(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持片はテーパ面を有し、前記テープ移行手段が前記支持片に沿って搬送されるテープを押圧するときに、当該テープが前記支持片のテーパ面に当たりながら押圧されることにより前記一対の支持プレートの対向面間の間隔を拡大させる、請求項2に記載のテープフィーダ。
前記テープ移行手段は上下方向に移動可能なレバー部材からなり、初期位置から上方向又は下方向に移動することにより、前記第1テープ導入路を搬送されているテープを前記第2テープ導入路に移行させる、請求項1から4のいずれかに記載のテープフィーダ。
前記テープ移行手段は上下方向に移動可能なレバー部材からなり、初期位置から上方向又は下方向に移動することにより、前記第1テープ導入路を搬送されているテープを前記第2テープ導入路に移行させ、
前記レバー部材に、前記初期位置において前記一対の支持プレートのそれぞれの端部に嵌り込む溝を有する係合部を設けている、請求項2から4のいずれかに記載のテープフィーダ。
前記第1テープ送り手段及び前記第2テープ送り手段は、それぞれ前記テープに定ピッチで設けられた孔部に噛み合って当該テープを搬送する第1スプロケット及び第2スプロケットからなる、請求項1から8のいずれかに記載のテープフィーダ。
前記第1テープ導入路と前記第2テープ導入路との間に、テープが前記第1テープ導入路から前記第2テープ導入路へ移行することは許容するが、テープが前記第2テープ導入路から前記第1テープ導入路へ移行することは妨げる移行選択手段を有する、請求項1から9のいずれかに記載のテープフィーダ。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置において、移載ヘッドのノズルのピックアップ位置に部品を供給する方法として、テープフィーダを用いる方法が知られている。この方法は、部品を保持するテープを供給リールから引き出し、部品の実装タイミングに同期させてピッチ送りしてノズルに供給するものである。
【0003】
このようなテープフィーダにおいては、供給リールから引き出されるテープがなくなると、新しい供給リールから引き出されるテープを挿入してテープを切り換えるスプライシング作業が必要である。
【0004】
このスプライシング作業を行うためのスプライシング機構として、本発明者らはこれまでに、
図15に示すようにテープ押え100を用いたスプライシング機構を開発した。このスプライシング機構においては、後続のテープT2を現在使用中のテープT1の上に重なるようにテープ搬送路101に導入し、その先端をスプロケット102の真上に位置させる。スプロケット102の上方にはテープ押え100が配置されており、テープ押え100は弾性力によりテープを押さえる。このとき、スプロケット102の歯は現在使用中のテープT1の孔部にのみ噛み合い後続のテープT2の孔部には噛み合わないようになっている。その後、現在使用中のテープT1の後端がスプロケット102を通過すると、後続のテープT2がテープ押え100に押され、その孔部がスプロケット102の歯に噛み合う。
【0005】
しかし、
図15に示すスプライシング機構では、後続のテープT2が現在使用中のテープT1の上に重なった状態でスプロケット102の真上に位置するので、テープの厚みのバラツキ等によっては、後続のテープT2が現在使用中のテープT1と一緒に搬送されるおそれがあり、スプライシング作業の安定性に若干の問題があった。
【0006】
これに対して特許文献1には、2系統のテープ導入路を有するテープフィーダが開示されている、この特許文献1のテープフィーダによれば、スプライシング作業において現在使用中のテープと後続のテープが一緒に搬送されるという問題は生じない。しかし、特許文献1のテープフィーダでは、2系統のテープ導入路のそれぞれにスプロケット等のテープ送り手段を配置しているので、テープフィーダの構成が複雑となって大型化するとともにコストも高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な構成でスプライシング作業を安定して行うことができるテープフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば以下のテープフィーダが提供される。
(1)部品を保持したテープをピッチ送りすることにより部品を部品実装装置のピックアップ位置に供給するテープフィーダであって、
