特許第6369541号(P6369541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369541
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】フルオロポリマー水性分散液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/26 20060101AFI20180730BHJP
   C08F 14/26 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   C08F2/26 Z
   C08F14/26
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-525237(P2016-525237)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】JP2015066211
(87)【国際公開番号】WO2015186794
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-116292(P2014-116292)
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 義典
(72)【発明者】
【氏名】深見 大
(72)【発明者】
【氏名】山部 拓也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈人
(72)【発明者】
【氏名】小野 真誠
(72)【発明者】
【氏名】平良 隆博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】山中 拓
【審査官】 岡山 太一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−513497(JP,A)
【文献】 特開2009−155558(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/042593(WO,A1)
【文献】 特開昭63−081104(JP,A)
【文献】 特開昭49−027587(JP,A)
【文献】 特表2003−500495(JP,A)
【文献】 特表2004−509993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
C08F 14/00−14/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素界面活性剤及び重合開始剤の存在下、フルオロモノマーの重合を水性媒体中で行う、ポリテトラフルオロエチレンを含む水性分散液の製造方法であって、
前記水性媒体中の前記含フッ素界面活性剤の濃度が、前記含フッ素界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度以上であり、
前記ポリテトラフルオロエチレンは、ホモポリテトラフルオロエチレン又は変性ポリテトラフルオロエチレンであり、
前記変性ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレン単位とテトラフルオロエチレンと共重合可能な変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含み、変性モノマー単位が0.001〜2モル%の範囲であり、
前記ポリテトラフルオロエチレンは、体積平均粒子径が0.1nm以上、20nm未満の粒子であり、
前記含フッ素界面活性剤は、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物、下記一般式(3)
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOX (3)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物、下記一般式:
OCF(CF)COOM
(式中、MはH、NH又はアルカリ金属元素)で表される化合物、及び、下記一般式:
13(CHSO
(式中、MはH、NH又はアルカリ金属元素)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
【請求項2】
前記重合を、下記一般式(2)
X−(CFm2−Y (2)
(式中、XはH又はFを表し、m2は6以上の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物の非存在下に行う請求項1記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
【請求項3】
前記重合開始剤は、過硫酸塩及び有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
【請求項4】
前記重合開始剤は、水性媒体の1〜5,000ppmに相当する量である請求項1、2又は3記載のフルオロポリマー水性分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロポリマー水性分散液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂水性分散液は、一般に、含フッ素界面活性剤の存在下にフルオロモノマーを乳化重合することにより製造される。
【0003】
特許文献1では、テトラフルオロエチレンを単独で、または共重合可能な他のモノマーと共に、水性媒体中で乳化重合を行う際に、
一般式: XCFCF(O)CFCFOCFCOOA
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、Aは水素原子、アルカリ金属またはNHであり、mは0〜1の整数である。)で表される含フッ素乳化剤を最終ポリテトラフルオロエチレン収量に対して1,500〜20,000ppm使用して得られることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン水性乳化液が提案されている。
【0004】
特許文献2には、反応性化合物及び連鎖移動剤の存在下、テトラフルオロエチレン、又は、テトラフルオロエチレンと前記テトラフルオロエチレンと共重合可能な変性モノマーとの乳化重合を水性媒体中で行うものであって、前記反応性化合物は、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有し、前記水性媒体に対して10ppmに相当する量を超える量であることを特徴とする低分子量ポリテトラフルオロエチレンの製造方法によって製造された低分子量ポリテトラフルオロエチレン水性分散液が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、フルオロポリマー粒子の水性分散液を作製するための方法であって、水性重合媒体にフッ素化イオノマーの分散微粒子を備える工程と、該水性重合媒体中該フッ素化イオノマーの分散微粒子および開始剤の存在下で、少なくとも1つのフッ素化モノマーを重合させて、フルオロポリマーの粒子の水性分散液を形成させる工程とを含む方法によって製造されたフルオロポリマー粒子の水性分散液が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/046345号
【特許文献2】特開2010−180364号公報
【特許文献3】特表2012−513530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、粒子径が充分に小さく分散安定性に優れたフルオロポリマー粒子を含む水性分散液を得ることは容易ではなかった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、粒子径が極めて小さく分散安定性に優れたフルオロポリマー水性分散液を製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、重合を行う際の含フッ素界面活性剤濃度がその含フッ素界面活性剤が有する臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度以上であると、従来の重合方法で得られるフルオロポリマー粒子よりも、粒子径が劇的に小さくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、含フッ素界面活性剤及び重合開始剤の存在下、フルオロモノマーの重合を水性媒体中で行う、ポリテトラフルオロエチレン及び溶融加工性のフッ素樹脂(但し、ポリテトラフルオロエチレンを除く)からなる群より選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む水性分散液の製造方法であって、上記水性媒体中の上記含フッ素界面活性剤の濃度が、上記含フッ素界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度以上であることを特徴とするフルオロポリマー水性分散液の製造方法である。
【0011】
含フッ素界面活性剤は、LogPOWが3.4以下であることが好ましい。
【0012】
含フッ素界面活性剤は、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物、及び、下記一般式(3)
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOX (3)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
上記重合を、下記一般式(2)
X−(CFm2−Y (2)
(式中、XはH又はFを表し、m2は6以上の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物の非存在下に行うことが好ましい。
【0014】
上記フルオロポリマーは、体積平均粒子径が0.1nm以上、20nm未満の粒子であることが好ましい。
【0015】
上記重合開始剤は、過硫酸塩及び有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
上記重合開始剤は、水性媒体の1〜5,000ppmに相当する量であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフルオロポリマー水性分散液の製造方法によれば、粒子径が極めて小さいフルオロポリマー粒子を含む分散安定性に優れた水性分散液を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
【0019】
