(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板上に実装された複数の発熱性電子部品が冷媒配管を介して冷却される伝熱材製ブロックに接触して固定設置され、前記伝熱材製ブロックをヒートシンクとして冷却可能とされている発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、
前記伝熱材製ブロックは、前記基板に沿う第1の面と、その第1の面に交わる第2の面との少なくとも2面を備えたブロック体とされ、
そのブロック体の前記第1の面に前記電子部品の一部、前記第2の面に少なくとも1以上のSIPタイプの前記電子部品が配置されていて、
前記伝熱材製ブロックは、前記2面以外に少なくとも前記冷媒配管と接する凹溝を有する1面を備えたブロック体とされ、
前記凹溝を有する1面は、垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有するように、ブロック体の前記凹溝の延在方向と直交する断面における一角を切欠くようにして形成される傾斜面、屈曲面または湾曲面とされていることを特徴とする発熱性電子部品を備えたコントローラ。
SIPタイプの前記電子部品が複数設けられる場合、その全部が前記第2の面に配置されるか、もしくは一部が前記第2の面に配置され、残りの一部が前記第1の面に配置される構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の発熱性電子部品を備えたコントローラ。
前記冷媒配管を前記コントローラ側の前記伝熱材製ブロックに沿って支持する支持部材の支持面は、前記伝熱材製ブロックを構成する前記ブロック体の前記凹溝を有する1面に対応した前記傾斜面、屈曲面または湾曲面とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の発熱性電子部品を備えたコントローラ。
前記伝熱材製ブロックは、複数の前記電子部品の一部が配置されている前記基板に沿う前記第1の面の下端部が、それら一部電子部品のパッケージ本体の下端部よりも下方側に延長されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発熱性電子部品を備えたコントローラ。
前記基板は、コントローラ本体に支持具を介して支持され、該基板の下辺を支持する支持具が、その下辺を支点として前記基板を回動自在に支持する支持具とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発熱性電子部品を備えたコントローラ。
基板上に実装された複数の発熱性電子部品が冷媒配管を介して冷却される伝熱材製ブロックに接触して固定設置され、前記伝熱材製ブロックをヒートシンクとして冷却可能とされている発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、
前記伝熱材製ブロックは、前記基板に沿う第1の面と、その第1の面に交わる第2の面との少なくとも2面を備えたブロック体とされ、
そのブロック体の前記第1の面に前記電子部品の一部、前記第2の面に少なくとも1以上のSIPタイプの前記電子部品が配置されていて、
前記基板は、コントローラ本体に支持具を介して支持され、該基板の下辺を支持する支持具が、その下辺を支点として前記基板を回動自在に支持する支持具とされていることを特徴とする発熱性電子部品を備えたコントローラ。
基板上に実装された複数の発熱性電子部品が冷媒配管を介して冷却される伝熱材製ブロックに接触して固定設置され、前記伝熱材製ブロックをヒートシンクとして冷却可能とされている発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、
前記伝熱材製ブロックは、複数の前記電子部品を固定設置可能な互いに交わる2面と、前記冷媒配管が嵌合接触される凹溝を有する面とを備えたブロック体とされ、
そのブロック体の前記凹溝を有する面は、垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有するように、ブロック体の前記凹溝の延在方向と直交する断面における一角を切欠くようにして形成される傾斜面、屈曲面または湾曲面とされていることを特徴とする発熱性電子部品を備えたコントローラ。
前記基板は、コントローラ本体に支持具を介して支持され、該基板の下辺を支持する支持具が、その下辺を支点として前記基板を回動自在に支持する支持具とされていることを特徴とする請求項7に記載の発熱性電子部品を備えたコントローラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如く、コントローラの冷却方式として、冷媒冷却方式を採用するに当たり、以下のような課題が生じている。
(1)アルミブロックの小型化によって放熱面が減少するため、発熱性電子部品を基板の一部に集約する必要が生じる。電子部品をアルミブロックに固定するには、基板側に電子部品の取付け用穴を設ける必要があるが、電子部品の集約化によって基板占有面積が減少することから、取付け用穴によって基板のパターン幅が減少し、電流容量の確保が難しくなる。
【0006】
(2)冷媒配管とアルミブロックとの間に放熱用のシリコンシート等を装着するようにしているが、装着面が垂直面となるため、シートが剥がれ易く、施工性が悪化する。
(3)また、基板を固定する際、シートに対して均一に圧力をかけ、シワが生じないようにする必要があるが、上記の如く施工性の悪化によってシワが発生し易く、伝熱性能が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の電子部品を伝熱材製ブロックの2面に分散して配置し、基板に設ける取付け用穴の数を減らしてパターン幅の減少を抑制するとともに、基板設置時の施工性を向上し得る発熱性電子部品を備えたコントローラおよびそれを搭載した空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラおよび空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる発熱性電子部品を備えたコントローラは、基板上に実装された複数の発熱性電子部品が冷媒配管を介して冷却される伝熱材製ブロックに接触して固定設置され、前記伝熱材製ブロックをヒートシンクとして冷却可能とされている発