(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、複数の羽根を有して中心軸回りに回転する円筒状のファンロータと、空気の吸込口と吹出口とが形成されて上記ファンロータが収納されたハウジングとを有するクロスフロー型の送風機を備えた空気調和装置の室内ユニットが知られている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示された室内ユニットは、冷媒回路に接続された熱交換器と、ドレンパンと、クロスフロー型の送風機と、これらを収容するケーシングとを備えている。クロスフロー型の送風機は、空気の流入口と流出口とが後部と前部とに形成されたケーシング内に設けられ、中心軸周りに回転するファンロータと舌部とを有し、ファンロータの回転によってケーシング内に後方の流入口から前方の流出口へ向かう空気流れを形成するように構成されている。熱交換器は、この空気流れのクロスフロー型送風機よりも上流側に設けられ、通過する空気を加熱又は冷却するように構成されている。ドレンパンは、熱交換器において生じた結露水を受け止めるように熱交換器の下方に設けられている。
【0004】
ところで、上記室内ユニットでは、ケーシング内において後方から前方へ流れる空気流れに対し、熱交換器をこの空気流れに垂直な姿勢(鉛直方向に立てた姿勢)で配置するのではなく、前後方向において前側に向かうほど下方に位置するように傾斜させた傾斜部を有している。上記室内ユニットでは、熱交換器がこのような前下がりに傾斜した傾斜部を有することにより、比較的伝熱面積の大きな熱交換器を比較的小型のケーシング内に収めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記室内ユニットでは、傾斜部の鉛直面に対する傾斜角度が大きすぎるため、ドレンパンに当接する傾斜部の下端部における通風抵抗が著しく大きくなるという問題があった。
【0007】
この問題に対し、熱交換器の傾斜部の傾斜角度を小さくすることが考えられるが、傾斜部がファンロータに接触しないように傾斜部の傾斜角度を小さくするためには、傾斜部の位置を後方にずらす必要があった。
【0008】
しかしながら、傾斜部の位置を後方にずらして傾斜部の傾斜角度を小さくすると、通風抵抗は低減できるものの、熱交換器を通過した空気流れが吸込口の最も前側の部分(舌部付近)まで届かなくなるおそれがあった。その結果、クロスフロー型の送風機の吸込口における有効吸込面積が減少して送風機の性能が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、クロスフロー型の送風機を備えた空気調和装置の室内ユニットにおいて、送風機の性能低下を招くことなく通風抵抗を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、空気の流入口(21)と流出口(22)が後部と前部に形成されたケーシング(20)と、上記ケーシング(20)内に設けられ、中心軸(X)回りに回転するファンロータ(31)と該ファンロータ(31)の下方であって上記中心軸(X)よりも前側において該ファンロータ(31)の外周に沿って軸方向に延びて吸込口(32a)を区画する舌部(36a)とを有し、上記ケーシング(20)内に、後方の上記流入口(21)から前方の上記流出口(22)へ向かう空気流れを形成するクロスフロー型の送風機(30)と、上記ケーシング(20)内に設けられ、上記空気流れの上記クロスフロー型の送風機(30)の上流側に設けられ、前後方向において前方に向かうほど下方に位置するように傾斜した傾斜部(44)を有し、通過する空気を加熱又は冷却する熱交換器(40)とを備えた空気調和装置の室内ユニットであって、上記熱交換器(40)は、上記傾斜部(44)の前端(44a)が、上記ファンロータ(31)の下方であって前後方向において
上記舌部(36a)と上記中心軸(X)との間に位置するように設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、クロスフロー型の送風機(30)を運転させると、ケーシング(20)内において後方の流入口(21)から前方の流出口(22)へ向かう空気流れが形成される。流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気は、熱交換器(40)を通過する際に加熱又は冷却されて温度が調節される。温度が調節された空気は、クロスフロー型の送風機(30)に吸い込まれて吹き出され、流出口(22)からケーシング(20)の外部に流出する。
【0012】
第1の発明では、熱交換器(40)は、前後方向において前方に向かうほど下方に位置するように傾斜した傾斜部(44)を有し、該傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において
舌部(36a)と中心軸(X)との間に位置するように設けられている
。このように、
第1の発明では、熱交換器(40)の傾斜部(44)が、ファンロータよりも前方に傾斜部の前端が位置していた従来の室内ユニットの熱交換器に比べて後方に位置することとなる。そのため、ケーシング(20)内において、熱交換器(40)の傾斜部(44)を、従来の熱交換器の傾斜部よりも鉛直方向に起こした傾斜姿勢で設けることができる。
