成分とする現像液に含有される有機溶媒の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、99質量%がさらに好ましい。上記含有量を上記下限以上とすることで、良好な現像特性を得ることができ、よりリソグラフィー特性に優れるパターンを形成することができる。なお、有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
【0221】
上記現像液としては、有機溶媒を主成分とする現像液が好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は膜収縮抑制性に優れるため、ネガ型のレジストパターンを形成した後にPEBを行っても膜収縮が発生しにくい。そのため、当該感放射線性樹脂組成物により形成されるレジスト膜は、有機溶媒を主成分とする現像液による現像に好適に用いることができる。
【0222】
上記現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることができる。
【0223】
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0224】
上記現像後に、形成されたレジストパターンをリンス液により洗浄するとよい。アルカリ現像の場合、リンス液としては、水が好ましく、純水がより好ましい。有機溶媒現像の場合、リンス液としては、アルコール系溶媒及びエステル系溶媒が好ましく、炭素数6〜8の1価のアルコール系溶媒がより好ましく、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール及び4−メチル−2−ペンタノールがさらに好ましい。
【0225】
洗浄処理の方法としては、例えば一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【実施例】
【0226】
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各測定は、下記の方法により行った。
【0227】
[Mw及びMn]
GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」:2本、「G3000HXL」:1本及び「G4000HXL」:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。また、Mw/Mnは、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0228】
[
13C−NMR分析]
日本電子社の「JNM−ECX400」を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
【0229】
<化合物の合成>
[合成例1](化合物(M−1)の合成)
300mLの丸底フラスコに炭酸カリウム17.2g(124.3mmol)、下記式(m−1)で表される化合物12.2g(108.8mmol)及びテトラヒドロフラン100mLを加え室温で撹拌を開始した。そこへ、下記式(m−2)で表される化合物20.0g(103.6mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した後、50℃で10時間撹拌した。吸引ろ過で塩を除去し溶媒を留去した後、酢酸エチルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより下記式(M−1)で表される化合物16.2g(収率70%)を得た。
【0230】
【化29】
【0231】
[合成例2〜19](化合物(M−2)〜(M−19)の合成)
前駆体を適宜選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、下記式(M−2)〜(M−19)で表される化合物を合成した。
【0232】
【化30】
【0233】
<[A]重合体及び[E]重合体の合成>
各実施例及び比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
【0234】
【化31】
【0235】
[合成例20](重合体(A−1)の合成)
化合物(M’−2)9.37g(50モル%)、化合物(M’−1)8.49g(40モル%)及び化合物(M−1)2.14g(10モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてAIBN0.78g(全単量体に対して5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、さらにろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(15.7g、収率79%)。重合体(A−1)のMwは7,300、Mw/Mnは1.54であった。
13C−NMR分析の結果、化合物(M’−2)、化合物(M’−1)及び化合物(M−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50.1モル%、40.2モル%及び9.7モル%であった。
【0236】
[合成例21〜46](重合体(A−2)〜(A−27)の合成)
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用い、合成例20と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−27)を合成した。なお、使用する単量体の合計質量は20gとした。
【0237】
[合成例47](重合体(A−28)の合成)
化合物(M’−3)44.55g(50モル%)、化合物(M’−2)43.13g(40モル%)、化合物(M−1)12.32g(10モル%)、ラジカル重合開始剤としてAIBN4.51g(全単量体に対して5モル%)及びt−ドデシルメルカプタン1、14gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで、上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、更に、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶剤及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−28)を得た(62.1g、収率70%)。重合体(A−28)のMwは7,200であり、Mw/Mnは1.88であった。
13C−NMR分析の結果、化合物(M’−3)、化合物(M’−2)及び化合物(M−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ50.2モル%、40.1モル%及び9.7モル%であった。
【0238】
[合成例48](重合体(CA−1)の合成)
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用い、合成例20と同様の操作を行うことによって、重合体(CA−1)を合成した。なお、使用する単量体の合計質量は20gとした。
【0239】
重合体(A−1)〜(A−28)及び(CA−1)の合成に用いた単量体の種類及び使用量を下記表1に示す。下記表1には、重合体の各構造単位の含有割合(モル%)、収率(%)、Mw及びMw/Mnを合わせて示す。なお、表1中の「−」は、該当する単量体を用いなかったことを示す。
【0240】
【表1】
【0241】
[合成例49](重合体(E−1)の合成)
化合物(M’−12)71.67g(70モル%)及び化合物(M’−13)28.33g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、ラジカル重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート4.61g(全単量体に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次いで、100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。重合溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンで上記重合溶液を均一に希釈し、600gのメタノールを投入して混合した。
【0242】
次いで、30gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。その後、下層を回収し、固形分である重合体(E−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(E−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であった。
13C−NMR分析の結果、化合物(M’−12)及び化合物(M’−13)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。
