【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:第32回無機高分子研究討論会予稿集、発行日:平成25年11月07日、発行者:公益社団法人高分子学会 刊行物名:第62回高分子討論会予稿集、発行日:平成25年08月28日、発行者:公益社団法人高分子学会 集会名:第62回高分子討論会、開催日:平成25年09月12日、主催者名:公益社団法人高分子学会
【文献】
Yongjie Li 他,Catalytic performance of Pt nanoparticles on reduced graphene oxide for methanol electro-oxidation,CARBON,2010年,48,1124-1130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記酸が、硝酸、硝酸、塩酸、臭酸、フッ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタン酢酸、過塩素酸、クロム酸塩、二クロム酸塩、および過マンガン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
前記金属イオンが、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン、ルテニウムイオン、および、金イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年、電池に求められる性能の高まりに応じて、電池に使用される電極の酸素還元反応(ORR:oxygen reduction reaction)特性のより一層の向上が求められている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、酸素還元反応特性がより優れた電池用電極の形成に用いられる金属ナノ粒子担持炭素材料を簡便に製造することができる、金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法、および、該方法により製造される金属ナノ粒子担持炭素材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、該金属ナノ粒子担持炭素材料の製造に使用される官能化剥離炭素材料の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、アセチレンブラックを出発原料とした方法により所望の特性を示す金属ナノ粒子担持炭素材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
【0007】
(1) 酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する工程と、
超音波処理が施されたアセチレンブラック、および、金属イオンを混合して、還元処理を施し、金属ナノ粒子が担持された炭素材料を製造する工程とを備える、金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
(2) 前記酸が、硝酸、硝酸、塩酸、臭酸、フッ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタン酢酸、過塩素酸、クロム酸塩、二クロム酸塩、および過マンガン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)に記載の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
(3) 前記金属イオンが、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン、ルテニウムイオン、および、金イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)または(2)に記載の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
(4) 前記金属ナノ粒子の平均粒径が、1〜100nmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法より製造される金属ナノ粒子担持炭素材料を含む電池用電極。
(6) (5)に記載の電池用電極を含む燃料電池。
(7) (5)に記載の電池用電極を含むリチウム空気電池。
(8) (5)に記載の電池用電極を含むマグネシウム空気電池。
(9) (5)に記載の電池用電極を含む亜鉛空気電池。
(10) 酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する工程を有する、官能化剥離炭素材料の製造方法。
(11) 前記酸が、硝酸、硝酸、塩酸、臭酸、フッ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタン酢酸過塩素酸、クロム酸塩、二クロム酸塩、および過マンガン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(10)に記載の官能化剥離炭素材料の製造方法。
(12) 酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する工程と、
超音波処理が施されたアセチレンブラックおよび金属イオンを混合して、還元処理を施す工程とを備える製造方法により製造される金属ナノ粒子担持炭素材料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸素還元反応特性がより優れた電池用電極の形成に用いられる金属ナノ粒子担持炭素材料を簡便に製造することができる、金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法、および、該方法により製造される金属ナノ粒子担持炭素材料を提供することができる。