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、前記伝熱材製ブロックは、前記基板に沿う第1の面と、その第1の面に交わる第2の面との少なくとも2面を備えたブロック体とされ、そのブロック体の前記第1の面に前記電子部品の一部、前記第2の面に少なくとも1以上のSIPタイプの前記電子部品が配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、冷媒配管により冷却される伝熱材製ブロックをヒートシンクとして基板上に実装されている複数の発熱性電子部品を冷却可能とした発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、伝熱材製ブロックを、基板に沿う第1の面と、その第1の面に交わる第2の面との少なくとも2面を備えたブロック体とし、そのブロック体の第1の面に電子部品の一部、第2の面に少なくとも1以上のSIPタイプの電子部品を配置しているため、ブロック体の基板面と交わる第2の面に分散して配置されるSIPタイプの電子部品を固定設置するための取付け用穴を基板側に設ける必要がなくなり、基板のパターン上に設ける電子部品取付け用穴の数を削減することができる。従って、伝熱材製ブロックを小型化するため、発熱性電子部品を基板の一部に集約化しても、その取付け用穴により基板のパターン幅が減少することがなく、電流容量を十分に確保することができる。
【0010】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上記の発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、SIPタイプの前記電子部品が複数設けられる場合、その全部が前記第2の面に配置されるか、もしくは一部が前記第2の面に配置され、残りの一部が前記第1の面に配置される構成とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、SIPタイプの電子部品が複数設けられる場合、その全部が第2の面に配置されるか、もしくは一部が第2の面に配置され、残りの一部が第1の面に配置される構成とされているため、複数設けられるSIPタイプの電子部品のうち、第2の面側に分散して配置されるSIPタイプの電子部品数に対応した数の取付け用穴を基板側に設ける必要がなくなり、基板のパターン上に設ける電子部品の取付け用穴の数を削減することができる。これによって、取付け用穴により基板のパターン幅が減少することがなく、基板側の電流容量を十分確保することができる。
【0012】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上述のいずれかの発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記伝熱材製ブロックは、前記2面以外に少なくとも前記冷媒配管と接する凹溝を有する1面を備えたブロック体とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、伝熱材製ブロックが、2面以外に少なくとも冷媒配管と接する凹溝を有する1面を備えたブロック体とされているため、伝熱材製ブロックを複数の電子部品の一部と1以上のSIPタイプの電子部品とを分散配置する互いに交わる2面と、冷媒配管と接する凹溝を有する1面の少なくとも3面を備えたブロック体となし、その体積を可及的に小さくして小型化することができるとともに、伝熱材製ブロックによる熱抵抗を小さくすることができる。従って、伝熱材製ブロックの小型化を図りながら、冷媒による冷却効果を高め、コントローラの冷却性能を向上することができる。
【0014】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上記の発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記伝熱材製ブロックは、前記2面と前記凹溝を有する1面とを備えており、前記凹溝を有する1面が垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面とされたブロック体とされていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、伝熱材製ブロックが、2面と凹溝を有する1面とを備えており、凹溝を有する1面が垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面とされたブロック体とされているため、冷媒配管と接する凹溝を有する1面を垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面とすることにより、伝熱材製ブロックを構成するブロック体の体積を傾斜面、屈曲面または湾曲面で欠除した分に相当して小さくすることができる。従って、伝熱材製ブロックでの熱抵抗を低減し、電子部品からの放熱性を向上して冷却性能を高めることができるとともに、伝熱材製ブロックをより小型化してコスト低減を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上記の発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記冷媒配管を前記コントローラ側の前記伝熱材製ブロックに沿って支持する支持部材の支持面は、前記伝熱材製ブロックを構成する前記ブロック体の前記凹溝を有する1面に対応した前記傾斜面、屈曲面または湾曲面とされていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、冷媒配管をコントローラ側の伝熱材製ブロックに沿って支持する支持部材の支持面が、伝熱材製ブロックを構成するブロック体の凹溝を有する1面に対応した傾斜面、屈曲面または湾曲面とされているため、支持部材側の傾斜面、屈曲面または湾曲面とされた支持面を合せ面として、伝熱材製ブロック側のブロック体の傾斜面、屈曲面または湾曲面を支持し、支持部材により支持された冷媒配管と伝熱材製ブロックとを接触配置することができる。