(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合しなかった場合であって、更に、当該遮光領域変化が、異物によって遮光されることで生じる前記遮光領域の経時的変化の条件が規定された異物付着パターンに適合した場合に、前記光線が異物によって遮光されていると判定する異物判定部と、
異物によって遮光されていると判定された場合に、複数の前記受光部のうち、遮光されている前記光線に対応する受光部を、前記遮光情報取得部による検出の対象から除外する切り離し処理部と、
を備える請求項1から請求項4の何れか一項に記載の車両検出装置。
高さ方向に複数並べて配置され、光線を投光する投光部と、複数の前記投光部の各々と対応して配置され、前記光線を受光可能な複数の受光部と、を用いて車両の通過を検出する車両検出方法であって、
複数の前記投光部が投光する光線の、対応する複数の前記受光部における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線が遮光されているか否かを判定するとともに、複数の前記受光部のうち遮光されている前記光線に対応する受光部が占める遮光領域を取得するステップと、
取得した前記遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、車両の通過に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化が規定された標準変化パターンに適合する場合に、車両が通過したと判定するステップと、
を有し、
前記車両が通過したと判定するステップは、
前記遮光領域に属する受光部の数の単位時間当たりの変化量と、前記標準変化パターンに規定された第1の判定閾値との比較、及び、前記遮光領域に属する受光部の数と、前記標準変化パターンに規定された第2の判定閾値との比較に基づいて、前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合するか否かを判定するステップを含む
車両検出方法。
高さ方向に複数並べて配置され光線を投光する投光部と、複数の前記投光部の各々と対応して配置され前記光線を受光可能な複数の受光部と、を備える車両検出装置のコンピュータを、
複数の前記投光部が投光する光線の、対応する複数の前記受光部における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線が遮光されているか否かを判定するとともに、複数の前記受光部のうち遮光されている前記光線に対応する受光部が占める遮光領域を取得する遮光情報取得手段、
前記遮光情報取得手段が取得した前記遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、車両の通過に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化が規定された標準変化パターンに適合する場合に、車両が通過したと判定する車両判定手段、
として機能させ、
前記車両判定手段は、
前記遮光領域に属する受光部の数の単位時間当たりの変化量と、前記標準変化パターンに規定された第1の判定閾値との比較、及び、前記遮光領域に属する受光部の数と、前記標準変化パターンに規定された第2の判定閾値との比較に基づいて、前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合するか否かを判定する
プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両検出装置が設置される料金収受施設等では、車両の車種や車体形状のみならず、被牽引車の有無、車両が停止している場合、ゴミや雪などの異物によって遮光されている場合等、様々な状況が想定される。従来の車両検出装置における検出アルゴリズムでは、このような種々の状況を、各受光部から取得された検出信号に応じて精度よく切り分けることは困難であった。即ち、車両検出装置は、通過する車両を高精度で検出できない場合があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車両の通過を精度よく検出できる車両検出装置、車両検出方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、高さ方向に複数並べて配置され、光線を投光する投光部(S1)と、複数の前記投光部(S1)の各々と対応して配置され、前記光線を受光可能な複数の受光部(S2)と、複数の前記投光部が投光する光線の、対応する複数の前記受光部(S2)における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線が遮光されているか否かを判定するとともに、複数の前記受光部(S2)のうち遮光されている前記光線に対応する受光部が占める遮光領域(La)を取得する遮光情報取得部(21)と、前記遮光情報取得部(21)が取得した前記遮光領域(La)の経時的変化を示す遮光領域変化(D)が、車両の通過に伴って生じる前記遮光領域(La)の経時的変化の条件が規定された標準変化パターン(Dref)に適合する場合に、車両が通過したと判定する車両判定部(22)と、を備える車両検出装置(1)である。
このような構成によれば、車両検出装置は、遮光領域の経時的変化(時間の経過に伴って生じる変化)を示す遮光領域変化が、予め規定された変化パターンであって、車両の通過に伴って生じる遮光領域の経時的変化の条件が規定された標準変化パターンと適合するか否かに応じて車両の通過を検出するので、車両の通過を精度よく検出できる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、前記車両判定部が、前記遮光領域に属する受光部の数の単位時間当たりの変化量と、前記標準変化パターンに規定された値であって車両の車体形状に応じて定められた判定閾値(ΔNth1、Nth1、ΔNth2、Nth2)と、の比較に基づいて、前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合するか否かを判定することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、遮光領域の経時的変化が、通過する車両の車体形状に応じた所定の条件を満たす変化量となっていることをもって、遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合するか否かを判定する。したがって、光線を遮光したものが通過中の車両であるか否かの判定を精度よく実施できる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、前記遮光領域変化が、前記標準変化パターンの一つであって車両の進入に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化の条件が規定された車両進入パターン(Dref1)に適合した場合に、車両が進入したと判定し、前記遮光領域変化が、前記標準変化パターンの一つであって車両の退出に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化の条件が規定された車両退出パターン(Dref2)に適合した場合に、車両が退出したと判定することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、遮光領域変化が車両進入パターンに規定された条件を満たす場合には車両が進入したと判定し、遮光領域変化が車両退出パターンに規定された条件を満たす場合には車両が退出したと判定する。