特許第6369838号(P6369838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369838
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】安全装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20180730BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/02
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-540200(P2015-540200)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公表番号】特表2015-533440(P2015-533440A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】GB2013000462
(87)【国際公開番号】WO2014068266
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年10月12日
(31)【優先権主張番号】GB1219688.7
(32)【優先日】2012年11月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515117637
【氏名又は名称】スカンスカ ユーケー ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】オヨス・アレックス
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−104339(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02486012(GB,A)
【文献】 特開2011−213343(JP,A)
【文献】 特開2012−027959(JP,A)
【文献】 特開平06−044478(JP,A)
【文献】 実開平04−011050(JP,U)
【文献】 特開2010−094375(JP,A)
【文献】 特開平05−233967(JP,A)
【文献】 特開平06−094561(JP,A)
【文献】 実開昭52−036976(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 1/00− 5/00
35/00−99/00
G01L 1/00− 1/26
25/00
G08B 19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全フック上に組み込み可能な荷重検知センサと、荷重状態信号を伝達するように構成された送信機と、荷重状態信号を解析する処理手段と、荷重状態信号を受信するとともに処理手段に動作可能に接続される受信機と、通知を生成するように構成された警報手段と、送信機、受信機及び処理手段にエネルギーを供給する電源とを備え、
荷重検知センサは、安全フックの構造的完全性を変えることなく安全フック上に取り付けられるか若しくは収縮包装されることにより安全フック上に組み込まれており、
荷重検知センサは、警報手段に通知を生成させるべく送信機によって受信機へ送信されて処理手段によって解析される荷重状態信号を使用時に生成し、
警報手段は、荷重を検出しないとき若しくは安全フックが安全ラインに接続されているときに第1の通知を生成するとともに、所定の閾値よりも大きな荷重が検出されたとき若しくは安全フックが取り外されているときに第2の通知を生成する、安全装置。
【請求項2】
荷重検知センサが圧力センサである、請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
圧力センサが圧電センサである、請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
圧力センサは量子トンネル複合材料を備える、請求項2に記載の安全装置。
【請求項5】
荷重検知センサは、第1及び第2の自己通電スイッチに動作可能に接続されたケーブルを備え、第1の自己通電スイッチは、ケーブルが引っ張られた状態にあるときに作動するよう構成され、第の自己通電スイッチは、ケーブルが弛緩状態にあるときに作動するよう構成されている、請求項1又は2に記載の安全装置。
【請求項6】
第2の安全フックの構造的完全性を変えることなく第2の安全フック上に取り付けられるか若しくは収縮包装されることにより第2の安全フックに組み込み可能な第2の荷重検知センサをさらに備える、請求項1〜5のいずれかに記載の安全装置。