前記ピックアップ位置に通じるテープ搬送路にテープを導入するためのテープ導入路として第1テープ導入路と第2テープ導入路とを有し、前記第1テープ導入路及び前記第2テープ導入路はそれぞれ下流端で前記テープ搬送路に合流し、
前記テープ搬送路にはテープをピッチ送りするための第1テープ送り手段を配置し、
テープ導入路においては、前記第1テープ導入路側にのみテープを送るための第2テープ送り手段を配置し、
前記第1テープ導入路を搬送されているテープを前記第2テープ導入路に移行させるためのテープ移行手段を有する、テープフィーダ。
(2)前記第1テープ導入路は、対向面間の間隔が拡縮可能に対向配置された一対の支持プレートの少なくとも一方の対向面から内側に突出する支持片によって形成されており、
前記テープ移行手段は、前記支持片に沿って搬送されるテープを押圧することにより、当該テープを前記第2テープ導入路に移行させる、(1)に記載のテープフィーダ。
(3)前記一対の支持プレートの少なくとも一方の対向面に、内側に突出する係止片が形成されており、
前記テープ移行手段は、前記支持片に沿って搬送されるテープを押圧する前に前記係止片を押圧することにより、前記一対の支持プレートの対向面間の間隔を拡大させる、(2)に記載のテープフィーダ。
(4)前記支持片はテーパ面を有し、前記テープ移行手段が前記支持片に沿って搬送されるテープを押圧するときに、当該テープが前記支持片のテーパ面に当たりながら押圧されることにより前記一対の支持プレートの対向面間の間隔を拡大させる、(2)に記載のテープフィーダ。
(5)前記テープ移行手段は上下方向に移動可能なレバー部材からなり、初期位置から上方向又は下方向に移動することにより、前記第1テープ導入路を搬送されているテープを前記第2テープ導入路に移行させる、(1)から(4)のいずれかに記載のテープフィーダ。
(6)前記テープ移行手段は上下方向に移動可能なレバー部材からなり、初期位置から上方向又は下方向に移動することにより、前記第1テープ導入路を搬送されているテープを前記第2テープ導入路に移行させ、
前記レバー部材に、前記初期位置において前記一対の支持プレートのそれぞれの端部に嵌り込む溝を有する係合部を設けている、(2)から(4)のいずれかに記載のテープフィーダ。
(7)前記レバー部材を前記初期位置に付勢する付勢手段を有する、(5)又は(6)に記載のテープフィーダ。
(8)前記一対の支持プレートの少なくとも一方の対向面に、前記レバー部材に形成された係合突起が嵌り込む貫通孔又は凹部が形成されており、
前記係合突起はテーパ面を有し、前記初期位置において前記テーパ面を含む部分が前記貫通孔又は凹部に嵌り込み、前記レバー部材が前記初期位置から上方向又は下方向に移動するときに、前記テーパ面が前記一対の支持プレートの対向面間の間隔を拡大させる、(5)から(7)のいずれかに記載のテープフィーダ。
(9)前記第1テープ送り手段及び前記第2テープ送り手段は、それぞれ前記テープに定ピッチで設けられた孔部に噛み合って当該テープを搬送する第1スプロケット及び第2スプロケットからなる、(1)から(8)のいずれかに記載のテープフィーダ。
(10)前記第1テープ導入路と前記第2テープ導入路との間に、テープが前記第1テープ導入路から前記第2テープ導入路へ移行することは許容するが、テープが前記第2テープ導入路から前記第1テープ導入路へ移行することは妨げる移行選択手段を有する、(1)から(9)のいずれかに記載のテープフィーダ。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテープフィーダは、ピックアップ位置に通じるテープ搬送路にテープを導入するためのテープ導入路として第1テープ導入路と第2テープ導入路とを有するので、現在使用中のテープの送り経路と後続のテープの待機位置を完全に分離することができる。したがって、スプライシング作業において現在使用中のテープと後続のテープが一緒に搬送されるという問題は生じず、スプライシング作業を安定して行うことができる。
【0011】
また、本発明のテープフィーダは、第1テープ導入路を搬送されているテープを第2テープ導入路に移行させるためのテープ移行手段を有するので、テープ導入路においては、第1テープ導入路側にのみテープ送り手段を配置すればスプライシング作業を行うことができる。すなわち、第2テープ導入路側にはテープ送り手段を配置していないので構成が簡単となり、小型化及びコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明のテープフィーダの一実施例を示す全体構成図である。
