特許第6369625号(P6369625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369625
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180730BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
   H01M2/20 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-507120(P2017-507120)
(86)(22)【出願日】2015年10月2日
(86)【国際出願番号】JP2015005035
(87)【国際公開番号】WO2016151646
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-59084(P2015-59084)
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
(72)【発明者】
【氏名】三堀 伸一
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−269103(JP,A)
【文献】 特開2014−022070(JP,A)
【文献】 特開2000−333343(JP,A)
【文献】 特開2000−331721(JP,A)
【文献】 特開2009−070653(JP,A)
【文献】 特開2008−283777(JP,A)
【文献】 特開2014−050238(JP,A)
【文献】 特開2011−065894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10−34
H01R 11/12
H01R 4/38
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する少なくとも一つの電池セルを含む電池ブロックであって、前記電極端子が位置する端子面を有している、該電池ブロックと、
前記端子面に配置されるプレートであって、前記電極端子に接続される総端子バスバーが配置される出力端子部を含んでおり、かつ、前記出力端子部が前記総端子バスバーに沿って立設される壁部を有している、該プレートと、
先端に接続端子を有する出力ラインを前記総端子バスバーに接続する端子固定部であって、螺合構造によって前記接続端子と前記総端子バスバーを固定している、該端子固定部と、
前記接続端子と前記壁部の間に設けられる変形可能な緩衝部と、
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記緩衝部は、前記接続端子が前記壁部に近接する方向に、弾性変形する弾性部材を含む電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記緩衝部は、内部に複数の空間を有するスポンジ状に形成されることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電源装置において、
前記弾性部材は、前記接続端子の変位を吸収して応力を緩和することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の電源装置において、
前記弾性部材は、低反発ウレタンまたは軟質シリコンで形成されることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電源装置において、
前記緩衝部は、前記接続端子が前記螺合構造の軸に対して6度回転した際に、前記接続端子の先端が前記壁部に当接しないように所定の厚さを有することを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力ラインの端子固定構造を備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリットカー、電気自動車が普及している。これらの車両には、走行用モータと、走行用モータに電力を供給する電源装置が搭載される。駆動用の電源装置にはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池が用いられることが一般的である。
【0003】
電源装置は、走行用モータ等の負荷に電力を供給するための出力端子部を有している。出力端子部には、走行用モータ等の負荷と電源装置を接続する出力ラインが固定される。出力ラインは、車両のメンテナンスを考慮し、出力端子部に対して着脱自在に構成されることが好ましい。一般的には、出力ラインは、ボルトやナットを用いた螺合構造によって固定される。
【0004】
螺合構造によって固定する端子固定構造において、作業性を向上させることができる電気接続箱の端子固定構造が提案されている(特許文献1)。特許文献1の端子固定構造は、出力端子と接続するための端子固定部を有する電気接続箱と、先端に接続金具を有する出力ラインと、を備えている。端子固定部には、挿入される端子金具を適正な挿入姿勢で所定固定位置に導く案内溝を有する挿入案内手段が設けられると共に、所定固定位置まで挿入された端子金具を仮係止する仮係止手段が設けられている。仮止めされた端子金具は、ボルトやナットを介した螺合構造により、端子固定部に固定される。
