特許第6369380号(P6369380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369380
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】組電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20180730BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 10/637 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20180730BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M10/625
   H01M10/637
   H01M10/643
   H01M10/653
   H01M10/6571
   H01M2/10 E
   H01M2/10 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-86584(P2015-86584)
(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-207405(P2016-207405A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】草場 幸助
(72)【発明者】
【氏名】木村 健治
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221689(JP,A)
【文献】 特開2006−012814(JP,A)
【文献】 特開平09−115498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
前記閉塞材は、互いに接着剤で接着された一対の弾性部材からなり、引張り力が加わった状態で前記開口に充填されており、前記接着剤は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する性質をもつことを特徴とする組電池装置。
【請求項2】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
前記閉塞材は、前記開口に充填されており、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに膨張する膨張材を含む膨張材含有接着剤からなることを特徴とする組電池装置。
【請求項3】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
前記閉塞材は、前記開口を被覆する樹脂製の蓋体であって、前記蓋体は、前記開口を開いた状態で前記隔壁と一体に成形された後に前記開口を被覆するように曲げ加工が施されてなることを特徴とする組電池装置。
【請求項4】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
前記閉塞材は、第1金属板と、前記第1金属板よりも熱膨張係数の大きな第2金属板とを張り合わせてなるバイメタル材であって、
前記第2金属板を前記開口側に向けて配設された前記バイメタル材で前記開口が閉塞されていることを特徴とする組電池装置。
【請求項5】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
複数の電池モジュールを備え、
前記各電池モジュールは、複数の電池と、前記複数の電池を保持するホルダと、前記複数の電池を収容する収容空間を形成するケースと、前記ケースの端部に設けられた前記隔壁と、前記隔壁の先端に設けられた前記開口形成部とを備え、
隣り合う前記電池モジュールの間には、隣り合う前記電池モジュールの前記ホルダと前記隔壁とにより囲まれた前記昇温閉空間が設けられており、
前記隣り合う前記電池モジュールの前記開口形成部の間には、前記閉塞材で閉塞された前記開口が設けられていることを特徴とする組電池装置。
【請求項6】
電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、
前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられ、
前記過熱防止構造体は、前記隔壁に設けられた開口形成部と、前記開口形成部に囲まれた開口と、前記開口を塞ぐ閉塞材とを備え、前記閉塞材は、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに前記開口を開けるように構成され、
前記電池モジュールは、電池から発生し得るガスを外部に流出させるガス通路を形成するカバーを備え、