【請求項7】
警報手段が、可視通知、可聴通知、若しくは可視及び可聴通知を生成するよう構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の安全装置。
【請求項8】
所定の時間閾値を経過した後に警報を生成するように構成されたタイマーをさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の安全装置。
【請求項9】
所定の時間閾値を経過した後に警報を生成するように構成されたカウンタをさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の安全装置。
【請求項10】
警報手段は少なくとも1つのLED光である、請求項1〜9のいずれかに記載の安全装置。
【請求項11】
送信機は、少なくとも一つの自己通電スイッチを備える、請求項1〜10のいずれかに記載の安全装置。
【請求項12】
処理手段、受信機及び警報手段は、単一のビーコンに備えられている、請求項1〜11のいずれかに記載の安全装置。
【請求項13】
さらに作動手段を備える、請求項11に記載の安全装置。
【請求項14】
荷重検知センサは、プラスチック層を収縮包装することによって安全フック上に組み込まれている、請求項1〜13のいずれかに記載の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全システムで使用するための改良可能な安全装置に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、建設安全システムで使用するための安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
英国の健康安全局(HSE)の説明によれば、高所からの落下が、全国の職場における致命的な負傷の最大の原因であり、さらに、それは建設部門での作業に関連した死亡の約50%を占めている。また、骨折や頭蓋骨骨折など4,000を超える主要な負傷が建設業界によって毎年HSEに報告され、これらの深刻な負傷の約50%が高所からの落下が原因である。安全ベルト、フック及びセキュリティラインのような安全装置は長年業界で使用されているが、実際には、安全装置が外されている間に仕事を行っている労働者の割合が高い。HSE及び業界の雇用者は、安全規制の遵守を改善し、転倒による死亡やけがを防ぐための措置を講じてきた。例えばHSEは、ある人が現場で安全装置を誤って使用していることを発見した場合、契約者に重い罰金を課税している。しかし、大規模な建設プロジェクトでは常に安全規則と運用に準拠していることを確認するために継続的に労働者を監視することは非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、建設業界では、他の産業部門よりも多くの死亡を引き起こすことが続いている。したがって、安全装置の使用を監視することを可能にする安全システムが提案されている。例えば、EP2314354は、安全システムと安全ベルトを開示している。この安全ベルトは、接続部材と、ロープと、取付部と、フックと、荷重検知部とを備えている。荷重検知部は、負荷が接続部に適用されるか否かを検出するとともに、制御装置へ送られる荷重検知信号を生成するように構成される。制御装置は荷重検知信号を受信するように構成された受信ユニットと、警告又は警報を提供するように構成された報知ユニットとを備える。このシステムでは、制御装置は、荷重検知信号に基づいて、ユーザまたは安全ベルトの状態の状況を決定し、負荷が検出された場合、または安全ベルトが切断された場合、報知部は、可視または可聴警報を提供する。
【0004】
EP2314354及び他の公知のシステムによって提案されたシステムの欠点は、そこに記載された構成要素が標準ではなく、製造コストが非常に高いということである。さらに、その構成要素は、欧州連合(EU)や米国などの法域における承認に必要な厳密な機能及び構造試験の対象となっていない。結果的に、EP2314354に記載されたフックやラインが標準フックやカラビナ並びに標準ラインによる負担応力に耐えることができるかどうかは不明である。また、欧州の建設業界で使用するための安全装置は、IP65に準拠する必要があり、つまり、器具が完全にほこりの侵入から保護されなければならず、また、任意の方向からの高圧水噴流に対して保護されなければならない。
【0005】
