(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明を例示により説明する。
【0010】
図1は、本発明の典型的な一実施形態に従って形成された電気コネクタシステム100の斜視図である。コネクタシステム100は、互いに直接嵌合可能なリセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104を具備する。リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104は、それぞれ回路基板106,108に電気接続される。リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104は、分離可能な嵌合インタフェースで回路基板106,108を互いに電気接続するために用いられる。典型的な一実施形態において、回路基板106,108は、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104が嵌合する際に互いに直交する。他の実施形態では、回路基板106,108が他の方向性をとることも可能である。任意であるが、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104は、回路基板106,108ではなく、ケーブル等に実装されてもよい。
【0011】
リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104を通って嵌合軸110が延びる。リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104は、嵌合軸110と平行且つ嵌合軸110に沿った方向に互いに嵌合する。
【0012】
リセプタクル組立体102は、複数のコンタクトモジュール122を保持する前側ハウジング120を具備する。コンタクトモジュール122は、互いにほぼ平行な積み重ね構成で保持される。リセプタクル組立体102には、任意の数のコンタクトモジュール122を設けてもよい。コンタクトモジュール122はそれぞれ、リセプタクル組立体102を通る信号経路を画定する複数のリセプタクル信号コンタクト124(
図2参照)を有する。
【0013】
リセプタクル組立体102は、嵌合端128及び実装端130を有する。リセプタクル信号コンタクト124(
図2参照)は、前側ハウジング120に受容されると共に、ヘッダ組立体104への電気接続のために嵌合端128で前側ハウジング120内に保持される。リセプタクル信号コンタクト124は、行及び列からなる行列状に配列される。図示の実施形態において、嵌合端128では、行が水平方向を向き、列が垂直方向を向く。他の実施形態では、他の方向性も可能である。行及び列には、任意の数のリセプタクル信号コンタクト124が設けられてもよい。任意であるが、リセプタクル信号コンタクト124は、差動信号を搬送する対に配列されてもよい。リセプタクル信号コンタクト124は、回路基板106に実装するために、嵌合端128から実装端130までリセプタクル組立体102を貫通する。任意であるが、実装端130は、嵌合端128とほぼ直交する方向を向いてもよい。
【0014】
典型的な一実施形態において、各コンタクトモジュール122は、リセプタクル信号コンタクト124用の電気シールドを提供するためにシールド構造体126を有する。コンタクトモジュール122は、実装端130及び嵌合端128間のリセプタクル信号コンタクト124のほぼ全長に沿って、リセプタクル信号コンタクト124の各対用に360°シールドを提供する。典型的な一実施形態において、シールド構造体126は、ヘッダ組立体104や回路基板106に電気接続される。例えば、シールド構造体126は、ヘッダ組立体104と係合するこのモジュール122から延びる延長部(例えば、ビームや指状部)により、ヘッダ組立体104に電気接続されてもよい。シールド構造体126は、接地ピン等の構造により回路基板106に電気接続されてもよい。典型的な一実施形態において、コンタクトモジュール122の一面のシールド構造体126の一部は、コンタクトモジュール122の他面のシールド構造体126の一部に電気接続される。例えば、コンタクトモジュール122の対向する両面のシールド構造体126の一部は、コンタクトモジュール122の内部を貫通する内部延長部(例えば、串(skewer))により互いに電気接続されてもよい。互いに電気接続されたコンタクトモジュール122の両面にシールド構造体126を有することは、シールド構造体126を電気的に共通接続し、コンタクトモジュール122を通る信号伝送の性能を向上させる。
【0015】