【0013】
また、
第1の発明では、傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方において中心軸(X)よりも前側に位置するように熱交換器(40)が配置されている。つまり、傾斜部(44)の前端(44a)が、前後方向において舌部(36a)に近い位置に設けられている。そのため、熱交換器(40)を通過した空気流れがクロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)の最も前側の部分まで、即ち、舌部(36a)付近まで届かなくなるおそれがなく、吸込口の全体において空気が吸い込まれることとなる。
【0014】
第2の発明は、
第1の発明において、上記熱交換器(40)は、
前後方向において上記ファンロータ(31)よりも後方に位置する第1及び第2屈曲部
(40a,40b)を有し、
該第1及び第2屈曲部(40a,40b)によって傾斜角度の異なる第1〜第3熱交換部(41,42,43)が形成され、上記吸込口(32a)を取り囲むように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
第2の発明では、熱交換器(40)が屈曲形状に形成されて吸込口(32a)を取り囲むように設けられている。そのため、屈曲形状でない直線形状の熱交換器を用いた場合に比べて、配置スペースが小さくなる。
【0016】
第3の発明は、第1
又は第2の発明において、上記熱交換器(40)は、上記ファンロータ(31)との最接近距離(A)を該ファンロータ(31)の外径(B)で除した値が、0.125以上0.188以下となるように配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明では、熱交換器(40)がファンロータ(31)に最も接近する部分におけるファンロータ(31)との距離である最接近距離をAとし、ファンロータ(31)の外径をBとすると、0.125B≦A≦0.188Bとなるように、熱交換器(40)が配置されている。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、ケーシング(20)内においてクロスフロー型の送風機(30)の上流側に設けられる熱交換器(40)に、前後方向において前方に向かうほど下方に位置するように傾斜した傾斜部(44)を設け、該傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において
舌部(36a)と中心軸(X)との間に位置するように熱交換器(40)を配置することとした
。このような配置によれば、熱交換器(40)の傾斜部(44)が、ファンロータよりも前方に傾斜部の前端が位置していた従来の室内ユニットの熱交換器に比べて後方に位置することとなるため、傾斜部(44)を従来の熱交換器よりも鉛直方向に起こした傾斜姿勢で設けることができる。そのため、従来の室内ユニットの熱交換器に比べて傾斜部(44)における通風抵抗を低減することができ、クロスフロー型の送風機(30)の消費エネルギーを低減することができる。
【0019】
また、上述のように、
第1の発明によれば、傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において舌部(36a)付近に位置するように熱交換器(40)を配置することとした。このような配置により、熱交換器(40)の傾斜部(44)を従来よりも後方の位置に配置することとしても、熱交換器(40)を通過した空気流れがクロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)の最も前側の部分まで、即ち、舌部(36a)付近まで届かなくなるおそれがなく、吸込口(32a)の全体において空気が吸い込まれることとなる。つまり、熱交換器(40)の傾斜部(44)の前後方向の位置を後方にし過ぎた場合のように、クロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)における有効吸込面積が減少して送風機(30)の性能が低下することがない。以上により、
第1の発明によれば、クロスフロー型の送風機(30)を備えた空気調和装置の室内ユニットにおいて、送風機(30)の性能低下を招くことなく通風抵抗を低減することができる。
【0020】
また、
第2の発明によれば、熱交換器(40)を屈曲形状に形成し、吸込口(32a)を取り囲むように配置することとした。屈曲形状でない直線形状の熱交換器を用いた場合に比べて、配置スペースが小さくなる。つまり、比較的大きな伝熱面積を有する熱交換器(40)を、吸込口(32a)周りの小さなスペースにコンパクトに配置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、室内ユニット(10)は、室内空間(S)の天井面が一段下がった下がり天井(1)内に設置されている。室内ユニット(10)は、ケーシング(20)と、クロスフロー型の送風機(30)と、熱交換器(40)と、ドレンパン(50)と、電装品箱(60)とを備えている。クロスフロー型の送風機(30)と熱交換器(40)とドレンパン(50)と電装品箱(60)とは、ケーシング(20)内に設置されている。なお、以下では、説明の便宜上、
