(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある目的は、嵌合状態の無接点コネクタと相手コネクタとの間で電力を伝送すると同時に、嵌合状態の無接点コネクタと相手コネクタとの間の不整合に対する感度を低減することができる無接点コネクタ及び無接点コネクタシステムを提案することである。
【0009】
本発明の他の目的は、無接点コネクタの全長を短くすることができるように、より効率的に電力を伝送する無接点コネクタ及び無接点コネクタシステムを提案することである。
【0010】
これらの目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項に従う。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項1に定義される、嵌合端において、対応する相手コネクタを誘導的に接続する無接点コネクタを提供する。前記無接点コネクタが、対応する相手コネクタに結合すると、閉じた磁気ループが構築されるので有利である。前記無接点コネクタは、内側フェライト部材を含む。この部材は、中心フェライトコアと呼ぶこともできる。内側フェライト部材は、中空であり、全長に沿って延びる開口を有し、例えば、管形状を有することができる。前記対応する相手コネクタとの間で電力を送受電するように前記内側フェライト部材を少なくとも部分的に包囲する、無接点コネクタの誘導結合部材が配置される。前記誘導結合部材を少なくとも部分的に包囲するように、無接点コネクタの外側フェライト部材が配置され、前記嵌合端を向く前記外側フェライト部材の前端は、前記嵌合端を向く前記内側フェライト部材の前端に対して前記無接点コネクタの軸方向に凹んでおり、前記外側フェライト部材の後端は、前記内側フェライト部材の後端に磁気的に接続される。前記外側フェライト部材は、外側フェライトコアと呼ぶこともでき、管形状を有することができる。
【0012】
前記内側フェライト部材と外側フェライト部材のこの特定の配置により、前記相手コネクタに誘導結合される時、前記コネクタのヘッド部において磁束及びより広い磁束場の最適な誘導が可能になるので有利である。特に、前記外部フェライトコアの前端は、前記コネクタの長手軸(以下では軸方向Lとも呼ばれる)に前記中心フェライトコアの前端に対して凹んでいる。
【0013】
例えば、前記凹んだ外側フェライト部材の上記特定配置により、コネクタと前記相手コネクタが不整合状態にあっても十分な結合が可能になる。前記誘導部材の他の利点は、例えば、外側フェライトコアの後部(この後部は、前記無接点コネクタの前記嵌合端の反対にあるものと定義される)によって被覆されるのみであるため、前記無接点コネクタの前記ヘッド部において、広い磁束場が生じる。従って、前記対応する相手コネクタとの間での電力の確実な送受電を実現することができる。
【0014】
一例として、前記内側及び外側フェライト部材は、前記無接点コネクタの前記嵌合端を向く開口を備えるU字形の横断面を形成するように、夫々の後部において機械的に接続される。或いは、前記内側フェライト部材及び前記外側フェライト部材は、例えば、単一部品として一体的に設けられてもよい。
【0015】
前記無接点コネクタの前記部品の前記特定の配置の他の利点によれば、この構成により、例えば、前記結合したコネクタ同士が、それらの長手軸に傾斜して不整合する場合であっても、又は、それらの長手軸に垂直な横方向の不一致や平面的な不一致の場合であっても、適切な送電が可能になる。更に、上記構成により、例えば、2つの誘導結合されたコネクタ間の距離の変化に対する感度を低減することができる。この前記コネクタが不整合に対する感度が低くなるという効果は、例えば、前記凹んだ外側フェライト部材により、より広い磁束場が形成されることで得られる。
【0016】
更に、上記特定の配置により、嵌合部が一旦僅かに不整合になると、磁力線は、例えば、前記無接点コネクタ内に閉じた磁気ループを形成しない。その代わりに、磁力線は、例えば、不整合状態において前記より広い磁束場によって前記相手コネクタのフェライト部材に接続したままになる。
【0017】
前記誘導結合部材は、一例として、単芯コイルワイヤや多芯コイルワイヤ等のワイヤを使用することによってコイルとして形成されるだけでもよい。前記ワイヤの材料は、例えば銅等の上記目的に適する任意の材料とすることができる。
【0018】
一例として、前記無接点コネクタは、送電装置を備える無接点イーサネット(登録商標)カプラとして採用されてもよい。その場合、送電側の無接点イーサネット(登録商標)カプラが外部電源入力部を有し、受電側の相手無接点イーサネット(登録商標)カプラが外部電源出力部を有してもよい。外部電源入力部の一部は、送電側のイーサネット(登録商標)回路及び受電側のイーサネット(登録商標)回路に電力供給するように、送電側と受電側の夫々において分岐してもよい。これにより、例えば、柔軟な応用が可能になるだけでなく、送電可能な電力の範囲を拡大することが可能になる。一変形例として、送電側において、送電される電力は、例えば、送電側のデータ線から誘導的に得ることができる。任意ではあるが、最大限の柔軟性と、送電可能な出力レベルを上げるために、外部電源を適用することもできる。
【0019】
他の一例として、かかるイーサネット(登録商標)カプラによって送電される電力が、送電側のデータ線から誘導的に得られる一方で、受電される電力が、受電側のデータ線に誘導的に印加されることもできる。送電側の任意の外部電源入力部と、受電側における任意の外部電源出力部が使用されることができる。この例の一変形例において、受電側で受電された電力は、受電側の内部電源のためにのみ使用されてもよい。
【0020】
前記無接点コネクタは、例えば、医療的環境で使用されることもできる。その場合、前記コネクタは、例えば、人工関節や人骨構造に採用される。
【0021】
前記無接点コネクタは、例えば、フレキシブルケーブル内や、硬質のコネクタケースやM12コネクタケースや、M12コネクタケースよりも厚く短いケースに設けられたり、例えば、正方形のハウジング内や角度のあるケース内に設けられたりしてもよい。また、例えば、前記コネクタの電子回路が前記コネクタの機械的部品から離れた別のケースに設けられる一方、フレキシブルケーブルによって両部品を接続するように前記コネクタが設けられてもよい。
【0022】
更なる他の一例として、前記無接点コネクタは、例えば、水や油を含む環境において動作させるのにも適する。その場合、前記無接点コネクタは、同様に水や油のある環境内で動作させる、又はその環境外で動作させる相手無接点コネクタへの安定した確実な接続を行うことができる。例えば、前記無接点コネクタは、更に、前記コネクタの内部を通って水や油が流れることができるように形成されることもできる。
【0023】
本発明の前記無接点コネクタは、前記内側フェライト部材の周囲に配置される誘導結合支持部材を更に含む。ここで、誘導結合支持部材は、全長に沿って延びる開口を有する中空部材である。前記誘導結合支持部材は、前記誘導結合部材のための取付支持部、又は取付ブラケットと呼ぶこともできる。例えば、前記誘導結合支持部材は、プラスチックや樹脂等の非導電性の材料や絶縁性の材料から製造されることができる。前記誘導結合支持部材は、前記誘導結合支持部材が、その内部の凹みにおいて、前記内側フェライト部材の外表面に接触するように、即ち、前記誘導結合支持部材の内表面が、前記内側フェライト部材の外表面に接触するように、前記内側フェライト部材の周囲に配置されることができる。前記誘導結合支持部材の前記開口すなわち凹みは、前記誘導結合支持部材の全長に沿って延在する開口である。特に好適な実施形態によれば、前記誘導結合支持部材は、前記誘導結合支持部材の長手軸の全長に沿って延在する開口を備える円形の断面を有する中空の円筒形状を有する。
【0024】
