(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金融機関のシステムは、前記取引情報の処理結果を、前記ユーザの別の端末に前記SNSとは別の通信経路で通知することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の金融取引システム。
前記絵記号は、前記ユーザの端末に保管されたイラスト、シンボル又は写真の画像を含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の金融取引システム。
前記絵記号のメッセージから前記金融機関の取引情報への変換を前記ユーザに確認させるための絵記号メッセージ確認画面を前記ユーザの端末へ送信することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の金融取引システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、上記のようなSNSの可能性と利便性に鑑み、SNSを利用した手軽で、かつ安全性の高い新たな金融取引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
(1)SNSを利用した金融取引システムであって、前記SNSのシステムは、ユーザが口座を保有し、当該SNSの参加者である金融機関のシステムと接続可能に連携され、前記金融機関のシステムは、前記SNSのシステムに登録された絵記号を取得する手段と、前記取得した絵記号と前記金融機関における取引情報とを対応付けて登録させる絵記号登録テーブルと、前記SNSのシステムから絵記号のメッセージを取得し、前記絵記号登録テーブルに基づいて、前記取引情報に変換する絵記号変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
(2)上記(1)の構成において、前記絵記号登録テーブルは、前記ユーザに認証用の秘密の絵記号を登録させることを特徴とする。
【0007】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記絵記号登録テーブルは、前記ユーザにユーザ独自の絵記号の使い方ルールを登録させることを特徴とする。
【0008】
(4)上記(1)から(3)までのいずれかの構成において、前記金融機関のシステムは、前記取引情報の処理結果を、前記ユーザの別の端末に前記SNSとは別の通信経路で通知することを特徴とする。
【0009】
(5)上記(1)から(4)までのいずれかの構成において、前記絵記号は、前記ユーザの端末に保管されたイラスト、シンボル又は写真の画像を含むことを特徴とする。
【0010】
(6)上記(1)から(5)までのいずれかの構成において、前記絵記号のメッセージから前記金融機関の取引情報への変換を前記ユーザに確認させるための絵記号メッセージ確認画面を前記ユーザの端末へ送信することを特徴とする。
【0011】
(7)SNSを利用した金融取引システムであって、前記SNSのシステムは、ユーザが口座を保有し、当該SNSの参加者である金融機関のシステムと接続可能にする金融機関連携手段を備え、前記ユーザが前記SNSに用意された絵記号と前記金融機関における取引情報とを対応付けて登録させる絵記号登録手段と、前記SNS上で前記金融機関での取引のための絵記号のメッセージを取得する絵記号メッセージ取得手段と、前記取得した絵記号のメッセージを前記金融機関における取引情報に変換して、前記金融機関のシステムに送信する絵記号変換手段と、前記絵記号のメッセージから前記金融機関の取引情報への変換を前記ユーザに確認させるための絵記号メッセージ確認画面を前記ユーザの端末へ送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(8)SNSを利用した金融取引方法であって、前記SNSのシステムは、ユーザが口座を保有し、当該SNSの参加者である金融機関のシステムと接続可能に連携され、前記金融機関のシステムが、前記SNSのシステムに登録された絵記号を取得するステップと、前記取得した絵記号と前記金融機関における取引情報とを絵記号登録テーブルに対応付けて登録させるステップと、前記SNSのシステムから絵記号のメッセージを取得し、前記絵記号登録テーブルに基づいて、前記取引情報に変換するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