前記カバーの下方には、前記昇温閉空間を隔てて下側隔壁が配設されており、
前記カバーは、前記下側隔壁とともに前記昇温閉空間を囲むカバー側隔壁を構成してなり、
前記下側隔壁と前記カバー側隔壁との相対する部分はそれぞれ前記開口形成部が設けられており、前記下側隔壁の前記開口形成部と前記カバー側隔壁の前記開口形成部との間には、前記閉塞材で閉塞された前記開口が設けられていることを特徴とする組電池装置。
【請求項7】
複数の電池モジュールを備え、
前記各電池モジュールは、複数の電池と、前記複数の電池を保持するホルダと、前記複数の電池を収容する収容空間を形成するケースと、前記ケースの端部に設けられた前記隔壁と、前記隔壁の先端に設けられた前記開口形成部とを備え、
隣り合う前記電池モジュールの間には、隣り合う前記電池モジュールの前記ホルダと前記隔壁とにより囲まれた前記昇温閉空間が設けられており、
前記隣り合う前記電池モジュールの前記開口形成部の間には、前記閉塞材で閉塞された前記開口が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の組電池装置。
【請求項8】
前記電池モジュールは、電池から発生し得るガスを外部に流出させるガス通路を形成するカバーを備え、
前記カバーの下方には、前記昇温閉空間を隔てて下側隔壁が配設されており、
前記カバーは、前記下側隔壁とともに前記昇温閉空間を囲むカバー側隔壁を構成してなり、
前記下側隔壁と前記カバー側隔壁との相対する部分はそれぞれ前記開口形成部が設けられており、前記下側隔壁の前記開口形成部と前記カバー側隔壁の前記開口形成部との間には、前記閉塞材で閉塞された前記開口が設けられている請求項1又は2に記載の組電池装置。
【請求項9】
前記閉塞材は、前記開口に充填されており、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する熱可塑性樹脂からなる請求項5又は6に記載の組電池装置。
【請求項10】
前記閉塞材は、前記開口に充填されており、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する樹脂材からなる発泡体である請求項5又は6に記載の組電池装置。
【請求項11】
前記閉塞材は、前記開口に充填されており、前記昇温閉空間が所定温度以上となったときに熱分解するか又は熱溶融する熱硬化性樹脂からなる請求項5又は6に記載の組電池装置。
【請求項12】
前記閉塞材は、所定温度以上で軟化、溶融、又は燃焼する薄膜であって、前記開口を被覆している請求項5に記載の組電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇温機能付きの組電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機の駆動力で走行する電気自動車や、内燃機関と電動機との双方の駆動力で走行するハイブリッド車には、電源装置として、複数の電池を配置した組電池装置が搭載されている。組電池装置は、常温又は高温で効率よく作動する。このため、低温環境下では、組電池装置を昇温させることが必要とされる。
【0003】
そこで、従来、特許文献1に開示されているように、電池の温度を上昇させるために、金属板を介して発熱体から電池に熱を伝えることが開示されている。特許文献1では、発熱体の温度を制御することにより、過熱による電池の破損は生じないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−306552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、発熱体が制御不良を起こした時には、電池が過熱し続け、熱により電池が破損する可能性がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、発熱体制御不良の際に電池の過熱を防止することができる組電池装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の組電池装置は、電池モジュールと、発熱体と、隔壁で囲まれ前記発熱体により加熱されることにより前記電池モジュールを昇温させ得る昇温閉空間と、を備える組電池装置であって、前記昇温閉空間を囲む前記隔壁には、前記昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、昇温閉空間を区画する隔壁には、昇温閉空間の過熱を防止する過熱防止構造体が設けられている。このため、発熱体制御不良の際に過熱防止構造体により昇温閉空間の過熱が防止される。ゆえに、電池の過熱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態の組電池装置の断面図である。