図1のテープフィーダは、細長い箱型のテープフィーダ本体1内に、以下に説明する各要素を設けて構成されており、部品を保持したテープTをピッチ送りすることにより部品を部品実装装置のピックアップ位置Pに供給する。図示は省略するが、テープTにはその長手方向に沿って所定ピッチ(定ピッチ)で部品が保持されている。
【0015】
テープフィーダ本体1の上部に、ピックアップ位置Pに通じるテープ搬送路2が設けられている。テープ搬送路2の上流側は、第1テープ導入路3と第2テープ導入路4の2系統に分岐している。すなわち、
図1のテープフィーダは、テープ搬送路2にテープTを導入するためのテープ導入路として第1テープ導入路3と第2テープ導入路4とを有し、第1テープ導入路3及び第2テープ導入路4はそれぞれ下流端でテープ搬送路2に合流している。詳細は後述するが、テープTは初め、第1テープ導入路3のテープ導入部3aから導入され、第1テープ導入路3及びテープ搬送路2に沿って案内される。
【0016】
テープ搬送路2の下流端側に、ピックアップ位置Pに向けてテープTを送るための第1テープ送り手段として第1スプロケット5が配置されている。第1スプロケット5の歯はテープTに定ピッチで設けられたテープ送り用の孔部に噛み合い、この第1スプロケット5がピッチ回転することにより、テープをピッチ送りする。第1スプロケット5には複数の中間ギヤ6を介して第1モータ7の回転軸が連結されており、第1モータ7の回転駆動により第1スプロケット5が回転する。この第1スプロケット5の下流側近接位置が部品のピックアップ位置Pとなっている。
【0017】
テープ導入路においては、第1テープ導入路3側にのみ、テープ搬送路2に向けてテープを送るための第2テープ送り手段として第2スプロケット8が配置されている。第2スプロケット8はテープに定ピッチで設けられたテープ送り用の孔部に噛み合い、この第2スプロケット8が回転することにより、テープが第1テープ導入路3に沿ってテープ搬送路2に向けて送られる。第2スプロケット8は、複数の中間ギヤ6を介して第2モータ9の回転駆動により回転する。なお、このテープ導入路部分の詳細構成は
図1では省略しており、後で
図4から
図10によって説明する。
【0018】
図1のテープフィーダにおいては、テープ搬送路2に、第1スプロケット5に向けてテープを送るための第3テープ送り手段として第3スプロケット10が配置されている。第3スプロケット10はテープに定ピッチで設けられたテープ送り用の孔部に噛み合い、この第3スプロケット10が回転することにより、テープがテープ搬送路3に沿って第1スプロケット5に向けて送られる。第3スプロケット10は、複数の中間ギヤ6を介して第3モータ11の回転駆動により回転する。
【0019】
第1モータ7、第2モータ9及び第3モータ11の回転駆動は、制御部12が制御する。第1モータ7、第2モータ9及び第3モータ11の種類は特に限定されないが、本実施例ではエンコーダ付きのサーボモータを使用している、
【0020】
テープ搬送路2において第3スプロケット10の上流側には、テープTに保持された部品を検知するための部品検知センサ13が配置され、この部品検知センサ13の上流側に、テープTの端部を検知するためのテープ端検知センサ14が配置されている。
【0021】
部品検知センサ13は透過式の光センサであり、
図2に示すように、テープ搬送路2を通過するテープTの下面側に配置された発光部13aと、テープTの上面側に発光部13aと対向して配置された受光部13bとを備える。したがって、テープTに保持された部品(図示省略)が部品検知センサ13の光軸位置に来ると、発光部13aからのスポット光が部品により遮られることにより受光部13bの受光量が低下する。この受光部13bからの受光量情報は、制御部12に送信される。制御部12は、部品検知センサ12からの受光量情報に基づき、テープに保持されている部品の有無を検知し、テープの部品終端部の到来を検知する。
【0022】
テープ端検知センサ14は、
