特許第6369746号(P6369746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369746
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】車両のミラーステイ
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   B60R1/06 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-81491(P2014-81491)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-202705(P2015-202705A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 陽子
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−233129(JP,A)
【文献】 特開2006−341299(JP,A)
【文献】 特開平07−303905(JP,A)
【文献】 特開平10−071892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前端の車幅方向端部に支持される基端部を有する下端側の第1ロッド部と、
上下方向に延びてミラーを支持するミラー支持部を有し、連続部を介して前記第1ロッド部の先端部から連続する第2ロッド部と、を備え、
前記第1ロッド部と前記第2ロッド部と前記連続部とは、パイプ状部材によって一体的に形成され、
前記連続部は、前記第2ロッド部から前記第1ロッド部に向かって拡径し、
前記第1ロッド部の外径は、前記第2ロッド部の外径よりも大きく、且つ前記第1ロッド部の周壁は、前記第2ロッド部の周壁よりも薄く、
前記第1ロッド部の外径の大きさ及び周壁の厚さは、前記第1ロッド部の長手方向に沿って略一様であり、
前記第1ロッド部は、前記基端部と前記連続部との間で曲折する基端側曲折部を有し、
前記第2ロッド部は、前記ミラー支持部の下端と前記連続部との間で曲折するミラー側曲折部を有する
ことを特徴とする車両のミラーステイ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のミラーステイであって、
前記ミラー支持部に固定される一端部と、前記ミラーが連結される他端部と、該一端部と該他端部との間に介在する拡径部とを有し、該一端部と該他端部と該拡径部とがパイプ状部材によって一体的に形成される分岐ロッド部を備え、
前記ミラー支持部は、前記分岐ロッド部を介して前記ミラーを支持し、
前記分岐ロッド部の拡径部は、前記分岐ロッド部の他端部側から前記分岐ロッド部の一端部側に向かって拡径し、
前記分岐ロッド部の一端部側の外径は、前記分岐ロッド部の他端部側の外径よりも大きく、前記分岐ロッド部の一端部側の周壁は、前記分岐ロッド部の他端部側の周壁よりも薄く、且つ前記分岐ロッド部の一端部の外径は、前記第2ロッド部の外径以下である
ことを特徴とする車両のミラーステイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーを支持する車両のミラーステイに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−71892号公報には、車両用ミラーステイ及びその製造方法が記載されている。この車両用ミラーステイは、アウトサイドミラーやアンダミラーを支持する垂直ロッド部と、その上下端にほぼ水平方向に向かって屈曲して連結される水平ロッド部とを一体的に形成した中空パイプからなる。水平ロッド部は、垂直ロッド部との連結部位から、キャブ側に連結される水平ロッド部の端部に向かって次第に拡径するテーパ状の中空パイプからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−71892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の車両用ミラーステイでは、車両走行中のミラーの振動を抑制するために、上下の水平ロッド部を垂直ロッド部よりも拡径し、水平ロッド部の剛性を増大させている。しかし、上下の水平ロッド部は、垂直ロッド部との連結部位からキャブ側(車体側)に連結される水平ロッド部の端部に向かってテーパ状に拡径しているので、水平ロッド部の外径の大きさは、水平ロッド部の端部において最大となる。