特許第6369675号(P6369675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369675
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/08 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   F16J15/08 P
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-75447(P2014-75447)
(22)【出願日】2014年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-197169(P2015-197169A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228383
【氏名又は名称】日本ガスケット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】菅原 玲
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−200504(JP,A)
【文献】 実開平04−028272(JP,U)
【文献】 特開平11−241769(JP,A)
【文献】 実開平05−027428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3枚のガスケット基板を積層させ、当該積層したガスケット基板における所要部分をそれぞれ板厚方向に膨出させたカシメ部により連結したガスケットにおいて、
上記カシメ部を形成するガスケット基板とガスケット基板との間に、上記カシメ部を囲繞するとともに当該カシメ部の直径よりも大径の逃がし孔の穿設されたガスケット基板を中間基板として設け
上記中間基板に隣接するいずれか一方のガスケット基板に、上記逃がし孔の内側に形成されるとともに上記中間基板に向けて突出し、かつ上記カシメ部を囲繞するように形成された段差形状と、当該段差形状の内側に形成されるとともにその突出量が上記中間基板の板厚と同程度の突出平面とを設け、
上記突出平面に上記カシメ部を形成することを特徴とするガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスケットに関し、詳しくは積層したガスケット基板をカシメ部によって連結したガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来3枚以上のガスケット基板を積層させて構成したガスケットが知られており、これらのガスケットでは、上記ガスケット基板が分離しないよう、積層したガスケット基板の所要部分に、それぞれ板厚方向に膨出させて形成したカシメ部を設けて連結したものが知られている(特許文献1、2)。
一方、積層したガスケット基板を連結する方法としては、積層させたガスケット基板のうち最も上方もしくは下方に位置するガスケット基板の所要部分のみを板厚部分に膨出させ、その他のガスケット基板にはこの膨出部の径にあわせて貫通孔を形成し、上記膨出部の先端部分に返し形状を形成したガスケットも知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−28272号公報
【特許文献2】特開平11−241769号公報
【特許文献3】実開平5−27428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記ガスケット基板として使用される材料として、ステンレスなどの弾性率が高い材料が用いられており、またシール性の向上を目的としてガスケット基板の表面にコーティングが形成されたものも知られている。
しかしながら、多数のガスケット基板を上記カシメ部によって連結しようとすると、上記材料の弾性率や上記ガスケット基板に形成されたコーティングの有するクッション性によって、十分なカシメ強度が得られず、脱落してしまうという問題があった。
また、特許文献3のように膨出部の径に併せて貫通孔を形成する場合、上記貫通孔を高精度に穿設しなければならず、例えば貫通孔の径が大径となって上記膨出部より脱落してしまうという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は多数ガスケット基板を積層させたガスケットであってもこれをカシメ部によって連結することが可能なガスケットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるガスケットは、少なくとも3枚のガスケット基板を積層させ、当該積層したガスケット基板における所要部分をそれぞれ板厚方向に膨出させたカシメ部により連結したガスケットにおいて、
上記カシメ部を形成するガスケット基板とガスケット基板との間に、上記カシメ部を囲繞するとともに当該カシメ部の直径よりも大径の逃がし孔の穿設されたガスケット基板を中間基板として設け
上記中間基板に隣接するいずれか一方のガスケット基板に、上記逃がし孔の内側に形成されるとともに上記中間基板に向けて突出し、かつ上記カシメ部を囲繞するように形成された段差形状と、当該段差形状の内側に形成されるとともにその突出量が上記中間基板の板厚と同程度の突出平面とを設け、