これにより、例えば、車両の進入後に車両が停止した場合であっても、車両が退出したことを判定しない限り、車両が通過したとは判定されない。したがって、車両の通過を誤って検出することを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、前記遮光領域変化が前記車両退出パターンに適合した場合であって、更に、当該遮光領域変化が、前記標準変化パターンの一つであって牽引車の通過に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化の条件が規定された牽引車通過パターン(Dref3)に適合した場合に、前記車両が牽引車であると判定することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、遮光領域変化が車両退出パターンに規定された条件を満たした後、更に、牽引車通過パターンに規定された条件を満たす場合には、車両が牽引車であると判定する。これにより、通過する車両が牽引車であることを判別可能となるので、牽引車が被牽引車と連結されていることに起因して、車両の通過を誤って検出することを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、前記車両退出パターンに適合した前記遮光領域変化に続く遮光領域変化において、前記牽引車通過パターンにおいて規定された領域であって牽引車の連結部(J)に対応する領域に属する前記光線(Lj)が遮光されているか否かに基づいて、当該遮光領域変化が前記牽引車通過パターンに適合するか否かを判定することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、牽引車が通過した際に想定される遮光領域の経時的変化として、連結部が配されると想定される領域に属する光線が遮光されることをもって、通過した車両が牽引車であると判定する。したがって、通過する車両が牽引車であるか否かを精度よく判定することができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合しなかった場合であって、更に、当該遮光領域変化が、異物によって遮光されることで生じる前記遮光領域の経時的変化の条件が規定された異物付着パターン(Di)に適合した場合に、前記光線が異物によって遮光されていると判定する異物判定部(231)と、異物によって遮光されていると判定された場合に、複数の前記受光部のうち、遮光されている前記光線に対応する受光部を、前記遮光情報取得部による検出の対象から除外する切り離し処理部(232)と、を備える。
このような構成によれば、車両検出装置は、遮光領域変化が異物付着パターンに規定された条件を満たす場合には、光線が異物によって遮光されていると判定する。これにより、異物によって遮光されているか否かの判別が可能となり、さらに、当該異物によって遮光されている光線に対応する受光部を、遮光情報取得部による検出の対象から除外することができる。これにより、例えば、異物により光線が遮光されている受光部からの検出信号に起因して、車両が退出したにもかかわらず当該退出が検出されなくなることを防止できる。
【0014】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、前記遮光領域変化が、車種別に規定された複数の前記標準変化パターンの何れに適合するかの判定結果に基づいて、前記車両の車種を識別することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、料金収受処理において必要な車両別の車種の特定を実現することができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、上述の車両検出装置において、車両の走行速度を示す速度情報に基づいて、前記遮光領域変化が前記標準変化パターンに適合するか否かの判定のための条件を補正することを特徴とする。
このような構成によれば、車両検出装置は、標準変化パターンに規定される条件が、車両の走行速度に応じた適切な条件となるように補正されるので、遮光領域変化と、標準変化パターンと、が適合しているか否かの判定精度を高めることができる。
【0016】
また、本発明の一態様は、高さ方向に複数並べて配置され、光線を投光する投光部と、複数の前記投光部の各々と対応して配置され、前記光線を受光可能な複数の受光部と、を用いて車両の通過を検出する車両検出方法であって、複数の前記投光部が投光する光線の、対応する複数の前記受光部における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線が遮光されているか否かを判定するとともに、複数の前記受光部のうち遮光されている前記光線に対応する受光部が占める遮光領域を取得するステップと、取得した前記遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、車両の通過に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化が規定された標準変化パターンに適合する場合に、車両が通過したと判定するステップと、を有する車両検出方法である。
このような構成によれば、車両検出方法は、遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、予め規定された変化パターンであって、車両の通過に伴って生じる遮光領域の経時的変化の条件が規定された標準変化パターンと適合するか否かに応じて車両の通過を検出するので、車両の通過を精度よく検出できる。
【0017】
また、本発明の一態様は、高さ方向に複数並べて配置され光線を投光する投光部と、複数の前記投光部の各々と対応して配置され前記光線を受光可能な複数の受光部と、を備える車両検出装置のコンピュータを、複数の前記投光部が投光する光線の、対応する複数の前記受光部における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線が遮光されているか否かを判定するとともに、複数の前記受光部のうち遮光されている前記光線に対応する受光部が占める遮光領域を取得する遮光情報取得手段、前記遮光情報取得手段が取得した前記遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、車両の通過に伴って生じる前記遮光領域の経時的変化が規定された標準変化パターンに適合する場合に、車両が通過したと判定する車両判定手段、として機能させるプログラムである。