このため、ミラーステイを取付けるための車体側の取付部が大型化し、車体重量の増大を招くおそれがある。また、大型化した取付部を配置するために車体側に比較的大きなスペースが必要となり、取付部周辺の他の部品の配置を制約するおそれがある。また、水平ロッド部が端部に向かってテーパ状に拡径し、水平ロッド部の端部の外径の大きさが水平ロッド部の長さによって相違するので、水平ロッド部の端部外径の寸法管理が煩雑化する可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、車両走行中のミラーの振動を抑制することができ、寸法管理が容易で、且つ車体側の取付部のコンパクト化が可能なミラーステイの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様に係る車両のミラーステイは、第1ロッド部と第2ロッド部とを備える。第1ロッド部は、車両の前端の車幅方向端部に支持される基端部を有し、ミラーステイの下端側に配置される。第2ロッド部は、上下方向に延びてミラーを支持するミラー支持部を有し、連続部を介して第1ロッド部の先端部から連続する。第1ロッド部と第2ロッド部と連続部とは、パイプ状部材によって一体的に形成される。連続部は、第2ロッド部から第1ロッド部に向かって拡径し、第1ロッド部の外径は、第2ロッド部の外径よりも大きく、且つ第1ロッド部の周壁は、第2ロッド部の周壁よりも薄い。第1ロッド部の外径の大きさ及び周壁の厚さは、第1ロッド部の長手方向に沿って略一様である。第1ロッド部は、基端部と連続部との間で曲折する基端側曲折部を有し、第2ロッド部は、ミラー支持部の下端と連続部との間で曲折するミラー側曲折部を有する。
【0007】
上記構成では、第1ロッド部の基端部が車両の前端の車幅方向端部に支持され、第1ロッド部の先端部から連続部を介して第2ロッド部が連続し、第2ロッド部のミラー支持部が上下方向に延びている。すなわち、車両のミラーを支持するミラー支持部は、第1ロッド部を介して車両の前端の車幅方向端部に支持されている。この第1ロッド部の外径は、連続部によって拡径し、第2ロッド部の外径よりも大きいので、第1ロッド部は第2ロッド部よりも高い剛性を有する。このため、例えば第1ロッド部の外径を第2ロッド部の外径と同一に形成した場合と比べて、ミラー支持部がより高い剛性によって車両の前端の車幅方向端部に支持される。また、第1ロッド部の外径は第2ロッド部の外径より大きいが、第1ロッド部の周壁が第2ロッド部の周壁よりも薄いので、ミラーステイ全体の重量の増大は抑制される。このため、重量増大に起因するミラーステイの振動周波数の低下が抑制され、ミラーステイの振動周波数と車両の振動周波数とが近接することによって生じるミラーの振動への影響が軽減される。この結果、車両の走行中に発生するミラーの振動が良好に抑制される。
【0008】
また、第1ロッド部の外径の大きさ及び周壁の厚さは、第1ロッド部の長手方向に沿って略一様に形成されているので、例えば基端部に向かってテーパ状に拡径する場合と比べて、基端部の外径を小さく形成することができ、ミラーステイを取付ける車体側の取付部のコンパクト化を図ることができる。このため、車体重量の増大が抑制され、取付部周辺の車体側の部品配置への制約が緩和される。
【0009】
また、第1ロッド部の外径の大きさは第1ロッド部の長手方向に沿って略一様に形成され、基端部の外径寸法は第1ロッド部の長さに応じて相違しないので、ミラーステイや車体側の取付部の寸法管理が容易である。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様のミラーステイであって、ミラー支持部には分岐ロッド部が固定されている。分岐ロッド部は、ミラー支持部に固定される一端部と、ミラーが連結される他端部と、一端部と他端部との間に介在する拡径部とを有し、一端部と他端部と拡径部とがパイプ状部材によって一体的に形成される。また、ミラー支持部は、分岐ロッド部を介してミラーを支持する。また、分岐ロッド部の拡径部は、分岐ロッド部の他端部側から分岐ロッド部の一端部側に向かって拡径する。また、分岐ロッド部の一端部側の外径は、分岐ロッド部の他端部側の外径よりも大きく、分岐ロッド部の一端部側の周壁は、分岐ロッド部の他端部側の周壁よりも薄く、且つ分岐ロッド部の一端部の外径は、第2ロッド部の外径以下である

【0011】