【0005】
この構成により、特許文献1の端子接続構造は、出力ラインと電気接続箱とを接続する際に、出力ラインの先端の接続金具を電気接続箱の仮係止手段によって、仮止めできるので、接続金具を出力端子に接続する際に、接続金具の変位を規制することができ、作業を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−331721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、特許文献1の電気接続箱において、端子金具と端子固定部をボルトで固定する際、必要以上に強いトルクでボルトが締め付けられることもあり得る。規定以上のトルクでボルトを螺合すると、軸力が端子金具や端子固定部にかかった状態でボルトが回転されることになり、着座している面に生じる摩擦力により、端子金具に回転モーメントがかかる。端子金具は、仮係止手段で仮係止されるようになっているため、端子金具にかかる回転モーメントによって、仮係止手段に負荷がかかる。そのため、特許文献1の端子接続構造は、螺合構造のトルク管理が充分に行えないような場合には、電気接続箱の仮係止手段や仮係止手段が設けられているハウジングが破損するなどの問題が生じるおそれがあった。
【0008】
特に、特許文献1に開示されているような端子固定構造を、車両用の電源装置の出力端子の端子固定構造に採用する場合、この問題は顕著となる。車両のメンテナンスは、一般のメンテナンスの作業者が行うため、車両の設計や電源装置の設計を理解しているとは限らず、必ずしも規定のトルクで出力ラインが電気接続箱の端子固定部に固定されるわけではない。
【0009】
本願発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充分なトルク管理が行えない場合であっても、部材の破損を防止できる出力ラインの接続固定構造を備えた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電源装置は、電池ブロックと、プレートと、端子固定部と、緩衝部と、を備えている。電池ブロックは、電極端子を有する電池セルを含んでいる。電池ブロックは、電極端子が位置する端子面を有している。プレートは、端子面に配置される。プレートは、電極端子に接続される総端子バスバーが配置される出力端子部を含んでいる。出力端子部は、総端子バスバーに沿って立設される壁部を有している。端子固定部は、先端に接続端子を有する出力ラインを総端子バスバーに接続している。端子固定部は、螺合構造によって接続端子と総端子バスバーを固定している。緩衝部は、変形可能に形成され、接続端子と壁部の間に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様の構成によれば、螺合構造による固定の際に、回転に伴う接続端子の変位が生じたとしても、接続端子と壁部の当接を防止し、プレート等の部材の破損を防止できる。また、緩衝部によって、接続端子から壁部への負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の電源装置を備える電動車両の模式図である。
図2図1のある態様の電源装置の斜視図である
図3図2の電源装置の分解斜視図である。
図4図2の電源装置の上面図である。
図5図4の電源装置において出力ラインの固定構造を示すための拡大図である。
図6図2における電池セルの断面図である。
図7】本発明の電源装置において、変形例の緩衝部を図示する断面図である。
図8】本発明の電源装置において、他の変形例の緩衝部を図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に基づいて、本発明の概要について説明する。図1に示すように、本発明のある態様の電源装置1は、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両に搭載される。電源装置1は、複数の電池セルを含む電源部2と、電源部2の出力を取り出すための端子部3と、を備えている。電源装置1の端子部3には、出力ラインOLが、着脱自在に接続される。また、端子部3には、緩衝部36が設けられており、出力ラインOLを着脱する際に生じる負荷を軽減することができるようになっている。
【0014】
電動車両には、車両を駆動するためのモータMと、モータMを制御するためのパワーコントロールユニットPCUが搭載されている。パワーコントロールユニットPCUは、出力ラインOLを介して電源装置1と接続される。パワーコントロールユニットPCUには、インバータINが含まれている。インバータINは、出力ラインOLを介して電源装置1の直流電力が入力され、入力される直流電力を交流電力へ変換し、モータMへ交流電力を供給する。モータMは、インバータINから供給される交流電力によって動作し、電動車両を走行させることができる。
【0015】
以上の構成の電源装置1は、出力ラインOLが電源装置1の端子部3に着脱自在に固定されており、例えば、電源装置1を交換する際などに、出力ラインOLを簡単に電源装置1から切り離すことができるようになっている。また、上述の電源装置1は、端子部3に設けられた緩衝部36によって、出力ラインOLの着脱の際に生じる負荷を軽減することができ、端子部3等を構成する部材の破損を防止できる。なお、本発明の電源装置は、必ずしも図1に例示した電動車両に搭載される電源装置への採用に限られるわけではない。本発明の電源装置は、種々の用途の電源装置に広く採用することができる。