図3に示すように、レバー(てこ)14aを使用した機械式センサであり、レバー14aと光学式のセンサ素子14bとを備え、レバー14aの一端はテープ搬送経路2内に位置している。レバー14aの他端はセンサ素子14bの発光部と受光部との間に位置している。そして、レバー14aの一端の位置にテープTの先端が到来すると、レバー14aの一端がテープTの先端によって持ち上げられ、支軸14a−1周りに回転する。これによりセンサ素子14bの発光部からの光が受光部で受光され、センサ素子14bがONとなりテープTの先端が検知される。テープTが通過している間は、レバー14aの一端は持ち上げられたままで、センサ素子14bもONのままである。これによりテープTの存在が検知される。テープTの後端が通過すると、レバー14aの一端が下がる。これによりセンサ素子14bがONからOFFとなりテープTの後端が検知される。これらのテープ端検知センサ14によるテープ端検知情報は、制御部12に送信される。
【0023】
次に、テープ導入路部分の詳細構成を説明する。
図4は、
図1のテープフィーダにおけるテープ導入路部分を示す詳細構成図である。
図5は、
図4において一対の支持プレートのうち手前側の支持プレートを外した状態を示す図である。
図6は
図4のA−A断面による要部の斜視図、
図7は
図4のB−B断面図、
図8は
図4のC−C断面図である。
【0024】
図4から
図6を参照すると、
図1で説明した第1テープ導入路3は、第2スプロケット8を挟むように対向配置された一対の支持プレート15によって形成されている。具体的には、一対の支持プレート15の対向面の下端部から内側に突出する一対の支持片15aによって第1テープ導入路3が形成されている。一対の支持プレート15は、その上部2箇所をピン16で連結することで対向させており、下端部はフリーである。したがって、一対の支持プレート15の対向面間の間隔は拡縮可能である。
【0025】
第2テープ導入路4は、第1テープ導入路3の下方に形成されており、この第1テープ導入路3を搬送されているテープを第2テープ導入路4に移行させるためのテープ移行手段17が第1テープ導入路3の上方に配置されている。
【0026】
テープ移行手段17は、支軸18周りに回転可能なレバー部材17aからなり、コイルばね19によって、第1テープ導入路3(一対の支持片15a)の上方の初期位置に付勢されている。
【0027】
図9は、テープ移行手段17を示す斜視図である。テープ移行手段17を構成するレバー部材17aには、その長手方向の両側面から突出するように一対の係合部17bが形成されている。この一対の係合部17bの上面には、それぞれV字状の溝17cが形成されている。これらの溝17cは、
図4及び
図7に示すようにレバー部材17aが初期位置にあるとき、一対の支持プレート15の下端部に嵌り込む。これにより、レバー部材17aが初期位置にあるときは、一対の支持プレート15の対向面間の間隔が拡大することが防止され、テープが第1のテープ導入路3から落下して外れることを防止できる。なお、一対の支持プレート15の下端部において溝17c(一対の係合部17b)が嵌り込む部分には切欠き15bが形成されており、この切欠き15bに一対の係合部17bが嵌り込む
ことで、一対の係合部17bによって第1テープ導入路3が遮断されないようにしている。
【0028】
図9に戻って、レバー部材17aの先端側(
図9において手前側)と基端側(
図9において奥側)には、それぞれ長手方向の両側面から突出するように一対の第1係合突起17dと一対の第2係合突起17eが形成されている。これら一対の第1係合突起17d及び一対の第2係合突起17eは、それぞれテーパ面17d−1及び17e−1を有する。
【0029】
一対の第1係合突起17dは、
図4及び
図8に示すようにレバー部材17aが初期位置にあるとき、そのテーパ面17d−1を含む部分が、一対の支持プレート15に形成された一対の貫通孔15cに嵌り込む。一対の第1係合突起17eも同様に、レバー部材17aが初期位置にあるとき、そのテーパ面17e−1を含む部分が、一対の支持プレート15に形成された一対の貫通孔15dに嵌り込む。なお、貫通孔15c,15dは、テーパ面17d−1,テーパ面17e−1が嵌り込み可能な凹部とすることもできる。
【0030】
再び
図4及び
図5を参照すると、第1テープ導入路3において第2スプロケット8の下流側に、テープ先端検知センサ20が配置されている。このテープ先端検知センサ20は、