(9)SNSを利用した金融取引におけるプログラムであって、前記SNSのシステムは、ユーザが口座を保有し、当該SNSの参加者である金融機関のシステムと接続可能に連携され、前記金融機関のシステムが、前記SNSのシステムに登録された絵記号を取得するステップと、前記取得した絵記号と前記金融機関における取引情報とを絵記号登録テーブルに対応付けて登録させるステップと、前記SNSのシステムから絵記号のメッセージを取得し、前記絵記号登録テーブルに基づいて、前記取引情報に変換するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、SNSを利用した手軽で、かつ安全性の高い新たな金融取引システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、後述の機能構成図(機能ブロック図)において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。また、後述の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0017】
(サービスイメージ)
図1は、本発明の実施形態に係る金融取引システム(通称「絵記号バンキングシステム」と呼ぶ)が提供するサービスのイメージを示す図である。絵記号バンキングシステム(以下、本システムと呼ぶことがある)とは、SNSのスタンプ等の絵記号に金融取引の情報を紐付け、絵記号で振込等の資金の移動を伴う金融取引をするサービスを提供するシステムのことである。ここでいう絵記号とは、絵を使って分かりやすく示した記号であり、イラスト、ピクトグラム、マーク、シンボル等の図形に識別子(ID)を持たせたものである。また、絵記号には、写真や動画等の画像にIDを持たせたものも含むものとする。
【0018】
本システムでは、ユーザである口座名義人があらかじめ金融取引の取引情報(又は取引情報を含んだ金融機関のシステム上の実行命令)と対応付けた絵記号の登録を行っておき、ユーザのIDでログインしたSNS上で、「友達」として登録され、ユーザが口座名義人となっている金融機関に対して、自らが登録した絵記号の組合せを送ることによって金融取引を実行させるものである。ユーザは、SNS上で他のユーザとメッセージやトークをやり取りする感覚で、「友達」として登録された金融機関を選択し、文字入力なしに絵記号を並べるだけで金融取引を行うことができる。
【0019】
図1の例では、ステップ1でユーザがSNS上で金融機関にメッセージを送ることを選択すると、金融機関のシステムから取引を促すメッセージ2が表示される。使用できる絵記号が表示された絵記号一覧領域3から、ユーザが所望の絵記号を選択することで金融取引の取引情報を生成させる。この例では、「母」に対応した絵記号4と、「振込」に対応した絵記号5と、「3万円」の金額に対応した絵記号6とを並べて、「母の口座に3万円を振込む」という取引情報を生成する。絵記号の並べ方の順序は問わないが、絵記号を並べた後、送信ボタン8を押すことで、金融機関のシステムに接続され、その金融機関でのユーザの認証後、絵記号に対応した取引情報が送信される。ただし、金融機関のシステムへの認証情報(ID、パスワード等)は、端末内にあらかじめ登録されているものとし、その登録情報の閲覧・変更は専用のパスワードを必要とする。なお、送信ボタン8を省略し、絵記号が入力されるたびに自動的に送信されるようにしてもよいが、その場合は送信した絵記号を取り消す等の手段が必要となる。
【0020】
金融取引に対する取引情報の送信時には、絵記号4に対応した、振込先のあらかじめ登録された口座情報(金融機関名、支店名、口座種別、口座番号)が含まれる。ここで、絵記号と金融取引の取引情報との対応付け(関連付け)は、ユーザが個々に自由に設定できるので、仮に他人が同じ絵記号を使っても金融取引を実行させることはできない。また、ユーザ本人であることを示す特別の絵記号(認証用の絵記号)が含まれていないと認証ができず、有効な取引情報を生成しないようにしてもよい。図の例では、「聖徳太子」の絵記号7を認証用の絵記号として用いている。セキュリティ上、認証用の絵記号7は画面には表示されないようにしてもよい。こうすることで、他人によるユーザの端末の不正利用を防止することができる。また、金融取引の処理結果のメッセージ(符号9で示す)を、SNSだけでなく、SNS以外の別の通信経路、例えば、ユーザが保有する別の端末にも通知するようにしてもよい。その場合、仮に他人がユーザの端末を不正利用したとしても、そのことをユーザがいち早く知ることができる。また、絵記号のメッセージをテキストに変換して表示し、ユーザが確認する手段も用意される。このようにすることで、SNS上で手軽でかつ安全性を確保した金融取引を行うことができる。