図2】第1の実施形態の組電池装置の平面図である。
図3】第1の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図4】第1の実施形態において、過熱防止構造体を製造するために、弾性部材を固定した開口形成部の断面図である。
図5図4に続く、弾性部材同士を接着したときの開口形成部の断面図である。
図6】第1の実施形態において、過熱時に弾性部材間の接着剤が破断したときの開口形成部の断面図である。
図7】第2の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図8】第3の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図9】第4の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図10】第6の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図11】第6の実施形態において、過熱防止構造体を製造するために、隔壁と共に成形された蓋体の断面図である。
図12】第7の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図13】第7の実施形態において、過熱時に変形したバイメタル材の断面図である。
図14】第8の実施形態の過熱防止構造体の断面図である。
図15】第9の実施形態の組電池装置の断面図である。
図16】第9の実施形態において、過熱により閉塞材が破壊したときの組電池装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の組電池装置は、図1に示すように、複数の電池モジュール1と、発熱体5と、隔壁で囲まれた昇温閉空間50と、過熱防止構造体6とを備える。
【0011】
図1図2に示すように、複数の電池モジュール1は、互いに直列に配列されている。各電池モジュール1は、電池群11、ホルダ12、セパレータ13、バスバー14、15及びケース2を有する。電池群11は、複数の電池10からなる。複数の電池10は、長手方向を引き揃えて互いに並列に配列されている。電池群11の中の電池10は、円筒形をなし、軸方向両側の端部にそれぞれ端子10aをもつ。
【0012】
ホルダ12は、アルミニウムなどの金属からなり、電池10の数に対応した保持穴12aをもつ。保持穴12aには、電池10の下部が挿入されている。保持穴12aの内周面には、接着剤16により電池10の下部が固定されている。
【0013】
ホルダ12の上側には、絶縁樹脂製のケース2が配設されている。ケース2は、天井壁21と、側壁22と、側壁22から延設された隔壁23と、天井壁21及び側壁22により囲まれた収容空間17とを有する。収容空間17には電池群11が収容されている。側壁22の下端には、収容空間17と反対側に向けて屈曲された隔壁23が設けられている。隔壁23の収容空間17に近い部分は、ホルダ12の上面周縁に当接している。
【0014】
ホルダ12の下側には、絶縁樹脂製のセパレータ13が配置されている。セパレータ13と、ケース2の天井壁21には、各電池10の端子を露出させる開口穴13a、21aが形成されている。セパレータ13の下側及びケース2の天井壁21の上側には、それぞれバスバー14、15が配置されている。バスバー14、15は、電池10の端子10aが位置する部分に接続用穴14a、15aが開口している。バスバー14、15は、接続用穴14a、15aを通じて、タブやボンディングワイヤーなどの図略の導電部材により電池10の端子10aと電気的に接続されている。
【0015】
図1に示すように、隣り合う電池モジュール1の間には、金属製の基板51が配設されている。基板51の両端部は、隣り合う電池モジュール1のセパレータ13の端縁部に接着剤により固定されている。基板51の上面には発熱体5が固定されている。発熱体5は、電池10を作動に適した温度(例えば、−10〜10℃)にする。
【0016】
隣り合う電池モジュール1のホルダ12と隔壁23と基板51とは、発熱体5を収容した昇温閉空間50を囲み、昇温閉空間50と外部とを区画している。昇温閉空間50は、発熱体5により所定の温度に加熱される。
【0017】
昇温閉空間50は、ケース2に設けられた隔壁23で囲まれている。隣り合う電池モジュール1を組み付けることで昇温閉空間50が形成される。昇温閉空間50は、隣り合う電池モジュール1の間に配置されており、しかも金属製で熱伝導性のよいホルダ12に囲まれている。
【0018】
発熱体5は、発熱体5の過熱を防止する機能を備えている。しかし、発熱体5の過熱防止機能が故障した時には、発熱体5によって昇温閉空間50が過剰な高温となる場合がある。昇温閉空間50を囲む隔壁23には、昇温閉空間50の過熱を防止する過熱防止構造体6が設けられている。過熱防止構造体6は、昇温閉空間50の過熱を防止する構造を有する。この場合、過熱防止構造体6は、昇温閉空間50の過熱を防止する。