前側ハウジング120は、複数の信号コンタクト開口132及び複数の接地コンタクト開口134を嵌合端128に有する。リセプタクル信号コンタクト124は、対応する信号コンタクト開口132に受容される。任意であるが、1個のリセプタクル信号コンタクト124が各信号コンタクト開口132に受容される。信号コンタクト開口132はまた、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104が嵌合する際に、対応するヘッダ信号コンタクト144を内部に受容する。接地コンタクト開口134は、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104が嵌合する際に、ヘッダコンタクト146を内部に受容する。接地コンタクト開口134はまた、ヘッダコンタクト146と嵌合するコンタクトモジュール122のシールド構造体126の延長部(例えば、ビームや指状部)を受容し、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104を電気的に共通接続する。
【0016】
前側ハウジング120は、プラスチック材料等の誘電性材料で製造され、信号コンタクト開口132及び接地コンタクト開口134間を分離する。前側ハウジング120は、ヘッダコンタクト146からリセプタクル信号コンタクト124及びヘッダ信号コンタクト144を分離する。前側ハウジング120は、リセプタクル信号コンタクト124及びヘッダ信号コンタクト144の各組をリセプタクル信号コンタクト124及びヘッダ信号コンタクト144の他の組から分離する。
【0017】
ヘッダ組立体104はヘッダハウジング138を具備し、ヘッダハウジング138は室142を区画する壁140を有する。ヘッダ組立体104は、嵌合端150と、回路基板108に実装された実装端152とを有する。任意であるが、実装端152は、嵌合端150とほぼ平行であってもよい。リセプタクル組立体102は、嵌合端150を通って室142内に受容される。前側ハウジング120は、壁140と係合して室142内にリセプタクル組立体102を保持する。ヘッダ信号コンタクト144及びヘッダコンタクト146は、基壁148から室142内へ延びる。ヘッダ信号コンタクト144及びヘッダコンタクト146は、基壁148を貫通すると共に回路基板108に実装される。
【0018】
ヘッダコンタクト146は、対応するヘッダ信号コンタクト144の周囲を電気的にシールドする。ヘッダ信号コンタクト144は、ヘッダ組立体104上に行列状に配列される。典型的な一実施形態において、ヘッダ信号コンタクト144は、差動信号を伝えるよう構成された複数対に配列される。ヘッダコンタクト146は、ヘッダ信号コンタクト144の対応する対の周囲を取り囲み、電気的にシールドする。図示の実施形態において、ヘッダコンタクト146は、C形状をなしてヘッダ信号コンタクト144の対の3面を覆う。図示の実施形態において、ヘッダコンタクト146は、C形状を区画する3壁及び開放底部を有する。開放底部の下のヘッダコンタクト146は、開口底部を横切るシールドを提供する。このため、ヘッダ信号コンタクト144の各対は、C形状のヘッダコンタクト146及びヘッダ信号コンタクト144の対の下のヘッダコンタクト146を用いて4面すべてが取り囲まれる。従って、ヘッダ信号コンタクト144の各対は、同一列及び同一行内で隣接する対からシールドされる。別の実施形態では、ヘッダコンタクト146の他の構成又は形状も可能である。他の実施形態において、ヘッダコンタクト146は、3個以上の信号コンタクト144を有するコンタクトの組又は個々の信号コンタクト144用にシールドを提供してもよい。
【0019】
図2は、前側ハウジング120内に挿入する態勢にある1個のコンタクトモジュール122を示す、リセプタクル組立体102の分解斜視図である。コンタクトモジュール122は、横並び且つ互いに平行に積み重ねられて挿入される。
図2には、6個のコンタクトモジュール122が図示されるが、別の実施形態では任意の数のコンタクトモジュール122が用いられてもよい。
【0020】
コンタクトモジュール122は、シールド構造体126の少なくとも一部を画定する導電ホルダ154を具備する。導電ホルダ154は、実装端130及び嵌合端128間のリセプタクル信号コンタクト124のほぼ全長に沿ってリセプタクル信号コンタクト124をほぼ取り囲む。導電ホルダ154は、前側ハウジング120内に挿入されるよう構成された前部156、前部156とは反対側の後部157、回路基板106に任意に隣接する底部158、及び底部158のほぼ反対側の頂上部159を有する。また、導電ホルダ154は、右外面160及び左外面162を画定する。
【0021】
