特許第6369723号(P6369723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6369723建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法及び建物用点検口の封印用セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369723
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法及び建物用点検口の封印用セット
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   E04F19/08 101K
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-149583(P2014-149583)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-23495(P2016-23495A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514186065
【氏名又は名称】有限会社三宝総業
(74)【代理人】
【識別番号】100103595
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 裕子
(72)【発明者】
【氏名】岸 則人
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−152830(JP,U)
【文献】 特開2000−192647(JP,A)
【文献】 実開昭57−021734(JP,U)
【文献】 米国特許第04566233(US,A)
【文献】 特開2000−206885(JP,A)
【文献】 特開2003−056224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
G01R 11/24
G09F 3/03
B65D 61/00−63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた点検口の開口部を開閉可能に閉塞する蓋体によって閉塞した状態で封印する建物用点検口の封印構造であって、上記点検口が上記開口部に裏側フランジと表側フランジを備えた外枠が嵌め込まれ、上記蓋体に裏側フランジと表側フランジを備え、上記外枠の内側に嵌合する内枠が取り付けられた建物用点検口であり、上記封印構造が係合部列を備えたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とを備えたバンド部材と、該バンド部材の上記バンド部が挿通可能で、且つ上記ヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、上記バンド部材の上記バンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、上記バンド部材の上記バンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体と、を備え、上記第1挟持板材が上記外枠と上記内枠との隙間に上記挿通孔が連通し、且つ上記外枠の上記裏側フランジと上記内枠の上記裏側フランジとに跨るように配設され、上記第2挟持板材が上記外枠と上記内枠との上記隙間に上記バンド案内孔が連通し、且つ上記外枠の上記表側フランジと上記内枠の上記表側フランジとに跨るように配設され、上記ブロック体が上記第2挟持板材の上記バンド案内孔に上記係合孔が連通し、且つ上記バンド部材の上記バンド部が上記バンド案内孔を経て自由端側から上記係合孔に挿通すると逆抜け不能となるように上記第2挟持板材の表面に配設され、上記バンド部材が上記第1挟持板材の上記挿通孔の裏側周縁部に上記ヘッド部が係止され、且つ上記バンド部の自由端側が上記ブロック体の上記係合孔内に逆抜け不能に係止されて上記第1挟持板材と上記第2挟持板材とが連結されたことを特徴とする建物用点検口の封印構造。
【請求項2】
更に、上記第2挟持板材又は上記第1挟持板材から取り離され、当該第2挟持板材又は上記第1挟持板材を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された表記用板材を備えた請求項1に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項3】
上記第2挟持板材又は上記第1挟持板材に上記表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載された請求項2に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項4】
上記第2挟持材の上記ブロック体から表側に突出した上記バンド部材の上記自由端側の先端が除去された請求項1、2又は3に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項5】
上記第1挟持板材が上記外枠に止着された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項6】
上記外枠が、上記表側フランジから上記開口部の周面に沿って該開口部の高さより高く立ち上がった立上り板部を備え、上記内枠が、上記表側フランジから上記蓋体の周面に沿って該蓋体の高さより高く立ち上がった立上り板部を備えており、上記第1挟持板材が上記外枠の上記裏側フランジと該外枠に嵌合された上記内枠の上記裏側フランジとに跨る平面部と、該平面部の上記外枠側の端部から表方に向けて屈曲した折り曲げ部を備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項7】
上記第1挟持板材の折り曲げ部の先端面が外面側から上記立上がり板部に向けて表方に傾斜した請求項6に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項8】
更に、上記第1挟持板材が上記平面部の上記内枠側の端部から表方に向けて屈曲した折り曲げ部を備えた請求項6又は7に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項9】
上記第1挟持板材の上記内枠側の上記折り曲げ部が上記内枠の上記立上り板部に対して斜め外方に傾斜するように屈曲した請求項8に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項10】
上記点検口が天井点検口又は壁点検口である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項11】
上記建物用点検口が上記蓋体により閉塞された状態を保持するロック手段を備え、上記建物用点検口の封印構造が上記ロック手段の近傍に形成された請求項1乃至10のいずれか1項に記載の建物用点検口の封印構造。
【請求項12】
建物に設けられた点検口の開口部を開閉可能に閉塞する蓋体によって閉塞した状態で封印する建物用点検口の封印構造であって、上記点検口が上記開口部に嵌め込まれる外枠、上記蓋体に取り付けられる内枠にそれぞれ備えられる裏側フランジ、表側フランジのいずれか又は全部を備えていない建物用点検口であり、上記封印構造が係合部列を備えたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とを備えたバンド部材と、該バンド部材の上記バンド部が挿通可能で、且つ上記ヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、上記バンド部材の上記バンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、上記バンド部材の上記バンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体と、を備え、上記建物用点検口の上記フランジが存在しない箇所においては、上記第1挟持板材、上記第2挟持板材が当該フランジに代えて、上記第1挟持板材は上記開口部の裏側縁部近傍と上記蓋体の裏側縁部近傍とに跨がり、上記第2挟持板材は上記開口部の表側縁部近傍と上記蓋体の表側縁部近傍とに跨がり、且つ上記ブロック体が上記第2挟持板材の上記バンド案内孔に上記係合孔が連通し、上記バンド部材の上記バンド部が上記バンド案内孔を経て自由端側から上記係合孔に挿通すると逆抜け不能となるように上記第2挟持板材の表面に配設され、上記バンド部材が上記第1挟持板材の上記挿通孔の裏側周縁部に上記ヘッド部が係止され、上記バンド部の自由端側が上記ブロック体の上記係合孔内に逆抜け不能に係止されて上記第1挟持板材と上記第2挟持板材とが連結されるように配設された建物用点検口の封印構造。