このような構成によれば、プログラムは、遮光領域の経時的変化を示す遮光領域変化が、予め規定された変化パターンであって、車両の通過に伴って生じる遮光領域の経時的変化の条件が規定された標準変化パターンと適合するか否かに応じて車両の通過を検出するので、車両の通過を精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0018】
上述の車両検出装置、車両検出方法及びプログラムによれば、車両の通過を精度よく検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る車両検出装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように、車両検出装置1は、車両検出部10と、検出制御部20と、を備えている。また、車両検出部10は、投光塔101と、受光塔102と、を有している。
【0021】
車両検出部10の投光塔101、受光塔102は、車線Lの車線方向(±X方向)における同じ位置であって、車線Lの両側部(+Y方向側の側部又は−Y方向側の側部)の互いに異なる側に設置される。投光塔101、受光塔102は、高さ方向(±Z方向)に伸びる直方状に形成され、互いに対向する面を有している。
投光塔101のうち受光塔102に対向する面には、受光塔102に向けて所定波長の光線P(例えば、赤外光線)を投光する投光部S1が、高さ方向に等間隔で複数並べて配置されている。
一方、受光塔102のうち投光塔101に対向する面には、投光部S1が投光する光線Pの受光を検出する受光部S2が、高さ方向に等間隔で複数並べて配置されている。各受光部S2は、投光部S1の各々と一対一に対応するように配置され、対応する投光部S1が投光する光線Pを受光可能とされている。各受光部S2は、対応する投光部S1から投光される光線Pが遮光されているか(遮光状態)、遮光されていないか(非遮光状態)、に応じた検出信号を継続的に出力している。以下、対応する投光部S1と受光するS2との各々を結ぶ直線であって光線Pと重なる線を「光軸」とも記載する。
上記構成を有する車両検出部10によれば、車両Aが、投光塔101及び受光塔102と車線方向における同じ位置に存在した場合、車両Aの車体により、高さ方向の所定領域(後述する遮光領域)において投光部S1から受光部S2へ投光される光線Pが遮光される(
図1参照)。車両検出装置1は、受光部S2から出力される上記検出信号に基づいて車両Aの通過を検出する。なお、本実施形態において「通過」とは、走行する車両Aが、車両検出部10の投光塔101及び受光塔102が配される車線方向の位置に進入してから退出するまでの一連の走行のことを指す。
【0022】
検出制御部20は、車両検出装置1の動作全体を司る。本実施形態において、検出制御部20は、CPU(Central Processing Unit)であって、所定の記憶領域に読み込まれたプログラムに基づいて動作する。CPUである検出制御部20は、車線Lの側部に設けられる装置等に搭載される。検出制御部20は、車両検出部10から入力される検出信号を入力するとともに、当該検出信号に基づいて車両Aが通過したか否かを判定し、車両Aが通過したと判定した場合には、車両Aが通過したことを、料金収受設備を構成する他の各種装置(例えば、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」とも言う)や開閉バーを有する発進制御装置等)に通知する。
【0023】
以上のような構成を有する車両検出装置1は、主に有料道路の入口や出口等に設けられる料金収受施設に用いられ、車線Lを走行する車両A一台の通過(進入及び退出)を検出する。これにより、料金収受設備を構成する各種装置の連携動作を実現する。
【0024】
(車両検出装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る車両検出装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る車両検出装置1の検出制御部20は、遮光情報取得部21と、車両判定部22と、異物対応処理部23と、を有している。
遮光情報取得部21は、複数の投光部S1が投光する光線Pの、対応する複数の受光部S2における受光の有無を示す検出信号の入力を受け付けて、当該光線Pが、各投光部S1と対応する受光部S2との間で遮光されているか否かを判定する。更に、遮光情報取得部21は、光線Pが遮光されているか否かの判定結果に基づいて所定の遮光領域を取得する。ここで、遮光領域とは、複数の受光部S2のうち遮光されている光線Pに対応する受光部S2が占める高さ方向の所定領域である。
車両判定部22は、遮光情報取得部21が取得した遮光領域La(
図3)の経時的変化(時間の経過に伴って生じる変化)を示す遮光領域変化Dが所定の標準変化パターンDrefに適合するか否かを判定する。また、遮光領域変化Dが標準変化パターンDrefに適合する場合には、車両判定部22は、投光塔101と受光塔102との間を車両A(
図1)が通過したと判定する。ここで、標準変化パターンDrefとは、予め規定された情報であって、車両検出部10における車両Aの通過に伴って生じる遮光領域Laの経時的変化の条件が規定された情報である。換言すれば、標準変化パターンDrefには、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、車両Aの通過に伴って生じたものか否かを判断するための条件が規定される。なお、標準変化パターンDrefには、後述する車両進入パターンDref1、車両退出パターンDref2、牽引車通過パターンDref3が含まれる。
車両判定部22は、車両Aの通過(車両検出部10への進入及び車両検出部10からの退出)を検出した場合に、当該車両A一台が通過したことを、料金収受施設を構成する各種装置に通知する。
異物対応処理部23は、遮光領域変化Dが標準変化パターンDrefに適合しなかった場合に、所定の異物対応処理を実施する。ここで、異物対応処理とは、具体的には、異物判定部231による判定処理、及び、切り離し処理部232による切り離し処理のことである。
【0025】
異物判定部231は、遮光領域変化Dが標準変化パターンDrefに適合しなかった場合に、更に、当該遮光領域変化Dが異物付着パターンDiに適合するか否かを判定する。異物判定部231は、遮光領域変化Dが異物付着パターンDiに適合した場合に、所定の光線Pが異物によって遮光されていると判定する。ここで、異物付着パターンDiとは、予め規定された情報であって、ゴミや雪などの異物によって遮光されることで生じる遮光領域の経時的変化の条件が規定された情報である。即ち、異物付着パターンDiには、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、異物の付着に伴って生じたものか否かを判断するための条件が規定される。
切り離し処理部232は、光線Pが異物によって遮光されていると判定された場合に、複数の受光部S2のうち、上記判定の時点で遮光されている光線Pに対応する受光部S2を、遮光情報取得部21による検出の対象から除外する、切り離し処理を実施する。