【0021】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る金融取引システム(絵記号バンキングシステム)の機能構成を示す図(機能ブロック図)である。本システムの第1の実施形態では、ユーザ端末10と、ユーザが登録しているSNSシステム20と、ユーザが口座を保有する金融機関のシステムである金融機関システム30とがネットワークで接続される。ユーザ端末10と、SNSシステム20又は金融機関システム30との間のネットワークは、通常のインターネット環境であってよいが、SNSシステム20と金融機関システム30との間のネットワークは、専用回線又はVPN(Virtual Private Network)等の、よりセキュアなネットワーク環境であることが好ましい。
【0022】
ユーザ端末10は、通常のスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であってよいが、SNSシステム20及び金融機関システム30にログインし、利用可能とするためのプログラム(専用アプリ)をユーザがあらかじめインストールしておくものとする。
【0023】
本実施形態のSNSシステム20は、図示するように、ユーザ端末通信手段21と、ユーザ情報記憶手段22と、絵記号登録手段23と、絵記号記憶手段24と、金融機関連携手段25と、絵記号メッセージ取得手段26と、絵記号変換手段27とを備えている。ただし、このような機能構成に限定されるものではない。以下、各機能について順に説明する。
【0024】
ユーザ端末通信手段21は、ユーザ端末10とSNSシステム20の通信を制御し、ユーザ端末10と交信したデータをSNSシステム20の他の機能処理部に伝える機能を有する。また、ユーザ端末通信手段21は、ユーザの当該SNSへの登録情報を受け付け、ユーザ情報記憶手段22に格納する機能も有する。
【0025】
ユーザ情報記憶手段22は、ユーザごとに、SNSシステム20上のユーザIDとログインパスワード、ユーザのプロフィール情報、ユーザが友達として認証した他のユーザの情報を格納するデータベースである。本システムでは、前述したように、ユーザが口座を保有する金融機関もユーザの「友達」として登録可能とする。ユーザは、登録した金融機関に対しても通常の友達のようにメッセージを送受信できるが、金融機関がユーザの友達として他のユーザに公開されることはない。なお、金融機関システム30にも、ユーザが当該金融機関をSNS上で登録していることを示す情報が保管される。
【0026】
絵記号登録手段23は、ユーザがSNS上で用意された絵記号を金融取引の取引情報(又は実行命令)に対応付けして登録させる手段を提供する。具体的には、絵記号登録手段23は、絵記号登録画面をユーザ端末10に表示させ、絵記号記憶手段24に格納された絵記号の一覧を表示し、そこからユーザに所望の絵記号を1又は複数選択させ、それらの絵記号に対して取引情報を対応付けさせる。この絵記号と取引情報の対応付けを記憶したものを絵記号登録テーブルと呼び、絵記号登録テーブルは、ユーザごとにユーザ情報記憶手段22に格納される。なお、絵記号登録画面と絵記号登録テーブルの具体例については後述する。
【0027】
絵記号記憶手段24は、SNS上で利用可能なスタンプ等の絵記号を格納するデータベースである。また、絵記号は、SNSが用意したものだけでなく、ユーザが自分で作成したイラストやカメラで撮った写真等をユーザ端末10に保管しておき、SNS上の絵記号として登録できるようにしてもよい。いずれの絵記号も識別子が付与されて、絵記号記憶手段24に登録される。
【0028】
金融機関連携手段25は、SNSシステム20と金融機関システム30とを接続可能にし、その間の通信を制御し、金融機関とSNSを連携させる。SNSシステム20と金融機関システム30との間のデータの交信は、すべて金融機関連携手段25を介して行うものとする。また、金融機関連携手段25は、金融機関システム30に、ユーザがその金融機関の顧客であることを認証してもらうように認証情報を送信する。
【0029】
絵記号メッセージ取得手段26は、ユーザがユーザ端末10を使って入力した絵記号のメッセージを、ユーザ端末通信手段21を介してユーザの識別子ともに取得し、ユーザごとにそのメッセージを絵記号変換手段27に入力する。