【0016】
次に、図2ないし図6に基づいて、図1の電源装置1を実現する具体的な構成について説明する。図2ないし図4に示すように、本発明のある態様の電源装置1は、電池ブロック40と、電池ブロック40の一面に配置されるプレート30と、で構成される。電池ブロック40は、複数の電池セル20を含む積層体41と、一対のエンドプレート42と、複数のバインドバー43とを備えている。なお、図2ないし図4では、一つの電池ブロック40を備える電源装置の態様を図示しているが、図2ないし図4の電源装置は、図1の電源装置1の具体的な構成の一例を示しているに過ぎない。図1の電源装置1は、複数の電池ブロック40を備える電源装置とすることもできる。
【0017】
図2および図3に示される電池セル20は、直方体形状の外形を有する角形電池であり、具体的な構成は図6に示される。図6の電池セル20は、扁平な直方体形状の外装缶21と、外装缶21内に封入される発電要素22と、外装缶21の一面に設けられる正負の電極端子23と、を備える。外装缶21は、一対の幅広面を有している。
【0018】
図3に示すように、積層体41は、交互に積層される複数の電池セル20および複数のスペーサ24を含んでいる。積層体41において、複数の電池セル20は、隣接する電池セル20の幅広面が対向し、かつ、各々の電池セル20の電極端子23が同一面に位置する姿勢で積層される。この構成により、積層体41の一面に複数の電極端子23が並設される端子面が形成される。また、複数のスペーサ24は、絶縁性の樹脂で形成されており、積層される複数の電池セル20の間に、それぞれ配置される。隣接する電池セル20の間に配置されるスペーサ24は、隣接する電池セル20同士の短絡を防止する。
【0019】
図2および図3に示すように、一対のエンドプレート42は、積層方向における積層体41の両端に配置される。一対のエンドプレート42には、拘束部材として、複数のバインドバー43が架設される。エンドプレート42およびバインドバー43は、剛性の高い金属等で形成される。この構成により、バインドバー43は、一対のエンドプレート42の相対変位を規制することができる。なお、図2および図3には、複数のバー形状の拘束部材を備える電池ブロック40が例示されているが、本発明の実施の形態における拘束部材は、必ずしもバー形状とする必要はない。
【0020】
以上の構成によると、積層体41の寸法変化を抑制することができる。例えば、積層体41を構成する複数の電池セル20は、充放電に応じて、外装缶21の内圧が変化したり、外装缶21に封入される発電要素22が膨張したりするため、外装缶21の寸法が変化するおそれがあるが、このような場合であっても、本発明の電源装置1では、一対のエンドプレート42の相対変位を規制するように構成することで、積層体41を構成する電池セル20の外装缶21の寸法変化を抑制することができるようになっている。
【0021】
図3に示すように、プレート30は、電池ブロック40を構成する積層体41の端子面に配置される。プレート30は、絶縁性の樹脂で形成されている。プレート30は、端子面に設けられた複数の電極端子23の位置に対応して貫通孔が形成されており、それぞれの貫通孔に対応する電極端子23を挿通することができるようになっている。図4に示すように、プレート30の貫通孔から突出した電極端子23は、隣接する電池セル20の電極端子23同士がバスバー31を介して接続される。なお、バスバー31は、金属製の導電部材であり、銅やアルミニウム等で形成することができる。また、バスバー31は、バスバー31の腐食防止やバスバー31と電極端子23の溶接強度向上のために、メッキが施されることもある。
【0022】
図4に示すように、プレート30に配置される複数のバスバー31は、隣接する電池セル20の電極端子23を接続するための複数の接続バスバー31aと、電池ブロック40の出力端子を構成するための一対の総端子バスバー31bと、を含んでいる。プレート30は、接続バスバー31aが配置されるバスバー固定部32と、総端子バスバー31bが配置される出力端子部33と、を備える。なお、図2ないし図5の電源装置において、出力端子部33が図1の端子部3に対応する。
【0023】
バスバー固定部32および出力端子部33は、それぞれに配置されるバスバー31に沿って立設される壁部34を有している。この構成により、バスバー31をバスバー固定部32や出力端子部33に配置する際に、壁部34を介して、バスバー31を所定の位置に案内することができる。
【0024】
また、組立性の向上を目的として、配置されるバスバー31を係止する係止部35を、壁部34に設けることもできる。係止部35は、テーパーを有するツメ形状の部材で、係止部35を弾性変形させてバスバー31を圧入することで、バスバー31を係止部35によって仮止めすることができる。この構成により、複数のバスバー31をプレート30に配置した状態で、プレート30を運搬することができ、組立の作業性を向上させることができる。
【0025】