また、本発明によれば、該金属ナノ粒子担持炭素材料の製造に使用される官能化剥離炭素材料の製造方法を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の金属ナノ粒子担持炭素材料およびその製造方法、並びに、官能化剥離炭素材料の製造方法の好適態様について詳述する。
まず、本発明の特徴点の一つとしては、酸存在下にて、アセチレンブラックに超音波処理を施す工程と、超音波処理が施されたアセチレンブラックに金属ナノ粒子を担持する工程とを備える。酸の存在下、出発原料であるアセチレンブラックに超音波処理を施すことにより、アセチレンブラックを構成するグラフェンシートに酸素含有基などの官能基が導入されると共に、グラフェンシートが剥離(exfoliated)され、その剥離したグラフェンシート間に金属ナノ粒子が担持されると推測される。このような構成をとることにより、粒径の小さい金属ナノ粒子の安定性が向上し、結果としてORR活性に優れた電池用電極が形成されると考えられる。
【0011】
本発明の金属ナノ粒子担持炭素材料の製造方法は、以下の2つの工程を少なくとも含む。
(工程1)酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する工程
(工程2)超音波処理が施されたアセチレンブラック、および、金属イオンを混合して、還元処理を施し、金属ナノ粒子が担持された炭素材料を製造する工程
以下、工程毎に使用される材料や、工程の手順について詳述する。
【0012】
<工程1(超音波照射工程)>
本工程は、酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する工程である。本工程を実施することにより、アセチレンブラックを構成するグラフェンシートが酸化されて酸素含有基(例えば、カルボキシル基、アルデヒド基、アルコール基、ケトン基など)などが導入されて官能基化されると共に、グラフェンシートの一部が剥離(exfoliated)される。
まず、本工程で使用される材料(酸、アセチレンブラックなど)について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
【0013】
(アセチレンブラック)
本工程では、アセチレンを熱分解してつくるカーボンブラックである、アセチレンブラックが使用される。
アセチレンブラックの平均一次粒径は特に制限されないが、製造される電池用電極のORR特性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、10〜100nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。
また、アセチレンブラックの比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、10〜200m
2/gが好ましい。
また、アセチレンブラックの密度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.01〜0.1g/mlが好ましい。
【0014】
(酸)
本工程で使用される酸の種類は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、いわゆる強酸であることが好ましい。なお、強酸とは、pKaが2以下である酸を意図する。
酸の好適な態様としては、本発明の効果がより優れる点で、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、臭酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタン酢酸、クロム酸塩、二クロム酸塩、および過マンガン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、硫酸と硝酸との混合物(特に、王水)がより好ましい。
なお、酸としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を合わせて使用してもよい。
【0015】
(工程手順)
本工程としては、上記酸の存在下、アセチレンブラックに超音波を照射する。
酸とアセチレンブラックとの質量比(アセチレンブラックの質量/酸の質量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1×10
−6〜1×10
−1が好ましく、1×10
−5〜1×10
−2がより好ましい。
【0016】
超音波照射の条件は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、周波数は2〜5MHzが好ましく(より好ましくは、3〜4.5MHz)、温度は15〜198℃が好ましく(より好ましくは、50〜100℃)、照射時間は1〜24時間が好ましい(より好ましくは、3〜10時間)。
なお、超音波照射を行う装置として、例えば、超音波発振機、超音波ホモジナイザー、卓上型超音波洗浄機等の従来公知の超音波装置が挙げられる。
【0017】
上記工程1の後、必要に応じて、超音波処理が施されたアセチレンブラックを洗浄する工程(洗浄工程)を設けてもよい。
洗浄工程で使用される洗浄液の種類は特に制限されず、水や、有機溶媒(例えば、アルコール系溶媒)などが挙げられる。
【0018】
上記工程1を経ることにより、アセチレンブラック中のグラフェンシートを酸化して、ケトン基やアルコール基などの酸素含有基(官能基)が導入された、官能化剥離炭素材料(官能基が導入され、一部のグラフェンシートが剥離した炭素材料)が得られる。言い換えると、グラフェンオキシドが得られる。