【0030】
絵記号変換手段27は、入力された絵記号のメッセージをユーザの絵記号登録テーブルに従って、金融取引の取引情報に変換して金融機関連携手段25に出力する。このとき、絵記号登録テーブルに含まれない絵記号は無視される。また、前述したように、ユーザがあらかじめ定めた認証用絵記号がメッセージに含まれていない場合は、取引情報は作成されない。したがって、他人がユーザ端末10を不正利用しても金融取引は実行できない。取引情報は、所定のフォーマットの文字列又はバイナリデータであるが、暗号化されて金融機関システム30に送信される。なお、取引情報を金融機関システム30に送信し、処理が完了した段階で、処理結果の通知をSNS上で表示するようにしてもよい。このとき、ユーザがユーザ端末10以外の他の端末10´を保有していれば、その他の端末にも処理結果を送信することが好ましい。
【0031】
なお、SNSシステム20上では絵記号を取引情報に変換せずに、入力された絵記号を金融機関システム30にそのまま送り、金融機関システム30側で絵記号を取引情報に変換する形態も考えられるが、これについては、第2の実施形態として後述する。また、ユーザ端末10で絵記号を取引情報に変換する形態も考えられるがこれについては、第3の実施形態として後述する。
【0032】
次に、第1の実施形態における金融機関システム30の機能構成について説明する。金融機関システム30は、
図2で図示するように、顧客情報登録手段31と、顧客情報DB32と、顧客認証手段33と、取引実行手段34と、勘定系システム35と、処理結果通知手段36とを備えている。
【0033】
顧客情報登録手段31は、当該金融機関の顧客であるユーザの情報を登録し、顧客情報DB32に格納する。顧客情報DB32には、顧客であるユーザの住所氏名、連絡先(メールアドレス、固定電話番号、携帯電話番号等)、ユーザが登録しているSNSの情報、当該金融機関での顧客番号、取引支店名、口座番号の情報、金融機関のインターネットバンキングのログインID及びパスワード、暗証番号、生体情報等の認証情報が格納される。
【0034】
顧客認証手段33は、登録された顧客の認証情報に基づいて、SNSシステム20から送信されたユーザの情報を認証する。このとき、認証用絵記号をSNSシステム20から受信し、ユーザ本人からのメッセージであることを、ここで再度確認するようにしてもよい。この場合、認証用絵記号の情報を事前に金融機関側で受信しておき、顧客情報DB32に格納しておくのは言うまでもない。
【0035】
取引実行手段34は、絵記号から変換された取引情報によって取引相手の口座番号を確認し、問題がなければ、その取引情報を含んだ実行命令を口座間の資金移動を実行する勘定系システム35に送り、取引を実行させる。また、勘定系システム35から、その取引の処理結果を受取り、処理結果通知手段36に受け渡す。
【0036】
処理結果通知手段36は、受け渡された処理結果を、SNSシステム20を介して、ユーザ端末10に送信する。また、その処理結果を、正常終了か異常終了かにかかわらず、SNSシステム20を介さずに、別の通信経路(例えば、ユーザが保有する他の端末10´へのショートメッセージ等)で通知する。このようにすることで、仮に、他人がユーザ端末10を不正利用したとしても、そのことをユーザがいち早く知ることができ、その取引の取り消し(組み戻し)等の処置を素早くとることができる。
【0037】
(絵記号登録テーブル)
図3は、絵記号登録テーブルの概念図である。絵記号登録テーブルとは、絵記号と金融取引に必要な情報(取引情報)とを対応付けたテーブルであり、図示するようにいくつかの種類に分類することができる。図の取引内容テーブル100は、取引内容(残高照会、利用明細、振込、円預金定期振替、外貨預金振替等)と絵記号を対応付けたテーブルである。絵記号登録テーブルの設定には、後述の絵記号登録画面から行うものとするが、この登録画面を表示するには、SNSのログインパスワードとは別のパスワード(第2パスワード)を入力させることが望ましい。
【0038】