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フッ素ゴムではなく、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
【0020】
本明細書において、溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが通常である。
【0021】
本明細書において、パーフルオロ樹脂とは、ポリマーの主鎖を構成する炭素原子に結合した一価の原子が全てフッ素原子であるパーフルオロポリマーからなる樹脂である。但し、ポリマーの主鎖を構成する炭素原子には、一価の原子(フッ素原子)の他、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルコキシ基等の基が結合していてもよい。ポリマーの主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されていてもよい。ポリマー末端基、すなわち、ポリマー鎖を終わらせる基にフッ素原子以外の他の原子が存在してもよい。ポリマー末端基は、大抵、重合反応のために使用した重合開始剤又は連鎖移動剤に由来する基である。
【0022】
本明細書において、フッ素ゴムとは、非晶質フルオロポリマーである。「非晶質」とは、フルオロポリマーの示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温温度10℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが4.5J/g以下であることをいう。フッ素ゴムは、架橋することにより、エラストマー特性を示す。エラストマー特性とは、ポリマーを延伸することができ、ポリマーを延伸するのに必要とされる力がもはや適用されなくなったときに、その元の長さを保持できる特性を意味する。
【0023】
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子−水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
【0024】
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
【0025】
本明細書において、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕は、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99モル%以上であるフルオロポリマーであることが好ましい。
【0026】
本明細書において、フッ素樹脂(但し、ポリテトラフルオロエチレンを除く)は、いずれも、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99モル%未満であるフルオロポリマーであることが好ましい。
【0027】
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0028】
次に、本発明を具体的に説明する。
【0029】
本発明のフルオロポリマー水性分散液の製造方法では、含フッ素界面活性剤及び重合開始剤の存在下、フルオロモノマーの重合を水性媒体中で行うことにより、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕及び溶融加工性のフッ素樹脂(但し、ポリテトラフルオロエチレンを除く)からなる群より選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む水性分散液を製造する。
【0030】
本発明の製造方法において得られる水性媒体中の含フッ素界面活性剤の濃度は、フルオロポリマー粒子の固形分濃度が8質量%未満のフルオロポリマー水性分散液を製造する場合は、臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度以上〜1.5倍の濃度未満が好ましい。
また、本発明の製造方法において得られる水性媒体中の含フッ素界面活性剤の濃度は、フルオロポリマー粒子の固形分濃度が8質量%以上のフルオロポリマー水性分散液を製造する場合は、臨界ミセル濃度の1.1倍の濃度より大きく3.0倍の濃度未満が好ましい。
上記製造方法は、水性媒体中の含フッ素界面活性剤の濃度が、含フッ素界面活性剤の臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度以上であることを特徴とする。含フッ素界面活性剤の濃度は、臨界ミセル濃度の0.8倍の濃度よりも大きい濃度であることが好ましく、重合安定性、コストを鑑みれば、臨界ミセル濃度の3倍の濃度以下であることが好ましい。
上記臨界ミセル濃度は、表面張力を測定することで決定できる。表面張力は、例えば、協和界面化学株式会社製表面張力計CBVP−A3型により測定することができる。
また、臨界ミセル濃度は、例えば、Environmental Science & Technology(2011),45(19),8120−8128やその引用文献を用いて確認することができる。
所望する粒子径をもつフルオロポリマー水性分散液を安定的に製造することを鑑みれば、所望する粒子径をもつフルオロポリマー水性分散液を得るために必要な水性媒体中の含フッ素界面活性剤量の近傍での変化量に対して粒子径の変化量が小さいほど好ましい。粒子径の変化量は、水性媒体中の含フッ素界面活性剤1000ppm当り25.00nm未満であることが好ましく、3.40nm未満であることがより好ましく、1.30nm未満であることが更に好ましく、0.20nm未満であることが更により好ましく、0.04nm未満であることが特に好ましい。
代表的な含フッ素界面活性剤の臨界ミセル濃度とLogPOWは次のとおりである。
CF(CFCOONH:56g/L、2.4
CF(CFCOONH:82g/L、2.0
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH:22g/L、3.4
OCF(CF)COONH:48g/L、2.5
13(CHSOH:1g/L、5.9
【0031】
上記含フッ素界面活性剤は、LogPOWが3.4以下であることが好ましい。上記LogPOWは、1−オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。上記LogPOWは、1.5以上であることが好ましく、フルオロポリマーから除去しやすい点で、3.0以下であることがより好ましく、2.8以下であることがより更に好ましい。
【0032】
上記LogPOWは、カラム:TOSOH ODS−120Tカラム(φ4.6mm×250mm)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
【0033】
LogPOWが3.4以下の含フッ素界面活性剤としては、含フッ素アニオン性界面活性剤が好ましく、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号に記載されたもの等を使用できる。
【0034】
上記含フッ素界面活性剤としては、アニオン界面活性剤であることが好ましい。
【0035】
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が好ましく、これらの界面活性剤としては、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、及び/又は、下記一般式(VII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VII)からなるものが挙げられる。
【0036】
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3〜6の整数であり、Mは、H、NH又はアルカリ金属元素である。)で表されるものである。
【0037】
上記一般式(I)において、重合反応の安定性の点で、上記n1の好ましい下限は4である。また、上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
【0038】
上記パーフルオロカルボン酸(I)としては、例えば、F(CFCOOM、F(CFCOOM、F(CFCOOM(各式中、Mは、上記定義したものである。)等が好ましい。
【0039】
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4〜8の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0040】
上記一般式(II)において、重合反応の安定性の点で、上記n2の好ましい上限は6である。また、上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
【0041】
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)としては、例えば、H(CFCOOM、H(CFCOOM、H(CFCOOM、H(CFCOOM、H(CFCOOM(各式中、Mは、上記定義したものである。)等が好ましい。
【0042】
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf−O−(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0043】
上記一般式(III)において、上記Rfは、重合時の安定性の点で、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、n3は、0又は1であることが好ましく、上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
【0044】
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)としては、例えば、
OCF(CF)COOM、COCF(CF)COOM、
OCF(CF)COOM、CFOCF(CF)COOM、
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM
(各式中、Mは上記定義したものである)等が好ましく、重合時の安定性と除去効率とが共によい点で、
CFOCF(CF)COOM、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM
(各式中、Mは上記定義したものである)等がより好ましい。
【0045】
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0046】