上記構成では、分岐ロッドの一端部がミラー支持部に固定され、他端部にはミラーが連結される。すなわち、ミラーは分岐ロッド部を介してミラー支持部に支持される。また、分岐ロッド部は、拡径部によって他端部側から一端部側に向かって拡径し、一端部側の外径が他端部側の外径よりも大きいので、一端部側は他端部側よりも高い剛性を有する。このため、例えば一端部側の外径を他端部側と同一に形成した場合と比べて、ミラー支持部によるミラーの支持剛性が増大する。また、一端部側の外径は他端部側の外径よりも大きいが、一端部側の周壁が他端部側の周壁よりも薄いので、分岐ロッド部全体の重量の増大は抑制される。このため、重量増大に起因するミラーステイの振動振動数の低下が抑制され、ミラーステイの振動周波数と車両の振動周波数とが近接することによって生じるミラーの振動への影響が軽減される。この結果、車両の走行中に発生するミラーの振動がより良好に抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両のミラーステイによれば、車両走行中のミラーの振動を抑制することができ、ミラーステイの寸法管理が容易となり、且つ車体側の取付部のコンパクト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両の運転席側ミラーステイの外観図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3図1のIII−III矢視断面図である。
図4】車両の助手席側ミラーステイの外観図である。
図5】ミラーステイを備える車両の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方を、図中INは車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0015】
図5に示すように、本実施形態に係わる車両1は、キャブ2が概ねエンジン(図示省略)よりも前方に位置するキャブオーバー型の車両であり、運転席側ミラーステイ3を備えている。
【0016】
運転席側ミラーステイ3は、図1に示すように第1ロッド部4と、連続部6と、第2ロッド部7と、分岐ロッド部8とを有しており、第1ロッド部4と連続部6と第2ロッド部7とはパイプ状部材を用いて一体的に形成される。また、キャブ2のドアウインドウパネル31上方のドアパネル30には運転席側ミラーステイ3の第1ロッド部4を支持する上部ブラケット9が固定されている。上部ブラケット9の前端部9aには上下方向を軸とする支持ボルト(図示省略)が設けられている。また、ドアウインドウパネル31下方のドアパネル前端部には、運転席側ミラーステイ3の第2ロッド部7を支持する下部ブラケット10が固定されている。下部ブラケット10には、上下方向に中心軸を有する支持孔10aが設けられている。
【0017】
第1ロッド部4は、基端部4aを有している。基端部4aの先端上部からは、基端部4aと一体的に形成される略板状の支持部5が基端部4aの軸方向へ延びており、支持部5の先端部には上下方向に貫通するボルト孔5aが設けられている。このボルト孔5aに上部ブラケット9の支持ボルトを挿通することによって、第1ロッド部4は、上部ブラケット9の支持ボルトを中心として略水平方向に回転移動可能に上部ブラケット9によって支持される。第1ロッド部4は、基端部4aから前方向に向かって略水平方向に延びた後、屈曲して下方に延び、先端部4bで連続部6と連続する。
【0018】
第2ロッド部7は、連続部6を介して第1ロッド部4から連続して下方へ上下方向に延びてミラー支持部7bを構成し、屈曲して第1ロッド部4を含む平面に沿って斜め後下方へ延びた後、さらに下方へ屈曲して上下方向に延びる。第2ロッド部7の下方の先端部7aを下部ブラケット10の上方からの下部ブラケット10の支持孔10aに挿入することによって、第2ロッド部7は、先端部7aを中心として略水平方向に回転移動可動に下部ブラケット10によって支持される。このように、運転席側ミラーステイ3は、上部ブラケット9と下部ブラケット10とによってキャブ2の運転席側の車幅方向前端部に略水平方向に回転移動可能に支持される。
【0019】
分岐ロッド部8は、第2ロッド部7のミラー支持部7bに固定される一端部8a及びアウトサイドミラー11が連結される他端部8bと、一端部8aと他端部8bとの間に介在する拡径部8cとを有し、パイプ状部材を用いて一体的に形成される。アウトサイドミラー11は、運転者が運転者側の側方の後方視界を得るためのものである。
【0020】