これによって、支持部材の支持面と伝熱材製ブロックの傾斜面、屈曲面または湾曲面を互いの合せ面として冷媒配管の位置出しを行い、冷媒配管と伝熱材製ブロックとを容易にかつ確実に接触配置することでき、冷媒配管と伝熱材製ブロックとの間に放熱用シート等を介在させる場合においても、施工時のシートの剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0018】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上述のいずれかの発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記伝熱材製ブロックは、複数の前記電子部品の一部が配置されている前記基板に沿う前記第1の面の下端部が、それら一部電子部品のパッケージ本体の下端部よりも下方側に延長されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、伝熱材製ブロックの複数の電子部品の一部が配置されている基板に沿う第1の面の下端部が、それら一部電子部品のパッケージ本体の下端部よりも下方側に延長されているため、仮に冷媒配管により冷却される伝熱材製ブロックの表面において結露が発生したとしても、その結露水を一部電子部品のパッケージ本体の下端部よりも下方側に延長されている伝熱材製ブロックの下端部を経て速やかに下方へと滴下させることができる。従って、結露水のコントローラ上での滞留を防止することができるとともに、結露水が電子部品上に滴下することによる故障の発生や電子部品の損傷を防止し、コントローラを保護することができる。
【0020】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上述のいずれかの発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記基板は、コントローラ本体に支持具を介して支持され、該基板の下辺を支持する支持具が、その下辺を支点として前記基板を回動自在に支持する支持具とされていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、基板が、コントローラ本体に支持具を介して支持され、該基板の下辺を支持する支持具が、その下辺を支点として基板を回動自在に支持する支持具とされているため、基板をコントローラ本体に支持具を介して固定支持するとき、まず基板の下辺側を回動自在に支持する支持具に対して基板を支持し、その下辺を支点にして基板の上方部を回動させ、上辺側を支持具に支持させることによって、コントローラ本体に固定支持することができ、この際、支持部材により支持されている冷媒配管に対し、伝熱材製ブロックの1面に設けられている凹溝を円周方向から回動させながら嵌合させることができる。従って、伝熱材製ブロックの凹溝と冷媒配管とを互いの干渉を避けて円滑に嵌合することができるとともに、冷媒配管と伝熱材製ブロック間に介在される放熱用シート等に均一に圧力をかけ、シワが発生しないようにすることができ、施工性を向上することができる。
【0022】
さらに、本発明にかかる発熱性電子部品を備えたコントローラは、基板上に実装された複数の発熱性電子部品が冷媒配管を介して冷却される伝熱材製ブロックに接触して固定設置され、前記伝熱材製ブロックをヒートシンクとして冷却可能とされている発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、前記伝熱材製ブロックは、複数の前記電子部品が接触して固定設置される面と、前記冷媒配管が嵌合接触される凹溝を有する面とを備えたブロック体とされ、そのブロック体の前記凹溝を有する面は、垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面とされていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、冷媒配管により冷却される伝熱材製ブロックをヒートシンクとして基板上に実装されている複数の発熱性電子部品を冷却可能とした発熱性電子部品を備えたコントローラにあって、伝熱材製ブロックを、複数の電子部品が接触して固定設置される面と、冷媒配管が嵌合接触される凹溝を有する面とを備えたブロック体とし、該ブロック体の凹溝を有する面を、垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面としているため、冷媒配管に対してブロック体である伝熱材製ブロック側の凹溝を嵌合接触する際、水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面を、冷媒配管を支持する支持部材の支持面に対する合せ面として冷媒配管の位置出しを行い、伝熱材製ブロックと冷媒配管とを接触配置することができる。従って、伝熱材製ブロックと冷媒配管とを位置出しを行って容易にかつ確実に接触配置することできるとともに、その間に放熱用シート等を介在させる場合においても、そのシートを水平方向に所定の傾きを有する面で保持でき、施工時のシートの剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0024】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上記の発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記伝熱材製ブロックは、複数の前記電子部品を固定設置可能な互いに交わる2面と、その2面を有するブロック体の一角を切欠くようにして前記傾斜面、屈曲面または湾曲面を形成した前記凹溝を有する面とを備えたブロック体とされていることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、伝熱材製ブロックが、複数の電子部品を固定設置可能な互いに交わる2面と、その2面を有するブロック体の一角を切欠くようにして傾斜面、屈曲面または湾曲面を形成した凹溝を有する面とを備えたブロック体とされているため、伝熱材製ブロックの凹溝を有する面を、そのブロック体の一角を切欠くような傾斜面、屈曲面または湾曲面で形成することにより、ブロック体の体積を最小限化することができる。従って、伝熱材製ブロックでの熱抵抗を低減し、発熱性電子部品からの放熱性を向上することができるとともに、伝熱材製ブロックをより小型化してコスト低減することができる。また、凹溝を有する面を傾斜面、屈曲面または湾曲面とすることにより、冷媒配管を凹溝に対して嵌合接触し易くし、コントローラの組み付け時の施工性を向上することができる。
【0026】