【0026】
図3は、第1の実施形態に係る遮光情報取得部の機能を説明する図である。
遮光情報取得部21が、遮光領域Laを特定する処理について
図3を参照しながら説明する。
図3には、車両Aの車体形状(側面形状)と、光線Pの遮光状態との対応関係を示している。
図3に示すように、車両Aが車線L上における投光塔101と受光塔102との間を通過中(進入後、退出前)の場合、受光塔102に配置される各受光部S2には、車両Aの車体により光線Pが遮光されている状態(遮光状態)の受光部S2と、光線Pが遮光されていない状態(非遮光状態)の受光部S2と、が存在する。各受光部S2は、光線Pの受光の有無に基づいて、遮光状態にあることを示す検出信号PL、又は、非遮光状態にあることを示す検出信号PHを出力する。遮光情報取得部21は、各受光部S2から検出信号の入力を受け付けて、複数の受光部S2のうち遮光の検出信号PLを出力した受光部S2を特定することで、遮光状態にある受光部S2が占める高さ方向の領域である遮光領域Laを特定する。
なお、遮光情報取得部21は、所定の単位時間(サンプリング時間Δt。例えば、Δt=10msec)当たりに継続的に入力される受光部S2からの検出信号に基づいて、当該サンプリング時間Δtおきに遮光領域Laを取得する。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る遮光領域変化パターンを説明する図である。
図3で示した遮光領域Laは、車両検出部10における車両Aの通過に伴って変化する。
図4に示すように、サンプリング時間Δtおきに取得された遮光領域Laの経時的変化は、通過する車両Aの車体形状(側面形状)に応じたものとなる。例えば、ある時刻t0における遮光領域Laは、車体の先頭位置に対応する高さ方向の所定領域となり、時刻t0からサンプリング時間Δt経過後の時刻t1(=t0+Δt)における遮光領域Laは、サンプリング時間Δtの間に移動する分だけ、車体の上記先頭位置よりも車両後方側の位置に対応する高さ方向の所定領域となる。このとき、サンプリング時間Δtの間に、遮光領域Laの経時的変化ΔLaが生じる。本実施形態において、遮光領域変化Dは、以上のような車両Aの通過に伴って生じる遮光領域Laの経時的変化を示す情報である。
【0028】
(検出制御部の主処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る検出制御部の処理フローを示す第1の図である。
次に、検出制御部20が実施する処理の全体的な流れ(主処理フロー)について、
図5を参照しながら順を追って説明する。前提として、主処理フローの実行中においては、車両検出部10の投光塔101に配置された複数の投光部S1から、常時、光線Pが投光されている。
【0029】
まず、検出制御部20の遮光情報取得部21は、車両検出部10の受光塔102に配置された複数の受光部S2の各々から検出信号の入力を受け付けて、遮光された光線Pがあるか否かを判定する(ステップS01)。遮光情報取得部21は、遮光された光線Pが無い場合は、同処理を繰り返し実施する(ステップS01:NO)。
遮光された光線Pを一つでも検出した場合(ステップS01:YES)、検出制御部20は、「車両進入パターン判定処理」を実施する(ステップS02)。車両進入パターン判定処理とは、遮光された光線Pが占める高さ方向の領域(即ち、遮光領域)の経時的変化を示す遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合するか否かの判定を行う処理である。また、車両進入パターンDref1とは、予め規定された標準変化パターンDrefの一つであって車両Aの「進入」に伴って生じる遮光領域Laの経時的変化の条件が規定された情報のことである。
車両進入パターン判定処理の詳細については
図6で説明する。
【0030】
遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合した場合(ステップSS03:YES)、検出制御部20は、車両Aが車両検出部10に進入したことを検出し、当該車両Aの進入を各種装置に通知する(ステップS04)。これにより、車両検出装置1を備える料金収受施設は、車両Aの進入に応じた連携動作(例えば、ETC無線通信処理の開始)を行うことができる。
一方、遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合していない場合(ステップS03:NO)、検出制御部20は、「異物対応処理」を実施する(ステップS05)。異物対応処理とは、遮光領域変化Dが上述した異物付着パターンDiに適合するか否かの判定に基づいて、投光部S1、受光部S2にゴミや雪等の異物が付着したか否かを判断し、必要に応じて受光部S2の切り離しを行う処理である。
異物対応処理の詳細については
図7で説明する。
【0031】
ステップS04により車両Aの車両検出部10への進入が検出されると、検出制御部20は、続いて、「車両退出パターン判定処理」を実施する(ステップS06)。車両退出パターン判定処理とは、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合するか否かの判定を行う処理である。また、車両退出パターンDref2とは、予め規定された標準変化パターンDrefの一つであって車両Aの「退出」に伴って生じる遮光領域Laの経時的変化の条件が規定された情報のことである。
車両退出パターン判定処理の処理内容の詳細については
図8で説明する。
【0032】
遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合していない場合(ステップS07:NO)、進入した車両Aは車両検出部10から退出していないと判断し、ステップS06を繰り返す。例えば、渋滞中のため、車両検出部10に進入した車両Aが、所定領域の光線Pを遮光したまま停止している場合は、ステップS06が繰り返される。
【0033】
遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合した場合(ステップS07:YES)、続いて、検出制御部20は、「牽引車対応処理」を実施する(ステップS08)。牽引車対応処理とは、遮光領域変化Dが牽引車通過パターンDref3に適合するか否かの判定に基づいて、退出した車両Aが「牽引車」か否かの判別を行い、必要に応じて牽引車用の退出判定を実施する処理である。また、牽引車通過パターンDref3とは、予め規定された標準変化パターンDrefの一つであって「牽引車」の通過に伴って生じる遮光領域Laの経時的変化の条件が規定された情報のことである。
牽引車対応処理の詳細については
図9で説明する。
【0034】
牽引車対応処理(ステップS08)が完了すると、検出制御部20は、車両Aが車両検出部10から退出したことを検出し、当該車両Aの退出を各種装置に通知する(ステップS09)。これにより、車両検出装置1を備える料金収受施設は、車両Aの退出に応じた連携動作を行うことができる。
【0035】