上記一般式(IV)において、上記Rfは、炭素数2以上のパーフルオロアルキル基、又は、炭素数4以下のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。上記Rfは、炭素数1又は2のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、−(CF)−又は−CF(CF)−であることがより好ましい。上記n4は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
【0047】
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)としては、例えば、
CHCFCOOM、CCHCFCOOM、
CHCFCOOM、CCHCF(CF)COOM、
CHCF(CF)COOM、CCHCF(CF)COOM、
CHCHCFCOOM、CCHCHCFCOOM、
CHCHCFCOOM
(各式中、Mは上記定義したものである)等が好ましい。
【0048】
上記パーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf−O−CYCF−COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0049】
上記一般式(V)において、上記Rfは、重合安定性の点で、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数3のパーフルオロアルキル基がより好ましい。上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
【0050】
上記パーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)としては、
OCHCFCOOM、COCHFCFCOOM、
OCFCFCOOM
(各式中、Mは上記定義したものである)等が好ましい。
【0051】
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3〜6の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記一般式(VI)において、上記n5は、重合安定性の点で、4又は5の整数であることが好ましく、上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくいという点で、NHであることが好ましい。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)としては、例えば、
F(CFSOM、F(CFSO
(各式中、Mは上記定義したものである)等が好ましい。
【0052】
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
Rf(CHn6SOM (VII)
(式中、Rfは、1〜6のパーフルオロアルキル基であり、n6は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0053】
上記一般式(VII)において、Rfは、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数3のパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。上記n6は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。上記Mは、得られるフルオロポリマー水性分散液の加工時に残存しにくい点で、NHであることが好ましい。
【0054】
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VII)としては、例えば、
CHSOM、C13(CHSO
(式中、Mは上記定義したものである)等が好ましく、重合時の安定性と除去効率とが共によい点で、
CHSO
(式中、Mは上記定義したものである)等がより好ましい。
【0055】
上記含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物、一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、及び、一般式(VII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VII)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0056】
また、上記含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物、下記一般式(3)
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOX (3)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物、及び、下記一般式(4)
CFCFOCFCFOCFCOOX (4)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物、及び、下記一般式(5)
CFOCFCFOCFCOOX (5)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0057】
また、上記含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物、及び、下記一般式(3)
CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOX (3)
(式中、Xは水素原子、NH又はアルカリ金属原子を表す。)で表される含フッ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
【0058】
また、上記含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(1)
X−(CFm1−Y (1)
(式中、XはH又はFを表し、m1は3〜5の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物が更により好ましい。
【0059】
上記フルオロモノマーとしては、フルオロオレフィン、好ましくは炭素原子2〜10個を有するフルオロオレフィン;環式のフッ素化されたモノマー;式CQ=CQOR又はCQ=CQOROR(Qは、H又はFであり、R及びRは、水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されている炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されている炭素数1〜8のアルキレン基である。)で表されるフッ素化アルキルビニルエーテル;ニトリル基を有するフッ素含有オレフィン;ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル等が挙げられる。
【0060】
上記フルオロモノマーとしては、より具体的には、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン〔VDF〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、CH=CZ(CF(式中、ZはH又はF、ZはH、F又はCl、nは1〜10の整数である。)で表される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、CF=CF−O−CH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール〔PDD〕、及び、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン〔PMD〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0061】
CH=CZ(CFで表される単量体としては、CH=CFCF、CH=CH−C、CH=CH−C13、CH=CF−CH等が挙げられる。
【0062】
CF=CF−ORfで表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、CF=CF−OCF、CF=CF−OCFCF及びCF=CF−OCFCFCFが挙げられる。
【0063】
上記フルオロモノマーに加えて、フッ素非含有モノマーを重合してもよい。上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
【0064】
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマーであってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー;臭素含有オレフィン、ヨウ素含有オレフィン、臭素含有ビニルエーテル、ヨウ素含有ビニルエーテル;ニトリル基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
【0065】
上記フルオロモノマーを重合することによりPTFE及び溶融加工性のフッ素樹脂(但し、PTFEを除く)からなる群より選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む水性分散液が得られる。
【0066】
上記PTFEとしては、ホモPTFEであっても、変性PTFEであってもよい。変性PTFEは、TFE単位とTFEと共重合可能な変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む。また、上記PTFEは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有する高分子量PTFEであってもよいし、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しない低分子量PTFEであってもよい。
【0067】
上記変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕等のクロロフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアルキルエチレン;エチレン;ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル等が挙げられる。また、用いる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
【0068】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(6)
CF=CF−ORf (6)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