図3で説明したテープ端検知センサ14と同様に、レバー(てこ)20aを使用した機械式センサであり、レバー20aと光学式のセンサ素子20bとを備え、レバー20aの一端は、コイルばね21の付勢力により第1テープ案内路3内に位置するようになっている。レバー20aの他端は、センサ素子20bの発光部と受光部との間に位置している。そして、このレバー20aの一端の位置にテープの先端が到来すると、レバー20aの一端がテープの先端によって持ち上げられ、支軸18周りに回転する。これによりセンサ素子20bの発光部からの光が受光部で受光され、センサ素子20bがONとなりテープの先端が検知される。このテープ先端の検知情報は、
図1で説明した制御部12に送信される。
【0031】
また、第1テープ導入路3のテープ導入部3aは、
図10に示すように逆L字状の可撓性部材22で形成されている。具体的には、可撓性部材22の縦板部22aがテープフィーダ本体1(
図1参照)に固定され、横板部22bがテープ導入部3aを構成する。この横板部22bからなるテープ導入部3aは、
図10の矢印方向に変位することが可能である。
【0032】
以上の構成において、テープTは初め、第1テープ導入路3のテープ導入部3aから導入され、第1テープ導入路3及びテープ搬送路2に沿って案内される。すなわち、テープTは、第2スプロケット8によって第3スプロケット10まで送られ、その後、第2スプロケット8は停止され、第3スプロケット10によって第1スプロケット5まで送られる。その後、第3スプロケット10は停止され、テープTは第1スプロケット5のピッチ回転によりピッチ送りされる。テープTに保持されている部品はピックアップ位置Pにおいて部品実装装置の移載ヘッドのノズルによりピックアップされる。なお、テープTには部品の保護と脱落防止のためにその部品を覆うようにカバーテープが接着(貼着)されているが、このカバーテープは第3スプロケット10と第1スプロケット5との間のテープ搬送路2の適当な位置において公知の剥離機構(図示せず)によりテープTから剥離される。
【0033】
テープTが使用されている間に後続のテープの準備をし、その後、テープを切り換えるスプライシング作業を行う。
図11は、スプライシング作業の手順を示す説明図である。
図11においては、現在使用中のテープをT1で示し、後続のテープをT2で示す。
【0034】
図11(a)は、現在使用中のテープT1が、上述の要領で第1テープ導入路3テープ導入部3aから導入され、第1テープ導入路3及びテープ搬送路2に沿って案内されている状態を示す。
【0035】
このテープT1が使用されている間に後続のテープの準備をする。まず、
図11(b)に示すように、テープ移行手段17を構成するレバー部材17aを下方向に移動(回転)させることにより、第1テープ導入路3を搬送されているテープT1を第2テープ導入路4に移行させる。第1テープ導入路3は、
図6で説明したように、対向面間の間隔が拡縮可能に対向配置された一対の支持プレート15の対向面下端部から内側に突出する一対の支持片15aによって形成されているので、レバー部材17aを下方向に移動(回転)させてテープT1を押し下げることにより、テープT1は第1テープ導入路3から外れ第2テープ導入路4に移行する。すなわち、テープT1をテープ搬送路2に導入するためのテープ導入路が第1テープ導入路3から第2テープ導入路4に切り換わる。この切換え前の段階では、テープT1はテープ導入部3a(
図1参照)からテープフィーダ本体1に導入されているが、テープ導入部3aは
図10で説明したように可撓性部材22の横板部22bで形成されているので、テープT1が押し下げられて第2テープ導入路4に移行するときには、横板部22bが
図10の矢印方向に変位する。これによってテープT1のテープ導入部も第1テープ導入路3側のテープ導入部3aから第2テープ導入路4側のテープ導入部4a(
図1、4、5参照)に移行する。
【0036】
また、本実施例では
図8及び
図9で説明したように、レバー部材17aが初期位置にあるとき、第1係合突起17dのテーパ面17d−1を含む部分及び第2係合突起17eのテーパ面17e−1を含む部分が、それぞれ一対の支持プレート15に形成された貫通孔15c及び15dに嵌り込んでいる。したがってこの初期状態からレバー部材17aを下方向に移動(回転)させると、各テーパ面17d−1,17e−1が一対の支持プレート15の対向面間の間隔を拡大させる。これによって、第1テープ導入路3を搬送されているテープT1を第2テープ導入路4にスムーズに移行させることができる。また、第1テープ導入路3を搬送されているテープT1にレバー部材17aが当たって押圧する前に、一対の支持プレート15の対向面間の間隔が拡大するので、テープT1を強く押圧しなくてもテープT1を第2テープ導入路4に移行させることができ、テープT1の損傷も防止することができる。