さらに、本発明の発熱性電子部品を備えたコントローラは、上述のいずれかの発熱性電子部品を備えたコントローラにおいて、前記冷媒配管は、前記ブロック体の前記凹溝を有する傾斜面、屈曲面または湾曲面と対応した支持面を有する支持部材により支持されていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、冷媒配管が、ブロック体の凹溝を有する傾斜面、屈曲面または湾曲面と対応した支持面を有する支持部材により支持されているため、支持部材側の傾斜面、屈曲面または湾曲面とされている支持面を合せ面として、伝熱材製ブロックの凹溝を有する面を支持し、支持部材により支持されている冷媒配管と伝熱材製ブロックとを接触配置することができる。従って、伝熱材製ブロックと冷媒配管とを位置出しを行って容易にかつ確実に接触配置することできるとともに、その間に放熱用シート等を介在させる場合においても、そのシートを水平方向に所定の傾きを有する支持面で保持でき、施工時のシートの剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0028】
さらに、本発明にかかる空気調和機は、室外機側コントローラとして、複数の発熱性電子部品を冷媒配管により冷却する方式の上述のいずれかのコントローラが搭載されていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、室外機側コントローラとして、複数の発熱性電子部品を冷媒配管により冷却する方式の上述のいずれかのコントローラが搭載されているため、発熱性電子部品を基板上に集約化して伝熱材製ブロックおよびコントローラを小型化しても、基板の電流容量を十分確保することができるとともに、基板上の発熱性電子部品に対する冷却性能を向上し、更に組み付け時の施工性を良好にしたコントローラを搭載した空気調和機とすることができる。従って、コントローラに対する信頼性の向上と組み立て性の向上、その小型化、低コスト化を図った高品質の空気調和機を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の発熱性電子部品を有するコントローラによると、伝熱材製ブロックとしてのブロック体の基板面と交わる第2の面に分散して配置されるSIPタイプの電子部品を固定設置するための取付け用穴を基板側に設ける必要がなくなり、基板のパターン上に設ける電子部品の取付け用穴の数を削減することができるため、伝熱材製ブロックを小型化するために発熱性電子部品を基板の一部に集約化しても、その取付け用穴によって基板のパターン幅が減少することがなく、電流容量を十分に確保することができる。
【0031】
また、本発明の発熱性電子部品を有するコントローラによると、冷媒配管に対してブロック体である伝熱材製ブロック側の凹溝を嵌合接触する際、水平方向に所定の傾きを有する傾斜面、屈曲面または湾曲面を、冷媒配管を支持する支持部材の支持面に対する合せ面として冷媒配管の位置出しを行い、伝熱材製ブロックと冷媒配管とを接触配置することができるため、伝熱材製ブロックと冷媒配管とを位置出しを行って容易にかつ確実に接触配置することできるとともに、その間に放熱用シート等を介在させる場合においても、そのシートを水平方向に所定の傾きを有する面で保持でき、施工時のシートの剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0032】
本発明の空気調和機によると、発熱性の電子部品を基板上に集約化して伝熱材製ブロックおよびコントローラを小型化しても、基板の電流容量を十分確保することができるとともに、基板上の発熱性電子部品に対する冷却性能を向上し、更に組み付け時の施工性を良好にしたコントローラを搭載した空気調和機とすることができるため、コントローラに対する信頼性の向上と組み立て性の向上、その小型化、低コスト化を図った高品質の空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1ないし
図7を用いて説明する。
図1には、第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図が示され、
図2には、その室外機の外周パネルを取り外した状態の斜視図が示されている。
空気調和機1は、冷媒を圧縮する圧縮機2と、冷媒の循環方向を切換える四方切換弁3と、冷媒と室外ファン4からの外気とを熱交換させる室外熱交換器5と、冷媒を断熱膨張させる電子膨張弁(膨張弁;EEV)6と、冷媒と室内ファン7からの室内空気とを熱交換させる室内熱交換器8と、アキュームレータ9等とを具備し、それらの機器間を冷媒配管10によって接続した閉サイクルの冷凍サイクル11を備えている。
【0035】
また、空気調和機1は、リモコン等からの運転指令に基づいて空気調和機1の運転を制御するコントローラ12を備えている。このコントローラ12は、圧縮機2の回転数を制御するインバータを搭載するとともに、運転モードに応じて四方切換弁3を切換え、更に室外ファン4の回転数、室内ファン7の回転数、電子膨張弁6の開度等を制御する機能を備えたものであり、基本構成は公知のコントローラと変わるものではない。
【0036】
コントローラ12には、インバータを構成するアクティブコンバータ、ダイオードモジュール、パワートランジスタ等の電子部品が含まれている。これらの電子部品は、発熱性の電子部品であるため、コントローラ12を冷却する必要がある。本実施形態では、
図1に示されるように、コントローラ12に対して、例えば冷凍サイクル11を構成する電子膨張弁(EEV)6と室内熱交換器8間の冷媒配管10Aを接触配置した構成とし、冷房時には、冷媒配管10A内を流れる電子膨張弁6で絞られた低圧の気液二相冷媒でコントローラ12を冷却するとともに、暖房時には、冷媒配管10A内を流れる室内熱交換器8で凝縮液化された高圧液冷媒でコントローラ12を冷却する構成としている。
【0037】
なお、コントローラ12に対して接触配置される冷媒配管は、必ずしも上記の如く電子膨張弁(EEV)6と室内熱交換器8間の配管である必要はなく、コントローラ12上に設けられている発熱性の電子部品等に対して、冷却効果を期待できる範囲の温度レベルに保たれる冷媒配管であればよく、電子膨張弁(EEV)6と室外熱交換器5間の冷媒配管や低圧ガス冷媒配管等、他の配管部分であってもよい。
【0038】
コントローラ12は、