【0243】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
下記実施例1〜31及び比較例1の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]溶媒、[D]酸拡散制御剤及び[F]偏在化促進剤を以下に示す。
【0244】
[[B]酸発生剤]
各構造式を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
【0245】
【化32】
【0246】
[[C]溶媒]
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
【0247】
[[D]酸拡散制御剤]
各構造式を以下に示す。
D−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
D−4:2,6−ジi−プロピルアニリン
D−5:トリn−ペンチルアミン
【0248】
【化33】
【0249】
[[F]偏在化促進剤]
F−1:γ−ブチロラクトン
【0250】
[実施例1](感放射線性樹脂組成物(J−1)の調製)
[A]重合体としての重合体(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,240質量部及び(C−2)960質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)2.3質量部、[E]重合体としての重合体(E−1)3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
【0251】
[実施例2〜31及び比較例1](感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−31)及び(CJ−1)の調製)
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0252】
【表2】
【0253】
<レジストパターンの形成(1)>
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥させてポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量とした。
【0254】
<レジストパターンの形成(2)>
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
【0255】
<評価>
各感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度を下記方法に従い評価した。これらの評価結果を下記表3に示す。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。
【0256】
[LWR性能]
レジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほどラインのガタつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、3.6nm以下の場合は「良好」と、3.6nmを超える場合は「不良」と評価できる。
【0257】
[解像性]
上記最適露光量において解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定結果を解像性(nm)とした。解像性は、その値が小さいほどが良いことを示す。解像性は、34nm以下の場合は「良好」と、34nmを超える場合は「不良」と評価できる。
【0258】
[断面形状の矩形性]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向の中間での線幅Lb及び膜の上部での線幅Laを測定した。断面形状の矩形性は、0.9≦La/Lb≦1.1である場合は「良好」と、上記範囲外である場合は「不良」と評価できる。
【0259】
[焦点深度]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%以上110%以下に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定結果を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、その値が大きいほど、焦点の位置が変動した際に得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができるため、良いことを示す。焦点深度は、45nm以上の場合は「良好」と、45nm未満の場合は「不良」と評価できる。
【0260】
【表3】
【0261】
表3の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物は、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度に優れることが示された。一方、比較例の感放射線性樹脂組成物は、上記性能が実施例のものに対していずれも劣っていることが示された。
【0262】
[PEBによる膜収縮率]
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製した各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJで全面露光を行った後に膜厚測定を実施し膜厚Aを求めた。続いて、90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し膜厚Bを求めた。このとき、100×(A−B)/A(%)を求め、これをPEBによる膜収縮率(%)とした。これらの結果を下記表4に示す。PEBによる膜収縮率は、その値が小さいほど良いことを示す。PEBによる膜収縮率は、20%以下の場合は「良好」と、20%を超える場合は「不良」と評価できる。
【0263】
【表4】
【0264】
表4の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物は、PEBによる膜収縮率が小さい、すなわち膜収縮抑制性に優れることが示された。一方、比較例の感放射線性樹脂組成物は、膜収縮抑制性が実施例のものに対して大きい、すなわち膜収縮抑制性に劣ることが示された。
【0265】
[実施例32](感放射線性樹脂組成物(J−32)の調製)
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]溶媒としての(C−1)4,280質量部及び(C−2)1,830質量部及び[D]酸拡散制御剤としての(D−1)3.6質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−32)を調製した。
【0266】
[実施例33〜35及び比較例2](感放射線性樹脂組成物(J−33)〜(J−35)及び(CJ−2)の調製)
下記表5に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、実施例32と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0267】
【表5】
【0268】
<レジストパターンの形成(3)>
8インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、表5に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm
2)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥させてポジ型のレジストパターンを形成した。
【0269】
<レジストパターンの形成(4)>
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
【0270】
<評価>
各感放射線性樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンについて、LWR性能を下記方法に従い評価し、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度を実施例1〜31と同様の方法で評価した。これらの結果を下記表6に示す。
【0271】
[LWR性能]
LWR性能の判定基準を下記の通りに変更した以外は、上述のLWR性能の評価と同様の方法で評価を行った。LWR性能は、5nm以下の場合は「良好」と、5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
【0272】
【表6】
【0273】
表6の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物は、LWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度に優れることが示された。一方、比較例の感放射線性樹脂組成物は、上記性能が実施例のものに対していずれも劣っていることが示された。