【0019】
図3に示すように、過熱防止構造体6は、開口形成部25と、開口形成部25に設けられた開口60と、開口60を閉塞する閉塞材7とを備えている。開口形成部25は、隔壁23の先端を屈曲して形成されている。隣り合う電池モジュール1の開口形成部25は、開口60を介して互いに向かい合っている。
【0020】
閉塞材7は、開口60を閉塞している。閉塞材7は、昇温閉空間50が所定温度以上(例えば100℃以上)となったときに開口60を開けるように構成されている。閉塞材7は、開口60に配置された一対の弾性部材71からなる。一対の弾性部材71は、張力が加わった状態で、一対の弾性部材71の互いに向かい合う一端同士で互いに接着されている。一対の弾性部材71の他端は、それぞれ開口形成部25に固定されている。
【0021】
弾性部材71は、過熱時の所定の温度領域で軟化又は溶融しない耐熱性弾性部材であることがよく、耐熱性弾性部材としては、例えば、ゴム、シリコーンが挙げられる。弾性部材71の厚みは1mm〜10mmであるとよく、本実施形態では6mmとする。
【0022】
過熱防止構造体6を形成するために、図4に示すように、隣り合う電池モジュール1の開口形成部25に、弾性部材71を固定する。弾性部材71の開口形成部25への固定手段は、接着剤、両面テープなどがあるが、本実施形態では、接着剤81を用いる。
【0023】
次に、図5に示すように、開口形成部25に固定した弾性部材71、71同士を、接着剤82により貼り合わせる。接着剤82は、昇温閉空間50が所定温度以上(例えば、100℃以上)となったときに軟化又は溶融する性質を有する。接着剤82としては、例えば、シアノアクリレートを用いる。なお、弾性部材71の開口形成部25への固定手段としての接着剤81の融点は150℃以上であり、弾性部材71、71同士を貼り合わせる接着剤82よりも融点が高い。
【0024】
次に、図3に示すように、弾性部材71に対して厚み方向に引張り力を印加する。このとき、弾性部材71の伸び率は100%を超えて大きく400%以下とするとよく、更に110%以上300%以下とすることが好ましい。本実施形態では、弾性部材71の伸び率は200%とする。
【0025】
図1に示すように、隣り合う電池モジュール1の間に、発熱体5を固定した基板51を配置し、基板51を電池モジュール1のセパレータ13の縁端部に図略の接着剤により固定する。弾性部材71に対して厚み方向に引張り力を印加した状態で電池モジュール1間の間隔を保持するように、複数の電池モジュール1の上部を図略のアッパケースで固定し、電池モジュール1の下部を図略のロアケースで固定する。
【0026】
過熱防止構造体6の作動について説明する。図6に示すように、発熱体5の過熱防止機能が故障して昇温閉空間50が過熱されて100℃以上となったときには、弾性部材71、71間の接着剤82が溶融する。接着剤82の接着力が弱まり、弾性部材71の弾性力により弾性部材71が元の厚みに戻るように小さくなり、弾性部材71、71同士が離れ、弾性部材71の間に隙間61が形成される。
【0027】
弾性部材71は、弾性力をもつため、引張り力から解放されたときに元の厚みに回復しようとする。このため、弾性部材71は、弾性をもたない材料に比べて、弾性部材71、71間に隙間61を形成させて、開口60をすばやく開く。昇温閉空間50内の温度を迅速に下降させ、電池10の過熱を防止できる。
【0028】
本実施形態では、弾性部材71、71間に所定温度で溶融する接着剤82を塗布したが、弾性部材71と開口形成部25との間に当該接着剤82を塗布してもよい。この場合には、昇温閉空間50の過熱時には、弾性部材71と開口形成部25との間の接着剤82が溶融して弾性部材71と開口形成部25との間に隙間61が開き、当該隙間61を通じて、過熱された昇温閉空間50の高温気体を外部に放出させる。過熱された昇温閉空間50は冷却されて、電池10の過熱を抑制できる。
【0029】
また、閉塞材7は、2つの弾性部材71を貼り合わせたものではなく、1つの弾性部材71からなる場合であってもよい。この場合、1つの弾性部材71は、引張り力を加えた状態で、その一端が一方の電池モジュール1の開口形成部25に固定され、他端は他方の電池モジュール1の開口形成部25に固定される。開口形成部25と弾性部材71とは、所定温度で溶融する接着剤82で固定される。この場合、過熱時には、弾性部材71と開口形成部25との間が破断して、開口60が開く。
【0030】
昇温閉空間50は、隣り合う電池モジュール1の間に配置されており、しかも金属製で熱伝導性のよいホルダ12に囲まれている。このため、隣り合う電池モジュール1の電池10を作動に適した温度に加熱することができる。