上記突出平面に上記カシメ部を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、ガスケット基板とガスケット基板との間に上記中間基板を設け、上記中間基板以外のガスケット基板をカシメ部によって連結するため、上記中間基板をカシメ部によって連結されたガスケット基板の間で保持することができる。
つまり、3枚以上のガスケット基板によって構成されたガスケットにおいて、カシメ部における積層した材料の枚数を少なくすることができ、カシメ部において十分なカシメ強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかるシリンダヘッドガスケットの平面図。
図2】カシメ部についての断面図。
図3】カシメ部を成形するプレス装置の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1は本発明にかかるガスケットとしてのシリンダヘッドガスケット1を示し、図示しないシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟持されるようになっている。
図2に示すように、シリンダヘッドガスケット1は、上部に位置してシリンダヘッドと当接する第1ガスケット基板2と、第1ガスケット基板2の下方に積層されたシム3と、当該シム3の下方に積層された中間基板としての第2ガスケット基板4と、当該第2ガスケット基板4の下方に積層されてシリンダブロックと当接する第3ガスケット基板5とから構成されている。
これら上記第1〜第3ガスケット基板2〜4およびシム3は、図1における平面視においてそれぞれ略同様の形状を有しており、シリンダボアの位置に合わせて形成された燃焼室孔6と、締結ボルトを挿通するための複数のボルト孔7と、冷却水を流通させるための水孔8と、潤滑油を流通させるための油孔9とが穿設されている。
さらに上記第1、第3ガスケット基板2、5には、上記燃焼室孔6を囲繞するフルビード10や、当該第1、第3ガスケット基板2、5の外周縁に沿って形成されたハーフビード11が形成され、これに対し上記シム3および第2ガスケット基板4は平坦状となっており、上記フルビード10やハーフビード11は形成されていない。
なお、上記フルビード10やハーフビード11の形状や、形成する位置については、従来公知と同様の考えに基づいて形成することが可能であり、詳細な説明については省略するものとする。
【0009】
上記第1〜第3ガスケット基板2〜4およびシム3はそれぞれSUS301やSUS304といった弾性率の高い素材によって製造され、また第1〜第3ガスケット基板2〜4の板厚は0.2mm程度、シム3の板厚は0.08〜0.1mm程度となっている。
また上記第1ガスケット基板2におけるシリンダヘッド側の表面と、上記第3ガスケット基板5におけるシリンダブロック側の裏面とには、図示しないがそれぞれ全面にゴムのコーティングが形成されている。
一方、第1ガスケット基板2の裏面および第3ガスケット基板5の表面にはコーティングが形成されておらず、また中間基板である第2ガスケット基板4および上記シム3の表面および裏面の双方にもコーティングは形成されていない。
まお上記コーティングとしては、上記ゴムに代えてエラストマー等を利用してもよく、また第1、第2ガスケット基板2、4の両面にコーティングを形成しても、また第3ガスケット基板5にコーティングを形成することも可能である。
【0010】
そして本実施例のシリンダヘッドガスケット1は、図1に示すように5か所に設けられたカシメ部12によって、上記第1〜第3ガスケット基板2〜4およびシム3が一体的に連結されている。
上記カシメ部12は、上記シリンダブロックの上面に開口したウォータージャケットの位置や、シリンダヘッドとシリンダブロックとが重合する位置から外れた位置に形成されている。
また各カシメ部12図1に示すように平面視において略円形に形成されている。なお、例えば四隅を円弧状とすれば長方形形状のような矩形とすることも可能である。
【0011】
図2に示すように、カシメ部12は積層した材料をそれぞれ板厚方向に膨出させて有底筒状の膨出部分を形成し、当該膨出部分の底部において、内側に位置する材料を外側に位置する材料に食い込ませて、複数枚の材料を連結するものとなっている。
本実施例のシリンダヘッドガスケット1では、上記第1、第3ガスケット基板2、5と上記シム3とを上記カシメ部12によって相互に連結し、中間基板としての第2ガスケット基板4は、上記カシメ部12を用いずに上記シム3と第3ガスケット基板5とによって挟持することで保持するようになっている。
具体的に説明すると、上記第2ガスケット基板4には上記カシメ部12の位置にあわせて逃がし孔4aが穿設されており(図1の破線参照)、当該逃がし孔4aは上記カシメ部12の直径に対して大径に設定されている。
これにより、上記カシメ部12はこの逃がし孔4aを通過して形成されるようになっており、またカシメ部12を形成する際に第2ガスケット基板4を構成する材料が巻き込まれないようになっている。
【0012】
上記第3ガスケット基板5は、上記第2ガスケット基板4の逃がし孔4aの内側に位置するとともに上記シム3に向けて突出した突出平面5aを備えており、上記カシメ部12はこの突出平面5aに形成されるようになっている。