【請求項13】
建物用点検口の開口作業又は閉塞作業が行なわれているか否かを確認、管理する建物用点検口の開閉作業の管理方法であって、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の建物用点検口の封印構造を備えた建物用点検口の上記封印構造を破壊して上記建物用点検口を開口する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて上記建物用点検口を開口することを確認、管理すると共に、係合部列が設けられたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とからなる封印用バンド部材と、上記バンド部材の上記バンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、上記バンド部材の上記バンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設され、該係合孔が上記第2挟持板材の上記バンド案内孔と連通するように第2挟持板材の一面に取り付けられるブロック体と、を備えた再封印用セットを用意し、上記建物用点検口の封印構造を破壊して点検口を開口した後、その点検口の開口部を再度、蓋体によって閉塞すると共に、上記再封印用セットと破壊した上記封印構造の第1挟持板材又は新たな第1挟持板材を用いて、上記建物用点検口を再度、封印して上記建物用点検口の封印構造を形成する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて上記建物用点検口が閉塞され、封印されたことを確認、管理することを特徴とする建物用点検口の開閉作業の管理方法。
【請求項14】
上記再封印用セットの上記第2挟持板材が、板材本体から取り離し可能で、且つ所定の建物用点検口を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された、又は記載可能な表記用板材を備えており、上記建物用点検口を開口する際に用意する上記再封印用セットの上記第2挟持板材から上記表記用板材を取り離して、該表記用板材に記載された記号、文字及び/又は番号を建物用点検口を特定する情報とする請求項13に記載の建物用点検口の開閉作業の管理方法。
【請求項15】
上記第2挟持板材の板材本体に上記表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載されており、上記板材本体を再封印した建物用点検口を再び開口する際に、その建物用点検口を特定する情報の控えとする請求項14に記載の建物用点検口の開閉作業の管理方法。
【請求項16】
蓋体によって開閉可能に閉塞された建物用点検口を封印する封印用セットであって、係合部列が設けられたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とからなる封印用バンド部材と、該封印用バンド部材の上記バンド部が自由端側から挿通可能で、且つ上記ヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、上記封印用バンド部材の上記バンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設されると共に、該バンド案内孔と連通し、且つ上記バンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体が一面に固設された第2挟持板材と、を備えたことを特徴とする建物用点検口の封印用セット。
【請求項17】
上記第2挟持板材又は上記第1挟持板材が、板材本体から取り離し可能で、且つ当該第2挟持板材又は第1挟持板材を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された、又は記載可能な表記用板材を備えた請求項16に記載の建物用点検口の封印用セット。
【請求項18】
上記第2挟持板材又は上記第1挟持板材の板材本体に上記表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載された請求項17に記載の建物用点検口の封印用セット。
【請求項19】
上記第1挟持板材が、側面略L字型の形状を有し、上記挿通孔が側面略L字型を形成するいずれか一方の板面に開設された請求項16、17又は18に記載の建物用点検口の封印用セット。
【請求項20】
上記第1挟持板材が、側面略へ字型の形状を有し、上記挿通孔が側面略へ字型を形成するいずれか一方の板面に開設された請求項16、17又は18に記載の建物用点検口の封印用セット。
【請求項21】
上記第1挟持板材が、更に、上記挿通孔が開設された一方の板面の端部に他方の板面に対向する折り曲げ部を備えた請求項19又は20に記載の建物用点検口の封印用セット。
【請求項22】
上記第1挟持板材の上記折り曲げ部の先端面が外面側で傾斜した請求項21に記載の建物用点検口の封印用セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁、天井などに設けられた建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法及び建物用点検口の封印用セットに関し、より詳細には、建物の壁点検口や天井点検口等の建物用点検口の開口部を開閉自在に閉塞した蓋体が開けられたか否かを容易に確認、管理することが可能な建物用点検口の封印構造、このような封印構造を利用した建物用点検口の開閉作業の管理方法及びこのような封印構造の作成に好適な建物用点検口の封印用セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル、駅構内等の建物の壁や天井には、内部に敷設される配線や配管などの保守、点検、修理などのために壁点検口や天井点検口などの建物用点検口が設けられている。このような建物用点検口として、例えば、図6に示すような天井点検口が挙げられる。図6は、従来の建物用点検口の閉塞手段を説明するものであり、建物用点検口である天井点検口を室内側から見上げた状態の概略を示した説明図である。図6に示す天井点検口1は、天井面2に開設された点検用の開口部3に嵌め込まれて取り付けられた方形状の外枠4と、この外枠4の内側に嵌合する内枠5と、内枠5に取り付けられた蓋体6とからなり、内枠5は外枠4に1辺同士で回動自在に繋がるように取り付けられており、内枠5が外枠4内側に嵌めこまれた状態、換言すると、内枠5に取り付けられた蓋体6によって点検口1が閉塞された状態を保持するためのロック手段7が上記の回動自在に繋がる1辺に対向する1辺に設けられている。そして、このようなロック手段7としては、例えば、後述する図3に示すように、内枠5にロック軸7aによって回動自在に取り付けられた係止爪7bを有し、後述する図2に示すように、ロック軸7aの下面7cにはコインやドライバーなどで操作できる溝7eが形成され、コインやドライバーなどを用いて蓋体6を閉めた状態で表側(天井下側)から係止爪7bを回動させて外枠4に係止させて蓋体6による点検口1の閉口状態を保持したり、外枠4から係止爪7bを外してロックを解除したりすることができるように構成された手段が挙げられる。また、壁点検口では、その他にも、例えば、内枠側にマググネットを取り付け、外枠側に鋼板を取り付けてマグネットの鋼板に対する吸着力を利用して蓋材による点検口の閉口状態を保持する手段などがある。しかしながら、このようなロック手段では、簡単にロックが解除されてしまい、いたずらされたり、地震や電車の通過などによる振動によって、係止爪が動いてロックが解除されたりする可能性があるなどの問題があり、このような問題を解決するために、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、点検口蓋の着脱が容易で、かつ、地震などの振動に際して点検口蓋が容易に外れない建物壁の点検口として、点検口蓋をスライドさせて点検口蓋の一辺部側を点検口枠の一辺部側に係合させる差込係合構造を有し、点検口蓋の他辺部側はいわゆるプッシュプッシュ型のキャッチ装置で点検口枠と係合させる構造であり、点検口蓋の一辺部側を点検口枠の一辺部側にスライドさせ、点検口蓋の他辺部側を押すという極めて簡単な操作で、点検口蓋を点検口枠に取り付けることができ、取り外す際も同様に、簡単な操作で点検口枠から取り外すことができ、係合ロッドの基端部が点検口蓋に設けた取付穴に遊びを持つ態様で取り付けられているので、地震などの振動に際して、係合ロッドの基端部が振動に追随することで、膨大部が一対のキャッチ片から外れる恐れは少ない点検口が記載されている。