なお、料金収受施設が運用されている間は、検出制御部20は、上述した主処理フロー(ステップS01〜ステップS09)を繰り返し実施する。
【0036】
(車両進入パターン判定処理)
図6は、第1の実施形態に係る検出制御部の処理フローを示す第2の図である。
図6は、主処理フロー(
図5)における車両進入パターン判定処理(ステップS02)における詳細な処理フローを示している。ここで、車両進入パターンDref1には、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、車両Aの「進入」に伴って生じたものか否かを判定するための条件(光軸増加数判定閾値ΔNth1及び光軸数判定閾値Nth1に基づくステップS201〜S203の判定処理に係る条件)が規定される。
【0037】
車両進入パターン判定処理において、遮光情報取得部21は、各受光部S2から受け付ける検出信号に基づいて遮光領域La(
図3参照)を取得する(ステップS200)。
次に、車両判定部22は、遮光情報取得部21が取得した遮光領域Laを参照して、当該遮光領域Laに属する受光部S2の数(遮光光軸数Na)が増加したか否かを判定する(ステップS201)。なお、車両進入パターン判定処理に移行する前の遮光光軸数Naはゼロであるから、車両進入パターン判定処理における最初のステップS201では、必ず遮光光軸数Naが増加した(ステップS201:YES)と判定される。
【0038】
遮光光軸数Naが増加した場合は(ステップS201:YES)、車両判定部22は、更に、遮光光軸数Naの単位時間(サンプリング時間Δt)当たりの変化量である増加数ΔNa(ΔNa>0)が光軸増加数判定閾値ΔNth1(ΔNth1>0)以上か否かを判定する(ステップS202)。光軸増加数判定閾値ΔNth1は、例えば、通常の進入速度(20〜30km/h)で通過する一般車両の車体形状のうちフロント部分の傾斜に応じた値に定められる。なお、バスやトラックのフロント部分の形状は、通常、一般車両のように傾斜せず、鉛直に近い形状をなしている。したがって、バスやトラックの進入時における増加数ΔNaは、一般車両の進入時における増加数ΔNaよりも大きい値となる。そのため、光軸増加数判定閾値ΔNth1を一般車両に合わせて設定することで、当該一般車両のみならずバスやトラックの進入をも検出することができる。
遮光光軸数Naが増加していない(ステップS201:NO)、又は、その増加数ΔNaが光軸増加数判定閾値ΔNth1未満の場合(ステップS202:NO)、車両判定部22は、遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合していないと判定する(ステップS204)。なお、この場合は、投光部S1または受光部S2におけるゴミや雪等の付着が想定されるため、検出制御部20は、ステップS03(
図5)を介してゴミ対応処理(ステップS05)に移行する(
図5参照)。
【0039】
一方、遮光光軸数Naの増加数ΔNa(>0)が光軸増加数判定閾値ΔNth1以上であった場合(ステップS202:YES)、車両判定部22は、遮光光軸数Naが所定の光軸数判定閾値Nth1以上となったか否かを判定する(ステップS203)。光軸数判定閾値Nth1は、通常の大きさを有する車体か、それ以外かを判別可能な長さ(例えば、1m程度)に対応する遮光光軸数に設定される。
なお、車両Aの窓に対応する位置に配される受光部S2が当該窓を透過した光線Pを受光すると、遮光領域Laが分離して取得される場合がある。ステップS202、S203のそれぞれにおいて判定の対象となる遮光光軸数Naの増加数ΔNa、遮光光軸数Naは、遮光領域Laに属する受光部S2のうち最上段に位置する受光部S2と、最下段に位置する受光部S2と、の間に含まれる受光部S2の数に基づいて算出される。
【0040】
車両判定部22は、遮光光軸数Naが光軸数判定閾値Nth1以上となるまでステップS201〜S202を繰り返す(ステップS203:NO)。遮光光軸数Naが光軸数判定閾値Nth1以上となった場合(ステップS203:YES)、車両判定部22は、遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合したと判定する(ステップS205)。すなわち、遮光光軸数NaがステップS201〜ステップS203の各々に規定された条件を全て満たした場合に、「遮光領域変化Dが、車両進入パターンDrefに適合した」ことになる。
【0041】
検出制御部20は、以上の車両進入パターン判定処理(ステップS200〜S205)により、遮光領域変化Dが、車両進入パターンDref1に適合したか否かの判定結果を得る。
【0042】
(異物対応処理)
図7は、第1の実施形態に係る検出制御部の処理フローを示す第3の図である。
図7は、主処理フロー(
図5)における異物対応処理(ステップS05)における詳細な処理フローを示している。ここで、異物付着パターンDiには、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、異物の付着に伴って生じたものか否かを判定するための条件(ステップS501、S502)が規定される。
異物対応処理において、まず、遮光情報取得部21は、各受光部S2から受け付ける検出信号に基づいて遮光領域La(
図3参照)を取得する(ステップS500)。
続いて、異物判定部231は、前回取得した遮光領域Laから変化がないか否かを判定する(ステップS501)。ここで、最初のステップS501においては、異物判定部231は、ステップS200(
図6)で取得した遮光領域Laと対比する。
遮光領域Laに変化がない場合(ステップS501:YES)は、当該変化がない状態が所定回数(例えば、8回)連続して検出されたか否かを判定する(ステップS502)。ここで、所定回数連続して検出された場合(ステップS502:YES)、当該遮光された光線Pに対応する投光部S1または受光部S2にゴミや雪等の異物が付着したものと判断し、切り離し処理部232は、この時点で遮光されている光線Pに対応する受光部S2を、遮光情報取得部21による検出の対象から除外する処理(切り離し処理)を実施する(ステップS503)。
一方、ステップS502で、所定回数連続して、遮光領域Laに変化がない状態が検出される前に、ステップS501にて、遮光領域Laに何らかの変化があった場合(ステップS501:NO)は、切り離し処理を行うことなく異物対応処理を終了する。したがって、付着したゴミが風などですぐに除去された場合や、落下中の雪や“ひょう”により瞬間的に遮光された場合等は、切り離し処理は実施されない。
【0043】
(車両退出パターン判定処理)
図8は、第1の実施形態に係る検出制御部の処理フローを示す第4の図である。
図8は、主処理フロー(
図5)における車両退出パターン判定処理(ステップS06)における詳細な処理フローを示している。ここで、車両退出パターンDref2には、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、車両Aの「退出」に伴って生じたものか否かを判定するための条件(光軸減少数判定閾値ΔNth2、光軸数判定閾値Nth2に基づくステップS601〜S603の判定処理)が規定される。