例えばボビンとして設けられることができる上記誘導結合支持部材を設けることにより、例えば自動巻回処理(例えば機械による)時の前記コイル巻線の取り付けを大幅に単純化させることができるので有利である。更に、製造処理後に前記内側フェライト部材の周囲における前記コイル巻線の位置を維持するということに関して、前記コイル巻線の安定性を増すことができる。言い換えれば、前記コイル巻線は、巻回処理時及び巻回処理後に、しっかりと保持されることができる。特に、例えば、前記コネクタの前部が、前記コネクタの後部よりも多くのコイル巻線層を含む場合に当てはまる。前記支持部材の外表面には、第1のコイル巻線層として、コイル巻線の少なくとも1つの層が形成されることが好ましい。コイルの要求事項に従って、前記第1のコイル巻線層の上部には更なるコイル巻線層が形成されることが好ましい。
【0025】
上記に加えて又は代えて使用できる本発明の有利な実施形態によれば、前記無接点コネクタの前記誘導結合支持部材は、スロットを備える中間円盤を含む。前記中間円盤(中間壁と呼ぶ場合もある)により、例えば、前記無接点コネクタの前記前部及び後部のコイル巻線の異なる層を、異なるコイル巻線区間に分割して分離し、各区間が好ましい数のコイル巻線層を有することができるようになるので有利である。前記少なくとも1つの中間円盤は、前記誘導結合支持部材の前記外表面から外方に延出する。即ち、前記中間円盤は、前記誘導結合支持部材の前記長手軸から離れる方向に延出する。前記誘導結合支持部材の好適な一実施形態によれば、前記誘導結合支持部材は、中空の円筒形状を有し、前記中間円盤は、従って、その半径方向に沿って延出する。前記中間円盤は、前記誘導結合支持部材の前端と後端の間に配置されることが好ましい。前記中間円盤は、円形の断面を有することが好ましい。前記スロットは、例えば自動巻回処理時に、例えば前記コイル巻線を配線することができるので有利である。従って、前記スロットは、前記コイルワイヤが経由するコイルワイヤ通路を形成する。前記中間壁は、かかるコイルワイヤ通路即ちスロットを数個含むことができる。更に、前記スロット(前記中間円盤の凹みとも呼ぶ場合もある)は、製造された無接点コネクタが、前記中間円盤の領域において、前記中間円盤によって分割された前記誘導結合支持部材の前記2つの区間の間で交差するコイル巻線によってその直径が拡大することを回避することもできる。前記スロットにより、好ましくは同一の1本のコイルワイヤが、前記少なくとも1つの中間円盤によって分離される様々なコイル巻線区間を形成するように、前記中間円壁を通過させる前記コイルワイヤの巻回が可能になる。
【0026】
本発明の前記無接点コネクタの前記誘導結合部材は、複数の巻線を備えるコイルである。例えば、前記巻線は、前記支持部材の外表面に沿って少なくとも1つの層に配置される。従って、前記誘導結合部材は、複数のコイル巻線を含むコイルを形成するように巻回されるワイヤである。前記コイル巻線は、前記誘導結合支持部材の周囲に巻回される。
【0027】
上記に加えて、又はその代わりに使用されることができる本発明の有利な一実施形態によれば、誘導結合部材は、前記誘導結合支持部材の周囲に半径方向に、好ましくは対称的に、配置される。例えば、前記コイル巻線は、誘導結合支持部材の外表面(半径方向外方に面する)の周囲に巻回される。従って、前記コイルの前記コイルワイヤは、前記支持部材(例えばボビン)の前記外表面の周囲に巻回される。特に好適な一実施形態によれば、前記誘導結合部材すなわち前記コイルは、円筒形を成し、円形の断面を有するように形成される。前記コイルは、好ましくは中空の円筒形状を有する前記支持部材の周囲に巻回されるので、前記コイルの好適な形状も中空の円筒形状である。
【0028】
上記に加えて又はその代わりに使用されることができる本発明の有利な一実施形態によれば、前記コイルは、前記外側フェライト部材によって包囲される前記内側フェライト部材の後部における第2の区間よりも、前記外側フェライト部材によって包囲されない前記内側フェライト部材の前部における第1の区間において、より多くの巻線層を含む。
【0029】
前記内側フェライト部材の前記第1の区間により多くのコイル層を設けることにより、前記外側フェライト部材によって被覆されない前記内側フェライト部材の部分に巻線を集中させることができる。前記第1の区間にコイル巻線のより多くの層を有することにより、送電効率を上げることができる。従って、均一に分布したコイル層を備えるコネクタと比較して、最大許容伝送電力を維持、場合によっては増大しながら、前記無接点コネクタの全長を減少することができる。
【0030】
上記に加えて、又はその代わりに使用されることができる本発明の他の有利な一実施形態によれば、前記コイルは、前記第1及び第2の区間において偶数の層を含む。これにより、とりわけ、上記のような無接点コネクタのコスト効率のよい組立が可能になる。
【0031】
上記に加えて、又はその代わりに使用されることができる本発明の有利な一実施形態によれば、前記内側フェライト部材と、前記誘導結合部材と、前記外側フェライト部材の少なくとも一部とを包囲するように、無接点コネクタの非導電性のカバー部材が配置される。例えば、前記非導電性のカバー部材は、前記コネクタに前記非導電性のカバー部材を取り付けるために予め作製されたカバー部材でもよい。
【0032】
本発明の特定の好適な一実施形態によれば、前記非導電性のカバー部材はオーバーモールドである。例えば、前記非導電性のカバー部材は、例えば、射出成形処理等のオーバーモールド処理によって設けることができる。かかるオーバーモールドのカバー部材を形成するために前記両フェライト部材及びコイル巻線をオーバーモールドすることにより、前記コネクタ全体の安定性を改善することができる。
【0033】
上記に加えて、又はその代わりに使用されることができる本発明の他の有利な一実施形態によれば、前記無接点コネクタは、前記無接点コネクタの前記軸方向Lに対して所定の距離だけ前記外側フェライト部材の前記後端から離間するハウジング部材を含むことができる。
【0034】
この前記外側フェライト部材と前記ハウジング部材との間に空隙を有する構成により、例えば、前記ハウジング部材内に発生する渦電流を大幅に減少することができる。渦電流の減少は、例えば、電流損失が無視できるレベルに達する。間隙Gは、前記外側フェライト部材の後面と前記ハウジング部材との前面の間の距離すなわち前記コネクタの前記長手軸に沿って測定される距離を表す。一層良好な結果を得るためには、前記外側フェライト部材の後面と前記ハウジング部材の前面の間との距離は、2mm乃至3mmの間に設定することが好ましい。
【0035】
本発明によれば、前記無接点コネクタは、少なくとも1つのアンテナ部材を含む。アンテナ信号は、60GHzや2.4GHz等の好適な搬送周波数で送信することができる。前記アンテナ部材は、前記無接点コネクタ内に配置されることが好ましく、例えば、前記無接点コネクタの前記嵌合端と前記内側フェライト部材の前記前端との間に配置されることができる。前記嵌合端は、例えば、前記誘導結合支持部材の前側と理解されるものとし、前記前側の平面は、前記無接点コネクタの前記軸方向Lに垂直である。或いは、前記アンテナ部材は、前記無接点コネクタの前記嵌合端に関して前記内側フェライト部材や外側フェライト部材の後方に配置されることができる。この前記内側フェライト部材や外側フェライト部材の後方への配置は、例えば、前記内側フェライト部材や外側フェライト部材が、前記アンテナ部材と前記無接点コネクタの前記嵌合端との間にあると理解されるものとする。
【0036】
前記アンテナ部材は、例えば、ループアンテナ、パラボラアンテナ、ダイポールアンテナ、指向性アンテナ、又は任意のその他の適当なアンテナ型である。ループアンテナ型の場合、データ送信が、例えば10mm以下の短距離の範囲内でのみ可能になるように、前記アンテナ部材を近端通信に最適化させることが好ましい。かかるループアンテナ型の部材は、クロストーク特性を減少し、その他の電子装置及び隣接するその他の無接点コネクタ対への干渉も低減するので有益である。
【0037】