また、特許文献2には、振動などによって爪片が勝手に外れて内枠が開くのを防止するために、天井点検口において、内枠に回転自在に取り付けられ、上下方向に向くロック軸を回してロック軸の下端近傍に設けた爪片を外枠に係止させることにより内枠の閉塞状態を保持するためのロック手段を備え、ロック軸には背面に偏平部を備えて爪片が立ち上がり壁の外面に対して直角に向いたロック状態において偏平部が立ち上がり壁の外面に当接するように構成され、さらにロック軸には偏平部に繋がる偏平部を備えて、これら偏平部の繋がり部には角部が形成されていて、ばねによりロック軸を内枠の立ち上がり壁の外面に押し当てることによりロック解除方向への回転を規制するクリック機構を構成することが記載されている。これらの他にも、特許文献3には、ロック軸の下面に形成された溝(操作頭部の溝)に対しドライバー等を使用して回動させる手段の場合、回動方向が目視し得ないため、手間どる等の問題を解決するために、内枠に取り付けられる取付け板部と、基端が取付け板部の上部に連続し下方へ向けて外方向へ張り出すバネ板部と、バネ板部の先端を水平状に屈曲させ、常態において底面が外枠の下部フランジの内面に接面する水平板部と、水平板部の底面に連続し上記内枠の切欠き部内に位置する連続軸部と、この連続軸部に連続し上記内枠の下部フランジの下側に位置する水平状の操作板部とから成る天井点検口の内枠施錠装置が記載されている。また、建物用点検口用の鍵を用意し、点検口を閉塞した後、鍵をかける鍵付きタイプの点検口も採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−119713号公報
【特許文献2】特開2003−301599号公報
【特許文献3】特開平11−311017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなロック方式に関する特許文献には、部外者が点検口を開閉していないかを確認するということについては何ら記載されてなく、上述したようなロック方式では、建物に出入りする人がだれでも建物用点検口を開口することができ、また、その後に閉塞することもできるため、何人かによって開口されたか否かを建物の管理者などが確認、管理することが容易ではなく、いたずら防止やテロ対策を行うという点については考慮されていなかった。一方、建物用点検口用の鍵を用意する施錠式の点検口では、保守、点検などの作業時にいちいち鍵の貸し出し、返却をしなければならず、手間がかかり、また、鍵の管理にも気を使う必要があった。更に、多数の建物用点検口が設けられている場合、どの点検口が開口された後、再度、閉塞されたかを確認、管理するには煩雑な手続きが必要であった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みなされたもので、閉塞されていた点検口が開口されたことを視覚的に直ぐに認識することができ、例えば、多数の建物用点検口が設けられているような場合であっても、特定の建物用点検口が何人かによって開閉されたかを建物の管理者などが煩雑な手続きを行わなくても確認し、管理することが可能となり、更に、建物用点検口を開口する際の封印の解除、閉塞した後の再度の封印構造の取付け作業も容易であり、更に、地震や電車の通過などによる振動によって、点検口のロックが解除されて点検口が開口されてしまうという事態の発生を抑制することも可能とする建物用点検口の封印構造、このような封印構造を利用した建物用点検口の開閉作業の管理方法及びこのような封印構造の作成に好適に使用される建物用点検口の封印用セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、(1)建物に設けられた点検口の開口部を開閉可能に閉塞する蓋体によって閉塞した状態で封印する建物用点検口の封印構造であって、点検口が開口部に裏側フランジと表側フランジを備えた外枠が嵌め込まれ、蓋体に裏側フランジと表側フランジを備え、外枠の内側に嵌合する内枠が取り付けられた建物用点検口であり、封印構造が係合部列を備えたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とを備えたバンド部材と、該バンド部材のバンド部が挿通可能で、且つヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、バンド部材のバンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、バンド部材のバンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体と、を備え、第1挟持板材が外枠と内枠との隙間に挿通孔が連通し、且つ外枠の裏側フランジと内枠の裏側フランジとに跨るように配設され、第2挟持板材が外枠と内枠との隙間にバンド案内孔が連通し、且つ外枠の表側フランジと内枠の表側フランジとに跨るように配設され、ブロック体が第2挟持板材のバンド案内孔に係合孔が連通し、且つバンド部材のバンド部がバンド案内孔を経て自由端側から係合孔に挿通すると逆抜け不能となるように第2挟持板材の表面に配設され、バンド部材が第1挟持板材の挿通孔の裏側周縁部、即ち、挿通孔の周り又は挿通孔の周辺にヘッド部が係止され、且つバンド部の自由端側がブロック体の係合孔内に逆抜け不能に係止されて第1挟持板材と第2挟持板材とが連結された、即ち、バンド部材によって、第1挟持板材と第2挟持板材とが結び付けられたことを特徴とする建物用点検口の封印構造、(1’)建物に設けられた点検口の開口部を開閉可能に閉塞する蓋体によって閉塞した状態で封印する建物用点検口の封印構造であって、点検口が開口部に嵌め込まれる外枠、蓋体に取り付けられる内枠にそれぞれ備えられる裏側フランジ、表側フランジのいずれか又は全部を備えていない建物用点検口であり、封印構造が係合部列を備えたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とを備えたバンド部材と、該バンド部材のバンド部が挿通可能で、且つヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、バンド部材のバンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、バンド部材のバンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体と、を備え、建物用点検口のフランジが存在しない箇所においては、第1挟持板材、第2挟持板材が当該フランジに代えて、第1挟持板材は開口部の裏側縁部近傍と蓋体の裏側縁部近傍とに跨がり、第2挟持板材は開口部の表側縁部近傍と蓋体の表側縁部近傍とに跨がり、且つブロック体が第2挟持板材のバンド案内孔に係合孔が連通し、バンド部材のバンド部がバンド案内孔を経て自由端側から係合孔に挿通すると逆抜け不能となるように第2挟持板材の表面に配設され、バンド部材が第1挟持板材の挿通孔の裏側周縁部にヘッド部が係止され、バンド部の自由端側がブロック体の係合孔内に逆抜け不能に係止されて第1挟持板材と第2挟持板材とが連結されるように配設された建物用点検口の封印構造、(2)建物用点検口の開口作業又は閉塞作業が行なわれているか否かを確認、管理する建物用点検口の開閉作業の管理方法であって、上記(1)、(1’)に記載の建物用点検口の封印構造を備えた建物用点検口の封印構造を破壊して建物用点検口を開口する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて建物用点検口を開口することを確認、管理すると共に、係合部列が設けられたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とからなる封印用バンド部材と、バンド部材のバンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設された第2挟持板材と、バンド部材のバンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設され、該係合孔が第2挟持板材のバンド案内孔と連通するように第2挟持板材の一面に取り付けられるブロック体と、を備えた再封印用セットを用意し、建物用点検口の封印構造を破壊して点検口を開口した後、その点検口の開口部を再度、蓋体によって閉塞すると共に、再封印用セットと破壊した封印構造の第1挟持板材又は新たな第1挟持板材を用いて、建物用点検口を再度、封印して建物用点検口の封印構造を形成する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて建物用点検口が閉塞され、封印されたことを確認、管理することを特徴とする建物用点検口の開閉作業の管理方法、及び(3)蓋体によって開閉可能に閉塞された建物用点検口を封印する封印用セットであって、係合部列が設けられたバンド部と該バンド部の基端に設けられたヘッド部とからなる封印用バンド部材と、該封印用バンド部材のバンド部が自由端側から挿通可能で、且つヘッド部が通り抜け不能な挿通孔が開設された第1挟持板材と、封印用バンド部材のバンド部が挿通可能なバンド案内孔が開設されると共に、該バンド案内孔と連通し、且つバンド部が自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔が開設されたブロック体が一面に固設された第2挟持板材と、を備えたことを特徴とする建物用点検口の封印用セットを提供する。