図2に示されるように、空気調和機1を構成する圧縮機2、四方切換弁3、室外ファン4、室外熱交換器5、電子膨張弁(EEV)6、アキュームレータ9等が収容設置される室外機13内の適所に配設されている。ここでは、室外機13内の室外ファン4および室外熱交換器5が設置される熱交換器室14に対して、仕切り板16により仕切られ、圧縮機2、四方切換弁3、電子膨張弁(EEV)6、アキュームレータ9等が設置される機械室15側の上方部位にブラケット17を介して設置されている。
【0039】
上記コントローラ12の具体的構成が、
図3ないし
図7に示されている。
コントローラ12は、コントローラ本体18を具備し、そのコントローラ本体18上に上辺部および下辺部がそれぞれ支持具19,20を介して固定設置される基板21を備えた構成とされている。基板21上には、各種制御回路やその回路を構成する多数の電子部品等々が実装されている。ここでは、圧縮機2用の電動モータを駆動するインバータの構成部品であるアクティブコンバータ、ダイオードモジュール、パワートランジスタ等の複数の発熱性電子部品22,23,24の実装構造および冷却構造について、以下に詳しく説明する。
【0040】
基板21上には、
図7の(A)ないし(C)に示されるように、パッケージ本体22Aの両側面から出て下方に延びる複数のリードピン22Bを有するDIPタイプの発熱性電子部品22と、パッケージ本体23A,24Aの一側から一列に延びる複数のリードピン23B,24Bを有するSIPタイプの発熱性電子部品23,24とが、基板21上の1箇所に集約され、DIPタイプの発熱性電子部品22が、基板21の基板面に沿って略平行に、またSIPタイプの発熱性電子部品23,24が、その基板面に対して略鉛直にそれぞれ実装されている。
【0041】
また、基板21上には、基板面に沿って水平方向に略平行に所定間隔を保った状態でアルミ合金材等から構成される伝熱材製ブロック25が設置されており、該伝熱材製ブロック25に複数の発熱性電子部品22,23,24が接触配置されている。つまり、伝熱材製ブロック25は、DIPタイプの発熱性電子部品22が接触配置される基板面に沿う第1の面(平行面)26と、SIPタイプの発熱性電子部品23,24が接触配置される基板面および第1の面26と交わる第2の面(垂直面)27と、他の1面である第1の面26および第2の面27の間を結ぶ傾斜面28とを備えたブロック体とされ、その第1の面26および第2の面27に発熱性電子部品22,23,24のパッケージ本体22A,23A,24Aが接触された状態で分散配置され、それぞれ図示省略のネジ等により固定設置されている。
【0042】
複数のDIPタイプおよびSIPタイプの発熱性電子部品22,23,24を伝熱材製ブロック(ブロック体)25の基板面に沿う第1の面26にネジ等を介して固定設置する場合、基板21側に各電子部品に対応した取付け用穴29を設ける必要がある(
図12参照)が、SIPタイプの発熱性電子部品23,24を伝熱材製ブロック(ブロック体)25の基板面と交わる第2の面27に分散配置して固定設置することにより、基板21側に電子部品を取付けるための取付け用穴29を設ける必要がなくなる。このため、基板21側に設ける複数の電子部品22,23,24の取付け用穴29の数を減らし、本実施形態の場合、その穴数を半減することができる。
【0043】
本実施形態の伝熱材製ブロック25は、上記の如く、第1の面26、第2の面27および傾斜面(他の1面)28を備えており、傾斜面28が垂直面に対して水平方向に所定の傾きを有する面とされ、四辺形の一角を欠除したような断面が三角形状(直角二等辺三角形状)のブロック体とされており、その傾斜角が45°の傾斜面28には、半円形の凹溝30が設けられ、冷媒配管10Aが嵌合接触される構成とされている。ここでの伝熱材製ブロック25は、
図4に示されるように、凹溝30を有する傾斜面28が斜め下向きに配置され、DIPタイプの発熱性電子部品22が配置された第1の面26が鉛直方向、SIPタイプの発熱性電子部品23,24が配置された第2の面27が水平方向に設置されるようになっている。
【0044】
なお、上記第1の面26、第2の面27および断面三角形状は、それぞれ平行面、垂直面および断面直角三角形状(直角二等辺三角形状)であることが好ましいが、それに限定されるものではなく、本発明の作用効果を期待し得る範囲で角度の大小や面の傾き、ズレ等は許容されることは当然であり、それらも本発明に含まれるものとする。
【0045】
基板21は、上記の如く、コントローラ本体18に対して、上辺部および下辺部がそれぞれ支持具19,20を介して鉛直方向に固定設置されているが、上辺部を支持する支持具19は、上辺部を着脱自在に支持する爪部19A付き支持具19とされ、下辺部を支持する支持具20は、下辺部を支点にして基板21を回動自在に支持可能なヒンジ部20A付き支持具20とされており、まず基板21の下辺部を支持具20のヒンジ部20Aに挿入支持した後、その下辺部を支点にして上辺部を、
図6に示されるように、矢印方向に回動し、支持具19の爪部19Aに上辺部を係止させることによって、着脱自在に設置される構成とされている。
【0046】
一方、コントローラ12を支持するブラケット17側には、
図5に示されるように、コントローラ本体18の裏面と対向する面の所定高さ位置に、伝熱材製ブロック25の傾斜面28に設けられている凹溝30に嵌合する冷媒配管10Aを支持する支持部材31が設けられている。この支持部材31は、水平方向に沿って一定長さを有るものであってもよいし、あるいは水平方向に沿って所定間隔で少なくとも2箇所以上に分割配置されているものであってもよい。
【0047】
支持部材31は、冷媒配管10Aを支持する支持面32が、伝熱材製ブロック25の傾斜面28と対向した傾斜面(ここでは、45°の傾斜面)とされており、その傾斜支持面32と伝熱材製ブロック25の傾斜面28とを互いの合せ面として冷媒配管10Aの位置出しが行えるものとなっている。また、支持部材31の支持面32は、45°の傾斜面とされているため、伝熱材製ブロック25の凹溝30と冷媒配管10Aとの間に放熱用のシリコンシート(放熱用シート)33を介在させる場合において、シリコンシート33が落下しないように保持する保持面としての機能を有するものとされる。
【0048】