図の取引先テーブル101は、振込や振替等の相手である取引先(例えば、家族、家賃の支払先、ネット店舗、電気・ガス・水道等の公共料金支払先、住宅ローンの返済先等)と絵記号を対応付けたテーブルである。図の金額テーブル102は、振込や振替の金額と絵記号を対応付けたテーブルである。また、図のその他テーブル103は、その他の取引情報と絵記号を対応付けたテーブルである。例えば、振込の目的や振込の種類(電信扱い、文書扱い)等が定義できる。また、図の認証用テーブル104は、ユーザが設定する秘密の認証用の絵記号を定義するテーブルである。認証用の絵記号は一つでなくともよく、複数の絵記号を時と場合によって使い分けするようにしてもよい。例えば、3万円未満の振込と3万円以上の振込では異なる認証用の絵記号が必要とする等である。また、認証用の絵記号は、メッセージの送信画面では非表示とすることでセキュリティを高めるようにしてもよい。
【0039】
上記いずれの場合も、絵記号と取引情報は1対1の対応だけなく、一つの取引情報に複数の絵記号を1:Nで対応付けしてもよい。また、絵記号のユーザ独自の使い分けのルールを別途登録できるようにしてもよい。例えば、図の取引内容テーブル100の例では、「振込」に3つの絵記号が対応付けられているが、「ブタ」の絵記号は家賃の支払、「打者」の絵記号は公共料金の支払、「金一封」の絵記号は、家族へお祝いに使用する等、ユーザ本人のみが知り得るルールを決めて登録しておいてもよい。また、図の取引先テーブル101の例では、「父」、「母」、「姉」、「大家」に絵記号が登録されているが、「姉」の絵記号は1万円以下、「母」の絵記号は3万円以下、「父」と「大家」の絵記号は10万円以下等のように、使い方のルールを決めてもよい。絵記号変換手段27が、絵記号の使い方のルールに違反すると判断した場合は、取引情報が作成されず、当然取引が実行できない。
【0040】
(第1の実施形態の処理フロー)
図4は、本発明の第1の実施形態に係るシステム間の処理フローを示す図である。以下の処理フロー図では、システム内の処理の移動は実線で表し、システム間のデータの送受信は一点鎖線で表している。
【0041】
本システムを利用するユーザは、まず、ステップS10において、SNSにログインする。次にユーザが金融機関あてのメッセージを送信することを選んだ場合は(ステップS11:Y)、あらかじめSNSシステム20又はユーザ端末10内に登録しておいたその金融機関のシステムを利用するための認証情報を送信する(ステップS12)。
【0042】
金融機関側では、この認証情報を受信すると、ステップS20において、まず登録されたSNSからのメッセージであることを確認し、登録されたSNSのメッセージであれば(ステップS20:Y)、ユーザの認証情報から正規の顧客であることを確認し、認証結果を送信する(ステップS21)。
【0043】
SNS側では、ステップS13において、金融機関の認証がOKであることを条件に(ステップS13:Y)、ステップS14に進み、そのユーザの絵記号登録テーブルに基づいて、メッセージ内に入力された絵記号を金融機関の取引情報に変換する。このとき、前述の絵記号の使い方ルールに違反していないかどうかもチェックする。そして、ステップS15において、変換されたメッセージが金融取引として成立するか否か、すなわち、必要な情報が不足していないか、矛盾はないか等をチェックする。取引として成立しない場合は(ステップS15:Y)、所定の取引エラー処理(ステップS18)に移るが、取引として成立する場合は(ステップS15:N)、ステップS16において、変換によって生成された取引情報(実行命令)を金融機関側に送信する。
【0044】
金融機関側では、この取引情報を受信すると、その中に含まれた取引情報を確認し(ステップS22)、OKであれば、ステップS23において、要求された取引を実行する。そして、取引の処理結果をSNS側に送信する。このとき、処理結果をSNSとは別の通信経路でユーザ側に通知する(ステップS24)。
【0045】
SNS側では、金融機関からの処理結果を受信すると、ステップS17において、処理結果が正常終了であれば(ステップS17:Y)、そのまま処理を終了するが、異常があった場合は(ステップS17:N)、ステップS18において所定のエラー処理を行う。
【0046】
(絵記号登録画面)
図5は、絵記号登録画面の具体例1を示す図である。以降の絵記号登録画面は、絵記号登録手段の一例を示したものであり、グラフィカルなユーザインターフェースを備えるものであるがこれに限定されるものではない。この画面は、絵記号と金融取引の取引情報とを対応付けさせるために、ユーザ端末10に表示される。図示する絵記号登録画面200では、ユーザが絵記号一覧210から好みの絵記号をいくつか選択し、「取引内容」、「取引相手」、「金額」、「その他>お祝い」の各欄に、それらの絵記号をドラッグ&ドロップ(又はスワイプ)することで、絵記号と金融機関の取引情報とを対応付ける操作を行っていることを示している。この例では、「母の誕生日祝いに3万円を振込む」という金融取引を実行させることを表している。