【0031】
また、昇温閉空間50は、ケース2に設けられた隔壁23で囲まれている。隣り合う電池モジュール1を組み付けることで昇温閉空間50が形成される。このため、昇温閉空間50を形成するための別個の部材を必要としない。昇温閉空間50を形成するための工数も必要とせず、組電池装置の製造を簡素にすることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、弾性部材71は過熱時の所定の温度で軟化又は溶融しない樹脂材料を用いたが、過熱時の所定の温度で軟化又は溶融する樹脂材料を用いてもよい。この場合には、過熱時には弾性部材71自体が軟化又は溶融するため、両者を接着する接着剤82は所定の温度で溶融又は軟化する材料でなくてもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、図7に示すように、閉塞材7が膨張材含有接着剤72からなる点で、第1の実施形態と相違する。
【0034】
閉塞材7は、開口形成部25に設けられた開口60に充填されている。閉塞材7は、接着剤と膨張材とからなる膨張材含有接着剤72である。接着剤は、一般的な接着剤でよく、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂を用いる。膨張材は、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに膨張する。膨張材としては、マイクロカプセル、発泡剤があげられる。
【0035】
マイクロカプセルは、例えば、樹脂製の殻に液体炭化水素を内包している。発泡剤は、加熱により分解してガスを発生させるものであり、例えば、炭素数7以下の脂肪族炭化水素、炭素数4以下の脂肪族アルコール、炭素数2以上8以下の脂肪族エーテル、及び二酸化炭素から選択される1種以上で構成されるものが好ましく用いられる。発泡剤としては、具体的には、液状炭化水素を用いる。
【0036】
膨張材含有接着剤72を100質量%としたとき、膨張材の含有量は5〜100質量%がよい。膨張材が過少の場合には、過熱時に閉塞材7が開口形成部25から剥離しないおそれがある。膨張材が過大の場合には、正常時の閉塞材7の開口形成部25に対する接着力が低下するおそれがある。
【0037】
本実施形態においては、膨張材含有接着剤72は、エポキシ樹脂と、液状炭化水素を内包したマイクロカプセルとからなる。膨張材含有接着剤72を100質量%としたときに、マイクロカプセルの含有量は50質量%である。
【0038】
発熱体5の過熱防止機能の故障により昇温閉空間50が過熱されて所定温度以上(例えば、100℃以上)となったときには、膨張材含有接着剤72は、膨張材の膨張力により膨らみ、その結果開口形成部25から剥離する。このため、開口形成部25間の開口60が開き、昇温閉空間50が冷却される。
【0039】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、図8に示すように、閉塞材7が、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに溶融する熱可塑性樹脂73からなる点で、第2の実施形態と相違する。
【0040】
熱可塑性樹73の融点は、過熱された昇温閉空間50の温度と同じか又はそれ以下であるとよい。例えば、熱可塑性樹脂73の融点は、80〜150℃がよい。かかる熱可塑性樹脂73としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンがあげられる。
【0041】
発熱体5の過熱防止機能の故障により昇温閉空間50が過熱されたときには、閉塞材7としての熱可塑性樹脂73は、軟化又は溶融して、開口形成部25から剥離する。このため、開口形成部25に設けた開口60が開き、昇温閉空間50が冷却される。
【0042】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、図9に示すように、閉塞材7が発泡体74である点で、第2の実施形態と相違する。閉塞材7としての発泡体74は、独立気泡74aをもつ樹脂材からなる。発泡体74を構成する樹脂材は、所定温度以上で軟化又は溶融する樹脂材からなる。発泡体74としては、例えば、発泡スチレン、発泡エチレン、発泡シリコーンがあげられる。
【0043】
発熱体5の過熱防止機能の故障により昇温閉空間50が過熱されたときには、発泡体74は、樹脂材の軟化又は溶融により、気泡が潰れ、破壊する。このため、開口60を急速に開放させ、昇温閉空間50をすばやく冷却することができる。