また、運転席側ミラーステイ3の連続部6は、第2ロッド部7から第1ロッド部4の先端部4bに向かって拡径しており、図2に示すように第1ロッド部4の外径の大きさd1は、第2ロッド部7の外径の大きさd2よりも大きい。だだし、第1ロッド部4の周壁の厚さt1は、第2ロッド部7の周壁の厚さt2よりも薄く形成されている。
【0021】
また、第1ロッド部4の外径の大きさd1及び周壁の厚さt1は、第1ロッド部4の長手方向に沿って略一様に形成されており、第2ロッド部7の外径の大きさd2及び周壁の厚さt2も、第2ロッド部7の長手方向に沿って略一様に形成されている(図1参照)。
【0022】
また、分岐ロッド部8の拡径部8cは、分岐ロッド部8の他端部8b側から分岐ロッド部8の一端部8a側に向かって拡径しており、図3に示すように一端部8a側の外径の大きさd3は、他端部8b側の外径の大きさd4よりも大きい。ただし、分岐ロッド部8の一端部8a側の周壁の厚さt3は、分岐ロッド部8の他端部8b側の周壁の厚さt4よりも薄く形成されている。
【0023】
本実施形態では、運転席側ミラーステイ3は、第1ロッド部4及び第2ロッド部7が、上部ブラケット9及び下部ブラケット10によってそれぞれ支持され、アウトサイドミラー11が分岐ロッド部8を介して第2ロッド部7のミラー支持部7bによって支持されている。この第1ロッド部4の外径の大きさd1は、連続部6によって拡径し、第2ロッド部7の外径の大きさd2よりも大きいので、第1ロッド部4は第2ロッド部7よりも高い剛性を有する。このため、例えば第1ロッド部4の外径の大きさd1を第2ロッド部7の外径の大きさd2と同一に形成した場合と比べて、ミラー支持部7bがより高い剛性によって上部ブラケット9に支持される。
【0024】
また、第1ロッド部4の外径の大きさd1は第2ロッド部7の外径の大きさd2よりも大きいが、第1ロッド部4の周壁の厚さt1が第2ロッド部7の周壁の厚さt2よりも薄いので、運転席側ミラーステイ3全体の重量の増大は抑制される。このため、重量増大に起因する運転席側ミラーステイ3の振動周波数の低下が抑制され、運転席側ミラーステイ3の振動周波数と走行中の車両1の振動周波数とが近接することによって生じるアウトサイドミラー11の振動への影響が軽減される。この結果、車両1が走行中に発生するアウトサイドミラー11の振動が良好に抑制される。
【0025】
また、分岐ロッド部8は、拡径部8cによって他端部8b側から一端部8a側に向かって拡径し、一端部8a側の外径の大きさd3が他端部8b側の外径の大きさd4よりも大きいので、一端部8a側は他端部8b側よりも高い剛性を有する。このため、例えば一端部8a側の外径の大きさd3を他端部8b側の外径の大きさd4と同一に形成した場合と比べて、ミラー支持部7bによるアウトサイドミラー11の支持剛性が増大する。また、一端部8a側の外径の大きさd3は他端部8b側の外径の大きさd4よりも大きいが、一端部8a側の周壁の厚さt3が他端部8b側の周壁の厚さt4よりも薄いので、分岐ロッド部8全体の重量の増大は抑制される。このため、重量増大に起因する運転席側ミラーステイ3の振動周波数の低下が抑制され、運転席側ミラーステイ3の振動周波数と走行中の車両1の振動周波数とが近接することによって生じるアウトサイドミラー11の振動への影響が軽減される。この結果、車両1の走行中に発生するアウトサイドミラー11の振動が、より良好に抑制される。
【0026】
また、第1ロッド部4の外径の大きさd1及び周壁の厚さt1は、第1ロッド部4の長手方向に沿って略一様に形成されているので、例えば第1ロッド部4の基端部4aに向かってテーパ状に拡径する場合と比べて、基端部4aの外径を小さく形成することができ、運転席側ミラーステイ3を支持する上部ブラケット9のコンパクト化を図ることができる。このため、車体重量の増大が抑制され、上部ブラケット9周辺のキャブ2側の部品配置への制約が緩和される。
【0027】
また、第1ロッド部4の外径の大きさd1は第1ロッド部4の長手方向に沿って略一様に形成され、基端部4aの外径寸法は第1ロッド部4の長さに応じて相違しないので、運転席側ミラーステイ3や上部ブラケット9の寸法管理が容易である。
【0028】