従って、本発明は、安全基準及び浸入保護(IP)基準、構成要素及び構造基準に適合するとともに、従来のシステムよりも製造が安価である安全システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、安全フック上に組み込み可能な荷重検知センサと、荷重状態信号を伝達するように構成された送信機と、荷重状態信号を解析する処理手段と、荷重状態信号を受信するとともに処理手段に動作可能に接続される受信機と、通知を生成するように構成された警報手段と、送信機、受信機及び処理手段にエネルギーを供給する電源とを備え、荷重検知センサは、送信機によって受信機へ送信されて処理手段によって解析される荷重状態信号を生成するように構成され、荷重状態信号が荷重を検出しないこと若しくは安全フックが接続されていることを示す場合に、警報手段が動作しないか若しくは第1の通知を生成するが、荷重状態信号が荷重を検出したこと若しくは安全フックが取り外されていることを示す場合には、警報手段が第2の通知を生成する、安全装置が提供される。好ましくは、荷重検知センサは圧力センサである。好ましくは、圧力センサは、圧電センサであるか、または量子トンネリル複合材料を備えるか、若しくは、第1及び第2の自己通電スイッチに動作可能に接続されたケーブルを備え、第1の自己通電スイッチは、ケーブルが引っ張られた状態にあるときに作動するよう構成され、第の自己通電スイッチは、ケーブルが弛緩状態にあるときに作動するよう構成されている。
【0007】
別の好ましい実施形態では、警報手段が、可視通知、可聴通知、若しくは可視及び可聴通知を生成するよう構成されている。好ましくは、警報手段は、少なくとも1つのLED光である。
【0008】
好適には、安全装置は、所定の時間閾値を経過した後に警報を生成するように構成されたタイマー、若しくは、所定の時間閾値を経過した後に警報を生成するように構成されたカウンタを備える。
【0009】
好ましい実施形態において、送信機は、少なくとも一つの自己通電スイッチを備える。好ましくは、処理手段、受信機及び警報手段は、単一のビーコンに含まれている。より好ましくは、安全装置は作動手段(アクティベート手段)を備える。
【0010】
本発明の第二の態様によれば、荷重検知センサとプラスチック層とを備え、荷重検知センサが安全フック上に固定されるように熱でプラスチック層を収縮包装することによって安全フック上に組み込まれている、安全フックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る荷重検知センサを備えた安全フックを示す図。
図2】本発明の第2の実施形態に係る荷重検知センサを備えた安全フックを示す図。
図3a】本発明の第3実施形態に係る荷重検知センサを備えた安全フックを示す図。
図3b】使用中の図3aの安全フックを示す図。
図4】本発明の実施形態に従った処理手段を示す図。
図5】本発明の別の実施形態に従った処理手段を示す図。
図6】本発明に従って処理手段と荷重検知センサーとを有する安全フックをそれぞれ持つ4人の労働者の状態を表示するためのコンピュータセキュリティシステムの概略図。
図7】本発明に係る処理手段により監視される論理ステップの一例のブロック図。
図8図4,5,6及び7の処理手段に接続された一対の負荷検知センサーによって監視される論理ステップの一例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照しながら、単なる一例として説明する。
【0013】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係る安全フック1が示されている。安全フック1は、QTC(RTM)のような量子トンネル複合材料が組み込み、被覆又は含浸された収縮性ポリマープラスチック材料(例えば、ポリオレフィンなど)の層によって形成された荷重検知センサ5で改良された上部を有する。この形式の複合材料は、圧力スイッチ及び検出のためにトンネル効果を用いるエラストマー結合材(例えばシリコンゴム)と導電性フィラー粒子(例えば高導電性金属)との混合物である。量子トンネル複合材料は、圧力下に置かれると電気絶縁体から導体に変化する性質を有し、圧力が存在しない場合は導電性金属の原子間距離が大きすぎて電気を伝導しないが、圧力が印加されると導電性原子が集合して複合材料を介して電気を伝導するする。したがって、これらの材料は、圧縮、引っ張り又はその他のストレスによる非常に小さな変化でも検出することができる。本発明においては、荷重検知センサ5は、フックに適用される荷重により生じる圧力変化を検出することができる。
【0014】