図4および図5に示すように、総端子バスバー31bは、一方の端部が電池セル20の電極端子23に接続され、他方の端部に出力ラインOLを固定するための貫通孔が設けられている。図5に示すように、出力ラインOLの先端には、総端子バスバー31bと接続するための接続端子CTが設けられている。接続端子CTは、貫通孔を有する丸端子等で構成することができる。接続端子CTは、総端子バスバー31bの貫通孔と丸端子の孔の位置を合わせた状態で、総端子バスバー31bの上面に配置される。接続端子CTと総端子バスバー31bは、端子固定部50によって固定される。端子固定部50は、ボルトやナットなどの螺合構造を利用した固定構造であり、軸力によって接続端子CTと総端子バスバー31bと保持している。充分な軸力で保持された接続端子CTと総端子バスバー31bは、適度な接触抵抗で電気的に接続される。
【0026】
ここで、螺合構造を利用する端子固定部50において、ボルトやナットにかけるトルクと、接続端子CTと総端子バスバー31bとの接触抵抗の関係について説明する。本発明の実施の形態のように、螺合構造を利用した端子接続構造は、ボルトやナットにかけるトルクの値が重要になる。ボルトやナットを締め付ける際にかけるトルクが充分でないと、ボルトやナットが緩んで、接続端子CTと総端子バスバー31bがルーズコンタクトの状態となったり、接続端子CTが総端子バスバー31bから外れてしまったりするおそれがある。そのため、電源装置1の生産工程では、ボルトやナットを締め付ける際に、トルク管理を行うことでこのような接続不良が発生することを防止している。
【0027】
ところが、上述の通り、メンテナンスの際、電源装置1の交換などの目的で、出力ラインOLを電源装置1の出力端子部33から取り外す場合、作業終了後に、メンテナンスの作業者が、出力ラインOLの接続端子CTを電源装置1の出力端子部33の総端子バスバー31bに取り付けることになる。このような場合、必ずしもメンテナンスの作業者が規定のトルクで接続端子CTを総端子バスバー31bに固定するとは限らない。そのため、充分なトルク管理が行えない状態で、出力ラインOLと出力端子部33が接続されることが起こりうる。充分なトルク管理が行えない状態を想定すると、通常、メンテナンスの作業者は、ルーズコンタクト等の接続不良を防止しようとするため、結果的に、接続端子CTが総端子バスバー31bに規定以上のトルクで固定されることになる。
【0028】
上述の通り、螺合構造を利用して、出力ラインOLとバスバー31を固定する場合、ボルトやナットを締め付ける際、ボルトやナットが着座することでバスバー31や出力ラインOLに軸力がかかるようになっている。接続不良を防止するためには、この軸力が所定の大きさ以上となるようにする必要がある。ボルトやナットを螺合する際にかけるトルクの大きさと軸力との間には相関があるため、一般的には、トルクを管理することで、間接的に螺合構造の締付けの管理を行っている。
【0029】
一方、螺合構造を利用して固定する際、トルクを必要以上にかけると、軸力が生じるだけでなく、着座している面同士の摩擦力によって、回転モーメントが生じる。そのため、トルク管理が充分に行えない状態で、出力ラインOLが出力端子部33に固定する場合、図5に矢印で示すように、出力ラインOLの接続端子CTが、出力端子部33のボルトの軸を中心として回転することがある。回転した出力ラインOLの接続端子CTがプレート30の壁部34に当接すると、壁部34にも負荷がかかるため、プレート30が破損するおそれがある。
【0030】
なお、出力ラインOLの接続端子CTが変位するかどうかは、着座する面の材質や表面粗さなど摩擦に関係する要素によって影響を受ける。具体的には、ボルトやナットなどの螺合構造と出力ラインOLとの間で発生する摩擦力が大きいと、出力ラインOLは回転しやすくなり、出力ラインOLとバスバー31の間で発生する摩擦力が大きいと、出力ラインOLは回転しにくくなる。摩擦力は、発生する軸力とも関連があり、総合的に考慮する必要がある。
【0031】
一方、出力ラインやバスバー31は、電池セルの電力を供給するための導電部材であるため、使用する材質にも制限がある。一般的には、銅やアルミニウム等が使われ、ニッケルメッキ等のメッキを施すこともあるが、使用される材質の範囲では、材質の違いによる摩擦力の変化は比較的少ない。本発明の発明者らは、銅やアルミニウム等のバスバーを用いる場合、締付の際のトルクの値に応じて、2〜6度程度回転することがあるとの知見を得た。
【0032】
以上の知見をもとに、本発明のある態様の電源装置1は、図5に示すように、プレート30の壁部34に沿って、緩衝部36が設けられている。緩衝部36は、特に出力端子部33の壁部34に設けられており、総端子バスバー31bに接続される接続端子CTと、壁部34の間に配置されている。緩衝部36は、変形可能な材料で形成されている。緩衝部36は、厚さ1mm以上の材厚の弾性部材である。なお、緩衝部36は、反発係数が小さい材料であることが好ましい。具体的には、低反発ウレタンや軟質シリコンなどで形成することができる。
【0033】
厚さ1mmの緩衝部36を壁部34と接続端子CTの間に設けることで、接続端子CTをプレート30に配置する際、接続端子CTを壁部34から1mm以上、離間させた位置とすることができる。なお、図5の態様の電源装置では、緩衝部36の材厚を1mmとしているが、接続端子CTや壁部の設計寸法によって最適な値は変化する。この最適な材厚は、接続端子CTや壁部の設計寸法と、接続端子CTが2〜6度回転する場合を想定することで算出される。