【0037】
このようにして第2テープ導入路4に移行したテープT1は第2スプロケット8からは外れるが、テープT1は
図1で説明した第1スプロケット5に噛み合うことで、この第1スプロケット5のピッチ回転により、引き続きピッチ送りされる。
【0038】
レバー部材17aを操作してテープT1を第2テープ導入路4に移行させるタイミングは、そのテープT1が
図1で説明した第3スプロケット10に噛み合った後であれば何時でも構わない。第3スプロケット10に噛み合った後であれば、テープT1が第2スプロケット8から外れたとしても、第3スプロケット10の回転によりテープ搬送路2を搬送され、その後、第1スプロケット5によってピッチ送りされる。
【0039】
なお、レバー部材17aの操作は、自動で行うようにすることもできる。例えば、第2モータ8や第3モータ11のエンコーダ値などからテープT1が第3スプロケット10に噛み合ったことを検知して、その後、アクチュエータなどによってレバー部材17aを下方向に移動(回転)させるようにすることができる。
【0040】
テープT1を第2テープ導入路4に移行させたら、
図11(c)に示すように後続のテープT2を第1テープ導入路3に導入する。具体的には、第1テープ導入路3に配置されている第2スプロケット8を回転させながら、手動でテープT2をテープ導入部3aから導入し、そのテープT2を第2スプロケット8に噛み合せる。第2スプロケット8に噛み合ったらテープT2は第2スプロケット8によって自動送りされる。そして、テープT2の先端が上述のテープ先端検知センサ20によって検知されたら、
図1に示した制御部12が第2モータ9を停止する。これによりテープT2は、その先端が
図11(c)に示すようにテープ先端検知センサ20の位置で停止し、スプライシング作業が実施されるまで待機する。
【0041】
スプライシング作業は、現在使用中のテープT1の後端が
図2で説明したテープ端検知センサ14によって検知されるか、そのテープT1の部品終端部が
図3で説明した部品検知センサ13によって検知されるか、あるいはテープT1の後端と部品終端部の両方が検知されたときに、実施される。すなわち、現在使用中のテープT1の後端あるいは部品終端部が検知されたら、
図1に示した制御部12が第2モータ9を回転駆動させる。これにより、
図11(d)に示すように後続のテープT2が第1テープ導入路3を搬送され、引き続きテープ搬送路2に至り、テープT1からテープT2へテープを切り換えるスプライシング作業が自動的に実施される。以後は、
図11(a)〜(d)の手順を繰り返し、次のスプライシング作業を実施する。
【0042】
このように本実施例のテープフィーダは、テープ導入路として第1テープ導入路3と第2テープ導入路4とを有するので、現在使用中のテープの送り経路と後続のテープの待機位置を完全に分離することができる。したがって、スプライシング作業において現在使用中のテープと後続のテープが一緒に搬送されるという問題は生じず、スプライシング作業を安定して行うことができる。また、本実施例のテープフィーダは、第1テープ導入路3を搬送されているテープを第2テープ導入路4に移行させるためのテープ移行手段17を有するので、テープ導入路においては、第1テープ導入路3側にのみテープ送り手段を配置すればスプライシング作業を行うことができる。すなわち、第2テープ導入路4側にはテープ送り手段を配置していないので構成が簡単となり、小型化及びコスト低減を図ることができる。
【0043】
次に、本発明の他の実施例を説明する。先の実施例では
図8及び
図9で説明したように、レバー部材17aに形成した第1係合突起17d,第2係合突起17eのテーパ面17d−1,17e−1と、一対の支持プレート15に貫通孔15c,15dとの関係で、レバー部材17aを下方向に移動(回転)させるときに一対の支持プレート15の対向面間の間隔を拡大させるようにしたが、
図12の実施例によっても同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
すなわち、この実施例では
図12に示すように、一対の支持プレート15の対向面に内側に突出する一対の係止片15eを形成し、テープ移行手段17(レバー部材17a)が、支持片15aに沿って搬送されるテープTを押圧する前に係止片15eを押圧することにより、一対の支持プレート15の対向面間の間隔を拡大させるようにしている。また、