【0044】
車両退出パターン判定処理において、遮光情報取得部21は、各受光部S2から受け付ける検出信号に基づいて遮光領域La(
図3参照)を取得する(ステップS600)。
次に、車両判定部22は、遮光情報取得部21が取得した遮光領域Laを参照して、当該遮光領域Laを構成する光軸Pの数(遮光光軸数Na)が減少したか否かを判定する(ステップS601)。
【0045】
遮光光軸数Naが減少した場合は(ステップS601:YES)、車両判定部22は、更に、遮光光軸数Naの減少数ΔNa(ΔNa<0)が光軸減少数判定閾値ΔNth2(ΔNth2<0)以下か否かを判定する(ステップS602)。光軸減少数判定閾値ΔNth2は、例えば、通常の進入速度(20〜30km/h)で通過する一般車両の車体形状のうちリア部分の傾斜に応じた値に定められる。なお、バスやトラックのリア部分(トラックの場合は荷台の後方端)の形状も、通常、一般車両のように傾斜せず、鉛直に近い形状をなしている。したがって、バスやトラックの退出時における減少数ΔNa(<0)は、一般車両の退出時における減少数ΔNa(<0)よりも小さい値となる。そのため、光軸減少数判定閾値ΔNth2を一般車両に合わせて設定することで、当該一般車両のみならずバスやトラックの退出をも検出することができる。
遮光光軸数Naが減少していない(ステップS601:NO)、又は、その減少数ΔNa(<0)が光軸減少数判定閾値ΔNth2(<0)よりも大きい場合(ステップS602:NO)、車両判定部22は、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合していないと判定する(ステップS604)。
【0046】
一方、遮光光軸数Naの減少数ΔNa(<0)が光軸減少数判定閾値ΔNth2以下であった場合(ステップS602:YES)、車両判定部22は、遮光光軸数Naが所定の光軸数判定閾値Nth2以下となったか否かを判定する(ステップS603)。光軸数判定閾値Nth2は、通常の大きさを有する車体の退出を判別可能な長さ(例えば、20cm程度)に対応する遮光光軸数に設定される。
【0047】
車両判定部22は、遮光光軸数Naが光軸数判定閾値Nth2以下となるまでステップS601〜S602を繰り返す(ステップS603:NO)。遮光光軸数Naが光軸数判定閾値Nth2以下となった場合(ステップS603:YES)、車両判定部22は、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したと判定する(ステップS605)。
【0048】
検出制御部20は、以上の車両退出パターン判定処理(ステップS600〜S605)により、遮光領域変化Dが、車両退出パターンDref2に適合したか否かの判定結果を得る。
【0049】
(牽引車対応処理)
図9は、第1の実施形態に係る検出制御部の処理フローを示す第5の図である。
また、
図10は、第1の実施形態に係る車両判定部の処理内容を説明する図である。
図9は、主処理フロー(
図5)における牽引車対応処理(ステップS08)における詳細な処理フローを示している。ここで、牽引車通過パターンDref3には、遮光情報取得部21によって取得された遮光領域の経時的変化が、牽引車の通過に伴って生じたものか否かを判定するための条件(ステップS801、S802)が規定される。
【0050】
牽引車対応処理において、まず、遮光情報取得部21は、各受光部S2から受け付ける検出信号に基づいて遮光領域La(
図3参照)を取得する(ステップS800)。
次に、車両判定部22は、ステップS800において遮光領域Laが存在するか否か、即ち、遮光された光線Pが存在するか否かを判定する(ステップS801)。遮光された光線Pが無い場合(ステップS801:NO)、ステップS07(
図5)において、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合した車両Aが「牽引車」ではないと判断し、牽引車対応処理を終了する。この場合、検出制御部20は、直ちに、車両Aが車両検出部10から退出したことを検出し、その通知を行う(
図5、ステップS09)。
【0051】
ステップS07で、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したにもかかわらず、遮光された光線Pが残っている場合(ステップS801:YES)、車両検出部10から退出した車両Aが牽引車であることが想定される。したがって、車両判定部22は、退出した車両Aが牽引車か否かを判定する(ステップS802)。車両判定部22は、車両退出パターンDref2に適合した遮光領域変化Dに続く遮光領域変化Dにおいて、遮光されている光線Pが、所定の連結部領域Lj(
図10)に属しているか否かの判定に基づいて、車両Aが牽引車か否かを判定する。
【0052】
ここで、連結部領域Ljとは、
図10に示すように、牽引車通過パターンDref3に規定された高さ方向の領域であって牽引車である車両Aと被牽引車とを連結する連結部Jに対応する領域である。例えば、牽引車である車両Aが車両検出部10を通過し、時刻t3の時点で、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したとする(
図5、ステップS07)。しかし、この時点では、連結部Jの存在により、遮光された光線Pが残っているため(ステップS801:YES)、車両判定部22は、車両Aが「退出した」とは判定しない。この場合、車両判定部22は、車両検出部10から退出した車両Aが牽引車か否かを判定すべく、遮光されている光線Pが、予め規定された連結部領域Ljに属しているか否かの判定を行う(ステップS802)。
図10に示す例では、ステップS802において、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合した(時刻t3)後の時刻t4の時点で遮光されている光線Pが連結部領域Ljに属している。したがって、車両判定部22は、車両Aを牽引車と判定する(ステップS802:YES)。
【0053】
以上のように、遮光されている光線Pが連結部Jに対応する連結部領域Ljに属している場合には、車両判定部22は、退出した車両Aが牽引車であると判定する(ステップS802:YES)。そして、退出した車両Aが牽引車であると判定した場合には、車両判定部22は、牽引車である車両Aに連結された被牽引車が退出するまでステップS800〜S801の処理を繰り返す。この場合において、遮光された光線Pが無くなった場合(ステップS801:NO)、車両判定部22は、被牽引車の退出が完了したものと判断し、牽引車対応処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS07(
図5)で、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したにもかかわらず、遮光された光線Pが残っており、かつ、当該遮光された光線Pが連結部領域Ljに属していない場合(ステップS802:NO)は、車両Aの通過に伴って投光部S1または受光部S2にゴミや泥等の異物が付着したことが想定される。