上記の荷重検知センサ5は、フックの上部に収縮包装するに適したヒートガンなどの方法で単純に熱を加えることによって、カラビナ、アセンダ、ディセンダ、落下防止装置、クレーンフック及び足場フックのような標準的なフック1上に収縮させることができる。送信機3が、荷重検知センサに接続されるか、又は荷重検知センサに含まれている。使用時に、荷重検知センサ5は、ロープ又はストラップにフック1を取り付けることによって生じる圧力変化を感知し、処理手段に動作可能に接続された受信機に対し送信機3によって送信される第一の荷重状態信号を生成する。処理手段は、該荷重状態信号を解析して、警報手段がフックが固定されていることを示す信号(例えば、可視緑色光)又は通知を生成することを許容する。足場からの落下によって生じるようなより重い荷重が印加されることで圧力が再び変化すると、荷重検知センサー5は第二の荷重状態信号を生成する。第二の荷重状態信号が処理手段によって解析されると、例えば可聴アラームなどの第二の通知が警報手段によって生成されて、重い荷重がフックに印加されたことを使用者並びにその周囲の人々が認識可能となる。
【0015】
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態に係る荷重検知センサ7を備える安全フック1が示されている。本実施形態においては、荷重検知センサは、圧力変化に応答して電気信号または電荷を生成するように構成された圧電センサである。荷重検知センサ7は、標準安全フック1に付設された剛性プレートに取り付けられている。送信機3もまた上記プレートに取り付けられている。使用時には、本実施形態の安全装置は、第1の実施形態の安全装置に関連して説明したのと同じように動作する。
【0016】
図3a及び図3bを参照すると、本発明の第3の実施形態に係る荷重検知センサ9が示されている。この特定の実施形態では、荷重検知センサ9は、標準安全フック1に付設された剛性プレートに取り付けられた第1及び第2の自己通電スイッチを備え、各自己通電スイッチはスチールケーブル9aに作動可能に接続されている。荷重状態信号を中継するように構成された送信機3も、剛性プレートに取り付けられている。使用時には、第一の自己通電スイッチは、スチールケーブル9aが引っ張られると作動するよう構成されており、安全フック1がライン10に接続されると、第1のスイッチが作動して送信機3によって処理手段に中継される荷重検知信号が生成される。一方、第2の自己通電スイッチは、スチールケーブル9aが弛緩状態にあるときに作動するよう構成されており、スチールケーブル9aが弛緩されると、第2の自己通電スイッチが作動して第2の荷重検知信号が送信機によって処理手段に中継される。
【0017】
図4は処理手段2を有する処理ユニットすなわちビーコン4を示しており、ビーコン4は、作動スイッチのような作動手段14と、ビーコンを標準的なハーネスに取り付けるための金属製リング17を受け入れる開口部13とを備えている。警報手段12(図示例では超高輝度LED)は、ビーコン4の端部に固定されている。さらに、ジップタイ16がビーコン4を適切な開口部13を持たない衣服などの物に固定するために設けられている。図1に関連して既に述べたように、処理手段2が受信機に動作可能に接続され、受信機は送信機3から荷重状態信号を受信する。処理手段は荷重検知センサー5,7,9からの荷重検知信号を解析して出力信号を生成し警報手段を制御するように構成され、安全フック1が安全ラインに接続されているかどうか及び/又は所定の閾値よりも大きな荷重が荷重検知センサー5,7,9に印加されたかどうかを示すように特定の範囲の通知又は信号が生成される。本発明の本実施形態に係るビーコン4は、図1、2、3a及び3bに示すように、荷重検知センサー5,7,9のどれでも用いることができる。ビーコン4は、ビーコン4は、単三電池(AAバッテリー)などの標準バッテリーで電源供給される。特に本実施形態では、ビーコン4は、作動スイッチ14と、使用者が作動スイッチ14を押すことにより非動作状態から動作状態へビーコン4を作動させることを許容するよう構成されたカウンターとを備えている。ビーコン4が動作可能になるとすぐに、カウンターは所定の時間間隔(例えば3ヶ月)を計測し、所定の時間間隔が経過すると処理手段2に時間経過信号を送信する。本実施形態では、さらに、処理手段2は、時間経過信号を解析して時間出力信号を生成するように構成されており、時間出力信号は、警報手段に可視、可聴若しくはその両方が可能な時間経過警報を生成させ、バッテリーの寿命が経過したことを通知する。処理手段はバッテリーを監視して残電力が十分ではないことを検出すると時間出力信号を生成する。すなわち、バッテリーが低残量で動作して、警報手段が可視、可聴若しくはその両方の時間経過警報を生成することで、バッテリーを交換すべきことを使用者に警報する。安全装置は一般的に3ヶ月ごとに点検され、バッテリーは一般的に約3ヶ月の寿命を持つことが期待されているので、3ヶ月の時間間隔は特に有用である。カウンタは、バッテリが交換されて起動スイッチ14が押されるとリセットするように構成されている。