なお、従来技術においては、グラフェンからグラフェンオキシドを得るために複数の工程(少なくとも2工程)を経る必要があったが、上記工程であればワンポット(one pot)でアセチレンブラックからグラフェンオキシドを得ることができ、工程の簡略化が可能となる。つまり、上記工程は、官能化剥離炭素材料(グラフェンオキシド)を得る好適な方法ともいえる。
【0019】
<工程2(金属ナノ粒子製造工程)>
本工程は、超音波処理が施されたアセチレンブラックおよび金属イオンを混合して、還元処理を施し、金属ナノ粒子が担持された炭素材料を製造する工程である。超音波処理が施されたアセチレンブラックには酸素含有基が導入されており、該基を介して金属イオンとの相互作用が形成される。金属イオンはその後の還元処理により、金属ナノ粒子となる。
まず、本工程で使用される材料(酸、アセチレンブラックなど)について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
【0020】
(金属イオン)
金属イオンの種類は特に制限されず、公知の金属イオンが用いられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン、ルテニウムイオン、および、金イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、白金イオンがより好ましい。
上記金属イオンの供給源としては、上記金属イオンを含む化合物(例えば、塩化物、炭酸塩、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フッ化物、フルオロ酸(塩)、有機錯化合物など)が挙げられる。
【0021】
(工程の手順)
上述した超音波処理が施されたアセチレンブラックと金属イオンとの混合方法は特に制限されず、通常、溶媒の存在下、超音波処理が施されたアセチレンブラックと、上記金属イオンを含む化合物とを混合する方法が挙げられる。
上記方法で使用される溶媒の種類は特に制限されず、例えば、水や、有機溶媒(例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒など)が挙げられる。
混合条件は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、混合温度は120〜198℃が好ましく(より好ましくは、150〜198℃)、混合時間は12〜48時間が好ましい(より好ましくは、20〜30時間)。
【0022】
次に、上記で得られた混合物に対して、還元処理が施される。還元処理により金属イオンが還元され、金属ナノ粒子が生成される。
還元処理の方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、公知の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、アルコール系溶媒(例えば、エチレングリコールなど))を添加して、必要に応じて加熱する方法や、還元性気体(例えば、水素)中で還元する方法や、超音波処理を施す方法などが挙げられる。
【0023】
上記工程2の後、必要に応じて、金属ナノ粒子が担持された炭素材料を洗浄する工程(洗浄工程)を設けてもよい。
洗浄工程で使用される洗浄液の種類は特に制限されず、水や、有機溶媒(例えば、アルコール系溶媒)などが挙げられる。
【0024】
<金属ナノ粒子が担持された炭素材料(金属ナノ粒子担持炭素材料)>
上記処理により、金属ナノ粒子が担持された炭素材料が製造される。より具体的には、上記処理により、超音波処理が施されたアセチレンブラックに金属ナノ粒子が担持された炭素材料が得られる。
金属ナノ粒子が担持された炭素材料中における金属ナノ粒子の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、炭素材料(アセチレンブラック)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、15〜25質量部がさらに好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒径は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1〜100nmが好ましく、1〜20nmがより好ましく、1〜10nmがさらに好ましい。
【0025】
上記金属ナノ粒子が担持された炭素材料を用いて形成される電池用電極は優れたORR特性を示す。
電池用電極の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、例えば、上記金属ナノ粒子が担持された炭素材料および溶媒を含む電極形成用組成物を、導電性基板上に塗布して、電極を形成する方法が挙げられる。
上記金属ナノ粒子が担持された炭素材料を用いて形成される電池用電極は、燃料電池、リチウム空気電池、マグネシウム空気電池、亜鉛空気電池、各種有機合成用触媒に好適に用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
<実施例1>
丸底フラスコに、アセチレンブラック(1mg)と、硫酸および硝酸の混合液(10ml、硫酸:硝酸(質量比)=3:1)とを加えて、アセチレンブラックを溶液中に浸漬させた。得られた溶液に対して、室温にて3時間超音波(周波数3.8MHz)を照射した。その後、溶液を蒸留水(100ml)に注ぎ、その後、ナイロンフィルター膜(孔径0.1μm)を用いて濾過し、固形分を回収した。得られた固形分を蒸留水で洗浄し、その後、さらにメタノールで洗浄し、数分乾燥させた。その後、さらに真空オーブン中にて100℃でさらに乾燥して、官能基化されたアセチレンブラック(以後、FABとも称する)を回収した。
【0028】