図1の左側を「前側」、右側を「後側」、紙面表裏方向において手前側を「左側」、紙面表裏方向において奥側を「右側」として説明する。
【0024】
ケーシング(20)は、略直方体形状の箱体によって形成されている。具体的には、
図1において、ケーシング(20)は、平面視において、左右方向の長さが前後方向の長さよりも長く、前後方向の長さよりも高さが低い薄型の箱体に構成されている。ケーシング(20)には、後面に流入口(21)が形成され、前面に流出口(22)が形成されている。流入口(21)には、一端が室内空間(S)において開口する吸込ダクト(2)の他端が接続されている。流出口(22)は、ダクト状に形成され、下がり天井(1)の側面(1a)を貫通して室内空間(S)において開口している。
【0025】
クロスフロー型の送風機(30)は、ファンロータ(31)とハウジング(32)とモータ(図示省略)とを有している。クロスフロー型の送風機(30)は、左右方向に長く形成されている。クロスフロー型の送風機(30)は、運転が開始されると、ケーシング(20)内において、後方の流入口(21)から前方の流出口(22)に向かう空気流れを形成する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、ファンロータ(31)は、10枚の円板形状の仕切板(33)と、多数の羽根(34)と、2つの軸部(35)とを有している。10枚の仕切板(33)は、中心が同一直線上に並ぶように間隔を空けて設けられている。なお、中心を結ぶこの直線は、ファンロータ(31)の中心軸(回転軸)(X)となる。2つの軸部(35)は、10枚の仕切板(33)のうち端に設けられた両端の仕切板(33)の中心部から外側へ突出するように形成されている。2つの軸部(35)の一方の軸部(35)は、ハウジング(32)の後述する側壁部(38)に回転自在に支持され、他方の軸部(35)には、図示しないモータが連結されている。
【0027】
多数の羽根(34)は、10枚の仕切板(33)の各間に、対向する一対の仕切板(33)の外周部に架け渡されている。多数の羽根(34)は、周方向に間隔を空けて配置されている。また、各羽根(34)は、ファンロータ(31)の周方向において回転方向(
図2の矢印で示す方向)の逆側へ膨出するように湾曲すると共に、ファンロータ(31)の径方向において内側の部分ほど、周方向において回転方向と逆側に位置するように径方向に対して傾斜した姿勢で配列されている。
【0028】
このような構成により、本実施形態では、ファンロータ(31)は、互いに対向する一対の仕切板(33)とその互いの外周部を連結するように設けられた複数の羽根(34)とによって形成される連が、軸方向に9つ繋がるように形成されている。
【0029】
図2及び
図4に示すように、ハウジング(32)は、空気の吸込口(32a)と吹出口(32b)とが形成され、内部にファンロータ(31)が収容されるように筺状に形成されている。ハウジング(32)は、ファンロータ(31)の下側に設けられる下壁部(36)と、ファンロータ(31)の上側に設けられる上壁部(37)と、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられる2つの側壁部(38)とを有している。
【0030】
下壁部(36)は、ファンロータ(31)の下方且つ前側において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成され、舌部(36a)と下側延長部(36b)とシール部(36c)とを有している。舌部(36a)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも下方且つ前側の部分に近接して対向し、ファンロータ(31)の軸方向に長く延びている。舌部(36a)の最後部(36d)は、吸込口(32a)を形成している。下側延長部(36b)は、舌部(36a)の上端に連続し、該舌部(36a)の上端から斜め下方に延び、前端が吹出口(32b)を区画している。シール部(36c)は、下側延長部(36b)の下面の舌部(36a)の近傍から下方に向かうほど後側に位置するように傾斜して延びている。シール部(36c)は、下端がドレンパン(50)の上面に当接して、熱交換器(40)を通過した空気がクロスフロー型の送風機(30)を迂回してケーシング(20)から流出しないように、クロスフロー型の送風機(30)とドレンパン(50)との隙間をシールしている。
【0031】