なお、本実施形態では、運転席側ミラーステイ3は、第1ロッド部4の基端部4a及び第2ロッド部7の先端部7aの2箇所が、上部ブラケット9及び下部ブラケット10によってそれぞれ支持されているが、第1ロッド部4の基端部4aの1箇所のみで支持されてもよい。この場合は、第2ロッド部7の先端部7aを支持するためのキャブ2側のブラケットが不要となり、運転席側ミラーステイ3の支持構造がより簡単になる。また、この場合第2ロッド部に支持されるアウトサイドミラーは、分岐ロッド部を介さず、第2ロッド部の先端部で支持されてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、第2ロッド部7の外径の大きさは第2ロッド部の長手方向に沿って略一様に形成されていたが、第2ロッド部7のミラー支持部7bよりも下方の第2ロッド部の外径をミラー支持部7bの外径よりも拡径させてもよい。この場合は、第2ロッド部の剛性が増大し、ミラー支持部7bに対する支持剛性がより増大する。
【0030】
また、分岐ロッド部8は、拡径部8cを有さず、分岐ロッド部の外径の大きさ、及び周壁の厚さが分岐ロッド部の長手方向に沿って略一様であってもよい。この場合は、分岐ロッド部の構造がより簡単になる。
【0031】
また、ミラー支持部7aに固定される分岐ロッド及び分岐ロッドに連結されるミラーは、本実施形態のそれぞれ1個に限定されず、例えばミラー支持部に複数個の分岐ロッドを備えて複数個のミラーを支持してもよい。
【0032】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5に示すように、本実施形態に係わる車両1は、助手席側ミラーステイ12を備えている。
【0033】
助手席側ミラーステイ12は、図4に示すように第1ロッド部13と、連続部15と、第2ロッド部16と、分岐ロッド部18〜20とを有しており、第1ロッド部13と連続部15と第2ロッド部16とはパイプ状部材を用いて一体的に形成される。また、キャブ2のフロントウインドウパネル33下方のフロントパネル32の助手席側の車幅方向端部には、助手席側ミラーステイ12の第1ロッド部13を支持する下部ブラケット22が固定されている。下部ブラケット22には、上下方向を軸とする支持ボルト(図示省略)が設けられている。また、キャブ2の助手席側のルーフ前端部2aには助手席側ミラーステイ12の第2ロッド部16を支持する上部ブラケット21が固定されている。上部ブラケット21のキャブ2から離間する先端部21aには、上下方向へ貫通するボルト孔(図示省略)が設けられている。
【0034】
第1ロッド部13は、基端部13aを有している。基端部13aには第1ロッド部13を下部ブラケット22に支持する支持部材14が固定される。支持部材14は、図4に示すように、第1ロッド部13の基端部13aの端部に固定される固定部14aと、固定部14aの下部から屈曲し第1ロッド部13に沿って基端部13aから離間する方向へ延びる支持部14bとを有する略L字板状であり、支持部14bには上下方向へ貫通するボルト孔14cが設けられている。このボルト孔14cに下部ブラケット22の支持ボルトを挿通することによって、第1ロッド部13は、下部ブラケット22の支持ボルトを中心として略水平方向に回転移動可能に下部ブラケット22によって支持される。第1ロッド部13は、基端部13aから曲折して斜め上方に向かって延び先端部13bが連続部15と連続する。
【0035】
第2ロッド部16は、連続部15を介して第1ロッド部13から連続して斜め上方へ延びた後、曲折して上方へ上下方向に延びてミラー支持部16bを構成し、曲折して第1ロッド部13を含む平面に沿って略水平方向へ延びる。第2ロッド部16の先端部16aには、図4に示すように支持部材17が固定される。支持部材17は上下方向を軸とし下方に延びる支持ボルト17aを有している。この支持ボルト17aが上部ブラケット21の上方から上部ブラケット21の先端部21aのボルト孔21aに挿入されることによって、第2ロッド部16は、支持ボルト17aを中心として略水平方向に回転移動可能に上部ブラケット21によって支持される。このように、助手席側ミラーステイ12は、下部ブラケット22と上部ブラケット21とによってキャブ2の助手席側の車幅方向前端部に略水平方向に回転移動可動に支持される。
【0036】
分岐ロッド部18〜20は、ミラー支持部16bに固定される一端部18a〜20aと後述のミラーが連結される他端部18b〜20bと、一端部18a〜20aと他端部18b〜20bとの間に介在する拡径部18c〜20cとをそれぞれ有し、パイプ状部材を用いてそれぞれ一体的に形成される。分岐ロッド部18にはアウトサイドミラー23が、分岐ロッド部19にはアンダミラー24が、分岐ロッド部20にはサイドアンダミラー25がそれぞれ連結される。アウトサイドミラー23は、運転者が車両1の左側後方視界を得るものであり、アンダミラー24は、車両1の前部下方の視界を得るためのものである。またサイドアンダミラー25は、車両1の左側下方の視界を得るためのものである。