この場合、異物対応処理部23は、遮光するものが異物か否かを判定し、必要に応じて切り離し処理を行う(ステップS803〜S806)。なお、当該ステップS803〜S806の処理は、ステップS05(ステップS500〜S503)の異物対応処理と同等であるため説明を省略する。
【0055】
(作用効果)
上述の車両進入パターン判定処理(
図6)によれば、車両判定部22は、車両Aが車両検出部10に進入した際に想定される遮光領域Laの経時的変化、即ち、フロント部分の斜面に応じて所定の増加傾向(ΔNa≧ΔNth1)を示しながら、相当の高さ(Na≧Nth1)以上となることをもって、車両Aが車両検出部10に「進入した」と判定する。これにより、車両ではない異物によって光線Pが遮光された場合であっても、車両進入パターンDref1に規定される条件を満たさない限り、車両が進入したとは判定されない。したがって、ゴミや雪等の異物が投光部S1や受光部S2に付着した場合であっても、当該異物による遮光をもって「車両が進入した」と誤検出されることを抑制することができる。
【0056】
また、上述の車両退出パターン判定処理(
図8)によれば、車両判定部22は、車両Aが車両検出部10に退出した際に想定される遮光領域Laの経時的変化、即ち、リア部分の斜面に応じて所定の減少傾向(ΔNa≦ΔNth2)を示しながら、相当の高さ(Na≦Nth2)以下となることをもって、車両Aが車両検出部10から「退出した」と判定する。
【0057】
図11は、第1の実施形態に係る検出制御部の作用効果を説明する第1の図である。
ここで例えば、渋滞のため、
図11(a)に示すように、時刻t7において、車両Aが投光塔101と受光塔102との間の位置で停止した場合を考える。この場合、遮光情報取得部21が逐次取得する遮光領域Laの遮光領域変化Dは、
図11(b)に示すように、時刻t7以降では、遮光領域Laの変化がほとんど生じなくなる。しかし、車体の側面形状の境界αの位置に対応する受光部S2は、例えば、ワイパーの動作や車体の振動等に起因して遮光及び非遮光を繰り返すため、
図11(b)に示すように、遮光領域Laの微小変化dが検出される場合がある。
【0058】
本実施形態に係る検出制御部20によれば、車両判定部22は、
図11(b)に示す時刻t6の時点で車両Aが車両検出部10に進入したことを検出している(
図5、ステップS04)。そのため、時刻t6以降の時刻t7において、車両Aが投光塔101と受光塔102との間に停止した場合であっても、車両判定部22は、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したと判定されない限り退出したとはみなさない(
図5、ステップS06、S07)。したがって、例えば、車両Aの停止中にワイパーの動作や車体の振動に基づく遮光領域Laの微小変化dが起こったとしても、車両判定部22は、このような微小変化dをもって遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に適合したと判定することはない。よって、車両判定部22は、車両Aの停止中にも関わらず「車両Aが退出した」と誤って検出することを抑制することができる。
また、検出制御部20によれば、時刻t6の時点で、車両Aが進入したことを検出している以上、当該車両Aの退出が検出されない限り、異物が付着しているか否かの判定(異物判定処理)が実施されることはない(
図5、ステップS03〜S09)。そのため、車両Aが投光塔101と受光塔102との間に停止している最中に、所定回数以上継続して同一の遮光領域Laが検出された場合であっても、当該遮光領域Laに属する受光部S2が「異物によって遮光されている」と誤判定することもない。したがって、検出制御部20は、当該誤判定に基づく切り離し処理により受光部S2の切り離し処理が行われることも回避することができる。
【0059】
また、上述の異物対応処理(
図7)によれば、異物対応処理部23は、異物が投光部S1又は受光部S2に付着した際に想定される遮光領域Laの経時的変化、即ち、所定時間(所定サンプリング回数)の間、継続して同一の光線Pを遮光し続けることをもって、投光部S1又は受光部S2に異物が付着したと判定する。
【0060】
図12は、第1の実施形態に係る検出制御部の作用効果を説明する第2の図である。
ここで例えば、
図12(a)に示すように、位置βに位置する受光部S2に、泥、レシート、落ち葉等の異物Cが付着した場合を考える。この場合、異物Cが付着した時刻t8において遮光が検出されるため、検出制御部20は、車両退出パターン判定処理(
図5、ステップS02)を実施する。しかし、異物Cの付着に基づく遮光領域変化Dが車両進入パターンDref1に適合しないと判定される結果、異物対応処理部23が、直ちに、異物対応処理(
図5、ステップS05)を実施する。
ここで、
図12(b)に示すように、異物判定部231は、時刻t9から時刻t10までの時間(サンプリング時間Δt×8)を経て、遮光領域Laが変化していないことを検出する(
図7、ステップS501、S502)。その結果、切り離し処理部232が、時刻t10において、位置βに対応する受光部S2の切り離し処理を実施する(
図7、ステップS503)。
以上のような処理によれば、検出制御部20は、付着した異物Cと、その他の要因(落下中の雪や“ひょう”、あるいは、飛行する鳥や虫等)と、を精度よく判別し、投光部S1又は受光部S2における「異物の付着」によってのみ切り離し処理を実施する。これにより、異物により光線Pが遮光されている受光部S2からの検出信号に起因して、車両の進入が誤検出されたり、車両が退出したにもかかわらず退出が検出されなかったりすることを防止できる。また、瞬間的、一時的な遮光(落下中の雪や“ひょう”等に起因するもの)に対しては、切り離し処理が実施されることがないので、切り離しされる受光部S2の数を必要最小限に抑えることができ、車両の検出精度の低下を抑制することができる。
【0061】
また、上述の牽引車対応処理(
図9)によれば、車両判定部22は、牽引車が車両検出部10を通過した際に想定される遮光領域Laの経時的変化、即ち、連結部Jが配されると想定される領域(連結部領域Lj)に属する光線Pが遮光されることをもって、通過した車両Aが牽引車であると判定する。これにより、例えば、投光塔101と受光塔102との間に連結部Jが存在する状態(例えば、
図10に示す時刻t4)で車両Aが停止した場合であっても、遮光されている光線Pが連結部Jに対応する領域(連結部Lj)に属している限り、当該光線Pに対応する受光部S2が切り離される処理はなされない。また、車両判定部22は、車両Aに牽引される被牽引車が退出するまでは車両Aの退出を検出しない。したがって、牽引車及び被牽引車全体で1台と見なされるため、通過する車両Aの台数(1台か2台か)の誤認を抑制することができる。