前記アンテナは、更に、例えば、電波の送受信用に前記無接点コネクタの後部に配置される電子回路に電気的に接続される。このため、嵌合端に向かったコネクタの長手方向に見て、電気回路、フェライト部材及び嵌合端が相次いで配置されるように、電子回路がフェライト部材の後端に近接配置される。異なって配置される場合、内側フェライト部材や外側フェライト部材は、電子回路と無接点コネクタの後端との間に配置されるのが好ましい。例えば、前記アンテナは、アンテナ接続線に対して直角に直接接続されてもよい。これにより、前記無接点コネクタの前記長手方向における前記アンテナ部材の空間の要求事項を更に減少することができる。前記アンテナ部材が前記無接点コネクタの前記嵌合端に配置される場合、前記直角の接続により、例えば、前記アンテナは、前記内側フェライト部材に近接配置されることになり、それによって、特に、前記無接点コネクタはコンパクトな構造になる。
【0038】
前記内側フェライト部材の前記前端の前に前記アンテナ部材を実装することにより、前記相手コネクタのアンテナ部材までの距離を短くすることができるので有利である。従って、より少ない伝送電力で済み、それにより、前記コネクタ近傍のその他の電子部品への干渉を低減することができる。
【0039】
本発明によれば、前記無接点コネクタは、前記アンテナ部材を接続するためのアンテナ接続線をさらに具備し、前記アンテナ接続線は、前記フェライト部材を経由して少なくとも部分的に配線される、すなわちアンテナ接続線は、中空の内側フェライト部材の開口内に部分的に配置される。本発明によれば、前記アンテナ信号すなわちアンテナ「情報」に、前記フェライトコア、特に前記内側フェライトコアを経由して配線することを提案している。かかる接続線は、例えば、前記少なくとも1つのアンテナ部材が、前記嵌合端に対して前記内側フェライト部材や外側フェライト部材の後方に配置される場合、前記内側フェライト部材の開口内に配置されるアンテナロッドによって形成されることができる。前記アンテナロッドを利用するこの好適な設計は、約60GHzの搬送周波数に対して有利な結果を示している。前記アンテナ部材が前記コネクタの前記嵌合端に配置される場合、接続線には、前記内側フェライトコアを経由して配線させることが好ましい。本実施形態については、接続線は、アンテナのストリップラインであることが好ましく、内側フェライトコアを通って配線されたループアンテナであることが好ましい。いずれの配置によっても、例えば前記接続線又はその他の接続手段を、例えば前記無接点コネクタの半径方向外部の部品に設ける必要がない。前記接続線の場合、前記接続線の必要な長さは、例えば、信号の送受信が向上するように最小限に抑えられることができる。
【0040】
本発明は、更に、上述の実施形態のいずれかに係る無接点コネクタと、前記無接点コネクタに接続される対応する相手コネクタとを含み、その結果、前記無接点コネクタにより、前記対応する相手コネクタとの間で電力を送受電することが可能になる無接点コネクタシステムを提供する。
【0041】
本発明は、無接点コネクタを製造する方法を更に提供する。前記内側フェライト部材は、前記誘導結合支持部材の周囲への前記誘導結合部材の配置前又はその後に、前記凹み、好ましくは前記誘導結合支持部材の開口(例えば孔)に挿入される。前記方法は、無接点コネクタ内にアンテナ接続線を設ける工程を更に具備し、他方、アンテナ接続線は、内側フェライト部材の開口を通って少なくとも部分的に配線される。前記内側フェライト部材は、前記支持部材の長手軸の全長に沿って延在する開口を備える円形の断面を備える中空の円筒形状を有する誘導結合支持部材の開口に挿入されることが好ましい。
【0042】
前記方法の有利な一態様は、前記方法により、上述の部品の完全に自動的な組立が可能になることである。従って、前記無接点コネクタのコスト効率のよい製造が、前記方法によって可能になる。
【0043】
前記方法の他の好適な一実施形態によれば、前記コイル巻回処理は、前記誘導結合支持部材の同一の端部において開始及び終了する。前記コイルの全体は、好適には同一の1本のコイルワイヤが、少なくとも1つの中間壁によって分離される前記様々なコイル巻線区間を形成するように巻回される連続的な作業の間に形成される。例えば、スロットを1つだけ備える中間円盤を1つだけ含む支持部材上にコイルを形成する場合、前記コイルワイヤは、コイル全体を形成する処理中に、すなわち前記コイルの全てのコイル巻線区間の形成中に、同一のスロットを2回経由して配線することが好ましい。2つのスロットを備える中間壁を含む実施形態の場合、前記コイルワイヤは、前記コイル形成処理中に各スロットを1回経由して配線することが好ましい。
【0044】
添付の図面は、本発明の幾つかの実施形態を図示するために、本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。これらの図面は、記述と共に、本発明の原理を説明するのに有用である。これらの図面は、本発明が如何にして成され、使用されることができるかの前記好適な例及びその他の例を図示することを目的としているに過ぎず、図示及び記述された実施形態のみに本発明を制限するものとはみなされないものとする。更に、本発明の実施形態の幾つかの態様は、本発明に係る課題解決方法を―個々に、又は様々に組み合わせることによって―形成することができる。以下に記述される実施形態は、従って、単独のもの、又は任意に組み合わせられるものとみなされることができる。更なる特徴及び利益は、添付の図面に図示される本発明の様々な実施形態の以下のより具体的な記述から明らかになり、添付の図面では、同様の参照符号は、同様の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1乃至
図5及び
図12は、無接点コネクタの第1の好適な実施形態を示し、
図6乃至
図11は、無接点コネクタの第2の好適な実施形態を示す。両実施形態における同様の部品、部材、構造は、以下の記述において、同一の参照符号によって示す。
【0047】
図1aを参照すると、長手軸に沿う無接点コネクタ100の断面図が示されている。更に、
図1bは、A−A線に沿う
図1aの無接点コネクタ100の横断面を示す。
【0048】
以下では、無接点コネクタという用語が使用される。尚、無接点コネクタは、無接点のプラグコネクタでもよい。
【0049】
図1aの無接点コネクタ100の断面図によれば、当該図面は、無接点コネクタ100の前端の組立体を示している。この前端の組立体は、
図1aの水平点線によって示す軸(長手軸)に対して対称である。言い換えれば、無接点コネクタ100は、この軸を中心とする円形に構成されている。コネクタの円形構成は、特に、
図1bの断面図から得ることができる。
【0050】
図1aに更に示すように、無接点コネクタ100は、内側フェライト部材102を含み、内側フェライト部材102は、水平点線によって示す中心軸すなわち長手軸周りに近接配置されるように、管形状を有することが好ましい。管形状のため、内側フェライト部材102は、長手軸に沿う円筒形の開口を含む。これは、以下において、内側フェライト部材102の中空開口106とも呼ばれる。
【0051】
更に、無接点コネクタ100は、同様に長手軸を中心に対称的に配置される外側フェライト部材107を含む。外側フェライト部材107も管形状であるが、内側フェライト部材102の直径よりも大きな直径を有する。かかる直径の差異により、内側フェライト部材102の外表面と外側フェライト部材107の内表面の間には空間が生じる。
【0052】
図1aから更に分かるように、(長手軸に平行な)長手方向Lの外側フェライト部材107の長さは、長手軸に沿う内側フェライト部材102の長さよりも短い。言い換えれば、外側フェライト部材107の前端108は、内側フェライト部材102の前端103に対して凹んでいる。これにより、「前端」という表現は、コネクタ100の嵌合端101を向く無接点コネクタ100の先端を示す。嵌合端101は、相手コネクタすなわち相手コネクタ200(相手無接点コネクタ200)に対向する無接点コネクタ100の端部と定義される。従って、相手無接点コネクタ200は、
図1aに示す無接点コネクタ100によって伝送される電力を受電する部品である。
【0053】
更に、本実施形態によれば、外側フェライト部材107の前端108が内側フェライト部材102の前端103に対し凹んでいるという特定の配置により、無接点コネクタ100と、対応する相手コネクタ200との間の結合挙動が改善するという効果が生じる。すなわち、外側フェライト管状部材107を凹ませることにより、無接点コネクタ100と、対応する相手コネクタ200の不整合に対する感度が低くなる。これは、