なお、支持部材31の傾斜支持面32は、垂直な面に対して水平方向に45°傾いた面とされているが、この傾斜支持面32は、冷媒配管10Aを支持面として伝熱材製ブロック25の傾斜面28と対応した面とされるものであり、その面形状や傾き角は後述する実施形態の通り、冷媒配管10Aに対する伝熱材製ブロック25の嵌合のし易さや、放熱用のシリコンシート33の保持のし易さ、あるいはブロック体である伝熱材製ブロック25の体積の減少化等を考慮して決定される断面形状に合わせ、様々な形態に変更されるものであり、これに限定されるものではない。
【0049】
かかる構成により、空気調和機1が冷房運転された時、電子膨張弁6を通過した低圧の気液二相冷媒が流れ、暖房運転された時、室内熱交換器8で凝縮液化された高圧液冷媒が流れる冷媒配管10Aに対して、伝熱材製ブロック25が接触配置されて冷却され、その伝熱材製ブロック25をヒートシンクとして、基板21上に実装されるとともに、伝熱材製ブロック25に接触配置されている複数の発熱性電子部品22,23,24を、冷媒を介して冷却する冷媒冷却方式のコントローラ12を構成することができる。
【0050】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
空気調和機1が冷房運転されると、冷媒は、圧縮機2から四方切換弁3を介して、室外熱交換器5、電子膨張弁6、室内熱交換器8、四方切換弁3、アキュームレータ9を経て圧縮機2の戻る回路を循環され、また暖房運転されると、冷媒は、圧縮機2から四方切換弁3を介して、室内熱交換器8、電子膨張弁6、室外熱交換器5、四方切換弁3、アキュームレータ9を経て圧縮機2の戻る回路を循環される。
【0051】
空気調和機1が冷・暖房運転されている間、コントローラ12は、インバータを介して圧縮機2の駆動用モータの回転数を制御する等、各種機器類を制御する。この際、コントローラ12に搭載されているインバータのアクティブコンバータ、ダイオードモジュールおよびパワートランジスタ等の電子部品22,23,24が駆動され発熱する。インバータを長期に亘り安定的に運転し機能させるには、これら発熱性電子部品22,23,24を適切に冷却し、オーバーヒートしないようにする必要がある。
【0052】
また、冷・暖房運転されている間、冷凍サイクル11の冷媒配管10A内を流れる冷媒の温度は、発熱性電子部品22,23,24の発熱温度に比べて十分低く、その冷媒配管10Aに接触されて冷却される伝熱材製ブロック25をヒートシンクとして、発熱性電子部品22,23,24の発熱を放熱し冷却することにより、アクティブコンバータ、ダイオードモジュール、パワートランジスタ等の電子部品22,23,24を確実に許容温度以下に冷却することができる。このため、インバータを長期に亘って安定的に機能させることができる。
【0053】
一方、冷媒冷却方式を採用するに当たり、伝熱材製ブロック25を小型化して放熱面を減少するには、電子部品22,23,24を基板21の一部に集約化する必要がある。この際、電子部品22,23,24を伝熱材製ブロック25に固定設置するため、通常、基板21側に電子部品22,23,24の取付け用穴29を設ける必要があるが、電子部品の集約化により基板占有面積が減少することから、取付け用穴29によって基板21のパターン幅が減少し、電流容量の確保が難しくなる。
【0054】
つまり、前述した特許文献1や
図12(A)ないし(C)に示されるように、伝熱材製ブロック25の基板21に沿う第1の面26に、DIPタイプおよびSIPタイプに係わりなく、全ての発熱性電子部品22,23,24を接触配置したものでは、基板21側に電子部品22,23,24の取付け用穴29を少なくとも4個設けなければならず、基板21のパターン幅が減少し、電流容量の確保が難しくなってしまう。
【0055】
しかるに、本実施形態においては、
図7(A)ないし(C)に示されるように、伝熱材製ブロック25を、基板21の基板面に沿う第1の面26と、その第1の面26に交わる第2の面27との少なくとも2面を備えたブロック体とし、そのブロック体の基板21に沿う第1の面26にDIPタイプの電子部品22、その第1の面26に交わる第2の面27にSIPタイプの電子部品23,24を分散して配置した構成としている。
【0056】
このため、ブロック体である伝熱材製ブロック25の基板21と交わる第2の面27に分散して配置されるSIPタイプの電子部品23,24を固定設置するための取付け用穴29を基板21側に設ける必要がなくなり、基板21のパターン上に設ける電子部品取付け用穴29の数を削減することができる。これによって、伝熱材製ブロック25を小型化するために発熱性電子部品22,23,24を基板21の一部に集約化しても、取付け用穴29により基板21のパターン幅が減少することがなく、電流容量を十分に確保することができる。
【0057】
また、伝熱材製ブロック25は、上記第1の面および第2の面26,27と、冷媒配管10Aが嵌合される凹溝30を有する他の1面である傾斜面28とを備え、四辺形の一角が欠除された断面が三角形状のブロック体とされている。このように、冷媒配管10Aと接する凹溝30を有する1面を傾斜面28とし、伝熱材製ブロック25を断面が三角形状のブロック体することにより、それ自体の体積を小さくして最小限化することができる。従って、伝熱材製ブロック25による熱抵抗を低減し、発熱性の電子部品22,23,24からの放熱性を向上して冷却性能を高めることができるとともに、伝熱材製ブロック25をより小型化してコスト低減を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、コントローラ12を冷却する冷媒配管10Aをコントローラ12側の伝熱材製ブロック25に沿って支持する支持部材31の支持面32を、断面が三角形状とされたブロック体である伝熱材製ブロック25の凹溝30を有する傾斜面28に対応した傾斜面としている。このため、支持部材31側の傾斜とされた支持面32を合せ面として、コントローラ12側の伝熱材製ブロック25の断面が三角形状とされたブロック体の傾斜面28を支持し、支持部材31側に支持されている冷媒配管10Aと伝熱材製ブロック25とを接触配置することができる。
【0059】
これによって、支持部材31の傾斜支持面32と伝熱材製ブロック25の傾斜面28とを互いの合せ面として、冷媒配管10Aの位置出しを行い、冷媒配管10Aと伝熱材製ブロック25とを容易にかつ確実に接触配置することでき、冷媒配管10Aと伝熱材製ブロック25との間に放熱用シート33等を介在させる場合においても、施工時の放熱用シート33の剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0060】