【0069】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(6)において、Rfが炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表すものであるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
【0070】
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられるが、パーフルオロアルキル基がパーフルオロメチル基であるパープルオロメチルビニルエーテル〔PMVE〕、パーフルオロアルキル基がパーフルオロプロピル基であるパープルオロプロピルビニルエーテル〔PPVE〕が好ましい。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式(6)において、Rfが炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
【0071】
【化1】
【0072】
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
【0073】
【化2】
【0074】
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
パーフルオロアルキルエチレンとしては特に限定されず、例えば、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)、パーフルオロオクチルエチレン(PFOE)等が挙げられる。
【0075】
ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテルとしては、CF=CFORfCN(式中、Rfは2つの炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい炭素数が2〜7のアルキレン基を表す。)で表されるフッ素含有ビニルエーテルがより好ましい。ニトリル基を有するフッ素含有ビニルエーテルとしては、例えば、パーフルオロ[3−(1−メチル−2−ビニルオキシ−エトキシ)プロピオニトリル](CNVE)等が挙げられる。
【0076】
上記変性PTFEにおける変性モノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、PMVE、PPVE、PFBE、PFHE、CNVE及びエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、PMVE、PPVE、PFHE、CNVE、HFP及びCTFEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体である。
【0077】
上記変性PTFEは、変性モノマー単位が0.001〜2モル%の範囲であることが好ましく、0.001〜1モル%未満の範囲であることがより好ましく、0.001〜0.5モル%の範囲であることが更に好ましく、0.001〜0.03モル%の範囲であることが特に好ましい。
【0078】
本明細書において、PTFEを構成する各単量体の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0079】
本発明の製造方法によって得られるPTFEは、メルトフローレート(MFR)が0g/10分以上、80g/10分未満であることが好ましい。30g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることが更に好ましく、5g/10分以下であることが更により好ましい。
小さいMFRはPTFEの分子量が高いことを意味する。上記水性分散液は、分子量が高いと同時に、極めて小さな粒子径を有するPTFE粒子を含むことができる。
【0080】
本明細書において、MFRは、ASTM D1238に従って、メルトインデクサー((株)安田精機製作所製)を用いて、フルオロポリマーの種類によって定められた測定温度(例えば、PFAやFEPの場合は372℃、ETFEの場合は297℃、PTFEの場合は380℃)、荷重(例えば、PFA、FEP、ETFE及びPTFEの場合は5kg)において内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
【0081】
本発明の製造方法によって得られるPTFEは、融点が324〜360℃である。上記融点は、350℃以下であることが好ましく、348℃以下であることがより好ましい。
【0082】
本明細書において、融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、300℃以上に加熱した履歴の無い試料3mgを10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
【0083】
本発明の製造方法によって得られるPTFEは、熱分解開始温度が400℃以上であることが好ましい。上記熱分解開始温度は、420℃以上であることがより好ましく、430℃以上であることが更に好ましい。
本明細書において、熱分解開始温度は、示差熱・熱重量測定装置〔TG−DTA〕(商品名:TG/DTA6200、セイコー電子社製)を用い、試料10mgを昇温速度10℃/分で室温から昇温し、試料が1質量%減少した温度である。
【0084】
溶融加工性のフッ素樹脂としては、TFE/PAVE共重合体〔PFA〕、TFE/HFP共重合体〔FEP〕、エチレン〔Et〕/TFE共重合体〔ETFE〕、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、CTFE/TFE共重合体、Et/CTFE共重合体、及び、PVFからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂であることが好ましく、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種のパーフルオロ樹脂であることがより好ましい。
【0085】
PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位とPAVE単位とのモル比(TFE単位/PAVE単位)が70/30以上99/1未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上98.9/1.1以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。上記PFAは、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90〜99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びPAVEと共重合可能な単量体としては、HFP、CZ=CZ(CF(式中、Z、Z及びZは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Zは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
【0086】
上記PFAは、融点が上記PTFEの融点よりも低く、180〜324℃未満であることが好ましく、230〜320℃であることがより好ましく、280〜320℃であることが更に好ましい。
【0087】
上記PFAは、メルトフローレート(MFR)が1〜500g/10分であることが好ましい。
【0088】
上記PFAは、熱分解開始温度が380℃以上であることが好ましい。上記熱分解開始温度は、400℃以上であることがより好ましく、410℃以上であることが更に好ましい。
【0089】
FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位とHFP単位とのモル比(TFE単位/HFP単位)が70/30以上99/1未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上98.9/1.1以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。上記FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1〜10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90〜99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、PAVE、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。
【0090】
上記FEPは、融点が上記PTFEの融点よりも低く、150〜324℃未満であることが好ましく、200〜320℃であることがより好ましく、240〜320℃であることが更に好ましい。
【0091】
上記FEPは、MFRが1〜500g/10分であることが好ましい。
【0092】
上記FEPは、熱分解開始温度が360℃以上であることが好ましい。上記熱分解開始温度は、380℃以上であることがより好ましく、390℃以上であることが更に好ましい。
【0093】
ETFEとしては、TFE単位とエチレン単位とのモル比(TFE単位/エチレン単位)が20/80以上90/10以下である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は37/63以上85/15以下であり、更に好ましいモル比は38/62以上80/20以下である。ETFEは、TFE、エチレン、並びに、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体からなる共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、下記式
CH=CXRf、CF=CFRf、CF=CFORf、CH=C(Rf
(式中、Xは水素原子又はフッ素原子、Rfはエーテル結合を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す。)で表される単量体が挙げられ、なかでも、CF=CFRf、CF=CFORf及びCH=CXRfで表される含フッ素ビニルモノマーが好ましく、HFP、CF=CF−ORf(式中、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及びRfが炭素数1〜8のフルオロアルキル基であるCH=CXRfで表される含フッ素ビニルモノマーがより好ましい。また、TFE及びエチレンと共重合可能な単量体としては、イタコン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸であってもよい。TFE及びエチレンと共重合可能な単量体は、含フッ素重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