【0044】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、閉塞材7が、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに熱分解又は溶融する熱硬化性樹脂からなる点で、第2の実施形態と相違する。
【0045】
かかる熱分解性又は溶融型の熱硬化性樹脂は、公知のものを用いることができ、所定温度以上となったときに熱分解したり、再溶融したりする。熱溶融型の熱硬化性樹脂としては、例えば、熱溶融エポキシ樹脂があげられる。熱分解性の熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂があげられる。
【0046】
発熱体5の過熱防止機能の故障により昇温閉空間50が過熱されたときには、閉塞材7としての熱分解性又は溶融型の熱硬化性樹脂は、熱分解したり、軟化又は溶融したりして、開口形成部25から剥離する。このため、開口形成部25に設けた開口60が開き、昇温閉空間50が冷却される。
【0047】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、図10に示すように、閉塞材7が、開口60を閉塞する蓋体75である点で、第1の実施形態と相違する。
【0048】
図11に示すように、蓋体75は、開口形成部25に設けた開口60を開いた状態で隔壁23と一体に射出成形される。成形後に、蓋体75は、開口60を閉塞するように曲げ加工が施される。曲げ加工を行うために、開いた状態で成形された蓋体75を一旦所定温度まで加熱して、蓋体75を曲げて開口60を閉塞させる。その後、蓋体75を閉塞位置に保持しながら蓋体75を冷却する。
【0049】
本実施形態では、開口形成部25は、隔壁23の先端の端面に設けられており、第1の実施形態とは異なり隔壁23の先端は屈曲されておらず平面方向に延びている。隣り合う電池モジュール1の開口形成部25の間に開口60が形成されている。
【0050】
蓋体75の特に開口形成部25と連結しているヒンジ部75aには、曲げ加工により応力が蓄積されている。過熱時に蓋体75が所定温度以上になると、ヒンジ部75aの樹脂が軟化して残留応力により変形前の元の形状に戻り、蓋体75が開口60を開く。
【0051】
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、図12に示すように、閉塞材7がバイメタル材76からなる点で、第6の実施形態と相違する。
【0052】
バイメタル材76は、第1金属板76aと、第1金属板76aよりも熱膨張係数の大きな第2金属板76bとを張り合わせてなる。バイメタル材76は、第2金属板76bを開口形成部25に設けた開口60に向けて、開口60を閉塞している。第1金属板76aは、例えばNi−Fe合金などの低膨張材料からなり、第2金属板76bは、Mn−Ni−Cu合金などの高膨張材料からなる。バイメタル材76の一端部は、一対の電池モジュール1の隔壁23の端部に接着剤83により固定されている。
【0053】
図13に示すように、バイメタル材76は、通常温度では開口60を閉塞しており、所定温度で熱膨張差により変形して、開口60を開放させる。過熱時には、バイメタル材76の変形により、接着剤83で固定されていない方の隔壁23とバイメタル材76との間に隙間61が形成されて開口60が開く。開口60を通じて内部の高温空気が外部に放出されることで、昇温閉空間50は冷却される。
【0054】
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、図14に示すように、閉塞材7が薄膜77である点で、第6の実施形態と相違する。
【0055】
薄膜77の両端部は、一対の電池モジュール1の隔壁23の端部に接着剤83により固定されている。薄膜77は、開口形成部25に設けた開口60を塞ぎ、所定温度以上で軟化、溶融、又は燃焼する材料からなる。かかる材料は、ポリアミド系、オレフィン系などの一般的なフィルム用の樹脂材料、紙があげられる。薄膜77の厚みは例えば1μm〜5mm、更に10μm〜1mmであり、非常に薄い。このため、僅かでも軟化、溶融又は燃焼した場合には、薄膜77が破壊される。このため、過熱時に開口60が開き、昇温閉空間50をすばやく冷却することができる。
【0056】
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、図15に示すように、昇温閉空間50が電池モジュール1の下部に配置され、閉塞材7が、電池モジュール1に設けられたカバー26と隔壁との間に設けられている点が、第1の実施形態と相違する。
【0057】