さらに、上記基板21は、コントローラ本体18に対して支持具19,20を介して支持され、該基板21の下辺を支持する支持具20が、その下辺を支点として基板21を回動自在に支持する支持具20とされている。このため、基板21をコントローラ本体18に支持具19,20を介して固定支持するとき、まず基板21の下辺側を回動自在に支持する支持具20に対して基板21を支持し、その下辺を支点にして基板21の上方部を回動させ、上辺側を支持具19に支持させることによって、コントローラ本体18に固定支持することができる。
【0061】
この際、コントローラ12を支持するブラケット17側の支持部材31により支持されている冷媒配管10Aに対して、伝熱材製ブロック25の1面である傾斜面28に設けられている凹溝30を円周方向から回動させながら嵌合させることができる。従って、伝熱材製ブロック25の凹溝30と冷媒配管10Aとを互いの干渉を避けて円滑に嵌合することができるとともに、冷媒配管10Aと伝熱材製ブロック25間に介在される放熱用シート33等に均一に圧力をかけ、シワが発生しないようにすることができ、施工性を向上することができる。
【0062】
また、室外機13側のコントローラ12を複数の発熱性電子部品22,23,24を冷媒配管10Aによって冷却する方式の上記コントローラ12としているため、発熱性電子部品22,23,24を基板21上に集約化して伝熱材製ブロック25およびコントローラ12を小型化しても、基板21の電流容量を十分に確保できるとともに、基板21上の発熱性電子部品22,23,24に対する冷却性能を向上し、更に組み付け時の施工性を良好にしたコントローラ12を搭載した空気調和機1とすることができ、従って、コントローラ12に対する信頼性の向上と組み立て性の向上、その小型化、低コスト化を図った高品質の空気調和機1を提供することができる。
【0063】
[他の実施形態]
以下に、本発明の他の実施形態について、
図4、
図8ないし
図11を用いて説明する。
(1)上記第1実施形態では、
図7に示されるように、複数設けられているSIPタイプの電子部品23,24の全部を第2の面27に配置した構成としているが、
図8に示されるように、複数のSIPタイプの電子部品23,24のうち、一部の電子部品24を第2の面27に配置し、残りの一部の電子部品23をDIPタイプの電子部品22と同じ第1の面26に配置した構成としてもよい。
【0064】
このように、SIPタイプの電子部品23,24が複数設けられる場合、そのSIPタイプの電子部品23,24のうち、一部のSIPタイプの電子部品24を第2の面27に配置し、残りのSIPタイプの電子部品23を第1の面26に配置した構成とすることによっても、第2の面27側に分散して配置されたSIPタイプの電子部品数に対応した数の取付け用穴29を基板21側に設ける必要がなくなり、基板21のパターン上に設ける電子部品取付け用穴29の数を削減することができる。このため、取付け用穴29により基板21のパターン幅が減少することがなく、基板21側の電流容量を十分確保することができる。
【0065】
(2)上記第1実施形態では、
図7(B)に示されるように、伝熱材製ブロック25の第1の面26を、電子部品22のパッケージ本体22Aと略同一幅としているが、
図4に二点鎖線で示されるように、伝熱材製ブロック25の基板面に沿う第1の面26の下端部26Aを、DIPタイプの電子部品22のパッケージ本体22Aの下端部よりも下方側に延長させた構成としてもよい。
【0066】
このような構成とすることにより、仮に冷媒配管10Aによって冷却された伝熱材製ブロック25の表面において結露が発生したとしても、その結露水をDIPタイプの電子部品22のパッケージ本体22Aの下端部よりも下方側に延長されている伝熱材製ブロック25の下端部26Aを経て速やかに下方へと滴下させることができる。このため、結露水のコントローラ12上での滞留を防止することができるとともに、結露水が電子部品22を含む他の電子部品や制御回路上に滴下することによる故障の発生や電子部品の損傷等を防止して、コントローラ12を保護することができる。
【0067】
(3)上記第1実施形態では、基板21をコントローラ本体18に対して、上辺部および下辺部をそれぞれ支持具19,20により固定設置する構成とし、特に下辺部を支持する支持具20を、下辺部を支点にして基板21を回動自在に支持可能なヒンジ部20A付き支持具20としているが、基板21を水平方向から装着しても伝熱材製ブロック25側の凹溝30と冷媒配管10Aとが干渉しない構成であれば、
図9に示されるように、上下の支持具を同一構成の支持具19とし、基板21を水平方向から着脱自在に設置する構成としてもよい。
【0068】
なお、伝熱材製ブロック25側の凹溝30と冷媒配管10Aとが嵌合時に干渉しない構成とするには、伝熱材製ブロック25および支持部材31の断面形状を下記(4)のような形状とすればよく、この際、放熱用シート33が落下したり、剥がれたりすることが懸念される場合、放熱用シート33をシリコーングリス等の伝熱性グリスに代替し、放熱用シート33の介在を不要としてもよく、本発明は、このような実施形態をも包含するものである。
【0069】
(4)上記第1実施形態では、伝熱材製ブロック25を第1の面26、第2の面27および傾斜面28を備えた断面が三角形状(第1実施形態では、直角二等辺三角形状)のブロック体としているが、少なくとも複数の電子部品22,23,24を分散して配置する第1の面26と第2の面27との2面を有するものであれば、他の1面は、必ずしも断面を三角形状とした場合の傾斜面28である必要はなく、例えば、
図10に示されるような断面長方形状の伝熱材製ブロック25Aとしてもよい。
【0070】
さらに、伝熱材製ブロックについては、上記以外に、
図11(A)ないし(E)に示されるような断面形状のものとしてもよい。
図11(A)に示される伝熱材製ブロック25Bは、第1および第2の面26,27を残して四辺形の一角を斜めに切欠き、その傾斜面(他の1面)28Bに冷媒配管10Aを嵌合する凹溝30を設けた形状としたものであり、
図11(B)に示される伝熱材製ブロック25Cは、同様に四辺形の一角を凹状の屈曲面(他の1面)28Cにより切欠き、その頂部位置に凹溝30を設けた形状としたものである。
【0071】
また、