【0037】
また、助手席側ミラーステイ12の連続部15は、第1の実施形態の運転席側ミラーステイ3の連続部6と同様に、第2ロッド部16から第1ロッド部13の基端部13aに向かって拡径しており、第1ロッド部13の外径の大きさは、第2ロッド部16の外径の大きさよりも大きく、第1ロッド部13の周壁の厚さは、第2ロッド部16の周壁の厚さよりも薄く形成されている(図2参照)。
【0038】
また、第1ロッド部13の外径の大きさ及び周壁の厚さは、第1ロッド部13の長手方向に沿って略一様に形成されており、第2ロッド部16の外径の大きさ及び周壁の厚さも、第2ロッド部16の長手方向に沿って略一様に形成されている(図4参照)。
【0039】
また、分岐ロッド部18の拡径部18cは、第1の実施形態の運転席側ミラーステイ3の分岐ロッド部8と同様に、分岐ロッド部18の他端部18b側から分岐ロッド部18の一端部18a側に向かって拡径しており、一端部18a側の外径の大きさは、他端部18b側の外径の大きさよりも大きく、分岐ロッド部18の一端部18a側の周壁の厚さは、分岐ロッド部18の他端部18b側の周壁の厚さよりも薄く形成されている。また、分岐ロッド部19の拡径部19c及び分岐ロッド部20の拡径部20cについても分岐ロッド部18の拡径部18cと同様に、他端部19b及び20b側から一端部19a及び20a側に向かって拡径しており、一端部19b及び20b側の外径の大きさは、他端部19b及び20b側の外径の大きさよりもそれぞれ大きく、一端部19a及び20a側の周壁の厚さは、他端部19b及び20b側の周壁の厚さよりもそれぞれ薄く形成されている(図3参照)。
【0040】
本実施形態では、助手席側ミラーステイ12は、第1ロッド部13及び第2ロッド部16が、下部ブラケット22及び上部ブラケット21によってそれぞれ支持され、アウトサイドミラー23、アンダーミラー24、及びサイドアンダーミラー25が分岐ロッド部18〜20を介して第2ロッド部16のミラー支持部16bにそれぞれ支持されている。この第1ロッド部13の外径の大きさは、連続部15によって拡径し、第2ロッド部16の外径の大きさよりも大きいので、第1ロッド部13は第2ロッド部16よりも高い剛性を有する。このため、例えば第1ロッド部13の外径の大きさを第2ロッド部16の外径の大きさと同一に形成した場合と比べて、ミラー支持部16bがより高い剛性によって下部ブラケット22に支持される。
【0041】
また、第1ロッド部13の外径の大きさは第2ロッド部16の外径の大きさよりも大きいが、第1ロッド部13の周壁の厚さが第2ロッド部16の周壁の厚さよりも薄いので、助手席側ミラーステイ12全体の重量の増大は抑制される。このため、重量増大に起因する助手席側ミラーステイ12の振動周波数の低下が抑制され、助手席側ミラーステイ12の振動周波数と走行中の車両1の振動周波数とが近接することによって生じるアウトサイドミラー23等の振動への影響が軽減される。この結果、車両1の走行中に発生するアウトサイドミラー23等の振動が良好に抑制される。
【0042】
また、分岐ロッド部18〜20は、拡径部18c〜20cによって他端部18b〜20b側から一端部18a〜20a側に向かってそれぞれ拡径し、一端部18a〜20a側の外径の大きさが他端部18b〜20b側の外径の大きさよりもそれぞれ大きいので、一端部18a〜20a側は他端部18b〜20b側よりもそれぞれ高い剛性を有する。このため、例えば一端部18a〜20a側の外径の大きさと他端部18b〜20b側の外径の大きさとをそれぞれ同一に形成した場合に比べて、ミラー支持部16bによるアウトサイドミラー23等の支持剛性が増大する。また、一端部18a〜20a側の外径の大きさは他端部18b〜20b側の外径の大きさよりもそれぞれ大きいが、一端部18a〜20a側の周壁の厚さが他端部18b〜20b側の周壁の厚さよりもそれぞれ薄いので、分岐ロッド部18〜20全体の重量の増大はそれぞれ抑制される。このため、重量増大に起因する助手席側ミラーステイ12の振動周波数の低下が抑制され、助手席側ミラーステイ12の振動周波数と走行中の車両1の振動周波数とが近接することによって生じるアウトサイドミラー23等の振動への影響が軽減される。この結果、車両1の走行中に発生するアウトサイドミラー23等の振動が、より良好に抑制される。
【0043】