なお、本発明において、「表側」とは、建物用点検口が天井点検口であれば、室内側、天井表面側、建物用点検口が壁点検口であれば、室内側、壁表面側、建物用点検口が床点検口であれば、室内側、床面側であり、「裏側」とは、建物用点検口が天井点検口であれば、天井内側、天井裏側、建物用点検口が壁点検口であれば、壁内側、壁裏側、建物用点検口が床点検口であれば、床下側である。
【0008】
即ち、本発明は、上記先行技術の建物用点検口とは全く異なる視点からなされたものであり、建物用点検口の開口部を蓋体によって閉塞した状態で封印し、点検口の開閉作業を管理するという従来の建物用点検口では提案されていなかった技術に関するものであり、本発明の上記(1)に記載の建物用点検口の封印構造の上記構成によれば、閉塞状態にある建物用点検口において、外枠の裏側フランジと内枠の裏側フランジとに跨るように配設された第1挟持板材と、外枠の表側フランジと内枠の表側フランジとに跨るように配設された第2挟持板材とが、ヘッド部が第1挟持板材の挿通孔に通り抜け不能に係止され、バンド部の自由端側が挿通孔から外枠と内枠との隙間を経て第2挟持板材のバンド案内孔に挿通されて第2挟持板材の表面に配設されたブロック体の係合孔に逆抜け不能に係合したバンド部材により連結されている、換言すると、上述したようなバンド部材により結び付けられた第1挟持板材と第2挟持板材とによって、封印構造の取り付け箇所の建物用点検口の開口部の外枠のフランジとこれに相接した蓋体の内枠のフランジとが裏面側と表面側から挟持された状態となっているので、この封印構造を破壊しない限り蓋体を開けて点検口を開口することはできない構成となっている。従って、再び、この点検口の開口部を蓋体によって閉塞しても、取り付けてあった封印構造は破壊されているので、再度、この封印構造によって封印することができなくなり、閉塞されていた点検口が開口されたことを視覚的に直ぐに認識することができる。そして、本発明の封印構造は、建物用点検口の封印に際し、建物用点検口に孔を開けたりするなどの必要がなく、このような外枠、内枠を備えた既存の建物用点検口であってもそのままの状態で封印することができる。
【0009】
ここで、本発明の建物用点検口の封印構造が、更に、第2挟持板材又は第1挟持板材から取り離され、当該第2挟持板材又は第1挟持板材を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された表記用板材を備えたものであれば、封印構造を破壊して点検口を開口する際、また、再度、閉塞した点検口を新たな封印構造により封印する際に、作業を行う点検口を特定する情報の控えとして利用することができ、このように作業を行う点検口を特定することによって、部外者や振動などにより開口された点検口の有無を確認することができ、また、保守、点検作業などを確認し、管理することもできる。なお、表記用板材は、後述するように第1挟持板材が折り曲げ部を備えていたり、第1挟持板材を再利用するような場合は、第2挟持板材から取り離されたものであると、より好適である。更に、第2挟持板材又は第1挟持板材に表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載されていると、例えば、後述するように本発明の建物用点検口の開閉作業の管理方法により、点検口の開閉作業を行った点検口を確認、管理する際に、封印構造を破壊した後、表記された第2挟持板材を管理者などに持っていくことによって、封印構造を破壊した点検口を特定し、管理することができる。そして、第2挟持材のブロック体から表側に突出したバンド部材の自由端側の先端が除去されたものであると、表側からの見栄えが良くなり、また、引っ張っていたずらされるなどの事態を抑制することができる。そして、第1挟持板材が外枠に止着されたものであると、後述するように封印構造を作製する際に第1挟持板材が取扱い易くなる。更に、外枠が、表側フランジから開口部の周面(周壁)に沿って開口部の高さ(天井面、壁体などの厚さ)より高く立ち上がった立上り板部を備え、内枠が、表側フランジから蓋体の周面(周壁)に沿って該蓋体の高さより高く立ち上がった立上り板部を備えている、換言すると、各裏側フランジが天井裏面、壁裏面などから、また、蓋体裏面からそれぞれ裏方に離間している、のであれば、第1挟持板材が外枠の裏側フランジと該外枠に嵌合された内枠の裏側フランジとに跨る平面部と、該平面部の外枠側の端部から表方に向けて屈曲した折り曲げ部を備えたものであったり、その折り曲げ部の先端面が外面側から立上がり板部に向けて表方に傾斜した傾斜面であったり、更に、第1挟持板材が平面部の内枠側の端部から表方に向けて屈曲した折り曲げ部を備えたものであったり、その内枠側の折り曲げ部が内枠の立上り板部に対して斜め外方に傾斜するように屈曲したものであっても、後述するように封印構造を作製する際に第1挟持板材が取扱い易くなる。
【0010】
また、本発明の建物用点検口の封印構造は、封印対象の建物用点検口の種類が特に制限されるものではなく、例えば、天井点検口、壁点検口、床点検口などに適用することができるが、第2挟持板材のブロック体が表側に突出していることを考慮すると、天井点検口、壁点検口に適用すると、より好適である。ここで、本発明の場合、封印対象の建物用点検口の構成が特に制限されるものではなく、また、形成する位置も特に制限されるものではないが、例えば、建物用点検口が蓋体により閉塞された状態を保持するロック手段を備えたものであれば、建物用点検口の封印構造がロック手段の近傍に形成されていると、封印を解除し、開口するという作業が行い易くなる。更に、本発明の建物用点検口の封印構造は、上述したように、既存の建物用点検口に形成することができ、例えば、封印する点検口が外枠、内枠の各フランジのいずれか又は全部を備えていない建物用点検口、より具体的には、外枠、内枠のいずれか一方又は両方を備えていない点検口、外枠、内枠を備えているが、備えられている外枠、内枠が裏側フランジ、表側フランジのいずれか一方又は両方を備えていない点検口であれば、上述したように第1挟持板材、第2挟持板材を外枠と内枠の各裏側フランジや各表側フランジに跨設させることができないので、そのような存在しないフランジに代えて、当該箇所では開口部の縁部近傍と蓋体の縁部近傍とにかけて第1挟持板材、第2挟持板材を跨設する、換言すると、例えば、フランジを有さない点検口では、第1挟持板材が点検口の開口部の裏面側の開口縁部周辺とこれに相対する蓋体の裏面側の縁部周辺に亘るように配設され、第2挟持板材が点検口の開口部の表側縁部近傍と蓋体の表側縁部近傍とに跨るように配設された態様とすることができる。
【0011】