上壁部(37)は、ファンロータ(31)の上方において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成され、スクロール壁部(37a)と上側延長部(37b)とシール部(37c)とを有している。スクロール壁部(37a)は、後端部を除く部分が渦巻き形状に形成された壁部であり、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも上方において、ファンロータ(31)の軸方向に長く延び、ファンロータ(31)の外周面を覆っている。スクロール壁部(37a)は、後端が吸込口(32a)を区画し、該吸込口(32a)から前方へ舌部(36a)の上端部の真上の位置まで延びている。上側延長部(37b)は、スクロール壁部(37a)の前端に滑らかに連続するように形成されている。上側延長部(37b)は、下側延長部(36b)に対向するように該下側延長部(36b)に略平行に延び、前端が吹出口(32b)を区画している。シール部(37c)は、スクロール壁部(37a)の後端部の上面からS字状に折れ曲がりながらケーシング(20)の天板に向かって延びている。シール部(37c)は、一部が熱交換器(40)に当接して、流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気が、熱交換器(40)を迂回してクロスフロー型の送風機(30)に吸い込まれないように吸込口(32a)と熱交換器(40)との隙間をシールしている。
【0032】
2つの側壁部(38)は、それぞれ平板によって形成され、ファンロータ(31)の軸方向の両端部において、下壁部(36)及び上壁部(37)の左右の端部の間を塞ぐように設けられている。2つの側壁部(38)には、ファンロータ(31)の軸部(35)の挿通孔が形成され、軸部(35)が挿通されている。2つの側壁部(38)は、下壁部(36)と上壁部(37)との間に、吸込口(32a)から吹出口(32b)へ向かう空気流路を形成している。
【0033】
熱交換器(40)は、ケーシング(20)内において、クロスフロー型の送風機(30)の後側、即ち、該送風機(30)によって形成される空気流れの上流側に設けられている。熱交換器(40)は、2つの屈曲部(40a,40b)を有し、屈曲形状に形成されている。具体的には、熱交換器(40)には、2つの屈曲部(40a,40b)によって3つの熱交換部(第1〜第3熱交換部(41〜43))が形成されている。第1〜第3熱交換部(41〜43)は、クロスフロー型の送風機(30)と同様に、左右方向(ファンロータ(31)の軸方向)に長く形成されている。また、第1〜第3熱交換部(41〜43)は、クロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)を取り囲むようにそれぞれ異なる角度で配置されている。第1〜第3熱交換部(41〜43)の具体的な配置位置については、後述する。
【0034】
ドレンパン(50)は、ケーシング(20)内において、熱交換器(40)の表面で発生した結露水を受け止めるように、熱交換器(40)の下方に設けられている。ドレンパン(50)は、平面視において、左右方向の長さも前後方向の長さも熱交換器(40)の各長さよりも長くなるように形成され、受け止めた結露水が漏れないように、外周部が上方に立ち上がり、外周壁を構成している。ドレンパン(50)は、ケーシング(20)の底板上に設置されている。ドレンパン(50)で受け止められた結露水は、図示しないドレンホースを介して屋外へ排出される。
【0035】
電装品箱(60)は、ケーシング(20)内の流入口(21)と流出口(22)とが対向する前後方向において後側の端部の底板上に設けられている。つまり、電装品箱(60)は、ケーシング(20)内に形成される上記空気流れにおいて、結露水を発生する熱交換器(40)及び結露水を受け止めるドレンパン(50)よりも上流側に配置されている。電装品箱(60)は、ドレンパン(50)の外周壁と間隔を空けて配置され、高さがドレンパン(50)の高さよりも低くなるように形成されている。
【0036】
〈熱交換器の詳細な配置位置〉
上述したように、熱交換器(40)は、2つの屈曲部(40a,40b)を有し、2つの屈曲部(40a,40b)によって第1〜第3熱交換部(41〜43)が形成されている。具体的には、第1屈曲部(40a)を挟んで第1熱交換部(41)と第2熱交換部(42)とが形成され、第2屈曲部(40b)を挟んで第2熱交換部(42)と第3熱交換部(43)とが形成されている。第1熱交換部(41)と第2熱交換部(42)とは、前後方向において前方に向かうほど下方に位置するようにファンロータ(31)の中心軸(X)に平行な鉛直面に対して傾斜した傾斜部(44)に構成されている。逆に、第3熱交換部(43)は、前後方向において前方に向かうほど上方に位置するように傾斜している。
【0037】
第1熱交換部(41)及び第2熱交換部(42)からなる傾斜部(44)は、前端(44a)がファンロータ(31)の下方であって前後方向において該ファンロータ(31)の最前部(31a)と中心軸(X)との間に位置し、後端(44b)がファンロータ(31)の後方において中心軸(X)と同程度の高さに位置するように配置されている。より具体的には、傾斜部(44)の前端(44a)は、前後方向において、ファンロータ(31)の最前部(31a)に接する鉛直面Z1と中心軸(X)を通る鉛直面Z3との間に位置づけられている。より具体的には、本実施形態では、傾斜部(44)の前端(44a)は、前後方向において、舌部(36a)の最後部(36d)に接する鉛直面Z2と中心軸(X)を通る鉛直面Z3との間に位置づけられており、特に、本実施形態では、舌部(36a)の後端のすぐ後方に位置している。