図2に関連して更に記述される。
【0054】
更に、
図1aは、外側フェライト部材107の後端109と、内側フェライト部材102の後端104が、磁気的に接続されていることを示している。これは、例えば、外側フェライト部材と内側フェライト部材との間に空隙を有する外側フェライト部材と内側フェライト部材の磁気的接続であってもよい。この実施形態の具現例によれば、外側フェライト部材107及び内側フェライト部材102は、
図1aに示すように、単一の部品として一体的に設けられてもよい。しかしながら、この実施形態の他の具現例では、外側フェライト部材と内側フェライト部材は、夫々、当該部材間に空隙を含まず、互いに機械的に接触している複数のフェライト(ブロック)部材を含んでもよい。この接触は、例えば、接着接触であり、或いは、半田付けされたり、様々な方法で接着即ち結合されたりすることができる。この実施形態の更なる他の具現例によれば、外側フェライト部材と内側フェライト部材は、夫々、当該部材間に1つ以上の空隙を備える複数のフェライト部品(フェライトブロック部材)を含んでもよい。この実施形態の更なる他の具現例によれば、外側フェライト部材107又は内側フェライト部材102のいずれか一方が、単一部品として一体的に設けられ(即ち、単一部品として作製され)、他方の部材が、複数のフェライトブロックやフェライト部品を含む。
【0055】
図1aに関連する実施形態によれば、内側フェライト部材102及び外側フェライト部材107は、互いの後部において接続され、
図1aに示す長手軸に沿う断面図に関して、無接点コネクタ100の前端に開口を有するU字形の横断面を形成する。
【0056】
内側フェライト部材102に関し、内側フェライト部材102は、例示的実施形態において、外径4ミリメートル+/−0.1ミリメートル、内径2ミリメートル+/−0.3ミリメートル、及び長さ12ミリメートル+/−0.6ミリメートルを有するコアフェライト部材である管状部材とすることができる。
【0057】
外側フェライト部材107は、同様に管形状を有することができ、例示的実施形態では、長さ6ミリメートル+/−0.15ミリメートル、外径9ミリメートル+/−0.4ミリメートル、及び内径7ミリメートル+/−0.3ミリメートルを有する。
【0058】
更に、内側フェライト部材と外側フェライト部材は、本実施形態の具現例によれば、単一部品として一体的に設けられてもよい。
【0059】
本実施形態の更なる他の具現例によれば、内側フェライト部材102は、更に、ソケット円盤(内側フェライト部材102の後部、言い換えれば、フェライトコア組立体全体の後部を示す)を含むことができ、このソケット円盤は、厚み2ミリメートル+/−0.3ミリメートルを有することができ、例えば管形状の外側フェライト部材107が、このソケット円盤上に軸方向Lに取り付けられる。
【0060】
上述の寸法の内側フェライト部材及び外側フェライト部材を含む上記の具現例に従い、内側フェライト部材102の周囲には、無接点コネクタ100の両フェライト部材のU字形の開口(
図1aの断面図に関して)の後端から開始される2層のコイル巻線115が存在することができる。
図1aに更に例示的に示すように、内側フェライト部材102の周りには、コイル巻線115が、長手方向Lにおいて外側フェライト部材107によって包囲されない領域において、3層のコイル巻線115が存在する。
【0061】
本実施形態の更なる実施例では、無接点コネクタ100はハウジング部材111(
図1aに更に示す)を含み、ハウジング部材111は、例えば、外側フェライト部材107の外側に配置されることができる。即ち、ハウジング部材111は、本実施形態のこの第1の実施例によれば、外側フェライト部材107の外表面に接触する。従って、ハウジング部材111の直径は、外側フェライト部材107の直径よりも大きい。ハウジング部材111は、コネクタ装置に十分なレベルの放熱や更なる安定性をもたらすために採用されることができる。本実施形態の一具現例によれば、ハウジング部材111は、例えば、金属製でもよい。ハウジング部材の材料として金属を選択すると、ハウジング部材111は、コネクタ内部に設けられる回路の遮蔽部材として機能することもできる。
【0062】
更に、外側フェライト部材107の外表面に直接接触するハウジング111の特定の面積は、定常損失すなわち発生する渦電流に正比例することに留意されたい。従って、この接触面積を減少は、外側フェライト部材107の前端108に対して(ひいては内側フェライト部材102の前端103に対して)ハウジング111の前端112を凹ませることによって達成されるが、その結果渦電流が減少する。これにより、コネクタの送電効率を大幅に上げることができる。
【0063】
本実施形態の更なる具現例によれば、無接点コネクタ100のハウジング部材111は、銅、アルミニウム、ニッケル、錫、又はそれらの合金、例えば、黄銅(銅55〜86%)等から成るものが設けられてもよい。また、ハウジング111は、ニッケルめっきされてもよい。
【0064】
本実施形態の他の具現例によれば、ハウジング部材111は、例えば、プラスチックから成るものでもよい。かかる具現例では、コネクタに十分な機械的安定性が付与されると同時に、製造コストが減少する。
【0065】
この第1の実施形態によれば、
図1aに示すハウジング部材111は、外側フェライト部材107に対して凹んでいる。より詳細には、ハウジングの前端は、外側フェライト部材107の前端108に対してコネクタ100の軸方向Lに凹んでいる。
【0066】
上記の記述において、「凹んだ」という表現は、長手軸に沿う内側フェライト部材102、外側フェライト部材107、及びハウジング部材111の異なる長さ/位置を説明するために用いられている。しかしながら、これらの特定の関係は、外側フェライト部材107が、ハウジング部材111よりも軸方向Lに特定の長さだけ突出していると説明することもできる。更に、両フェライト部材の軸方向の寸法に関して、
図1aは、内側フェライト部材102が、外側フェライト部材107から無接点コネクタ100の嵌合端101に向かって軸方向Lに突出していることを示している。
【0067】
図1aに関する実施形態によれば、無接点コネクタ100は、更に、内側フェライト部材102を包囲する誘導結合部材110を含む。この誘導結合部材110は、対応する相手コネクタ200との間で電力を送受電するために使用される。
図1aには示されていないが、この誘導結合部材110は、誘導結合部材110に電流が流れるように、電子回路401(同様に図示せず)の電力供給線から電力を受電してもよい。両フェライト部材と共に、誘導結合部材110は電磁界を生成し、この電磁界は、対応する相手コネクタ200の誘導結合部材によって受信される。
【0068】
この実施形態の具現例では、誘導結合部材110は、少なくとも1つのコイル層とすることができる。或いは、この実施形態の更なる他の具現例に係る誘導結合部材110は、内側フェライト部材102の周囲に設けられ、外側フェライト部材107によって部分的に被覆されるコイル巻線(コイル巻線の材料は、例えば、銅)を含むことができる。
図1aに示すように、誘導結合部材110には、異なる数の層(少なくとも1つの層)の上記コイル巻線115を使用することができる。
図1aはコイル巻線を示しているが、これは、本実施形態の誘導結合部材110の実施の一つを例示的に示しているに過ぎない。誘導結合部材110は、
図1aに示すコイル巻線115の代わりに、例えば銅箔層など、少なくとも1つの箔層を含んでもよい。
【0069】
図1aに関する実施形態によれば、誘導結合部材110は、外側フェライト部材107によって部分的に被覆されたり包囲されたりするだけでもよい。即ち、誘導結合部材110は、内側フェライト部材102の後部や後端において外側フェライト部材107によって包囲される一方、誘導結合部材10は、内側フェライト部材102の前部では外側フェライト部材107によって包囲されたり被覆されたりしなくてもよい。ここで、内側フェライト部材の前部や前端は、無接点コネクタ100の嵌合端101を向く部分と定義される。
【0070】