【0018】
図5を参照すると、第2の形態の処理ユニットが示されている。この実施形態では、処理手段2は処理ユニット内に収容され、処理ユニットは、高輝度LED12と、処理ユニットを標準ハーネス6に固定するための金属製バックプレート20とを備えている。上記したように、処理ユニットは電池によって電源供給され、カウンターを備えることができる。表示手段18が処理ユニットに固定されており、装置検査員が、例えば最終チェックの日付、時刻およびイニシャルや名前を含めた検査メッセージで処理ユニットをマークすることができるようになっている。
【0019】
図6を参照すると、本発明のさらに別の実施形態の概要が示されており、該実施形態では、処理手段2が現場コンピュータのような監視装置30とワイヤレス通信するよう構成され、現場監督のような管理者31が安全装置の使用をリモート監視できるようになっている。図示のように、各人が2つの安全フック1と固有IDでタグ付けされた処理手段2とを着用している4人の現場作業員P1〜P4が示されており、現場のどの使用者が安全ラインに適切に保護されているかどうかを、安全装置の使用をリモート管理する管理人31が判別できるようになっている。図示のように、作業員P1及びP3は、彼らのハーネスに固定された第2のフックに正しく接続され、これら二人の作業員の状態が「安全」と表示された監視装置30に適切な信号がリモート送信される。作業員P2はフック接続されておらず、警報信号が監視装置30にリモート送信される。処理手段2は、作業員が管理人から見えない場合でも作業員がどこにいるか並びに彼/彼女がフック接続されているかどうかを確認するために管理者が作業員と直接話すことを可能にする無線回線を備えている。作業員P4は落下しているように図示されており、その作業員を即座に識別してSOS処理を実行可能な管理者に直接送信される非常信号を生成する。このように、現場で事故が発生すると、管理者は即座にリモートで警告され、迅速かつ適切な対応が容易となる。本実施形態では、処理手段は、処理ユニット内に収容されている必要はなく、例えば安全フック1内に収容されていてもよい。さらに、本実施形態では、警報手段は、処理手段にリモート接続されていてもよい。第2フックの主な目的は、作業員が位置を移動して第1のフックを取り外す前に新しい位置で第2のフックを留めることができるようにすることである。このように、作業員は常に適所に係留される。
【0020】
図7は、本発明に係る処理手段2によって順次処理される論理工程のブロックダイアグラムを示す。図7に示されるように、この装置は、日数カウンタを備えている。最初の工程では、装置は、90日間(すなわち3ヶ月)にわたってカウンタが計数されているかどうかを確認する。その答えがイエスであれば、処理ユニットは、装置をリセットするために使用者が処理ユニットから電池を除去可能にするための例えば点滅光及び音を装置に生じさせ、結果として、カウンタは0にリセットされる。最初の工程の答えがノーであれば、処理ユニットは、電池残量が5%未満であるかどうかを判定する。電池残量が5%未満であれば、処理手段は、電池残量が低いことを使用者に警報するための点灯光及び音を装置に生成させる。電池残量が5%以上であれば、処理手段は、装置が使用されているかどうかを決定する次の工程に進む。もし装置がスリープモードであれば、処理ユニットは、動きを検出するまでループ内の上記工程を繰り返す。一方、動きが検出されれば、処理手段は、フックからの信号を受信したかどうかをチェックする次の工程に進む。何も信号が検出されない場合、処理手段は、ループ内で最初の工程へループバックして、後続の各工程を順次処理する。フックからの肯定信号が検出された場合は、処理ユニットは、その信号が落下状態に関連するかどうかの判定に進む。該信号が落下に関連するとき、処理手段は、使用者が危険な状態にあると現場職員に警報するための点滅光及び大音量アラーム音を装置に生成させる。使用者の安全を確保するために、落下信号が検出されたときはリセットを防止するよう装置を設定することができる。モード。その信号が落下に関連しない場合は、処理ユニットは、その信号が一定または間欠的であるかどうかの判定に進む。信号が5秒以上の間隔を有する場合、処理手段は、フックが不良であるか又は電池残量が5%未満であるとみなし、点灯光と音を装置に生じさせる。信号の検出間隔が5秒未満である場合、処理手段は、使用者が危険な状態であるかもしれないことを現場職員に警報するための点滅光及び音を装置に生じさせる。
【0021】