【0034】
上述の通り、端子固定部50によって接続端子CTを固定する際、総端子バスバー31bの上に配置された接続端子CTは、螺合構造の締付けの際にかけられるトルクの値によって、接続端子CTの先端が1mm程度、変位する。上述の構成の電源装置1では、緩衝部36によって、接続端子CTが壁部34から1mm以上、離間させた位置とすることができるため、締付けの際、接続端子CTが変位したとしても、壁部34に当接することがない。特に、緩衝部36を反発係数が小さい弾性部材で形成することで、応力の緩和作用が期待され、壁部34に弾性部材の復元力が加わることを抑制できる。また、緩衝部36を、スポンジ形状に形成することで、応力の緩和作用を期待することもできる。
【0035】
なお、上述の実施の形態の電源装置では、プレート30とは別の部材で形成される緩衝部36を設ける構成を例に説明しているが、緩衝部36は、必ずしもプレート30と異なる材料で形成する必要はない。例えば、図7および図8に例示する変形例の電源装置では、緩衝部36は、形状を工夫することで、接続端子CTが壁部34から1mm以上、離間させながら、接続端子CTから壁部34への負荷を抑制することもできるようになっている。具体的には、図7および図8の緩衝部36は、プレート30と一体に設けられたリブである。リブは、厚さが薄い突起形状であり、厚さ方向の外力を加えた際に弾性変形する。
【0036】
また、図8の緩衝部36は、先端が細くなるように断面が三角となる形状に形成されている。図8の緩衝部36は、接続端子CTが当接する箇所と比べて、緩衝部36の根元部分が太く形成することができ、図7の変形例と比較して緩衝部36の強度を向上させることができる。
【0037】
これらのように、形状のみで緩衝部36を実現する構成の場合、素材をプレート30と変える必要がないので、プレート30と一体成型することができ、製造コストを低減することができる。
【0038】
以上の構成の電源装置では、緩衝部36により、出力ラインOLの接続端子CTは、壁部34から所定の寸法以上、離間させることができる。そのため、ボルトやナットを締め付ける際、接続端子CTが回転したとしても、壁部34と接続端子CTは当接しない。一方、接続端子CTは緩衝部36に当接することになるが、緩衝部36は、変形可能な弾性部材で形成されるため、緩衝部36が変形することで、回転モーメントに起因する負荷を吸収させることができる。特に、緩衝部36を低反発の弾性部材によって形成することで、緩衝部36の復元力を小さくすることができ、壁部34に伝達される負荷を抑制することを防止できる。これにより、接続端子CTにかかる回転モーメントに起因する負荷によって、壁部34やプレート30が破損することを防止できる。
【0039】
なお、本発明のある態様の電源装置は、図4に示すように、プレート30の上面に回路基板60を配置し、プレート30に回路基板60を固定することもできる。回路基板60には、電圧検出回路等の状態監視回路が実装されており、電池ブロック40の電池セル20の状態を監視している。また、プレート30は、各々のバスバー31と回路基板60とを接続する電圧検出ライン61が設けられている。電圧検出ライン61は、接続されているバスバー31の電位に関する情報を電圧検出回路へ入力し、各々の電池セル20の電圧を検出することができるようになっている。プレート30の上面に、回路基板60を配置することで、回路基板60を電池ブロック40に近接させることができ、電圧検出ライン61を短くすることができる。この構成により、配線インピーダンスを小さくすることができるようになっている。
【0040】
以上の構成の電源装置は、プレート30に回路基板60が固定されているため、プレート30が変形または破損すると、回路基板60に歪みが生じるおそれがある。具体的には、回路基板60に実装される状態監視回路は、精密な集積回路で構成されることが多いが、回路基板60に歪みが生じると、集積回路に負荷がかかり、状態監視回路に不具合が生じるおそれがある。本発明の緩衝部36を備えた電源装置は、出力ラインOLの接続端子CTが壁部34に当接してプレート30が変形または破損することを防止できるため、上述のようなプレート30に回路基板60が固定される構成の電源装置において、プレート30の変形または破損に起因する回路基板60の変形を抑制でき、状態監視回路の信頼性を向上させる効果も期待することができる。
【0041】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各々の構成要素や各々の処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0042】
1 電源装置、2 電源部、20 電池セル、21 外装缶、22 発電要素、23 電極端子、24 スペーサ、3 端子部、30 プレート、31 バスバー、31a 接続バスバー、31b 総端子バスバー、32 バスバー固定部、33 出力端子部、34 壁部、35 係止部、36 緩衝部、40 電池ブロック、41 積層体、42 エンドプレート、43 バインドバー、50 端子固定部、60 回路基板、61 電圧検出ライン、M モータ、PCU パワーコントロールユニット、IN インバータ、OL 出力ライン、CT 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8