更に、この実施形態の他の具現例によれば、コイルは、第2区域(内側フェライト部材102の後部に位置する)よりも第1区域(内側フェライト部材102の前部や前端103に位置する)においてより多くの巻線層を含む。コイル巻線のこの特定の構成は、
図1aに見ることができる。例えば、内側フェライト部材102は、軸方向Lの内側フェライト部材102の全長に関して、2層のコイル巻線によって包囲されるが、内側フェライト部材102の前部は、3層のコイル巻線によって包囲される。尚、前部や前端におけるコイル巻線層の数は、3層に限られないが、内側フェライト部材102の後部を包囲するコイル巻線層の数よりも多いことが好ましいことに留意されたい。
【0071】
更に、この実施形態の具現例において記述したように、誘導結合部材110の前部により多くの巻線層を設けるという特定の構成により、効率を上げることができ、結果的に、無接点コネクタ100における体積当たりの伝送可能電力の割合を増加するという利点及び技術的効果が得られる。上記の特定の構成によって送電効率が改善されるので、無接点コネクタ100の前端の組立体の全長の大幅な減少が達成される。例えば、上述の無接点コネクタ100は、前端の直径が10.5ミリメートル、前端の組立体の長さが12ミリメートルであり、10〜15ワットレベルで高い効率で電力を伝送することができる。
【0072】
本実施形態の更なる他の具現例では、無接点コネクタ100は、樹脂、プラスチック等から成る非導電性のカバー部材114を更に含むことができる。ここで、非導電性のカバー部材114は、内側フェライト部材102、誘導結合部材110、及び外側フェライト部材107の少なくとも一部を包囲するように配置される。非導電性のカバー部材114は、無接点コネクタ100にハウジング部材111が設けられていない場合、外側フェライト部材107の全体を被覆してもよい。
【0073】
本実施形態の更なる具現例によれば、無接点コネクタ100にハウジング部材111が設けられている場合、非導電性のカバー部材114は、ハウジングによって被覆されない外側フェライト部材107の前部と、外側フェライト部材107によって被覆されない誘導結合部材110の一部と、無接点コネクタ100の嵌合端101の(軸方向に垂直な)前面とを実質的に被覆してもよい。更に、
図1aに示すように、非導電性のカバー部材114は、結果的に得られる無接点コネクタ100が、ハウジング部材111の直径を有する円筒形を有するように、無接点コネクタ100の前記部分を被覆するが、非導電性のカバー部材114の前端は、内側フェライト部材102の前端103よりも長手軸方向Lに特定の量だけ延出する。
【0074】
本実施形態の他の具現例によれば、無接点コネクタ100がハウジング部材111を含む場合、非導電性のカバー部材114の少なくとも一部に、ハウジング部材111が重なる。
【0075】
本実施形態の一具現例によれば、ハウジング111の前端112と外側フェライト部材107の前端108との間の距離は、例えば、約4ミリメートルである。更に、内側フェライト部材102の前端103と外側フェライト部材107の前端108との間の距離は、約5ミリメートルとすることができる。従って、ハウジング111の前端112と内側フェライト部材102の前端103との間の距離は、例えば、約9ミリメートルである。更に、前端の組立体の全長は、内側フェライト部材102の前端103から両フェライト部材の後端113までに測定される軸方向Lの全長を示し、例えば、約12ミリメートルである。
【0076】
総括すると、本実施形態の様々な実施例において記述したように、送電効率を上げるという利点と、嵌合状態におけるコネクタ100の不整合に対する感度を下げるという利点は、少なくとも内側フェライト部材102が外側フェライト部材107よりも突出するように内側フェライト部材102を配置することによって得られる。言い換えれば、これらの利点は、内側フェライト部材102の前端103に対して外側フェライト部材107の前端108を凹ませることによって得られる。
【0077】
コネクタの全長を短縮することを可能にする送電効率の更なる向上は、無接点コネクタ100の前部により多くのコイル巻線を更に設けることによって達成される。
【0078】
外側フェライト部材107に対して凹んだ(金属製の)ハウジング部材111を更に実施することにより、外側フェライト部材107を直接的に包囲又は接触するハウジング111の部分の面積が減少するので、渦電流などの電流の損失を大幅に減少するという効果が得られる。言い換えれば、磁界が渦電流や熱を引き起こすハウジング111の面積や表面が減少する。
【0079】
尚、この例示的な第1の実施形態では、ハウジング部材111は、外側フェライト部材107の外表面の一部に重なると記述されていることに留意されたい。しかしながら、ハウジング部材111は、重複部を有しないようにすなわちハウジング部材111と外側フェライト部材107が直接接触しないように、外側フェライト部材107の後端109に対して更に凹んでもよい。これは、以下に説明する
図6乃至
図11に係る第2の例示的実施形態に従うものである。
【0080】
上述のように、
図1bは、線A−Aに沿う
図1aの無接点コネクタ100の横断面を示す。
【0081】
図1bから分かるように、非導電性のカバー部材114は、
図1aに関連してすでに詳述したハウジング部材111、内側フェライト部材102及び外側フェライト部材107、及び誘導結合部材110を説明するために省略されている。
図1bは、外側フェライト部材107の一部を示しているが、これは、コイル巻線115として
図1bに例示的に示す誘導結合部材110が、管状の外側フェライト部材107の外径よりも小さな外径を有するということを例示的に説明しているに過ぎない。しかしながら、本実施形態の他の具現例によれば、無接点コネクタ100の誘導結合部材110の外径は、外側フェライト部材107の直径と等しくてもよいことに留意されたい。
【0082】
図2は、本発明の一実施形態に係る、嵌合状態における無接点コネクタ100と、対応する相手コネクタ200の長手軸に沿う断面図を示す。かかる構成は、本発明に係る無接点コネクタシステムとも呼ばれる。
【0083】
図2から分かるように、無接点コネクタ100及び相手コネクタ200は、互いに対向するように配置され、長手軸(水平点線)に沿って整列される。すなわち、コネクタの各嵌合端101/201は、嵌合端101/201間に空隙217を有しながら互いに対向している。一例として、空隙217は、約5ミリメートルである。磁力線216によって示すように、コネクタの嵌合状態では、閉じた磁気ループが構築される。図示の両コネクタの凹んだ外側フェライト部材107/207により、磁力線216は、コネクタが長手軸に垂直な方向における平面において不整合した場合でも、両無接点コネクタ100/200の外側フェライト部材107/207を磁気的に接続させた状態を維持し易くなるということが達成される。また、両コネクタの内側フェライト部材102/202に流入する磁力線216は、この2つのコネクタ間の上述のような平面における不整合の場合に、各上記無接点コネクタの内側において閉じた磁気ループを生じることが防止される。より詳細には、磁力線216は、2つのコネクタ間の上記のような平面における不整合の場合に、無接点コネクタ100内で外側フェライト部材107から内側フェライト部材102に戻ること(及び相手コネクタに関しても同様のことが起こること)が防止される。
【0084】
従って、図示の構成により、コネクタの長手軸に垂直な側方の不一致や平面的な不一致の場合だけでなく、結合されたコネクタ同士が、コネクタの長手軸に対して傾くように不整合である場合でも、適切な送電が可能になることは明らかである。本実施形態の上述の実施例によれば、この構成により、2つの誘導結合されたコネクタ間の距離(空隙)の変化に対する感度を低くすることもできる。
【0085】
誘導接続されたコネクタの不整合状態における感度をより低くするという効果は、基本的には、外側フェライト部材が凹んでいない場合と比較して凹んだ外側フェライト部材107/207によるより広い磁束場の構築の結果と考えることができる。
【0086】