【0094】
上記ETFEは、融点が上記PTFEの融点よりも低く、140〜324℃未満であることが好ましく、160〜320℃であることがより好ましく、195〜320℃であることが更に好ましい。
【0095】
上記ETFEは、MFRが1〜500g/10分であることが好ましい。
【0096】
上記ETFEは、熱分解開始温度が330℃以上であることが好ましい。上記熱分解開始温度は、340℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることが更に好ましい。
【0097】
上述した共重合体の各単量体単位の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
【0098】
上記フルオロポリマーは、体積平均粒子径が0.1nm以上、20nm未満の粒子であることが好ましい。体積平均粒子径が上記範囲にあると、マトリックス材料に対して極めて微分散が可能であるため、滑り性や塗膜表面の質感を更に向上させることができるという効果を奏する。また、体積平均粒子径が上記範囲にあるフルオロポリマー粒子を多段重合に供すると、極めて小さい粒子径を有するフッ素樹脂粒子を含む水性分散液を製造することができる。体積平均粒子径が大きすぎると、極めて大きな粒子径を有するフッ素樹脂粒子を含む水性分散液となるため、場合によっては反応安定性が悪く、重合途中で期待しない凝集物が生じるおそれがある。また、体積平均粒子径が大きすぎるフルオロポリマー粒子を多段重合に供すると、粒子径が極めて小さいフッ素樹脂粒子を含む分散安定性に優れた水性分散液を製造することができない。体積平均粒子径が0.1nm未満のフルオロポリマー粒子は製造が容易でない。フルオロポリマー粒子の体積平均粒子径は、0.5nm以上であることがより好ましく、1.0nm以上であることが特に好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましく、5nm未満であることが更により好ましく、3nm未満であることが特に好ましい。
【0099】
体積平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。フルオロポリマー固形分濃度1.0質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液を作成し、ELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)を使用して25℃、積算70回にて測定した値である。溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・sとした。体積平均粒子径は一次粒子に分散した状態の平均粒子径である。
【0100】
上記フルオロポリマーは、後述するフルオロポリマー水性分散液の用途に適用することが困難であることから、フッ素化イオノマーでないことが好ましい。
【0101】
上記フルオロポリマーは、当量重量(EW)が6,000以上であることが好ましい。当量重量(EW)は、イオン交換基1当量当たりの乾燥重量であり、フルオロポリマーの当量重量(EW)が大きいことは、フルオロポリマーを構成するモノマーにイオノマーがほとんど含まれないことを意味する。上記フルオロポリマーは、イオノマーがほとんど含まれないにも関わらず、驚くべきことに極めて小さな体積平均粒子径を有する。当量重量(EW)は、10,000以上であることがより好ましく、上限は特に限定されないが、50,000,000以下であることが好ましい。
【0102】
特許文献3に記載されたフルオロポリマー粒子の水性分散液を作製するための方法では、第一段目の工程でフッ素化イオノマーの分散微粒子を形成させることを必須とするため、最終的に得られるフルオロポリマーも耐熱性が劣り、得られるフルオロポリマーを加熱すると、発泡が生じたり、着色が生じたりすることがある。本発明の製造方法は、得られるフルオロポリマーの当量重量(EW)が6,000以上であることから、得られるフルオロポリマーは優れた耐熱性を有している。
【0103】
上記当量重量は、次の方法により測定することができる。
フルオロポリマーを含む水性分散液に塩酸あるいは硝酸を添加してフルオロポリマーを凝析させる。凝析したフルオロポリマーは、洗浄液が中性になるまで純水にて洗浄を行った後、水分がなくなるまで110℃以下で真空加熱乾燥させる。乾燥させたフルオロポリマーのおよそ0.3gを、25℃の飽和NaCl水溶液30mLに浸漬し、攪拌しながら30分間放置する。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後に得られたイオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっているフルオロポリマーを、純水ですすぎ、さらに真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンのフルオロポリマーの質量をW(mg)とし、下記式より当量重量EW(g/eq)を求める。
EW=(W/M)−22
【0104】
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とする重合体の分子量、反応速度によって適宜決定される。
【0105】
上記重合開始剤としては、過硫酸塩及び有機過酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。重合開始剤としては、フルオロポリマー粒子の水性分散液中での分散安定性が良好となることから、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、ジサクシニックアシドパーオキサイド、ジグルタニックアシドパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物が挙げられる。取り扱いの簡便性、コストを鑑みれば、過硫酸アンモニウムが好ましい。
【0106】
上記重合開始剤の使用量は、目的とするフルオロポリマーのMFRにあわせて添加量を適宜決定することができる。上記重合開始剤の使用量は、通常、水性媒体の1〜5,000ppmに相当する量であることが好ましい。より好ましい上限は500ppmであり、更に好ましい上限は300ppmであり、更により好ましい上限は100ppmである。より好ましい下限は2ppmである。フルオロポリマー粒子の水性分散液中での分散安定性が良好となることから、水性媒体の2ppmに相当する量以上であることが好ましい。
【0107】
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
【0108】
本発明の製造方法における重合を連鎖移動剤の存在下に行ってもよい。上記連鎖移動剤としては、公知のものが使用できるが、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、クロロメタン、ジクロロメタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水素等が挙げられるが、常温常圧で気体状態のものが好ましく、エタン又はプロパンがより好ましい。
【0109】
上記連鎖移動剤の使用量は、通常、供給されるフルオロモノマー全量に対して、1〜50,000ppmであり、好ましくは1〜20,000ppmである。
多量の含フッ素界面活性剤と少量の連鎖移動剤とを使用することも、上記方法の好ましい条件の一つである。このような条件を採用すれば、高分子量かつ小粒径のフルオロポリマー粒子を容易に製造することが可能となる。
特に好ましい条件は、含フッ素界面活性剤を6,000ppm以上使用し、連鎖移動剤を20,000ppm以下使用することである。この好適な条件において、含フッ素界面活性剤は、8,000ppm以上であることがより好ましく、18,000ppm以上であることが更に好ましく、20,000ppm以上であることが特に好ましく、400,000ppm以下であることが好ましく、300,000ppm以下であることがより好ましく、連鎖移動剤は、10,000ppm以下であることがより好ましく、7,000ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましい。
【0110】
上記連鎖移動剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
【0111】
上記乳化重合において、安定化剤を添加しても良い。安定化剤としては、パラフィンワックス(炭素数16以上の炭化水素)、フッ素系オイル、フッ素系化合物、シリコーンオイル等が好ましく、なかでも、パラフィンワックスが好ましい。パラフィンワックスの融点は通常40〜65℃が好ましい。このような安定化剤を含む水性媒体中で乳化重合を行うことにより、重合系中に生成する乳化粒子同士の凝集が妨げられ、より安定な乳化粒子として得ることができる。
【0112】
上記パラフィンワックスは、PTFEをより安定に乳化させる点で、水性媒体100質量部に対し0.1〜12質量部であることが好ましい。上記含有量は、水性媒体100質量部に対し、より好ましい下限が1質量部であり、より好ましい上限が8質量部である。
【0113】
上記重合は、10〜95℃で行うことが好ましく、30℃以上で行うことがより好ましく、90℃以下で行うことがより好ましい。
【0114】
上記重合は、0.05〜3.9MPaGで行うことが好ましく、0.1MPaG以上で行うことがより好ましく、3.0MPaG以下で行うことがより好ましい。
【0115】
上記重合は、重合反応器に、TFE及び必要に応じて変性モノマーを仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行う。重合反応開始前に、必要に応じて、水性媒体、安定化剤等の添加剤等を反応器に仕込んでもよい。重合反応開始後に、目的に応じて、TFE、変性モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤等を追加添加してもよい。
【0116】
上記重合を行うことにより、フルオロポリマー粒子を含む水性分散液を製造することができる。得られる水性分散液の固形分濃度は、おおむね1〜40質量%であり、5〜30質量%であることが好ましい。上記固形分濃度は、水性分散液1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表したものである。