次に、以下に示す、化学還元法により、得られたFABの表面に白金ナノ粒子を形成した。具体的には、まず、ヘキサクロロ白金(IV)酸(H
2PtCl
6)を0.0443Mで含む水溶液(1.16ml)、脱イオン水(8.84ml)、および、エチレングリコール(40ml)を含む丸形フラスコに、FAB(90mg)を加えた。得られた溶液に対して、4時間超音波照射を行った。その後、得られた溶液を120℃で24時間加熱した。次に、ナイロンフィルター膜を用いて、得られた溶液を濾過し、得られた固形分を水およびメタノールで洗浄した。その後、固形分を100℃で2時間乾燥して、白金ナノ粒子が担持されたFABを得た。なお、アセチレンブラックの質量に対する白金ナノ粒子の担持量は、8質量%であった(つまり、(白金ナノ粒子の質量/アセチレンブラックの質量)×100=8質量%であった)。また、TEM観察より、白金ナノ粒子の平均粒径は2.5nmであった。
【0029】
<実施例2>
ヘキサクロロ白金(IV)酸(H
2PtCl
6)を含む水溶液の使用量を1.16mlから3.27mlに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、白金ナノ粒子が担持されたFABを得た。なお、アセチレンブラックの質量に対する白金ナノ粒子の担持量は、20質量%であった。また、TEM観察より、白金ナノ粒子の平均粒径は4.5nmであった。
【0030】
<実施例3>
ヘキサクロロ白金(IV)酸(H
2PtCl
6)を含む水溶液の使用量を1.16mlから6.54mlに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、白金ナノ粒子が担持されたFABを得た。なお、アセチレンブラックの質量に対する白金ナノ粒子の担持量は、40質量%であった。また、TEM観察より、白金ナノ粒子の平均粒径は6.5nmであった。
【0031】
<電極の作製>
上記実施例1で作製した白金ナノ粒子が担持されたFAB(1.35mg)と、蒸留水(60μl)と、イソプロピルアルコール(40μl)と、5%ナフィオン(15μl、溶媒:イソプロピルアルコール)とをサンプル瓶に入れ、5分間超音波を照射して均一なスラリーを得た。得られたスラリーを、ガラス状炭素電極(5mm直径)上にキャストして、作用電極E1を製造した。
なお、実施例1で作製した白金ナノ粒子が担持されたFABの代わりに、実施例2で作製した白金ナノ粒子が担持されたFABまたは実施例3で作製した白金ナノ粒子が担持されたFABを用いた以外は、上記と同様の手順に従って、それぞれ作用電極E2または作用電極E3を製造した。
また、実施例1で作製した白金ナノ粒子が担持されたFABの代わりに、市販品である20wt% Pt−Graphite(Sigma)を用いた以外は、上記と同様の手順に従って、作用電極C1を製造した。なお、上記市販品は、本発明の製造方法とは異なる方法で作製されている。
【0032】
<サイクリックボルタンメトリー測定(その1)>
上記で得られた作用電極E2またはC1をそれぞれ用いて、サイクリックボルタンメトリー測定(ALS600C)を実施した。
なお、参照極としてAg/AgCl電極、対極としてPt電極、電解液として0.1MのHClO
4を用い、掃引速度:20mV/s、掃引範囲:−0.5〜1.2V(Ag/Ag
+)、温度:室温、空気雰囲気下といった条件で測定を行った。結果を
図1に示す。なお、
図1中、作用電極E2の結果を「20% Pt−FAB」、作用電極C1の結果を「20wt% Pt−Graphite Sigma」と記載する。
図1に示すように、作用電極E2を使用した場合は、0.4〜0.6Vにおいてより大きなピークが確認され、酸素還元反応(ORR)活性がより大きいことが確認された。
【0033】
<サイクリックボルタンメトリー測定(その2)>
上記で得られた作用電極E2またはC1をそれぞれ用いて、サイクリックボルタンメトリー測定(ALC600C)を実施した。
なお、参照極としてAg/AgCl電極、対極としてPt電極、電解液として0.1MのHClO
4を用い、掃引速度:20mV/s、掃引範囲:−0.5〜1.2V(Ag/Ag
+)、温度:室温、空気雰囲気下といった条件で100サイクル掃引し、酸素還元反応(ORR)活性の程度を測定した。結果を
図2に示す。なお、
図2中、作用電極E2の結果を「20% Pt−FAB」、作用電極C1の結果を「20wt% Pt−Graphite Sigma」と記載する。
なお、
図2においては、作用電極E1を用いて1サイクル掃引した際の酸素還元反応(ORR)活性を「100」とした相対値として記載した。酸素還元反応(ORR)活性の程度は、ピーク強度により評価した。
図2に示すように、作用電極E2を用いた場合、100サイクル掃引した後もより高い酸素還元反応(ORR)活性を示すことが確認された。
【0034】
<サイクリックボルタンメトリー測定(その3)>
上記で得られた作用電極E1〜E3をそれぞれ用いて、サイクリックボルタンメトリー測定(ALS600C)を実施した。
なお、参照極としてAg/AgCl電極、対極としてPt電極、電解液として0.1MのHClO
4を用い、掃引速度:20mV/s、掃引範囲:−0.5〜1.2V(Ag/Ag
+)、温度:室温、空気雰囲気下といった条件で500サイクル掃引し、酸素還元反応(ORR)活性の程度を測定した。結果を
図3に示す。なお、
図3中、作用電極E1の結果を「8% Pt−FAB」、作用電極E2の結果を「20% Pt−FAB」、作用電極E3の結果を「40% Pt−FAB」と記載する。
なお、
図3においては、作用電極E3を用いて1サイクル掃引した際の酸素還元反応(ORR)活性を「100」とした相対値として記載した。酸素還元反応(ORR)活性の程度は、ピーク強度により評価した。
図3に示すように、作用電極E3を用いた場合、500サイクル掃引した後もより高い酸素還元反応(ORR)活性を示すことが確認された。