導電ホルダ154は、リセプタクル組立体102を電気的にシールドする導電材料で製造される。例えば、導電ホルダ154はダイキャストで形成されてもよいし、或いは金属材料を打抜き加工及び曲げ加工してもよい。他の実施形態において、ホルダ154は、金属化され又は金属層でコーティングされたプラスチック材料で製造されてもよい。
【0022】
リセプタクル信号コンタクト124は、導電ホルダ154の前部156から前方へ延びる嵌合部164を有する。嵌合部164は、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104(
図1参照)が嵌合する際に、対応するヘッダ信号コンタクト144(
図1参照)に電気接続されるよう構成される。典型的な一実施形態において、リセプタクル信号コンタクト124の他端は、コンタクトテール166として導電ヘッダ154の底部158から下方へ延びる。コンタクトテール166は、コンタクトモジュール122を回路基板106に電気接続する。コンタクトテール166は接地ピンとして構成されてもよい。典型的な一実施形態において、嵌合部164は、コンタクトテール166に対してほぼ直交して延びている。
【0023】
リセプタクル信号コンタクト124の内部すなわち被包囲部は、導電ホルダ154内で嵌合部164及びコンタクトテール166間で移行する。リセプタクル信号コンタクト124の第1移行領域165(
図3参照)は、嵌合部164に近接した導電ホルダ154内に位置する。図示の実施形態において、第1移行領域165は、リセプタクル信号コンタクト124が嵌合部164と平行な方向から逸れる、導電ホルダ154の前部156のほぼ内部の領域である。第2移行領域167(
図3参照)は、コンタクトテール166に近接した導電ホルダ154内に位置する。第2移行領域167は、リセプタクル信号コンタクト124がコンタクトテール166と平行な方向から逸れる、導電ホルダ154の底部158のほぼ内部の領域である。
【0024】
典型的な一実施形態において、各コンタクトモジュール122内のリセプタクル信号コンタクト124は、コンタクトモジュール122を通って差動信号を伝送するよう構成されたコンタクト対168として配列される。各コンタクト対168内のリセプタクル信号コンタクト124は、行軸170に沿って延びる複数行に配列される。典型的な一実施形態において、各行軸170は、リセプタクル組立体102内に共に積み重ねられた各コンタクトモジュール122からの1コンタクト対168を有する。嵌合端128では、各コンタクトモジュール122内のコンタクト対168が垂直方向に積み重ねられる。各コンタクトモジュール122の右リセプタクル信号コンタクト124は列軸172に沿って延びており、各コンタクトモジュール122の左リセプタクル信号コンタクト124は列軸174に沿って延びる。コンタクトモジュール122がリセプタクル組立体102内で積み重ねられると、コンタクトモジュール122の列軸172,174は互いに平行に延びる。
【0025】
典型的な一実施形態において、各コンタクトモジュール122は、シールド構造体126の少なくとも一部を画定する第1接地シールド176及び第2接地シールド178を具備する。接地シールド176,178は、導電ホルダ154の外面160,162に沿って配置される。例えば、第1接地シールド176は、導電ホルダ154の右面160に沿って配置されるので、以下では右接地シールド176と称することがある。第2接地シールド178は、導電ホルダ154の左面162に沿って配置されるので、以下では左接地シールド178と称することがある。接地シールド176,178は、リセプタクル信号コンタクト124用に電気シールドを提供するよう構成される。接地シールド176,178は、コンタクトモジュール122をヘッダコンタクト146(
図1参照)に電気接続し、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104(
図1参照)にわたった接続部を電気的に共通接続する。
【0026】
右接地シールド176は、導電ホルダ154の右外面160に結合される。右接地シールド176は、導電ホルダ154に取り付けられる際に、導電ホルダ154に電気接続する。右接地シールド176は、ほぼ平坦であると共に導電ホルダ154と並んで延びる本体180を具備する。右接地シールド176は、本体180の前部192から延びる接地ビーム184及び接地指188を具備する。右接地シールド176はまた、平坦な本体180から内方へ延びる接地串196(
図3参照)を具備する。
【0027】