【0117】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマー粒子の固形分濃度が5.0質量%であるフルオロポリマー水性分散液について測定したフルオロポリマー粒子の沈降物量が10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、5.5質量%以下であることが更に好ましく、3.0質量%以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されない。
【0118】
ここで、「フルオロポリマー粒子の沈降物量」とは、例えば、以下の方法で測定する。25℃に保持した30gのフルオロポリマー水性分散液を、専用の容器に入れ、RT15A7型のロータを備えた日立工機社製の遠心分離機(himac CT15D)を用いて、5000rpmの回転数で5分間保持し、沈降物層とフルオロポリマー水性分散液層に分離する。フルオロポリマー水性分散液層を取り出して固形分量を求め、用いたフルオロポリマー水性分散液中の固形分量との差から沈降物量を計算する。沈降物量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定する。割合が低いほど貯蔵安定性に優れることを示す。
【0119】
本発明のフルオロポリマー水性分散液は、フルオロポリマー粒子の固形分濃度が5.0質量%であるフルオロポリマー水性分散液について測定したフルオロポリマー粒子のメッシュアップ量が2.5質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.8質量%以下であることが更に好ましく、1.3質量%以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されない。
【0120】
ここで、「フルオロポリマー粒子のメッシュアップ量」とは、例えば、以下の方法で測定する。65℃に保持した100gのフルオロポリマー水性分散液を、内径4.76mm、外径7.94mmのチューブ(タイゴンチューブ)を備えた東京理化器械株式会社製の定量送液ポンプ(RP−2000型 ローラーポンプ)を用い、吐出流量が10L/時間の条件で2時間循環する。その後、200メッシュSUS網を用いてろ過した際のメッシュアップ量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定する。割合が低いほど機械的安定性に優れることを示す。
【0121】
本発明の製造方法における重合は、下記一般式(2)
X−(CFm2−Y (2)
(式中、XはH又はFを表し、m2は6以上の整数を表し、Yは−SOM、−SOM、−SOR、−SOR、−COOM、−PO、−PO(MはH、NH又はアルカリ金属を表し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を表す。)を表す。)で表される含フッ素化合物の非存在下に行うことが好ましい。
本発明の製造方法における重合は、乳化重合であることが好ましい。本発明の製造方法における重合は、ラジカル重合であることが好ましい。
【0122】
本発明の製造方法で得られるフルオロポリマー水性分散液を、多段重合に供してもよい。本発明の製造方法で得られるフルオロポリマー水性分散液は、極めて小さい粒子径を有するフルオロポリマー粒子を含むため、多段重合に供することにより、当該フルオロポリマー粒子をコア部とするコアシェル構造を有し、かつ粒子径の極めて小さいフッ素樹脂粒子を含む水性分散液を製造することができる。
【0123】
また、本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液を凝析する工程、得られた凝析粒子の洗浄を行う工程、及び、乾燥を行う工程を行うことにより、フルオロポリマーファインパウダーを製造することもできる。
【0124】
上記の凝析、洗浄及び乾燥の方法としては、従来公知の方法を採用してよい。
【0125】
また、本発明の製造方法により得られるフルオロポリマー水性分散液を、ノニオン界面活性剤の存在下にイオン交換樹脂と接触させる工程(I)と、工程(I)で得られた水性分散液を、水性分散液中の固形分濃度が水性分散液100質量%に対して30〜70質量%となるように濃縮する工程(II)とを含む製造方法により、含フッ素界面活性剤を含まず、固形分濃度が高いフルオロポリマー水性分散液を製造することもできる。
上記濃縮後のフルオロポリマー水性分散液の固形分濃度は、水性分散液1gを、送風乾燥機中で300℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表したものである。
【0126】
上記イオン交換樹脂と接触させる工程は、従来公知の方法で行うことができる。また、上記濃縮方法としては、上述のものが挙げられる。
本発明の製造方法は、上記工程(I)の後、フルオロポリマーの水性分散液とイオン交換樹脂とを分離してフルオロポリマーの水性分散液を回収する工程を含むことが好ましい。
【0127】
ノニオン界面活性剤としては、フッ素を含有しないノニオン性の化合物からなるものであれば特に限定されず、公知のものを使用できる。上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤;エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック共重合体等のポリオキシエチレン誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等のアミン系ノニオン界面活性剤;等が挙げられる。これらはいずれも非フッ素化ノニオン界面活性剤である。
【0128】
上記ノニオン界面活性剤を構成する化合物において、その疎水基は、アルキルフェノール基、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基の何れであってもよいが、アルキルフェノール基を構造中に有しない化合物等、ベンゼン環を有さないものであることが好ましい。
【0129】
上記ノニオン界面活性剤としては、なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数10〜20のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル構造からなるものが好ましく、炭素数10〜15のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル構造からなるものがより好ましい。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル構造におけるアルキル基は、分岐構造を有していることが好ましい。
【0130】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、例えば、Genapol X080(製品名、クラリアント社製)、タージトール9−S−15(製品名、クラリアント社製)、ノイゲンTDS−80(製品名、第一工業製薬社製)、レオコールTD−90(製品名、ライオン社製)等が挙げられる。
【0131】
本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及びフルオロポリマーファインパウダーは、成形材料、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器用部材、トナーを改質する添加剤、めっき液への添加剤等として好適に使用することができる。上記成形材料としては、例えば、ポリオキシベンゾイルポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0132】
本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及び上記フルオロポリマーファインパウダーは、成形材料の添加剤として、例えば、コピーロールの非粘着性・摺動特性の向上、家具の表層シート、自動車のダッシュボード、家電製品のカバー等のエンジニアリングプラスチック成形品の質感を向上させる用途、軽荷重軸受、歯車、カム、プッシュホンのボタン、映写機、カメラ部品、摺動材等の機械的摩擦を生じる機械部品の滑り性や耐摩耗性を向上させる用途、エンジニアリングプラスチックの加工助剤等として好適に用いることができる。
【0133】
本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及び上記フルオロポリマーファインパウダーは、塗料の添加剤として、ニスやペンキの滑り性向上の目的に用いることができる。本発明のフルオロポリマー水性分散液及びフルオロポリマーファインパウダーは、化粧品の添加剤として、ファンデーション等の化粧品の滑り性向上等の目的に用いることができる。
【0134】
本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及び上記フルオロポリマーファインパウダーは、更に、ワックス等の撥油性又は撥水性を向上させる用途や、グリースやトナーの滑り性を向上させる用途にも好適である。
【0135】
また、本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及び上記フルオロポリマーファインパウダーは、二次電池や燃料電池の電極バインダー、電極バインダーの硬度調整剤、電極表面の撥水処理剤等としても使用できる。この用途には、フルオロポリマーファインパウダーよりもフルオロポリマー水性分散液の方が好適であることが多い。
【実施例】
【0136】
次に本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0137】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0138】
(体積平均粒子径)
動的光散乱法(DLS)により測定される。動的光散乱(DLS)測定は、ELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)を使用して25℃で行った。試料はフルオロポリマー固形分濃度1.0質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液を用いた。その時、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・sとした。光源は660nmレーザーを用いて、試料からの散乱光は後方散乱に近い165°で測定を行った。1測定には70回の積算を行い、およそ3分間かけてデータを取り込んだ。試料の散乱強度の強弱に応じて、最適な散乱強度(10000〜50000cps)になるよう、試料に照射するレーザー光強度や観測位置を装置が自動的に調整を行った。
得られた自己相関関数をもとに、自己相関関数に適合されたCumulant法による平均粒子径(d)と多分散指数(PI)がELSZ−1000ソフトウエアから得られたが、粒度分布についての情報は不十分である。