電池モジュール1を構成している電池10は、リチウムイオン二次電池であり、電池10内部の空気膨張や電解液の揮発ガス発生により電池10内部の圧力が上昇した際にガスを逃がす弁を軸方向の端部に設けている。ホルダ12上のバスバー15の下には、ガスを逃がすガス通路20を隔ててカバー26が配置されている。カバー26の下部には、昇温閉空間50を隔てて下側隔壁27が設けられている。下側隔壁27の上面には発熱体5が固定されている。カバー26は、下側隔壁27とともに昇温閉空間50を囲むカバー側隔壁26aを構成している。下側隔壁27とカバー側隔壁26aとの相対する部分はそれぞれ開口形成部27b、26bが設けられており、下側隔壁27の開口形成部27bとカバー側隔壁26aの開口形成部26bとの間には、閉塞材7で閉塞された開口60が設けられている。
【0058】
電池モジュール1の下部及び上部は、それぞれ所定の間隔をもつ空間30を隔ててロアケース3及び図略のアッパケースにより被覆されている。電池モジュール1の下部とロアケース3との間の空間30は、電池モジュール1の直列方向の両端部で外部に開放されている。
【0059】
下側隔壁27とカバー側隔壁26aとの間には、閉塞材7が設けられている。本実施形態の閉塞材7としては、第1〜第5の実施形態の閉塞材7を用いることができる。
【0060】
図16に示すように、過熱時には、閉塞材7は開口60を開き、下側隔壁27は自重により落下し、下方のロアケース3上に留まる。発熱体5を収容した昇温閉空間50は開放される。昇温閉空間50は空間30を通じて外部の空気が流入して冷却される。
【0061】
(1)第1〜第9の実施形態の組電池装置は、電池モジュール1と、発熱体5と、隔壁(隔壁23又は下側隔壁27及びカバー側隔壁26a)で囲まれ前記発熱体5により加熱されることにより前記電池モジュール1を昇温させ得る昇温閉空間50と、を備える組電池装置であって、昇温閉空間50を囲む隔壁には、昇温閉空間50の過熱を防止する過熱防止構造体6が設けられていることを特徴とする。
【0062】
上記構成によれば、昇温閉空間50を囲む隔壁には、昇温閉空間50の過熱を防止する過熱防止構造体6が設けられている。このため、発熱体5制御不良の際に過熱防止構造体6により昇温閉空間50の過熱が防止される。ゆえに、電池10の過熱を防止できる。
【0063】
(2)第1〜第5の実施形態の組電池装置において、過熱防止構造体6は、隔壁23に設けられた開口形成部25と、開口形成部25に囲まれた開口60と、開口60を塞ぐ閉塞材7とを備え、閉塞材7は、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに開口60を開けるように構成されている。
【0064】
上記構成によれば、過熱により昇温閉空間50が所定温度以上となったときには、閉塞材7は破断して、開口60が開く。これにより、昇温閉空間50が冷却され、電池10の過熱が防止される。
【0065】
(3)第1の実施形態において、閉塞材7は、互いに接着剤82で接着された一対の弾性部材71からなり、引張り力が加わった状態で開口60に充填されており、接着剤82は、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する性質をもつ。
【0066】
上記構成によれば、過熱により昇温閉空間50が所定温度以上となったときには、弾性部材71、71間の接着剤82が軟化又は溶融する。接着剤82の接着力が弱まり、弾性部材71の弾性力により弾性部材71が元の厚みに戻るように小さくなり、弾性部材71、71同士が離れる。
【0067】
弾性部材71は、弾性力をもつため、引張り力から解放されたときに元の厚みに回復しようとする。このため、弾性部材71は、弾性をもたない樹脂材料に比べて、開口60をすばやく開けることができる。昇温閉空間50内の過剰な温度を迅速に冷却させ、電池10の過熱を防止できる。
【0068】
(4)第2の実施形態において、閉塞材7は、開口60に充填されており、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに膨張する膨張材を含む膨張材含有接着剤72からなる。
【0069】
上記構成によれば、過熱により昇温閉空間50が所定温度以上となったときには、膨張材含有接着剤72は、膨張材の膨張力により膨らみ、その結果開口形成部25から剥離する。このため、開口形成部25間の開口60が開き、昇温閉空間50を冷却することができる。
【0070】
(5)第3の実施形態において、閉塞材7は、開口60に充填されており、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する熱可塑性樹脂73からなる。
【0071】
上記構成によれば、閉塞材7としての熱可塑性樹脂73は、軟化又は溶融して、開口形成部25から剥離する。このため、開口60が開いて、昇温閉空間50を冷却することができる。
【0072】