そして、本発明の上記(2)に記載の建物用点検口の開閉作業の管理方法の上記構成によれば、本発明の建物用点検口の封印構造を破壊して点検口を開口する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて点検口を開口することを確認し、点検作業が終わった点検口の開口部を再度、蓋体によって閉塞し、上述した再封印用セットと破壊した封印構造の第1挟持板材又は新たな第1挟持板材を用いて、建物用点検口を再度、封印する際に、その建物用点検口を特定する情報を控えて建物用点検口が閉塞され、封印されたことを確認、管理するので、特定の建物用点検口が何人かによって開閉されたかを建物の管理者などが管理することができ、また、閉塞されていた点検口が部外者や振動などによって開口されるという事態が発生した場合、そのような事態を視覚的に直ぐに認識することができる。なお、再封印用セットは、破壊した封印構造の第1挟持板材を再利用することを考慮したものであり、第1挟持板材を再利用しない場合は、新たな第1挟持板材を用意することができる。また、ブロック体は、予め第2挟持板材の所定の位置に固設されていてもよく、別体として用意し、封印構造の形成作業の際に、バンド部材によって、第2挟持板材の所定の位置に当接させて取り付けられるように構成されていても良いが、予め第2挟持板材の所定の位置に固設されていると、点検口が開口されたことがより判別し易くなるので、より好適である。ここで、再封印用セットの第2挟持板材が、板材本体から取り離し可能で、且つ所定の建物用点検口を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された、又は記載可能な表記用板材を備えており、建物用点検口を開口する際に用意する再封印用セットの第2挟持板材から表記用板材を取り離して、該表記用板材に記載された記号、文字及び/又は番号を建物用点検口を特定する情報として利用すると、開口作業、閉塞作業を行った建物用点検口の特定作業が容易、且つ確実となる。更に、第2挟持板材の板材本体に表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載されており、板材本体を再封印した建物用点検口を再び開口する際に、その建物用点検口を特定する情報の控えとする、より具体的には、例えば、次回の建物用点検口の開閉作業を確認、管理する際に、当該封印構造を破壊した後、その第2挟持板材を建物の管理者などに渡すことによって、建物用点検口が開口された情報として控えておくことができる。
【0012】
そして、本発明の上記(3)に記載の建物用点検口の封印用セットによれば、本発明の建物用点検口の封印構造を構成する第1挟持板材、第2挟持板材を備え、更に、バンド部材を構成する封印用バンド部材を備えているので、蓋体によって閉塞された建物用点検口の所定の位置に第1挟持板材、第2挟持板材を配設し、封印用バンド部材によって、これらをきつく結び付けることによって、対象とする建物用点検口を封印する本発明の建物用点検口の封印構造を作製することができる。ここで、本発明の建物用点検口の封印用セットにおいて、第2挟持板材又は第1挟持板材が、板材本体から取り離し可能で、且つ当該第2挟持板材又は第1挟持板材を特定する記号、文字及び/又は番号が記載された、又は記載可能な表記用板材を備えたものであれば、例えば、本発明の封印用セットを作業員に渡す際に、表記用板材を取り離して作業を行う点検口を特定する情報の控えとして利用したり、作業員が本発明の封印用セットにより閉塞した点検口に封印構造を作製する際に、表記用板材を取り離して封印した点検口を特定して報告する際の控えとして利用することができる。なお、表記用板材は、上述した封印構造と同様に第2挟持板材に備えられていると、より好適である。また、第2挟持板材又は第1挟持板材の板材本体に表記用板材と同様の記号、文字及び/又は番号が記載されたものであると、上述したように点検口の開閉作業を確認、管理する際に、より好適である。更に、第1挟持板材が、側面略L字型の形状を有し、挿通孔が側面略L字型を形成するいずれか一方の板面に開設されたもの、又は、側面略へ字型の形状を有し、挿通孔が側面略へ字型を形成するいずれか一方の板面に開設されたものであったり、更に、挿通孔が開設された一方の板面の端部に他方の板面に対向する折り曲げ部を備えたものであったり、その折り曲げ部の先端面が外面側で傾斜したもの、換言すると、先端面が外面側から内面側に向けて斜め下方に向けて傾斜した傾斜面となるように形成されたものであれば、後述するように、本発明の封印用セットにより開口部に外枠を備えたタイプの点検口に本発明の封印構造を作製する際に第1挟持板材が取扱い易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、閉塞されていた点検口が開口されたことを視覚的に直ぐに認識することができ、何人かによって開口されたか否かを建物の管理者などが容易に確認、管理することができるので、駅構内、公共の施設のように人が自由に出入りする建物に設けられた建物用点検口、ビルやマンションのエントランスなどのように建物、施設の外側に設けられ、誰でも触れるような場所に設けられた建物用点検口であっても、その建物用点検口の開閉状態を確認し、管理することを可能とし、例えば、建物用点検口へのいたずら防止やテロ対策を容易に行うことが可能となった。また、保守、点検などの作業時に点検口を開口する際の封印の解除、閉塞した後の封印構造の取付け作業も容易であり、鍵のように管理にも気を使う必要も少ない。更に、地震や電車の通過などによる振動によって、点検口のロックが解除されて点検口が開口されてしまうという事態の発生を抑制することも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例に係る建物用点検口の封印構造の概略縦断面図である。
図2図1における外枠を建物用点検口から外し、内枠から蓋体を取り外した状態で建物用点検口の封印構造を見た概略斜視図である。
図3図1における蓋体を取り外した状態で上記建物用点検口の封印構造を内枠側の裏方から見た概略斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る建物用点検口の封印用セットを説明する概略斜視図である。
図5】本発明の他の実施例に係る建物用点検口の封印構造の概略横断面図である。
図6】従来の天井点検口の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき、より詳細に説明する。図1図3は、本発明の建物用点検口の封印構造の一実施例を説明するために、建物用点検口として外枠、内枠を備えた天井点検口を採用したものであり、図1は本発明の一実施例に係る建物用点検口の封印構造の概略縦断面図、図2は天井点検口の開口部から外枠を外し、内枠から蓋体を取り外した状態で天井点検口の封印構造を表方(下方又は室内側)から見た概略斜視図、図3は蓋体を取り外した状態で天井点検口の封印構造を内枠側の裏方(上方又は天井裏3側)から見た概略斜視図である。図中1は、本発明の一実施例に係る建物用点検口の封印構造10によって封印された天井点検口であり、この天井点検口1は、上述した図6に示した天井点検口1と同様に、天井面2に開設された点検用の開口部3の周壁に嵌め込まれて取り付けられた方形状の外枠4と、この外枠4の内側に嵌合する内枠5と、内枠5内に取り付けられた蓋体6とからなり、内枠5は外枠4に1辺同士で回動自在に繋がるように取り付けられており、内枠5が外枠4内側に嵌めこまれた状態、換言すると、内枠5に取り付けられた蓋体6によって点検口1が閉塞された状態を保持するためのロック手段7(図2図3参照)が上記の回動自在に繋がる1辺に対向する1辺に設けられている。そして、このようなロック手段7としては、例えば、内枠5にロック軸7a(図3参照、以下同様)によって回動自在に取り付けられた係止爪7b(図2図3参照、以下同様)を有し、ロック軸7aの下面7cにはコインやドライバーなどで操作できる溝7e(図2参照、以下同様)が形成され、コインやドライバーなどを用いて蓋体6を閉めた状態で表側(天井下側)から係止爪7bを回動させて外枠4に係止させて蓋体6による天井点検口1の閉口状態を保持したり、外枠4から係止爪7bを外してロックを解除したりすることができるように構成されている。そして、ロックを解除することにより、蓋体6が斜め下方に開いて天井点検口1が開口する。
【0016】
外枠4は、表側(図1図3においては下部、以下同様)フランジ4aと、表側フランジ4aの面内から開口部3の周面に沿って開口部3の高さ(図1では、天井面2の厚さ)より高く立ち上がった立上がり板部4bと、立上り板部4bの裏側端(図1図3においては上端、以下同様)を蓋体6側に向けて屈曲させた裏側(図1図3においては上部、以下同様)フランジ4cとを備えており、内枠5は、表側フランジ5aと、表側フランジ5aの面内から蓋体6の周面に沿って蓋体6の高さより高く立ち上がった立上り板部5bと、立上り板部5bの裏側端を蓋体6側に向けて屈曲させた裏側フランジ5cとを備え、外枠4の表側フランジ4aと内枠5の表側フランジ5aとの間には、わずかな隙間aが形成され、外枠4の立上り板部4bと内枠5の立上り板部5bとの間は空隙bがあり、外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとの間には隙間cが形成されている。
【0017】