このように、車両検出装置1は、遮光領域変化Dが車両退出パターンDref2に規定された条件を満たした後、更に、牽引車通過パターンDref3に規定された条件を満たす場合には、車両Aが牽引車であると判定する。これにより、通過する車両が牽引車であることを判別可能となるので、牽引車が被牽引車と連結されていることに起因して、車両の通過を誤って検出する(車両がまだ車両検出エリアにおり、通過完了していない状態にもかかわらず、「通過完了」と判定する)ことを抑制することができる。
【0062】
以上、本実施形態に係る車両検出装置1によれば、上述の車両進入パターン判定処理、車両退出パターン進入処理、異物対応処理、及び、牽引車対応処理に基づいて、遮光領域の経時的変化(遮光領域変化D)が、標準変化パターンと適合するか否かに応じて車両の通過を検出するので、通過する車両を精度よく検出できる。
【0063】
(第1の実施形態の変形例について)
なお、
図6、
図8のそれぞれに示す車両進入パターン判定処理、及び、車両退出パターン判定処理の具体的な処理フローは、一例であって、
図6、
図8に示す処理フローには限定されない。
【0064】
図13は、第1の実施形態の変形例に係る車両判定部の処理内容を説明する図である。
第1の実施形態の変形例に係る車両判定部22は、車両の通過に伴って変化する受光部S2の検出信号の変化パターンであって予め記録されたもの(
図13(a))と、車両A通過時において現に取得される遮光領域変化D(
図13(b))と、の一致度を算出するとともに、当該一致度に基づいて車両の進入及び退出を検出してもよい。この場合、予め記録された受光部S2の検出信号の変化パターン(
図13(a))が、標準変化パターンDrefに相当する。
また、標準変化パターンDrefは、例えば、自動車市場に存在する車種別、又は、代表的な車体形状を有する車両別に、予め複数記録されていてもよい。この場合、車両判定部22は、車両Aの進入及び退出に伴って取得された遮光領域変化Dが、車種別に対応する複数の標準変化パターンDrefのうちの少なくとも一つと適合することをもって、車両の進入及び退出を検出するものとする。例えば、車両判定部22は、車両Aの進入に伴って逐次取得される遮光領域変化Dと、予め車種別に記録された複数の標準変化パターンDrefと、の比較を順番に行い、適合しない場合は、別の標準変化パターンDrefとの比較を行う。この場合、車両判定部22は、逐次取得される遮光領域変化Dが、複数の標準変化パターンDrefのいずれかと適合するまで、繰り返し比較を行うものとする。
なお、上述の処理は一例に過ぎず、車両判定部22は、他の異なる処理を経て、遮光領域変化Dがいずれの標準変化パターンDrefに適合するかを判断してもよい。例えば、車両判定部22は、車両Aの進入から退出にかけて取得された一連の遮光領域変化Dについて、複数の標準変化パターンDrefと逐次比較を行い、一つの完全一致する標準変化パターンDrefが特定されるまで比較を繰り返すようにしてもよい。
また、車両判定部22は、車両Aの進入から逐次取得される遮光領域変化Dが、ある程度の「許容幅」が設けられた複数の標準変化パターンDrefとの比較を繰り返し行いながら適合する標準変化パターンDrefの候補を絞り込んでいくようにしてもよい。
【0065】
なお、一致度の算出手法として、例えば、車両判定部22は、車両Aの進入時の最初(時刻t11)に検出された遮光領域Laと、標準変化パターンDrefに規定された基準時刻t_refに対応する遮光領域La_refと、の一致率p10を取得する。車両判定部22は、同様の処理を、サンプリング時間Δt経過ごとに実施し、時刻別の比率p11、p12、・・・を取得する。また、車両判定部22は、取得する一致率p10、p11、p12、・・・の各々が所定の判定閾値以上か否かを、逐次判定し、当該判定閾値以上となることを所定回数(例えば、8回)継続して満たした場合に、「車両Aが進入した」と判定する。
なお、この場合、車両Aの走行速度によっては、取得される遮光領域変化Dが変化し得る。そのため、予め規定される標準変化パターンDrefは、料金収受施設への進入時における車両Aの通常の速度(20〜30km/h)に基づいて規定されるものとしてもよい。
【0066】
また、上記変形例によれば、車両判定部22は、車両Aの車両検出部10への進入に基づいて取得される遮光領域変化Dが、予め記録された複数の標準変化パターンDrefの何れに適合するかを識別できる。したがって、適合した標準変化パターンDrefに対応する車両が属する車種のカテゴリ(普通車、大型車、特大車等)を特定することができる。これを利用して、車両判定部22は、車両Aの通過に応じて取得された遮光領域変化Dが、車種別に規定された複数の標準変化パターンDrefの何れに適合するかの判定結果に基づいて、車両検出部10を通過する車両Aの車種を識別し、他の各種装置に通知してもよい。これにより、料金収受処理において必要な車両別の車種の特定を実現することができる。
【0067】
また、検出制御部20は、料金収受施設に別途設置された車両速度計測手段を通じて、車両検出部10の通過時における車両Aの走行速度を取得してもよい。この場合、車両判定部22は、車両Aの通過に応じて取得された遮光領域変化Dが標準変化パターンDrefに適合するか否かの判定条件を補正する。
具体的には、車両判定部22は、光軸増加数判定閾値ΔNth1、光軸減少数判定閾値ΔNth2を、車両Aの走行速度に応じて増減させる。例えば、車両Aが相対的に低い速度で通過した場合、サンプリング時間Δtおきに取得される遮光領域Laの経時的変化ΔLa(
図4参照)は相対的に小さい値となる。一方、車両Aが相対的に高い速度で通過した場合は、サンプリング時間Δtおきに取得される遮光領域Laの経時的変化ΔLaは相対的に大きい値となる。したがって、車両判定部22は、光軸増加数判定閾値ΔNth1、光軸減少数判定閾値ΔNth2を取得した車両Aの走行速度に比例するように増減させてもよい。このようにすることで、標準変化パターンDrefに規定される各種条件(即ち、ΔNth1、ΔNth2)が、車両Aの走行速度に応じた適切な条件となるように、車両Aの通過中においてリアルタイムに補正されるので、車両Aの通過に応じて取得される遮光領域変化Dと、標準変化パターンDrefと、が適合しているか否かの判定精度を高めることができる。
なお、車両速度計測手段とは、例えば、一般的なスピード計測器であってもよいし、車線L上に設置され、踏圧を検知可能な踏圧検知センサを具備する踏板であってもよい。後者の場合、車両判定部22は、例えば、上記踏板において車線方向に並べられた複数の踏圧検知センサが出力する踏圧検知信号を受け付けたタイミングの時間差に基づいて、走行する車両の速度を算出してもよい。
【0068】
また、異物判定処理で用いられる異物付着パターンDiに規定される条件も適宜変更可能である。例えば、異物付着パターンDiに規定する条件として、同一の遮光領域Laが継続して検出される回数は、8回には限定されない。
【0069】
また、上述の各実施形態における検出制御部20の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより工程を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。