図8を参照すると、上記図4,5,6及び7に関連して説明した処理手段に接続された一対の荷重検知センサ5,7,9によって追従される論理工程のブロック図が示されている。各センサは、同時に同一の論理ステップを追従する。最初の工程では、処理ユニットは、電池残量が5%以上であるか否かを判断する。電池残量が5%未満の場合、処理ユニットは、フックからの信号を受信しない。電池残量が5%以上であれば、処理手段は、フックセンサが0Nを超える荷重を検出するかどうかの判定に進む。無荷重が検出されない場合、処理手段は、使用者が係留されていないことを装置に通知するための信号を装置に生成させる。荷重が検出された場合、処理手段は、その荷重が5N未満であるかどうかを判定する。フックセンサによって検出された荷重が5N未満であれば、処理手段は、使用者が係留されていることを示す信号を装置に生成させる。検出荷重が5N未満でなければ、処理手段は、荷重が5Nを超えているかどうかを判定する。検出荷重が5Nを超えていない場合は、最初の工程にループバックする。しかし、フックセンサによる検出荷重が5Nを超えていれば、処理手段は、使用者が落下したことを現場職員に通知するための落下信号を装置に生じさせる。この図に示すシステム(装置)は、一対のフックを備えているので、いずれかのフックセンサが落下(すなわち、5Nを超える荷重)を検出すると可視又は可聴アラームを生成するように処理手段を設定しておくことができる。また、処理手段は、いずれのフックもラインに接続されていないことを検出した場合には警報を発生するようにプログラムすることができる。
【0022】
本発明の実施形態のいずれかと共に使用するのに適した送信機3は、433MHzのPCBアンテナを備える。
【0023】
本システムの主な利点であるとともに図6に関連して説明した実施形態の特徴の一つは、管理者が、現場職員による安全規則の遵守と安全装置の使用とが奨励されるように任意の使用者が任意の時点で安全装置を適切に使用しているかどうかを監視できることである。さらに、安全規則が組織的に無視されていることを発見した個々のユーザが規則を守ることができるように職員が安全装置の履歴を評価できるようになる。さらに、現場又はプロジェクトの大きさに関係なく職員がラインに接続されているかどうか並びに事故が発生したかどうかを管理者が常に知ることができるように管理者が安全装置の使用状況をリモートで監視できるようになる。
【0024】
本発明の最大の利点の一つは、標準的な装置の構造的完全性を変えることなく、ハーネス、ランヤード、フック、ネクタイロープなどの標準機器を使用することができることである。また、既存の標準的な装置を改造することは容易であり、その結果、新しい設備に多額の投資をすることが必要とされず、実装コストが比較的安価となる。上記実施形態では単一の安全フックに関連して説明したが、警報手段が2以上のすべてのフックが取り外され、接続され若しくは所定値よりも大きな荷重が2以上のフックの一つに印加されたことを示す信号を警報手段が生成できるように本発明の安全装置(システム)が2以上のフックとともに使用してもよいことは当業者にとって自明であろう。
【0025】
また、本発明は、カラビナ、アセンダ、ディセンダ、落下防止装置、クレーンフック及び足場フックのような異なるタイプのフックとともに使用できることも明かである。
【0026】
また、警報手段によって生成される通知は、異なる色、異なるパターンで点滅する光、可聴アラーム、着色/点滅が組み合わされた光、可聴アラーム若しくは注意を引きつける任意の他の適当な手段であってよいことは明かである。
【0027】
さらに、それはまた、本発明に係る処理及び警告手段は、荷重検知センサとは別のものとして説明したが、本発明に係る荷重検知センサを備える安全フック内にそれらの両方を統合することも可能であり、例えば、第2及び第3実施形態に関連して説明した剛性プレートにそれらを取り付けるか、若しくは、第1実施形態に関連して説明した収縮ポリマープラスチック材料層にそれらを接着することによって一体化できる。
【0028】
さらに、ビーコン及び制御ユニットは、キネティック発電機/マイクロ発電機若しくは太陽光発電セルのような電池以外の任意の適切な電源で駆動できることも明かである。
【0029】
本発明の安全システムは、建設業界での使用に関連して説明してきたが、この安全システムは、産業用足場、クライミング、アブセイリング、セーリング、 ロープレスキュー、産業ロープワーク、窓清掃、及び、安全ベルト及び/又はハーネスが必要とされる他のどのような活動にも使用できることが当業者には明らかである。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8