天井点検口1を封印する封印構造10は、係合部列11cを備えたバンド部11aとバンド部11aの基端に設けられたヘッド部11bとからなるバンド部材11と、バンド部材11のバンド部11aが挿通可能で、且つヘッド部11bが通り抜け不能な挿通孔20aが開設された第1挟持板材20と、バンド部材11のバンド部11aが挿通可能なバンド案内孔30aが開設されると共に、バンド案内孔30aと連通し、且つバンド部11aが自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔31aが開設されたブロック体31が一面に固設された第2挟持板材30とを備え、封印構造10は、後述するように外枠4のロック手段7の近傍に第1挟持板材20が図示しない止着手段により止着されて、ロック手段7の近傍に取り付けられている。ここで、挿通孔20a、バンド案内孔30aの形状は、バンド部材11の横方向断面形状に合わせて上面から見て略長方形に開設されているが、本発明の挿通孔の形状は、バンド部材のバンド部が挿通可能で、且つヘッド部が通り抜け不能である限り、特に制限されるものではなく、バンド案内孔の形状もバンド部が挿通可能である限り、特に制限されるものではない。また、挿通孔20aは、後述する第1挟持板材20の平面部21の略中央、バンド案内孔30aは、第2挟持板材30の略中央にそれぞれ開設されているが、本発明の挿通孔、バンド案内孔の開設位置は、特に制限されるものではなく、封印構造により封印する建物用点検口の構成、第1挟持板材、第2挟持板材の形状などに合わせて、適宜選定することができる。
【0018】
ここで、本発明の第1挟持板材は、外枠の裏側フランジと内枠の裏側フランジと、又はこれらフランジを備えていない点検口の場合は開口部の裏側縁部近傍と蓋体の裏側縁部近傍と、に跨るように配設することができるような板状である限り、その形状が特に制限されるものではなく、例えば、後述する図5に示すような四角形などの平面板状であっても良いが、図1〜3に示す第1挟持板材20のように外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとに跨るような短辺を有する長方形の平面部21と、平面部21の外枠4側の端部からは外枠4の立上がり板部4bに沿うように表方(図1では下方、以下同様)に向けて屈曲した折り曲げ部22、内枠5側の端部からは表方に向けて屈曲した折り曲げ部23を備えたものであると、外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとに覆い被さるように配設することができ、表方(天井下方)から封印作業をする際により取扱い易くすることができる。更に、折り曲げ部22は、図1に示すように、その先端面22aが外面側から立上がり板部4bに向けて表方に(図1では左側面から右下方向に向けて)傾斜しており、封印構造を形成する際に、この傾斜した先端面22aと外枠4の立上がり板部4bとに亘るようにテープ止めなどすることによって第1挟持板材20を外枠4に止着し易くなる。ここで、先端面22aの傾斜角度αは、特に制限されるものではなく、第1挟持板材20自体の強度、折り曲げ部22の長さ、外枠4への止着し易さなどを考慮して適宜選定することができるが、好ましくは5°〜60°、より好ましくは10°〜50°であると、より好適である。なお、第1挟持板材20を外枠4に止着する手段は特に制限されないが、例えば、養生テープ、ガムテープなどのように粘着剤などを塗布したテープ状材料などを利用した手段などを挙げることができる。また、折り曲げ部23は、内枠5の立上り板部5bに対して斜め外方(図1では斜め右下方向)に傾斜するように屈曲していると、封印作業をする際に第1挟持板材20を外枠4の裏側フランジ4cに載置し、内枠5に取り付けられた蓋体6を内枠5の裏側フランジ5cが第1挟持板材20の平面部21に当接するように閉じることがより容易となる。ここで、折り曲げ部23の平面部21に対する屈曲角度βは、特に制限されるものではないが、取扱い性、施工性などを考慮すれば、好ましくは95°〜130°、より好ましくは100°〜125°、更に好ましくは100°〜120°であると、より好適である。
【0019】
なお、本発明の第1挟持板材としては、上述したように平面部のみのものであったり、平面部とその外枠側で屈曲した折り曲げ部のみ、即ち、図1の折り曲げ部23を備えないものであったり、内枠側の折り曲げ部が傾斜していない、即ち、図1の折り曲げ部23の平面部21に対する屈曲角度βが90°であったり、外枠側の折り曲げ部の先端面が平面部に対して水平な平面、即ち、図1の傾斜角度αが90°であってもよい。また、図1〜3に示した第1挟持板材20は、内枠5側の折り曲げ部23の方が外枠4側の折り曲げ部22よりも長くなっているが、これらの長さは、点検口の構成などに合わせて適宜選定することができ、折り曲げ部23と折り曲げ部22が同じ長さであっても、折り曲げ部23の方が折り曲げ部22よりも短くなっていてもよい。
【0020】
本発明の第2挟持板材としては、外枠の表側フランジと内枠の表側フランジと、又はこれらフランジを備えていない点検口の場合は表側縁部近傍と蓋体の表側縁部近傍と、に跨るように配設することができるような板状である限り、その形状が特に制限されるものではなく、例えば、四角形、楕円形などの多角形、円形の平面状の板材を使用しても良いが、図2に示すように、外枠4の表側フランジ4aと内枠5の表側フランジ5aとに跨るような幅(図4の図中矢印W参照)を有する四角形の板材本体32から取り離し可能で、且つ当該第2挟持板材を特定する記号、文字及び/又は番号(図示せず、以下同様)が記載された、換言すると、記号、文字及び/又は番号により特定される当該第2挟持板材の情報が記載、又は記載可能な表記用板材33、33を備えた第2挟持板材を使用し、封印構造を作成する際に、その表記用板材33、33を第2挟持板材(板材本体32から)から取り離したものであってもより好適である。このような第2挟持板材としては、後述する図4に示す第2挟持板材30’のように、長方形板材からなる第2挟持板材30’の長さ方向(図中矢印L)の両端側からそれぞれ全長の約4分の1の位置に幅方向(図中矢印W)に向かって肉薄線部32a、32aを設けることによって、第2挟持板材30’の長さ方向の中間部を板材本体32として点検口の封印に使用し、肉薄線部32a、32aに沿って切ったり、肉薄線部32a、32aを折り曲げて切断することによって、第2挟持板材30’の板材本体32から取り離される部分を表記用板材33、33とすることができる。そして、表記用板材33、33は、図示しない記号、文字、数字又はこれらの組み合わせなどの第2挟持板材を特定する情報が取り離し前に予め記載されているか、又は取り離し後に予め設定されている第2挟持板材を特定する情報が記載可能となっており、第2挟持板材を取り付ける、又は、取り付けた天井点検口を特定する情報の控えとして利用可能となっている。なお、取り離し可能な表記用板材の数は特に制限されず、例えば、1枚であっても良いのは勿論である。また、上述したように表記用板材を第2挟持板材(板材本体32から)から取り離し可能な構成とする場合、肉薄線部の形成位置も特に制限されず、第2挟持板材の大きさなどを考慮して適宜位置に形成することができる。そしてまた、表記用板材に記載される記号としては、その第2挟持板材を特定することができる限り、例えば、絵柄なども含まれる。そして、本発明の封印構造では、上述したように、表記用板材は、第1挟持板材から取り離されたものとすることもでき、例えば、第1挟持板材が四角形などの平面板状のものであれば、上述したような肉薄線部を第1挟持板材に設けることによって取り離し可能な構成とすることができる。また、上記のような情報を記載する手段としては、特に制限されるものではなく、例えば、各種ペン、インクなどによって表記用板材に書き込んだり、刻印したり、上記のような情報を印刷した印字テープなどを表記用板材に貼付する手段などが挙げられる。また、第2挟持板材30(板材本体32)にも表記用板材33、33と同様の図示しない記号、文字、数字又はこれらの組み合わせが記載されていると、後述するように、例えば、封印構造を破壊した後、破壊後の第2挟持板材を管理者などに渡すことによって、点検口を特定して報告する際の控えとして利用することができる。
【0021】
なお、本発明の第2挟持板材としては、ブロック体31が第2挟持板材30に固設されてなく、バンド部材11の締め付けによって、第2挟持板材の所定位置に当接した状態で取り付けられたようにすることもできる。また、ブロック体31を第2挟持板材30に固設する場合、その固設手段は、特に制限されるものではなく、例えば、第2挟持板材30とブロック体31とを一体成型したり、適宜接着剤によって固設する手段などが挙げられる。