【0038】
傾斜部(44)を構成する第1熱交換部(41)及び第2熱交換部(42)は、第1屈曲部(40a)により、ファンロータ(31)の中心軸(X)に平行な鉛直面に対する傾斜角度(以下、単に「鉛直傾斜角度」と言う)が異なっている。具体的には、後側の第2熱交換部(42)の方が、前側の第1熱交換部(41)よりも鉛直傾斜角度が小さくなるように配置されている。本実施形態では、第1熱交換部(41)の鉛直傾斜角度が70°となり、第2熱交換部(42)の鉛直傾斜角度が50°となるような傾斜姿勢で設けられている。
【0039】
第3熱交換部(43)は、第2屈曲部(40b)により、傾斜部(44)とは異なる傾斜姿勢で設けられている。本実施形態では、第3熱交換部(43)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)に平行な鉛直面に対して傾斜部(44)とは逆方向に傾斜させ、その鉛直傾斜角度が50°(第2熱交換部(42)側の鉛直傾斜角度を正とすると、−50°)となるような傾斜姿勢で設けられている。また、本実施形態では、第3熱交換部(43)は、水平面に対して第2熱交換部(42)と対称に形成されている。そのため、第2熱交換部(42)と第3熱交換部(43)とは、前後方向において前端の位置と後端の位置が同じ位置に設けられている。また、本実施形態では、第2熱交換部(42)と第3熱交換部(43)の間の第2屈曲部(40b)が、ファンロータ(31)の中心軸(X)と同じ高さ位置に位置している。
【0040】
このように、熱交換器(40)は、第1〜第3熱交換部(41〜43)がそれぞれ異なる鉛直傾斜角度でクロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)を取り囲むように設けられている。また、熱交換器(40)は、第1熱交換部(41)がファンロータ(31)に最も近接するように設けられ、第1熱交換部(41)のファンロータ(31)との最接近距離をAとし、ファンロータ(31)の外径をBとすると、0.125≦A/B≦0.188(0.125B≦A≦0.188B)となるような位置に設けられている。
【0041】
なお、本実施形態では、ファンロータ(31)の外径Bが80〜120mmである場合を想定し、最接近距離Aを15mmに設定している。
【0042】
《従来の室内ユニットとの相違点》
上述のように、本実施形態では、傾斜部(44)の前端(44a)がファンロータ(31)の下方であって前後方向において中心軸(X)と舌部(36a)との間に位置するように熱交換器(40)を設けている。本実施形態では、ケーシング(20)内において熱交換器(40)をこのように位置付けることにより、傾斜部(44)の前端(44a)がファンロータ(31)の最前部(31a)よりもさらに前方に位置付けられていた従来の室内ユニットの熱交換器に比べて、傾斜部(44)が後方に位置付けられることとなる。そのため、傾斜部(44)を従来のものよりも鉛直方向に起こした姿勢で設けることができる。また、そのように起こした姿勢で設けることにより、従来の室内ユニットに比べて傾斜部(44)の下端部(第1熱交換部(41)の下端部)における通風抵抗が小さくなる。
【0043】
−運転動作−
空気調和装置の室内ユニット(10)では、クロスフロー型の送風機(30)を起動すると、ファンロータ(31)が回転し、ハウジング(32)内にファンロータ(31)を貫く空気流れが形成される(
図2の白抜き矢印を参照)。このようにして、ケーシング(20)内の空気が吸込口(32a)から吸い込まれ、ファンロータ(31)を貫いて吹出口(32b)から吹き出される。このようなクロスフロー型の送風機(30)の動作により、ケーシング(20)内に流入口(21)から流出口(22)に向かう空気流れが形成される。これにより、室内空間(S)の室内空気が吸込ダクト(2)を介してケーシング(20)内に流入する。流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気は、熱交換器(40)を通過する際に、冷媒と熱交換し、温度が調節(加熱又は冷却)される。温調後の空気は、送風機(30)に吸い込まれて、ハウジング(32)内に形成された空気流路を流れて吹出口(32b)から吹き出される。送風機(30)から吹き出された空気は、流出口(22)から室内空間(S)に供給される。この空気によって室内空間(S)の室内空気の温度が調節される。
【0044】
〈熱交換器を通過する空気の流れ〉
本実施形態では、上述のように、熱交換器(40)の傾斜部(44)を、従来の室内ユニットに比べて前後方向において後方に位置付けているため、傾斜部(44)を従来よりも鉛直方向に起こした姿勢で設けることができる。そして、そのような起こした姿勢で傾斜部(44)を設けているため、従来の室内ユニットに比べて傾斜部(44)の下端部(第1熱交換部(41)の下端部)における通風抵抗が小さくなる。
【0045】