図3は、本発明の更なる例示的な実施形態に係る、無接点コネクタの長手軸に沿う断面図における無接点コネクタ100の誘導結合部材110の巻回順を示す。
【0087】
図3の数字を含む各長方形は、コイル巻線115の断面(実際には円形を有する)を概略的に示す。
【0088】
巻回順の記述に関して、巻回は、U字形の内部及び外側フェライト部材の内側後部(コネクタ100の嵌合端101とは反対側の内側)から始まり、この内側後部で終わる(この内側後部は、コネクタ100の嵌合端101とは反対側の両フェライト部材のフェライトコア基部(円盤)の側と言うこともできる)。
・第1のステップでは、第1の最も内側の層が、フェライトコア基部(円盤)から始まり、コイル115は、嵌合端101/内側フェライト部材102の前端の方向に、内側フェライト部材102の周りに巻回される。
・第2のステップでは、内側フェライト部材102の先端でコイル115を巻回することによって、コイル巻線の第2の層が形成され、続いて、内側フェライト部材102の先端に第3の層が形成される。
・次に、両フェライト部材の内側後部の方向に向かって、外側フェライト部材107の前端108に到達するまで、第2のステップが繰り返し行われる(コイル巻線がこの2つの層に交互に配置される)。例えば、これは、コイル巻線115の6×3層となり得る。
・その後、次のステップにおいて、両フェライト部材の内側後部であるフェライトコア基部(円盤)に到達するまで第2の層にのみコイル115を巻回し続ける。
【0089】
図4は、本発明の更に例示的実施形態に係る、長手軸に沿う無接点コネクタ100の断面図を概略的に示す。
【0090】
図4は、コネクタ100の前部に位置するアンテナ部材402を含むアンテナ構成を示す。アンテナ部材402は、ループアンテナ型である。
【0091】
アンテナ部材は、例えば、無接点コネクタ100の嵌合端101と内側フェライト部材102の前端103の間に取り付けられる。例えば、アンテナ要素402は、無接点コネクタ100の前端において非導電性のカバー部材114に実装される(カバー部材114の内部に成形される)。かかるアンテナ部材402により、2つの嵌合したコネクタ間の送電とは無関係の無線データ転送が可能になる。アンテナは、例えば、相手コネクタに向かって長手方向に5ミリメートルの距離まで高いデータレートの転送を行う。他の具現例では、アンテナは、RF近距離アンテナ結合部材として実施されてもよい。
【0092】
本実施形態の実施例によれば、アンテナ部材402の接続線は、電波の送受信のための電子回路401(無接点コネクタ100の後部に位置する)に電気的に接続されるように内側フェライト部材102の中空内部106に通してもよい。従って、フェライトコア(内側フェライト部材102)の中空の中心部は、無接点コネクタ100の前部においてアンテナ部材402に向かうインピーダンス制御された伝送線路となる。
【0093】
内側フェライト部材102の前端103の前方にアンテナ部材402を設けると、対応する相手コネクタ200の他のアンテナ部材402への距離を短縮することができるので有利である。従って、送信電力が少なくて済み、相手コネクタの近傍における他の電子部品による干渉を減少することができる。
【0094】
本実施形態の更なる実施例によれば、無接点コネクタ100の前端の組立体を完全に塞ぎ、コネクタ全体の管状ハウジング内における組立体の安定した中実の一体部を設けるように、無接点コネクタ100のフェライト部材の後端の後方には、真空補助ポッティング405が設けられてもよい(併せて
図5を参照)。
【0095】
図4は、両フェライト部材と電子回路401との間のコイル電力供給線404を示す。コイル電力供給線404は、誘導結合部材110のコイル巻線115に電流を供給する。
【0096】
図5に示すコネクタケース501は、例えば、特に内側フェライト部材102及び外側フェライト部材107に近接するケース501の領域において、高い導電性(低い渦電流損失のため)及び熱伝導性(良好な熱拡散のため)を有する材料から成る。
【0097】
本実施形態の更なる実施例によれば、ハウジング111の外表面には、ねじ山403を設けることができる。例えば、コネクタをM12コネクタとして設ける場合、M12コネクタのねじ山が設けられる。
【0098】
図5は、本発明の他の例示的実施形態に係る、長手軸に沿う、管状のコネクタケース501に組み込まれた無接点コネクタ100の断面図を概略的に示す。
【0099】
管状のコネクタケース501に設けられるコネクタ装置全体は、例えば、
図1乃至4に示すように、図示のコネクタケース501の前側区間/先端区間に組み込まれた無接点コネクタ100と、管状のコネクタケース501に包囲された電子回路401と、管状のコネクタケース501の外表面のねじ山403と、他の回路(図示せず)への接続を可能にする管状のコネクタケース501の後端の接続インタフェース502とを含むことができる。
【0100】
本実施形態の更なる実施例によれば、管状のコネクタケース501は、無接点のM12コネクタとして設けられてもよい。そのような場合、管状のコネクタケース501は、小さなM12のフォームファクタを有し、他方、ねじ山403は管状のコネクタケース501の外表面で、M12コネクタのねじ山となる。
【0101】
一実施例において、
図5に示すM12コネクタの外径は、前端(コネクタの先端部)において約10.5ミリメートルとすることができる。更に、
図5に示すM12コネクタの管状のコネクタケース501の外径を約12.5ミリメートルとする一方、
図5に示すM12コネクタの管状のコネクタケース501の内径を、約9.6ミリメートルとしてもよい。
【0102】
以下の
図6乃至11は、本発明の第2の好適な実施形態を示す。第1の実施形態の特徴と同様のこの第2の実施形態の特徴は、以下では繰り返し説明されない。従って、第1の実施形態及び第2の実施形態において使用される同一の参照符号は、同様の部分を示す。
【0103】
図6は、この第2の実施形態に係る、無接点コネクタ100のいくつかの部分、特に誘導結合支持部材601の斜視図を概略的に示す。
【0104】
図6に見られるように、誘導結合支持部材601は、内側フェライト部材102の周囲に環状に配置されている。従って、誘導結合支持部材601は、その長手軸(無接点コネクタ100の軸方向Lである)に沿って円筒形の凹み又は開口(例えば孔)を含み、その凹み又は開口に内側フェライト部材102を収容できるようにしている。
【0105】
更に、
図6から分かるように、誘導結合支持部材601は、前側円盤604を含む。前側円盤604は、前側円盤604の平面が無接点コネクタ100の軸方向Lに垂直になるように配置される。前側円盤604は、無接点コネクタ100の嵌合端101に設けられる。
【0106】
更に、
図6に示すように、誘導結合支持部材601は、中間円盤602を含む。中間円盤602も同様に、中間円盤602の平面が無接点コネクタ100の軸方向Lに垂直になるように配置される。しかしながら、中間円盤602は、無接点コネクタ100の軸方向Lに沿って前側円盤604から無接点コネクタ100の後端に向かって変位されることによって、前側円盤604と中間円盤602との間に空間を形成する。前記円盤602,604によって形成される空間によって、コイル巻線を配置することができる領域が生じる。特に、前側円盤604及び中間円盤602を設けることにより、自動取付処理によってコイル巻線115を取り付けることが容易になる。更に、かかる円盤602,604により、製造後に、取り付けられたコイル巻線115が夫々の位置にしっかりと維持されることができる。
【0107】
前側円盤604と中間円盤602との間の領域に対するコイル巻線115の接続を可能にするために、中間円盤602にはスロット603が設けられている。スロット603は、中間円盤602の輪郭に対する小さな切欠き又は溝でもよいし、内側フェライト部材102を包囲する誘導結合支持部材601の表面に達してもよい。更に、スロット603は、様々な幅を有することができる。例えば、スロット602の幅により、少なくとも2つのコイル巻線115を並列に収容することができるようにしてもよい。
【0108】
尚、誘導結合支持部材601は、例えば、ボビンと呼ぶ場合もあることに留意されたい。