【0022】
封印構造10は、上述したように、第1挟持板材20が、外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとの間の隙間cに挿通孔20aが連通し、平面部21は外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとの面上に載置され、折り曲げ部22は外枠4の立上り板部4bに沿うように、折り曲げ部23は内枠5の立上り板部5bよりも斜め外方になるようにして、外枠4の裏側フランジ4cと内枠5の裏側フランジ5cとに覆い被さるようにして跨設されている。そして、第2挟持板材30が、外枠4の表側フランジ4aと内枠5の表側フランジ5aとの間の隙間aにバンド案内孔30aが連通し、外枠4の表側フランジ4aと内枠5の表側フランジ5aとに跨り、ブロック体31が表側に突出するように配設されている。更に、バンド部材11は、第1挟持板材20の挿通孔20aの裏側周縁部にヘッド部11bが係止され、挿通孔20aから外枠4の立上り板部4bと内枠5の立上り板部5bとの間の空隙b(隙間)を経て第2挟持板材30のバンド案内孔30aに挿通されたバンド部11aの自由端側が第2挟持板材30に取り付けられたブロック体31の係合孔31a内に逆抜け不能に係止されており、このようなバンド部材11によって、第1挟持板材20と第2挟持板材30とがきつく結びつけられた状態で連結されて天井点検口1を封印した封印構造10が形成されている。ここで、本発明の封印構造は、バンド部材の自由端側の先端が第2挟持材のブロック体から表側に突出したままでも良いが、この場合、表方(天井下)から封印構造を見上げた時に、バンド部の先端がブロック体から垂れ下がったように感じられる可能性を考慮すれば、図1に示した封印構造10のように、ブロック体31から表側に突出したバンド部材11の自由端側の先端が除去されたものとすると、より好適である。
【0023】
次に、このような封印構造10の作成に好適な本発明の一実施例に係る建物用点検口の封印用セット40を、図4を用いてより詳細に説明する。図4は、図1図3に示した封印構造を作成する封印用セット40を拡大して示した斜視図であり、封印用セット40は、封印用バンド部材11’と第1挟持板材20と第2挟持板材30’を備えている。封印用バンド部材11’は、封印構造を構成するバンド部材11(図1参照、以下同様)と同様にバンド部11’aとバンド部11’aの基端に設けられたヘッド部11bとからなり、バンド部11’aの一面には、略全長に亘って係合部列11’cが設けられているが、封印用バンド部材11’のバンド部11’aは、バンド部材11よりも全長が長く、また、その自由端側の先端部11dは、第1挟持板材20、第2挟持板材30’に設けられた孔への挿通が容易となるように先細になっている。このようなバンド部11’aのより具体的な構成としては、例えば、いわゆる結束バンドとして公知の部材のバンド本体の種々の構成から適宜選択してバンド部とすることができる。
【0024】
封印用セット40の第1挟持板材20は、封印構造を構成する第1挟持板材と同じであり、平面部21と折り曲げ部23により側面略へ字型の形状が形成され、更に、平面部21の端部に折り曲げ部23に対向する折り曲げ部22を有し、平面部21には封印用バンド部材11’のバンド部11’aが自由端側の先端部11dから挿通可能で、ヘッド部11bが通り抜け不能な挿通孔20aが開設され、折り曲げ部22はその先端面22aが外面で傾斜した傾斜面となるように形成されている。そして、封印用セット40の第2挟持板材30’は、封印構造を構成する第2挟持板材30(図1参照)と同様に封印用バンド部材11’のバンド部11’aが挿通可能なバンド案内孔30aが開設され、バンド案内孔30aと連通し、且つバンド部11’aが自由端側から挿通すると逆抜け不能に係合する係合孔31aが開設されたブロック体31が板材本体32の一面に固設されているが、上述したように、封印用セット40の第2挟持板材30’は、長さ方向(図中矢印L)の両端側からそれぞれ全長の約4分の1の位置に幅方向(図中矢印W)に向かって肉薄線部32a、32aが設けられ、長さ方向の中間部の板材本体32が封印構造の第2挟持板材を構成し、肉薄線部32a、32aに沿って切り離したり、肉薄線部32a、32aを折り曲げたりして、板材本体32から取り離される表記用板材33、33、板材本体32については、上述した通りである。なお、ブロック体31に開設される係合孔31aは、上述したように公知のいわゆる結束バンドのバンド本体の種々の構成から適宜選定されたバンド部11’aの係合部列の構成に合わせて選定することができる。また、板材本体32から表記用板材33、33を取り離し可能とする手段は、特に制限されず、上述したような肉薄線部を設ける手段の他にも、適宜手段を採用することができる。なお、本発明の建物用点検口の封印用セットは、上述した封印構造と同様に、平面部のみのものであったり、図4の折り曲げ部23を備えていないものであったり、図4の折り曲げ部23が傾斜していないものであったり、図4の折り曲げ部22の先端面22aが平面部に対して水平な平面であってもよく、図4の折り曲げ部23と折り曲げ部22が同じ長さであっても、折り曲げ部23の方が折り曲げ部22よりも短くなっていてもよい。
【0025】
本発明の建物用点検口の封印用セットを構成する各部材の材質は特に制限されるものではなく、第1挟持板材、第2挟持板材は、天井点検口、壁点検口などの建物用点検口の封印ができる程度の強度があれば、その材質は特に制限されず、例えば、金属製板材、紙製板材などであっても良いが、取扱い易く、且つある程度の強度を有するとより好適であることなどを考慮すれば、半硬質合成樹脂、硬質合成樹脂材などがより好適であり、例えば、アクリル樹脂製板材、塩化ビニル製板材、ポリエチレンテレフタレート製板材、高密度ポリエチレン製板材、ポリプロピレン製板材、ポリスチレン製板材、ABS樹脂製板材、ポリカーボネート製板材などを挙げることができる。また、板材の厚さは、その材質などを考慮して適宜選定することができる。そしてまた、封印用バンド部材の材質としては、上述したような公知の結束バンドの材質から適宜選定することができ、第2挟持板材に固設されるブロック体の材質としては、上述したような公知の結束バンドの材質又は第2挟持板材と同様の材質などから適宜選定することができ、第2挟持板材にブロック体を固設する手段としては、これらの材質に合わせて適宜選定することができ、上述したような一体成型、適宜接着剤による手段などを挙げることができる。
【0026】
封印用セット40により、図1図3に示す天井点検口の封印構造を作成する手順の一例を以下に説明する。予め封印用バンド部材11’のバンド部11’aを自由端側の先端部11dから挿通孔20aに挿通させた第1挟持板材20を、蓋体が斜め下方に開いて開口している天井点検口のロック手段の近傍の外枠の裏側フランジの上面に平面部21が載置され、外枠の立上り板部に折り曲げ部22が沿って、外枠の裏側フランジに引掛かった状態とし、封印用バンド部材11’のバンド部11’aの自由端側の先端が外枠の表側フランジの下方になるようにし、折り曲げ部22の先端側を外枠の立上り板部にテープ止めするなどの止着手段により止着した後、第1挟持板材11’の平面部21が内枠の裏側フランジの上面に載置され、折り曲げ部23が内枠の立上り板部に対して斜め外方向になるように蓋体を持ち上げて天井点検口を蓋体によって閉塞し、次いで、外枠の表側フランジの下方となっている封印用バンド部材11’のバンド部11’aの先端を第2挟持板材30’の表記用板材33、33を取り離した板材本体32のバンド案内孔30aからブロック体31の係合孔31aへと挿通させ、ブロック体31の表側に突き出たバンド部11’aの自由端の先端を押さえて第2挟持板材30’の板材本体32を引き上げることによって、板材本体32を外枠の表側フランジと内枠の表側フランジとに跨るように当接させ、封印用バンド部材11’によって、第1挟持板材20と第2挟持板材30’の板材本体32とをきつく結びつけることによって、図1図3に示すように、天井点検口1を封印構造10により封印することができる。そして、図2に示すように、例えば、見栄えなどを考慮するなどの必要に応じてブロック体31から突出したバンド部の先端をハサミなどにより切り取ってもより好適である。なお、上述したように、第1挟持板材20に替えて第1挟持板材20の折り曲げ部23がなく、側面略L字型の第1挟持板材を利用することもでき、このような第1挟持板材であっても、蓋体を閉める際に、第1挟持板材を外枠の裏側フランジに引掛けた状態とすることができる。