また、本実施形態では、上述のように、従来の室内ユニットの熱交換器に比べて、傾斜部(44)を前後方向において後方に位置付けるものの、後方に設けすぎず、傾斜部(44)の前端(44a)を舌部(36a)近くに位置付けている。そのため、熱交換器(40)を通過した空気流れがクロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)の最も前側の部分(舌部(36a)付近)まで届かなくなるおそれがなく、吸込口(32a)の全体において空気が吸い込まれることとなる。
【0046】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態によれば、ケーシング(20)内においてクロスフロー型の送風機(30)の上流側に設けられる熱交換器(40)に、前後方向において前方に向かうほど下方に位置するように傾斜した傾斜部(44)を設け、該傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において該ファンロータ(31)の最前部(31a)と中心軸(X)との間に位置するように熱交換器(40)を配置することとした。また、特に、本実施形態では、傾斜部(44)の前端(44a)を、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において舌部(36a)と中心軸(X)との間に位置するように熱交換器(40)を配置することとした。このような配置によれば、熱交換器(40)の傾斜部(44)が、ファンロータよりも前方に傾斜部の前端が位置していた従来の室内ユニットの熱交換器に比べて後方に位置することとなるため、傾斜部(44)を従来の熱交換器よりも鉛直方向に起こした傾斜姿勢で設けることができる。そのため、従来の室内ユニットの熱交換器に比べて傾斜部(44)における通風抵抗を低減することができ、クロスフロー型の送風機(30)の消費エネルギーを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、傾斜部(44)の前端(44a)が、ファンロータ(31)の下方であって前後方向において舌部(36a)付近に位置するように熱交換器(40)を配置することとした。このような配置により、熱交換器(40)の傾斜部(44)を従来よりも後方の位置に配置することとしても、熱交換器(40)を通過した空気流れがクロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)の最も前側の部分まで、即ち、舌部(36a)付近まで届かなくなるおそれがなく、吸込口(32a)の全体において空気が吸い込まれることとなる。つまり、熱交換器(40)の傾斜部(44)の前後方向の位置を後方にし過ぎた場合のように、クロスフロー型の送風機(30)の吸込口(32a)における有効吸込面積が減少して送風機(30)の性能が低下することがない。以上により、本実施形態によれば、クロスフロー型の送風機(30)を備えた空気調和装置の室内ユニットにおいて、送風機(30)の性能低下を招くことなく通風抵抗を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、熱交換器(40)を2つの屈曲部(40a,40b)を有する屈曲形状に形成し、吸込口(32a)を取り囲むように配置することとした。これにより、屈曲形状でない直線形状の熱交換器を用いた場合に比べて、配置スペースが小さくなる。つまり、本実施形態の室内ユニットによれば、比較的大きな伝熱面積を有する熱交換器(40)を、吸込口(32a)周りの小さなスペースにコンパクトに配置することができる。
【0049】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、天井内に設置される室内ユニットとして、本発明に係るクロスフロー型の送風機を備えた室内ユニットの一例として、天井内に設置される室内ユニットについて説明したが、本発明に係る室内ユニットは天井内に設置されるものに限られない。室内空間に設置されるものであってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、室内ユニット(10)は、流入口(21)と流出口(22)とが対向する2つの側面に形成されたケーシング(20)を備えるように構成されていたが、ケーシング(20)における流入口(21)と流出口(22)の位置は、上述のものに限られない。例えば、ケーシング(20)の下面後側に流入口(21)が形成され、下面前側に流出口(22)が形成されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、熱交換器(40)は、2つの屈曲部(40a,40b)を有し、2つの屈曲部(40a,40b)によって3つの熱交換部(第1〜第3熱交換部(41〜43))が異なる角度で連結された屈曲形状に形成されていた。しかしながら、熱交換器(40)は、屈曲形状でなく、直線形状のものであってもよい。そのような熱交換器(40)の場合、全体が傾斜部(44)となり、その前端(44a)が前後方向においてファンロータ(31)の最前部(31a)と中心軸(X)との間に位置するように配置することによって、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、熱交換器(40)は、屈曲部を1つ有するものであってもよく、屈曲部を3つ以上有するものであってもよい。