【0109】
図6乃至
図11に係り、第2の実施形態に関連して以下に述べる誘導結合支持部材601は、第1の実施形態に関連して上述した
図1乃至
図5及び
図12に示す無接点コネクタ100に設けられてもよい。
【0110】
図7は、
図6に関して記述された誘導結合支持部材601が組み込まれ、コイル巻線115が取り付けられた無接点コネクタ100の断面図を概略的に示す。
【0111】
図7に見られるように、誘導結合支持部材601は、更に、後側円盤702を含む。後側円盤702も同様に、後側円盤702の平面が、無接点コネクタ100の軸方向Lに垂直になるように配置される。後側円盤702は、無接点コネクタ100の軸方向に沿って中間円盤602から無接点コネクタ100の後端に向かって変位されることにより、前記後側円盤702と前記中間円盤602の間にコイル巻線を収容するための空間を形成する。例えば、後側円盤702は、
図7において最もよく見られるように、外側フェライト部材107の内側後部(先行の実施形態ではフェライトコア基部(円盤)と呼ぶ)に接触する。
【0112】
前側円盤604と中間円盤602の外径は等しいが、後側円盤702の外径は、
図7に示す実施形態では、前側円盤及び中間円盤の外径よりも小さい。例えば、これら円盤の夫々の外径は、誘導結合部材110の外径すなわち誘導結合支持部材601の前側区間及び後側区間の夫々におけるコイル巻線層の高さに関連付けられる。
【0113】
図7は、更に、誘導結合支持部材601の前側区間(すなわち、前側円盤604と中間円盤602の間の空間)は、4層のコイル巻線115を含む一方、誘導結合支持部材601の後側区間(すなわち、中間円盤602と後側円盤702の間の空間)は、2層のコイル巻線115を含むことを例示的に示す。この実施形態の更なる実施例によれば、誘導結合支持部材601の両区間すなわち前側区間及び後側区間は、偶数の層のコイル巻線115を含む。
【0114】
無接点コネクタ100は、無接点コネクタ100の嵌合端101に設けられたアンテナ部材402aを含むアンテナ構成を含み、アンテナ部材402aは、その接続点において屈曲部を1つだけ有する。すなわち、アンテナ部材402aは、例えば、アンテナ接続線701によって接触される一方、アンテナ接続線701は、直角にアンテナ部材402aに接触する。本実施形態のこの例では、例えば
図4の実施形態に示すような(断面図で見て)U字形のアンテナ部材402は必要ない。その結果、この実施形態に係るアンテナ部材402aは、誘導結合支持部材601の前側円盤604の表面に直接取り付けることが可能になり、それによって、特に軸方向Lにおいて、より一層全体的にコンパクトな構造が得られる。更に、アンテナ接続線701は、内側フェライト部材102に通してもよい。アンテナ部材402aは、好ましくは2.4GHzの周波数範囲において動作するように構成される。アンテナ部材402aは
図4に示されたアンテナ部材と同様にループアンテナ型であるのに対し、接続線は例えばループアンテナ402,402aのストリップラインで識別する。
【0115】
更に
図7において見られるように、ハウジング部材111aの前端112は、無接点コネクタ100の両フェライト部材の後端113に対して凹んでいる。それらの間の距離/間隔Gは、2〜3ミリメートルの間が好ましく、この値では、渦電流損失が無視できることが実験により示されている。
【0116】
図7は、更に、非導電性のカバー部材114aが、フェライト部材の後端113とハウジング部材111aとの間の間隔Gも埋めるようにコネクタ装置の周囲に設けられることを示している。図示の好適な実施形態では、非導電性のカバー部材は、オーバーモールド部品114aであり、コネクタ全体が、十分なレベルの機械的頑強性/安定性を有することを保証する。従って、本実施形態のこの実施例によれば、コネクタ装置の機械的安定性を得るために、ハウジング部材111aと外側フェライト部材107の外表面との間に重複部は必要ない。これは、製造的視点から有益であるだけでなく、半径方向における、よりコンパクトなコネクタ設計をもたらす。すなわち、この好適な実施形態のこの態様により、ハウジング部材111aと外側フェライト部材107との間に重複する区間がないため、よりコンパクトな設計が可能になる。
【0117】
図8は、
図7に係る誘導結合支持部材601すなわちボビンと、電子回路401に取り付けられているコイル巻線115aの斜視図を概略的に示す。
【0118】
誘導結合支持部材601の前側区間は、誘導結合支持部材601の後側区間よりも多くの巻線層を支持するため、コイル巻線は、コイル巻線115aの自動巻回処理時にスロット603の領域で交差する。
【0119】
誘導結合支持部材601すなわちボビンは、更に、無接点コネクタ100の軸方向Lと平行に後側円盤702から突出する2つの取付けピン801を含む。これらの取付けピン801は、
図8において最も良く見えるように、金属ピン802a,802bを夫々保持する。金属ピン802a,802bは、電子回路401に接続される。従って、金属ピン802a,802bは、
図4に示すコイル電力供給線404と同様の機能を果たす。従って、金属ピン802a,802bは、この実施形態によればコイルへの電力供給線である。
【0120】
誘導結合支持部材601すなわちボビン601の取付けピン801は、外側フェライト部材107の後面113を通って、特に、
図11に最も良く見られるように、外側フェライト部材107の開口1101を通って突出する。コイルを形成するワイヤは、金属ピン802a,802bの周囲に巻回され、金属ピン802a,802bに固定される。次に、コイル巻線115aのワイヤは、ワイヤ形状に適応させた凹み部を有する、
図8に見られる取付けピン801によって保持される。従って、電流は、印刷回路基板から金属ピン802a,802bに流れ、対応する相手コネクタとの間で電力を送受電するためにコイル巻線115aのワイヤを通過する。従って、当業者に既知の電流の流れが、これによって保証される。
図9は、アンテナ部材402aが誘導結合支持部材601の前側円盤604に配置される様子を示す。この例では、アンテナ部材402aは、ボビン601の前側円盤604の外形に沿って環状に配置されている。
【0121】
図10は、本発明の更なる例示的実施形態に係る、無接点コネクタの長手軸に沿う断面図における無接点コネクタ100の誘導結合部材110の巻回順を示す。
【0122】
数字を含む
図10の各長方形は、コイル巻線115の断面(実際には円形を有する)を模式的に示す。
【0123】
更に、
図10における断面図の斜線部は、前側円盤604、中間円盤602、及び後側円盤702を含む誘導結合支持部材601を示す。
【0124】
巻回順の記述に関して、巻回は、後側円盤702から始まり、後側円盤702で終了する。特に、ボビン601の周囲に巻回する処理を開始する前に、コイルワイヤは、第1の金属ピン802aに巻回され、次に、ボビン601に案内される。ボビン601の周囲にコイル巻線115aの各層を完成させた後、以下により詳細に記述するが、この処理は、第2の金属ピン802bの周囲にコイルワイヤを巻回することによって終了する。
【0125】
この巻回処理は
図9にも示されるが、
図9は、ボビン601から出たコイルワイヤの一方のワイヤ端部が後側円盤702の領域において最上段のワイヤ層から出ていることを示している。更に、
図8は、ボビン601の領域に進入するコイルワイヤの他方のワイヤ端部は、金属ピン802aに巻回された後に進入し、コイルが形成されてボビン601によって支持されると、ワイヤは下側の層に配置されることを詳細に示す。以下では、自動コイル巻回処理について更に詳しく記述する。
・第1のステップでは、第1の最も内側の層が後側円盤702から始まり、コイル115が、前側円盤604の方向に向かってボビン601に巻回される。本実施形態のこの例によれば、コイルは、6番目の巻線と7番目の巻線との間でボビン601の中間円盤602のスロット603を経由して配線される。
・第2のステップでは、前側円盤604から中間円盤602に到達するまでコイル115を巻回することによって、誘導結合支持部材601すなわちボビン601の前側区間のコイル巻線の第2の層が形成される。その後、次の巻線(