【0027】
このようにして封印構造10によって封印された天井点検口1は、封印構造10のいずれかの部材を破壊しない限り、蓋体6を開くことができず、開口した後は、開口前の封印構造は、破壊されているので、閉塞されていた点検口が開口されたことを視覚的に直ぐに認識することができる。封印構造10を破壊する方法は、特に制限されず、ブロック体31が第2挟持板材30に固設されている場合は、例えば、第2挟持板材30に固設されたブロック体31をニッパーなどを用いて係合孔内のバンド部材11のバンド部11aの自由端ごと第2挟持板材30から切り取る、又はブロック体31をペンチなどを用いて引っ張り、係合孔内のバンド部材11のバンド部11aの係合状態を解除させて、第2挟持板材30から引きちぎるなどの方法が挙げられる。なお、このようにして第2挟持板材30に固設されていたブロック体を除去する場合、第1挟持板材は、新たな封印構造に再利用することもできる。一方、ブロック体31が第2挟持板材30に固設されていない場合は、例えば、ニッパー、はさみなどを用いて第2挟持板材30とブロック体31との間にあるバンド部材11のバンド部11aを切断してブロック体31を第2挟持板材30から取り外す、又はブロック体31をペンチなどを用いて引っ張り、係合孔内のバンド部材11のバンド部11aの係合状態を解除させて、第2挟持板材30からブロック体31を取り外すなどの方法が挙げられる。なお、このようにして第2挟持板材30に取り付けられていたブロック体を取り外す場合、第2挟持板材を新たな封印構造に再利用することも可能ではあるが、表記用板材は再利用し難くなる。
【0028】
次に、本発明の建物用点検口の開閉作業の管理方法の一実施例として、封印構造10を利用して天井点検口1の開口作業又は閉塞作業が行なわれているか否かを確認し、管理する建物用点検口の開閉作業の管理方法について説明すると、封印構造10により封印されている点検口1の封印構造10を破壊し、開口して天井裏の設備、器材などの保守、点検を行う際に、作業員に開口する点検口の箇所を確認すると共に、保守、点検が終わった後、再び点検口を封印するために、上記封印用セット40の第1挟持板材のみを備えてなく、ブロック体31が第2挟持板材30’の板材本体32の一面に固設されていてもよく、第2挟持板材30’とは別体として備えられていてもよい再封印用セットを各点検口ごとに用意する。そして、各点検口を特定できるように各再封印用セットごとに異なる情報(記号、文字及び/又は番号)を記載した表記用板材33、33の一方を第2挟持板材30’の板材本体32から取り離して、開口作業、閉塞作業を行う天井点検口を特定する情報として管理者が控えてその天井点検口を開口することを確認、管理する。そして、作業員が対象とする天井点検口1の封印構造10を破壊する際に、第1挟持板材20はそのまま外枠4に止着したままで外枠4の裏側フランジ4c上に載置しておくと共に、その破壊した封印構造10の情報(記号、文字及び/又は番号)が記載された第2挟持板材30(板材本体32)を取得する。そして、ロック手段7のロックを解除して天井点検口1を開口させて作業を終了した後、再度、その天井点検口1の開口部3を蓋体6によって閉塞すると共に、外枠4の裏側フランジ4c上に載置しておいた第1挟持板材20と他方の表記用板材33を第2挟持板材30の板材本体32から取り離した再封印用セットを用いて上述したように封印構造10を新たに作製して、天井点検口1を再封印し、ロック手段7により閉塞状態を保持した後、管理者に破壊した封印構造10の情報(記号、文字及び/又は番号)が記載された第2挟持板材30(板材本体32)、再封印用セットの他方の表記用板材33を渡して、特定された天井点検口1を開口し、保守点検作業などを行った後、閉塞、封印したことを確認、管理する。このようにして作業を行う点検口を特定することによって、部外者や振動などにより開口された点検口の有無を確認することができ、また、保守、点検作業などを確認し、管理することもできる。なお、表記用板材が1枚であれば、例えば、再封印用セットを管理者が作業員に渡す際に、それに記載された情報を控えておき、作業員が封印構造を作製する際に、表記用板材を取り離し、管理者に作業終了の報告の際に表記用板材を渡し、所定の建物用点検口の開閉作業が実施されたことを確認するというような方法も例示することができる。
【0029】
次に、図5により本発明の建物用点検口の封印構造の他の実施例として、建物用点検口が外枠、内枠を備えた壁点検口である封印構造を説明する。図5は、壁点検口の封印構造10’の概略横断面図であり、図中1’は、封印構造10’によって封印された壁点検口であり、封印構造10’は、図1に示した上記一実施例の天井点検口1の外枠4、内枠5の立上がり板部4b、5bに代えて、それぞれ壁体2’、蓋体6の高さと同じである立上がり板部4b’、5b’、表側フランジ4a、5aに代えてこれらよりも幅が狭い表側フランジ4’a、5’a、裏側フランジ4cに代えて壁体2’側に向けて屈曲させた裏側フランジ4’c、立上り板部5b’の裏側端を蓋体6側に向けて屈曲させた裏側フランジ5’cを備え、外枠4’の表側フランジ4’aと内枠5’の表側フランジ5’aとの間には、隙間aが形成され、外枠4’の立上り板部4’bと内枠5’の立上り板部5’bとの間は空隙b’があり、外枠4’の裏側フランジ4’cと内枠5’の裏側フランジ5’cとの間には隙間c’が形成されている。そして、このような構成の壁点検口1’を封印する封印構造10’は、図1に示した上記一実施例の第1挟持板材20、第2挟持板材30、バンド部材11に代えて、挿通孔20aが開設された平面部21からなる第1挟持板材20’、バンド案内孔30’aが開設され、係合孔31aが開設されたブロック体31が一面に固設された板材本体32’が表側フランジ4’a、5’aの大きさと同等の大きさに形成された第2挟持板材30”、係合部列11”cを備え、立上り板部4’b、立上り板部5’bの高さに合わせて長さを短くしたバンド部11”aとヘッド部11”bとからなるバンド部材11”により構成されている以外は、上記の一実施例の封印構造10と同様である。なお、この封印構造10’も図示しない表記用板材を備えている。そして、この封印構造10’によっても上記一実施例の封印構造10と同様にして建物用点検口の開閉作業の管理を行うことができる。
【0030】
なお、本発明の建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法、建物用点検口の封印用セットは、上記実施例に限定されるものではなく、上記実施例に係る建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法、建物用点検口の封印用セットは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができ、例えば、建物用点検口の封印構造の上記実施例では、いずれも外枠、内枠を備え、それぞれ表側フランジ、裏側フランジを有する建物用点検口の封印構造を示したが、上述したように、表側フランジ、裏側フランジがない建物用点検口であれば、開口部の縁部近傍と蓋体の縁部近傍とを第1挟持板材、第2挟持板材によって挟持するような構成とすることもでき、また、上記一実施例では、天井点検口に係止爪をロック軸の回動によって外枠に係止させるロック手段が設けられていたが、点検口の構成は特に制限されず、他のロック手段を設けたものであってもよく、更にまた、例えば、建物用点検口が壁点検口であれば、ロック手段が設けられていないものであっても良く、本発明の建物用点検口の封印構造、建物用点検口の開閉作業の管理方法、建物用点検口の封印用セットは、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 天井点検口(建物用点検口)
1’ 壁点検口(建物用点検口)
3 開口部
4、4’ 外枠
4a、4’a 表側フランジ
4b、4’b 立上り板部
4c、4’c 裏側フランジ
5、5’ 内枠
5a、5’a 表側フランジ
5b、5’b 立上り板部
5c、5’c 裏側フランジ
6 蓋体
7 ロック手段
10、10’ 封印構造
11、11” バンド部材
11’ 封印用バンド部材
11a、11’a、11”a バンド部
11b、11”b ヘッド部
11c、11’c、11”c 係合部列
20、20’ 第1挟持板材
20a 挿通孔
21 平面部
22、23 折り曲げ部
22a 先端面
30、30’、30” 第2挟持
30a、30’a バンド案内孔
31 ブロック体
31a 係合孔
32、32’ 板材本体
33 表記用板材
40 封印用セット
図1
図2
図3
図4
図5
図6