図12に示すように、係止片15eとテープ移行手段17(レバー部材17a)との接触面をテーパ面とすれば、一対の支持プレート15の対向面間の間隔をスムーズに拡大させることができる。
【0045】
図13は更に他の実施例を示す。この実施例では、一対の支持片15aの上面にテーパ面15a−1を形成し、テープTの両端がテーパ面15a−1に当たりながら押圧されることにより、一対の支持プレート15の対向面間の間隔を拡大させるようにしている。
【0046】
図14は更に他の実施例を示す。この実施例では、第1テープ導入路3と第2テープ導入路4との間に移行選択手段30を設けている。この移行選択手段30は、テープが第1テープ導入路3から第2テープ導入路4へ移行することは許容するが、テープが第2テープ導入路4から第1テープ導入路3へ移行することは妨げるものである。
【0047】
例えば
図11(c)に示したように、現在使用中のテープT1が第2テープ導入路4にあり、後続のテープT2が第1テープ導入路3にある場合において、テープT1に張力等が作用するとテープT1が上昇して第2テープ導入路4に移行するおそれがある。テープT1が第2テープ導入路4に移行するすると、テープT2と重なってジャミング等のトラブルが発生することがある。移行選択手段30は、このようなトラブルの発生を防止するために設けられている。
【0048】
図14において移行選択手段30は、移行阻止板31とトーションバネ32とを備えている。移行阻止板31は、一対の支持プレート15の下端に沿うように配置されるとともに、テープフィーダ本体1に固定された回転軸31a周りに回転可能に設けられている。一方、トーションバネ32は、その一端がテープフィーダ本体1に固定され、他端が移行阻止板31に固定されており、移行阻止板31を上方に回転させようとする力を作用させる。したがって移行阻止板31は、常時は
図14に示すように、一対の支持プレート15の下端に突き当たり、一対の支持プレート15のそれぞれの下端を跨ぐようにして第1テープ導入路3の直下に位置する。また、移行阻止板31はこの位置から上方向には回転することはできない。これにより、移行阻止板31は、仮にテープが第2テープ導入路4から第1テープ導入路3へ移行しようとしても、これを阻止する。
【0049】
一方、移行阻止板31は、
図14の位置から下方向には回転可能であるので、テープが第1テープ導入路3から第2テープ導入路4へ移行することは許容する。具体的には、上述のようにテープ移行手段17(レバー部材17a)を下方向に移動(回転)させることにより、テープが第1テープ導入路3から第2テープ導入路4へ移行するが、この動作に連動して移行阻止板31が下方向に回転するので、上記移行は許容される。その後、テープ移行手段17(レバー部材17a)を上方の初期位置に戻すと、移行阻止板31も
図14の初期位置に戻る。
【0050】
なお、先にテープ導入部3aとして説明した逆L字状の可撓性部材22(
図10参照)は、本発明でいう「移行選択手段」でもある。すなわち、可撓性部材22は、第1テープ導入路3と第2テープ導入路4との間に配置されており、テープが押し下げられて第1テープ導入路3から第2テープ導入路4に移行するときには、横板部22bが
図10の矢印方向に変位するので、上記移行は許容される。一方、テープが第1テープ導入路3から第2テープ導入路4に移行した後は、横板部22bは復元するので、テープが第2テープ導入路4から第1テープ導入路3へ移行することは妨げる。
【0051】
以上説明した各実施例では、一対の支持片15aで第1テープ導入路3を形成したが、第1テープ導入路はこれに限定されない。また、一方の支持片15aのみで第1テープ導入路を形成することもできる。また、実施例では一対とした、係合部17b、第1係合突起17d、第2係合突起17e、貫通孔15c,15d、係止片15、テーパ面等についても、いずれか一方のみとすることもできる。
【0052】
また、実施例では、第1テープ導入路3の下方に第2テープ導入路4を形成したが、第1テープ導入路の上方に第2テープ導入路を形成することもできる。この場合、テープ移行手段を構成するレバー部材を上方向に移動(回転)させるなどすることにより、テープを第1テープ導入路から第2テープ導入路に移行させることができる。このほか種々の変形が可能であることは、当業者に自明であろう。