図10では巻線17で示す)が第3の層に設けられる。
・第3のステップでは、再び前側円盤604に到達するまで、第3の層を続ける(
図10では巻線21で示す)。その後、次の巻線(
図10では巻線22で示す)が第4の層に設けられる。
・第4のステップでは、再び中間円盤602に到達するまで、誘導結合支持部材601の前側区間の第4の層を続ける。コイルのワイヤにスロット603を経由させた後、ボビン601の後側円盤601に到達するまで、両フェライト部材の内側の後部に向かう方向に誘導結合支持部材601の後側区間の第2の層において巻線が続けられる。
【0126】
この例によれば、誘導結合支持部材601の前側区間が4層のコイル巻線115を含み、他方、誘導結合支持部材601の後側区間が2層のコイル巻線115を含む。
図10は、単に一例に関するもので、自動巻回処理を利用することによって、誘導結合支持部材601の前側区間及び後側区間において偶数層のコイル巻線が得られることを示している。
【0127】
内側フェライト部材102は、好ましい製造設定に応じて、上述の巻回処理の前、当該処理の間、又は当該処理の後に、ボビン601に案内されることができる。完成した巻線を備えるボビン601は、次に、外側フェライト部材107内に配置されるが、前記コイル巻線を備えるボビン601が外側フェライト部材10
7内に配置された後にまずボビン601内に内側フェライト部材102を配置することもできる。従って、
図10は、ボビン601、内側フェライト部材102及び外側フェライト部材107が組み立てられた段階を示す。
【0128】
前側円盤604は、コイル巻回処理(図示せず)後に取り除くことができる。従って、最終的にコネクタ100に取り付けられたボビン601は、必ずしも前側円盤を含むものではない。
【0129】
図11は、本発明の別の例示的実施形態に係る、無接点コネクタ100の両フェライト部材の斜視図を概略的に示す。
【0130】
図11の図によれば、外側フェライト部材107の後端113(すなわち、底部)は、誘導結合支持部材601の取付けピン801を収容するように開口1101を含む。
【0131】
取付けピン801の内側を通って電力供給線すなわち金属ピン802a,802bを通すことにより、更に、無接点コネクタをM12フォームファクタに適合させることができる。特に、金属ピンは、外側フェライト部材107の外表面で配線する必要がない。
【0132】
図12は、別のアンテナ構成を含む無接点コネクタ300の長手軸Lに沿う断面図を概略的に示す。無接点コネクタ300は、
図1〜
図5に示す各無接点コネクタ100,200に基づいており、対応する部分には、対応する参照番号及び用語が付されている。対応する部分の詳細な記述は、簡略化のために省略されている。
【0133】
具体的には、無接点コネクタは、内側フェライト部材102と、内側フェライト部材102を少なくとも部分的に包囲するように配置された誘導結合部材110と、誘導結合部材110を少なくとも部分的に包囲するように配置された外側フェライト部材107を含む。嵌合端を向く外側フェライト部材107の前端108は、内側フェライト部材102の前端103に対して軸方向に凹んでいる。外側フェライト部材107の後端109は、内側フェライト部材102の後端104に磁気的に接続される。
【0134】
第1の実施形態の様々な図に示すように、内側フェライト部材102は、内側フェライト部材102が、水平の一点鎖線によって示す中心軸すなわち長手軸Lの周りに近接配置されるように、管形状を有することが好ましい。管形状であるため、内側フェライト部材102は、長手軸に沿って円筒形の開口を含む。この開口は、以下では内側フェライト部材102の中空開口とも呼ばれる。無接点コネクタ300は、更に、無接点コネクタ300の嵌合端に対して内側フェライト部材102や外側フェライト部材107の後方に配置されるアンテナ部材402bを含むアンテナ構成を含む。言い換えれば、アンテナ部材402bの配置は、無接点コネクタ300の内部に配置され、即ち、内側フェライト部材102や外側フェライト部材107は、アンテナ部材402bと無接点コネクタ300の嵌合端103の間にある。例えば、アンテナ部材402bは、ダイポール構造を有するように実現されてもよい。アンテナ部材402bは、好適には60GHzの周波数範囲で動作するように構成される。
【0135】
無接点コネクタ300内のアンテナ部材402bの上記配置により、内側フェライト部材102と、誘導結合部材110と、外側フェライト部材107とを包囲する非導電性のカバー部材114を、コネクタの前部において長手軸Lの方向に薄くすることができるので、無接点コネクタ300の構造を全体的にコンパクトにすることができる。言い換えれば、非導電性のカバー部材は、
図4又は
図7に示すアンテナ部材402又は402aを保護したり封入したりする必要がなくなる。その結果、この配置により、内側フェライト部材103の前端に対して非導電性のカバー部材114の張出部分を減少することができ、それにより、嵌合状態における無接点コネクタの誘導結合部材110と、対応する相手コネクタの間の送電効率が改善される。
【0136】
無接点コネクタ300の嵌合端に対して内側フェライト部材102や外側フェライト部材107の後方に配置されたアンテナ部材402bによる効率的な信号の送信を保証するため、無接点コネクタ300のアンテナ構成は、更に、無接点コネクタ300の嵌合端とアンテナ部材402bの間で電磁波を送信するために無接点コネクタ300の内側フェライト部材102の開口内に配置されるアンテナロッド1201を含む。
【0137】
具体的には、アンテナロッド1201は、円錐形状を有し、アンテナロッド1201の前側(すなわち、無接点コネクタ300の嵌合端を向くアンテナロッド1201の側)は、アンテナロッド201の反対側よりも小さい直径を有する。アンテナロッド1201の横寸法は、内側フェライト部材102の内径に対応させる。アンテナロッド1201の先細り形状により、無接点コネクタ嵌合端の方向に集中させた放射パターンのアンテナ形状が可能になる。更に、内側フェライト部材102の表面は、アンテナ部材402bのための導波路として機能するようにアンテナロッド1201によって搬送される電磁波の反射を改善するように構成されてもよい。
【0138】
更に、アンテナロッド1201は、内側フェライト部材の前端103と内側フェライト部材の後端104との間に延在する。アンテナロッド1201は、アンテナ部材402bの搬送周波数の波長にも対応させる。より詳細には、アンテナロッド1201の長さは、所定の割合に従う搬送周波数、例えば、搬送周波数の波長の整数倍に対応する。
図12に示すアンテナロッド1201は、約60GHzの搬送周波数の電波を搬送するのに適している。
【0139】
アンテナ部材402bは、無線データ送信用の送受信回路を含む電子回路401に電気的に接続される。更に、アンテナ部材402bは、無接点コネクタ300内において、アンテナロッド1201の内向き側に近接して、特にアンテナ部材402bとアンテナロッド1201の間で高い効率の電磁結合を可能にする距離に配置される。
【0140】
上述の無接点プラグコネクタの記述から直ぐに分かるように、アンテナ部材402b及びアンテナロッド1201を含むアンテナ構成は、
図4に示すアンテナ部材402及び
図7に示すアンテナ部材402aの代わりとなるものである。従って、上述のアンテナ構成すなわちアンテナ部材402b及びアンテナロッド1201を含む構成は、第2の実施形態すなわちボビン601を含む実施形態の無接点コネクタに組み込むこともできる。
【0141】
例えば
図7に示す第2の実施形態の無接点コネクタ100に関して、無接点コネクタの嵌合端に対して内側フェライト部材102や外側フェライト部材107の後方には、アンテナ部材402aの代わりにアンテナ部材402bを配置することができる。同時に、アンテナロッド1201は、無接点コネクタの嵌合端の方向に放射パターンを有するように内側フェライト部材102内に設けられることができる。アンテナロッド1201は、無接点コネクタの嵌合端を通じて電磁波を送受信するアンテナ部材402bに接続される。