接地ビーム184は、本体180により画定される平面に対して接地ビーム184が直交するように、本体180の平面から内方に曲げられる。接地ビーム184は、ホルダ154の方へ内方に曲げられる。典型的な一実施形態において、接地指188は、本体180により画定される平面内にほぼ配列されるが、他の実施形態では平面から曲げられてもよい。任意であるが、本体180及び接地指188は垂直方向に延びるのに対し、接地ビーム184は水平方向に延びる。別の実施形態では、他の方向性も可能である。任意の数の接地ビーム184及び接地指188を設けてもよい。
【0028】
左接地シールド178は右接地シールド176と同様である。左接地シールド178は右接地シールド176の鏡面対称版である。左接地シールド178は、導電ホルダ154の左外面162に結合される。左接地シールド178は、ほぼ平坦であると共に導電ホルダ154と並んで延びる本体182(
図3参照)を具備する。左接地シールド178は、本体182の前部194(
図3参照)から延びる接地ビーム186及び接地指190(
図3参照)を具備する。左接地シールド178はまた、平坦な本体182から内方へ延びる接地串198(
図3参照)を具備する。
【0029】
典型的な一実施形態において、左右の接地シールド176,178は金属材料で製造される。接地シールド176,178は、接地指188,190が打抜き加工され、接地ビーム184,186が打抜き加工された後、曲げ加工工程中に本体180,182の平面から曲げられた、打抜き加工及び曲げ加工された部品である。
【0030】
コンタクトモジュール122において、接地シールド176,178の接地ビーム184,186は、導電ホルダ154の前部156から前方に延び、嵌合部164に沿ってリセプタクル信号コンタクト124用のシールドを提供するよう構成される。図示されているように、接地ビーム184,186は、列軸172及び列軸174に沿ってリセプタクル信号コンタクト対168に整列する。各コンタクト対168は、対応する接地ビーム184,186により各行軸170の上下双方をシールドされる。
【0031】
接地ビーム184,186及び接地指188,190は、ヘッダ組立体104(
図1参照)のヘッダコンタクト146(
図1参照)と係合し電気接続されるよう構成され、嵌合時にリセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104を電気的に共通接続する。左右の接地シールド176,178は、ヘッダコンタクト146に複数の冗長接点を提供する。例えば、リセプタクル組立体102及びヘッダ組立体104の嵌合時に、各ヘッダコンタクト146は、2個の接地ビーム184,186及び2個の接地指188,190と係合する。
【0032】
図3は、コンタクトモジュール122の分解斜視図である。図示の実施形態に示される導電ホルダ154は、右ホルダ部材200及び左ホルダ部材202を具備する。コンタクトモジュール122の組立の際に、左右のホルダ部材200,202は、互いに結合して導電ホルダ154を形成する。左右の接地シールド176,178は、左右のホルダ部材200,202にそれぞれ結合する。右接地シールド176は、右ホルダ部材200に係合し右ホルダ部材200に電気接続される。左接地シールド178は、左ホルダ部材202に係合し左ホルダ部材202に電気接続される。串196,198は、ホルダ部材200,202を貫通し、互いに係合して左右の接地シールド176,178、延いては左右のホルダ部材200,202を電気的に共通接続する。
【0033】
右ホルダ部材200は、継目203(
図6参照)で左ホルダ部材202に結合される。ホルダ部材200,202は、互いに向かって内方へ延びて個別の溝208,210をそれぞれ画定するタブ204,206を具備する。タブ204,206は、リセプタクル信号コンタクト124を電気シールドを提供するシールド構造体126の少なくとも一部を画定する。
【0034】
シールド構造体126の一部として、ホルダ部材200,202は、各リセプタクル信号コンタクト124の間且つ各リセプタクル信号コンタクト124の周囲に電気シールドを提供する。例えば、ホルダ部材200,202は、電磁妨害(EMI)や無線周波妨害(RFI)に対するシールドを提供し、他のタイプの妨害に対するシールドも同様に提供する。ホルダ部材200,202は、タブ204,206を用いたリセプタクル信号コンタクト124間と同様にリセプタクル信号コンタクト124の外部の周りにシールドを提供する。この結果、ホルダ部材200,202は、リセプタクル信号コンタクト124のインピーダンス、クロストーク等の電気特性のよりよい制御を可能にする。
【0035】