【0047】
ドラッグ&ドロップする先の欄に適当な項目がない場合は、図の空白欄221〜224に新たな項目を入力することもできる。また、図の「その他>お祝い」の欄は、必須ではないが、そこに対応付けられた絵記号又はメッセージが振込先での確認画面にコメントとして表示されるようにしてもよい。また、この例で母の誕生日が登録されていれば、「母」、「誕生日祝い」の絵記号の意味から、母の誕生日に振込が自動的に実行されるように指定できるようにしてもよい。
【0048】
図6は、絵記号登録画面の具体例2を示す図である。図の絵記号登録画面300では、絵記号をドラッグ&ドロップする代わりに、「取引内容」等の各欄の文字又はアイコンを特定の絵記号にドラッグ&ドロップすることで、取引情報と対応付けする様子を示している。
【0049】
図示するように、一つの絵記号に複数の取引情報を対応付け、複数の意味を持たせてもよい。この例では、「父の定年祝いに20万円を振込む」という金融取引を実行させる。図の例では、20万円という金額のアイコンを新たに作成し、また、定年祝いにメッセージ付のアイコンを新たに作成している様子が示されている。このように絵記号に複数の意味を持たせることで、絵記号のメッセージの入力が簡単になる。このことを推し進めれば、
図7の絵記号登録画面400で示すように、一つの絵記号だけで金融取引を完了させることもできる(ただし、認証用絵記号は除く)。この例では、「大家に家賃8万円を振込む」ということが絵記号411だけで表現できる。更に毎月の振込実行日を同じ絵記号に対応付けさせてもよい。
【0050】
このように、上記した登録画面で絵記号登録手段23は、対応付けのためのユーザインターフェース、好ましくはグラフィカル・ユーザインターフェ−ス(GUI)を有し、複数の絵記号と複数の取引情報を、1対1又は1対Nに対応付ける絵記号登録テーブル100〜104に登録する形式のデータを生成する。
【0051】
図8は、絵記号メッセージ確認画面の具体例を示す図である。本システムは、金融機関へのメッセージを絵記号で行うため、実際にどのようなメッセージが送信されるのかをユーザが確認できる手段を提供する。図示する絵記号メッセージ確認画面500は、その手段の一例である。
【0052】
ユーザがこの画面を表示させると、入力した絵記号の列がテキストに変換されて、テキスト領域501に表示される。そして、例えば、ユーザがこのテキスト領域501をタッチすると、元々入力した絵記号の列が絵記号列領域502に表示され、また、取引の詳細情報が詳細情報領域503に表示される。絵記号列領域502は、セキュリティ上、非表示又は部分表示としてもよい。ユーザは、この画面で内容を確認後、修正が必要であれば戻りボタン504を押し、OKであれば確認ボタン505を押す。このようにすることで、ユーザは取引を実行させる前に絵記号メッセージの確認ができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る金融取引システム(絵記号バンキングシステム)の機能構成を示す図である。以下、第1の実施形態の機能構成(
図2参照)と異なる部分についてのみ説明する。第2の実施形態では、絵記号変換手段(金融機関側)38が金融機関システム30A上に備えられる。また、新たに登録絵記号記憶手段37が金融機関システム30A上に備えられる。
【0054】
登録絵記号記憶手段37は、金融機関の顧客であるユーザが登録した絵記号を記憶する金融機関側のデータベースである。顧客情報登録手段31が、SNSシステム20Aの絵記号登録手段23から、金融機関連携手段25を介して、そのユーザがSNS上で登録した絵記号の情報を受信し、登録絵記号記憶手段37に格納する。ここで、SNS側では登録絵記号の情報は保管しないものとする。したがって、ユーザの絵記号登録テーブルは、金融機関側の登録絵記号記憶手段37に保管されるだけである。
【0055】
絵記号変換手段(金融機関側)38は、登録絵記号記憶手段37に含まれる絵記号登録テーブルに基づいて、SNSシステム20Aから受信したユーザの絵記号のメッセージを金融機関における取引情報に変換する。なお、登録絵記号記憶手段37は、顧客情報DB32に含めてもよい。第2の実施形態では、SNS側の処理が減り、金融機関側の処理が多くなるが、セキュリティが強固な金融機関側で、登録絵記号の管理と絵記号メッセージの変換とを行うことで安全性がより高くなる。