このため、粒度分布を得るために有限個数のΓjで分布を代表させて近似を行うヒストグラム法を用いた。ここで近似に使用する非線形最少二乗法には修正Marquardt法を用いた。得られた粒度分布は散乱強度に依存した分布であるため、Rayleigh−Gans−Debye関数を用いて重量分布に換算した。重量分布における平均値を重量平均粒子径とした。また、試料中の粒子の比重は粒度の大きさに関わりなく同一であるので、重量平均粒子径は体積平均粒子径と等価であるとした。
【0139】
(変性量)
NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせて測定した。
【0140】
(融点)
示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、300℃以上に加熱した履歴の無い試料3mgを10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
【0141】
(熱分解開始温度)
示差熱・熱重量測定装置〔TG−DTA〕(商品名:TG/DTA6200、セイコー電子社製)を用い、試料10mgを昇温速度10℃/分で室温から昇温し、試料が1質量%減少した温度を測定した。
【0142】
(固形分濃度)
重合により得られた濃縮前の水性分散液の固形分濃度は、水性分散液1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
また、濃縮後のフルオロポリマー水性分散液の固形分濃度は、水性分散液1gを、送風乾燥機中で300℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
【0143】
(メルトフローレート(MFR))
MFRは、ASTM D1238に準拠した方法で、メルトインデクサー((株)安田精機製作所製)を用いて、フルオロポリマーの種類によって定められた測定温度(例えば、PFAやFEPの場合は372℃、ETFEの場合は297℃、PTFEの場合は380℃)、荷重(例えば、PFA、FEP、ETFE及びPTFEの場合は5kg)において内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を測定した。
なお、流出したポリマー量がごく微量であることから、流出したポリマーの質量を測定することが困難である場合は0.2g以下/10分とした。
【0144】
(分散安定性の評価)
(貯蔵安定性試験)
25℃に保持した30gのフルオロポリマー水性分散液を、専用の容器に入れ、RT15A7型のロータを備えた日立工機社製の遠心分離機(himac CT15D)を用いて、5000rpmの回転数で5分間保持し、沈降物層とフルオロポリマー水性分散液層に分離した。フルオロポリマー水性分散液層を取り出して固形分量を求め、用いたフルオロポリマー水性分散液中の固形分量との差から沈降物量を計算した。沈降物量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定した。割合が低いほど貯蔵安定性に優れることを示す。
【0145】
(機械的安定性試験)
65℃に保持した100gのフルオロポリマー水性分散液を、内径4.76mm、外径7.94mmのチューブ(タイゴンチューブ)を備えた東京理化器械株式会社製の定量送液ポンプ(RP−2000型 ローラーポンプ)を用い、吐出流量が10L/時間の条件で2時間循環した。その後、200メッシュSUS網を用いてろ過した際のメッシュアップ量を、用いたフルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマー量に占める割合(質量%)として測定した。割合が低いほど機械的安定性に優れることを示す。
【0146】
(実施例1)
内容量1Lの撹拌機付きガラス製反応器に、530gの脱イオン水、30gのパラフィンワックス及び49.5gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を入れた。次いで反応器の内容物を85℃まで加熱しながら吸引すると同時にTFE単量体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、0.03gのエタンガスを反応器に加え、内容物を540rpmで攪拌した。反応器中にTFE単量体を0.73MPaGの圧力となるまで加えた。20gの脱イオン水に溶解した0.110gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を反応器に注入し、反応器を0.83MPaGの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測された。TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、約140gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。その後に、反応器内の圧力が常圧になるまで排気し、内容物を反応器から取り出して冷却した。上澄みのパラフィンワックスをPTFE水性分散液から取り除いた。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は20.9質量%であり、体積平均粒子径は1.2nmであった。
【0147】
得られたPTFE水性分散液に硝酸を加え、凝固するまで激しく撹拌して凝集させた。得られた凝集物を脱イオン水で水洗いした後150℃で乾燥させることにより、PTFE粉末を得た。このときのPTFE粉末のMFRは16.7g/10分、融点は327.2℃、1質量%の熱分解開始温度は473.0℃であった。
【0148】
また、得られたPTFE水性分散液を固形分濃度が5.0質量%となるように脱イオン水を加え、貯蔵安定性を評価した結果、沈降物量は0.1質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を分散剤量が10.0質量%となるように、重合したときと同一の分散剤であるAPFHを加えた。さらに、固形分濃度が5.0質量%なるように脱イオン水を加え、機械的安定性を評価した結果、メッシュアップ量は0.1質量%であった。
【0149】
また、得られたPTFE水性分散液100gに対して、界面活性剤を2.0g添加し均一に混合した後、イオン交換樹脂を充填したカラムを通過させた。得られた水性分散液を60℃に保持し、相分離によって得られた濃縮相を回収した。この濃縮相は、固形分濃度が62質量%であった。さらに水と界面活性剤を添加して、固形分濃度60質量%、界面活性剤量8質量%としpHを9.7に調整した。
【0150】
(対照例)
実施例1における49.5gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を55.0gとした以外は実施例1と同様に重合を行った。得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は20.5質量%であり、体積平均粒子径は0.9nmであった。
実施例1と比較して、この時の水性媒体中の含フッ素界面活性剤の濃度変化量は10000ppm、体積平均粒子径の変化量は0.3nmであるので、体積平均粒子径の変化量は水性媒体中の含フッ素界面活性剤1000ppm当り0.03nmであった。
【0151】
(実施例2)
実施例1における85℃の重合温度を70℃とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
【0152】
(実施例3)
実施例1における0.110gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を0.028gとした以外は実施例1と同様に重合を行った。
【0153】
(実施例4)
実施例1における0.110gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を0.006gとし、49.5gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を55.0gとし、約40gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例1と同様に重合を行った。
【0154】
(実施例5)
実施例1における0.110gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を0.006gとし、49.5gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を27.5gとし、約10gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例1と同様に重合を行った。
【0155】
(実施例6)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を26.4gとした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0156】
(実施例7)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を25.9gとした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0157】
(実施例8)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を20.9gの2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]−プロパン酸アンモニウム塩分散剤(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH)〔PMPA〕とした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0158】
(実施例9)
実施例8における20.9gの2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]−プロパン酸アンモニウム塩分散剤(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH)〔PMPA〕を13.8gとした以外は実施例8と同様に重合を行った。
【0159】
(実施例10)
実施例8における20.9gの2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]−プロパン酸アンモニウム塩分散剤(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH)〔PMPA〕を10.5gとした以外は実施例8と同様に重合を行った。