導電ホルダ154は、リセプタクル信号コンタクト124を含むフレーム組立体212を保持する。コンタクトモジュール122の組立の際に、フレーム組立体212は、左右のホルダ部材200,202の溝208,210に受容される。ホルダ部材200,202は、フレーム組立体212及びリセプタクル信号コンタクト124の周りをシールドする。タブ204,206は、それらがリセプタクル信号コンタクト対168間に配置されて隣接するコンタクト対168間をシールドするように、フレーム組立体212内に延びるよう構成される。別の実施形態では、一方のホルダ部材200又は202がフレーム組立体212全体を収容するタブを有し、他方のホルダ部材202又は200が蓋として機能してもよい。
【0036】
フレーム組立体212は、リセプタクル信号コンタクト124を取り囲み且つ支持する左右1対の誘電体フレーム214,216を具備する。典型的な一実施形態において、各コンタクト対168の一方のリセプタクル信号コンタクト124は右誘電体フレーム214に保持されるのに対し、コンタクト対168の他方のリセプタクル信号コンタクト124は左誘電体フレーム216に保持される。各コンタクト対168のリセプタクル信号コンタクト124は、嵌合部164及びコンタクトテール166間のリセプタクル信号コンタクト124にスキューがないように、ほぼ平行な経路に沿ってフレーム組立体212を貫通する。
【0037】
典型的な一実施形態において、リセプタクル信号コンタクト124は、最初はリードフレーム(図示せず)として共に保持される。リードフレームは、誘電材料でオーバモールドされ誘電体フレーム214,216を形成する。形成された誘電性本体にリセプタクル信号コンタクト124を挿入する等で誘電体フレーム214,216を形成するのに、リードフレームをオーバモールドする以外の製造方法を用いてもよい。
【0038】
接地串196,198は、コンタクトモジュール122の内部に向かって左右の接地シールド176,178の本体180,182から延びる。典型的な一実施形態において、右接地串196は、その接地串196が本体180により画定された平面にほぼ直交するように、内方へ延びる。左接地串198は、その接地串198が本体182により画定された平面にほぼ直交するように、内方へ延びる。
【0039】
組立の際に、右接地シールド176は導電ホルダ154の右外面160に結合され、左接地シールド178は導電ホルダ154の左外面162に結合される。接地シールド176,178は、任意であるが、ホルダ部材200,202と係合してホルダ部材200,202に対して接地シールド176,178を固定するよう圧入を提供する実装突起を具備してもよい。導電ホルダ154は、その左右の面160,162に位置する左右の窓230,232を有する。右窓230は右ホルダ部材200を貫通し、左窓232は左ホルダ部材202を貫通する。接地シールド176,178を導電ホルダ154に結合する際に、接地串196,198は各窓230,232に受容されると共に、導電ホルダ154及びフレーム組立体212内に延びる。
【0040】
典型的な一実施形態において、接地串196,198は、各ホルダ部材200,202を貫通すると共に、左右の接地串196,198が係合して電気接続するフレーム組立体212内に延びる。接地串196,198は、左右の接地シールド176,178間に電気経路を提供し、コンタクトモジュール122の左右の半体を共通接続する。さらに、接地串196,198は、係合が導電ホルダ154に対して左右の接地シールド176,178をしっかりと保持してコンタクトモジュール122の組立構造体を支持するように、係合するよう構成される。
【0041】
典型的な一実施形態において、接地串196,198は、これらの接地串196,198が隣接するリセプタクル信号コンタクト対168間に配置されるように、フレーム組立体212内に延びる。接地串196,198は、リセプタクル信号コンタクト124間を通過するために、リセプタクル信号コンタクト124からずれている。左右の接地シールド176,178間に複数の冗長接点を提供するために、任意の数の接地串196,198を設けてもよい。典型的な一実施形態において、接地串196,198は、接地シールド176,178の前部192,194に近接して各接地シールド176,178に沿って垂直方向に離間する。他の実施形態では、接地シールド176,178の底部又は他の部分に沿った等の他の位置も可能である。任意であるが、左右の接地串196,198は、ほぼ等しい長さであり、共にコンタクトモジュール122内に延びてもよい。或いは、接地串196,198は長さが等しくなくてもよい。例えば、右接地串196は、コンタクトモジュールの内部を端から端まで貫通し、対応する左接地シールド178と係合してもよい。
【0042】