【0056】
図10は、本発明の第2の実施形態に係るシステム間の処理フローを示す図である。以下、第1の実施形態の処理フロー(
図4参照)と異なる部分についてのみ説明する。SNS側のステップS10〜S13、S17〜S18の処理は、
図4の場合と同じである。また、金融機関側のステップS20〜S21、S22〜S24の処理も
図4の場合と同じである。
【0057】
第1の実施形態では、
図4に示すようにステップS14〜S16の処理で、ユーザが入力した絵記号のメッセージの変換をSNS側で行っていたが、第2の実施形態では、
図10に示すようにSNSシステム20AのステップS14aの処理で、絵記号のメッセージを金融機関側に送信するだけである。したがって、金融機関側で、受信した絵記号のメッセージを絵記号登録テーブルに基づいて変換する処理を行う(ステップS21a)。そして、変換されたメッセージ(取引情報)が取引として成立するか否かをチェックする処理を行い(ステップS21b)、取引として成立する場合は、ステップS22以降の処理を行う。
【0058】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係る金融取引システム(絵記号バンキングシステム)の機能構成を示す図である。以下、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する(
図2参照)。
【0059】
第3の実施形態では、ユーザ端末10Bにインストールされた専用アプリで端末内の画像記憶手段13に保管された画像を絵記号として登録する絵記号画像登録手段12を備えている。このようにすることで、ユーザ独自のイラスト、シンボル、写真等の画像(動画を含む)を絵記号として使用できるのでより安全性が高まる。
【0060】
なお、
図11の点線で示すように、SNS側にある絵記号登録手段23、絵記号メッセージ取得手段26、及び絵記号変換手段27の処理を、ユーザ端末10Bのアプリケーション側で行うようにしてもよい。この場合は、端末側からSNS通信手段11を介して、SNS側の絵記号記憶手段24にアクセスして、絵記号の一覧データを受信し、端末側で独自の絵記号を含めたかたちで絵記号の登録を行い、絵記号のメッセージの取引情報への変換も行うことになる。このようにすることで、端末に専用アプリをインストールするだけで、SNS側のシステムはほとんど変更することなく、本サービスの機能を提供することができる。また、ユーザ端末10B側のプログラムが、SNSを介して金融機関システム30Bと接続され、ユーザ固有の情報が端末内に保管されるので機密性とともに柔軟性も高まる。また、専用アプリは、金融機関から提供されるようにすれば、セキュリティ上も好ましく、金融機関のセキュリティポリシーに沿った認証方式を利用できる。
【0061】
以上説明した
図2、
図9、
図11の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0062】
(実施形態の効果)
本システムによれば、SNSを利用した手軽で、かつ安全性の高い新たな金融取引方法を実現することができる。LINE(登録商標)やFacebook(登録商標)で使用されているスタンプ等の絵記号を用いることで、文字入力することなく、上記のSNSと同じく、直感的なメッセージの送信で金融取引を実行することができる。また、ユーザは、絵記号と取引情報を自由に組み合わせられること、認証用の絵記号を秘密に設定すること、絵記号のユーザ独自の使い方のルールを設定できること、金融機関での処理結果をSNS以外の別の通信経路でユーザの他の端末にも通知すること、絵記号にユーザ独自のイラストや写真等の画像を含めることで安全性を高めることができる。
【0063】
なお、上記の実施形態では、金融機関の取引について説明したが、本発明は、金融機関以外の企業や団体又は個人との間で秘匿性を有するメッセージのやり取りにも応用が可能である。
【0064】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、第1の実施形態、第2の実施形態のSNSシステムに持たせた手段を全てユーザ端末側に持たせることも考えられる。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、金融取引システムについて説明したが、本発明は、方法の発明(金融取引方法)又はコンピュータ・プログラムの発明(ユーザ端末における金融取引プログラム)としても捉えることもできる。