(6)第4の実施形態において、閉塞材7は、開口60に充填されており、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに軟化又は溶融する樹脂材からなる発泡体74である。
【0073】
上記構成によれば、昇温閉空間50が過熱されたときには、閉塞材7としての発泡体74は、樹脂材の軟化又は溶融により、気泡が潰れ、破壊する。このため、開口60を急速に開放させ、昇温閉空間50をすばやく冷却することができる。
【0074】
(7)第5の実施形態において、閉塞材7は、開口60に充填されており、昇温閉空間50が所定温度以上となったときに熱分解するか又は熱溶融する熱硬化性樹脂からなる。
【0075】
上記構成によれば、昇温閉空間50が過熱されたときには、閉塞材7としての熱分解性又は溶融型の熱硬化性樹脂は、熱分解したり、軟化又は溶融したりして、開口形成部25から剥離する。このため、開口60が開いて、昇温閉空間50が冷却される。
【0076】
(8)第6の実施形態において、閉塞材7は、開口60を被覆する樹脂製の蓋体75であって、蓋体75は、開口60を開いた状態で隔壁23と一体に成形された後に開口60を被覆するように曲げ加工が施されてなる。
【0077】
上記構成によれば、昇温閉空間50が過熱されたときには、蓋体75の樹脂が軟化して残留応力により変形前の元の形状に戻り、蓋体75が開放される。
【0078】
(9)第7の実施形態において、閉塞材7は、第1金属板76aと、第1金属板76aよりも熱膨張係数の大きな第2金属板76bとを張り合わせてなるバイメタル材76であって、第2金属板76bを開口60側に向けて配設されたバイメタル材76で開口60が閉塞されている。
【0079】
上記構成によれば、過熱時には、バイメタル材76の変形により、開口60が開き、昇温閉空間50が冷却される。
【0080】
(10)第8の実施形態において、閉塞材7は、所定温度以上で軟化、溶融、又は燃焼する薄膜77であって、開口60を被覆している。
【0081】
上記構成によれば、過熱時に薄膜77が軟化、溶融、又は燃焼して、開口60が開き、昇温閉空間50をすばやく冷却することができる。
【0082】
(11)第1〜第8の実施形態において、複数の電池モジュール1を備え、各電池モジュール1は、複数の電池10と、複数の電池10を保持するホルダ12と、複数の電池10を収容する収容空間50を形成するケース2と、ケース2の端部に設けられた隔壁23と、隔壁23の先端に設けられた開口形成部25とを備え、隣り合う電池モジュール1の間には、隣り合う電池モジュール1のホルダ12と隔壁23とにより囲まれた昇温閉空間50が設けられており、隣り合う電池モジュール1の開口形成部25の間には、閉塞材7で閉塞された開口60が設けられている。
【0083】
上記構成によれば、隣り合う電池モジュールの間に昇温閉空間50が配置されている。このため、隣り合う電池モジュールを1つの昇温閉空間50により加熱することができる。
【0084】
また、昇温閉空間50は、隣り合う電池モジュール1の隔壁23で囲まれている。隣り合う電池モジュール1を組み付けることで昇温閉空間50が形成される。このため、昇温閉空間50を形成するための別個の部材を必要としない。昇温閉空間50を形成するための工数も必要とせず、組電池装置の製造を簡素にすることができる。
【0085】
(12)第9の実施形態において、電池モジュール1は、電池10から発生し得るガスを外部に流出させるガス通路20を形成するカバー26を備え、カバー26の下方には、昇温閉空間50を隔てて下側隔壁27が配設されており、カバー26は、下側隔壁27とともに昇温閉空間50を囲むカバー側隔壁26aを構成してなり、下側隔壁27とカバー側隔壁26aとの相対する部分はそれぞれ開口形成部27b、26bが設けられており、下側隔壁27の開口形成部27bとカバー側隔壁26aの開口形成部26bとの間には、閉塞材7で閉塞された開口60が設けられている。
【0086】
上記構成によれば、過熱時には、昇温閉空間50の熱により閉塞材7は開口60を開き、隔壁27がカバー26から離れ、隔壁27は自重により落下する。隔壁27とカバー26との間の昇温閉空間50は開放されて、冷却される。ゆえに、電池10の過熱を防止できる。
【符号の説明】
【0087】
1:電池モジュール、10:電池、11:電池群、12:ホルダ、13:セパレータ、14,15:バスバー、17:収容空間、2:ケース、20:ガス通路、23、27:隔壁、25:開口形成部、26:カバー、3:ロアケース、5:発熱体、50:昇温閉空間、6:過熱防止構造体、60:開口、7:閉塞材、71:弾性部材、72:膨張材含有接着剤、73:熱可塑性樹脂、74:発泡体、75:蓋体、76:バイメタル材、76a:第1金属板、76b:第2金属板、77:薄膜。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16