典型的な一実施形態において、接地串196,198は、嵌合部164付近の第1移行領域165に近接した位置でリセプタクル信号コンタクト対168にわたって延びるよう構成される。導電ホルダ154の窓230,232は、導電ホルダ154の前部156に近接して配置される。窓230,232は、フレーム組立体212内に接地串196,198用の経路を提供する。窓230,232は導電ホルダ154のタブ204,206と垂直方向に整列するので、タブ204,206に窓を形成する。というのは、タブ204,206が、ほぼリセプタクル信号コンタクト対168間に配置されるからである。
【0043】
別の一実施形態において、コンタクトモジュール122は、2個の接地シールド176,178を用いる代わりに、右接地シールド176等の1個の接地シールドのみを具備してもよい。接地串196は、フレーム組立体212内に延び、左ホルダ部材202と係合して第1接地シールド176及び左ホルダ部材202間に電気経路を形成する。第1接地シールド176は、右ホルダ部材200と直接係合すると共に右ホルダ部材200に電気接続されてもよい。左ホルダ部材202は、接地串196を介して少なくとも部分的に右ホルダ部材200に電気接続されてもよい。
【0044】
図4は、右接地シールド176の斜視図である。図示の実施形態において、接地串196は本体180を打抜き加工することにより形成され、次に、本体180の平面から接地串196が曲げられる。接地串196は、それらがコンタクトモジュール122(
図2参照)の内部に向かう方向に本体180で画定された平面にほぼ直交して延びるように、本体180から曲げられる。接地串196が平面から曲げられる際に各接地串196が本体180の細長の窓234を残すように、接地串196は打抜き加工及び曲げ加工される。別の一実施形態において、本体180から接地串196を打抜き加工及び曲げ加工する代わりに、溶接又は接着剤を用いる等により、本体180に接地串196を取り付けることにより接地串196を形成してもよい。
【0045】
図示の実施形態において、接地串196は、細長の窓234がリセプタクル信号コンタクト124(
図3参照)と平行な方向に延びるように、打抜き加工及び曲げ加工される。接地串196は、本体180の高さに沿って垂直方向に離間してもよい。リセプタクル信号コンタクト124と平行に接地串196を打抜き加工することにより、垂直方向に接地串196を打抜き加工し、接地串196を下方又は上方に折り曲げるよりも接地串196を長くすることができる。というのは、接地シールド176の全高が制限され、リセプタクル信号コンタクト124は垂直方向に密集しているからである。典型的な一実施形態において、接地串196は、本体180の前部192付近の領域で打抜き加工される。接地串196は、リセプタクル信号コンタクト124の第1移行領域165(
図3参照)にほぼ位置する。この領域は、リセプタクル信号コンタクト124の幾何学的移行領域である。例えば、リセプタクル信号コンタクト124は、第1移行領域165で折り曲げられ又は捩じられはじめ、互いと及び接地シールド176,178とリセプタクル信号コンタクト124との相互作用に変化を生じさせる。接地串196をリセプタクル信号コンタクト124近傍のこのような移行領域に配置することにより、コンタクトモジュール122を通る信号伝送の電気性能が向上する。
【0046】
接地串196は、その末端に嵌合インタフェース238を有する。各接地串196は、末端に近接した位置に嵌合インタフェース238を画定する突起240を具備する。嵌合インタフェース238は、フレーム組立体212、導電ホルダ154及び対応する左接地串198(全て
図3参照)の少なくとも1個と係合するよう構成される。嵌合インタフェース238は、接地シールド176から接地串196を形成する打抜き加工及び曲げ加工の工程の一部として、或いはスエージ加工等の別の工程の一部として形成されてもよい。
【0047】
図5は、左接地シールド178の斜視図である。左接地シールド178は、右接地シールド176(
図4参照)とほぼ同様で右接地シールド176とほぼ鏡面対称である。左接地串198は、本体182を打抜き加工し、次に本体182の平面から接地串198を曲げ加工することにより形成される。各接地串198が本体182の細長の窓242を残すように、接地串198は打抜き加工及び曲げ加工される。
【0048】
接地串198は、その末端に嵌合インタフェース246を有する。各接地串196は、末端に近接した位置に嵌合インタフェース246を画定する突起248を具備する。嵌合インタフェース246は、フレーム組立体212、導電ホルダ154及び対応する左接地串196(全て
図3参照)の少なくとも1個と係合するよう構成される。
【0049】