図11(C)に示される伝熱材製ブロック25Dは、四辺形の一角を凹状(または凸状)の湾曲面(他の1面)28Dで切欠き、その中間位置に凹溝30を設けた形状としたものであり、
図11(D)に示される伝熱材製ブロック25Eは、四辺形の一角を緩やかな傾斜面により切欠いて台形形状となし、その傾斜面(他の1面)28Eに凹溝30を設けたものであり、
図11(E)に示される伝熱材製ブロック25Fは、四辺形の一角を面26,27と平行な凹状の屈曲面(他の1面)28Fにより切欠き、その頂部位置に凹溝30を設けた形状としたものである。
【0072】
伝熱材製ブロック25Aないし25Fを上記の如く構成とすることにより、何れの場合においても複数の電子部品22,23,24を互いに交わる2面に分散して配置し、基板21に設ける取付け用穴29の数を減らしてパターン幅の減少を抑制することができるとの効果を享受することができる。なお、伝熱材製ブロック25Aを用いた場合、その体積が第1実施形態のものに比べて、大きくなって伝熱材製ブロック25Aでの熱抵抗が増加することになるが、体積増による熱抵抗の増加は、接触熱抵抗の低減等による冷却効果の向上、放熱用シート採用時の設置施工性の低下は、伝熱性グリス塗布による代替等によってカバーすることができる。
【0073】
更に、伝熱材製ブロックの形状を第1実施形態の伝熱材製ブロック25以外に、
図11(A)ないし(E)に示すような様々な断面形状の伝熱材製ブロック25Bないし25Fに変更することにより、支持部材31に支持されている冷媒配管10Aに対し、伝熱材製ブロック25Bないし25Fの凹溝30を嵌合して接触組み付けする際、より組み付けし易い形状の伝熱材製ブロックを選択することが可能となり、コントローラ12の組み付け時の施工性向上に資することができる。この場合、支持部材31の支持面32は、伝熱材製ブロック25Bないし25F側の他の1面28Bないし28Fに対応した支持面とされることは云うまでもない。
【0074】
つまり、伝熱材製ブロック25Bないし25Fを、複数の電子部品22,23,24が接触して固定設置される面、すなわち第1および第2の面26,27の2面と、冷媒配管10Aが嵌合接触される凹溝30を有する面、すなわち上記傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28F、湾曲面28D等とを備えたブロック体となし、そのブロック体の凹溝30を有する面28Bないし28Fを、垂直面に対して全体として水平方向に所定の傾きを有する傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fおよび湾曲面28Dとすることによって、冷媒配管10Aにブロック体である伝熱材製ブロック25Bないし25E側の凹溝30を嵌合接触する際、水平方向に所定の傾きを有する傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28F、湾曲面28Dを、冷媒配管10Aを支持する支持部材31の対応する支持面32に対する合せ面として冷媒配管10Aの位置出しを行い、伝熱材製ブロック25Bないし25Fと冷媒配管10Aとを接触配置することができる。
【0075】
従って、伝熱材製ブロック25Bないし25Fと冷媒配管10Aとを位置出しを行って容易にかつ確実に接触配置することできるとともに、その間に放熱用シート33等を介在させる場合においても、その放熱用シート33を水平方向に所定の傾きを有する支持面で保持でき、施工時のシートの剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0076】
また、伝熱材製ブロック25Bないし25Fが、伝熱材製ブロック25と同様に、複数の電子部品22,23,24を固定設置可能な互いに交わる2面26,27と、その2面26,27を有するブロック体の一角を切欠くようにして傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fまたは湾曲面28Dを形成した凹溝30を有する面28Bないし28Fとを備えたブロック体とされているため、伝熱材製ブロック25Bないし25Fの凹溝30を有する面を、そのブロック体の一角を切欠くような傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fまたは湾曲面28Dで形成することによって、ブロック体である伝熱材製ブロック25Bないし25Fの体積をそれぞれ小さくし、小型軽量化することができる。
【0077】
これによって、伝熱材製ブロック25Bないし25Fでの熱抵抗を低減し、発熱性電子部品22,23,24からの放熱性を向上することができるとともに、伝熱材製ブロック25Bないし25Fをより小型化してコスト低減することができる。また、凹溝30を有する面を傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fまたは湾曲面28Dとすることにより、冷媒配管10Aを凹溝30に対して嵌合接触し易くし、コントローラ12の組み付け時の施工性を向上することができる。
【0078】
さらに、冷媒配管10Aを支持する支持部材31の支持面32を、ブロック体側の凹溝30を有する傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fまたは湾曲面28Dと対応した支持面としているため、その対応する支持面を合せ面として、伝熱材製ブロック25Bないし25Fの凹溝30を有する傾斜面28B,28E、屈曲面28C,28Fまたは湾曲面28Dを支持し、支持部材31により支持されている冷媒配管10Aと伝熱材製ブロック25Bないし25Fとを接触配置することができる。従って、伝熱材製ブロック25Bないし25Fと冷媒配管10Aとを位置出しを行って容易にかつ確実に接触配置することでき、その間に放熱用シート33等を介在させる場合においても、そのシート33を水平方向に所定の傾きを有する支持面で保持でき、施工時のシート33の剥がれや落下を防止し、施工性を向上することができる。
【0079】
なお、本発明は、上記の実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能であることは云うまでもない。例えば、上記実施形態では、基板21上に3個の発熱性電子部品22,23,24が設けられた例について説明したが、この発熱性電子部品の設置数やDIPタイプ、SIPタイプの内訳数等については、特に制限されるものではない。