また、第1ロッド部13の外径の大きさ及び周壁の厚さは、第1ロッド部13の長手方向に沿って略一様に形成されているので、例えば第1ロッド部13の基端部13aに向かってテーパ状に拡径する場合と比べて、基端部13aの外径の大きさを小さく形成することができ、助手席側ミラーステイ12を支持する下部ブラケット22のコンパクト化を図ることができる。このため、車体重量の増大が抑制され、下部ブラケット22周辺のキャブ2側の部品配置への制約が緩和される。
【0044】
また、第1ロッド部13の外径の大きさは第1ロッド部13の長手方向に沿って略一様に形成され、基端部13aの外径寸法は第1ロッド部13の長さに応じて相違しないので、助手席側ミラーステイ12や下部ブラケット22の寸法管理が容易である。
【0045】
なお、本実施形態では、助手席側ミラーステイ12は、第1ロッド部13の基端部13a及び第2ロッド部16の先端部16aの2箇所が、下部ブラケット22及び上部ブラケット21によってそれぞれ支持されているが、第1ロッド部13の基端部13aの1箇所のみで支持されてもよい。この場合は、第2ロッド部16の先端部16aを支持するためのキャブ2側のブラケットが不要となり、助手席側ミラーステイ12の支持構造がより簡単になる。また、この場合第2ロッド部に支持されるミラーのうち、例えばアウトサイドミラー23は分岐ロッド部を介さず、第2ロッド部の先端部で支持されてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、第2ロッド部16の外径は第2ロッド部16の長手方向に沿って略一様に形成されていたが、第2ロッド部16のミラー支持部16aよりも上方の第2ロッド部の外径をミラー支持部16bよりも拡径させてもよい。この場合は、第2ロッド部の剛性が増大し、ミラー支持部16bに対する支持剛性がより増大する。
【0047】
また、分岐ロッド部18〜20は、拡径部18c〜20cを有さず、分岐ロッド部の外径の大きさ、及び周壁の厚さが分岐ロッド部の長手方向に沿って略一様であってもよい。この場合は、分岐ロッド部の構造がより簡単になる。
【0048】
また、第2ロッド部16のミラー支持部16bに固定される分岐ロッド部の数、及び分岐ロッド部に支持されるミラーの数は、それぞれ本実施形態の3個に限定されない。
【0049】
また、本実施形態では、助手席側ミラーステイ12は、キャブ2の助手席側のルーフ前端部2aに固定された上部ブラケット21と、キャブ2のフロントウインドウパネルパネル33下方のフロントパネル32の助手席側の車幅方向端部に固定された下部ブラケット22とによって支持されているが、例えば上部ブラケットをキャブ2の助手席側のドアウインドウパネル上方のドアパネルに固定し、下部ブラケットを助手席側のドアウインドウパネル下方のドアパネルの前端部に固定して助手席側ミラーステイ12を支持してもよい。
【0050】
また、第1の実施形態の運転席側ミラーステイ3、及び第2の実施形態の助手席側ミラーステイ12は、キャブ2に対して略水平方向へ回転移動可能に支持されているが、キャブ2に対して移動不可能に固定して支持されてもよい。
【0051】
また、車両1は、第1の実施形態の運転席側ミラーステイ3と、第2の実施形態の助手席側ミラーステイ12とを同時に備えてもよい。
【0052】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車両のミラーステイとして広く適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
3 運転席側ミラーステイ(ミラーステイ)
4 第1ロッド部
4a 第1ロッド部の基端部
4b 第1ロッド部の先端部
6 連続部
7 第2ロッド部
7a 第2ロッド部の先端部
7b 第2ロッド部のミラー支持部
8 分岐ロッド部
8a 分岐ロッド部の一端部
8b 分岐ロッド部の他端部
8c 分岐ロッド部の拡径部
11 アウトサイドミラー(ミラー)
12 助手席側ミラーステイ(ミラーステイ)
13 第1ロッド部
13a 第1ロッド部の基端部
13b 第1ロッド部の先端部
15 連続部
16 第2ロッド部
16b 第2ロッド部のミラー支持部
18〜20 分岐ロッド部
18a〜20a 分岐ロッド部の一端部
18b〜20b 分岐ロッド部の他端部
18c〜20c 分岐ロッド部の拡径部
23 アウトサイドミラー(ミラー)
24 アンダーミラー(ミラー)
25 サイドアンダーミラー(ミラー)
図1
図2
図3
図4
図5