図6は、コンタクトモジュール122の一部を示す正面断面図である。コンタクトモジュール122が組み立てられると、右ホルダ部材200は継目203で左ホルダ部材202に接続する。継目203は、対応する左右のタブ204,206の接続部で少なくとも部分的に画定される。右溝208は、左溝210と水平方向に整列し、フレーム組立体212(
図3参照)に保持された対応するリセプタクル信号コンタクト対168を収容する。
【0050】
右接地シールド176は導電ホルダ154の右面160に結合され、左接地シールド178は導電ホルダ154の左面162に結合される。右接地串196は、フレーム組立体212(
図3参照)内へ少なくとも部分的に右ホルダ部材200を貫通する。左接地串198は、フレーム組立体212内へ少なくとも部分的に左ホルダ部材202を貫通する。任意であるが、右接地串196は継目203を横切って延びると共に、左接地串198は継目203を横切って延びる。典型的な一実施形態において、左右の接地串196,198は、これらの接地串196,198が互いに重なり係合して、左右の接地シールド176,178を接続する直接的な電気経路を形成するように、フレーム組立体212内に延びる。
【0051】
図7は、コンタクトモジュール122の一部を示す正面断面図である。図示の実施形態は、
図6に示された実施形態の一部を拡大して示される。左右の接地串196,198は、左右のホルダ部材200,202をそれぞれ貫通する。接地串196,198は少なくとも部分的に重なる。
【0052】
図示の実施形態において、接地串196の末端の突起240Aは、導電ホルダ154の頂上159(
図2参照)に向かう方向に延び、コンタクトモジュール122内に接地串196を配置するよう導電ホルダ154と係合する。突起240Bは、接地串198に向かって延びて接地串198と係合する。接地串198の突起248Aは、接地串196に向かって延びて接地串196と係合する。接地串198は、下方に延びる末端ではないがその末端付近に配置された別の突起248Bを有し、接地串196に向かって接地串198を偏倚させるよう導電ホルダ154と係合する。接地串196,198同士が係合すると、コンタクトモジュール122を通って左右の接地シールド176,178を電気的に共通接続する電気経路が形成される。電気接続が維持されることを保証するために、接地串196,198は、互いに対してばね付勢されてもよい。
【0053】
接地串196,198を収容するホルダ部材200,202を通る経路は、接地串196,198の周囲に若干の間隙のみがあるため狭い。この狭い経路は、接地串196,198を支持し、フレーム組立体212及び互いに対して接地串196,198を配置する。狭い経路は接地串196,198を収容するために失われたシールド領域量を低減するので、シールドの有効性は著しく減少しない。
【0054】
接地串196,198はまた、コンタクトモジュール122の分離及び分解に対抗する力を提供することにより、コンタクトモジュール122に構造的安定性を与えるよう構成される。例えば、接地串196,198は、コンタクトモジュール122内で互いに又は他の部材と係合し、各ホルダ部材200,202に対して接地シールド176,178を保持し、継目203でホルダ部材200,202を互いに保持する。突起240B,248Aは、接地串196,198が一旦重なると左右の接地串196,198を一緒に保持するラッチ機能を提供する。
【0055】
図8は、典型的な一実施形態に従って形成された接地シールド250の斜視図である。接地シールド250は、接地シールド176(
図4参照)の代わりに使用されてもよい。接地シールド250は、接地シールド250の前部254に近接した、接地串196(
図4参照)と同様の接地串252と、接地シールド250の底部258に近接した接地串256とを具備する。図示の実施形態において、接地串252,256は、接地シールド250の本体260を打抜き加工及び曲げ加工される。接地串256は、接地シールド250の幅に沿って水平方向に離間する。
【0056】
図9は、典型的な一実施形態に従って形成された接地シールド376の斜視図である。接地シールド376は接地シールド176(
図4参照)と同様である。接地シールド376は、接地シールド176(
図4参照)の代わりに使用されてもよい。接地シールド376は導電材料を打抜き加工及び曲げ加工され、接地串384は接地シールド376の平坦な本体386を打抜き加工及び曲げ加工される。
【0057】
接地串384が本体386で画定される平面から曲げられる際に、各接地串384が本体386に細長の窓388を残すように、接地串384は打抜き加工及び曲げ加工される。細長の窓388がリセプタクル信号コンタクト124の嵌合部164(
図3参照)に直交する方向に延びるように、接地串384は垂直方向に打抜き加工及び曲げ加工される。