上記突出平面5aは、上記カシメ部12を囲繞するように形成された段差形状5b(ハーフビード)の内側に形成され、上記逃がし孔4aの開口部と干渉しないように形成されている。このため、上記突出平面5aは上記第2ガスケット基板4の逃がし孔4aを通過してシム3の裏面側に当接するようになっている。
また、上記突出平面5aにおける第3ガスケット基板5からの突出量は、第2ガスケット基板4の板厚と同程度となっており、これにより隣接するシム3、第2ガスケット基板4、第3ガスケット基板5が隙間なく積層されるようになっている。
【0013】
図3は上記カシメ部12を形成するプレス装置21の断面図を示しており、積層された第1〜第3ガスケット基板2〜4およびシム3の上方に位置する上型22と、下方に位置する下型23とから構成されている。
上記上型22は、上記第1ガスケット基板2に接触してシリンダヘッドガスケット1を抑える上型おさえ22aと、当該上型おさえ22aの内部を上下動可能に設けられたポンチ22bとから構成されている。
また上記下型23は、上記第3ガスケット基板5に接触して上記上型おさえ22aとの間でシリンダヘッドガスケット1を挟持する下型可動部23aと、当該下型23おさえの内部に設けられた下型固定部23bとから構成されている。
上記下型可動部23aは、図4(b)に示すようにカシメ部12が形成された際に、上記下型固定部23bに対して外方に離脱するように設けられている。
上記下型固定部23bは上記下型可動部23aに対して下方に位置しており、これにより下型23にはカシメ部12を形成するための空間が形成されている。
【0014】
まず、図4(a)に示すように、上から第1ガスケット基板2、シム3、第2ガスケット基板4、第3ガスケット基板5の順で積層させ、この状態でプレス装置21に載置し、所要の治具を用いて位置決めを行う。
またこの上記第1、第3ガスケット基板2、5には予め上記フルビード10やハーフビード11が形成されており、また所要のコーティングも形成されている。
この状態で、まず上記上型22と下型23とが接近し、上型おさえ22aと下型可動部23aとによってシリンダヘッドガスケット1を挟持する。
次に、上記上型22のポンチ22bが下降して、ガスケット基板等の材料を板厚方向に押圧し、上記下型可動部23aと下型固定部23bとの間に形成された空間に向けて変形させる。
このとき、カシメ部12の位置には第1ガスケット基板2、シム3、第3ガスケット基板5だけが積層されていることから、これら3枚を構成する材料が変形することとなる。
一方、上記第2ガスケット基板4には上記逃がし孔4aが形成されているため、ポンチ22bによって変形した材料はこの逃がし孔4aを通過しながら、下型23に形成された空間に向けて有底筒状の膨出部分を形成してゆく。
そしてポンチ22bが下死点まで下降してポンチ22bと下型固定部23bとの間で上記膨出部分の底部が挟持されると、図3(b)に示すように上記下型可動部23aが外方に退避する。
このような成形を行うことで、上記膨出部分における第1ガスケット基板2、シム3、第3ガスケット基板5の材料がそれぞれ強固に密着し、上記カシメ部12が得られることとなる。
【0015】
このようにして上記カシメ部12が形成されることで、上記第1ガスケット基板2、シム3、第3ガスケット基板5が当該カシメ部12によって連結されることとなる。
一方、上記第2ガスケット基板4については、カシメ部12によって連結されないものの、上記シム3と第3ガスケット基板5との間で保持されるため、脱落することはない。
そして本実施例では3枚の材料を積層させて上記カシメ部12を形成しており、弾性率の高い材料からなるガスケット基板やシムであっても、これを十分なカシメ強度を持って連結することができる。
これに対し、上記第2ガスケット基板4もカシメ部12によって連結しようとした場合には、合計で4枚の材料を積層させてカシメ部12を形成しなければならず、十分なカシメ強度を得ることが出なかった。
【0016】
また上記第3ガスケット基板5に上記突出平面5aを形成して、上記シム3に当接させることで、カシメ部12においては第1ガスケット基板2、シム3、第3ガスケット基板5の材料を隙間なく積層させることができ、それ以外の部分では、第1ガスケット基板2、シム3、第2ガスケット基板4、第3ガスケット基板5を隙間なく積層させることができる。
さらに、上記第3ガスケット基板5に形成した段差形状5bが第2ガスケット基板4の逃がし孔4aに嵌合するため、第2ガスケット基板4を位置決めすることができる。
【0017】
なお、上述した実施例は第1ガスケット基板2、シム3、第2ガスケット基板4、第3ガスケット基板5からなる4枚の部材によってシリンダヘッドガスケット1を構成しているが、5枚以上の基板ないしシムを積層させることも可能である。
その場合、中間基板を2枚もしくは3枚として、3枚以内の材料を積層させてカシメ部12を形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0018】
1 ガスケット基板 2 第1ガスケット基板
3 シム 4 第2ガスケット基板(中間基板)
4a 逃がし孔 5 第3ガスケット基板
5a 突出平面 5b 段差形状
12 カシメ部
図1
図2
図3