【0160】
(実施例11)
内容量6Lの撹拌機付きSUS製反応器に、2860gの脱イオン水、104gのパラフィンワックス及び288.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を入れた。次いで反応器の内容物を85℃まで加熱しながら吸引すると同時にTFE単量体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、0.08gのエタンガスを反応器に加え、内容物を250rpmで攪拌した。反応器中にTFE単量体を0.25MPaGの圧力となるまで加えた。20gの脱イオン水に溶解した0.029gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を反応器に注入し、反応器を0.30MPaGの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測された。TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、約250gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。その後に、反応器内の圧力が常圧になるまで排気し、内容物を反応器から取り出して冷却した。上澄みのパラフィンワックスをPTFE水性分散液から取り除いた。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は6.0質量%であり、体積平均粒子径は2.5nmであった。
得られたPTFE水性分散液の一部を冷凍庫に入れて凍結した。凍結したPTFE水性分散液を25℃になるまで放置して凝固した粉末を得た。凝固した湿潤粉末を脱イオン水で水洗いした後150℃で乾燥した。このときのPTFE粉末のMFRは0.2g以下/10分、融点は329.5℃、1質量%の熱分解開始温度は490.8℃であった。
【0161】
(実施例12)
実施例11における0.08gのエタンガスを0.10gのPMVEとした以外は実施例11と同様に重合を行った。
【0162】
(実施例13)
実施例11における0.08gのエタンガスを0.49gのHFPとし、0.30MPaGの圧力の反応器を0.20MPaGの圧力の反応器とし、約200gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例11と同様に重合を行った。
【0163】
(実施例14)
実施例4における0.03gのエタンガスを0.41gのPPVEとした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0164】
(実施例15)
内容量1Lの撹拌機付きガラス製反応器に、530gの脱イオン水、30gのパラフィンワックス及び55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を入れた。次いで反応器の内容物を85℃まで加熱しながら吸引すると同時にTFE単量体でパージして反応器内の酸素を除いた。その後、0.03gのエタンガスと0.20gのパーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)を反応器に加え、内容物を540rpmで攪拌した。反応器中にTFE単量体を0.73MPaGの圧力となるまで加えた。20gの脱イオン水に溶解した0.006gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を反応器に注入し、反応器を0.83MPaGの圧力にした。開始剤の注入後に圧力の低下が起こり重合の開始が観測された。TFE単量体を反応器に加えて圧力を保ち、約40gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた。その後に、反応器内の圧力が常圧になるまで排気し、内容物を反応器から取り出して冷却した。上澄みのパラフィンワックスをPTFE水性分散液から取り除いた。
得られたPTFE水性分散液の固形分濃度は6.6質量%であり、体積平均粒子径は1.6nmであった。
得られたPTFE水性分散液の一部を冷凍庫に入れて凍結した。凍結したPTFE水性分散液を25℃になるまで放置して凝固した粉末を得た。凝固した湿潤粉末を脱イオン水で水洗いした後150℃で乾燥した。このときのPTFE粉末のMFRは0.2g以下/10分、融点は329.3℃、1質量%の熱分解開始温度は465.5℃であった。
【0165】
(実施例16)
実施例15における85℃の重合温度を70℃とし、0.006gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を0.110gとし、55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を44.0gとし、0.20gのパーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)を1.12gのパーフルオロ[3−(1−メチル−2−ビニルオキシ−エトキシ)プロピオニトリル]〔CNVE〕とし、約140gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例15と同様に重合を行った。
【0166】
(実施例17)
実施例16における44.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を22.0gの2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]−プロパン酸アンモニウム塩分散剤(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH)〔PMPA〕とした以外は実施例16と同様に重合を行った。
【0167】
(実施例18)
実施例15における0.20gのパーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)を0.18gのCTFEとした以外は実施例15と同様に重合を行った。
【0168】
(実施例19)
実施例15における0.006gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を0.110gとし、55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を49.5gとし、0.20gのパーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)を8.80gのPPVEとし、約160gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例15と同様に重合を行った。
【0169】
(実施例20)
実施例16における0.110gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を1.100gとした以外は実施例16と同様に重合を行った。
【0170】
(実施例21)
実施例16における44.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を33.0gのパーフルオロポリエーテルアルキル酸アンモニウム塩分散剤(COCF(CF)COONH)(PFPE)とした以外は実施例16と同様に重合を行った。
【0171】
(実施例22)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を100.0gのパーフルオロペンタン酸アンモニウム分散剤(APFP)とし、約140gのTFE単量体が反応し終わるまで重合を続けた以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0172】
(実施例23)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を7.7gのパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸分散剤(C13(CHSOH)(6,2−PFAS)とした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0173】
(実施例24)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を5.0gのパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸分散剤(C13(CHSOH)(6,2−PFAS)とした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0174】
(実施例25)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を3.9gのパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸分散剤(C13(CHSOH)(6,2−PFAS)とした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0175】
(比較例1)
実施例8における20.9gの2,3,3,3−テトラフルオロ−2−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]−プロパン酸アンモニウム塩分散剤(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH)〔PMPA〕を8.8gとした以外は実施例8と同様に重合を行った。
【0176】
(比較例2)
実施例4における55.0gのパーフルオロヘキサン酸アンモニウム分散剤(APFH)を22.0gとした以外は実施例4と同様に重合を行った。
【0177】
各実施例における重合条件及び得られたPTFE水性分散液の評価結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0178】
【表1】
【0179】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0180】
本発明のフルオロポリマー水性分散液の製造方法によれば、粒子径が極めて小さいフルオロポリマー粒子を含む分散安定性に優れた水性分散液を製造することができる。本発明の製造方法によって得られるフルオロポリマー水性分散液及び該水性分散液から得られるフルオロポリマーファインパウダーは、種々の成形材料、塗料、化粧品、ワックス、グリース、トナー等の添加剤、二次電池や燃料電池の電極バインダー、電極バインダーの硬度調整剤、電極表面の撥水処理剤等に好適に用いることができる。